説明

透明状クレンジング化粧料

【課題】皮膚塗布時ののびが良く、水分を含んでもメイク汚れや皮脂汚れに対して高い洗浄力を有すると共に、すすぎが早く、すすぎ後の肌にさっぱりとした感触を与え、更には、優れた透明性を有する透明状クレンジング化粧料を提供する。
【解決手段】常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値が6以上12未満の非イオン性界面活性剤と、常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値12以上18未満の非イオン性界面活性剤と、多価アルコールとを特定比率含有し、粘度が50〜1000cpsである透明状クレンジング化粧料により達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い洗浄力を有し、すすぎ後の肌にさっぱりとした感触を与え、且つ優れた透明性を有する透明状クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚上の皮脂汚れや口紅、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ等のメイクアップ化粧料を除去するクレンジング化粧料としては、油性基剤を主体とするクレンジングオイル、ゲル状クレンジング剤、クレンジングクリーム等(例えば、特許文献1〜3参照)、あるいは水性のゲル状クレンジング剤や脂肪酸石けんをベースとした洗顔クリームが用いられている。
【0003】
しかしながら、油性基剤を主体とするクレンジング化粧料では、メイクなじみが良いものの、使用感が油っぽく、また使用後にもべたつきといった油性感が残る。また、水分を含むことによって安定性が悪くなり、洗浄力が低下するという問題点があった。
また、水性のゲル状クレンジング剤や洗顔クリームは使用後洗い流せるという使用方法の手軽さはあるものの、いずれも皮膚塗布時ののびが重い、メイクアップ化粧料の除去効果が十分ではなく、すすぎに時間がかかるという問題があった。
【0004】
一方で、クレンジング力やさっぱり感を目的とすると、使用する原料によっては、白濁が生じたり、経日で液分離が生じる等の問題があり、透明性クレンジング化粧料においては、上記クレンジング力及びさっぱり感を付与することは困難であった。
【0005】
更には、上記のように、クレンジング力を考慮する処方とすると、透明性に欠如する傾向にある。
【0006】
【特許文献1】特公平6−99275号公報
【特許文献2】特開平5−208905号公報
【特許文献3】特開2001−335425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
即ち、皮膚塗布時ののびが良く、水分を含んでもメイク汚れや皮脂汚れに対して高い洗浄力を有すると共に、すすぎが早く、すすぎ後の肌にさっぱりとした感触を与え、更には、優れた透明性を有する透明状クレンジング化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記実状に鑑み鋭意検討を重ねた結果、常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値の範囲の異なる2種の非イオン性界面活性剤と、多価アルコールとを特定比率で組み合わせ、粘度を特定した透明状クレンジング化粧料とすることで、皮膚塗布時ののびが良く、水分を含んでもメイク汚れや皮脂汚れに対して高い洗浄力を有すると共に、すすぎ後の肌にさっぱりとした感触を与え、更には、優れた透明性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有し、30℃における粘度が50〜1000cpsであることを特徴とする透明状クレンジング化粧料によって上記目的を達成するものである。
(A)常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値が6以上12未満の非イオ
ン性界面活性剤 5.0〜15.0質量%
(B)常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値12以上18未満の非イオン性界面活性剤 5.0〜10.0質量%
(C)多価アルコール 20.0〜40.0質量%
【0010】
好適には、油分が、クレンジング化粧料全体質量中1質量%以下である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、油性基剤を主体とするものではないにも拘らず、油汚れに対して高い洗浄力を有するもので、特に水分を含んでもメイク汚れや皮脂汚れに対して高い洗浄力を有する。更には、すすぎが早く、すすぎ後の肌にさっぱりとした感触を付与するものである。
また、本発明によれば、優れた透明性を有する透明状クレンジング化粧料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0013】
まず、本発明の透明状クレンジング化粧料とは、30℃における透過率が90%以上のクレンジング化粧料である。透過率の測定は、「ND−300A」(日本電色社製)を用いて、C光源・2視野における精製水の透過率(Y値)を100%として測定する。
【0014】
本発明で用いられる(A)常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値が6以上12未満の非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0015】
これら非イオン性界面活性剤は、HLB値が6以上12未満であるものの中から選択されるが、HLB値が7以上10未満であることが更に望ましく、これらの中でも、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、透明性及び保存安定性に優れ、また優れたクレンジング力を有することから、特に好ましい。
具体的には、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(6)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(8)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(10)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(5)グリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、ポリオキシエチレン(5)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(7)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(8)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(12)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(6)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(8)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(5)ヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレン(5)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(
20)硬化ヒマシ油等が挙げられる。
本発明のクレンジング化粧料には、これら非イオン性界面活性剤を唯一種含有させることもできるし、2種以上を組み合わせて含有させることもできる。
【0016】
本発明のクレンジング化粧料には、上記非イオン性界面活性剤を、クレンジング化粧料全体質量中5.0〜15.0質量%含有することが重要で、更に好ましくは8.0〜12.0質量%が望ましい。これは、この含有量の範囲に於いて、良好な使用感と優れたクレンジング作用を発揮できるからである。
【0017】
本発明で用いられる(B)常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値が12以上18未満の非イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0018】
これら非イオン性界面活性剤は、HLB値が12以上18未満であるものの中から選択されるが、HLB値が13以上16未満であることが更に望ましく、これらの中でも、特にポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、優れたクレンジング力を有し、水洗時のさっぱり感にも優れることから、特に好ましい。
具体的には、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(25)グリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(50)グリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレン(60)グリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレン(60)グリセリル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(15)グリセリル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(20)グリセリル、ステアリン酸ポリオキシエチレン(30)グリセリル、ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(30)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(30)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(15)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレン(25)ペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン(50)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(80)硬化ヒマシ油等が挙げられる。
本発明のクレンジング化粧料には、これら非イオン性界面活性剤を唯一種含有させることもできるし、2種以上を組み合わせて含有させることもできる。
【0019】
本発明のクレンジング化粧料には、上記非イオン性界面活性剤を、クレンジング化粧料全体質量中5.0〜10.0質量%含有することが重要で、更に好ましくは6.0〜9.
0質量%が望ましい。これは、この含有量の範囲に於いて、優れたクレンジング作用を示すとともに、水洗時にさっぱりした感触を与えるからである。
【0020】
なお、HLBとは、親水性−親油性のバランス(Hydrophilic−Lypophilic Balance)を示す指標であり、本発明においては小田・寺村等による次式を用いて算出した値を用いている。
(式)HLB=(Σ無機性値/Σ有機性値)×10
【0021】
本発明で用いられる(C)多価アルコールとしては、特に限定されないが、具体的には、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トレハロース等が挙げられる。
これらの中でも、特にポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ソルビトールが使用感触の点から好ましく、更にプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールが洗浄力においてもより好ましい。
本発明のクレンジング化粧料には、これら非イオン性界面活性剤を唯一種含有させることもできるし、2種以上を組み合わせて含有させることもできる。
【0022】
また、本発明の透明状クレンジング化粧料には、上記多価アルコールを、クレンジング化粧料全体質量中20.0〜40.0質量%含有することが重要で、更に好ましくは25.0〜35.0質量%が望ましい。これは、この含有量の範囲に於いて、適度な粘性を持ち、皮膚塗布時にのびが良く、メイクなじみが優れている上、水洗時にさっぱりした感触を発揮できるからである。
【0023】
本発明の透明状クレンジング化粧料は、30℃における粘度が50〜1000cpsであることが重要で、更に好ましくは100〜600cpsが望ましい。これは、この粘度の範囲に於いて、皮膚塗布時にのびが良く、水洗時にさっぱりした感触が良好で、更には使用性やマッサージ性にも良い。
本発明に係る粘度は、ビスメトロン粘度計(ローターNo.1、12rpm)を用いて測定している。
【0024】
本発明の透明状クレンジング化粧料には、上記必須成分の他に所望により通常用いられる他の成分を適宜加えることができる。他の成分として、エデト酸塩等のキレート剤、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマ−等の水溶性高分子、カチオン化ポリマー等の使用性向上剤、ポリスチレン粉末等のスクラブ剤、紫外線吸収剤、染料、香料、パラベン類等の防腐剤、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、グリチルリチン、各種ビタミン等の薬剤を挙げることができ、これらを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0025】
本発明のクレンジング透明状化粧料は、油分がクレンジング化粧料全体質量中1質量%以下であることが、水洗時のさっぱり感を付与する点及び透明性の点で好適である。
上記油分とは、例えば流動パラフィン、スクワラン、液状の合成エステル油(イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン等)、植物油(オリーブ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油等)、シリコン油等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
本発明の透明状クレンジング化粧料は、常法に従って製造することができる。
また、本発明の透明状クレンジング化粧料は、顔面又は口唇等に適用することができ、
洗い流し用又は拭き取り用のいずれの形態にも用いることができるが、洗い流して使用することが好ましい。
【実施例】
【0027】
次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は、質量%である。
実施例に先立ち、評価方法について述べる。
【0028】
<粘度> 30℃における粘度を、ビスメトロン粘度計(ローターNo.1、12rpm)を用いて測定した。測定上限を超える場合は適宜ローターNo.2、3を用いて測定した。
【0029】
<透明度> 30℃における透明度を、「ND−300A」(日本電色社製)を用いて、C光源・2視野における精製水の透過率(Y値)を100%として測定した。
【0030】
<評価方法> 女性専門パネラー20名の顔面に市販の油性ファンデーションを塗布し、その30分後、実施例及び比較例のクレンジング化粧料約3gを用い、1分間、一定の力及び速さで顔面を手でマッサージし、その後水で洗い流した。その際の塗布時ののび、クレンジング力、すすぎの早さ、すすぎ後のさっぱり感の各項目を5段階評価し、更にその平均点から下記基準により判定した。
5段階評価
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:やや悪い
1点:悪い
【0031】
判定
◎:平均点が4.5点以上
○:平均点が3.5点以上、4.5点未満
△:平均点が2.5点以上、3.5点未満
×:平均点が2.5点未満
【0032】
<製法> すべての成分を加温、混合、均一攪拌した後に冷却し、調製した。
【0033】
実施例1〜9
表1に記載の配合組成よりなるクレンジング化粧料を調製し、評価を行った。
その結果を表1に併せて示した。
【0034】
【表1】

【0035】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1〜9のクレンジング化粧料は、いずれも優れた透明性を示すと共に、優れた性能を示していた。
【0036】
比較例1〜9
表2に記載の配合組成よりなるクレンジング化粧料を調製し、評価を行った。
その結果を表2に併せて示した。
【0037】
【表2】

【0038】
比較例1〜9では、透明度、塗布時ののび、クレンジング力、すすぎの早さ及びすすぎ後のさっぱり感のいずれかの特性が劣っており、本発明の目的を達成できなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含有し、30℃における粘度が50〜1000cpsであることを特徴とする透明状クレンジング化粧料。
(A)常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値が6以上12未満の非イオン性界面活性剤 5.0〜15.0質量%
(B)常温で液状、ペースト状あるいはワックス状でHLB値12以上18未満の非イオン性界面活性剤 5.0〜10.0質量%
(C)多価アルコール 20.0〜40.0質量%
【請求項2】
油分が1質量%以下である請求項1記載の透明状クレンジング化粧料。

【公開番号】特開2006−22061(P2006−22061A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202748(P2004−202748)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000000952)カネボウ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】