説明

透析システムおよび方法

本開示は、一般に、透析システムおよび関連する方法に関する。本発明の一態様では、透析システムは、医療流体がそこを通って流れるように構成されるデバイスを含み、デバイスは、医療流体がデバイスを通って流れるときに、医療流体から1つまたは複数の物質を除去するように適合される。透析システムはまた、医療流体のナトリウム濃度を変化させるように適合されたナトリウム制御システムを含みうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、透析システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腎障害または不全、特に、末期腎疾患は、水およびミネラルを除去し、有害な代謝物を排泄し、酸塩基平衡を維持し、電解質およびミネラル濃度を生理的範囲内に制御する能力を身体が失うようにさせる。尿素、クレアチニン、および尿酸を含む有毒な尿毒症性老廃代謝物は、身体の組織内に蓄積し、腎臓のろ過機能が置換されない場合、人の死をもたらす可能性がある。
【0003】
一般に、透析が使用されて、これらの老廃物毒素および過剰の水分を除去することによって腎臓機能を置換する。1つのタイプの透析処置−血液透析では、毒素は、血液透析機械において外部で患者の血液からろ過される。血液は、患者から、外部供給される大量の透析溶液から半浸透性膜によって分離された透析器を通して流れる。老廃物および毒素は、血液から透析され、半浸透性膜を通って透析溶液内に入り、その後、廃棄される。
【0004】
血液透析処置は、通常、診療所で行われる。その理由は、血液透析機械が、一般に、連続水供給源、逆浸透性機械、ならびに、1回の処置中に使用さる大量の水および透析溶液を廃棄するための排出ラインを必要とするからである。血液透析処置は、臨床職員の監督下で、週に3回または4回実施されなければならず、こうした要件は、患者の自立性および生活の質を著しく低下させる。
【0005】
いくつかのデバイスは、廃棄するのと対照的に、血液透析および/または腹膜透析からの使用された透析溶液を元に戻す。透析溶液は、溶液から尿素をなくすデバイスを使用する機械において再生されうる。たとえば、初代のRedy(登録商標)(REcirculating DYalysis)吸着剤システム(非特許文献1)は、5層を有する吸着剤カートリッジを含み、その5層を通って、尿毒症性老廃代謝物を含有する透析溶液が流れて、再生される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Blumenkrantz等、Artif Organs 3(3):230−236,1978
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様では、透析システムは、透析溶液がそこを通って流れるように構成されるデバイスと、デバイスに接続される流体ラインと、流体ラインに連通するナトリウム制御システムとを含む。デバイスは、透析溶液がデバイスを流れるときに、透析溶液から1つまたは複数の物質を除去するように適合される。流体ラインは、デバイスを出る溶液が流体ラインを流れるように配置される。ナトリウム制御システムは、流体ラインを流れる溶液のナトリウム濃度を変化させるように適合される。
【0008】
本発明の別の態様では、透析装置は、デバイスを保持するように構成されるモジュールを含み、デバイスは、透析溶液が、透析機械を出た後にデバイスを流れるときに、透析溶液から1つまたは複数の物質を除去するように適合される。モジュールは、透析機械に着脱可能に連通接続するように構成される。
【0009】
本発明のさらなる態様では、方法は、使用済み透析溶液を、デバイスを通して流すことによって、使用済み透析溶液から1つまたは複数の物質を除去する工程、および、デバイスを出る溶液のナトリウム濃度を変化させる工程を含む。
【0010】
本発明のなお別の態様では、方法は、使用済み透析溶液を、デバイスを通して流すことによって、使用済み透析溶液から1つまたは複数の物質を除去する工程、および、デバイスを出る溶液から1つ以上のガスを除去する工程を含む。
【0011】
本発明のさらなる態様では、方法は、新しい透析溶液を、患者が接続される透析機械を通して流すことにより、使用済み透析溶液を形成する工程、使用済み透析溶液を容器内に収集する工程、および、患者の処置を終了した後、使用済み透析溶液の少なくとも一部分を容器から除去する工程を含む。
【0012】
本発明の別の態様では、方法は、接続ラインによって流体ラインに接続された容器から、流体を流体ラインに移動させる工程、および、流体が接続ライン内に存在するかどうかを検出する工程を含む。
【0013】
実施形態は、以下の特徴の1つまたは複数を含みうる。
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、流体ライン内に希釈液(たとえば水)を導入するように適合される。
【0014】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、希釈液を含む容器を含み、ナトリウム制御システムは、さらに、希釈液を容器から流体ラインへ移動させるように配置されたポンプを含む。
【0015】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、ナトリウム(たとえば塩化ナトリウム溶液)を流体ライン内に導入するように適合される。
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、ナトリウム溶液を含む容器を備え、ナトリウム制御システムは、負圧を使用してナトリウム溶液を前記容器から流体ラインへ引き込むように適合される。
【0016】
一部の実施形態では、流体ラインは、容器から延びるラインが接続されるベンチュリ管を含む。
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、ナトリウム溶液を含有する容器を含み、ナトリウム制御システムは、さらに、ナトリウム溶液を容器から流体ラインへ移動させるように配置されたポンプを備える。
【0017】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、さらに希釈液源を含み、ポンプは、希釈液を希釈液源からから流体ラインへ移動させるように配置される。
一部の実施形態では、希釈液源は、加圧された希釈液を含有する流体ラインである。
【0018】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、さらに、ナトリウム溶液および希釈液の流体ラインへの移動を制御するように作動されうる1つまたは複数の弁を含む。
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、希釈液およびナトリウムを流体ライン内に導入するように適合される。
【0019】
一部の実施形態では、透析システムは、さらに、流体ラインを流れる前記溶液の導電率を測定するように適合された導電率計を含み、その導電率計は、ナトリウム制御システムに連通する。
【0020】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、導電率計の出力信号に基づいて流体ラインを流れる溶液のナトリウム濃度を変化させるように適合される。
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、導電率計の出力信号が所定の導電率を超える導電率を示す場合、流体ラインを流れる溶液のナトリウム濃度を減少させるように適合される。
【0021】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、導電率計の出力信号が所定の導電率未満の導電率を示す場合、流体ラインを流れる溶液のナトリウム濃度を増加させるように適合される。
【0022】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、樹脂含有カラムを含む。
一部の実施形態では、樹脂は、強酸と強塩基の組合せである。
一部の実施形態では、デバイスは吸着剤カートリッジである。
【0023】
一部の実施形態では、吸着剤カートリッジは水を浄化し、かつ/または、使用済み透析溶液を再生することが可能な少なくとも1つの材料層を含む。
一部の実施形態では、吸着剤カートリッジの層は、炭酸ジルコニウムナトリウムを含む。
【0024】
一部の実施形態では、透析システムは、さらに、透析溶液を保持する二重区画リザーバを含む。
一部の実施形態では、二重区画リザーバは、使用済み透析溶液用の第1リザーバおよび新しい透析溶液用の第2リザーバを含む。
【0025】
一部の実施形態では、第1リザーバは第2リザーバより大きい。
一部の実施形態では、透析システムは、さらに、入力ラインおよび出力ラインを含む。入力および出力ラインは第2リザーバに連通する。入力ラインは新しい透析溶液を第2リザーバ内に送出するように配置され、出力ラインは第2リザーバから新しい透析溶液を除去するように配置される。
【0026】
一部の実施形態では、透析システムは、さらに、入力/出力ラインを含む。入力/出力ラインは第2リザーバに連通する。入力/出力ラインは、新しい透析溶液を第2リザーバ内に送出し、第2リザーバから新しい透析溶液を除去するように配置される。
【0027】
一部の実施形態では、透析システムは、さらに流体ラインに連通する注入剤システムを含む。注入剤システムは、注入剤溶液を流体ライン内に導入するように適合される。
一部の実施形態では、注入剤溶液は、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムを含む。
【0028】
一部の実施形態では、透析システムは、さらに、透析溶液の流量を検出するように配置された流量計を含み、注入剤システムは、透析溶液の流量に基づいて注入剤溶液を流体ライン内に導入するように適合される。
【0029】
一部の実施形態では、流量計は、デバイスの上流に配置される。
一部の実施形態では、透析システムは、透析機械に連通するように接続されたモジュールを備える。
【0030】
一部の実施形態では、モジュールは、ナトリウム制御システムの少なくとも一部分を備え、デバイスは、モジュールに連通するように接続される。
一部の実施形態では、モジュールは、透析機械に電気接続される。
【0031】
一部の実施形態では、モジュールは、デバイスを保持するように構成される。
一部の実施形態では、モジュールはデバイスホルダを備え、デバイスホルダは、第1構成において、流体がデバイス内を流れるように、また、第2構成において、流体がデバイス内を流れることなく、デバイスホルダの第1の部分からデバイスホルダの第2の部分に流れるように配置されうる。
【0032】
一部の実施形態では、デバイスはデバイスホルダから取外され、デバイスホルダが第2構成にあるとき、デバイスホルダの第1および第2の部分はデバイスホルダの背部に向かって折畳まれる。
【0033】
一部の実施形態では、透析機械は血液透析機械である。
一部の実施形態では、モジュールは、さらに、透析溶液のナトリウム濃度を変化させるように適合されたナトリウム制御システムを含む。
【0034】
一部の実施形態では、ナトリウム制御システムは、透析溶液がデバイス内を流れた後に透析溶液のナトリウム濃度を変化させるように配置される。
一部の実施形態では、モジュールは、さらに、注入剤溶液を透析溶液内に導入するように適合された注入剤システムを含む。
【0035】
一部の実施形態では、注入剤溶液は、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムを含む。
一部の実施形態では、注入剤システムは、透析溶液がデバイス内を流れた後に注入剤溶液を透析溶液内に導入するように配置される。
【0036】
一部の実施形態では、注入剤システムは、注入剤溶液を含有する容器を含み、注入剤システムは、負圧を使用して注入剤溶液を容器から流体ラインへ引き込むように適合される。
【0037】
一部の実施形態では、流体ラインは、容器から延びるラインが接続されるベンチュリ管を含む。
一部の実施形態では、モジュールは、モジュールが透析機械と連通するように接続されると、透析溶液をモジュールから透析機械に移動させるように適合されたポンプを含む。
【0038】
一部の実施形態では、モジュールは、複数の異なる透析機械の任意の機械に着脱可能に連通接続されうる。
一部の実施形態では、モジュールは、複数の異なる透析機械の任意の機械に着脱可能に電気接続されうる。
【0039】
一部の実施形態では、方法は、さらに、デバイスから出る溶液のナトリウム濃度を変化させた後に、デバイスから出る溶液を透析機械内に流す工程を含む。
一部の実施形態では、デバイスは、モジュールに連通するように接続され、モジュールは、透析機械に着脱可能に連通接続される。
【0040】
一部の実施形態では、方法は、さらに使用済み透析溶液を透析機械からデバイスへ移動させる工程を含む。
一部の実施形態では、使用済み透析溶液は、透析機械からリザーバに移動し、次に、リザーバからデバイスに移動する。
【0041】
一部の実施形態では、方法は、さらにデバイスを出る溶液内に注入剤溶液を導入する工程を含む。
一部の実施形態では、方法は、さらに使用済み透析溶液の流量を検出する工程を含み、注入剤溶液は、使用済み透析溶液の検出された流量に基づいて溶液内に導入される。
【0042】
一部の実施形態では、方法は、さらに使用済み透析溶液を除去した後に容器を廃棄する工程を含む。
一部の実施形態では、方法は、さらに接続ライン内に流体が存在しない場合、表示器(たとえば、可聴式表示器および/または可視的表示器)を起動させる工程を含む。
【0043】
実施形態は、以下の利点の1つまたは複数を含みうる。
一部の実施形態では、透析システムは、家庭環境内で使用されうる。特に、吸着剤カートリッジが、水道水からの透析液の調製を可能にし、使用済み透析液が再循環されることを可能にするため、透析システムは、大量の水または透析溶液へのアクセスを必要としないか、高価な逆浸透性デバイスを必要としないか、あるいは、特別な配管または配線を必要としない。そのため、透析システムは、いくつかの以前のシステムと比較して、家庭内での使用をより実用的にする。
【0044】
一部の実施形態では、透析システムは、透析溶液内のナトリウムレベルを制御する。ある実施形態では、たとえば、使用済み透析溶液は、透析溶液から毒素を除去し、同時に、ナトリウムを除去する吸着剤カートリッジ内を流れる。透析システムは、透析溶液内にナトリウム(たとえば、塩化ナトリウム(NaCl))を送出して、ナトリウムレベルを所望範囲内に維持するデバイスを吸着剤カートリッジから下流に含みうる。透析溶液内のナトリウムレベルを所望範囲内に維持することは、患者の血液内のナトリウムレベルが増加または減少することにより患者が経験する不快感を軽減させるのに役立ちうる。
【0045】
ある実施形態では、モジュールは、再生された透析液を形成するために、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムなどの一定の物質を、吸着剤カートリッジから出る流体内に送出するように適合されたシステムを含む。使用中にモジュールが接続される透析機械とは対照的に、モジュール内にこのシステムを設けることによって、モジュールと透析機械との間の電気接続の数が減少させることができる。これにより、電気接続エラーの可能性を低減することが可能である。
【0046】
一部の実施形態では、透析システムは、吸着剤カートリッジマウントを含み、吸着剤カートリッジマウントは、流体が、吸着剤カートリッジマウント内に配設される吸着剤カートリッジ内を流れることを可能にするか、または、吸着剤カートリッジ内を流れることなく、吸着剤カートリッジホルダ内に直接流れることを可能にする。結果として、透析システムは、透析液が吸着剤カートリッジを通って流れる標準モードで、または、流体(たとえば、洗浄溶液またはすすぎ溶液)が吸着剤カートリッジを流れない異なるモード(たとえば、洗浄モードまたはすすぎモード)で実施されうる。この機構は、吸着剤カートリッジが存在しないときでも、流体が透析システムを通って循環することを可能にする。そのため、この機構は、吸着剤カートリッジを取外し、透析システムを通して洗浄溶液またはすすぎ溶液を循環させることによって、ユーザがシステムを洗浄し、かつ/または、すすぐことを可能にする。
【0047】
一部の実施形態では、透析システムは、透析液が再循環されて複数回透析システム内を流されるモードで、または、システム内を一回流された後に、透析液が廃棄されるモードで使用されうる。そのため、ユーザは、処置が実施される方法に関するより多くの選択肢を与えられる。
【0048】
他の態様、特徴、および利点は、説明および図面から、また、特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】透析溶液を再生し、透析溶液内のナトリウムレベルを制御するのに使用されうるモジュールの概略図および透析機械の正面図である。
【図2】図1に概略的に示すモジュールが血液透析機械に接続された状態の、血液透析機械の正面図である。
【図3】透析溶液を再生し、透析溶液内のナトリウムレベルを制御するのに使用されうるモジュールの別の概略図および透析機械の正面図である。
【図4】透析溶液を再生し、透析溶液内のナトリウムレベルを制御しうるモジュールのなお別の概略図および透析機械の正面図である。
【図5】透析機械および吸着剤カートリッジを保持する吸着剤カートリッジホルダを有するモジュールを含む透析システムの斜視図である。
【図6】吸着剤カートリッジが吸着剤カートリッジホルダ内に配置された状態の、図5の吸着剤カートリッジホルダの断面図である。
【図7】吸着剤カートリッジが取外され、吸着剤カートリッジホルダが折畳まれた構成にある、図5の透析システムの斜視図である。
【図8】吸着剤カートリッジが取外され、吸着剤カートリッジホルダが折畳まれた構成にある、図5の吸着剤カートリッジホルダの断面図である。
【図9】図5のモジュールの概略図および図5の透析機械の正面図である。
【図10】模擬患者での4時間運転中の、ナトリウム変化を示すグラフである。
【図11】模擬患者での4時間運転中の、導電率対ナトリウムレベルを示すグラフである。
【図12】模擬患者での4時間運転中の、脱イオン化ボーラス注入に対する導電率応答を示すグラフである。
【図13】模擬患者での4時間運転中の、連続希釈に対する導電率応答を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本開示は、一般に、透析システムおよび方法に関する。透析システムは、通常、透析溶液(たとえば、透析液)を再生し、透析溶液内のナトリウムレベルを制御することが可能なモジュールを含む。モジュールは、単独で、または、透析を促進する他のデバイスと共に使用されうる。
【0051】
本明細書に述べる方法は、使用されたまたは使用済み透析溶液を透析機械からリザーバ内に引き込む工程、吸着剤カートリッジを通して透析溶液を流すことにより、使用済み透析溶液から電解質および代謝老廃産物を除去する工程、再循環される透析溶液を透析機械に戻るように給送する工程、および、再循環される透析溶液のナトリウムレベルを適切な生理的範囲内に操作する工程を含みうる。
【0052】
本明細書で述べるシステムおよび方法は、有利には、多くの知られている透析システムおよび方法に関して生じる、大量の水の使用、高価でかつ騒音の大きい逆浸透性機器、および排出ラインの必要性をなくしうる。そのため、本明細書で述べるシステムおよび方法は、血液透析機械が、患者の家庭内での特別な配管または配線の設置を必要とすることなく、家庭環境での使用のために比較的容易に変更されることを可能にしうる。さらに、本明細書で述べるシステムおよび方法は、透析溶液内のナトリウムのレベルが、シングルパス方式の(single−pass)血液透析で達成されるのと実質的に同じ生理的範囲内に維持されることを可能にしうる。
【0053】
図1を参照すると、透析システム10は、透析機械30に流体接続されるモジュール20を含む。モジュール20は、以下で説明されるように、透析溶液を再循環させ、透析溶液内のナトリウムレベルを制御するのに使用されうる。
【0054】
モジュール20は、一般に、第1流体ループ22、吸着剤デバイス24、リザーバアセンブリ26、およびナトリウムを制御するシステムを含む。モジュール20の、吸着剤デバイス24およびリザーバアセンブリ26は、吸着剤デバイス24およびリザーバアセンブリ26が第1流体ループ22に連通するように第1流体ループ22に結合する。第1流体ループ22は、透析溶液を、モジュール20の種々のコンポーネントから透析機械30に、そして、モジュール20に戻るように循環させる流路を画定する導管を含む。
【0055】
吸着剤デバイス24は、尿毒症性毒素を除去することが可能な吸着剤カートリッジを含むハウジングを含む。一部の実施形態では、カートリッジは使い捨てである。カートリッジは、たとえば、使用してハウジングから取外された後に、廃棄されるように構築されうる。交換式カートリッジは、その後、モジュール20のその後の使用のために、同様のカートリッジと交換されうる。カートリッジは、一連の層を通して水を浄化し、使用済み透析溶液を再生することができ、一連の層は、過剰の量のカチオン(たとえば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム)または本質的なイオンを除去または吸収することなく、溶液から、重金属(たとえば、鉛、水銀、ヒ素、カドミウム、クロム、およびタリウム)、オキシダント(たとえば、塩素およびクロラミン)、尿素、リン酸塩、および他の尿毒症性老廃代謝物(たとえば、クレアチニンおよび尿酸)を除去しうる。
【0056】
一部の実施形態では、上述した機能を実施するカートリッジのコンポーネントは、活性炭を含む浄化層、ポリマーリン酸塩バインダを含むイオン交換層またはイオン交換吸着剤、ならびに、カチオンを排除する組成物(たとえば、本明細書でさらに述べる平坦膜/中空繊維、イオン交換膜、または尿素除去成分を囲むカプセル化剤)と共に、強酸カチオン交換樹脂および塩基樹脂(複数可)または尿素低下酵素およびイオン交換吸着剤を含む尿素除去層を含む。
【0057】
ある実施形態では、カートリッジは、以下の層および材料、すなわち、炭酸ジルコニウムナトリウムまたは他のアルカリ金属−第IV族金属−炭酸塩、リン酸ジルコニウムまたは他のアンモニア吸収剤、アルミナまたは他の同様な材料、アルミナを担体としたウレアーゼまたは他の不動態化酵素層または珪藻土または酸化ジルコニウムなどの尿素をアンモニアに変換する他の材料、および、木炭などの粒状活性炭、または他の吸収剤を含む。炭酸ジルコニウムナトリウム成分は、リン酸吸収剤として働きうる。酸化ジルコニウムは、リン酸を除去するための対イオンまたはイオン交換体として働くことが可能であり、含水酸化ジルコニウム(たとえば、酢酸塩を含有する含水酸化ジルコニウム)の形態でありうる。酸化ジルコニウムはまた、カートリッジ内に配置されると、炭酸ジルコニウムナトリウムと混合されうる。
【0058】
吸着剤カートリッジのいずれの実施形態でも使用されうる尿素低下酵素の非制限的な例は、天然に存在する(たとえば、ジャックビーンズ、他の種子、または細菌からのウレアーゼ)か、(たとえば、尿素低下酵素を発現し、かつ/または、分泌する、細菌、真菌、昆虫、または哺乳類細胞における)組み換え型技術によって生産されるか、合成的に生産される(たとえば、合成される)酵素を含む。一部の実施形態では、酵素はウレアーゼである。
【0059】
ある実施形態では、吸着剤カートリッジは、さらに中空繊維を含む。中空繊維は、帯電イオンを積極的に排除すると共に、カートリッジの容量を増加させうる。中空繊維は、イオン排除材料でコーティングされることができ、イオン排除材料は、水浄化に似たメカニズムによって、尿素を通すが、カルシウムおよびマグネシウムなどの帯電イオンを積極的に排除する。中空繊維をコーティングする材料は、カルシウムおよびマグネシウムを効果的に排除し、したがって、透析溶液内にイオンを保持しうる、当業者に知られている任意の材料(たとえば、脂肪酸またはポリスルホンのようなポリマー鎖)でありうる。一般に、この作用を有させるため材料自体を正に帯電させる。一部の実施形態では、たとえば、中空繊維をコーティングするのに使用される材料は、酢酸セルロース(たとえば、三酢酸セルロース)である。コーティングするための中空繊維は、商業的に入手可能であり(たとえば、Fresenius Medical Care North America)、当業者にとって入手可能な、任意の所望のイオン排除材料でコーティングされうる。
【0060】
あるいは、中空繊維は、イオン選択性ナノろ過膜を含みうる。こうした膜は、いくつかの発売元(たとえば、Amerida、Koch、GE、Hoechst、およびDow Chemical)から商業的入手可能である。これらの膜は、イオン性物質が膜を通して拡散することを防止する孔径を有する。たとえば、1価よりも大きい負電荷を有するイオン(たとえば、硫酸塩およびリン酸塩)を排除する一方で、1価の電荷を有するイオンを通過させる(その逆の場合もあてはまる)能力を有するナノろ過膜が存在する。いずれの場合も、中空繊維デバイスは種々の寸法で入手可能であり、家庭内システムにおいて使用する大きさに作られうる交換式カートリッジに嵌合する程度に小さいものであることのみが必要である。
【0061】
ある実施形態では、吸着剤カートリッジは、さらに上述した材料のような正に帯電した材料で被覆される平坦膜を含みうる。さらに、膜は正に帯電したイオンの通過を制限するイオン交換(たとえば、アニオン)膜(たとえば、Astrom(登録商標)Neosepta(登録商標)AFXアニオン交換膜、PCA GmbH PC−SAアニオン交換膜)でありうる。有利には、このイオン交換膜はさらにリン酸塩を吸収する能力を有する。
【0062】
カートリッジおよび/またはそのコンポーネントまたは層は、交換され(たとえば、膜、尿素低下酵素)、再生され(たとえば、樹脂、吸着剤)、かつ/または、必要なときに再使用するために無菌化されうる(たとえば、飽和、損傷、枯渇)。さらに、カートリッジ全体は交換式であり、そのため、たとえばカートリッジの再生効率が減少する(たとえば層飽和により)か、あるいは、カートリッジが磨耗するかまたは損傷を受けると、透析システムから取外されうる。
【0063】
吸着剤カートリッジのさらなる例は、米国特許第6,878,283号、米国特許第7,033,498号、およびSorb'sREDYカートリッジ(たとえば、“Sorbent Dialysis Primer”COBE Renal Care Inc.Sep.4 1993 Editionおよび“Rx Guide to Custom Dialysis”COBE Renal Care Inc.Revision E.Sep.1993を参照されたい)に記載され、全て参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
【0064】
モジュール20のリザーバアセンブリ26は、透析溶液を保持することが可能である。一部の実施形態では、図1に示すように、リザーバアセンブリ26は、第1のまたは使用済みリザーバ26aおよび第2のまたは新しいリザーバ26bを含む。第1および第2のリザーバは、初期流体量および透析処置の過程の間に起こりうる任意の流体蓄積を受け入れ収容するのに十分な任意のサイズまたは形状でありうる。リザーバは、硬質材料または軟質材料から構築されうる。リザーバはまた、開放した容器として形成されるか、またはリザーバは閉鎖した容器として形成されうる。リザーバが閉鎖した容器である場合、流体がリザーバに入るにつれて空気が排出されるように、容器は通気孔などの開口を含みうる。一部の実施形態では、第2リザーバ26bは、第1リザーバ26aの流体容積容量より小さい流体容積容量を有する。第2リザーバ26bは、さらに、ほぼ第1リザーバ26aの内部に嵌合する大きさに作られうる。第1および第2リザーバ26a、26bは、第2リザーバ26bの流体容量に達すると過剰の流体が第1リザーバ26a内に溢出するように、相互に配列され配置されうる。リザーバ26a、26bは、透析機械に固定可能に組み合わされうる。あるいは、リザーバは透析機械に取外し可能に取り付けられうる。リザーバは、透析機械上に任意の角度で配置されうる。図2に示すように、ある実施形態では、リザーバアセンブリ26のリザーバ26a、26bは、血液透析機械30の側面上のモジュール20のハウジング内に配置される。
【0065】
モジュール20は、さらに、ナトリウムなどの電解質を制御するシステムを含みうる。図1に示すように、ナトリウムを制御するシステム40は、第1流体ループ22に連通するように接続された第3のまたは希釈リザーバ42を含む。第1および第2リザーバ26a、26bと同様に、希釈リザーバ42は、硬質材料または軟質材料から形成されうる。希釈リザーバは、システムのコンポーネントを通して循環する流体を希釈するのに十分な容積の流体を保持可能な任意のサイズまたは形状でありうる。通常、希釈リザーバ42内に含まれる希釈液は水である。しかし、他の様々な適切な希釈液も使用されうる。
【0066】
ナトリウムを制御するシステム40は、さらに、第1流体ループ22および希釈リザーバ42に連通するように接続された3方弁50を含む。以下で説明するように、3方弁50は、希釈リザーバ42を充填することが望ましいときに、吸着剤カートリッジ24から出る流体を希釈リザーバ42内に送るように配置され、吸着剤カートリッジ24が充填されると、吸着剤カートリッジ24から出る流体を新しいリザーバ26b内に送るように配置されうる。
【0067】
モジュール20は、さらに、溶液内のナトリウムイオン濃度の測定など、電解質濃度の測定が可能な計測器を含みうる。たとえば、計測器は、導電率計またはpH計でありうる。ある実施形態では、モジュールは、透析液流体内のアンモニア分子および/またはアンモニウムイオンを検出するアンモニアおよび/またはアンモニウムイオン監視デバイスを含む。アンモニア分子および/またはアンモニウムイオンの検出は、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンがモジュールによる処置を受けている患者内に導入されるのを抑制しうる(防止しうる)。さらに、アンモニアおよび/またはアンモニウムイオンの検出は、モジュールの吸着剤カートリッジの効率を監視すること、ならびに、吸着剤カートリッジが適切に作動していることを表示することを可能にする。モジュールはまた、たとえば、流体の流れを始動および停止させる種々の弁、流体ポンプまたは他の流体の流れを生成するデバイス、流れを検出し、流量を測定する流量計、透析液の温度を制御する透析液流体加熱器、および、透析処置の実行に関与しうる他の周知のデバイスを含みうる。
【0068】
なお図1を参照すると、モジュールのコンポーネント(たとえば、弁、ポンプなど)を制御するために、マイクロプロセッサ70が、モジュールのコンポーネントに電気接続されている。マイクロプロセッサ70は、予めプログラムされた命令に応答して、または、熟練した臨床医によって判定される患者のニーズに応じて、ポンプ流量ならびにモジュールのコンポーネントのタイミングおよび配列を、制御し、変更し、調整しうる。モジュールおよび/または透析システムは、さらに、本明細書で述べるシステムおよびデバイスを作動させ制御する適切なソフトウェアを含みうることを当業者は理解するであろう。
【0069】
モジュールは、Fresenius Medical Care 2008Kデザインのバージョンなどの、血液透析機械30に結合される。血液透析において、血液は、動脈チャネルを通って動脈圧センサまで流れる。動脈圧センサは、動脈側の回路を通って流れる血液の圧力を監視することができるように変換器を含む。その後、血液は蠕動ポンプなどのポンプに隣接するチャネルの一部分を通って流れる。ポンプは、回路を通して血液を強制的に流す。次に、血液は透析器まで、続いて静脈圧センサまで流れる。血液が、そこを通して取り出され、また戻されるアクセスポートは、患者の上の好都合かつ適切な場所にあり、任意の適切な医療チュービングによって血液透析機械に接続されうる。
【0070】
動脈圧センサは、ポンプの前に配置されるものとして述べられたが、一部の実施形態では、ポンプの後ろにある。ある実施形態では、圧力センサは、血液ポンプの前後両方に配置される。
【0071】
本明細書で述べる透析システムは、高い透析液流量(約500ml/分)を可能にするなどの利点を提供しうる。そのため、透析液流量を標準的な血液透析と同様にすることができ、それにより、よりよいクリアランスを提供し、1週当たり6回以上の処置を必要とする現在の家庭用血液透析機械と比較して、たった3〜4回の透析処置を可能にする。透析システムのさらなる利点は、透析システムが異なる圧力で作動するモジュールおよび透析機械を可能にし、それにより、吸着カートリッジの変形または破裂、および、透析機械のエア・ロックが抑制されることである。さらに、透析システムは、シングルパス透析と比較して、大幅に低減された容積の新しい透析液を使用する。たとえば、モジュールおよび透析システムが完全な透析処置のための新しい透析溶液を提供するのに、6リットルの容積の水道水で十分でありうる。
【0072】
ここで、図1を参照して透析システムの作動方法を説明する。始動の初期段階(水供給および排出が利用される場合)において、コネクタ80は、流体導管100によって水(たとえば、水道水)供給源に接続されるコネクタレセプタクル90内に挿入され、コネクタ82は、流体導管112によって排出または老廃物バッグに接続されるコネクタレセプタクル92に挿入される。吸着剤カートリッジ24は、この時点では第1流体ループ22に接続されない。
【0073】
次に入口弁56が開放されて、水道水が流体導管100を介して入口弁56を通ってシステムに入ることを可能にし、続いてレセプタクル90およびコネクタ80を通って流体導管102内に入ることを可能にする。同時に、3方弁50が閉められ、水道水が継続して弁50を通って流体導管106まで進み、リザーバ26b内に入ることを可能にする。入口弁56は、適切な容積の水道水がシステムに入るまで開放されたままにされる。流入する水の容積は、たとえば、監視のために電子回路70に接続可能なフロートスイッチまたはスケールなどの商業的に入手可能なデバイスによって検知されうる。あるいは、患者は、開口を通して新しいリザーバ26bに到るようにシステム内に水道水を注ぐことができ、入口弁56および関連する監視デバイスについての必要性をなくす。一部の実施形態では、約6リットルの水道水がシステム内に導入される。あるいは、8〜9リットルの容積の水道水が何人かの患者に使用されてもよい。
【0074】
システムが初期プライミングされると、患者は、レセプタクル90からコネクタ80を取外し、レセプタクル96において吸着剤カートリッジ内にコネクタ80を挿入することによって、また、レセプタクル92からコネクタ82を取外し、レセプタクル94内にコネクタ82を挿入することによって、吸着剤カートリッジ24を流体ループ22に接続する。コネクタ80および82がそれぞれレセプタクル96および94内に挿入された状態で、流体ループ22を通って循環する流体は、吸着剤カートリッジ24を通過しうる。
【0075】
使用済み透析液リザーバ26aを起点に、流体は、使用済み透析液リザーバ26aの底部から出て流体導管108を通り、流体導管114を介して吸着剤カートリッジ24の底部に入る。流体は、吸着剤カートリッジ24を通過し、吸着剤カートリッジ24の上部から出て、流体導管116を介してレセプタクル96およびコネクタ80を通って流体導管102に入る。
【0076】
3方弁50は、制御ライン72を介して電子回路70によって駆動され、処理された流体が流体導管104を介して希釈リザーバ42内に入ることを可能にする。注入ポンプ60は、この時点では停止され、流体を希釈リザーバ42内に充填させる。この容積の無ナトリウム流体は、処置の後半で、透析システム内を循環する透析溶液のナトリウム含有量全体を希釈するために使用される。
【0077】
希釈リザーバ42が充填されと、弁50が開かれ、それにより、使用済みリザーバ26aおよび吸着剤カートリッジ24からの残りの流体が、流体導管106を流れ、新しいリザーバ26bに入る。この段階で、流体は新しいリザーバ26bから透析機械30に送出され、透析機械30において、流体に(液体形態または粉末形態の)既知の濃縮物が添加され、ベースのナトリウムおよび重炭酸塩レベルを達成する。この添加プロセスは、手動でまたは自動で実施されうる。この時点で、上述したように、流体は透析機械30およびモジュール20を通って循環し続ける。
【0078】
流体は、圧力ポンプ64によって新しいリザーバ26bから流体導管118を通って透析機械30内に引き込まれ、圧力ポンプ64は、流体導管120を介して透析機械30に十分に給送するように調整されうる。透析機械30内で、流体の電解質レベルを医師によって指定されたレベルに調整するために、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ブドウ糖、および他の所望の成分を含有する酸が既知の量の水で釣り合わされる。処置中、吸着剤カートリッジ24内のナトリウムレベルは漸増する傾向にあるため、吸着剤カートリッジ24を流れる流体のナトリウムレベルが増加する。酸濃縮物からのさらなる容積の水は、吸着剤カートリッジ24によって生成されるナトリウムレベルの希釈に寄与し、使用済みリザーバ26a内の水レベルを増加させうる。使用済み透析液は、流体導管122に接続される排出ラインを通って血液透析機械30を出て、使用済みリザーバ26a内に移動する。
【0079】
使用済み透析液は、ポンプ62によって使用済みリザーバ26aから吸着剤カートリッジ24に引き込まれる。吸着剤カートリッジ24を通過した結果、尿素などの毒素、ならびに、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムなどのいくつかの透析液成分は、使用済み透析液から取除かれる。吸着剤カートリッジ24から出た再循環される透析液は、その後、新しいリザーバ26bに搬送され、最終的に透析機械30を通して戻されるように循環される。
【0080】
処置中、透析機械30から送信される信号は、患者へ向かう再循環される透析液の導電率のための制御ライン76を介してマイクロプロセッサ70によって監視される。Ca、Mg、およびKが容積的に釣り合わされ、吸着剤カートリッジ24から出る無Ca、無Mg、および無K溶液に添加されるため、ベース導電率に対する任意の変化は、一般に、吸着剤カートリッジ24によってもたらされるナトリウム生成の結果である。ナトリウム含有量がマイクロプロセッサ70に通信するソフトウェアに入力された特定のレベル設定を超える場合、マイクロプロセッサ70は注入ポンプ60を起動させる信号を別の制御ライン74を介して注入ポンプ60に送信し、処置の前に希釈リザーバ42に収集された無ナトリウム溶液によって、リザーバ容積内のナトリウムをさらに希釈する。代替の制御方法は、モジュール20に給送する血液透析機械30の排出ラインにおいて導電率を監視することであり、透析機械30からモジュール20への電子信号についての必要性をなくす。
【0081】
希釈方法に対する代替の実施形態は、透析機械の雄コネクタを希釈リザーバ42に差し込むことができる希釈リザーバ42のレセプタクルを有することであり、透析機械30は、透析機械のマイクロプロセッサを使用してシステム内で無ナトリウム流体を釣り合わせることができ、それにより、注入ポンプ60についての必要性がなくなる。
【0082】
希釈方法に対する別の実施形態は、透析機械30内でポンプによって釣り合わされることができるパッケージされた無ナトリウム水を希釈液として利用することであり、それにより、弁50、希釈リザーバ42、および、注入ポンプ60についての必要性がなくなる。
【0083】
希釈システムのための制御方法は、別法としてまたは付加的に、血液透析機械からの電子フィードバック、別個の導電率プローブ、または時間制限の設けられた配置であってもよい。
【0084】
処置の終了によって、患者は、希釈リザーバ42を外し、コネクタ80をレセプタクル90に、また、コネクタ82をレセプタクル92に再挿入する。この時点で、排出ラインが使用される場合、ポンプ62は、リザーバ26a、26bを空にすることができ、次の処置まで、システムが空の状態に戻される。あるいは、患者が処置の終了時に手動でリザーバを空にすることで、排出ラインをなくすことができる。
【0085】
リザーバ26a、26bを排出した後、モジュールおよび透析機械は漂白剤などの洗浄溶液を、モジュールの流体ループ22を通して透析機械30内へ、さらに透析機械30を通り、モジュール20に戻るように循環させることにより洗浄されうる。透析システムの消毒は、別法としてまたは付加的に、加熱消毒技法を含みうる。
【0086】
特定の実施形態が述べられたが、他の実施形態が可能である。
たとえば、ナトリウムを制御するシステム40は、システムを流れる流体内のナトリウムレベルを減少させるように適合されるものとして述べられたが、ナトリウムを制御するシステムは、別法としてまたは付加的に、システムを流れる流体内のナトリウムレベルを増加させるように適合されてもよい。図3に示すように、たとえば、ナトリウムを制御するシステム40Aは、希釈リザーバ42に加えて、ナトリウム濃縮物溶液を含有する容器44を含む。オン−オフ流れスイッチまたは弁52は、希釈リザーバ42とフローポンプ60との間に配置され、オン−オフ流れスイッチまたは弁54は、ナトリウム濃縮容器44とフローポンプ60との間に配置される。フローポンプ60は、弁52および54の状態に応じて、ナトリウム濃縮物溶液または希釈液容積を第1流体ループ22に注入するのに役立ちうる。吸着剤カートリッジ24から出る流体が著しく高いレベルのナトリウムを有する(これは、吸着剤カートリッジ24内でナトリウムレベルが漸増するために起こりうる)と判定された場合、弁52が開放され、弁54が閉鎖され、さらにポンプ60が起動されて希釈水を流体導管106内に引き込む。一方、吸着剤カートリッジ24から出る流体内のナトリウムレベルが低過ぎる(これは、新しい吸着剤カートリッジ24が、そこを通過する流体からナトリウムを取除くことにより、処置の初期段階で起こりうる)場合、弁52が閉鎖され、弁54が開放され、さらにポンプ60が起動されてナトリウム濃縮物溶液を流体導管106内に引き込む。上述のように、透析溶液内のナトルウムレベルを調整し操作するために、したがって患者のナトリウムレベルを調整し操作するために、ナトリウム濃縮物が使用されうる。
【0087】
ナトリウムを制御するシステムは、システムを通って循環する流体に添加されうる希釈液(たとえば、水道水)を含む希釈リザーバを含むものとして述べられたが、別法としてまたは付加的に、循環する流体内のナトリウムレベルを制御するために他のデバイスが使用されうる。たとえば図4に示すように、一部の実施形態では、ナトリウムを制御するシステム40Bは、システムを通って循環する流体からナトリウムを除去するのに使用されうる強酸/強塩基樹脂の組合せを含むカラム46を含む。カラム46は交換式カートリッジから形成されうる。あるいは、カラム46は脱イオン化ポリッシャから形成されうる。強酸/強塩基樹脂の組合せは、透析溶液からナトリウムを除去し、pHを制御することができる。ナトリウムを制御するシステム40において、3方弁50は、第1流体ループ22およびカラム46に連通するように接続される。システムを通って循環する流体内で過剰のナトリウムレベルを検出すると、3方弁50が使用されて、流出液が吸着剤カートリッジ24からカラム46内の強酸/強塩基イオン交換樹脂混合物を通るように方向転換され、それにより、水と引換えにナトリウムが除去されうる。有利には、この方法は、システムを通って循環する流体に水を添加することなく、ナトリウムレベルを調整することができる。そのため、希釈を補うためのさらなるリザーバ容積は必要とされない。しかしながら、脱イオン化ポリッシャを再生するための交換プログラムが使用されてもよい。希釈システムまたはイオン交換システムのための制御方法は、血液透析機械からの電子フィードバック、別個の導電率プローブ、または時間制限を設けられた配置を介しうる。
【0088】
先に説明した特定のシステムの透析機械は、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムなどの透析溶液の溶質を、循環される透析溶液に添加するように適合されるものとして述べられたが、一部の実施形態では、モジュールが、循環される透析溶液内に透析溶液溶質を添加するシステムを含む。
【0089】
リザーバアセンブリ26は、モジュールによって形成されるものとして述べられたが、一部の実施形態では、新しい透析溶液および使用済み透析溶液を保持する別個のバッグ(たとえば、使い捨てバッグ)がモジュールに接続される。
【0090】
ある実施形態では、モジュールは、吸着剤カートリッジホルダまたはマウントを含み、吸着剤カートリッジホルダまたはマウントは、透析溶液がホルダに接続される吸着剤カートリッジを通過することができる第1構成に、または、吸着剤カートリッジを通過することなく、透析溶液がマウントを通って送られる第2構成に設置されうる。
【0091】
図5は、透析機械30に連通するように接続されたモジュール220を含む透析システム200を示す。モジュール220は、吸着剤カートリッジ24を保持するように構成された吸着剤カートリッジホルダ300を含む。モジュール220はまた、注入剤容器228および塩化ナトリウム容器230から延びる流体ライン224、226が接続される多岐管222、透析液バッグまたはリザーバ238から延びる流体ライン234、236が接続される多岐管232、アンモニウム(NH)センサ246から延びる流体ライン242、244が接続される多岐管240を含む。モジュール220は、さらに、プライミング溶液バッグ、すすぎ溶液バッグ、清浄溶液バッグおよび/または排出バッグなどの他のコンポーネントをモジュール220に接続するのに使用されうる多岐管248を含む。多岐管222、232、240、および248はそれぞれ、たとえば、上述した種々のコンポーネントをそれぞれの多岐管に接続するために流体ラインがその上に配置されうる突出部を含みうる。別法としてまたは付加的に、種々の他の適した接続機構のうちの任意の機構が流体ラインを多岐管に接続するのに使用されうる。
【0092】
図5に示すように、開放位置にあるとき、多岐管222は、注入剤溶液(たとえば、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムを含む溶液)および塩化ナトリウム溶液をモジュール220を通って循環する流体内に送出させる。モジュール220内のポンプおよび弁は、たとえば、注入剤溶液および塩化ナトリウムをモジュール220内で循環する流体内に送るために起動されうる。同様に、多岐管232は、流体がモジュール220からバッグ238へ、また、その逆に搬送されることを可能にする。モジュール220内のポンプおよび弁を使用して、流体は、多岐管232に接続される流体ライン234を介してバッグ238内に送られ、また、バッグ238から吸引されうる。多岐管240は、流体が、モジュール220からアンモニウムセンサ246へ、また、その逆に搬送されることを可能にする。所望の方法でモジュール220内のポンプおよび弁を起動することによって、流体は、モジュール220からアンモニウムセンサ246に送られ、また、アンモニウムセンサ246からモジュール220に戻るように引き込まれうる。多岐管248はまた、使用中に開放された構成で設置されることができ、また、モジュール内のポンプおよび弁を起動することによって、流体が、バッグ(たとえば、プライミング溶液バッグ、すすぎ溶液バッグ、清浄溶液バッグ)からモジュール220に引き込まれ、かつ/または、モジュールからバッグ(たとえば、排出バッグ)に送られることができるように流体ラインに接続されうる。図5に示すように、吸着剤カートリッジ24がカートリッジホルダ300に連通するように接続された状態で、モジュール220内を循環する流体は吸着剤カートリッジ24を通過することができる。
【0093】
透析処置中、モジュール220は、図5に示す方法で構成されて、モジュール220内で循環する流体と、吸着剤カートリッジ24、注入剤容器28、塩化ナトリウム容器30、透析液バッグ38、アンモニウムセンサ46、および場合により、多岐管248を介してモジュール220に接続されうるさらなるバッグとの間の連通を可能にする。
【0094】
図6は、吸着剤カートリッジ24を保持するカートリッジホルダ300の断面図である。図5および6に示すように、カートリッジホルダ300は、背部302、背部302の底部分に枢動可能に接続されるベース304、および、背部302の上部分に枢動可能に接続されたアーム306を含む。吸着剤カートリッジ24は、ベース304とアーム306との間に配置され、ベース304とアーム306によって所定位置に保持されうる。図6を参照すると、流体通路308、310は、それぞれ、ベース304およびアーム306を通って延びる。ベース304およびアーム306はまた、取付け具(たとえば、雄型ニップル)312、314を含み、取付け具312、314は、吸着剤カートリッジ24と連携して、流体通路308、310を、吸着剤カートリッジ24の内部チャンバと連通状態に置き、また、吸着剤カートリッジ24をベース304とアーム306との間の所定位置に保持するのに役立つ。この構成は、流体が、ベース304の流体通路308を通って吸着剤カートリッジ24の内部チャンバ内に流れることを可能にする。流体は、吸着剤カートリッジ24を通ってアーム306の流体通路310内に流れうる。ベース304および/またはアーム306は、ばね式でありうる。これは、吸着剤カートリッジ24が、使用中に(たとえば、カートリッジ内の流体保持力および流体圧に応答して)拡張しまたは収縮する場合に、ベース304およびアーム306が、そのヒンジ軸を中心に回転することを可能にしながら、ベース304およびアーム306が吸着剤カートリッジ24を保持するのに役立ちうる。ベース304およびアーム306の流体通路308、310は、カートリッジホルダ300がモジュール220から流体(たとえば、使用済み透析溶液)を受取り、流体(たとえば、再循環される透析溶液)をモジュール220に戻すことができるように、モジュール220内の流体ラインに接続される。
【0095】
再び図5を参照すると、透析中、以下でより詳細に述べるように、使用済み透析溶液は、透析機械30からモジュール内に移動し、モジュールにて、使用済み透析溶液は、吸着剤カートリッジ24を通過し、その後、吸着剤カートリッジ24から出た再循環される透析溶液は、透析機械30に戻るように移動する。使用済み透析溶液が吸着剤カートリッジ24を流れるとき、尿素などの毒素ならびにカルシウム、マグネシウム、およびカリウムなどの他の物質は、使用済み透析溶液から取除かれる。ナトリウムはまた、使用済み透析溶液が吸着剤カートリッジ24を通過するときに、使用済み透析溶液から取除かれるか、または、使用済み透析溶液に添加されうる。そのため、吸着剤カートリッジ24から出た再循環される透析溶液のカルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウムレベルは、こうした物質の濃度を所望のレベルまで回復させるために(たとえば、再循環される透析溶液内にカルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび/または希釈液を導入することによって)変化されうる。再循環される透析溶液は、その後、透析機械30内の透析器を流れるため、毒素は、患者の血液から透析溶液内に搬送され、使用済み透析溶液を形成する。この使用済み透析溶液は、その後、再びモジュール20を通して循環されて、使用済み透析溶液が再循環または再生される。このプロセスは、所望の量の毒素が患者の血液から除去されるまで繰返されうる。ただ廃棄されるのと対照的に、透析溶液は処置中に再循環されるため、処置中に使用される透析溶液の容積は、いくつかの従来の血液透析技法に比べて実質的に減少しうる。さらに、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウムなどの透析溶液内の種々の物質の濃度を維持することは、処置中に患者が不快を感じることを防止するのに役立ちうる。
【0096】
再び図6を参照すると、バイパスコンポーネント316が、カートリッジホルダ300の背部302に固定される。バイパスコンポーネント316は、ポート318および320を含み、ポート318および320は、(吸着剤カートリッジ24がカートリッジホルダ300から取外された後)ベース304およびアーム306が枢動して背部302と係合状態になると、ベース304およびアーム306の取付け具312および314を受取るように配置される。バイパスコンポーネント316はまた、背部302内に延び、ポート318、320を互いに流体接続する流体通路322を含む。バイパスコンポーネント316は、吸着剤カートリッジ24がカートリッジホルダ300から取外されたときでも、流体がカートリッジホルダ300を通過することを可能にする。
【0097】
図7は、全ての外部コンポーネント(たとえば、吸着剤カートリッジ24、注入剤容器228、塩化ナトリウム容器230、バッグ238、およびそれらの関連する流体ライン)がモジュール220から外され、多岐管222、232、240、および248ならびにカートリッジホルダ300が閉鎖位置にある状態のシステム200を示す。多岐管222、232、240、および248ならびにカートリッジホルダ300は、その閉鎖位置にあるとき、流体がモジュール220から出ることを抑制し(たとえば、防止し)、そのため、流体(たとえば、清浄溶液またはすすぎ溶液)が、モジュール220と透析機械30内の閉回路内で循環することを可能にする。多岐管はそれぞれ、たとえば、多岐管が液密シールを生成する閉鎖位置にあるとき、多岐管の流体ライン接続ポートに隣接するかまたは流体ライン内に延びる部材を含みうる。
【0098】
図8は、折畳まれるかまたは閉鎖した構成のカートリッジホルダ300の断面図である。図7および8を参照すると、この折畳まれた構成では、ベース304およびアーム306は、背部302の方に枢動し、取付け具312、314は、バイパスコンポーネント316のポート318および320内に配設される。この構成は、流体が、ベース304の流体通路308を通り、バイパスコンポーネント316を通して延びる流体通路322内に流れることを可能にする。流体は、その後、バイパスコンポーネント316の流体通路322からアーム306の流体通路310に流れる。そのため、吸着剤カートリッジ24がカートリッジホルダ300から取外されたときでも、流体の流れは、カートリッジホルダ300を通して維持されうる。
【0099】
外部コンポーネント(たとえば、吸着剤カートリッジ24、注入剤容器228、塩化ナトリウム容器230、バッグ238、およびそれらの関連する流体ライン)は、使い捨ての1回使用コンポーネントとして構築され、そのため、透析処置の終了後に、モジュール220から外されて廃棄されうる。多岐管および吸着剤カートリッジホルダ300は、その後、閉鎖されることができ、清浄溶液および/すすぎ溶液が、モジュール220および透析機械30を通して循環されて、その後の使用のためにモジュール220および透析機械30を準備しうる。
【0100】
図9は、透析機械30に結合するモジュール220の概略図である。図9に示すように、モジュール220に接続されるものとして述べられた外部コンポーネントに加えて、透析液バッグ250および排出バッグ252もまた、多岐管248を介してモジュール220に接続される(図5および7に示す)。さらに、希釈液バッグ254は、透析機械30に連通される。
【0101】
ここで、図9を参照して、血液透析を実施する方法を述べる。透析処置を始める前に、透析液が透析液バッグ250から引き込まれ、吸着剤カートリッジ24を通過し、バッグ238に送られる。これは、弁258、260を開放し、弁262を閉鎖した状態で、ポンプ256を起動することによって行われうる。バッグ250を出て、弁258を流れた後、透析液は、流体の圧力およびライン内での流体の存在または非存在を検出するように適合された流体検出器255を通過する。このタイプの流体検出器は、たとえば、Introtek and Cosenseから入手できる。透析液は、流体検出器255がライン内の流体の不在(透析液が全て、バッグ250からモジュール220内に強制的に流されたことを示す)を検出するまで、バッグ250から引出される。ライン内での流体の不在を検出すると、流体検出器255は、この情報を制御ユニット(たとえば、マイクロプロセッサ)に送信することができ、制御ユニットは、モジュール220および/または透析機械30内で透析液を再循環させるように、システム全体の弁およびポンプを作動させうる。
【0102】
吸着剤カートリッジ24に達する前に、透析液は流量計261を通過し、流量計261は、流量計261を通過する透析液の流量を測定するように構成される。透析液の流量を表す信号は、流量計261から制御ユニット(たとえば、マイクロプロセッサ)に送信されうる。以下で説明するように、透析液の検出される流量が使用されて、透析液内への注入剤の調量が制御されうる。
【0103】
透析液が吸着剤カートリッジ24を流れるとき、カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウムなどのいくつかの物質が、透析液から除去されてもよい。先に説明したように、吸着剤カートリッジ24はまた、吸着剤カートリッジ24を通って流れる流体から尿素などの毒素を除去するように適合されるが、透析液バッグ250からの透析液は、一般に尿素を全く含有しないであろう。吸着剤カートリッジ24の上部を出ると、透析液は、透析液内のガスを確実に放出するのに役立つ気泡トラップ265を通って流れる。弁266が閉鎖した状態で、透析液は、その後、流体ライン265を通して強制的に流される。マグネシウム、カルシウム、およびカリウムを含む注入剤溶液は、その後ポンプ268を起動することによって、注入剤溶液容器228から流体ライン265内に送られる。透析液および注入剤溶液の組合せは、混合チャンバ270内で混合される。
【0104】
混合チャンバを出た後、透析液は流体ライン265を通って流れ、導電率計272を通過する。導電率計272は、導電率計272を通過する流体の導電率に基づいて、流体内のナトリウムの濃度を推定する。ポンプ274および弁276、278は、その後、透析液内のナトリウムレベルが所望のレベルより低いことが導電率の測定値によって示された場合、塩化ナトリウム容器230から流体ライン265内に塩化ナトリウムを導入するように、または、透析液内のナトリウムレベルが所望のレベルより高いことが導電率の測定値によって示された場合、流体ライン265内に希釈水(たとえば、AAMI品質の水)を導入するように起動されうる。希釈水は、透析機械30に接続されるバッグ254から、流体ライン265を流れる透析液に送出される。透析機械30は、バッグ254から希釈水を引き込み、希釈水をモジュール220に送出し、モジュール220内で、希釈水は、弁278に向かって流体ライン277を通過する。ポンプ274を起動し、弁278を開放することによって、希釈水が流体ライン265内に調量されうる。同様に、ポンプ274を起動し、弁276を開放することによって、塩化ナトリウム溶液が流体ライン265内に調量されうる。
【0105】
流体ライン265に達する前に、注入剤溶液および塩化ナトリウム溶液は、流体の存在または不在を検出しうる流体検出器269および275を通過する。流体検出器269および275は、先に説明した流体検出器255と構造的に同様でありうる。
【0106】
マイクロプロセッサが使用されて、ポンプ268、274および弁276、278が制御される。マイクロプロセッサは、流量計261、導電率計272、ポンプ268、274および弁276、278に接続される。透析液の測定された流量は、流量計261からマイクロプロセッサへ信号の形態で送信される。マイクロプロセッサは、流量計261によって測定される透析液の流量に応じてポンプ268を制御する。この機構は、所望の量の注入剤を確実に透析液に添加するのに役立ち、また、所望の割合の注入剤を確実に透析液に添加するのに役立つ。導電率の測定値は、同様に、導電率計272からマイクロプロセッサへ信号の形態で送出され、それに応答して、マイクロプロセッサは、注入剤溶液、塩化ナトリウム溶液および/または希釈水を流体ライン265内に導入する信号を、ポンプ268、274および弁276、278に送出する。
【0107】
マイクロプロセッサはまた、流体検出器269、275に接続される。それぞれのライン内での流体の不在を検出すると、流体検出器269、275は、システムを停止させうる信号、または、注入剤容器228および/または塩化ナトリウム容器230が空であるという指示をユーザに提供しうる信号を、マイクロプロセッサに送信しうる。それに応答して、ユーザは、たとえば、注入剤容器228および/または塩化ナトリウム容器230を交換するかまたは再充填することができる。
【0108】
導電率計272を通過した後、透析液は、逆止弁279を通って、透析液内のアンモニウムレベルを検出するアンモニウムセンサ264内に流れる。透析液内のアンモニウムレベルが許容可能な範囲内にある場合、透析液はバッグ238内に流される。
【0109】
カルシウム、マグネシウム、カリウム、およびナトリウムの所望の濃度を有する透析液によってバッグ238を所望のレベルに充填した後、ポンプ280は、バッグ238から透析機械30内に透析液を引き込むように起動される。透析液は、透析機械30を通って循環され、透析機械30内では透析器を通過する。同時に、患者の血液は透析器を通過する。結果として、尿素などの毒素は、患者の血液から透析液へ透析器の浸透性膜を通って搬送される。透析器から出た使用済み透析液は、その後、モジュール220に戻される。
【0110】
使用済み透析液は、モジュール220内の流体ライン282を通過する。透析機械に戻るように循環される透析液の所望の容積に応じて、使用済み透析液は、流体ライン282を通って強制的に送られるため、弁284を開放し、弁286を閉鎖することによって、バッグ238に送られうる。透析の結果、たとえば透析液が透析機械30の透析器を通過する時、患者由来の流体が透析液に添加されてもよい。そのため、使用済み透析液の一部をバッグ238に送ることにより、ほぼ一定の容積の透析液が、処置の間モジュール220および透析機械30を通って循環することを確実にするのに役立ちうる。流体ライン282内のポンプ256は、バッグ238に送られない使用済み透析液の容積を、カートリッジホルダ300のベース304を介して吸着剤カートリッジ24内に強制的に送る。使用済み透析液が吸着剤カートリッジ24を流れるため、尿素が、使用済み透析液から除去される。カルシウム、マグネシウム、およびカリウムはまた、吸着剤カートリッジ24によって使用済み透析液から取除かれる。再循環される透析液またはカートリッジ流出液は、吸着剤カートリッジ24を出ると、気泡トラップ264を通過し、吸着剤カートリッジ24内での化学反応の結果として生成されうるガスが、再循環される透析液から除去されうる。先に説明した方法で、再循環される透析液が吸着剤カートリッジ24から出た後、注入剤溶液が再循環される透析液内に導入され、導電率計272における導電率の測定値に基づき、塩化ナトリウムまたは希釈水が再循環される透析液に添加されうる。処置の初期段階では、吸着剤カートリッジが、そこを通過する流体からナトリウムを取除きやすい傾向にあるため、再循環される透析液内のナトリウムレベルは所望のレベルより低くなる傾向がある。その結果、処置の初期段階では、再循環される透析液内のナトリウムの濃度を増加させるために、主に塩化ナトリウムが流体ライン内に注入されることになる。しかし、処置の後期では、吸着剤カートリッジは高いレベルのナトリウムを含有し、そのため、使用済み透析液が吸着剤カートリッジを流れるときに、使用済み透析液内にナトリウムを放出し始める。これは、流体ライン265を流れる再循環される透析液内に所望のレベルより高いレベルのナトリウムをもたらし、再循環される透析液内への希釈水の注入をもたらす。
【0111】
再循環される透析液は、その後、逆止弁279を通り、アンモニウムセンサ246内に流れる。アンモニウムセンサ246は、吸着剤カートリッジ24の状態を判定するのに役立ちうる。たとえば、吸着剤カートリッジ24が使用されるにつれて、透析液内のアンモニウムレベルが増加することになる。所定のアンモニウムレベルに達すると、処置は終了されうる。あるいは、所定のアンモニウムレベルに達すると、吸着剤カートリッジ24は、新しい吸着剤カートリッジと交換され、処置が再開されうる。
【0112】
アンモニウムセンサを出た後、再循環される透析液は、バッグ238および/または透析機械30に送られる。たとえば、同じ量の流体が透析機械30に確実に出入りするようにするために、T弁281は、流体ライン283を介して透析機械30に透析液の一部分を送り、任意の過剰な透析液をバッグ238の新しい透析液チャンバに送るように適合されうる。T弁281における透析液の流量が、透析液が透析機械30内に引き込まれる流量より大きい場合、透析液の一部は、バッグ238に送られる。一方、T弁281における透析液の流量が、透析液が透析機械30内に引き込まれる流量より小さい場合、透析機械30は、バッグ238から透析液の一部を引出す。バッグ238は、軟質材料で形成され、そのため、コンプライアンスチャンバとして働く。特に、透析液がバッグ238に加えられるにつれてバッグ238の容積は増加し、透析液がバッグ238から除去されるにつれてバッグ238の容積は減少することができる。
【0113】
透析機械30に送出される透析液は、再び透析器を通過し、透析器内で、毒素が患者の血液から透析液に搬送される。使用済み透析液は、その後、モジュールに戻され、所望の量の毒素が患者の血液から除去されるまでそのプロセスが繰返される。
【0114】
処置中、患者の血液から水分を除去するために、限外ろ過プロセスが実施されてもよい。限外ろ過中、透析器の透析液側と血液側との間の膜を隔てて圧力勾配が生成される。その結果、流体が血液側から透析液側へ膜を横切って引き込まれる。この流体は、透析機械30から出て、流体ライン288を介してモジュール220を通過し、排出バッグ252に送られる。この限外ろ過プロセスは、所望の量の流体が患者から除去されるまで継続されうる。
【0115】
患者の処置が終了した後、透析液は、バッグ238から除去されうる。たとえば、弁262、263、284が開放され、かつ弁260、286が閉鎖した状態でポンプ256が起動されうる。その結果、透析液がバッグ238から排出バッグ252内に流れる。バッグ238を空にすることで、重量が減少するため、処置後にユーザがバッグ238をより容易に操作することができる。場合により、モジュール220からバッグ238を外す前に、8リットル以上の透析液がバッグ238から除去される。
【0116】
バッグ238を所望のレベルまで排水した後、外部コンポーネント(たとえば、吸着剤カートリッジ24、注入剤容器228、塩化ナトリウム容器230、バッグ238、透析液バッグ250、およびそれらの関連する流体ライン)は、モジュール220から外され、廃棄される。吸着剤カートリッジ24、注入剤容器228、塩化ナトリウム容器230、およびバッグ238が流体接続される多岐管222、232、および230(図5および7に示す)は閉鎖されるため、流体は、モジュール220から多岐管222、232、および230の流体ライン接続ポートを通って流出することができない。その後、透析液バッグ250が以前に接続された多岐管248(図5および7に示す)の流体接続ポートにすすぎ溶液のバッグが接続され、すすぎ溶液(たとえば、水)が、モジュール220および透析機械30を通して循環されて、モジュール220および透析機械30内の流体導管をすすぐ。すすぎプロセスは、弁258および260を開放した状態でポンプ256を起動することにより、すすぎ溶液バッグから流体ライン282内にすすぎ溶液を引き込むことによって実施される。すすぎ溶液は、流体ライン282に沿ってカートリッジホルダ300まで移動し、カートリッジホルダ300は、図7および8に示すように、カートリッジホルダのベース304およびアーム306上の取付け具がバイパスコンポーネント316のポート318および320に接続されるように(吸着剤カートリッジ24が取外された状態で)閉鎖された構成にある。その後、モジュール220および透析機械30の種々のポンプおよび弁が、すすぎ溶液を、モジュール220および透析機械30の種々の流体導管を通過させるように起動される。すすぎ溶液は、モジュール220および透析機械30の種々の所望の流体導管を流れた後に排出バッグ252内に収集されうる。
【0117】
すすぎ溶液をモジュール220および透析機械30を通して流す代わりに、またはそれに加えて、モジュールおよび透析機械の種々の流体導管を消毒するのと同じ方法で、モジュール220および透析機械30を通して清浄溶液(たとえば、漂白剤)が循環されうる。
【0118】
ある実施形態では、流体(たとえば、すすぎ溶液、清浄溶液、または、処置後にモジュール220および透析機械30内に残った透析液)は、透析機械30を通過することができ、透析機械30内で、約85℃の温度に加熱される。加熱された流体は、モジュール220および透析機械30を通して循環されて、これらのデバイス内の流体導管を消毒しうる。
【0119】
注入剤容器228は、塩化ナトリウム容器230の上流に配置されるものとして述べられたが、一部の実施形態では、注入剤容器228および塩化ナトリウム容器230の位置は、注入剤容器228が塩化ナトリウム容器230の下流に配置されるように逆転される。
【0120】
一部の実施形態では、バッグ238は、使用済み透析液を含むバッグ238の部分から延びるさらなる流体ラインによって気泡トラップ264に接続される。こうした実施形態では、透析機械30につながる流体ライン283は、T弁281に接続される代わりに、新しい透析液を含むバッグ238の部分内に延ばされうる。使用中、新しい透析液は最初にバッグ238の新しい透析液チャンバ内に強制的に流され、その後、後続の動作で、新しい透析液が流体ライン283を介してバッグ238から透析機械230に引き込まれる。気泡トラップにバッグが接続される結果として、バッグ239内で圧力が調節されるため、アンモニウムセンサの前の逆止弁279は流体ループから取外されうる。
【0121】
モジュール220に接続される(たとえば、吸着剤カートリッジ24、注入剤容器228、塩化ナトリウム容器230、バッグ238、透析液バッグ250、排出バッグ252、すすぎ溶液バッグ、清浄溶液バッグ、およびそれらの関連する流体ライン)は、使い捨ての1回使用のコンポーネントであるものとして述べられたが、代替として、1つ以上の外部コンポーネントは再使用可能でありうる。たとえば、外部コンポーネントは、オートクレーブ消毒などの消毒技法に耐えるように構築されうる。
【0122】
モジュール220は、多岐管248を介して排出バッグ252に接続されるものとして述べられたが、モジュールは、別法としてまたは付加的に、多岐管248を介して排出部に直接接続されうる。
【0123】
システム200は、透析液バッグ250からの透析液によって初期プライミングされるものとして述べられたが、システムは、別法としてまたは付加的に、水供給源に取付けられ、水供給源からの水を透析液に変換するように適合されうる。ある実施形態では、たとえば、透析機械30は、透析機械30を通って流れる水に1つまたは複数の濃縮物を添加して、透析液を形成するように適合される。
【0124】
一部の実施形態では、モジュール220は、別法としてまたは付加的に、塩化ナトリウム容器230の少し上流に、かつ/または、注入剤溶液容器228の少し上流に配置される導電率計を含む。これらの導電率計は、さらに、所望の量の塩化ナトリウム溶液および/または注入剤溶液が、流体ライン265を通って流れる流体に確実に送出されるようにするのに役立ちうる。
【0125】
上述したいくつかの方法は、流量計261において検出される透析液の流量に基づいて、注入剤溶液が流体ライン265内に導入される流量を制御する工程を含む。ある実施形態では、たとえば、注入剤容器228の重量および透析液バッグ238の重量が(たとえば、重量計によって)測定され、注入剤の流量が、これらの測定値に基づいて制御される。ある実施形態では、排出バッグ252の重量も測定され、注入剤溶液の適切な流量を確定するときに反映されうる。
【0126】
モジュール220は、注入剤溶液および塩化ナトリウム溶液を、それぞれの容器から流体ライン265に移動させるためのポンプ268、274を含むものとして述べられたが、他の技法が、別法としてまたは付加的に使用されうる。ある実施形態では、たとえば、負圧が利用されて、注入剤溶液および塩化ナトリウム溶液を、それぞれの容器から流体ライン265へ引き込む。流体ライン265内の透析液の流量は、たとえば、溶液を流体ライン265内に引き込む圧力を生成しうる。一部の実施形態では、注入剤溶液容器228および塩化ナトリウム溶液容器230から延びるラインが流体ライン265に結合する位置で流体ライン265に沿ってベンチュリ管が設けられる。ベンチュリ管は、十分な負圧が生成されて、それぞれの容器から流体ライン265内に確実に溶液を引き込むようにするのに役立ちうる。それぞれの容器から溶液を引き込むために負圧を利用する実施形態では、注入剤溶液容器228および塩化ナトリウム溶液容器230からつながるライン内に弁が設けられて、流体ライン265内への注入剤溶液および塩化ナトリウム溶液の流量が制御されうる。これらの弁は、モジュール220内のマイクロプロセッサに接続され、かつ、マイクロプロセッサによって制御されうる。
【0127】
先に説明したコンポーネントに加えて、モジュール220は、さらに、流体が所望の時間に特定の流体ラインまたはコンポーネントを通過していることを確認する種々の流体検出器、流体が所望の流量で特定の流体ラインまたはコンポーネントを通過していることを確認するのに役立つ流量計、および、特定の流体ラインまたはコンポーネントを通過する流体をろ過するフィルタを含みうる。ある実施形態では、これらのさらなるコンポーネントは、モジュール220のマイクロプロセッサに接続されるため、モジュール220の、ポンプおよび弁などの他のコンポーネントは、これらのさらなるコンポーネントの測定値に基づいて調整されうる。
【0128】
上述したシステムは、使用済み透析液から毒素を除去するために吸着剤カートリッジ24を使用するが、他のタイプのデバイスが、別法としてまたは付加的に、使用済み透析液から毒素を除去するために使用されうる。
【0129】
本明細書で述べるモジュールは、透析装置30に結合されるものとして述べられたが、他の配置構成が可能である。一部の実施形態では、たとえば、モジュールは、透析装置内に組込まれる。あるいは、モジュールは、独立型ユニットでありうる。
【0130】
本明細書に開示されるいくつかのデバイスおよび方法は、血液透析と共に使用されるものとして述べられたが、それらは、種々の他の腎臓治療において使用されうる。本明細書で述べる原理は、本明細書で述べる特定のタイプの血液透析装置に対して、また、同様な機能を有する種々の他の透析装置に対して適用可能である。
【実施例】
【0131】
以下のデータは、上記図1に示すタイプの透析システムの使用に基づいて収集された。
初期セットアップの場合、流体は、再循環ポンプによって、使用済みリザーバから吸着剤カートリッジの底部内に再循環された。カートリッジからの流出液は、その後、新しいリザーバ内に送られた。新しいリザーバからの流体は、圧力ポンプによって透析機械に送られ、透析機械内で、流体は、透析機械についての通常の方法で処理された。透析機械についての流量は、200cc/分に設定され、吸着剤カートリッジ再循環は225cc/分であった。
【0132】
模擬患者は、244gのNaCl、135.5gのNaHCO3、尿素30g、KCl15g、および酢酸カルシウムと酢酸マグネシウムとを含有する27.26gのソーブ濃縮物(Sorb Concentrate)を有する42リットルの脱イオン水を含んだ。模擬患者についての初期化学値(initial chemistry value)は、Na 132.7mg/dL、Cl 100.9mg/dL、K 4.53mg/dL、Ca 5.88mg/dL、Mg 2.0mg/dL、尿素窒素33.3mg/dL(代表的なプレ血液(pre−blood)の尿素窒素値は約60mg/dL、すなわち、この量の2倍であることに留意されたい)であった。
【0133】
リザーバ内でベースナトリウムを達成するために、使用済みリザーバに、NaCl68.25gを添加した。システムを安定させて4時間運転させた。サンプルは、新しいリザーバに入る前の吸着剤カートリッジから(Na 吸着剤から)、入口透析液コネクタにおいて(Na 患者へ)、また、動脈ラインのポンプの前から(Na 患者)、直接採取された。
【0134】
図10のグラフに見られるように、患者のナトリウムレベル(ライン400)は、最初は落ち込み、その後、持ち直し、比較的安定状態のままであった。「患者へ」のラインにおけるナトリウム(ライン500)は、90分経過時の133.8mEq/Lから240分経過時の138.8mEq/Lに増加し、5mEq/Lの増分であった。「吸着剤透析プライマ(Sorbent Dialysis Primer)」(Cobe Renal Care,Inc.;Ed.4;1993)において、グラフ2.1は、正常なまたはほぼ正常な透析前ナトリウムを有する平均的な成人腎臓患者の場合、透析液が、90分経過時の139mEq/Lから240分経過時の160mEq/Lに増加し、21mEq/Lの増分になることを示した。
【0135】
カルシウム、マグネシウム、およびカリウムは吸着剤カートリッジから除去されるため、患者へ向かう導電率に対する変化は、吸着剤カートリッジから生じるナトリウム変化に正比例するはずである。このことは、収集されたデータに示され、また、図11のグラフに示されている。
【0136】
さらに、希釈方法が有効であることを示すための試験をするために、吸着剤カートリッジを上記の初期設定(図1)で述べたように設定した。システムをほぼ1時間安定化させた。安定化の後、60ccの脱イオン水を新しいリザーバ内に注入し、吸着剤カートリッジからの、および、模擬患者に接続された透析器の透析液入口ポートでの導電率を観測した。
【0137】
図12のグラフに見られるように、導電率(したがってナトリウム)は、13.3mS/cmから13.25mS/cmに低下し、約15分後に回復した。DI水の120ccボーラスは、患者へ向かう導電率を、13.3mS/cmから13.12mS/cmに低下させ、回復させるのに約30分かかった。
【0138】
図13のグラフは、腹膜透析バッグに取付けられた調量ポンプを使用した導電率制御を示す。ベース塩化ナトリウムを槽に付加する前に、まず3方弁を用い、吸着剤カートリッジの出力からバッグに方向転換させてバッグを充填した。導電率(すなわちナトリウム)は、4時間の運転を通して変動した。最初は調量ポンプの設定が高過ぎて導電率が低下した。調量ポンプに対する電圧を4.7Vから4.5Vに調整した後、導電率は安定化した。希釈がない状態ではナトリウムが上昇してしまうことを実証するため、運転中約150分の時に調量ポンプを停止させた。
【0139】
当業者は、上述した実施形態に基づいて本発明のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本発明は、添付の請求項によって示される以外は、特に提示され、説明されているものによって制限されない。本明細書に引用される全ての出版物および参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
【0140】
他の実施形態は、添付の請求項の範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析システムにおいて、
透析溶液が通過するように構成されたデバイスであって、透析溶液が前記デバイスを通過する時、透析溶液から1つ以上の物質を除去するように適合されたデバイスと、
前記デバイスに接続された流体ラインであって、前記デバイスから出た溶液が前記流体ラインを通過するように配置された流体ラインと、
前記流体ラインに連通するナトリウム制御システムであって、前記流体ラインを通過する溶液のナトリウム濃度を変化させるように適合されたナトリウム制御システムと
を備える透析システム。
【請求項2】
前記ナトリウム制御システムは、流体ライン内に希釈液を導入するように適合される請求項1に記載の透析システム。
【請求項3】
前記希釈液は水を含む請求項2に記載の透析システム。
【請求項4】
前記ナトリウム制御システムは、前記希釈液を含有する容器を備えるとともに、前記ナトリウム制御システムは、前記希釈液を前記容器から前記流体ラインへ移動させるように配置されたポンプをさらに備える請求項2に記載の透析システム。
【請求項5】
前記ナトリウム制御システムは、ナトリウムを前記流体ライン内に導入するように適合される請求項1に記載の透析システム。
【請求項6】
ナトリウムは塩化ナトリウム溶液の形態である請求項5に記載の透析システム。
【請求項7】
前記ナトリウム制御システムは、ナトリウム溶液を含有する容器を備えるとともに、前記ナトリウム制御システムは、負圧を利用してナトリウム溶液を前記容器から前記流体ラインへ引き込むように適合される請求項5に記載の透析システム。
【請求項8】
前記ナトリウム制御システムは、ナトリウム溶液を含有する容器を備えるとともに、前記ナトリウム制御システムは、ナトリウム溶液を前記容器から前記流体ラインへ移動させるように配置されたポンプをさらに備える請求項5に記載の透析システム。
【請求項9】
前記ナトリウム制御システムは希釈液源をさらに備えるとともに、前記ポンプは希釈液を前記希釈液源からから前記流体ラインへ移動させるように配置される請求項8に記載の透析システム。
【請求項10】
前記希釈液源は、加圧された希釈液を含有する流体ラインである請求項9に記載の透析システム。
【請求項11】
前記ナトリウム制御システムは、ナトリウム溶液および希釈液の前記流体ラインへの移動を制御するように作動される1つ以上の弁をさらに備える請求項9に記載の透析システム。
【請求項12】
前記流体ラインを通過する溶液の導電率を測定するように適合された導電率計をさらに備えるとともに、前記導電率計は前記ナトリウム制御システムに連通する請求項1に記載の透析システム。
【請求項13】
前記ナトリウム制御システムは、前記導電率計の出力信号に基づいて前記流体ラインを通過する溶液のナトリウム濃度を変化させるように適合される請求項12に記載の透析システム。
【請求項14】
前記デバイスは吸着剤カートリッジである請求項1に記載の透析システム。
【請求項15】
前記吸着剤カートリッジは、使用済み透析溶液を再生可能な少なくとも1つの材料層を備える請求項14に記載の透析システム。
【請求項16】
前記吸着剤カートリッジの層は、炭酸ジルコニウムナトリウムを含む請求項15に記載の透析システム。
【請求項17】
透析溶液を保持する二重区画リザーバをさらに備える請求項1に記載の透析システム。
【請求項18】
前記二重区画リザーバは、使用済み透析溶液用の第1リザーバおよび新しい透析溶液用の第2リザーバを備える請求項17に記載の透析システム。
【請求項19】
入力ラインおよび出力ラインをさらに備え、前記入力ラインおよび出力ラインは前記第2リザーバに連通するとともに、前記入力ラインは新しい透析溶液を前記第2リザーバ内に送出するように配置され、かつ、前記出力ラインは前記第2リザーバから新しい透析溶液を除去するように配置される請求項18に記載の透析システム。
【請求項20】
入力/出力ラインをさらに備え、前記入力/出力ラインは前記第2リザーバに連通するとともに、前記入力/出力ラインは、新しい透析溶液を前記第2リザーバ内に送出し、かつ前記第2リザーバから新しい透析溶液を除去するように配置される請求項18に記載の透析システム。
【請求項21】
前記流体ラインに連通する注入剤システムをさらに備えるとともに、前記注入剤システムは、注入剤溶液を前記流体ライン内に導入するように適合される請求項1に記載の透析システム。
【請求項22】
注入剤溶液は、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムを含む請求項21に記載の透析システム。
【請求項23】
透析溶液の流量を検出するように配置された流量計をさらに備えるとともに、前記注入剤システムは、透析溶液の流量に基づいて注入剤溶液を前記流体ライン内に導入するように適合される請求項21に記載の透析システム。
【請求項24】
透析機械に連通接続されたモジュールを備える請求項1に記載の透析システム。
【請求項25】
前記モジュールは、前記ナトリウム制御システムの少なくとも一部分を備えるとともに、前記デバイスは、前記モジュールに連通するように接続される請求項24に記載の透析システム。
【請求項26】
前記モジュールは、前記透析機械に電気接続される請求項24に記載の透析システム。
【請求項27】
前記モジュールは、前記デバイスを保持するように構成される請求項25に記載の透析システム。
【請求項28】
前記モジュールはデバイスホルダを備えるとともに、前記デバイスホルダは、流体が前記デバイスを通過可能な第1構成、または、流体が前記デバイスを通過することなく、前記デバイスホルダの第1部分から前記デバイスホルダの第2部分に流れることが可能な第2構成を有するように配置される請求項25に記載の透析システム。
【請求項29】
透析装置であって、
デバイスを保持するように構成されたモジュールを備えるとともに、前記デバイスは、透析溶液が透析機械から出た後にデバイスを通過する時、透析溶液から1つ以上の物質を除去するように適合され、かつ、
前記モジュールは、前記透析機械に着脱可能に連通接続するように構成される透析装置。
【請求項30】
前記透析機械は血液透析機械である請求項29に記載の透析装置。
【請求項31】
前記デバイスは吸着剤カートリッジである請求項29に記載の透析装置。
【請求項32】
前記モジュールは、透析溶液のナトリウム濃度を変化させるように適合されたナトリウム制御システムをさらに備える請求項29に記載の透析装置。
【請求項33】
前記ナトリウム制御システムは、透析溶液が前記デバイスを通過した後に透析溶液のナトリウム濃度を変化させるように配置される請求項32に記載の透析装置。
【請求項34】
前記モジュールは、注入剤溶液を透析溶液内に導入するように適合された注入剤システムをさらに備える請求項29に記載の透析装置。
【請求項35】
注入剤溶液は、マグネシウム、カルシウム、およびカリウムを含む請求項34に記載の透析装置。
【請求項36】
前記注入剤システムは、透析溶液が前記デバイスを通過した後に、注入剤溶液を透析溶液内に導入するように配置される請求項34に記載の透析装置。
【請求項37】
前記モジュールは、前記モジュールが前記透析機械に連通接続された時、透析溶液を前記モジュールから前記透析機械に移動させるように適合されたポンプを備える請求項29に記載の透析装置。
【請求項38】
前記モジュールは、複数の異なる透析機械の任意の機械に着脱可能に連通接続される請求項29に記載の透析装置。
【請求項39】
デバイスを通して使用済み透析溶液を流すことによって、使用済み透析溶液から1つ以上の物質を除去する工程、および、
前記デバイスから出る溶液のナトリウム濃度を変化させる工程を有する方法。
【請求項40】
前記デバイスから出る溶液のナトリウム濃度を変化させた後に、透析機械を通して前記デバイスから出る溶液を流す工程をさらに有する請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記デバイスは吸着剤カートリッジである請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記デバイスはモジュールに連通接続されるとともに、前記モジュールは透析機械に着脱可能に連通接続される請求項39に記載の方法。
【請求項43】
使用済み透析溶液を透析機械から前記デバイスへ移動させる工程をさらに有する請求項39に記載の方法。
【請求項44】
使用済み透析溶液は、前記透析機械からリザーバに、続いて前記リザーバから前記デバイスに移動する請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記デバイスから出る溶液内に注入剤溶液を導入する工程をさらに有する請求項39に記載の方法。
【請求項46】
使用済み透析溶液の流量を検出する工程をさらに有するとともに、注入剤溶液は、使用済み透析溶液の検出された流量に基づいて溶液内に導入される請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−502718(P2011−502718A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534207(P2010−534207)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/083554
【国際公開番号】WO2009/064984
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(505324858)フレゼニウス メディカル ケア ホールディングス インコーポレーテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Fresenius Medical Care Holdings,Inc.
【Fターム(参考)】