説明

透水性コンクリート板

【課題】上部に設けた2層から成る透水性層部の透水性が高く、且つ、下部のコンクリート製の層部においても、その貫通穴の形状により排水性も良く、しかも全体の曲げ強度が極めて高い透水性コンクリート板を提供する。
【解決手段】ポーラスコンクリートの表層部(1)と、コンクリート製の基層部(3)と、前記表層部(1)と前記基層部(3)との中間で、前記表層部(1)よりも透水性の高い中層部(2)との3層から成り、前記基層部(3)には、内部に補強材(5)を埋設させると共に、多数の貫通穴(31)を穿設させ、且つ、該貫通穴(31)が、その上部の穴径を下部の穴径よりも大きく形成させ、前記中層部(2)を前記基層部(3)の上面及び前記貫通穴(31)内に積層させると共に、この中層部(2)の上に前記表層部(1)を更に積層させ、且つ、これら3層の少なくとも側面の外周に、枠体(4)を装着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水を透水する透水性コンクリート板に関し、特に、雨水の透水性と車の走行に対して充分な強度を有する透水性コンクリート板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透水性を有するコンクリート板としては、単に粗骨材をセメント等のバインダーで結合した1層又は2層のポーラスコンクリート板、あるいは上部に透水性多孔質の表層部と、下部にコンクリート製で非透水性の基層部とから成る透水性コンクリート板等が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平09−87053号公報)では、粗骨材にコンシステンシーがペーストフロー又はモルタルフローとして150〜300mmのペースト又はモルタルを平均厚さ1〜5mmに被覆してなる粒体が該ペースト又はモルタル部分を介して結合されている曲げ強度が5.0〜7.0N/mmでかつ、透水係数が0.3〜3.0cm/secの即脱ポーラスコンクリート成形体が開示されている。
【0004】
また、透水性コンクリートと非透水性コンクリートとから成る透水性コンクリート板として、特許文献2(特開2001−164502号公報)では、透水性コンクリート多孔質層1と非透水性コンクリート基層2とよりなる2層構造プレキャストコンクリート舗装版であって、コンクリート多孔質層1は、ポルトランドセメント100重量部に、400〜600重量部の粒径3〜12mmの小粒径粗骨材、0〜100重量部の粒径1mm以下の細骨材又は該細骨材と粉体との混合物又は粉体、0.1〜1重量部の増粘剤、0.3〜15重量部の有機ポリマー、0〜2重量部の減水剤、および20〜50重量部の水を少なくとも混合することによって構成され、多孔質コンクリート層1の空隙率、透水係数、曲げ強度が、それぞれ、10〜25%、10−2cm/s以上、3N/mm以上であるプレキャストコンクリート舗装版が開示されている。
【0005】
更に、特許文献3(特開2007−290179号公報)では、透水性蓋の製造方法が開示されており、その透水性蓋の製造方法は、連続空隙を有する多孔質コンクリート板からなる表層と、貫通孔が形成されたポリマーセメントモルタルからなる基層とを一体化してなる透水性蓋の製造方法であって、内面の底面から上方に向かって前記貫通孔を形成するための凸部が設けられた型枠と、自己流動性を有するポリマーセメントモルタルと、予め形成された、接合面の前記型枠の凸部に対応する位置に凹部が設けられた多孔質コンクリート板とを用い、前記型枠に前記ポリマーセメントモルタルを打設した後、その上方から、前記多孔質コンクリート板を、前記型枠の凸部上端が該多孔質コンクリート板の凹部に嵌合し、且つ、該嵌合する部分を除く接合面では多孔質コンクリート板の連続空隙に前記ポリマーセメントモルタルが浸透して接合層が形成されるように載置し、前記ポリマーセメントモルタルが硬化した後、脱型することが開示されている。この製造方法による透水性蓋においては、透水性を維持しつつ、基層によって全体としての曲げ強度が確保されるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平09−87053号公報
【特許文献2】特開2001−164502号公報
【特許文献3】特開2007−290179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の単に骨材とセメント等を結合した1層又は2層から成る透水性コンクリート板においては、透水性を高めるため、全体が多孔質性に形成したコンクリート板であり、いくら材質的に選択したところで、その強度が劣ってしまう点は免れず、その強度的な問題点から使用用途が限られ、特に車輌の走行する場所で側溝やマンホールの蓋等には適さないとしている問題点があった。このような問題点を有するものとして特許文献1に示された技術では全体がポーラス成形体であるため、依然として曲げ強度が弱い。従って、単に車道の上に並べて使用する分には良いとしても、側溝やマンホール等の両端支持の状態で使用する場合には、より重量の大きい車の走行に対し曲げ強度が不足して使用できない問題点を有していた。
【0008】
他方、特許文献2及び特許文献3では、曲げ強度と透水性を高めるために、透水性の表層と非透水性の基層との2層とし、基層によって曲げ強度を高めた構成としている。しかしながら、これらの基層においては、基層が非透水性のままでは全体的に透水性のコンクリート板とならないため、基層には部分的に貫通穴を穿設させているが、この貫通穴によって曲げ強度が低下し、所定の曲げ強度を確保するには穴径や穴数が制限される。即ち、特許文献2、3に示された貫通穴においては、単にストレート穴や特許文献3のように下方を広げたテーパー状穴であり、このような形状の貫通穴では、基層の曲げ強度を高めるのに貫通穴の穴径を小さくすると、貫通穴の上部の穴径も小さいため、表層から浸透した雨水は基層の貫通穴に導入され難く、貫通穴から効率よく排水できない問題点を有していた。また、表層と基層とが単に積層されただけのため、車の走行等で両層が分離し易い問題を有していた。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑み、上部に設けた2層から成る透水性層部の透水性が高く、且つ、下部のコンクリート製の層部においても、その貫通穴の形状により排水性も良く、しかも全体の曲げ強度が極めて高い透水性コンクリート板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、ポーラスコンクリートの表層部(1)と、コンクリート製の基層部(3)と、前記表層部(1)と前記基層部(3)との中間で、前記表層部(1)よりも透水性の高い中層部(2)との3層から成り、前記基層部(3)には、内部に補強材(5)を埋設させると共に、多数の貫通穴(31)を穿設させ、且つ、該貫通穴(31)が、その上部の穴径を下部の穴径よりも大きく形成させ、前記中層部(2)を前記基層部(3)の上面及び前記貫通穴(31)内に積層させると共に、この中層部(2)の上に前記表層部(1)を更に積層させ、且つ、これら3層の少なくとも側面の外周に、枠体(4)を装着させる。
【0011】
また、前記中層部(2)が、粗骨材を使用したポーラスコンクリートであり、且つ、その粗骨材の粒径が前記表層部(1)の粗骨材の粒径よりも大きくするのが好ましい。
【0012】
また、前記中層部(2)が、粗骨材を敷き詰めるのが好ましい。
【0013】
また、前記貫通穴(31)が、その上部を広くくり貫いた凹部(31a)と、その凹部(31a)の底部に穿設した細穴(31b)とから成るのが好ましい。
【0014】
本発明の内容を更に詳しく説明すると、本発明の表層部を成形するポーラスコンクリートは、小粒径の粗骨材に少なくともセメントを添加して多孔質層に成形したものであり、これは連続した空隙を形成し透水性を付与した層である。この際に使用する小粒径の粗骨材としては、川砂や砕石あるいは、天然又は人工の骨材が使用され、特には砕石が一般的に必要な粒径のものが大量に入手できるため好ましい。
【0015】
また、表層部に使用する小粒径の粗骨材の粒径としては、2mm〜10mm程度のものが使用され、この粗骨材とセメントとの割合は、粗骨材100重量部にセメント20〜50重量部を混合して表層部(1)を成形させるとよい。更に、粗骨材の結合性と空隙率を高めるために、セメントの他に粗骨材よりも小径な細骨材や粉体を添加するのが好ましく、特に細骨材は、粗骨材の半分以下の粒径のものを使用するのが小粒径粗骨材の結合性を高めるのにより好ましい。
【0016】
また、細骨材としては、例えば川砂であり、粉体としては例えばフライアッシュ,無機質粉体等である。
【0017】
本発明の中層部は、粗骨材を使用したポーラスコンクリート、あるいは単に粗骨材を敷き詰めて形成した層であり、前記表層部と基層部との中間に設け、且つ前記表層部よりも透水性が高い層に形成している。
【0018】
この中層部が粗骨材をバインダーで結合したポーラスコンクリートの場合には、前記表層部よりも透水性を高めるために、中層部に使用する粗骨材は、表層部に使用する粗骨材よりも粒径の大きい粗骨材が使用される。これにより中層部は表層部に比べ空隙率を大きくし、表層部より透水性を高めている。
【0019】
尚、ポーラスコンクリートの中層部を成形するには、使用する粗骨材が表層部に使用する粗骨材よりも大きい粒径を使用する以外、表層部と同様なセメント又はセメントに細骨材や粉体等を添加して、これらを混合して多孔質層に成形すればよい。
【0020】
他方、中層部を単に粗骨材を敷き詰めて形成した場合は、使用する粗骨材として、例えば砕石が好ましく、この粗骨材の粒径は表層部に使用する粗骨材よりも大きな粒径のものを使用するのがよい。これは、粒径が大きいと空隙率が大きく、表層部よりも中層部の透水性を高くするためである。
【0021】
本発明の基層部は、全体がコンクリート製のものであり、この基層部には、内部に補強材として網目状に組んだ鉄筋やエキスパンドメタル等が埋設される。この埋設箇所としては、基層部の下面側近くに埋設するのが曲げ強度を高めるため好ましい。
【0022】
また、基層部には、多数貫通穴を穿設させている。この貫通穴は、その上部の穴径が下部の穴径より大きく形成し、この貫通穴内に中層部が入り易くさせている。
【0023】
本発明の基層部には、少なくとも、側面の外周に枠体を装着させている。この枠体は、金属製の板状のものを四角状に枠組して基層部の外周に装着し、枠体の上部は基層部の上面より突出させている。また、この枠体は基層部と固着させるのが好ましく、固着手段としては初めから枠体と補強材とを固着させておくことにより、この状態の枠体を使用して基層部を成形すれば、枠体と基層部とが補強材を介して固着できるので好ましい。尚、枠体が基層部の上面より突出させる高さは、積層状態の表層部上面の高さと同一の高さか、それよりも多少低い程度の高さである。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、表層部(1)より中層部(2)の透水性が高いため、表層部(1)から浸透した雨水が中層部(2)に極めて浸透し易く、その浸透した雨水は透水性の高い中層部(2)から停滞することなく通過して下方の基層部(3)に流れ込み、且つ、その間における泥やごみ等の目詰まりがなく、しかも、基層部(3)では上部の穴径を大きくした貫通穴(31)が漏斗の役目を成して、中層部(2)から流出した雨水を集めながら貫通穴(31)から効率よく流出させられる。
【0025】
また、本発明では、補強材(5)を埋設したコンクリート製の基層部(3)と、枠体(4)とを具備したことにより、全体の曲げ強度が極めて高く、車道や河川等の荷重が加わる場所においても、充分使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態を示す一部切欠き平面図である。
【図3】本発明の実施形態を示す枠体を装着した基層部の断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す枠体を装着した基層部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態につき、図を基に説明する。図1、図2において、(1)はポーラスコンクリートの表層部である。この表層部(1)は、小粒径の粗骨材に、セメント系バインダーと水、あるは必要に応じてセメントの他に細骨材や粉体等を添加して混合し、それを所定の加圧振動により粗骨材をセメント系バインダーで結合させて、透水性を有する層に形成したものである。
【0028】
この表層部(1)を形成する小粒径の粗骨材としては、例えば川砂,砕石等であり、その粒径は、2〜10mmの範囲が好ましく、特には、JIS7号砕石(粒径2.5mm〜5mm)のものが好適である。
【0029】
表層部(1)の粗骨材を高強度の多孔質層に形成するためには、少なくとも、粗骨材とセメント系バインダーを混練して成形する必要がある。このセメント系バインダーとしては、セメントモルタルやこれに加える混和剤として有機ポリマー、例えばポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等の液状ポリマーが使用され、これらの添加量としてはセメント100重量部当り5〜10重量部を目安に添加すればよい。
【0030】
更に表層部(1)の多孔質層を形成するためには、上記のセメント系バインダーに加える水の量を調整する必要がある。この水の量が多いとセメント系バインダーのペーストが粗骨材間に密集し空隙間が形成されず、他方、水の量が少ないと、良好なペースト状とならず粗骨材を結合することができない。従って、水の量は粗骨材が強く結合し良好な空隙間を形成する最小量を加えるのが好ましい。
【0031】
(2)は本発明のポーラスコンクリート又は粗骨材を敷き詰めた中層部で、表層部(1)の下部に位置する層である。この中層部(2)が、ポーラスコンクリートの中層部(2)の場合、表層部(1)と同様な層であるが、表層部(1)とは透水性が異なり、表層部(1)よりも中層部(2)の透水性を高くしている。この透水性を高くするには、使用する粗骨材が表層部(1)に使用する粗骨材の粒径よりも大きな粒径を使用するのがよい。この中層部(2)の粗骨材の粒径としては、例えば表層部(1)に使用する粗骨材の粒径の2倍〜10倍程度であり、好ましくは3倍〜6倍である。この粒径が2倍以下では表層部(1)の透水率とあまり変らず、10倍以上では粗骨材の結合が難しくなり、中層部(2)のポーラスコンクリートの形成が困難となる。尚、ポーラスコンクリートの中層部(2)を形成するには、粗骨材の粒径が異なる以外、基本的に表層部(1)形成と同様である。
【0032】
また、中層部(2)は、その下部の一部が後述する基層部(3)の貫通穴(31)内に入り込んだ状態で基層部(3)上に固着し積層している。
【0033】
更に、中層部(2)が粗骨材を敷き詰めて形成した場合には、単に粗骨材を基層部(3)上に敷き詰めればよく、その粗骨材は表層部(1)に使用する粗骨材よりも大きい粒径のものを使用している。この粗骨材を敷き詰めた中層部(2)においては、上下を表層部(1)と基層部(3)とに狭まれ、且つ外周が枠体で囲まれているため、安定した強い層が形成される。この場合も中層部(2)は基層部(3)の貫通穴(31)内に入り込んだ状態となり、より安定した層を形成するのである。また、この中層部(2)では、バインダーを使用しないため形成が極めて容易で安価となる。
【0034】
上記した中層部(2)においては、表層部(1)よりも透水性が高く、表層部(1)から透水した雨水を溜めることなく下部の基層部(3)に滑らかに流出できる。従って、この表層部(1)と中層部(2)との2層の組合せにより、この2層における透水率も高められ、且つ、2層間の泥やごみ等の目詰まりが起き難い。
【0035】
(3)はコンクリート製の基層部であり、この基層部(3)には、多数の貫通穴(31)が穿設されている。この貫通穴(31)は、図3及び図4に示すように、上部の穴径を下部の穴径よりも大きく形成させている。この貫通穴(31)の形状として図3では、貫通穴(31)の縦断面形状が、上部が広く湾状にくり貫いた凹部(31a)と、その凹部(31a)の底部に細穴(31b)に形成させている。
【0036】
また、図4においては、貫通穴(31)の縦断面形状が、上部をラッパ状又はV字状の凹部(31a)に大きく穿設し、その底部に細穴(31b)を穿設し、この凹部(31a)と細穴(31b)とで、貫通穴(31)を形成している。このように形成した貫通穴(31)においては、上部の2層から流出した雨水の殆どが、貫通穴(31)上部の凹部(31a)内に効率よく集められ、それが下部の細穴(31b)から排出される。このことは貫通穴(31)の上部の凹部(31a)が漏斗の役目となり、雨水を下部の細穴(31b)に導入するのである。
【0037】
(4)は表層部(1),中層部(2)及び基層部(3)から成る3層の少なくとも外周に設けた枠体であり、この枠体(4)は金属製の板材を四角形に枠組したものである。また枠体(4)は、初めから基層部(3)の外周に固着させておくとよい。この場合には、基層部(3)を成形する際に、枠体(4)と基層部(3)に埋設する補強材とを溶接し固着させ、それを使用して成形用の型枠内にコンクリートを打設し基層部(3)を成形することにより、枠体(4)は基層部(3)と固着状態となる。この状態においては、枠体(4)は基層部(3)の上部が基層部(3)の上面より上方に突出している。この突出した高さは表層部(1)と中層部(2)の略2層の厚さ分である。
【0038】
また、枠体(4)は、その下部を直角に折曲し、折曲した下部が基層部(3)の下面に入り込んだ状態に設けられ、これにより枠体(4)が基層部(3)を下側から保持し、枠体(4)から基層部(3)が下方に抜け出すのをより防止できる。
【0039】
(5)は基層部(3)に埋設した補強材であり、この補強材(5)としては、網目状に組んだ鉄筋やエキスパンド等が使用され、その防錆処理としてエポキシ樹脂塗装が好ましい。また、補強材(5)は基層部(3)の下面近くに埋設すると曲げ強度が高いものとなる。
【実施例1】
【0040】
以下、実施例により本発明を説明する。
【0041】
板厚5mmの鉄板を使用し、高さ95mm、横幅800mm、縦幅400mmの四角形状の枠体(4)内に、補強材(5)を埋設した厚さ40mmのコンクリート製の基層部(3)を成形したものを予め用意し、次いで、セメント7.35Kg、粒径8mmの粗砕石(粗骨材)45.3Kg、川砂の細骨材3.35Kg、水3.5Kgを混合し、それを上記基層部(3)の上に打設し加圧振動させ、厚さ35mmの中層部(2)を積層させた。尚、基層部(3)には、上部の穴径40mm、下部の穴径10mmの貫通穴(31)を50mmピッチ間隔で多数穿設した。
【0042】
更に、セメント5.75Kg、粒径3mmの粗砕石39.23Kg、川砂の細骨材1.25Kg、水2.5Kgを混合し、上記中層部(2)の上に打設し加圧振動させ、厚さ25mmの表層部(1)を積層させ、本発明の透水性コンクリート板を得た。
【0043】
この透水性コンクリート板に降雨量1時間当り20mm相当の散水をしたところ、表層部(1)の上面に水溜りができず次々と透水し下部の貫通穴(31)から散水が排水された。また、この透水性コンクリート板を幅300mmの側溝の蓋として使用し、その上を10tonの車輌を走行させたところ、透水性コンクリート板には何の変形も見られなかった。
【実施例2】
【0044】
実施例1と同様な枠体(4)付きの基層部(3)を予め用意し、その基層部(3)の上に、粒径8mmの粗砕石を加圧振動にて厚さ30mmにて敷き詰めて中層部(2)を形成させた。
【0045】
更に、この中層部(2)の上に、実施例1と同様な表層部(1)を形成させて、透水性コンクリート板を得た。
【0046】
この実施例2で得た透水性コンクリート板に実施例1と同様の散水をしたところ、表層部(1)の上面に水溜りができず、良好な透水性と排出がされ、且つ、実施例1と同様な車輌走行テストにおいても何ら変形がなかった。
【符号の説明】
【0047】
1 表層部
2 中層部
3 基層部
31 貫通穴
31a 凹部
31b 細穴
4 枠体
5 補強材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポーラスコンクリートの表層部(1)と、コンクリート製の基層部(3)と、前記表層部(1)と前記基層部(3)との中間で、前記表層部(1)よりも透水性の高い中層部(2)との3層から成り、前記基層部(3)には、内部に補強材(5)を埋設させると共に、多数の貫通穴(31)を穿設させ、且つ、該貫通穴(31)が、その上部の穴径を下部の穴径よりも大きく形成させ、前記中層部(2)を前記基層部(3)の上面及び前記貫通穴(31)内に積層させると共に、この中層部(2)の上に前記表層部(1)を更に積層させ、且つ、これら3層の少なくとも外周に、枠体(4)を装着させたことを特徴とする透水性コンクリート板。
【請求項2】
前記中層部(2)が、粗骨材を使用したポーラスコンクリートであり、且つ、その粗骨材の粒径が前記表層部(1)の粗骨材の粒径よりも大きくした請求項1記載の透水性コンクリート板。
【請求項3】
前記中層部(2)が、粗骨材を敷き詰めた請求項1記載の透水性コンクリート板。
【請求項4】
前記貫通穴(31)が、その上部を広くくり貫いた凹部(31a)と、その凹部(31a)の底部に穿設した細穴(31b)とから成る請求項1、2又は3記載の透水性コンクリート板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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