説明

透明積層フィルム

【課題】レリーフ透明ホログラムなどに使用される透明積層フィルムとして、高反射率、優れた透過性、最適な屈折率、輝度等を有し、特に、輝度と反射率のバランスがとれ、更に目視状態が改善された透明積層フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材11の少なくとも一方の面に形成された透明な酸化チタン層12を有する透明積層フィルム10において、透明酸化チタン層12の厚みが80〜120nmであり、平均粒径が10〜17nmであり、輝度が42〜56cd/mである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目視時に最適な輝度を有する透明積層フィルムに関し、さらに詳しくは、レリーフ透明ホログラムなどに用いる光反射性とバランスのとれた最適な輝度を有する透明積層フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明で反射率の高い反射層を設けることは、光学的用途に関して非常に重要である。例えば、意匠性や視認性を向上させるなどの用途が考えられる。その中でも、特に、回折格子やレリーフホログラムなどは、その特異な光輝意匠効果、及び製造の困難性によるセキュリティ性から、クレジットカード、キャッシュカードなどのカード類、本の表紙、レコードジャケットなどに形成されて使用される。ホログラムの記録方法には種々あるが、物体からの光の波面に相当する干渉縞を材料表面の微細な凹凸模様として記録するレリーフホログラムがある。該レリーフホログラムは、プレス技術により大量複製を容易に行うことができるので、上記用途に多く使用されている。
【0003】
レリーフホログラムの再生像を容易に観察するために、強い反射光強度が求められるが、一般的にレリーフホログラムのレリーフ層は合成樹脂で構成されているので、レリーフ形成面( 樹脂) と空気との屈折率差を有する界面での、反射光強度が小さく、従ってホログラムが見にくい。例えば、屈折率:n=1.5の樹脂でレリーフホログラムを形成した場合、レリーフ形成面での反射率:Rはフレネルの公式によりR=約4%と非常に低くなり、ホログラム効果は不十分である。そこで、レリーフホログラムが見やすくなる様に、レリーフホログラムのレリーフ面に高屈折率層で高光反射性の透明層が設けられる。
【0004】
特許文献1には、透明基材11の少なくとも一方の面に、組成がTiOxNyCz(x=1.0〜1.8、y=0.5〜1.0、z=0.3〜1.5)で、膜厚が10〜200nmで、屈折率が1.8〜2.6(波長λ=550nm)である透明な金属窒化酸化物層を有し、また、他の低屈折率層と交互に積層し、さらに、透明基材と金属窒化酸化物層との間に、レリーフ形成層を有し、さらにまた、拡散層又は光回折層を有することを特徴とし、透明かつ反射光強度が大きく、例えば十分なホログラム効果、光拡散効果、光回折効果を発揮させる高光反射性の透明積層フィルム、光拡散反射フィルム、光回折反射フィルムが開示されている。
【0005】
特許文献2には、ホログラム層と、ホログラム層上に形成された反射層とを有するホログラム積層体であって、上記ホログラム層が微粒子を含有しており、上記微粒子の屈折率が、上記ホログラム層中に含まれる他の成分の平均屈折率より小さいことを特徴とする、従来に比べ明るいホログラムの再生像を得ることができるホログラム積層体が開示されている。
【0006】
特許文献3には、少なくとも、ホログラムパターンを有するホログラム層、紫外可視光線透過率が10〜40%の黒色反射層、及び隠しパターンの蛍光印刷層からなり、好ましくは、上記黒色反射層の厚さが10〜30nmの金属チタン薄膜であることを特徴とし、通常は視認できない隠しパターンが紫外線の照射で視認できるので、セキュリティ性を向上させ、ホログラムの反射層が黒色なので、ギラギラせず高級イメージの黒色のホログラム、ホログラムラベル及びホログラム転写箔が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−119259号公報
【特許文献2】特開2005−55473号公報
【特許文献3】特開2007−72188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
レリーフ透明ホログラムなどに使用される透明積層フィルムには、高反射率、優れた透過性、最適な屈折率、輝度等が要求されるが、特に、輝度と反射率のバランスがとれて更に目視状態が改善された透明積層フィルムに対する要求が強まっている。
【0009】
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであり、高反射率にてばらつきの少ない最適な輝度を有し、目視状態が非常に良好な透明積層フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、目視状態が重要となるレリーフ透明ホログラム等に使用される透明な酸化チタン層を有する透明積層フィルムにおいては、透明性と高光反射率が求められ、その評価としては反射率、透過率、屈折率、輝度等のファクターがあるが、なかでも、視覚に最も影響する輝度、所謂、ギラギラの度合い、を重要視して評価するのが最適であり、特に、輝度のばらつきをなくして、その値を42〜56cd/mとすることにより、レリーフ透明ホログラム用の透明積層フィルムとして、反射率とのバランスがとれた優れた効果を発揮することを見出した。また、反射率が17〜27%であると最も輝度とバランスが取れることがわかった。
【0011】
輝度は物体表面の輝きの程度を表す量であり、光の発散面上のある点から観測方向に向かう光度を、その点を含む発散面の観測方向への正射影面積で割った値である。単位はカンデラ毎平方
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である。目で見た
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の強さは、見ているものの輝度に比例するので、輝度はものを見る際の基本的な量である。たとえば、レリーフ透明ホログラム中の文字或いは図柄を見る場合、レリーフ透明ホログラムからのピカピカした照り返しのない、グレアのない条件では、輝度が高くなるほど文字或いは図柄は見やすくなる。対比のあまりよくない文字或いは図柄を見る場合にはさらにこの傾向が顕著になる。
【0012】
本発明の透明積層フィルムは、透明基材の少なくとも一方の面に形成された透明な酸化チタン層を有する透明積層フィルムにおいて、前記酸化チタン層の厚みが80〜120nmであり、平均粒径が10〜17nmであり、輝度が42〜56cd/mである事を特徴とする。
輝度が42cd/m未満では、透明度は上がるが反射率が下がり、輝度が56cd/mを超えると、反射率は上がるが透明度は下がり、何れの場合もレリーフ透明ホログラム用の透明積層フィルムとして使用した場合の目視状態に支障が生じる。輝度は目視状況によりバラツキが大きく、これを42〜56cd/mに安定させるには、透明酸化チタン層の粒径を最適化、すなわち、平均粒径を10〜17nmとすることにより得ることが出来る。平均粒径が10nm未満では、輝度が56cd/mを超え、平均粒径が17nmを超えると、輝度が42cd/m未満となる。更に、平均粒径が狭い範囲で揃っていることの副次効果として層自体の耐候性も向上する。層厚は80〜120nmが最適であり、80nm未満では反射膜としての機能が低下し、120nmを超えると透明度が低下する。
【0013】
また、本発明の透明積層フィルムは、透明基材と透明な酸化チタン層との間にレリーフ形成層が設けられたことを特徴とする。反射率とバランスのとれた最適な輝度を有する透明な酸化チタン層により、レリーフ形成層の表面のホログラムが鮮やかに観察することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、反射率とのバランスのとれた最適な輝度を有し、目視状態が良好であり、特にレリーフ透明ホログラムに適した透明積層フィルムを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は本発明の第1実施形態の透明積層フィルムの模式図である。
【図2】図2は本発明の第2実施形態の透明積層フィルムの模式図である。
【図3】図3は本発明の実施に使用する電子ビーム加熱式蒸着装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1に示す第1実施形態の透明積層フィルム10は、透明基材11の少なくとも一方の面に形成された透明な酸化チタン層12を有する。透明基材11の厚みは15〜40μmであり、酸化チタン層12の厚みが80〜120nmであり、平均粒径が10〜17nmであり、輝度が42〜56cd/mであり、反射率が17〜27%である。
【0017】
透明基材11の材料としては、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、などのポリエステル系樹脂、ナイロン(ナイロン6)などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、又はポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、セロファン、セルローストリアセテートなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネート系樹脂、などがある。また、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(ポリマーアロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良く、延伸フィルムでも未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。通常は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系のフィルムが、機械的強度やコスト面から好適に使用され、ポリエチレンテレフタレートが最適である。
透明基材11の厚さは、2.5〜800μm程度が適用できるが、15〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
【0018】
酸化チタン層12は、透明基材11の少なくとも一方の表面に、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られた酸化チタン薄膜であり、層厚は80〜120nmであり、平均粒径は10〜17nmであり、輝度は42〜56cd/mであり、反射率は17〜27%である。
酸化チタン層12として最も重要となるのは輝度であり、輝度が42cd/m未満では、透明度は上がるが反射率が下がり、輝度が56cd/mを超えると、反射率は上がるが透明度は下がり、何れの場合もレリーフ形成ホログラム用の透明積層フィルムとして使用した場合の目視状態に支障が生じる。輝度はバラツキが大きく、これを42〜56cd/mに安定させるには透明な酸化チタン膜の粒径を最適化、すなわち、平均粒径を10〜17nmとすることにより得ることが出来る。平均粒径が10nm未満では、輝度が56cd/mを超えて上がり、平均粒径が17nmを超えると、輝度が42cd/m未満となる。更に、平均粒径が狭い範囲で揃っていることの副次効果として層自体の耐久性も向上する。層厚は80〜120nmが最適であり、80nm未満では反射膜としての機能が低下し、120nmを超えると透明度が低下する。
【0019】
この様な酸化チタン層12を製造する方法としては、図3に示す電子ビーム加熱式蒸着装置を使用することが好ましい。図3に示す電子ビーム加熱式蒸着装置50において符号51は真空容器であり、図示しない真空ポンプにより内部が減圧される。真空容器51の内部中央には、金属等からなる円筒状の冷却ドラム52が配置され、図示しない駆動装置により回転駆動される。冷却ドラム52の外周面の一部には、長尺のフィルム(透明基材)11がドラム周方向に向けて巻回され、アンコイラ53およびリコイラ54の間で連続走行されるようになっている。冷却ドラム52のフィルム巻回部と対向して蒸着材料保持部56が配置され、その内部には、蒸着すべきチタン化合物を構成するチタン蒸着材料58が収容されている。蒸着材料保持部56の側方には、電子銃等の電子ビーム発生機構(図示略)が配置され、この電子ビーム発生機構から電子ビームBが発生される。この電子ビームBは、蒸着材料保持部56の反対側に設置された磁界発生機構60が発生する磁界により曲げられてチタン蒸着材料58に照射され、電子ビームBにより蒸着材料58が加熱され、その蒸気Eが冷却ドラム2に向けて放射される。冷却ドラム52と蒸着材料保持部56との間には、蒸着範囲を規制するための隔壁66が設けられている。この隔壁66は、冷却ドラム52を収容する半円筒状部分66Aを有し、この半円筒状部分66Aの内周面と、冷却ドラム52のフィルム巻回部の外周面との間には一定の間隙が形成されている。半円筒状部分66Aには、蒸着材料保持部56と対向する位置に、長方形状の蒸気通過口68が冷却ドラム52の軸線方向に沿って形成されている。この蒸気通過口68はフィルム11の蒸着幅と同じ全長を有する。
【0020】
また、電子ビーム発生機構と同じ側には、ガス導入機構(図示略)のノズル70が配置され、このノズル70から真空容器51内に反応性ガスが導入されるようになっている。ノズル70は、フィルム11の蒸着幅程度の幅を有する帯状にガスを噴出するものであってもよいし、あるいはフィルム11の幅方向に一列に並んだ複数の噴出口を有し、これら噴出口からガスを一斉に噴出するものであってもよい。反応性ガスとしては、Ar,Ne,Kr,Xe,He,H,N,O,Fから選択される1種または2種以上のガスが使用可能である。ノズル70から放出された反応性ガスGは、電子ビームBの進路と交差し、またチタン蒸着材料58から放出されたチタン金属蒸気Eの流路とも交差するように進路を設定されている。このように進路を設定することにより、反応性ガスGは電子ビームBにより少なくとも一部がイオン化され、チタン金属蒸気Eと接触し結合する。
【0021】
次に、上記装置を用いた蒸着方法を説明する。真空容器51内を減圧しつつ、ノズル70から一定流量で反応性ガスGを噴出させ、真空容器51内の圧力を20〜800mPaで平衡させる。真空容器51内の平衡圧力が20mPa未満では反応性ガスイオン濃度が希薄になって反応効率が不十分になり、800mPaより高いと、チタン蒸着材料58から発生するチタン金属蒸気Eがガス分子Gにより平均自由行程が短くなり、緻密な蒸着膜が形成できなくなる。また、蒸着時にチタン金属蒸気Eは種々の不可避不純物を吸着するので、真空度が変化し易く、それに起因して蒸着粒子の粒径にばらつきが生じる。従って、粒径のばらつきを無くすには、真空容器51内の圧力を一定に保つ必要があり、その為には、蒸着雰囲気ガス中の水分の分圧を制御して、真空度を一定値に保持することが重要となる。水分の分圧は2mPa〜40mPa(1.5×10−5〜3.0×10−4Torr)が最適であり、この範囲を外れると真空度を一定にたもつことが難しくなる。
【0022】
一方、電子ビーム発生機構および磁界発生機構60を作動させ、チタン蒸着材料58に電子ビームBを照射して加熱し、ここから連続的にチタン金属蒸気Eを発生させるとともに、アンコイラ53からリコイラ54へとフィルム11を走行させる。すると、ノズル70から噴出した反応性ガスGは、電子ビームBと接触して電離し、反応性ガスイオンを含むガス流となったうえ、チタン蒸着材料58から放射状に放出されたチタン金属蒸気Eと接触する。反応性ガスイオンは高活性を有し、反応性に富むため、接触したチタン金属蒸気Eと直ちに結合し、チタン金属蒸気Eはチタン金属化合物の蒸気となり酸化チタン層22としてフィルム11に蒸着され、透明積層フィルム10が出来上がる。
【0023】
また、図2は第2実施形態を示しており、この第2実施形態の透明積層フィルム30は、透明基材11と、その少なくとも一方の面に形成された透明な酸化チタン層32との間に、酸化チタン層32の反射効果を活かすためにレリーフ形成層33が設けられている。図2は、レリーフ形成層33の表面に微細な凹凸レリーフ(機能表現では、例えばホログラム)が形成された透明レリーフホログラムの例を示す。そのレリーフホログラムは、レリーフ形成層33の表面に、物体からの光の波面に相当する干渉縞が微細な凹凸レリーフ(模様)として形成されている。その微細な凹凸レリーフ(ホログラム)の表面には、酸化チタン層32が凹凸模様の形に沿って形成されている。最適な輝度と反射率により、明るいホログラムが観察できるようになる。
【0024】
レリーフ形成層33の材料としては、ポリ塩化ビニル系、アクリル系(例、MMA)、スチレン系、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキ(メタ) アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂を硬化させたもの、或いは、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の混合物が使用可能である。
【0025】
レリーフ形成層33の形成方法としては、透明基体11に必要に応じて上記樹脂を溶剤へ溶解又は分散させてインキ化したものを用いて、公知のグラビア印刷法、ロールコーティング法、3本リバースロールコーティング法などの塗布方法で、乾燥後の厚さが0 .2〜10μmになるように、塗布し乾燥させて、レリーフ形成層3のための樹脂層を形成する。その樹脂層の表面へ凹凸レリーフを付型してレリーフ形成層33を作製する。レリーフ形成層3を作製した後、その表面に、図3に示す電子ビーム加熱式蒸着装置50を使用し、前記した第1実施形態の透明基体11に形成したのと同様な条件にて、層厚が80〜120nmであり、平均粒径が10〜17nmであり、輝度は42〜56cd/mであり、反射率が17〜27%である。酸化チタン層32を形成することにより、レリーフ形成層33を有するホログラム透明積層膜30が出来上がる。
【実施例1】
【0026】
図3に示す電子ビーム加熱式蒸着装置50にて、下記の条件にて、表1に示す様に、真空度、水分分圧を変えて試料を作成した。
フィルム:厚さ25μm、幅500mm、PET製
蒸着材料:チタン
蒸着膜厚:1000オングストローム
酸素導入圧力:1×10-1 Pa
電子ビーム発生機構:電子衝撃陰極式自己加速型電子銃(90゜偏向)
加速電圧:30kV
エミッション電流:2A
電子銃のスキャン幅:500mm
蒸着材料保持部56とフィルム11間の距離:250mm
冷却ドラム52の外径:400mm
フィルム11の走行速度:10m/分
【0027】
次に、得られた透明積層フィルムの酸化チタン層の厚み及び平均粒径、また、透明積層フィルムの輝度、反射度、目視状況、耐久性について測定した。
輝度は、(株)キーエンスMS−V21にて、試料中央部と試料端部における正面方向の輝度を測定した。
反射度は、日立分光光度計3900H(ダブルモノクロ、回折格子)を使用し、波長550nmでの反射率を測定した。
目視状況は、紫外線を照射し、試料中央部における正面方向から左右60度に渡る目視観察を行い、ギラギラがなくて見易く観察状態が良好なものを○、観察状態が不良なものを×とした。
耐候性については、JIS−K7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、紫外線を300時間照射後、反射性に著しい変化のないものを合格として○印、変化があったものを△、変化が著しいものを不合格として×印で示した。
得られた測定結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1から解るように本発明の透明積層フィルムは、高反射率にて最適な輝度を有し、目視状態が良好で、耐候性にも優れていることが解る。
【実施例2】
【0030】
厚さ25μmで幅500mmのPETフィルム上に、ポリ塩化ビニルを溶解したインキをグラビア印刷にて、乾燥後の厚さが5μm になるように、塗布し乾燥させて、レリーフ形成層を形成し、更に、その表面上に凹凸レリーフを賦型した。その後、図3に示す電子ビーム加熱式蒸着装置にて、下記の条件にて、表2に示す様に、真空度、水分分圧を変えて試料を作成した。
フィルム:厚さ25μm、幅500mm、PET製
蒸着材料:Ti
蒸着膜厚:1000オングストローム
酸素導入圧力:1×10-1Pa
電子ビーム発生機構:電子衝撃陰極式自己加速型電子銃(90゜偏向)
加速電圧:30kV
エミッション電流:2A
電子銃のスキャン幅:500mm
蒸着材料保持部56とフィルム11間の距離:250mm
冷却ドラム52の外径:400mm
フィルム11の走行速度:10m/分
【0031】
次に、得られた透明積層フィルムの酸化チタン層の厚み及び平均粒径、また、透明積層フィルムの輝度、反射度、目視状況、耐候性について測定した。
輝度は、(株)キーエンスMS−V21にて、試料中央部と試料端部における正面方向の輝度を測定した。
反射度は、日立分光光度計3900H(ダブルモノクロ、回折格子)を使用し、波長550nmでの反射率を測定した。
目視状況は、紫外線を照射し、試料中央部における正面方向から左右60度に渡る目視観察を行い、ギラギラがなくて見易く観察状態が良好なものを○、観察状態が不良なものを×とした。
耐候性については、JIS−K7350−4に定義された紫外線照射手法を用いて、紫外線を300時間照射後、反射性に著しい変化のないものを合格として○印、変化があったものを△、変化が著しいものを不合格として×印で示した。
得られた測定結果を表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
表2から解るように本発明の透明積層フィルムは、高反射率にて最適な輝度を有し、目視状態が良好で、耐久性にも優れていることが解る。
【符号の説明】
【0034】
10 透明積層フィルム
11 透明基材
12 酸化チタン層
30 透明積層フィルム
32 酸化チタン層
33 レリーフ形成層
50 電子ビーム加熱式蒸着装置
51 真空容器
52 冷却ドラム
53 アンコイラ
54 リコイラ
56 蒸着保持部
58 蒸着材料
66 隔壁
68 蒸気通過口
70 ノズル
B 電子ビーム
E 金属蒸気
G 反応性ガス流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の少なくとも一方の面に形成された透明な酸化チタン層を有する透明積層フィルムにおいて、前記透明酸化チタン層の厚みが80〜120nmであり、平均粒径が10〜17nmであり、輝度が42〜56cd/mである事を特徴とする透明積層フィルム。
【請求項2】
前記透明基材と前記酸化チタン層との間にレリーフ形成層が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の透明積層フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−93112(P2011−93112A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246607(P2009−246607)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000176822)三菱伸銅株式会社 (116)
【Fターム(参考)】