説明

透析用配管内の汚染防止方法

【課題】 透析用配管内の汚染を防止する方法を提供する。
【解決手段】 透析用配管2は、透析用水供給装置1と接続端21で接続されると共に、透析装置3と接続端23で接続されている。本発明では、透析用配管2内の汚染を防止するために、透析用配管2に、透析用水供給装置1との接続端21に近接してUF膜4を設けると共に、透析装置3との接続端23に近接してUF膜5を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は透析装置の移動などにより発生する透析用配管内の汚染を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、透析治療において、従来取り除いていた尿毒素成分よりも更に分子量の大きい成分を取り除く必要があることが分かり、例えばHPM(ハイパフォーマンスメンブレン)というポアサイズの大きい透析膜を用いたダイアライザが使用されるようになった。そのため、従来は透析膜で阻止されていた透析液中の不純物が血液側に混入する危険性が高くなっており、透析用水や透析液を清潔に保ち供給することの重要性が増大している。
【0003】
透析用水および透析液は、セントラルシステムにより精製および調製され、各末端透析装置までの供給は透析用配管を通して行われる。従って、透析用配管が汚染されてしまうと、汚染部位より下流にある透析装置は全て汚染されてしまうことになる。従来、供給装置またはRO装置(以下、単に供給装置という)から透析装置に供給される透析用水は、UF膜(エンドトキシン捕捉フィルター)を透過させてエンドトキシンや細菌を除去するよう試みられているが(特許文献1)、透析装置の移動やメンテナンス時など、透析用配管内が解放される機会も多く、そのため透析装置との接続端側が汚染されて透析用配管内全体に汚染が広がる虞があり、問題であった。
【0004】
また、透析装置内におけるエンドトキシンや細菌を除去するために、従来、透析液供給装置とダイアライザの間に、ダイアライザに近接してUF膜を介在させる方法も採用されているが(特許文献2)、UF膜の劣化によりこれを3ヶ月に1回程度交換しなければならず、面倒であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−260131号公報、第2欄45〜47頁
【特許文献2】特開平3−254755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、透析配用管内の汚染を防止する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の透析用配管内の汚染防止方法は、透析用配管の透析用水供給装置との接続端側に細菌やエンドトキシンを除去するためのフィルタを設けると共に、透析用配管の透析装置との接続端側に細菌やエンドトキシンを除去するためのフィルタを設けることを特徴とする。
ここで、フィルタは、透析用水供給装置との接続端および透析装置との接続端に近接して設けるのが好ましい。
また、細菌やエンドトキシンを除去するためのフィルタとは、例えば、UF膜等からなるエンドトキシン捕捉フィルタ(ETRF)や除菌フィルタを言い、透析用水供給装置とは、透析液調製装置に透析用水を供給するための装置を言う。透析用水供給装置にはRO装置も含まれる。
【0008】
以上、一般的に本発明を記述したが、より一層の理解は、いくつかの特定の実施例を参照することによって得ることが出来る。これらの実施例は本明細書に例示の目的のためにのみ提供されるものであり、他の旨が特定されない限り、限定的なものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下のような効果が期待できる。すなわち、1)透析用配管の透析用水供給装置との接続端側に細菌やエンドトキシンを除去するためのフィルタを設けると共に、透析用配管の透析装置との接続端側に細菌やエンドトキシンを除去するためのフィルタを設けているので、透析用水の汚染をほぼ完全に防止することが出来る。2)透析液供給装置とダイアライザの間に、ダイアライザに近接して設けたUF膜の劣化が抑制され、膜の寿命が向上し5倍以上の期間性能が維持されるようになったので、UF膜を交換する手間が大幅に軽減された。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の透析用配管内の汚染防止方法の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
透析用配管の透析用水供給装置との接続端側に接続端に近接してUF膜を設けると共に、透析用配管の透析装置との接続端側に接続端に近接してUF膜を設ける。
【実施例】
【0012】
透析用配管内の汚染防止方法について、図1を用いて説明する。
図1は本発明の透析用配管内の汚染防止方法の説明図であり、シングルパス方式の透析用水配管を示す。
透析用配管2は、透析用水供給装置1と接続端21で接続されると共に、透析装置3と接続端23で接続されている。本発明では、透析用配管2内の汚染を防止するために、透析用配管2に、透析用水供給装置1との接続端21に近接してUF膜4を設けると共に、透析装置3との接続端23に近接してUF膜5を設けている。その結果、透析用配管2内の汚染を防止することができるだけでなく、透析装置3内に設けたUF膜の寿命を大幅に向上させることができ、UF膜を交換する手間が大幅に軽減された。
【符号の説明】
【0013】
1 透析用水供給装置
2 透析用配管
21 透析用水供給装置との接続端
23 透析装置との接続端
3 透析装置
4 UF膜
5 UF膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析用配管の透析用水供給装置(RO装置を含む)との接続端側に細菌やエンドトキシンを除去するためのフィルタを設けると共に、透析用配管の透析装置との接続端側に細菌やエンドトキシンを除去するためのフィルタを設けることを特徴とする、透析用配管内の汚染防止方法。
【請求項2】
フィルタを、透析用水供給装置との接続端および透析装置との接続端に近接して設ける、透析用配管内の汚染防止方法。

【図1】
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