説明

透明紙用原紙及びその製造方法

【課題】ムラがなく、かつ高い透明性を有する透明紙原紙の製造方法を提供する。
【解決手段】それぞれがループをなす2つのワイヤー間に抄紙原料を吐出して紙層を形成するツインワイヤーフォーマーを用いて抄紙する工程を含んでおり、この抄紙工程のワイヤーパートにおける脱水をサクションロール及び/又はブレードにより行って湿紙を形成したのちに乾燥させた紙に、金属ロールと弾性ロールとからなる熱ソフトカレンダーを用いて平坦化処理を施し、原紙表裏面のJISP8119に準拠した平滑度を500秒以上1000秒未満、吸油度を20〜100秒とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透明紙用原紙及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、設計製図用のトレーシングペーパー、クッキーやチョコレート等油分の多い食品の包装紙、窓付封筒等に用いられる透明紙用原紙及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース繊維を主成分とする、いわゆる紙製の透明紙は、近年の環境保護意識の高まりから各種包材の分野において従来の透明フィルムに代わるものとして注目されている。
このような透明紙としては、従来より、パルプを極端に叩解した原料を用いて抄紙した後、強スーパーカレンダー処理をして繊維間を密着させることで、パルプ繊維内やシート内の空気を排除したものがある(従来技術A。例えば、特許文献1参照)。
また、濾水性や叩解動力の削減に注目したものとして、高分子材料や微細繊維化パルプ等の、繊維間及び繊維内空隙を埋めるための材料をパルプに混合して抄紙した透明紙が知られている(従来技術B。例えば、特許文献2参照)。
【0003】
さらに、透気度の低い原紙を選択したり、あまり叩解をせずに基紙を製造し、その後ウレタンやポリビニルアルコール等を含む透明化剤で前記原紙や基紙を処理したものも知られている(従来技術C。例えば、特許文献3〜4参照)。
また、合成樹脂等を有機溶剤に溶解した透明化剤は、水系の透明化剤に比べ、高濃度で低粘度の溶解液を容易に得ることができ、かつ基紙への浸透性も大きく、高い透明性が得られるが、環境保護を背景としたフィルムからの代替物としての紙製の透明紙においては、環境に優しい水系の透明化剤で優れた透明性を実現することが理想的である。そこで、このような水系の透明化剤を用いて基紙を処理することも提案されている(従来技術D。例えば、特許文献5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−209586号公報
【特許文献2】特開平8−188980号公報
【特許文献3】特開平2−277899号公報
【特許文献4】特開平5−247896号公報
【特許文献5】特開2003−306895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術Aにおけるパルプの強度叩解による透明化は、紙の引張強度、破裂強度及び透明度は向上するが、反面、引裂き強度及び寸法安定性が低下するという問題がある。また、叩解工程が煩雑になったり、抄紙時の脱水性が著しく悪化する等生産性においても不利な点が多く、この方法のみでさらに透明性を向上させるのは困難である。
また、高分子材料等で繊維間及び繊維内空隙を埋める従来技術Bは、得られる透明性に限界があり、かつ透明性にムラが生じやすいという問題がある。
【0006】
一方、合成樹脂等を有機溶剤に溶解した透明化剤を用いる従来技術Cは、基紙に対する透明性の向上率は高いものの、得られる透明性には限界があり、紙越しに文字やバーコードが読み取れることが要求されるような用途には使用困難である。
さらに、水系の透明化剤を用いる従来技術Dは、環境に優しい技術であるが、近年のコンピュータ化に伴うOCR適性を有する、透明性にムラがない透明化を得るには依然として不十分な状態である。
【0007】
本発明者は、このような従来技術の問題点に鑑み、ムラが極めて少ない透明紙を得るべく鋭意研究を重ねた結果、透明度ムラの原因が原紙の紙層における不均質性にあり、如何に均質な層構成をもたせるかが重要なポイントであることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の目的は、ムラがなく、かつ高い透明性を有する透明紙用原紙及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の透明紙用原紙の製造方法は、それぞれがループをなす2つのワイヤー間に抄紙原料を吐出して紙層を形成するツインワイヤーフォーマーを用いて抄紙する工程を含んでおり、この抄紙工程のワイヤーパートにおける脱水をサクションロール及び/又はブレードにより行って湿紙を形成したのちに乾燥させた紙に、金属ロールと弾性ロールとからなる熱ソフトカレンダーを用いて平坦化処理を施し、原紙表裏面のJIS P 8119に準拠した平滑度を500秒以上1000秒未満、吸油度を20〜100秒とすることを特徴としている。
【0009】
金属ロールと弾性ロールとからなる熱ソフトカレンダーを用いて表面仕上げ(平坦化処理)を行うことで、紙層間の繊維配向を均一化することができる。これにより、透明化剤が均等に紙に含浸し、その結果ムラのない高い透明性を得ることができる。
【0010】
前記ワイヤーパートにおける脱水を、サクションロールで行ったのちにブレードで行うのが好ましい。ツインワイヤーフォーマーのワイヤーパートでの脱水をサクションロールにて緩やかに行うことで、微細繊維を湿紙中に留め、さらにブレードによる脱水をすることで紙層内の繊維の均質性を高めることができる。これにより、透明度のムラをさらに減少させることができる。
【0011】
前記熱ソフトカレンダーは、それぞれが1つのニップを有する、少なくとも2つのスタックから構成されており、前記金属ロールのJIS B0601に準拠した表面粗さが2.5〜4.5μmであり、かつ前記弾性ロールのショアーD硬さが90以上であるのが好ましい。金属ロールの表面粗さが2.5μm未満であると、平滑度500秒以上の平滑度が得がたく、また4.5μmを超えると、平滑度1000秒に至る十分な平滑性を得ることができない。また、弾性ロールのショアーD硬さが90未満であると、弾性ロールが柔らかすぎて、吸油度20〜100秒を維持しながら高い平滑性を得ることができなくなる惧れがある。
【0012】
また、前記熱ソフトカレンダーの下段ロールに使用される金属ロールの表面粗さが、初段と同等であるか、又は初段のものより多くとも2.0μmの範囲内で粗くなるように設定されており、かつ各金属ロールと弾性ロール間のニップ圧が400〜500N/mmに設定されているのが好ましい。下段の金属ロールの表面粗さを前記のようにすることで、段階的に原紙表面の平坦性を向上させることが可能になり、嵩を犠牲にすることなく平滑性を得ることができる。また両ロール間のニップ圧が400N/mm未満であると、十分な平滑性を得ることができず、一方、500N/mmを超えると、紙に対する温度負荷が大きくなりすぎ、黄変化が生じ易くなる。
【0013】
さらに、前記金属ロールの加熱を、電磁誘導作用を利用した、ロール幅方向に温度制御可能な内部加熱装置にて行い、当該金属ロールの表面温度が130℃以上の状態で平坦化処理を施すことができる。表面温度が130℃以上の金属ロールで平坦化処理をすると、紙の嵩高性を維持しつつ表面だけを平滑にすることができる。ただし、この表面温度が高すぎると、紙の黄変化が生じ易くなるため、通常は180℃程度以下に設定される。
【0014】
本発明の透明紙用原紙は、0.6μm以上でありかつ1.5μm以下の粒度のカオリンを含有する抄紙原料を、それぞれがループをなす2つのワイヤーを備えたツインワイヤーフォーマーの、当該2つのワイヤー間に吐出して抄紙することで得られる透明紙用原紙であって、抄紙する工程のワイヤーパートにおける脱水をサクションロール及び/又はブレードにより行って湿紙を形成したのちに乾燥させた紙に、金属ロールと弾性ロールとからなる熱ソフトカレンダーを用いて、JIS P8119に準拠した平滑度が500秒以上1000秒未満で吸油度が20〜100秒になるように平坦化処理を施したことを特徴としている。
【0015】
0.6μm以上でありかつ1.5μm以下の粒度のカオリンを抄紙原料に含有させることにより、紙層の構成を密に、かつ均質に調整することができ、均質な透明性を得ることができる。また、平滑度が500秒以上1000秒未満で吸油度が20〜100秒になるように平坦化処理を施すことで、一定レベルの嵩高性を維持しつつ、表面が平滑な紙を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、透明度ムラが生じない、透明性の高い透明紙が得られると共に、効率よく透明紙用原紙を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の透明紙用原紙及びその製造方法の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、抄紙工程においてツインワイヤーフォーマーを用いているが、このツインワイヤーフォーマーは、近年のビジュアル化の流れの中で、表裏均質な印字品質を確保するために長網フォーマーに代わり多用されつつある。長網フォーマーのワイヤー上にトップワイヤーを設置してオントップタイプ化することにより、長網フォーマーからオントップタイプのツインワイヤーフォーマーへ改造することができ、これにより従来の片面脱水による紙の表裏の特性差の問題を抑制することが可能になる。また、ツインワイヤーフォーマーで抄紙することによって、ワイヤー上での原料の自由挙動を抑えることができると共に、ワイヤー間の原料に加える脱水圧力の最適化が可能となるため原紙の地合も向上する。
【0018】
しかしながら、ヘッドボックスを出た原料に対して直ちに両ワイヤー面側から強力な脱水を行うと、ワイヤーに接する湿紙表面の微細繊維の抜けによって原料のリテンションが低下したり、両ワイヤー面からの脱水比率の差によっては表面側と裏面側の紙層の構成に差が生じることがある。そのため、単にツインワイヤーフォーマーで抄紙しただけの原紙は透明紙の製造には不向きであり、透明度ムラを改善するには至らない。
また、ツインワイヤーフォーマー直後のワイヤーパートでの脱水において、脱水ブレードによるパルス力で湿紙層にマイクロタービュランスを与えて繊維の分散を推進し、地合を向上させることで透明性を向上させる試みもなされているが、湿紙内部への微細なパルス力により、湿紙内部の微細な繊維が抜け出し、湿紙の内部構成に粗密が生じるという問題がある。
【0019】
そこで、本実施の形態では、ツインワイヤーフォーマー直後のワイヤーパートでの脱水を、サクションロールを用いて緩やかに行うことで微細繊維を湿紙中に留め、その後ブレードによる脱水を行うことで、紙層内の繊維の均質性を高めるようにしている。
こうして脱水された湿紙は、通常のプレスパート及びドライヤーパートを経ることにより、さらに脱水、乾燥が行われる。
【0020】
乾燥された原紙に対し、例えばブレードコータ、バーコータ、ロールコータ等を用いて透明化剤が塗布される。透明化剤としては、例えばポリビニルアルコールやウレタン樹脂等を有機溶剤に溶解したものを用いることができるが、環境保護の点からは、例えば特許文献5に記載されている、(3−n)個のRを有するモノアミン1モルにAOなるアルキレンオキサイドをn×mモル付加させ、その末端をZにした化合物等の水系の透明化剤を用いるのが好ましい。
【0021】
表面に透明化剤が塗布された原紙は、当該透明化剤の含浸を均等に行うと共に、OCRリーダーにおける読み取りエラーを防止するべく透明化原紙の緊度変化を抑えつつ表面平滑性を向上させるために、熱ソフトカレンダーによる平坦化処理が施される。
前記熱ソフトカレンダーは、金属ロールと弾性ロールとからなっており、通常、金属ロールを100℃以上に加温して用紙を加圧し、用紙の表面を平滑にするのに用いられる。この熱ソフトカレンダーを用いれば、従来のスーパーカレンダーと比較して少ないニップ数(従来のスーパーカレンダーのニップ数10〜14に対し2〜4程度のニップ数)で高い表面平滑性及び印刷光沢を得ることができ、さらに製品の剛度も相対的に高い値に維持できるという利点を有している。これは、加熱された金属ロールと弾性ロールとで形成されるニップを通過する間に、用紙表面を高温下の金属ロールと弾性ロールとに面接触させることにより、極表面だけを瞬時に平坦化できるため、少ないニップ数で内部の原紙層を比較的嵩高に保持することができるからである。
【0022】
前記熱ソフトカレンダーは、それぞれが1つのニップを有する、少なくとも2つのスタ
ックから構成されており、このスタックの数は、目標とする平滑度等に応じて適宜選定することができるが、スタックの数が多くなると、紙に対する温度負荷が大きくなりすぎ、黄変化が生じ易くなるとともに、過剰設備ともなるので、通常は2〜4である。
前記金属ロールとしては、例えばチルドロール、合金チルドロール、鋼鉄ロール、更にはロール表面に硬質クロムをメッキした金属ロール等を用いることができ、また弾性ロールとしては、例えば天然ゴム、スチレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、クロロスルホン化エチレンゴム、ブチルゴム、多硫化ゴム,シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のゴムや、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート等の合成樹脂等からなるロールを用いることができる。
【0023】
前記金属ロールの表面粗さは、JIS B0601に準拠して求められる値が2.5〜4.5μmであるのが好ましい。表面粗さが2.5未満であると平滑度500秒以上の平滑度が得がたく、一方、4.5を超えると平滑度1000秒に至る十分な平滑性を得ることができない。また、原紙表面の凹凸による光の乱反射が生じ、透明性を妨げる要因になる問題を発現するので、2段目以降に使用される金属ロールの表面粗さは、初段と同等であるか、又は初段のものより多くとも2.0μmの範囲内で粗くなるように設定するのが好ましい。
【0024】
金属ロールの加熱は、例えば金属ロール内部に温水や油を循環させることにより行うこともできるが、ロールの幅方向の表面温度の制御を高精度に行うことができるので、電磁誘導作用を利用した、ロール幅方向に温度制御可能な内部加熱装置にて行うのが好ましい。この内部加熱装置を備えた金属ロールの例としては、トクデン株式会社製のジャケットロール(登録商標)をあげることができる。前記金属ロールの表面温度は、紙の嵩高性を維持しつつ表面だけを平滑にするために130℃以上に設定し、この状態で平坦化処理をするのが好ましい。ただし、この表面温度が高すぎると、紙の黄変化が生じ易くなるため、通常は180℃程度以下に設定される。
【0025】
前記弾性ロールは、ショアーD硬さが90以上であるのが好ましく、90未満であると弾性ロールが柔らかすぎて、高い平滑性が得られなくなる惧れがある。特に抄速が800m/分以上の速度で抄造する場合は、原紙に加えられる効果が希薄になる。
また、各金属ロールと弾性ロール間のニップ圧は400〜500N/mmに設定するのが好ましい。両ロール間のニップ圧が400N/mm未満であると、十分な平滑性を得ることができず、一方、500N/mmを超えると、紙に対する温度負荷が大きくなりすぎ、黄変化が生じ易くなる。場合によっては、処理後にクーリングロールやエアー設備を用いて冷却する必要が生じる。
【0026】
以上のような熱ソフトカレンダーを用いて表面仕上げを行うことで、透明化剤を均等に紙層に含浸させることができ、高い透明性を得ることができる。この熱ソフトカレンダーによる平坦化処理の目安として、JIS P8119に準拠した平滑度が500秒以上1000秒未満になることを挙げることができる。平滑度が500秒未満であると平滑性が不十分であり、一方、1000秒を超えると嵩高性が小さくなって緊度が大きくなりすぎるので好ましくない。
【0027】
また、抄紙原料中に0.6μm以上でありかつ1.5μm以下の粒度のカオリンを含有させることで、透明性をさらに向上させることができる。このカオリンは、機械的(例えば、サンドミル、アトライター、ボールミル等により湿式粉砕又は乾式粉砕する)又は化学的(例えば、水又はアルカリ水溶液で加熱、加圧処理する)処理によって粒度分布を調整したものであり、紙層の構成を密に、かつ均質にすることができる。
【実施例】
【0028】
次に本発明の透明紙用原紙の製造方法の実施例を説明するが、本発明はもとよりかかる実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
NBKP25重量%、LBKP70重量%及び古紙パルプ5重量%からなる原料パルプに、粒度分布が0.7から1μmのカオリンをパルプに対して7.5重量%及び歩留り向上剤(ナルコケミカル社製のナルコ625(商品名))をパルプに対して0.4重量%を添加し、標準離解機を用いて抄紙原料パルプを調製した。
得られた抄紙原料パルプをツインワイヤーフォーマーの2つのワイヤー間に吐出し、ツインワイヤーフォーマー直後のワイヤーパートにおいてサクションロール及びブレードの順で脱水処理をして湿紙を形成した。この湿紙を乾燥させた後、金属ロールと合成樹脂からなる弾性ロールとを有する熱ソフトカレンダーを用いて平坦化処理を行った。その際、金属ロールとしてジャケットロールを用いて金属ロールの表面温度が140℃になるように加熱すると共に、ショアーD硬度が94の弾性ロールにて平坦化処理することにより、JIS P8119に準拠した平滑度が800秒で、吸油度が40秒になるように平坦化処理を施し、坪量100g/mの透明紙用原紙を得た。
[実施例2〜4]
カオリンの粒度分布、吸油度及び平滑度を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様にして透明紙用原紙を製造した。
[比較例1〜6]
カオリンの粒度分布、吸油度及び平滑度を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様にして透明紙用原紙を製造した。
[比較例7]
熱ソフトカレンダーに代えてスーパーカレンダー(ニップ数=8段、ニップ圧=300N/mm)を用いて平坦化処理を行った以外は実施例1と同様にして透明紙用原紙を製造した。
実施例及び比較例についてJIS S 8138(1976)に準じ、不透明度(%)を測定した。この数値が小さいほど、透明性が良好である。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
表1より、本発明の透明紙用原紙(実施例1〜4)は、十分な透明性を有していることが分かる。また、透明度のムラについて、目視にて観察したところ、実施例1〜4では全く又はほとんどムラを確認することができなかったが、比較例、特に比較例6では原紙全体に亘りムラが存在していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがループをなす2つのワイヤー間に抄紙原料を吐出して紙層を形成するツインワイヤーフォーマーを用いて抄紙する工程を含んでおり、この抄紙工程のワイヤーパートにおける脱水をサクションロール及び/又はブレードにより行って湿紙を形成したのちに乾燥させた紙に、金属ロールと弾性ロールとからなる熱ソフトカレンダーを用いて平坦化処理を施し、原紙表裏面のJIS P 8119に準拠した平滑度を500秒以上1000秒未満、吸油度を20〜100秒とすることを特徴とする透明紙用原紙の製造方法。
【請求項2】
前記脱水を、サクションロールで行ったのちにブレードで行う請求項1に記載の透明紙用原紙の製造方法。
【請求項3】
前記熱ソフトカレンダーは、それぞれが1つのニップを有する、少なくとも2つのスタックから構成されており、前記金属ロールのJIS B0601に準拠した表面粗さが2.5〜4.5μmであり、かつ前記弾性ロールのショアーD硬さが90以上である請求項1〜2のいずれかに記載の透明紙用原紙の製造方法。
【請求項4】
前記熱ソフトカレンダーの下段ロールに使用される金属ロールの表面粗さが、初段と同等であるか、又は初段のものより多くとも2.0μmの範囲内で粗くなるように設定されており、かつ各金属ロールと弾性ロール間のニップ圧が400〜500N/mmに設定されている請求項3に記載の透明紙用原紙の製造方法。
【請求項5】
前記金属ロールの加熱を、電磁誘導作用を利用した、ロール幅方向に温度制御可能な内部加熱装置にて行い、当該金属ロールの表面温度が130℃以上の状態で平坦化処理を施す請求項1〜4のいずれかに記載の透明紙用原紙の製造方法。
【請求項6】
0.6μm以上でありかつ1.5μm以下の粒度のカオリンを含有する抄紙原料を、それぞれがループをなす2つのワイヤーを備えたツインワイヤーフォーマーの、当該2つのワイヤー間に吐出して抄紙することで得られる透明紙用原紙であって、
抄紙する工程のワイヤーパートにおける脱水をサクションロール及び/又はブレードにより行って湿紙を形成したのちに乾燥させた紙に、金属ロールと弾性ロールとからなる熱ソフトカレンダーを用いて、JIS P8119に準拠した平滑度が500秒以上1000秒未満で吸油度が20〜100秒になるように平坦化処理を施したことを特徴とする透明紙用原紙。

【公開番号】特開2006−138042(P2006−138042A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330024(P2004−330024)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】