説明

透視性を有する装飾材

【課題】シート表面の見る角度によって複数の画像又は立体的に見える画像を表示することができ、シート裏面から反対側を透視しやすく、シート表面から反対側を透視し難い特殊装飾材を提供する。
【解決手段】シート裏面に透視制御領域を有し、シート表面から見たときに透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を有し、開口部の面積が裏面側よりも表面側の方が大きい(好ましくは穴の縦断面の形状が略台形状である)透視可能な穴を有し、穴の側面に印刷が施されていることを特徴とする透視性を有する装飾材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業ビルの窓や自動車の窓などへ貼付する広告媒体、装飾用媒体又は防犯用シートであり、それぞれの面が異なる画像を有し、かつ一方の面からは反対側を比較的透視しやすく、もう一方の面からは反対側を比較的透視しづらい特殊装飾材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透視性を持ったまま、シートの両面に互いに異なる画像を持たせた特殊装飾材を作製するために、それぞれの画素の異なる画像をドット状に描画したシートを見合わせ精度よく貼り合わせ、その後一方のシートを剥離しそのシート上の画素をもう一方のシート上の画素へ転写して特殊装飾材を得る方法(特許文献1)や密着性能の異なるインクを用いて画像を描画後、粘着シートを用いて不要部分を選択的に除去する方法(特許文献2)などが提案され、実用化されている。現在では特殊装飾材の意匠性から店舗や商用車などの商業用途から個人用途まで幅広く使用されている。
【0003】
しかしながら、これらの手法によって作製される特殊装飾材は単一の画像しか表示できなかった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−92694号公報
【特許文献2】特開平5−92695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は従来技術にはなかった、シート表面の見る角度によって複数の画像又は立体的に見える画像を表示することができ、シート裏面から反対側を透視しやすく、シート表面から反対側を透視し難い特殊装飾材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)シート裏面に透視制御領域を有し、シート表面から見たときに透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を有し、開口部の面積が裏面側よりも表面側の方が大きい透視可能な穴を有し、穴の側面に印刷が施されていることを特徴とする透視性を有する装飾材。
(2)前記シート表面の斜め左右から見たときに、異なる意匠が視認できるように穴の側面の左右に印刷が施されている前記(1)に記載の装飾材。
(3)シート表面に印刷が施されている前記(1)又は(2)に記載の装飾材。
(4)シート表面の印刷が、シート表面の斜め左右から見たときと異なる意匠が視認できるように施されている前記(3)に記載の装飾材。
(5)シートが発光シートである前記(1)〜(4)のいずれかに記載の装飾材。
(6)穴の縦断面の形状が略台形状である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の装飾材。
(7)穴の形状が略円錐台形状、角錐台形状又は台形状である前記(6)に記載の装飾材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シート表面及び斜め左右から見たときに異なる複数の画像又は立体的な画像を表示可能で、シート表面からは向う側を透視し難くシート裏面からは向う側を透視しやすい特殊装飾材を提供することができる。更に、シートを発光シートとすることで、昼夜あるいは明室、暗室のような様々な照明環境下において様々なバリエーションの装飾性の視認が可能な特殊装飾材とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の装飾材は、シート裏面に透視制御領域を有し、シート表面から見たときに透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を有し、開口部の面積が裏面側よりも表面側の方が大きい透視可能な穴を有し、穴の側面に印刷が施されたものである。
【0009】
本発明に用いるシートとしては、例えば、高分子シート、発光シート(例えば、EL発光シート)、紙等が挙げられる。
【0010】
前記高分子シートとしては、特に制限はないが、フレキシブルであることが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等のポリアミド;ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレートが挙げられ、その厚みは10〜5000μmが好ましく、15〜1000μmが更に好ましい。
【0011】
本発明に用いる紙としては、例えば、上質紙、コート紙、グラシン紙、ポリエチレンやポリプロピレン等をラミネートしたラミネート紙などを挙げることができ、その厚みは10〜5000μmが好ましく、15〜1000μmが更に好ましい。
【0012】
前記シートの裏面には、黒色、青色、茶色等の光を反射、散乱しない色目のインクを用いて印刷することにより透視制御領域を形成する。更に前記シートの表面に、白色、黄色等の光を反射、散乱しやすい色目のインクを用いて印刷することにより、透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を形成する。シート裏面に透視制御領域を印刷で設ける場合には、基材である高分子フィルムや紙自体を光を反射、散乱しやすい色目に着色することで不透明層を形成してもよい。またシート裏面に不透明層を印刷で設ける場合には、基材である高分子フィルムや紙自体を光を反射、散乱しない色目に着色することで透視制御領域を形成してもよい。これにより、表面からは向こう側を透視し難く、裏面からは向こう側を比較的透視しやすい特殊な効果を得ることができる。
【0013】
本発明に用いるシートとしてEL発光シート等の発光シートを用いれば、夜間でも視認性が良好な発光型装飾材とすることができる。
【0014】
EL発光シートとしては、例えば、基材上に、少なくとも、第1電極層、発光層及び第2電極層を設けたものが挙げられる。
【0015】
前記基材としては、前記高分子シートで例示したものを挙げることができ、シート表面から発光が容易に視認できるという発光シートの利点を生かすため、透明な基材であることが好ましい。
【0016】
第1電極層に用いられる材料としては、特に制限はなく、例えば酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の金属酸化物の薄膜、貴金属の超薄膜が挙げられ、なかでも透明なものが好ましい。第1電極層として金属酸化物の薄膜を用いる場合、厚みは、通常50〜50000nmである。第1電極層は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法等の物理的蒸着法、あるいは熱CVD(Chemical Vapor Deposition)法、プラズマCVD法、光CVD法等の化学的気相成長法、あるいはバインダー等に分散した導電ペーストを用いて、印刷や塗布によって形成することができる。
【0017】
本発明においてEL発光シートを用いる場合、発光層は第1電極層と第2電極層との間に設ける。発光層は平面状で全面に設けられても、部分的に設けられてもよい。
【0018】
発光層の材料としては、EL発光が可能なものであれば特に制限はなく、ZnS:X(但し、Xは、Mn,Tb,Cu,Sm,Ag等の付活元素である。)、YS:Eu,Y:Eu,ZnSiO:Mn,CaWO:Pb,BaMgAl1017:Eu,CaS:Eu,SrS:Ce,SrGa:Ce,CaGa:Ce,CaS:Pb,BaAl:Eu,YVO:Eu等の無機EL材料;アルミニウム・キノリノール錯体、芳香族ジアミン誘導体(例えば、トリフェニルジアミン誘導体)等の低分子型有機EL材料;ポリフェニレンビニレン等の高分子型有機EL材料のいずれを用いてもよい。発光層の厚みは、通常0.1〜50μmである。例えば、無機EL材料を用いる場合、これらを含有する液を塗布し、乾燥することにより発光層を形成することができ、有機EL材料を用いる場合には、真空蒸着法、インクジェット法を用いることができる。
【0019】
EL発光シートを用いる場合においては、発光効率を高める点から誘電体層を設けることが好ましい。誘電体層は、第1電極層と第2電極層との間に設け、好ましくは発光層と第2電極層との間に設ける。誘電体層の材料としては、高誘電率材料が好ましく、例えばチタン酸バリウム、酸化シリコン、窒化シリコン、アンチモンドープ酸化スズ、酸化イットリウム等が挙げられる。誘電体層の厚みは、通常0.1〜50μmである。誘電体層は、例えば、前記の材料をスパッタリング又は前記の材料を含有する液を塗布し、乾燥することにより形成することができる。
【0020】
第2電極層としては、前記第1電極層に用いられる材料として例示したものを用いることができ、導電性材料であれば特に制限はないが、光を反射、散乱しない着色層又は光を反射、散乱しやすい着色層となりうるものが好ましい。このように光を反射、散乱しない色に着色された第2電極層は透視制御領域を兼ね備えたものとなり、光を反射、散乱しやすい色に着色された第2電極層は透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を兼ね備えたものとなる。例えば導電ペースト、物理的蒸着によって製膜した金属膜等や第1電極層で例示したものが挙げられる。第2電極層の厚みは、通常50〜50000nmである。第2電極層の形成方法は、第1電極層の形成方法で例示したものが挙げられる。
【0021】
第2電極層を形成させた後、第2電極層の保護層として、例えば粘着シートを第2電極層上に貼合することにより発光シートを得ることができる。この保護層自体を光を反射、散乱しない色に着色、又は保護層に光を反射、散乱しない色目の印刷を施すことで透視制御領域を形成してもよい。
【0022】
このようにして、裏面に透視制御領域を有する発光シートを得ることができる。
本発明の装飾材における透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を形成する方法としては、前記シート表面に印刷する方法に限られず、基材としての高分子シート、紙や第1電極層、発光層、誘電体層自体を白色、黄色等の光を反射、散乱しやすい色目に着色する方法なども挙げられる。シートが発光シートの場合には、発光層に対してシート表面の反対側に透視制御領域との間に隠蔽可能な不透明層を設けることが好ましい。
【0023】
本発明の装飾材は、シートに穴あけ加工を施すことにより透視性が得られる。また、貫通穴の開口部の面積が裏面側よりも表面側の方が大きく、すなわち貫通穴に斜面を形成させ、好ましくは、穴の中心点に沿った少なくとも一方向の縦断面の形状が略台形状になるように穴あけ加工することにより、例えば、穴の斜面の相対する向きにそれぞれ異なる模様、文字等を印刷することが可能になり、複数の画像を表示する特殊装飾材とすることができる。また、表面側の正面(シート表面)及び斜面(穴の側面)の模様、デザイン等を適宜組み合わせて印刷することにより、立体的な画像を表示する特殊装飾材とすることができる。
【0024】
図1に、本発明の装飾材において、穴の中心点に沿った縦断面の形状が台形状である状態を表す断面図を示す。
【0025】
図1においてθで示される裏面側の水平に対する傾斜角度は、通常15°以上90°未満、好ましくは25〜60°である。
【0026】
前記の高分子シート、発光シート等のシート状物を、開口部の面積が裏面側よりも表面側の方が大きく、かつ、シートが透視性を有するように穴あけ加工することにより本発明の装飾材を得ることができる。穴あけ加工は、透視性が得られ、かつ穴の側面に印刷を可能にする方法及び状態であれば特に制限はないが、マトリックス状になるように施すことが好ましい。
【0027】
穴の形状は、穴の中心点に沿った少なくとも一方向の縦断面の形状が略台形状になることが好ましく、例えば、角錐台形状(好ましくは四角錐台形状;図2参照)、円錐台形状(図3参照)、台形状(図4参照)が挙げられる。表面側の穴径(直径又は対角線の長さ)は、通常0.3〜50mm、好ましくは0.5〜30mmであり、穴と穴の中心間の間隔は、通常0.1〜50mm、好ましくは0.5〜30mmである。裏面側の穴径(直径又は対角線の長さ)は、通常0.1〜45mm、好ましくは0.3〜25mmである。
【0028】
穴あけ加工に用いる方法としては、例えば金型(平面刃や回転刃)を用いた打抜き加工やレーザー加工等が挙げられる。
【0029】
穴あけ加工されたシート状物の穴の斜面の相対する向きにそれぞれ異なる模様、文字等を印刷することにより、複数の画像を表示する特殊装飾材とすることができる。また、表面側の正面(シート表面)及び斜面(穴の側面)の模様、デザイン等を適宜組み合わせて印刷することにより、立体的な画像を表示する特殊装飾材とすることができる。前記の印刷には、透明性カラーインク、カラーフィルターなどで模様、文字等を用いることができる。
【0030】
表面側の正面(シート表面)を印刷する方法としては特に制限はなく、例えばインクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等を挙げることができる。斜面(穴の側面)を印刷する方法としては、インクジェット印刷等が挙げられる。
【0031】
本発明の装飾材を商業ビルの看板や窓あるいは自動車などへ貼付する広告媒体、装飾用媒体又は防犯用シートとして用いる場合、装飾材両面にそれぞれ保護シートを貼合することにより、装飾材を保護することができる。前記保護シートは透明であれば特に制限はないが、耐擦傷(ハードコート)処理が施されているものが好ましい。装飾材を壁や窓などに貼付する場合には、各種市販の接着剤を用いればよい。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
(実施例1)
基材として厚み250μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)の一方の面(裏面)に黒色をカラープリンター(富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color f360)を用いてベタ印刷(全面)し、透視制御領域を設けた。透視制御領域を隠蔽可能な不透明層として他方の面(表面)の全面に白色で、「LINTEC」の文字を水色でカラープリンター(富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color f360)を用いて印刷した。更に、フラットダイカット装置(UHT(株)製RFP−S20)を用いて、表面側の穴径(対角線の長さ)が1mm、穴と穴の中心間の間隔が2mmで、裏面側の穴径(対角線の長さ)が0.7mm、図1においてθで示される裏面側の水平に対する傾斜角度が59.0°のマトリックス状になるように四角錐台形状の金型を用いて穴あけ加工を施して透視性を有するシートを得た。
【0034】
その後、穴の側面に東洋インキ製SS66系インクで斜め左方向から見たときに文字「2006」が、斜め右方向から見たときに文字「LIP212」が浮かび上がって見えてくるようにそれぞれインクジェットで印刷して透視性を有する装飾材を作製した。正面、左右見る方向により異なる画像を視認でき、表面からは向こう側が視認し難く、裏面からは向こう側が視認しやすいという視認性を確認することができた。また屋外を見渡せる窓ガラスに屋内側に取り付け、屋内の照明を消したところ、前記印刷を正面、左右方向共に視認できず、屋外の風景が見えるようになった。
【0035】
(実施例2)
図5及び6を用いて説明する。
基材1としての厚み100μmのポリエチレンテレフタレートシート(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製ダイアホイルT−100)上に厚み100nmの第1電極層2としてITOをスパッタリングによって製膜した。その後、第1電極層2のITO面上に発光層3と透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を兼ねた黄白色のZnS:Cu液(藤倉化成(株)製FEL−190)を40μmの厚みになるように塗布し、100℃の乾燥機にて30分間乾燥後、発光層3上に続けて誘電体層4となるチタン酸バリウム液(藤倉化成(株)製FEL−615)を30μmの厚みになるように塗布し、同じく100℃の乾燥機にて30分間乾燥した。その後、前記誘電体層4(チタン酸バリウム)上に透視制御領域を兼ねた第2電極層5として黒色の導電ペースト(藤倉化成(株)製FEA−685)を30μm塗布後、100℃の乾燥機にて30分間加熱して硬化させて、その上に粘着シート6(リンテック(株)製PET50(A) PLシン)を貼合して発光シート7を得た。発光シート7は、第1電極層2−第2電極層5間に電圧を加えることで、基材1側より発光することができる。
【0036】
その後、発光シート7に、フラットダイカット装置(UHT(株)製RFP−S20)を用いて、表面側の穴径(対角線の長さ)が1mm、穴と穴の中心間の間隔が2mmで、裏面側の穴径(対角線の長さ)が0.7mm、図1においてθで示される裏面側の水平に対する傾斜角度が33.7°のマトリックス状になるように四角錐台形状の金型を用いて穴あけ加工を施した。シートの表面側に透明性カラーインク9を用いてインクジェット印刷で文字「LINTEC」を正面から印刷し、斜め左方向から見たときに文字「2006」が、斜め右方向から見たときに文字「LIP212」が浮かび上がって見えてくるようにそれぞれ印刷して透視性を有する装飾材10を作製した。
【0037】
明るい室内において、シート表面の正面から見たときには「LINTEC」の文字が、斜め左方向から見たときには「2006」の文字が、斜め右方向から見たときには「LIP212」の文字が浮かび上がって見ることができ、シートの向う側を見ることはできなかった。シート裏面からは、穴を通して向こう側を見ることができた。
【0038】
シート表面側を暗くしてシート裏面側を明るくすると、シート表面の印字は3方向から見ることはできなかったが、穴を通して向こう側を見ることができた。シート裏面からは、向こう側を見ることができなかった。
【0039】
暗い室内において、厚み方向に電圧が印加されるように周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加したところ、シート表面から発光し、正面、斜め左右方向から異なる文字を認識でき、発光していないときとは違った装飾効果を得ることができた。
【0040】
(実施例3)
穴あけ加工用に円錐台形状の金型(表面側の穴の直径が1mm、穴と穴の中心間の間隔が2mm、裏面側の直径が0.7mm)を用いた以外は実施例2と同様にして透視性を有する装飾材を得た。
【0041】
明るい室内において、シート表面の正面から見たときには「LINTEC」の文字が、斜め左方向から見たときには「2006」の文字が、斜め右方向から見たときには「LIP212」の文字が浮かび上がって見ることができ、シートの向う側を見ることはできなかった。シート裏面からは、穴を通して向こう側を見ることができた。
【0042】
シート表面側を暗くしてシート裏面側を明るくすると、シート表面の印字は3方向から見ることはできなかったが、穴を通して向こう側を見ることができた。シート裏面からは、向こう側を見ることができなかった。
【0043】
暗い室内において、厚み方向に電圧が印加されるように周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加したところ、シート表面から発光し、正面、斜め左右方向から異なる文字を認識でき、発光していないときとは違った装飾効果を得ることができた。
【0044】
(実施例4)
穴あけ加工用に台形状の金型(表面側の穴サイズがタテ1mm、ヨコ1mm、穴と穴の中心間の間隔が2mm、裏面側の穴サイズがタテ1mm、ヨコ0.7mm)を用いた以外は実施例2と同様にして透視性を有する装飾材を得た。
【0045】
明るい室内において、シート表面の正面から見たときには「LINTEC」の文字が、斜め左方向から見たときには「2006」の文字が、斜め右方向から見たときには「LIP212」の文字が浮かび上がって見ることができ、シートの向う側を見ることはできなかった。シート裏面からは、穴を通して向こう側を見ることができた。
【0046】
シート表面側を暗くしてシート裏面側を明るくすると、シート表面の印字は3方向から見ることはできなかったが、穴を通して向こう側を見ることができた。シート裏面からは、向こう側を見ることができなかった。
【0047】
暗い室内において、厚み方向に電圧が印加されるように周波数1000Hzの交流電圧100Vを印加したところ、シート表面から発光し、正面、斜め左右方向から異なる文字を認識でき、発光していないときとは違った装飾効果を得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の装飾材において、穴の中心点に沿った縦断面の形状が台形状である状態を表す断面図である。
【図2】穴の形状が四角錐台形状であるシートの表面図及び裏面図である。
【図3】穴の形状が円錐台形状であるシートの表面図及び裏面図である。
【図4】穴の形状が台形状であるシートの表面図及び裏面図である。
【図5】実施例2で作製した透視性を有する装飾材の穴が存在しない部分の断面図である。
【図6】実施例2の製造工程の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ポリエチレンテレフタレートシート(基材)
2 ITO(第1電極層)
3 発光層(ZnS:Cu)
4 誘電体層(チタン酸バリウム)
5 導電ペースト(第2電極層)
6 粘着シート
7 発光シート
8 穴あけ加工後の発光シート
9 透明性カラーインク
10 透視性を有する装飾材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート裏面に透視制御領域を有し、シート表面から見たときに透視制御領域を隠蔽可能な不透明層を有し、開口部の面積が裏面側よりも表面側の方が大きい透視可能な穴を有し、穴の側面に印刷が施されていることを特徴とする透視性を有する装飾材。
【請求項2】
前記シート表面の斜め左右から見たときに、異なる意匠が視認できるように穴の側面の左右に印刷が施されている請求項1記載の装飾材。
【請求項3】
シート表面に印刷が施されている請求項1又は2記載の装飾材。
【請求項4】
シート表面の印刷が、シート表面の斜め左右から見たときと異なる意匠が視認できるように施されている請求項3記載の装飾材。
【請求項5】
シートが発光シートである請求項1〜4のいずれか1項に記載の装飾材。
【請求項6】
穴の縦断面の形状が略台形状である請求項1〜5のいずれか1項に記載の装飾材。
【請求項7】
穴の形状が略円錐台形状、角錐台形状又は台形状である請求項6記載の装飾材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−207388(P2008−207388A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−44427(P2007−44427)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】