透過性を有する細胞膜上の微生物の検知及び識別
【課題】
【解決手段】本発明は、固形栄養素培地に組み込まれた光透過性の分子透過性の細胞膜上の規則的又は短い(数時間)の成長期間後に、微生物のコロニー又は微小コロニーを素早く検知し識別することを記載している。細胞膜上に現れるコロニー又は微小コロニーは、成長プレートから指標基質にて充填された純粋な寒天又は紙のような他の培地に容易に移送され得る。濾過可能又は濾過不可能なサンプルがこの方法によって分析される。検知及び識別の異なる方法の多くは、微小コロニー形式で本発明を用いることにより実現される:それは全ての生きた細胞又は特定の生きた細胞の検知及び列挙;抗生物質に耐性のある微生物の検知と同時に識別;免疫学的な検知の別の方法;自動化された画像識別器のような機械的な分析を用いる検知及び列挙である。
【解決手段】本発明は、固形栄養素培地に組み込まれた光透過性の分子透過性の細胞膜上の規則的又は短い(数時間)の成長期間後に、微生物のコロニー又は微小コロニーを素早く検知し識別することを記載している。細胞膜上に現れるコロニー又は微小コロニーは、成長プレートから指標基質にて充填された純粋な寒天又は紙のような他の培地に容易に移送され得る。濾過可能又は濾過不可能なサンプルがこの方法によって分析される。検知及び識別の異なる方法の多くは、微小コロニー形式で本発明を用いることにより実現される:それは全ての生きた細胞又は特定の生きた細胞の検知及び列挙;抗生物質に耐性のある微生物の検知と同時に識別;免疫学的な検知の別の方法;自動化された画像識別器のような機械的な分析を用いる検知及び列挙である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本願は、発明の名称が「透過性を有する細胞膜上の微生物の検知及び識別」である米国仮特許出願第60/896,321号に基づく優先権を主張し、その内容全体は引用を以て本願への記載加入とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本開示は、一般に生物学の分野に関し、特に微生物の微小コロニーを素早く検知し、識別し、列挙する生物学の分野に関する。
【0003】
近年の微生物学的な分析は、以下の2つの主たる傾向に基づく:1)予備的な成長無しの分析及び2)そのような予備的成長後の分析。1番目の傾向は、幾つかの免疫学的な方法のグループ[例えば、1つの細胞についての免疫蛍光検査、放射免疫測定、免疫学的検定];ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA/RNA分析に基づく方法のグループ;及びフローサイトメトリ法のグループ[蛍光抗体又は蛍光発生基質によるラベリングの後に1つの細胞の検知]を含む。
顕微鏡手段によって細胞を検知し分析するのに、人工的な基質もまた用いられ得る。それにも拘わらず、これらの方法(PCR及び免疫学)の幾つかは、生きた細胞の検知には利用できない。人工的な基質(主に蛍光発光基質)と組み合わされるフローサイトメトリは生きた細胞を検知できるが、非常に高価であり、凝縮されたサンプルと同様に研究所内に非常に熟練した専門家を要求する。
また、種々の医学、生物工学、食物、農業、製薬、環境上、及び軍事上のサンプルにて、生きた細胞を検知し識別する迅速で安価で効果的な方法が、多くの人間のニーズにとって重要である。
そして微生物学の中で細胞を使用する頻繁に用いられているテスト[脂肪酸のクロマトグラフィー、酵素免疫吸着法(ELISA)、質量分析、フーリエ変換赤外(FTIR)分光学及び免疫分析]の全ては、微生物のコロニーの予備成長を要求し、それは検知と識別が起こる前に時間を消費する少なくとも1つの最初の細胞培養を表わす。
【0004】
これらの先端技術の代替品にも拘わらず、ペトリプレート上で規則的に成長させることは、まだサンプルの中にある微生物を検知するために使用される最も一般的な方法である。
一般的な分析は、幾つかのサンプルの10倍の稀釈を実行し、その後に寒天培地の表面上に平等に分配された1ミリリッターの希釈されたサンプルを用いるだろう。
10倍の稀釈液の量は、通常は任意の範囲(例えば、1〜12)であり得て、特定の範囲の希釈液はペトリプレートに置かれて、微生物コロニーを数えるのにふさわしい稀釈液を見つける。
しかし、ことによると、幾つかの1ダース又はより多くのペトリプレートを要求するかも知れない。実際上、FDAによって推奨されるように、1つの可算プレート上のバクテリアのコロニーの数が250を越えないときに、正確な稀釈が見出される。
この数を達成すべく、接種を受けたプレートは、バクテリアのために約24−48時間培養され、菌類のために約72−120時間培養される。
従って、肉眼で容易に見えるコロニーを形成するには、比較的長い時間が必要である。
しかし、サンプルが時間の影響を受け易いバイオハザードの事象、あるいは重大な看護中の病院患者に帰属する場合、時間は最も重要であり、時間を消費する培養及び連続したテストは可成りの負担になり、潜在的に生命に危険を及ぼす結果を有する。
【0005】
固形の栄養素培地に現われるコロニーは、微生物の成長の総和の検知及び列挙のために単に数えられるか、又は従来の微生物学の手順、質量分析、FTIR分光学、クロマトグラフィー、免疫測定又はPCRによって除去され分析される。
【0006】
疑わしいコロニーの除去、及び長時間で厄介な従来の方法、又は複雑で高価なハイテク方法及び装置によるそのコロニーのその後の分析は、対象であるコロニーの成長及び同時に特定の採色を許す、特別の物質、基質及び抗生物質を含むCHROMagar(商標)培養液の発明に結びついた。
CHROMagar(商標)カンディダ、CHROMagar(商標)O157、CHROMagar(商標)サルモネラ菌、CHROMagar(商標)ブドウ状球菌、アウレウス及び他の或るものは、ピンク、緑又は青色によって対象となるコロニーの識別に現在使用されている。採色を始める物質は、細胞本体に集められて、成長上の問題を引き起こす。従って、コロニーは不規則に小さく、培養の延長を何度も必要とする。
色が薄いので、規則的なサイズのコロニーだけは検知されることができる。また、僅かな光吸収は顕微鏡検査には役立たない。これは、CHROMagar(商標)の使用では、微小コロニー(コロニー形成の初期段階)は検知されることができないことを意味する。
対象の或る種及び他の若干の種だけがCHROMagar(商標)の上で成長する場合がある。従って、CHROMagar(商標)は、微生物学の中で最も一般的に使用される広範囲(生存可能な有機体の合計)微生物の検知及び列挙には役立たない。
【0007】
全体的にペトリプレート上の成長は、医学上、産業上、生物工学上、研究及び製薬の研究所で用いられる一般的な微生物学の作業である。毎年、これらの方法によって、世界中で何億もの分析が実行される。このようにして、微生物を検知し、識別し、列挙することができる、より効率的でコスト効率が良く、正確で、タイムリーな製品及び手順を求める莫大な需要がある。
【発明の概要】
【0008】
発明の要約
本開示は、従来技術による制限を克服する装置、方法及び材料を提供する。特に、本開示は微生物を検知し、識別し、又は列挙する装置を用いてこれを達成し、装置は微生物の成長を維持すべく、栄養を供給する培地のコンテナ、栄養素培地と接触する多孔性の要素(流動床)又は多孔性の細胞膜を含む。多孔性の要素自体は、栄養素培地が通り抜けることを許して、従来の普通サイズのコロニー及び微小コロニー(一緒に「コロニー」と呼ぶ)の両方について成長を維持する。そして、多孔性の要素はコンテナから、指標及び更なる視覚的な検査を介した更なる処理の為に、他の箇所に移送可能である。
【0009】
コロニーが多孔性の要素を介して移送可能であるから、細胞及び微小コロニーについての成長及び指標段階は、最適な結果の為に分離され得る:その中に成長を遅らせる有害な指標がない状態で、細胞を速く成長させる成長段階、及び小さなサイズの微小コロニーが素早く効率的に検知されることを許す色付けと識別を専ら行う指標段階である。
更に、細胞が初期に微小コロニーサイズにて早い段階に査定されたならば、細胞は本発明にて効率的に検知され得るから、引き続き希釈することはましてや、必要ではない。
このようにして、本発明は従来技術の制約を克服し、この制約とは複数のコロニーが互いに成長し過ぎることを防ぐ為に、引き続いて希釈した後に、例えばCHROMagarを介して延長された培養から従来の普通サイズの微小コロニーを本質的に要求することである。
本発明では、僅かの希釈が必要、又は希釈が必要でないから、早く達成され、研究所の資源も保護される。特に、多孔性の要素が、多孔性の要素、又は多孔性の要素の上層に位置する栄養素培地の何れかの上にあるコロニーとともに、広範な処置の処理工程に移動され、該処理工程は生化学的な指標処理又は手動或いは自動化された視覚検知、列挙、及び標準的な光顕微鏡の下で容易に見える色付けらえた微小コロニーの形状分析(形状による区別)を含む。培地又は多孔性の要素上でサンプルに予防接種を許すべく、多孔性の要素はサンプルの液体部分が多孔性の要素をコンテナ内で下向きに伝えられる(communicate)ことを許す特性を持っている。
その後、サンプルから捕捉した細胞の成長を促進させるべく、多孔性の要素には培地からの栄養素が多孔性の要素を通って細胞へ伝えられることを許す特性を持っている。
次に、細胞が指標で処理されることを可能にするために、多孔性の要素には異なる色素又は抗体共役のような生化学的な指標が多孔性の要素を通って、細胞へ伝えられることを許し、その一方、多孔性の要素上の細胞及び微小コロニー全体を、微小コロニーを溶解し、洗い流すことなく維持する特性を持っている。
最後に、細胞と微小コロニーが検査されることを可能にするために、多孔性の要素は透明の視覚的な特性を有する。
【0010】
培地上に位置する多孔性の要素の2つの異なる実施例が存在する。第1の実施例では、多孔性の要素は培地層の上に配置され、後のあらゆる培地にも覆われていない。
細胞の輸送を有効にするために、この実施例中の多孔質膜には、評価されることが所望される最小の細胞よりも大きな多孔率を有さず、多孔性の要素上の細胞を捉える。このようにして、
多孔性の要素が後の処理の為に、搬送されるべき培地から取り除かれる場合、細胞とコロニーは多孔性の要素を無傷で伴う。多孔性の要素はそれ自体は背景に蛍光がないので、この第1の実施例は蛍光性の分析に役立つ。
第2の実施例では、多孔性の要素は培地層の上に配置され、続いて更なる培地で覆われている。
この実施例では、細胞と微傷コロニーは更なる培地上に存在するだろう。このようにして、細胞と微小コロニーが、多孔性の要素自体より上層の更なる培地の上面上に捉えられるので、多孔性の要素は最小の細胞より大きな気孔サイズを有することができる。
従って、多孔性の要素がコンテナから取り除かれる場合、多孔性の要素上の更なる培地を該培地の上に存ずる微小コロニーとともに要する(take)。第2の実施例は、微小コロニーの光吸収性の彩色には役立つが、蛍光の検知には役立たない、何故なら培養液自体は、高い量の背景蛍光を有するからである。
【0011】
便利な試験を提供すべく、テストキットシステムは、微生物の成長を促進するために栄養素を提供する培地のコンテナ;浸透性の細胞膜;及び以下のグループから含まれる第2の培地を含み、該グループはアガロース、カラゲーニン、ゼラチン、又は色素形成基質、蛍光発生基質あるいは蛍光性か、ラジオ標識抗体のような指標分子を解放させることができるキャリアであり得る他のジェルからなる。
【0012】
全体として、本発明はより速く、より効率的で、高価でなく、更に頑丈な装置、及び強く着色された微小コロニーによって、視認可能な微小コロニー又は微生物の総数(TVO)を検知する手段;種又は種のグループには半ば特定される微小コロニーの容易に見える形状によって1の微小コロニーのタイプを他とは区別する手段;耐抗生物質性の微生物の微小コロニーを検知し識別する手段;光吸収性手段又は蛍光手段によって検知し区別し及び/又は識別する手段を提供する。
本開示のこれら及び他の対象物及び利点は、以下の好ましい実施例の詳細な記述を読んだ後に、当業者には明白になるだろうし、それらはまた、種々の図面にも示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここに含められる図面は、本明細書に組み込まれ且つ本明細書の一部を形成する。図面は、詳細な記載と共に、本発明の実施例を示し、本発明の原理を説明するのに役立つ。この記載に言及する図面は、特にそのように注釈していなければ、寸法通りに描かれていない。
【0014】
【図1】図1は、本開示の一実施例に従って、溶液内の細胞を用いてサンプルを評価する多孔性且つ構造的要素、及び成長培地要素の2つの実施例の空間的且つ機能的な関係を示す機能ブロック図である。
【0015】
【図2A】図2Aは、本開示の一実施例に従って、その上に多数の濾過要素を具えた寒天培地の容器である。
【0016】
【図2B】図2Bは、本開示の一実施例に従って、培地と濾過要素の空間的な関係を示す多数の実施例の断面図である。
【0017】
【図3】図3は、本開示の一実施例に従って、培地と運搬可能な多孔性の要素を用いることにより、微小コロニーを検知する細胞検知キットの要素及び工程を示す。
【0018】
【図4】図4は、本開示の一実施例に従って、色付け用の別個の第2培地とともに、多数の多孔性の要素をその上に有する寒天培地のコンテナ内の培養物の注釈付きの写真である。
【0019】
【図5】図5A乃至図5Hは、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたバシラス属の幾つかの異なる種の顕微鏡写真である。
【0020】
【図6】図6は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたリステリア属からの種の顕微鏡写真である。
【0021】
【図7】図7は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたブドウ球菌属からの種の顕微鏡写真である。
【0022】
【図8】図8は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別された大腸菌からの種の顕微鏡写真である。
【0023】
【図9】図9は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたシュードモナス菌属からの種の顕微鏡写真である。
【0024】
【図10】図10は、本開示の一実施例に従って、細胞及び微小コロニーを検知し識別する工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な記載
本発明の好ましい実施例への詳細な説明が為される。好ましい実施例の例は、添付の図面に示される。本発明は、好ましい実施例について記載されるが、それらは発明を限定することを意図していないと理解される。むしろ、添付の請求の範囲に定義されるように、本発明は、発明の精神及び範囲に含まれる代替物、修正及び均等物をカバーすることを意図している。更に、本開示の以下の詳細な説明にて、特定の詳細な記載は、本開示の完全な理解の為に記載される。しかし、当業者にとって、本開示はこれらの特定の詳細な記載無しで実施され得ることは自明である。他の例に於いて、周知の方法、手順、微生物学的な詳細は、本開示の態様を不必要に曖昧にしないように、詳細には記載されていない。
【0026】
用語及び説明
成長培地 成長培地は、本発明の文脈内にて、微小コロニーの成長に用いられる栄養素培地である。それは、トリプシン作用の大豆寒天のような細菌増殖用の一般的な培地、及びサブロー(saboraud)ブドウ糖寒天培地のような菌類用及びイースト成長用培地、又はシュードモナス種の成長に使用されたセトリマイド寒天のような特別のグループの微生物の成長に使用された培地、或いはグラム陰性の腸の病原体を明らかにするのに使用されたMacConkey寒天培養基であり得る。培養基は、その表面上で取り付けられた多孔性の要素用の固体基板として役立つ。
【0027】
微小コロニー 微小コロニーは、孵化の3−6時間後に現われる小さなコロニーである。微小コロニーの典型的なサイズは10-100μmである。それらは無色で普通の光学顕微鏡では目に見えない。黄色の黄色ブドウ球菌のような有色の微小コロニーでさえ、光学顕微鏡では通常目に見えない。従って、微小コロニーは目に見えるようになるためは、に一般的には色をつける必要がある。大多数の微生物の種は、成長(3-6時間)の初期段階中に特定の形の微小コロニーを生成する。
とても多くの場合、形の差は明白なので、分析者は、単に所定の微小コロニーの形によって種を区別する好機を有する(図5A−図5H及び図6−図9を参照)。微小コロニーは互いに機械的に接続されない細胞の鎖から成る。従って、微小コロニーの細胞が互いから関係を断たないように、全ての培養基及び補助的な培地は自由な液体を含んではならない。
全ての栄養素液体及び分解された物質は、アガロース又は他の重合体のゲルによって結ばれる。
【0028】
細胞膜. 細胞膜、即ち多孔性の要素は、微小コロニーを見易くし、特定の形を調査するように、成長及びラベルを張り付けることを許す重要な資料である。この細胞膜用の必要条件は下記である:
顕微鏡を用いて使用される時、光の透過を許すために光透明性でなければならない;
微小コロニーの形成中に微生物に食物を与えて、かつ続いてそれらの微小コロニーに色をつけるために、水及び栄養素培地の栄養物質、及び第2の培地からの指標物質に対して浸透性がなければならない;
ラベル付けした分子が、微小コロニーの細胞に対して浸透し反応することを可能にしなければならない;細胞に対して非浸透性で(上層に培地層を具えた多孔質膜の有名な例外を有して)、細胞が細胞膜の片側でのみ成長しなければならない;細胞膜構造を無傷に保ち、半浸透性を維持すべく、外部の細胞酵素に耐性がなければならない;細胞膜が使用の前に無菌でなければならないので、圧力釜で滅菌可能でなければならない;水及び大多数の物質が浸透することができるように、親水性でなければならず、親水性の細胞膜は、斯種の浸透に強い耐性がある;非蛍光性で無色でなければならない、何故なら背景の蛍光は蛍光分析法には極めて過度であり、色が微小コロニーの色を覆うからである;微生物の成長を防ぐか禁じる物質を含んではならない。更に、細胞膜は濾過細胞膜が有するような可視の粒子又はファイバーを含んではならない、何故なら粒子又はファイバーは微小コロニーの成長を妨げ、微小コロニーの成長時間と形状を変えることができるからである(多孔質膜より上層の培地層の有名な例外を有して)。
実験は、これらの目的のための最良のポリマーが再生されたセルロースであり、及びセロハン、キュプロフェン、及び透析膜のようなその派生物であることを示す。同じ品質を示す他のポリマーも用いられ得る。自然に発生した気孔又は人工的に生成された気孔を有する有機材料又は向き材料のような細胞膜用の他の多くのタイプの材料が用いられ得る。
細胞膜は、結果を最前に見るべく光を透過する透明であるが、半透明でもよく、又は白や他の色でも良いが、見るには望ましくない結果となる。
【0029】
第2の培地
第2の培地は、指標物質又は標識抗体へのキャリアとして役立つジェル、ポリマー又はBioNanoChannel(商標)プレートである。その主たる機能は、液体(水又は緩衝溶液)又は抗体に溶解された指標物質を運び、それらを単純拡散によって細胞膜を通って、微小コロニーに搬送することである。
純粋なアガー(アガロース)のようなジェル、ゼラチン、カラギーナン(Carrageenan)、又は重合体の長い分子を有する他の適切な多糖が、液体と半固体形状の物質を結び付けるのに使用することができる。
実際の溶液が細胞膜に素早く浸透し、全ての微小コロニーが分離し、それらの形を失い、再び合併して、細胞の1つの大きな塊を形成する大きな領域を形成するから、指標として溶液を使用することは、普通は避けられる(BioNanoChannelの有名な例外を有して)。しかし、標識付けられた抗体は、比較的大きな分子(IgGは、凡そ150,000daのサイズを持っている)で、ゲルの重合体構造から容易に放されることができない。
この場合に於いて、BioNanoChannelプレートは有名なゲルの代わりに使用することができる。各プレートは10μm又はそれ未満の直径を有する、何百万もの小さなナノチャンネルから構成される。
従って、標識付けられた抗体はナノチャンネルより何千倍も小さく、プレートの片側からナノチャンネルへ液体内で自由に移動することができる。しかし、一旦液体がナノチャンネルに入れば、それは強い毛管力によって捉えられ、細胞膜を通って素早く移動せず、自由な液体が行うように、微小コロニーを崩れさせない。
【0030】
指標
現在の発明の領域では、指標は微小コロニーに特定に又は非特定に、ラベルを付けることができる物質である。それらは、発色体及び/又は蛍光発生基質、あるいはそれらの混合及び標識付けられた抗体である。
発色体及び蛍光発生基質は、特定又は非特定の酵素、あるいは一群の酵素との反応の後に、光吸収性物質又は蛍光物質を生産する。
これらの基質の小さな分子は自由にゲルから離れ、細胞膜を通り抜けて、生きた細胞の酵素と反応することができる。蛍光色素又はラジオアイソトープによって標識付けられ、BioNanoChannel(商標)プレートへ導入された抗体は、例えば細胞膜が106Da又はそれ以上の大きさの孔であれば、ナノチャンネルを自由に出て、細胞膜を通過することができる。
反応しなかった標識抗体は、別のBioNanoChannel(商標)プレートに細胞膜を1回以上転送することにより除去される。
【0031】
検知、区別及び識別
「検知」の語は、それらの分類と無関係にあらゆる微小コロニーも明らかにし、数え/列挙する能力を意味するものと、一般に理解される。「区別」の語は、細胞膜上の2又は3以上の種を、それらの形、色、又は蛍光の波長/色によって互いに区別するのに用いられた方法の能力を意味する。「識別」の語は、所定の微小コロニーの種類及び種の決定を意味する。検知は色原体か蛍光発生基質だけを必要とする。区別は、微小コロニーの形か色の差に基づく。識別には、抗体、好ましくは単クローンの使用が必要である。
【0032】
図1を参照して、本開示の一実施例に従って、溶液内の細胞と共にサンプルを評価する多孔性且つ構造的な要素、及び成長培地要素の2つの実施例の空間的且つ機能的な関係を示す機能ブロック図(10)が示されている。
第1の実施例は、成長培地手段(16)の天面(17)に配備された多孔性且つ構造的な要素、即ち手段(14A)を利用して、試料液(12)の液体部分(18B)は濾過要素手段(14A)を通り抜け、成長培地(16)を保持する容器の底部に向けて成長培地(16)を下向きに通り、一方、試料液(12)の細胞部分(2OB)は、細胞膜の空孔サイズが阻止されるべき所望の細胞のサイズよりも小さいことにより、多孔性要素手段(14A)を通過することから捕捉され、即ち通過を阻止される。
成長培地手段(16)からの栄養素(22)は、細胞膜手段(14)を通って、多孔性要素機能(14A)の天面に位置する細胞(20B)に達する。
【0033】
第1の実施例とは対照的に、図1の第2の実施例は、多孔性且つ構造的な要素手段(14A)の上層又は該要素手段上の成長培地の更なる任意の層(13)を用いる。この方法に於いて、サンプル溶液(12)の液体部分(18A)は成長培地(16)を通って、成長培地(13)の更なる層及び多孔性の要素手段(14A)の両方を通過するが、液体は培地を通り抜けるが、細胞は通り抜けることができない故に、サンプル溶液(12)の細胞部分(20A)は捉えられ、又は成長培地(13)の更なる層を通ることが阻止される。これにより、第2実施例の細胞膜手段(14A)は、孔が阻止することが所望される細胞サイズよりも小さいとの要求を満たす必要はない。
むしろ、第2の実施例の多孔性要素手段(14A)には、移送手段(24)に、成長培地の更なる層(13)及び細胞及びその上の微小コロニーの支持構造を付与する主要な機能がある。
第2の実施例の多孔性の要素手段(14A)の2次的な機能は、成長培地(16)から細胞及び成長培地の更なる層(13)上に位置する微小コロニーへ栄養素(22)を伝えることであり、成長培地の更なる層(13)自体が同じ目的の栄養素を有する。
これにより、濾過要素は、この構造の要求及び栄養素の伝達を満たす幅広い材料及び気孔サイズを選択することができる。
【0034】
全ての実施例についての細胞膜の重要な機能は、多孔性の要素(14A)又はその上に配備された成長培地(13)上に位置した濾過され、捉えられ、即ち濾過された(strained)細胞を移送又は抽出する機能(24)であり、指標(23)との相互作用によって、変更された多孔性の要素/構造要素(14B)上の指標段階(31)にて、次の捕捉され又は阻止された細胞又は微少コロニーを処理する。生存可能な細胞及び微小コロニーの一体性を維持しつつ、それらを移送する能力により、細胞及び微小コロニーの成長段階及び指標段階が、最適な結果に分離されることが可能になる。それは、本来ならば成長を遅らせる有害な指標がその中になくて、細胞が速く成長する成長段階(21)、及びより小さなサイズの微少コロニーが素早く検知されることを効果的に可能にする着色及び識別専用の指標段階(31)である。更に、細胞が初期の微少コロニーサイズで早い段階で評価されるならば、それらは本発明を用いて効果的に検知されるから、連続希釈法はなおさら必要ではない。
このようにして、本発明は、コロニーが互いに大きくなりすぎるのを防ぐ連続希釈法の後に、例えばCHROMagarによって延長された孵化から、従来の普通サイズのコロニーを本質的に要求する従来技術による制限を克服する。
【0035】
図2Aについて、本開示の一実施例に従って、1つの容器内のサンプルの平行テスト用に、その上に多数の細胞膜(204)を具えた寒天培地(203)の容器(202)が示される。容器(202)は、栄養素培地(203)を収容するように供給された従来のペトリプレートであり、微生物の成長を妨害し又は阻害せず、テストの応答時間を最速にするように微小コロニーの抑制されない成長を促進する基質のみを含む。
培地(203)の別の実施例は、固体の一般的な目的の栄養素培地、又は選択的な別の液体又は半固体の培地、又は微生物の成長に適切に影響するだけの基質を具えた培地を含む。
【0036】
多孔性の要素(204)は、試料液及び栄養素培地が通過することを許す多孔性の要素である。多孔性の要素は、細胞膜、透過性の細胞膜、透析細胞膜、又はセルロース、孔を有するプラスチック材料を含むあらゆるタイプの既存の濾過要素であり得る。特定のタイプの多孔性の要素(204)は、更なる培地の層がその上にあるか否かに基づいて選択される。多孔性の要素は、透明で、水が透過し、栄養素基質及び指標基質が透過可能であるが、付随的に微生物は透過できない。他の実施例に於いて、多孔性の要素は、1又は2以上の以下の特性及び1000-107ダルトン(Da)の範囲内の規則的又は不規則的な孔を有する透過性の細胞膜である:それは圧力釜で殺菌可能、親水性、非蛍光性、無色、分泌された細胞酵素に対する耐性である。
多孔性の要素材料は、再生セルロース、セロハン、キュプロファン(cuprophane)、透析細胞膜及び適切な孔サイズ及びここに言及された他の特性を満たす他の材料から成るグループから選択され得る。微生物を育てるために必要とされる栄養素のような或るサイズの物質/分子には、透析膜は非常に透過性であることが知られている。透析膜の孔は1,000から数十万Dada(ダルトン)の範囲である。孔のサイズが大きいと、多くの物質が細胞膜を通って移動することができる。
しかし、微生物学的な固形培地で使用されるガラクトース寒天内のガラクトース・ポリマーのような長い分子を有するポリマーは、透析膜を透過することができない。実験は、栄養素が細胞膜を通って成長する細胞に容易に浸透するために、細胞膜が固体の栄養素培地上に置かれる場合、微生物が透析膜の表面で成長することができることを示している。
固体の栄養素培地の表面上の透析膜、又は寒天の層に組み込まれた透析膜は、その表面に現われるコロニー又は微小コロニーが、指標物質で満たされた別の表面へ移動することを許す。
【0037】
他の実施例に於いて、多孔性の要素は、一次的に構造的且つ流体が行来可能な機能を有し、細胞を捉え又は阻止する機能を有さない広範な種類の普通の濾過要素であり、細胞を捉え又は阻止する機能は、図1の第1実施例によってのみ付与するように、濾過要素の天面の更なる培地層によって代わりに実行される。
【0038】
図2Bについて、本開示の一実施例に従って、培地と多孔性要素の空間的な関係を示す多数の実施例の断面図(200)が示される。断面A−Aは、単に固形培地(206A)の天面に配備された多孔性の要素(204A)を示し、該多孔性の要素は、固形培地(206A)上の成長段階から容易に移転することを許すが、おそらくサンプルからの一様に塗布された細胞から多孔性の要素の天面上に落とす。
これとは対照的に、他の実施例の断面A−A′は、固形の栄養素培地の天面の層内に空隙(210)を付与し、その深さは多孔性の要素(204B)がゼロから固体の栄養素培地の表面から通常の値(208)、例えば0.1−5mm下方に凹むことを許すのに十分であり、それによって、サンプルがピペットで移され、制御された表面積で確実に塗布される浅い井戸を形成する。
空隙(210)は、一時的なスペーサの周りの液体の栄養素培地を、培地の凝固時に除去される空隙の形状に成形することによって、熱い要素によって空隙の形に形成される。
断面B−Bは、固形の栄養素培地の第1部分が、堆積されて、次に凝固され、その後、多孔性の要素(204C)が設置され、続いて(212)の深さの層内の多孔性要素を覆う栄養素培地(206C)の第2層を設置し、第1の栄養素培地(206B)と第2の栄養素培地(206C)の間に非可視の非可視の継ぎ目インターフェース(214)を残す。本発明は、栄養素培地上又は栄養素培地内に多孔性の要素を設置する広範な方法及び手順に良く適している。
【0039】
図3について、培地及び移送可能な多孔性要素を用いることにより、微小コロニーを検知する細胞検知キット(300)についての要素及び工程の説明が、本開示の一実施例に従って示される。多孔性の要素(204D-1)は、成長段階(321)にて成長培地を含む容器(202)から除去された後に、多孔性要素(204D-2)上の細胞と微小コロニーを変える可能性がある指標段階(331)にて指標物質と共に第2培地(302)に移送される。
一実施例に於いて、所望の細胞又は微小コロニーを指標するプロトコルを満たすのに、2又は3以上の工程が用いられ、例えば更に指標基質を移送する培地(303)を用いて、多孔性基質(204D-3)上で細胞又は微小コロニーをおそらく修正する第2の指標工程である。
第2の培地は、アガロース、カラゲナン、ゼラチン、指標分子を解放する能力を備えたキャリアに成り得るゲルからなるグループから選択される。
他の実施例に於いて、テストキットシステムは、水溶液、バッファ、食塩水又は液状栄養素培地内にて約0.1%−10%の範囲のゲル濃度を付与する。微小コロニー用の指標は、色素形成基質、蛍光基質、又は蛍光或いはラジオ標識付けられた抗体である。例えば、第2の培地は、メチルチアゾルテトラナトリウム臭化物(MTT)で充填された純粋な寒天であり、それは微小コロニーを暗紫に色付けるであろう。着色されていない微小コロニーは基本的に、顕微鏡では見えない。細胞に有毒で、成長を制限するものを含む他の多くの物質が、微生物の検知及び区別に使用することができる。検知と識別の多くの迅速且つ単純な方法が、この方法について使用されるために変形され得る。
【0040】
指標材料と工程を用いて処理した後に、略色付けられた微小コロニー(322A)(322B)を具えた最終的な多孔性要素(204D-5)が、例えば光顕微鏡の下、又は拡大倍率を有する画像識別、認識及び列挙システムの自動化されたハードウエア及びソフトウエアを用いて、視覚的に観察され且つ数えられる。
印刷又はスコアリング或いはエッチングにより幾何学的に形成することによって作られた光学グリッド(324)は、それによって最終的な微小コロニーの個体群に達するように数えられる表面積比に便利な計数基準又は測定基準を付与する。
【0041】
他の検定法に於いて、コロニー及び微小コロニーは、蛍光染料でラベル付けられた抗体を用いて識別される。一実施例に於いて、この検定法は抗体に対するキャリアとしてBioNanoChannel(「BNC」)検知装置(330)を用いて達成される。
この場合、抗体はナノチャンネルの内部の溶液内に付与され、ナノチャンネル上にはコロニーを有する多孔性の要素が置かれる。BNCの天面は、多孔性の要素(204D-4)を支持し、既存のコロニーの一体性と粘着性を維持し、その一方、抗体の大きな分子がナノチャンネルに浮かび、且つオープンチャンネルの直接上にある多孔性の要素(204D-4)上のあらゆるコロニーに伝えられることを個別に可能にする。コロニーに移送されるのに好ましい特定の抗体について適切な大きさである、例えば16Da又はそれ以上、又は特定の抗体について適切な十分に大きな孔を具えた多孔性の細胞膜が、コロニーに移送されることが所望された。抗体がコロニーに接すると、適切なコロニー(抗原)だけが反応するだろう。
多孔性要素上に出現する過度にラベル付けられた抗体は、1又は2回以上移送されることによって除去され、他のBNCへの多孔性要素は蛍光分子無しで溶媒又はバッファを有する。対照的に、大きな抗体分子は、寒天又はゲル内で運動性を有さない、何故ならそれらの大きなサイズが運動性を邪魔するからである。更に、多孔性の要素を、抗体を具えた液体培地のオープン容器上に直に置くことは、細胞膜が液体によって浸透され、浸水され、洗い流され、それによってコロニーを溶解し、移動させるから、コロニーの一体性を維持しないだろう。このようにして、多孔性の細胞膜の支持及びラベル付けられた抗体の搬送機構を付与するBNCプレートに関連して、本開示の移送可能な多孔性の細胞膜を用いると、従来技術の制限を克服する非常に効果的な解決策を提供する。
【0042】
BNCは、一端から他端に開口した多数の円筒形且つ並列な微小チャンネルを含むプレートであり、微小チャンネルの直径は約1−30μmで長さが100−1000μmで、2センチメートル当たりの微小チャンネルの数は、約100,000−1,000,000である(直径/長さ=1/10−1/100)。更に、BioNanoChannel装置及び方法の詳細及び記載は、Sergey Gazenkoと共願の発明の名称が「予備成長無しで1つの微生物を素早く検知し識別する装置」である米国特許出願第11/109,857号に用意されており、該出願の全体は、引用を以て本願への記載加入とする。
【0043】
図4について、採色用の個別の第2の培地と共に、多数の多孔性要素を有する寒天培地のコンテナの菌株の注釈付き写真(400)が、本開示の一実施例に従って示される。(204E)のような多数の多孔性要素及びその上に菌株を具えた栄養素培地のペトリプレートコンテナ(202A)は、多孔性要素の明瞭さと同様に成長段階(421)に於ける微小コロニーの成長の成功を示し、且つ指標段階(431)に於いて、多孔性要素(204F)を、第2の指標培地を中に具えたコンテナ(302)に容易に移送することが示され、指標は明瞭に微小コロニーの暗化を達成し、暗化しなければ指標段階に於いて、栄養素のみの培地のコンテナ(202A)を検知することが困難である。
【0044】
図5A乃至図5Hについて、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別された種類病原菌の幾つかの異なる種の顕微鏡写真が示される。
【0045】
図6を参照して、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたリステリア菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0046】
図7について、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたブドウ球菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0047】
図8について、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたエスケッリチア菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0048】
図9について、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたシュードモナス菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0049】
図10について、本開示の一実施例に従って、微小コロニー及び普通のコロニーを含むコロニーを検知し識別する工程のフローチャート(100)が示される。
先ず、ステップ(1002)は図2Bに示すように、多孔性要素を天面又は下方に有する栄養素培地のコンテナを付与する。続いて、ステップ(1004)では、コンテナ内で多孔性要素上の領域に、液体サンプルが注がれ又はピペットで移される。
サンプルは、ペトリプレート全体に広げられるべき、広げられたプレートサンプルとして扱われ、又は断面A−A’に示すように、多孔性要素上にのみ集中され、多孔性要素(204B)は空隙(210)内に凹み、それによってサンプルが多孔性要素(204B)内でのみ晒されるように規制する。次に、ステップ(1006)にて、微生物は、多孔性要素内或いは多孔性要素の天面上の更なる培地上に、捕捉され又は閉鎖され、多孔性要素の天面上の更なる培地は図2Bの断面B−Bに示される。ステップ(1008)は、普通サイズのコロニーについて、典型的な従来技術の培養よりも一層短くはあるが、微小コロニーを開発する培養を付与するが、従来技術の培養は本開示の他の実施例である。次のステップ(1010)にて、多孔性要素及びその上のあらゆる培地は、栄養素培地を具えたコンテナから、微生物の検知及び/又は識別の検定の目的から指標を具えた他の培地に移送される。
ステップ(1012)に於いて、更なる指標ステップが必要か否か問い合わせて判断する。よくあることだが、更なる指標ステップが必要であれば、ステップ(1010)は繰り返されるが、新しい又は補足的な指標薬剤をおそらく伴う。そうでなければ、ステップ(1014)は適切な微生物を検知し識別し又は列挙する為の、コロニーの形又は色を検討する最終ステップを付与する。
【0050】
実施例
生存可能な微生物(TVO)の総数の検知は、世界で最も必要とされる研究手順の1つである。微生物の総数の検知は、食品、生物工学の産業、環境、及び他の産業にて微生物汚染の存在及びレベルを示す。普通のTVOは、バッファ、液体培養液又は0.9%のNaCl溶液中のサンプルを数(3−12)10倍に稀釈し、次に1ミリリットルの各希釈液を、適切な寒天培地で満たされた普通のペトリプレートの表面上に拡げることにより実施される。プレートは、32−37℃にて24−48時間培養される。この後、プレートは培養器から除去され、コロニーが列挙される。この手順は、希釈に3−12本のチューブ、及び長時間の培養を必要とする。結果は僅か24−48時間後に現れる。この簡単な手順は毎年世界中で、数億回繰り返される。ここに記載した本開示の方法は、より早く(3−6時間)、10倍の希釈を必要とせず、予め組み込まれた細胞膜を具えた1−2枚のプレートのみを必要とする。細胞膜の組込みは、ペトリプレート内で凝固された栄養素寒天の表面に、幾つかの円形で、殺菌された(121℃、15分)透析細胞膜(気孔サイズ12,000-18,000Da)を置くことにより行われる。異なる気孔サイズを備えた他の細胞膜又はセロハン細胞膜を、同様に用いることができる。
その後、細胞膜を備えたプレートの全面は1−2秒間、熱い(80−90℃)固形の栄養素培地によって覆われる;1−2秒間の凝固の後に、凝固しなかった余分な培地は、吐き出される。これは、全ての細胞膜は栄養素培地の薄い(0.1−0.2mm)層に覆われることを意味する。上層は下側の培地と自由に交換し、これは2つの層間で水及びポリマーアガロース以外の栄養素基質を全て転送することができることを意味している。
【0051】
本発明に従った手順は、以下である:1ミリリットルのサンプルが、組み込まれた細胞膜(図2)を具えたペトリプレートの表面に移送され、且つ拡げられる。サンプルからの液体は培地に吸収され、プレートは培養され、生きた細胞がもし有れば成長を開始し、微小コロニーを形成し始める。
実験は、調査された全てのバクテリアが35−37℃で5時間以内に微小コロニーを形成することを示す。これらの微小コロニーは、数十から数百の非着色で基本的に不可視の細胞から成る。それらを着色する為に、細胞膜は無菌のピンセットを使用して、プレートから剥がされ、第2の培地に移送される。
標準的な方法による第2の培地は、0.15Mの燐バッファ内の1%の純粋なアガロースであり、ml当たり0.7mgの濃度の色素形成基質3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-3,5-ジフェニルテトラゾリウム臭化物を具えたpH7.5である。この僅かに黄色い基質は、生きた細胞の脱水素酵素との反応の後に、暗い紫色になる能力を持っている。
この基質は、既知の全ての好気性・嫌気細菌及びイーストの色を変更する能力を持っている、なぜなら微生物の電子伝達鎖の最終段階で反応するからである。換言すれば、基質は細胞の早死に繋がる呼吸鎖の開始や中間部を妨害しない。
このようにして、色の生成は、細胞のメソゾーム(細胞内部の脱水素酵素の位置)の表面上にて、濃い濃度で集められ、細胞本体に暗紫色か黒色を付与する。
微小コロニーを着色するのに必要な時間は、一般的に30−40℃で10−20分の範囲である。この時間は、基質の分子を解放し、該分子が拡散によって、細胞膜及び固形の栄養素培地の薄い層を通ることを許し、且つ脱水素酵素と反応することを可能にするのに十分である。反応が終了した後に、第2の培地及び着色された微小コロニーを具えたプレートは、光学顕微鏡の下で移動され、微小コロニーは列挙される。微小コロニーのサイズ及び形は、種を区別する(図5.1−5.8)ための補足的な特性になりえる。
【0052】
この方法は、僅か5−6時間及び従来技術の方法よりも少ない材料及び操作しか必要としない。本例が数十倍の希釈液を必要とせず、非常に高濃度の場合の僅か1−2倍の稀釈液しか必要としないことに注目することは重要である。この利便性は、微小コロニーが比較的小さなサイズである故に可能である:サンプル内の細胞の濃度は、1ミリリットル当たり何百万でありえるが、1つのコロニーの平方サイズは普通のコロニーの平方サイズよりも数千倍小さいので、全ての微小コロニーは重ならずに別々に成長するだろう。
【0053】
蛍光性の実施例
本方法に用いられる細胞膜は、非蛍光性で透明な材料である再生セルロースから作られる。しかし、栄養素培地はそれ自体高い蛍光性物質を含んでいる。一実施例に記載されたように、これにより多孔性要素又は細胞膜上方の栄養素培地の薄い層の使用は制限される。この場合の推奨される細胞膜は、100,000Daの透析膜である。この細胞膜の比較的大きなサイズの孔により、微小コロニー上に培地の薄い層がなくとも、微小コロニーの十分な成長が可能となる。本実施例に於いて、湿度を高めることも、また有用である、何故ならそれは微小コロニーの形成に更に好ましい条件(微気候)を生成するからである。5−6時間の成長の後、細胞膜は1又は2以上の蛍光発生基質で充填された第2の培地に移動される。 TVO検知について、新たに用意されたアセトン1mL当たり、0.1mgの4-メチルウンベリフェリ燐酸及び4-メチルウンベリフェリ酢酸塩の混合物が使用される。この混合物は、微小コロニーを含む細胞膜が第2の培地上に備えられる前に、数分間第2の培地(蒸留水内の1%のアガロース)の表面上に注がれる。培養は35−40℃で10−15分かかる。全ての微小コロニーは、使用される基質の混合物が、全ての生きた細胞内に存在する多くのホスファターゼ及びエステラーゼと反応するから、蛍光顕微鏡にて非常に可視的な青い蛍光を得る。
光透過性で非蛍光の細胞膜により、下から上に向く励起UV(例えば波長350-380nm)光を用いる安価な蛍光顕微鏡の使用ができるが、高価な落射蛍光(epi-fluorescent)顕微鏡も同様に用いることができる。
【0054】
免疫蛍光検査法の実施例;識別
光色素(FITC、フルオレスセイン、ロダマイン又はその他)でラベルが付けられた抗体による微生物の識別は、上記の固形の栄養素培地の層が無い、多孔性要素又は細胞膜の使用によって実行される。抗体として使用される免疫グロブリンは、非常に大きなタンパク質分子錯体である。例えば、頻繁に用いられている免疫グロブリンG(IgG)は約150,000Daである。
そのような大きな錯体は、細胞膜を通り抜けて、細胞の抗原の露出された面と反応(抗原と抗体の相互作用)することができる。従って、細胞膜の孔のサイズは、例えば106Da又はそれ以上と大きい。
【0055】
方法を実行すべく、目標である種を含む異なる種の生存細胞を含むサンプルは、細胞膜の表面に広げられる。液体は寒天成長培地に染み込み、プレートは微小コロニーを形成すべく、高湿度条件で35−37℃で、5−6時間培養される。この後、表面上に微小コロニーを具えた細胞膜は、目標である微生物(例えばIgG-FITC)に相補的なラベル付けられた抗体を含む溶液で満たされたBioNanoChannelプレート上に置かれる。
ラベル付けられた抗体の分子は、ナノチャンネルの内側で自由に浮かび、各ナノチャンネルは10μMの直径と、500μMの長さを有する。約250万本のナノチャンネルがBioNanoChannelプレートを覆い、該プレートは25mmの直径を有する。このようにして、抗体を具えた溶液は、小さなガラスチャンネルの膨大な集まりの内側に「捕捉」される。
これは微小コロニーを溶かすことができ、目標である細胞を他の種の細胞と混合することができる余分な液体を有する濡れた領域を防ぐのに重要である。
また、BioNanoChannelプレートは大きなIgG分子が自由に自由に移動することを可能にし、それに対し、他の実施例(小さな分子についての実施例)で使用されるアガロースは、その重合体の構造からIgGを解放することができないので、BioNanoChannelプレートの使用は重要である。
【0056】
ラベル付けられたIgGの分子は、拡散によって全ての微小コロニーに達し、目標とする抗原と反応する。この工程は、室温で0.5−1.0時間かかる。反応しなかった分子は、洗浄液(PBS、pH7.5)で充填された他のBioNanoChannel(商標)プレート上の細胞膜に10−20分間置くことにより、除去される。この後、ラベル付けられ及びラベル付けられていない(蛍光及び非蛍光又は弱く蛍光)微小コロニーを具えた細胞膜は、蛍光顕微鏡の下に置かれ、蛍光(目標)である微小コロニーが検知され、列挙される。
【0057】
微小コロニーの検知、識別及び/又は形状認識は、視覚方法を使用する作業者、又は画像指標の使用によって達成される。現在用いられている画像指標の別の種類は、CCDカメラ及びコンピュータ画像識別プログラムに基づき、画像を生成し、それを分析するために顕微鏡及びコンピュータと組み合わされる。
【0058】
微小コロニーの識別は、形状又は蛍光によって選択された微小コロニーを除去するマイクロマニュピュレータの使用によって改善され、その後、PCR又は他の適切な方法によって微小コロニーが識別される。微小コロニーの除去は、別の方法によっても達成される。しかし、PCRによる微小コロニーの識別は、所定の微小コロニーの具体的な除去が必要であることを必ずしも意味しない、何故ならPCR法は、他の種の背景DNA上にある目的とする有機体のDNAをも認識することができるからである。
【0059】
異なるサイズの孔及び他の特性の細胞膜は、ウィルス学、特に細胞の菌株が、細胞層内の孔を通るウィルスの成長と検知に使用される場合に有用である。
【0060】
汚染除去品質
流行病、致命的な疾病を持った人の存在、又はテロリスト或いは外国の軍隊の生物攻撃の後の屋内環境の汚染除去は、全ての平均的な微生物学者にとって、非常に重要なジレンマである。汚染除去の後に残存する細胞の存在及び量により、浄化された設備が更に使用される可能性が定められる。
特に重要な公共設備が含まれている場合(空港、政府か、軍事施設、或いは公衆が頻繁にアクセスし、重要な他の場所)、この分析はまさに短時間で終了させなければならない。この状況で、生きて/残存する細胞だけが検知されなければならない。そして、細胞の実際の成長だけが、生きた微生物を検知する最も信頼できる方法であることが知られている。
コロニーを形成する通常の成長は、24−48時間又はそれ以上かかる。本発明は、5−6時間で同じ結果を可能にし、高価でなく、手動処理をそれほど必要とせず、それによって、多くのサンプルが分析されることができることを意味する。例えば、領域がバシラス・アンスラシス因子によって汚染され、汚染除去が栄養細胞及び因子を全て殺す場合、病原菌の因子だけが残存することができる。
クロストリディウム、放線菌及び菌類の因子は、異なる理由故に、B.anthracisに使用された培地上で育てられない。このようにして、この培地上で成長する病原菌のただ一つの種はB.anthracisである。この場合、TSAを使用することができる。設備の別の部分からの液体試料は、細胞膜を具えたTSA上に置かれ、細胞膜はTSAの上方に薄い層を具える。
37℃にて5時間培養した後に、できるだけの微小コロニーを具えた細胞膜は、3-(4,5-ジメツルシアゾール-2)-3,5-ジフェニルテトラナトリウム臭化物(PBS pH7.5内の純粋な1%のアガロース)を具えたプレートに転送される。
10−20分で、特定の形をした濃い有色の微小コロニーが、他の病原菌類から認識される(例えば、図5.4はBac.anthracis研究のモデルとして知られる枯草菌に見えるものを示す)。これらの微小コロニーはB.anthracisの残存する汚染除去の確認の為の迅速なPCR(1―1.5時間)によって除去し分析することができる。このようにして、設備の継続使用の許可は24−48時間以上ではなく、6−8時間後で可能である。
【0061】
耐抗生物質性の微生物の検知
ヒトのサンプル中、及び院内感染(黄色ブドウ球菌、緑膿菌、クレブシェラオキシトカ及び他のもの)としての耐抗生物質性の微生物の検知は、急成長している医学的な問題である。感染した人の生命は、抗生物質耐性菌の迅速な診断に大いに依存する。
抗生物質がある状態でコロニーを成長させ生成することは、抗生物質耐性菌の診断法に広く用いられる唯一の信頼できる方法である。栄養素培地及び抗生物質(CHROMagar、MRSA又はその他)を備えたプレート上で成長/コロニーを見出すのに現在24時間かかる。
この分析を6−8時間に制限することは、1年当たり世界中の何万もの命を救うことができる。例えば、黄色ブドウ球菌を迅速に検知する一般的な方法は、以下の通りである:おそらく耐抗生物質性の黄色ブドウ球菌を含んでいるサンプル(血液又は大気)は、組み込まれた細胞膜を用いて、メチシリン(MRSA培地)にて満たされたプレートに広げられる。5−6時間の後、細胞膜はアガロース及び色素形成基質を備えたプレートに移送される。10−15分の後、微小コロニーは全て暗い紫色を得て、目に見えるようになる。特定の形(図7)の微小コロニーは、耐抗生物質性の黄色ブドウ球菌と認められる。
【0062】
大腸菌の素早い検知
食物及び環境サンプル内の大腸菌(E.coli)の存在は、糞便汚染の信頼性のある特性であることが知られている。生きた細胞だけが結果の列挙を得るのに重要であり、免疫学的方法及びPCR法はこの場合、有効ではない。コロニーを形成する能力は、生きた大腸菌の最も信頼性のある特性である。大腸菌の成長と検知について、MacConkey寒天が、グラム陰性微生物、ラクトース陽性微生物に対して広く用いられる。
或いは、CIRCLEGROW(商標)培地が大腸菌の素早い成長に用いられる。LB寒天も使用され得る。これらの全ての培地は、大腸菌の微小コロニーの成長に適しており、他のいくつかの微生物もサンプル内に存在する。培地の表面に組み込まれた多孔性の要素、即ち細胞膜は、天面に寒天培地の薄い層を有してはならず、例えば50,000-100,000Daの適切なサイズの孔を有している。大腸菌は37℃に於ける4−6時間の培養の後に、可視性の良好な微小コロニーを形成する。培養時間の後に、大腸菌と他の種の微小コロニーの両方を含む細胞膜は、4−メチルウンベリフェリル−β−ガラクトピラノサイド(35%のエタノール内の0.1mg/ml)で充填されたBioNanoChannelプレートに移送される。培養の5−10分後、大腸菌の微小コロニーは、励起する350−380nmの紫外線にて、蛍光顕微鏡の下、明るい青色蛍光を得る。他の微小コロニーは無色のままである。
【0063】
他の実施例
本記載は、広範な種々の用途に適用可能であり、本開示に記載された如何なる特定のタイプの検定法、培地、フィルタ、細胞膜又は微生物にも限定されない。ここに記載された実施例から見て、本開示は、多数の連続希釈法、過度の時間及び研究所の資源消費及び不十分な結果のような従来技術による制限を克服する方法及び装置を提供するように示される。
【0064】
例えば、本開示の態様は、原核生物又は真核細胞の薄層上にて成長し、表面に透孔を生成するウィルスを検知するのに適しており、該表面にてウィルスが繁殖する。この場合に於いて、着色により無傷でウィルスに感染していない細胞が色付けられ、細胞がウィルスによって感染して分解され、色付けられる生存可能な細胞がない小さく透明な空間又はプラークが色付けられる。
【0065】
本開示の特定の実施例の前記記載が、説明及び記載の目的について提示されてきた。それらは完全であることを意図しておらず、又は開示された正確な形式に発明を限定することを意図していない。当然に上記の開示に照らして多くの修正及び変形が可能である。実施例は、発明の原理及び実際の用途を最善に説明する為に選択され且つ記載されて、それによって当業者が考えられる特殊な用途に適するように、発明及び種々の実施例を種々の修正とともに最善に用いることができる。発明の範囲は、ここに添付した請求の範囲及びそれらの均等物によって定義されることを意図している。
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本願は、発明の名称が「透過性を有する細胞膜上の微生物の検知及び識別」である米国仮特許出願第60/896,321号に基づく優先権を主張し、その内容全体は引用を以て本願への記載加入とする。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本開示は、一般に生物学の分野に関し、特に微生物の微小コロニーを素早く検知し、識別し、列挙する生物学の分野に関する。
【0003】
近年の微生物学的な分析は、以下の2つの主たる傾向に基づく:1)予備的な成長無しの分析及び2)そのような予備的成長後の分析。1番目の傾向は、幾つかの免疫学的な方法のグループ[例えば、1つの細胞についての免疫蛍光検査、放射免疫測定、免疫学的検定];ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によるDNA/RNA分析に基づく方法のグループ;及びフローサイトメトリ法のグループ[蛍光抗体又は蛍光発生基質によるラベリングの後に1つの細胞の検知]を含む。
顕微鏡手段によって細胞を検知し分析するのに、人工的な基質もまた用いられ得る。それにも拘わらず、これらの方法(PCR及び免疫学)の幾つかは、生きた細胞の検知には利用できない。人工的な基質(主に蛍光発光基質)と組み合わされるフローサイトメトリは生きた細胞を検知できるが、非常に高価であり、凝縮されたサンプルと同様に研究所内に非常に熟練した専門家を要求する。
また、種々の医学、生物工学、食物、農業、製薬、環境上、及び軍事上のサンプルにて、生きた細胞を検知し識別する迅速で安価で効果的な方法が、多くの人間のニーズにとって重要である。
そして微生物学の中で細胞を使用する頻繁に用いられているテスト[脂肪酸のクロマトグラフィー、酵素免疫吸着法(ELISA)、質量分析、フーリエ変換赤外(FTIR)分光学及び免疫分析]の全ては、微生物のコロニーの予備成長を要求し、それは検知と識別が起こる前に時間を消費する少なくとも1つの最初の細胞培養を表わす。
【0004】
これらの先端技術の代替品にも拘わらず、ペトリプレート上で規則的に成長させることは、まだサンプルの中にある微生物を検知するために使用される最も一般的な方法である。
一般的な分析は、幾つかのサンプルの10倍の稀釈を実行し、その後に寒天培地の表面上に平等に分配された1ミリリッターの希釈されたサンプルを用いるだろう。
10倍の稀釈液の量は、通常は任意の範囲(例えば、1〜12)であり得て、特定の範囲の希釈液はペトリプレートに置かれて、微生物コロニーを数えるのにふさわしい稀釈液を見つける。
しかし、ことによると、幾つかの1ダース又はより多くのペトリプレートを要求するかも知れない。実際上、FDAによって推奨されるように、1つの可算プレート上のバクテリアのコロニーの数が250を越えないときに、正確な稀釈が見出される。
この数を達成すべく、接種を受けたプレートは、バクテリアのために約24−48時間培養され、菌類のために約72−120時間培養される。
従って、肉眼で容易に見えるコロニーを形成するには、比較的長い時間が必要である。
しかし、サンプルが時間の影響を受け易いバイオハザードの事象、あるいは重大な看護中の病院患者に帰属する場合、時間は最も重要であり、時間を消費する培養及び連続したテストは可成りの負担になり、潜在的に生命に危険を及ぼす結果を有する。
【0005】
固形の栄養素培地に現われるコロニーは、微生物の成長の総和の検知及び列挙のために単に数えられるか、又は従来の微生物学の手順、質量分析、FTIR分光学、クロマトグラフィー、免疫測定又はPCRによって除去され分析される。
【0006】
疑わしいコロニーの除去、及び長時間で厄介な従来の方法、又は複雑で高価なハイテク方法及び装置によるそのコロニーのその後の分析は、対象であるコロニーの成長及び同時に特定の採色を許す、特別の物質、基質及び抗生物質を含むCHROMagar(商標)培養液の発明に結びついた。
CHROMagar(商標)カンディダ、CHROMagar(商標)O157、CHROMagar(商標)サルモネラ菌、CHROMagar(商標)ブドウ状球菌、アウレウス及び他の或るものは、ピンク、緑又は青色によって対象となるコロニーの識別に現在使用されている。採色を始める物質は、細胞本体に集められて、成長上の問題を引き起こす。従って、コロニーは不規則に小さく、培養の延長を何度も必要とする。
色が薄いので、規則的なサイズのコロニーだけは検知されることができる。また、僅かな光吸収は顕微鏡検査には役立たない。これは、CHROMagar(商標)の使用では、微小コロニー(コロニー形成の初期段階)は検知されることができないことを意味する。
対象の或る種及び他の若干の種だけがCHROMagar(商標)の上で成長する場合がある。従って、CHROMagar(商標)は、微生物学の中で最も一般的に使用される広範囲(生存可能な有機体の合計)微生物の検知及び列挙には役立たない。
【0007】
全体的にペトリプレート上の成長は、医学上、産業上、生物工学上、研究及び製薬の研究所で用いられる一般的な微生物学の作業である。毎年、これらの方法によって、世界中で何億もの分析が実行される。このようにして、微生物を検知し、識別し、列挙することができる、より効率的でコスト効率が良く、正確で、タイムリーな製品及び手順を求める莫大な需要がある。
【発明の概要】
【0008】
発明の要約
本開示は、従来技術による制限を克服する装置、方法及び材料を提供する。特に、本開示は微生物を検知し、識別し、又は列挙する装置を用いてこれを達成し、装置は微生物の成長を維持すべく、栄養を供給する培地のコンテナ、栄養素培地と接触する多孔性の要素(流動床)又は多孔性の細胞膜を含む。多孔性の要素自体は、栄養素培地が通り抜けることを許して、従来の普通サイズのコロニー及び微小コロニー(一緒に「コロニー」と呼ぶ)の両方について成長を維持する。そして、多孔性の要素はコンテナから、指標及び更なる視覚的な検査を介した更なる処理の為に、他の箇所に移送可能である。
【0009】
コロニーが多孔性の要素を介して移送可能であるから、細胞及び微小コロニーについての成長及び指標段階は、最適な結果の為に分離され得る:その中に成長を遅らせる有害な指標がない状態で、細胞を速く成長させる成長段階、及び小さなサイズの微小コロニーが素早く効率的に検知されることを許す色付けと識別を専ら行う指標段階である。
更に、細胞が初期に微小コロニーサイズにて早い段階に査定されたならば、細胞は本発明にて効率的に検知され得るから、引き続き希釈することはましてや、必要ではない。
このようにして、本発明は従来技術の制約を克服し、この制約とは複数のコロニーが互いに成長し過ぎることを防ぐ為に、引き続いて希釈した後に、例えばCHROMagarを介して延長された培養から従来の普通サイズの微小コロニーを本質的に要求することである。
本発明では、僅かの希釈が必要、又は希釈が必要でないから、早く達成され、研究所の資源も保護される。特に、多孔性の要素が、多孔性の要素、又は多孔性の要素の上層に位置する栄養素培地の何れかの上にあるコロニーとともに、広範な処置の処理工程に移動され、該処理工程は生化学的な指標処理又は手動或いは自動化された視覚検知、列挙、及び標準的な光顕微鏡の下で容易に見える色付けらえた微小コロニーの形状分析(形状による区別)を含む。培地又は多孔性の要素上でサンプルに予防接種を許すべく、多孔性の要素はサンプルの液体部分が多孔性の要素をコンテナ内で下向きに伝えられる(communicate)ことを許す特性を持っている。
その後、サンプルから捕捉した細胞の成長を促進させるべく、多孔性の要素には培地からの栄養素が多孔性の要素を通って細胞へ伝えられることを許す特性を持っている。
次に、細胞が指標で処理されることを可能にするために、多孔性の要素には異なる色素又は抗体共役のような生化学的な指標が多孔性の要素を通って、細胞へ伝えられることを許し、その一方、多孔性の要素上の細胞及び微小コロニー全体を、微小コロニーを溶解し、洗い流すことなく維持する特性を持っている。
最後に、細胞と微小コロニーが検査されることを可能にするために、多孔性の要素は透明の視覚的な特性を有する。
【0010】
培地上に位置する多孔性の要素の2つの異なる実施例が存在する。第1の実施例では、多孔性の要素は培地層の上に配置され、後のあらゆる培地にも覆われていない。
細胞の輸送を有効にするために、この実施例中の多孔質膜には、評価されることが所望される最小の細胞よりも大きな多孔率を有さず、多孔性の要素上の細胞を捉える。このようにして、
多孔性の要素が後の処理の為に、搬送されるべき培地から取り除かれる場合、細胞とコロニーは多孔性の要素を無傷で伴う。多孔性の要素はそれ自体は背景に蛍光がないので、この第1の実施例は蛍光性の分析に役立つ。
第2の実施例では、多孔性の要素は培地層の上に配置され、続いて更なる培地で覆われている。
この実施例では、細胞と微傷コロニーは更なる培地上に存在するだろう。このようにして、細胞と微小コロニーが、多孔性の要素自体より上層の更なる培地の上面上に捉えられるので、多孔性の要素は最小の細胞より大きな気孔サイズを有することができる。
従って、多孔性の要素がコンテナから取り除かれる場合、多孔性の要素上の更なる培地を該培地の上に存ずる微小コロニーとともに要する(take)。第2の実施例は、微小コロニーの光吸収性の彩色には役立つが、蛍光の検知には役立たない、何故なら培養液自体は、高い量の背景蛍光を有するからである。
【0011】
便利な試験を提供すべく、テストキットシステムは、微生物の成長を促進するために栄養素を提供する培地のコンテナ;浸透性の細胞膜;及び以下のグループから含まれる第2の培地を含み、該グループはアガロース、カラゲーニン、ゼラチン、又は色素形成基質、蛍光発生基質あるいは蛍光性か、ラジオ標識抗体のような指標分子を解放させることができるキャリアであり得る他のジェルからなる。
【0012】
全体として、本発明はより速く、より効率的で、高価でなく、更に頑丈な装置、及び強く着色された微小コロニーによって、視認可能な微小コロニー又は微生物の総数(TVO)を検知する手段;種又は種のグループには半ば特定される微小コロニーの容易に見える形状によって1の微小コロニーのタイプを他とは区別する手段;耐抗生物質性の微生物の微小コロニーを検知し識別する手段;光吸収性手段又は蛍光手段によって検知し区別し及び/又は識別する手段を提供する。
本開示のこれら及び他の対象物及び利点は、以下の好ましい実施例の詳細な記述を読んだ後に、当業者には明白になるだろうし、それらはまた、種々の図面にも示される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
ここに含められる図面は、本明細書に組み込まれ且つ本明細書の一部を形成する。図面は、詳細な記載と共に、本発明の実施例を示し、本発明の原理を説明するのに役立つ。この記載に言及する図面は、特にそのように注釈していなければ、寸法通りに描かれていない。
【0014】
【図1】図1は、本開示の一実施例に従って、溶液内の細胞を用いてサンプルを評価する多孔性且つ構造的要素、及び成長培地要素の2つの実施例の空間的且つ機能的な関係を示す機能ブロック図である。
【0015】
【図2A】図2Aは、本開示の一実施例に従って、その上に多数の濾過要素を具えた寒天培地の容器である。
【0016】
【図2B】図2Bは、本開示の一実施例に従って、培地と濾過要素の空間的な関係を示す多数の実施例の断面図である。
【0017】
【図3】図3は、本開示の一実施例に従って、培地と運搬可能な多孔性の要素を用いることにより、微小コロニーを検知する細胞検知キットの要素及び工程を示す。
【0018】
【図4】図4は、本開示の一実施例に従って、色付け用の別個の第2培地とともに、多数の多孔性の要素をその上に有する寒天培地のコンテナ内の培養物の注釈付きの写真である。
【0019】
【図5】図5A乃至図5Hは、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたバシラス属の幾つかの異なる種の顕微鏡写真である。
【0020】
【図6】図6は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたリステリア属からの種の顕微鏡写真である。
【0021】
【図7】図7は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたブドウ球菌属からの種の顕微鏡写真である。
【0022】
【図8】図8は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別された大腸菌からの種の顕微鏡写真である。
【0023】
【図9】図9は、本開示の一実施例に従って、運搬可能な多孔性の要素と別個の第2の培地を用いて識別されたシュードモナス菌属からの種の顕微鏡写真である。
【0024】
【図10】図10は、本開示の一実施例に従って、細胞及び微小コロニーを検知し識別する工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明の詳細な記載
本発明の好ましい実施例への詳細な説明が為される。好ましい実施例の例は、添付の図面に示される。本発明は、好ましい実施例について記載されるが、それらは発明を限定することを意図していないと理解される。むしろ、添付の請求の範囲に定義されるように、本発明は、発明の精神及び範囲に含まれる代替物、修正及び均等物をカバーすることを意図している。更に、本開示の以下の詳細な説明にて、特定の詳細な記載は、本開示の完全な理解の為に記載される。しかし、当業者にとって、本開示はこれらの特定の詳細な記載無しで実施され得ることは自明である。他の例に於いて、周知の方法、手順、微生物学的な詳細は、本開示の態様を不必要に曖昧にしないように、詳細には記載されていない。
【0026】
用語及び説明
成長培地 成長培地は、本発明の文脈内にて、微小コロニーの成長に用いられる栄養素培地である。それは、トリプシン作用の大豆寒天のような細菌増殖用の一般的な培地、及びサブロー(saboraud)ブドウ糖寒天培地のような菌類用及びイースト成長用培地、又はシュードモナス種の成長に使用されたセトリマイド寒天のような特別のグループの微生物の成長に使用された培地、或いはグラム陰性の腸の病原体を明らかにするのに使用されたMacConkey寒天培養基であり得る。培養基は、その表面上で取り付けられた多孔性の要素用の固体基板として役立つ。
【0027】
微小コロニー 微小コロニーは、孵化の3−6時間後に現われる小さなコロニーである。微小コロニーの典型的なサイズは10-100μmである。それらは無色で普通の光学顕微鏡では目に見えない。黄色の黄色ブドウ球菌のような有色の微小コロニーでさえ、光学顕微鏡では通常目に見えない。従って、微小コロニーは目に見えるようになるためは、に一般的には色をつける必要がある。大多数の微生物の種は、成長(3-6時間)の初期段階中に特定の形の微小コロニーを生成する。
とても多くの場合、形の差は明白なので、分析者は、単に所定の微小コロニーの形によって種を区別する好機を有する(図5A−図5H及び図6−図9を参照)。微小コロニーは互いに機械的に接続されない細胞の鎖から成る。従って、微小コロニーの細胞が互いから関係を断たないように、全ての培養基及び補助的な培地は自由な液体を含んではならない。
全ての栄養素液体及び分解された物質は、アガロース又は他の重合体のゲルによって結ばれる。
【0028】
細胞膜. 細胞膜、即ち多孔性の要素は、微小コロニーを見易くし、特定の形を調査するように、成長及びラベルを張り付けることを許す重要な資料である。この細胞膜用の必要条件は下記である:
顕微鏡を用いて使用される時、光の透過を許すために光透明性でなければならない;
微小コロニーの形成中に微生物に食物を与えて、かつ続いてそれらの微小コロニーに色をつけるために、水及び栄養素培地の栄養物質、及び第2の培地からの指標物質に対して浸透性がなければならない;
ラベル付けした分子が、微小コロニーの細胞に対して浸透し反応することを可能にしなければならない;細胞に対して非浸透性で(上層に培地層を具えた多孔質膜の有名な例外を有して)、細胞が細胞膜の片側でのみ成長しなければならない;細胞膜構造を無傷に保ち、半浸透性を維持すべく、外部の細胞酵素に耐性がなければならない;細胞膜が使用の前に無菌でなければならないので、圧力釜で滅菌可能でなければならない;水及び大多数の物質が浸透することができるように、親水性でなければならず、親水性の細胞膜は、斯種の浸透に強い耐性がある;非蛍光性で無色でなければならない、何故なら背景の蛍光は蛍光分析法には極めて過度であり、色が微小コロニーの色を覆うからである;微生物の成長を防ぐか禁じる物質を含んではならない。更に、細胞膜は濾過細胞膜が有するような可視の粒子又はファイバーを含んではならない、何故なら粒子又はファイバーは微小コロニーの成長を妨げ、微小コロニーの成長時間と形状を変えることができるからである(多孔質膜より上層の培地層の有名な例外を有して)。
実験は、これらの目的のための最良のポリマーが再生されたセルロースであり、及びセロハン、キュプロフェン、及び透析膜のようなその派生物であることを示す。同じ品質を示す他のポリマーも用いられ得る。自然に発生した気孔又は人工的に生成された気孔を有する有機材料又は向き材料のような細胞膜用の他の多くのタイプの材料が用いられ得る。
細胞膜は、結果を最前に見るべく光を透過する透明であるが、半透明でもよく、又は白や他の色でも良いが、見るには望ましくない結果となる。
【0029】
第2の培地
第2の培地は、指標物質又は標識抗体へのキャリアとして役立つジェル、ポリマー又はBioNanoChannel(商標)プレートである。その主たる機能は、液体(水又は緩衝溶液)又は抗体に溶解された指標物質を運び、それらを単純拡散によって細胞膜を通って、微小コロニーに搬送することである。
純粋なアガー(アガロース)のようなジェル、ゼラチン、カラギーナン(Carrageenan)、又は重合体の長い分子を有する他の適切な多糖が、液体と半固体形状の物質を結び付けるのに使用することができる。
実際の溶液が細胞膜に素早く浸透し、全ての微小コロニーが分離し、それらの形を失い、再び合併して、細胞の1つの大きな塊を形成する大きな領域を形成するから、指標として溶液を使用することは、普通は避けられる(BioNanoChannelの有名な例外を有して)。しかし、標識付けられた抗体は、比較的大きな分子(IgGは、凡そ150,000daのサイズを持っている)で、ゲルの重合体構造から容易に放されることができない。
この場合に於いて、BioNanoChannelプレートは有名なゲルの代わりに使用することができる。各プレートは10μm又はそれ未満の直径を有する、何百万もの小さなナノチャンネルから構成される。
従って、標識付けられた抗体はナノチャンネルより何千倍も小さく、プレートの片側からナノチャンネルへ液体内で自由に移動することができる。しかし、一旦液体がナノチャンネルに入れば、それは強い毛管力によって捉えられ、細胞膜を通って素早く移動せず、自由な液体が行うように、微小コロニーを崩れさせない。
【0030】
指標
現在の発明の領域では、指標は微小コロニーに特定に又は非特定に、ラベルを付けることができる物質である。それらは、発色体及び/又は蛍光発生基質、あるいはそれらの混合及び標識付けられた抗体である。
発色体及び蛍光発生基質は、特定又は非特定の酵素、あるいは一群の酵素との反応の後に、光吸収性物質又は蛍光物質を生産する。
これらの基質の小さな分子は自由にゲルから離れ、細胞膜を通り抜けて、生きた細胞の酵素と反応することができる。蛍光色素又はラジオアイソトープによって標識付けられ、BioNanoChannel(商標)プレートへ導入された抗体は、例えば細胞膜が106Da又はそれ以上の大きさの孔であれば、ナノチャンネルを自由に出て、細胞膜を通過することができる。
反応しなかった標識抗体は、別のBioNanoChannel(商標)プレートに細胞膜を1回以上転送することにより除去される。
【0031】
検知、区別及び識別
「検知」の語は、それらの分類と無関係にあらゆる微小コロニーも明らかにし、数え/列挙する能力を意味するものと、一般に理解される。「区別」の語は、細胞膜上の2又は3以上の種を、それらの形、色、又は蛍光の波長/色によって互いに区別するのに用いられた方法の能力を意味する。「識別」の語は、所定の微小コロニーの種類及び種の決定を意味する。検知は色原体か蛍光発生基質だけを必要とする。区別は、微小コロニーの形か色の差に基づく。識別には、抗体、好ましくは単クローンの使用が必要である。
【0032】
図1を参照して、本開示の一実施例に従って、溶液内の細胞と共にサンプルを評価する多孔性且つ構造的な要素、及び成長培地要素の2つの実施例の空間的且つ機能的な関係を示す機能ブロック図(10)が示されている。
第1の実施例は、成長培地手段(16)の天面(17)に配備された多孔性且つ構造的な要素、即ち手段(14A)を利用して、試料液(12)の液体部分(18B)は濾過要素手段(14A)を通り抜け、成長培地(16)を保持する容器の底部に向けて成長培地(16)を下向きに通り、一方、試料液(12)の細胞部分(2OB)は、細胞膜の空孔サイズが阻止されるべき所望の細胞のサイズよりも小さいことにより、多孔性要素手段(14A)を通過することから捕捉され、即ち通過を阻止される。
成長培地手段(16)からの栄養素(22)は、細胞膜手段(14)を通って、多孔性要素機能(14A)の天面に位置する細胞(20B)に達する。
【0033】
第1の実施例とは対照的に、図1の第2の実施例は、多孔性且つ構造的な要素手段(14A)の上層又は該要素手段上の成長培地の更なる任意の層(13)を用いる。この方法に於いて、サンプル溶液(12)の液体部分(18A)は成長培地(16)を通って、成長培地(13)の更なる層及び多孔性の要素手段(14A)の両方を通過するが、液体は培地を通り抜けるが、細胞は通り抜けることができない故に、サンプル溶液(12)の細胞部分(20A)は捉えられ、又は成長培地(13)の更なる層を通ることが阻止される。これにより、第2実施例の細胞膜手段(14A)は、孔が阻止することが所望される細胞サイズよりも小さいとの要求を満たす必要はない。
むしろ、第2の実施例の多孔性要素手段(14A)には、移送手段(24)に、成長培地の更なる層(13)及び細胞及びその上の微小コロニーの支持構造を付与する主要な機能がある。
第2の実施例の多孔性の要素手段(14A)の2次的な機能は、成長培地(16)から細胞及び成長培地の更なる層(13)上に位置する微小コロニーへ栄養素(22)を伝えることであり、成長培地の更なる層(13)自体が同じ目的の栄養素を有する。
これにより、濾過要素は、この構造の要求及び栄養素の伝達を満たす幅広い材料及び気孔サイズを選択することができる。
【0034】
全ての実施例についての細胞膜の重要な機能は、多孔性の要素(14A)又はその上に配備された成長培地(13)上に位置した濾過され、捉えられ、即ち濾過された(strained)細胞を移送又は抽出する機能(24)であり、指標(23)との相互作用によって、変更された多孔性の要素/構造要素(14B)上の指標段階(31)にて、次の捕捉され又は阻止された細胞又は微少コロニーを処理する。生存可能な細胞及び微小コロニーの一体性を維持しつつ、それらを移送する能力により、細胞及び微小コロニーの成長段階及び指標段階が、最適な結果に分離されることが可能になる。それは、本来ならば成長を遅らせる有害な指標がその中になくて、細胞が速く成長する成長段階(21)、及びより小さなサイズの微少コロニーが素早く検知されることを効果的に可能にする着色及び識別専用の指標段階(31)である。更に、細胞が初期の微少コロニーサイズで早い段階で評価されるならば、それらは本発明を用いて効果的に検知されるから、連続希釈法はなおさら必要ではない。
このようにして、本発明は、コロニーが互いに大きくなりすぎるのを防ぐ連続希釈法の後に、例えばCHROMagarによって延長された孵化から、従来の普通サイズのコロニーを本質的に要求する従来技術による制限を克服する。
【0035】
図2Aについて、本開示の一実施例に従って、1つの容器内のサンプルの平行テスト用に、その上に多数の細胞膜(204)を具えた寒天培地(203)の容器(202)が示される。容器(202)は、栄養素培地(203)を収容するように供給された従来のペトリプレートであり、微生物の成長を妨害し又は阻害せず、テストの応答時間を最速にするように微小コロニーの抑制されない成長を促進する基質のみを含む。
培地(203)の別の実施例は、固体の一般的な目的の栄養素培地、又は選択的な別の液体又は半固体の培地、又は微生物の成長に適切に影響するだけの基質を具えた培地を含む。
【0036】
多孔性の要素(204)は、試料液及び栄養素培地が通過することを許す多孔性の要素である。多孔性の要素は、細胞膜、透過性の細胞膜、透析細胞膜、又はセルロース、孔を有するプラスチック材料を含むあらゆるタイプの既存の濾過要素であり得る。特定のタイプの多孔性の要素(204)は、更なる培地の層がその上にあるか否かに基づいて選択される。多孔性の要素は、透明で、水が透過し、栄養素基質及び指標基質が透過可能であるが、付随的に微生物は透過できない。他の実施例に於いて、多孔性の要素は、1又は2以上の以下の特性及び1000-107ダルトン(Da)の範囲内の規則的又は不規則的な孔を有する透過性の細胞膜である:それは圧力釜で殺菌可能、親水性、非蛍光性、無色、分泌された細胞酵素に対する耐性である。
多孔性の要素材料は、再生セルロース、セロハン、キュプロファン(cuprophane)、透析細胞膜及び適切な孔サイズ及びここに言及された他の特性を満たす他の材料から成るグループから選択され得る。微生物を育てるために必要とされる栄養素のような或るサイズの物質/分子には、透析膜は非常に透過性であることが知られている。透析膜の孔は1,000から数十万Dada(ダルトン)の範囲である。孔のサイズが大きいと、多くの物質が細胞膜を通って移動することができる。
しかし、微生物学的な固形培地で使用されるガラクトース寒天内のガラクトース・ポリマーのような長い分子を有するポリマーは、透析膜を透過することができない。実験は、栄養素が細胞膜を通って成長する細胞に容易に浸透するために、細胞膜が固体の栄養素培地上に置かれる場合、微生物が透析膜の表面で成長することができることを示している。
固体の栄養素培地の表面上の透析膜、又は寒天の層に組み込まれた透析膜は、その表面に現われるコロニー又は微小コロニーが、指標物質で満たされた別の表面へ移動することを許す。
【0037】
他の実施例に於いて、多孔性の要素は、一次的に構造的且つ流体が行来可能な機能を有し、細胞を捉え又は阻止する機能を有さない広範な種類の普通の濾過要素であり、細胞を捉え又は阻止する機能は、図1の第1実施例によってのみ付与するように、濾過要素の天面の更なる培地層によって代わりに実行される。
【0038】
図2Bについて、本開示の一実施例に従って、培地と多孔性要素の空間的な関係を示す多数の実施例の断面図(200)が示される。断面A−Aは、単に固形培地(206A)の天面に配備された多孔性の要素(204A)を示し、該多孔性の要素は、固形培地(206A)上の成長段階から容易に移転することを許すが、おそらくサンプルからの一様に塗布された細胞から多孔性の要素の天面上に落とす。
これとは対照的に、他の実施例の断面A−A′は、固形の栄養素培地の天面の層内に空隙(210)を付与し、その深さは多孔性の要素(204B)がゼロから固体の栄養素培地の表面から通常の値(208)、例えば0.1−5mm下方に凹むことを許すのに十分であり、それによって、サンプルがピペットで移され、制御された表面積で確実に塗布される浅い井戸を形成する。
空隙(210)は、一時的なスペーサの周りの液体の栄養素培地を、培地の凝固時に除去される空隙の形状に成形することによって、熱い要素によって空隙の形に形成される。
断面B−Bは、固形の栄養素培地の第1部分が、堆積されて、次に凝固され、その後、多孔性の要素(204C)が設置され、続いて(212)の深さの層内の多孔性要素を覆う栄養素培地(206C)の第2層を設置し、第1の栄養素培地(206B)と第2の栄養素培地(206C)の間に非可視の非可視の継ぎ目インターフェース(214)を残す。本発明は、栄養素培地上又は栄養素培地内に多孔性の要素を設置する広範な方法及び手順に良く適している。
【0039】
図3について、培地及び移送可能な多孔性要素を用いることにより、微小コロニーを検知する細胞検知キット(300)についての要素及び工程の説明が、本開示の一実施例に従って示される。多孔性の要素(204D-1)は、成長段階(321)にて成長培地を含む容器(202)から除去された後に、多孔性要素(204D-2)上の細胞と微小コロニーを変える可能性がある指標段階(331)にて指標物質と共に第2培地(302)に移送される。
一実施例に於いて、所望の細胞又は微小コロニーを指標するプロトコルを満たすのに、2又は3以上の工程が用いられ、例えば更に指標基質を移送する培地(303)を用いて、多孔性基質(204D-3)上で細胞又は微小コロニーをおそらく修正する第2の指標工程である。
第2の培地は、アガロース、カラゲナン、ゼラチン、指標分子を解放する能力を備えたキャリアに成り得るゲルからなるグループから選択される。
他の実施例に於いて、テストキットシステムは、水溶液、バッファ、食塩水又は液状栄養素培地内にて約0.1%−10%の範囲のゲル濃度を付与する。微小コロニー用の指標は、色素形成基質、蛍光基質、又は蛍光或いはラジオ標識付けられた抗体である。例えば、第2の培地は、メチルチアゾルテトラナトリウム臭化物(MTT)で充填された純粋な寒天であり、それは微小コロニーを暗紫に色付けるであろう。着色されていない微小コロニーは基本的に、顕微鏡では見えない。細胞に有毒で、成長を制限するものを含む他の多くの物質が、微生物の検知及び区別に使用することができる。検知と識別の多くの迅速且つ単純な方法が、この方法について使用されるために変形され得る。
【0040】
指標材料と工程を用いて処理した後に、略色付けられた微小コロニー(322A)(322B)を具えた最終的な多孔性要素(204D-5)が、例えば光顕微鏡の下、又は拡大倍率を有する画像識別、認識及び列挙システムの自動化されたハードウエア及びソフトウエアを用いて、視覚的に観察され且つ数えられる。
印刷又はスコアリング或いはエッチングにより幾何学的に形成することによって作られた光学グリッド(324)は、それによって最終的な微小コロニーの個体群に達するように数えられる表面積比に便利な計数基準又は測定基準を付与する。
【0041】
他の検定法に於いて、コロニー及び微小コロニーは、蛍光染料でラベル付けられた抗体を用いて識別される。一実施例に於いて、この検定法は抗体に対するキャリアとしてBioNanoChannel(「BNC」)検知装置(330)を用いて達成される。
この場合、抗体はナノチャンネルの内部の溶液内に付与され、ナノチャンネル上にはコロニーを有する多孔性の要素が置かれる。BNCの天面は、多孔性の要素(204D-4)を支持し、既存のコロニーの一体性と粘着性を維持し、その一方、抗体の大きな分子がナノチャンネルに浮かび、且つオープンチャンネルの直接上にある多孔性の要素(204D-4)上のあらゆるコロニーに伝えられることを個別に可能にする。コロニーに移送されるのに好ましい特定の抗体について適切な大きさである、例えば16Da又はそれ以上、又は特定の抗体について適切な十分に大きな孔を具えた多孔性の細胞膜が、コロニーに移送されることが所望された。抗体がコロニーに接すると、適切なコロニー(抗原)だけが反応するだろう。
多孔性要素上に出現する過度にラベル付けられた抗体は、1又は2回以上移送されることによって除去され、他のBNCへの多孔性要素は蛍光分子無しで溶媒又はバッファを有する。対照的に、大きな抗体分子は、寒天又はゲル内で運動性を有さない、何故ならそれらの大きなサイズが運動性を邪魔するからである。更に、多孔性の要素を、抗体を具えた液体培地のオープン容器上に直に置くことは、細胞膜が液体によって浸透され、浸水され、洗い流され、それによってコロニーを溶解し、移動させるから、コロニーの一体性を維持しないだろう。このようにして、多孔性の細胞膜の支持及びラベル付けられた抗体の搬送機構を付与するBNCプレートに関連して、本開示の移送可能な多孔性の細胞膜を用いると、従来技術の制限を克服する非常に効果的な解決策を提供する。
【0042】
BNCは、一端から他端に開口した多数の円筒形且つ並列な微小チャンネルを含むプレートであり、微小チャンネルの直径は約1−30μmで長さが100−1000μmで、2センチメートル当たりの微小チャンネルの数は、約100,000−1,000,000である(直径/長さ=1/10−1/100)。更に、BioNanoChannel装置及び方法の詳細及び記載は、Sergey Gazenkoと共願の発明の名称が「予備成長無しで1つの微生物を素早く検知し識別する装置」である米国特許出願第11/109,857号に用意されており、該出願の全体は、引用を以て本願への記載加入とする。
【0043】
図4について、採色用の個別の第2の培地と共に、多数の多孔性要素を有する寒天培地のコンテナの菌株の注釈付き写真(400)が、本開示の一実施例に従って示される。(204E)のような多数の多孔性要素及びその上に菌株を具えた栄養素培地のペトリプレートコンテナ(202A)は、多孔性要素の明瞭さと同様に成長段階(421)に於ける微小コロニーの成長の成功を示し、且つ指標段階(431)に於いて、多孔性要素(204F)を、第2の指標培地を中に具えたコンテナ(302)に容易に移送することが示され、指標は明瞭に微小コロニーの暗化を達成し、暗化しなければ指標段階に於いて、栄養素のみの培地のコンテナ(202A)を検知することが困難である。
【0044】
図5A乃至図5Hについて、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別された種類病原菌の幾つかの異なる種の顕微鏡写真が示される。
【0045】
図6を参照して、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたリステリア菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0046】
図7について、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたブドウ球菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0047】
図8について、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたエスケッリチア菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0048】
図9について、本開示の一実施例に従って、移送可能な多孔性要素及び個別の第2の培地を用いて、識別されたシュードモナス菌属からの種の顕微鏡写真が示される。
【0049】
図10について、本開示の一実施例に従って、微小コロニー及び普通のコロニーを含むコロニーを検知し識別する工程のフローチャート(100)が示される。
先ず、ステップ(1002)は図2Bに示すように、多孔性要素を天面又は下方に有する栄養素培地のコンテナを付与する。続いて、ステップ(1004)では、コンテナ内で多孔性要素上の領域に、液体サンプルが注がれ又はピペットで移される。
サンプルは、ペトリプレート全体に広げられるべき、広げられたプレートサンプルとして扱われ、又は断面A−A’に示すように、多孔性要素上にのみ集中され、多孔性要素(204B)は空隙(210)内に凹み、それによってサンプルが多孔性要素(204B)内でのみ晒されるように規制する。次に、ステップ(1006)にて、微生物は、多孔性要素内或いは多孔性要素の天面上の更なる培地上に、捕捉され又は閉鎖され、多孔性要素の天面上の更なる培地は図2Bの断面B−Bに示される。ステップ(1008)は、普通サイズのコロニーについて、典型的な従来技術の培養よりも一層短くはあるが、微小コロニーを開発する培養を付与するが、従来技術の培養は本開示の他の実施例である。次のステップ(1010)にて、多孔性要素及びその上のあらゆる培地は、栄養素培地を具えたコンテナから、微生物の検知及び/又は識別の検定の目的から指標を具えた他の培地に移送される。
ステップ(1012)に於いて、更なる指標ステップが必要か否か問い合わせて判断する。よくあることだが、更なる指標ステップが必要であれば、ステップ(1010)は繰り返されるが、新しい又は補足的な指標薬剤をおそらく伴う。そうでなければ、ステップ(1014)は適切な微生物を検知し識別し又は列挙する為の、コロニーの形又は色を検討する最終ステップを付与する。
【0050】
実施例
生存可能な微生物(TVO)の総数の検知は、世界で最も必要とされる研究手順の1つである。微生物の総数の検知は、食品、生物工学の産業、環境、及び他の産業にて微生物汚染の存在及びレベルを示す。普通のTVOは、バッファ、液体培養液又は0.9%のNaCl溶液中のサンプルを数(3−12)10倍に稀釈し、次に1ミリリットルの各希釈液を、適切な寒天培地で満たされた普通のペトリプレートの表面上に拡げることにより実施される。プレートは、32−37℃にて24−48時間培養される。この後、プレートは培養器から除去され、コロニーが列挙される。この手順は、希釈に3−12本のチューブ、及び長時間の培養を必要とする。結果は僅か24−48時間後に現れる。この簡単な手順は毎年世界中で、数億回繰り返される。ここに記載した本開示の方法は、より早く(3−6時間)、10倍の希釈を必要とせず、予め組み込まれた細胞膜を具えた1−2枚のプレートのみを必要とする。細胞膜の組込みは、ペトリプレート内で凝固された栄養素寒天の表面に、幾つかの円形で、殺菌された(121℃、15分)透析細胞膜(気孔サイズ12,000-18,000Da)を置くことにより行われる。異なる気孔サイズを備えた他の細胞膜又はセロハン細胞膜を、同様に用いることができる。
その後、細胞膜を備えたプレートの全面は1−2秒間、熱い(80−90℃)固形の栄養素培地によって覆われる;1−2秒間の凝固の後に、凝固しなかった余分な培地は、吐き出される。これは、全ての細胞膜は栄養素培地の薄い(0.1−0.2mm)層に覆われることを意味する。上層は下側の培地と自由に交換し、これは2つの層間で水及びポリマーアガロース以外の栄養素基質を全て転送することができることを意味している。
【0051】
本発明に従った手順は、以下である:1ミリリットルのサンプルが、組み込まれた細胞膜(図2)を具えたペトリプレートの表面に移送され、且つ拡げられる。サンプルからの液体は培地に吸収され、プレートは培養され、生きた細胞がもし有れば成長を開始し、微小コロニーを形成し始める。
実験は、調査された全てのバクテリアが35−37℃で5時間以内に微小コロニーを形成することを示す。これらの微小コロニーは、数十から数百の非着色で基本的に不可視の細胞から成る。それらを着色する為に、細胞膜は無菌のピンセットを使用して、プレートから剥がされ、第2の培地に移送される。
標準的な方法による第2の培地は、0.15Mの燐バッファ内の1%の純粋なアガロースであり、ml当たり0.7mgの濃度の色素形成基質3-(4,5-ジメチルチアゾリル-2)-3,5-ジフェニルテトラゾリウム臭化物を具えたpH7.5である。この僅かに黄色い基質は、生きた細胞の脱水素酵素との反応の後に、暗い紫色になる能力を持っている。
この基質は、既知の全ての好気性・嫌気細菌及びイーストの色を変更する能力を持っている、なぜなら微生物の電子伝達鎖の最終段階で反応するからである。換言すれば、基質は細胞の早死に繋がる呼吸鎖の開始や中間部を妨害しない。
このようにして、色の生成は、細胞のメソゾーム(細胞内部の脱水素酵素の位置)の表面上にて、濃い濃度で集められ、細胞本体に暗紫色か黒色を付与する。
微小コロニーを着色するのに必要な時間は、一般的に30−40℃で10−20分の範囲である。この時間は、基質の分子を解放し、該分子が拡散によって、細胞膜及び固形の栄養素培地の薄い層を通ることを許し、且つ脱水素酵素と反応することを可能にするのに十分である。反応が終了した後に、第2の培地及び着色された微小コロニーを具えたプレートは、光学顕微鏡の下で移動され、微小コロニーは列挙される。微小コロニーのサイズ及び形は、種を区別する(図5.1−5.8)ための補足的な特性になりえる。
【0052】
この方法は、僅か5−6時間及び従来技術の方法よりも少ない材料及び操作しか必要としない。本例が数十倍の希釈液を必要とせず、非常に高濃度の場合の僅か1−2倍の稀釈液しか必要としないことに注目することは重要である。この利便性は、微小コロニーが比較的小さなサイズである故に可能である:サンプル内の細胞の濃度は、1ミリリットル当たり何百万でありえるが、1つのコロニーの平方サイズは普通のコロニーの平方サイズよりも数千倍小さいので、全ての微小コロニーは重ならずに別々に成長するだろう。
【0053】
蛍光性の実施例
本方法に用いられる細胞膜は、非蛍光性で透明な材料である再生セルロースから作られる。しかし、栄養素培地はそれ自体高い蛍光性物質を含んでいる。一実施例に記載されたように、これにより多孔性要素又は細胞膜上方の栄養素培地の薄い層の使用は制限される。この場合の推奨される細胞膜は、100,000Daの透析膜である。この細胞膜の比較的大きなサイズの孔により、微小コロニー上に培地の薄い層がなくとも、微小コロニーの十分な成長が可能となる。本実施例に於いて、湿度を高めることも、また有用である、何故ならそれは微小コロニーの形成に更に好ましい条件(微気候)を生成するからである。5−6時間の成長の後、細胞膜は1又は2以上の蛍光発生基質で充填された第2の培地に移動される。 TVO検知について、新たに用意されたアセトン1mL当たり、0.1mgの4-メチルウンベリフェリ燐酸及び4-メチルウンベリフェリ酢酸塩の混合物が使用される。この混合物は、微小コロニーを含む細胞膜が第2の培地上に備えられる前に、数分間第2の培地(蒸留水内の1%のアガロース)の表面上に注がれる。培養は35−40℃で10−15分かかる。全ての微小コロニーは、使用される基質の混合物が、全ての生きた細胞内に存在する多くのホスファターゼ及びエステラーゼと反応するから、蛍光顕微鏡にて非常に可視的な青い蛍光を得る。
光透過性で非蛍光の細胞膜により、下から上に向く励起UV(例えば波長350-380nm)光を用いる安価な蛍光顕微鏡の使用ができるが、高価な落射蛍光(epi-fluorescent)顕微鏡も同様に用いることができる。
【0054】
免疫蛍光検査法の実施例;識別
光色素(FITC、フルオレスセイン、ロダマイン又はその他)でラベルが付けられた抗体による微生物の識別は、上記の固形の栄養素培地の層が無い、多孔性要素又は細胞膜の使用によって実行される。抗体として使用される免疫グロブリンは、非常に大きなタンパク質分子錯体である。例えば、頻繁に用いられている免疫グロブリンG(IgG)は約150,000Daである。
そのような大きな錯体は、細胞膜を通り抜けて、細胞の抗原の露出された面と反応(抗原と抗体の相互作用)することができる。従って、細胞膜の孔のサイズは、例えば106Da又はそれ以上と大きい。
【0055】
方法を実行すべく、目標である種を含む異なる種の生存細胞を含むサンプルは、細胞膜の表面に広げられる。液体は寒天成長培地に染み込み、プレートは微小コロニーを形成すべく、高湿度条件で35−37℃で、5−6時間培養される。この後、表面上に微小コロニーを具えた細胞膜は、目標である微生物(例えばIgG-FITC)に相補的なラベル付けられた抗体を含む溶液で満たされたBioNanoChannelプレート上に置かれる。
ラベル付けられた抗体の分子は、ナノチャンネルの内側で自由に浮かび、各ナノチャンネルは10μMの直径と、500μMの長さを有する。約250万本のナノチャンネルがBioNanoChannelプレートを覆い、該プレートは25mmの直径を有する。このようにして、抗体を具えた溶液は、小さなガラスチャンネルの膨大な集まりの内側に「捕捉」される。
これは微小コロニーを溶かすことができ、目標である細胞を他の種の細胞と混合することができる余分な液体を有する濡れた領域を防ぐのに重要である。
また、BioNanoChannelプレートは大きなIgG分子が自由に自由に移動することを可能にし、それに対し、他の実施例(小さな分子についての実施例)で使用されるアガロースは、その重合体の構造からIgGを解放することができないので、BioNanoChannelプレートの使用は重要である。
【0056】
ラベル付けられたIgGの分子は、拡散によって全ての微小コロニーに達し、目標とする抗原と反応する。この工程は、室温で0.5−1.0時間かかる。反応しなかった分子は、洗浄液(PBS、pH7.5)で充填された他のBioNanoChannel(商標)プレート上の細胞膜に10−20分間置くことにより、除去される。この後、ラベル付けられ及びラベル付けられていない(蛍光及び非蛍光又は弱く蛍光)微小コロニーを具えた細胞膜は、蛍光顕微鏡の下に置かれ、蛍光(目標)である微小コロニーが検知され、列挙される。
【0057】
微小コロニーの検知、識別及び/又は形状認識は、視覚方法を使用する作業者、又は画像指標の使用によって達成される。現在用いられている画像指標の別の種類は、CCDカメラ及びコンピュータ画像識別プログラムに基づき、画像を生成し、それを分析するために顕微鏡及びコンピュータと組み合わされる。
【0058】
微小コロニーの識別は、形状又は蛍光によって選択された微小コロニーを除去するマイクロマニュピュレータの使用によって改善され、その後、PCR又は他の適切な方法によって微小コロニーが識別される。微小コロニーの除去は、別の方法によっても達成される。しかし、PCRによる微小コロニーの識別は、所定の微小コロニーの具体的な除去が必要であることを必ずしも意味しない、何故ならPCR法は、他の種の背景DNA上にある目的とする有機体のDNAをも認識することができるからである。
【0059】
異なるサイズの孔及び他の特性の細胞膜は、ウィルス学、特に細胞の菌株が、細胞層内の孔を通るウィルスの成長と検知に使用される場合に有用である。
【0060】
汚染除去品質
流行病、致命的な疾病を持った人の存在、又はテロリスト或いは外国の軍隊の生物攻撃の後の屋内環境の汚染除去は、全ての平均的な微生物学者にとって、非常に重要なジレンマである。汚染除去の後に残存する細胞の存在及び量により、浄化された設備が更に使用される可能性が定められる。
特に重要な公共設備が含まれている場合(空港、政府か、軍事施設、或いは公衆が頻繁にアクセスし、重要な他の場所)、この分析はまさに短時間で終了させなければならない。この状況で、生きて/残存する細胞だけが検知されなければならない。そして、細胞の実際の成長だけが、生きた微生物を検知する最も信頼できる方法であることが知られている。
コロニーを形成する通常の成長は、24−48時間又はそれ以上かかる。本発明は、5−6時間で同じ結果を可能にし、高価でなく、手動処理をそれほど必要とせず、それによって、多くのサンプルが分析されることができることを意味する。例えば、領域がバシラス・アンスラシス因子によって汚染され、汚染除去が栄養細胞及び因子を全て殺す場合、病原菌の因子だけが残存することができる。
クロストリディウム、放線菌及び菌類の因子は、異なる理由故に、B.anthracisに使用された培地上で育てられない。このようにして、この培地上で成長する病原菌のただ一つの種はB.anthracisである。この場合、TSAを使用することができる。設備の別の部分からの液体試料は、細胞膜を具えたTSA上に置かれ、細胞膜はTSAの上方に薄い層を具える。
37℃にて5時間培養した後に、できるだけの微小コロニーを具えた細胞膜は、3-(4,5-ジメツルシアゾール-2)-3,5-ジフェニルテトラナトリウム臭化物(PBS pH7.5内の純粋な1%のアガロース)を具えたプレートに転送される。
10−20分で、特定の形をした濃い有色の微小コロニーが、他の病原菌類から認識される(例えば、図5.4はBac.anthracis研究のモデルとして知られる枯草菌に見えるものを示す)。これらの微小コロニーはB.anthracisの残存する汚染除去の確認の為の迅速なPCR(1―1.5時間)によって除去し分析することができる。このようにして、設備の継続使用の許可は24−48時間以上ではなく、6−8時間後で可能である。
【0061】
耐抗生物質性の微生物の検知
ヒトのサンプル中、及び院内感染(黄色ブドウ球菌、緑膿菌、クレブシェラオキシトカ及び他のもの)としての耐抗生物質性の微生物の検知は、急成長している医学的な問題である。感染した人の生命は、抗生物質耐性菌の迅速な診断に大いに依存する。
抗生物質がある状態でコロニーを成長させ生成することは、抗生物質耐性菌の診断法に広く用いられる唯一の信頼できる方法である。栄養素培地及び抗生物質(CHROMagar、MRSA又はその他)を備えたプレート上で成長/コロニーを見出すのに現在24時間かかる。
この分析を6−8時間に制限することは、1年当たり世界中の何万もの命を救うことができる。例えば、黄色ブドウ球菌を迅速に検知する一般的な方法は、以下の通りである:おそらく耐抗生物質性の黄色ブドウ球菌を含んでいるサンプル(血液又は大気)は、組み込まれた細胞膜を用いて、メチシリン(MRSA培地)にて満たされたプレートに広げられる。5−6時間の後、細胞膜はアガロース及び色素形成基質を備えたプレートに移送される。10−15分の後、微小コロニーは全て暗い紫色を得て、目に見えるようになる。特定の形(図7)の微小コロニーは、耐抗生物質性の黄色ブドウ球菌と認められる。
【0062】
大腸菌の素早い検知
食物及び環境サンプル内の大腸菌(E.coli)の存在は、糞便汚染の信頼性のある特性であることが知られている。生きた細胞だけが結果の列挙を得るのに重要であり、免疫学的方法及びPCR法はこの場合、有効ではない。コロニーを形成する能力は、生きた大腸菌の最も信頼性のある特性である。大腸菌の成長と検知について、MacConkey寒天が、グラム陰性微生物、ラクトース陽性微生物に対して広く用いられる。
或いは、CIRCLEGROW(商標)培地が大腸菌の素早い成長に用いられる。LB寒天も使用され得る。これらの全ての培地は、大腸菌の微小コロニーの成長に適しており、他のいくつかの微生物もサンプル内に存在する。培地の表面に組み込まれた多孔性の要素、即ち細胞膜は、天面に寒天培地の薄い層を有してはならず、例えば50,000-100,000Daの適切なサイズの孔を有している。大腸菌は37℃に於ける4−6時間の培養の後に、可視性の良好な微小コロニーを形成する。培養時間の後に、大腸菌と他の種の微小コロニーの両方を含む細胞膜は、4−メチルウンベリフェリル−β−ガラクトピラノサイド(35%のエタノール内の0.1mg/ml)で充填されたBioNanoChannelプレートに移送される。培養の5−10分後、大腸菌の微小コロニーは、励起する350−380nmの紫外線にて、蛍光顕微鏡の下、明るい青色蛍光を得る。他の微小コロニーは無色のままである。
【0063】
他の実施例
本記載は、広範な種々の用途に適用可能であり、本開示に記載された如何なる特定のタイプの検定法、培地、フィルタ、細胞膜又は微生物にも限定されない。ここに記載された実施例から見て、本開示は、多数の連続希釈法、過度の時間及び研究所の資源消費及び不十分な結果のような従来技術による制限を克服する方法及び装置を提供するように示される。
【0064】
例えば、本開示の態様は、原核生物又は真核細胞の薄層上にて成長し、表面に透孔を生成するウィルスを検知するのに適しており、該表面にてウィルスが繁殖する。この場合に於いて、着色により無傷でウィルスに感染していない細胞が色付けられ、細胞がウィルスによって感染して分解され、色付けられる生存可能な細胞がない小さく透明な空間又はプラークが色付けられる。
【0065】
本開示の特定の実施例の前記記載が、説明及び記載の目的について提示されてきた。それらは完全であることを意図しておらず、又は開示された正確な形式に発明を限定することを意図していない。当然に上記の開示に照らして多くの修正及び変形が可能である。実施例は、発明の原理及び実際の用途を最善に説明する為に選択され且つ記載されて、それによって当業者が考えられる特殊な用途に適するように、発明及び種々の実施例を種々の修正とともに最善に用いることができる。発明の範囲は、ここに添付した請求の範囲及びそれらの均等物によって定義されることを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物を検知し、識別し又は列挙する装置であって、
栄養を付与して微生物の成長を維持する培地の容器と、
栄養素培地に接して、栄養素培地が通過することを許して細胞の成長を維持する多孔性の要素であって、指標又は視覚検査を用いた次の処理の為に容器から移動可能であり、透明で、水が透過でき、栄養物質及び指標物質に対して透過性がある多孔性の要素とを具えた装置。
【請求項2】
多孔性の要素は、微生物に対しては透過性はないが、圧力釜で殺菌可能であり、親水性であり、非蛍光性であり、無色であり、選択された細胞酵素に耐性がある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
培地は、微生物の成長を阻止せず又は禁止しない物質のみを含み、培地は固形物全般を目的とする栄養素培地又は選択的即ち鑑別培地の何れかである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
多孔性の要素は、更なる培地の上層を有し又は有さない容器内の培地上に配備された、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
多孔性の要素は、再生セルロース、セロファン、キュプロファン、及び透析細胞膜から成るグループから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
多孔性の要素は、1000−107Daの範囲内の規則的な又は不規則的な孔を具えた透過性のある細胞膜である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
培地は、固体、半固体又は液体状態であって、多孔性の要素は、栄養を培地から多孔性の要素上の上方又は上に位置する微生物へ伝達する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
更に、
平行テスト用に平行に配列された培地上又は培地内に配備された複数の多孔性の要素を具える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
微生物を検知し、識別し又は列挙するテストキットシステムであって、
栄養を付与して微生物の成長を維持する培地の容器と、
栄養素培地に接する多孔性の要素であって、多孔性の要素上、又は多孔性の要素上の培地上のコロニーを支持し、次の指標処理工程へコロニーを移動し、透明で、水が透過でき、栄養物質及び指標物質に対して透過性がある多孔性の要素と、
指標分子を着色コロニーへ解放するキャリアとして作動する第2の培地を具えるテストキットシステム。
【請求項10】
第2の培地は、アガロース、カラゲナン、ゼラチン及び伝達可能なゲルからなるグループから選択され、ゲルの濃度は水溶液、バッファ、食塩水又は液状栄養素培地内にて約0.1%−10%の範囲である、請求項9に記載のテストキットシステム。
【請求項11】
微小コロニーの指標は、色素形成基質、蛍光発生基質、又は蛍光性かラジオ標識抗体である、請求項9に記載のテストキットシステム。
【請求項12】
微生物を検知し、識別し又は列挙する方法であって、
培地の容器を提供する工程であって、培地の天面又は下面に多孔性の要素が配備され、培地は微生物の成長を維持する栄養を有する工程と、
多孔性の要素上方の領域にて、容器に液体サンプルを注ぐ工程と、
濾過要素内又は多孔性の要素上方の培地上の微生物を捉える工程と、
容器を培養する工程と、
内部の微生物を評価する目的で、指標とともに、容器から第2の培地へ多孔性の要素及び該要素上方のあらゆる培地を移動する工程と、
微生物を検知、識別又は列挙すべくコロニーの形状を検討する工程を含む方法。
【請求項13】
検討する工程は、手動又は自動化された画像識別及び認識装置を用いて実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
更に、
生存可能な微小コロニー(TVO)の総数を検知する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
細胞を検知し且つ識別する装置は、顕微鏡又は自動化された画像検知システムである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
第2の培地は、多孔性の要素上の微生物の識別を手助けする指標物質を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
多孔性の要素は、濾過不可能又は濾過可能なサンプルの何れかを捉える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
微生物の検知装置を製造する方法であって、
培地の容器を供給する工程と、
容器内の培地の天面に多孔性の要素を堆積させる工程と、
多孔性の要素上及び容器内の培地の天面上に更なる液体培地を注ぐ工程を有し、
容器内の培地又は更なる液体培地の何れかは、細胞の成長を促進する栄養素を有する方法。
【請求項19】
更に、
濾過要素を受け入れる空隙を培地の天面に形成する工程と、
濾過要素の天面が培地の天面と同一面又は天面以下になるように、濾過要素を空隙に挿入する工程と、
如何なる培地も無い濾過要素が天面よりも低くなるように、如何なる培地も無い濾過要素を空隙に堆積させる工程を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
更に、空隙を形成する工程は、
培地の天面にスペーサを置く工程と、
スペーサ上及び培地の容器の天面上に液体培地を注ぐ工程と、
液体培地が凝固するのを許し、スペーサ上に培地の薄い層を付与する工程と、
スペーサ上の培地の薄い層とともに、スペーサを除去して、培地内に空隙を形成する工程を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項1】
微生物を検知し、識別し又は列挙する装置であって、
栄養を付与して微生物の成長を維持する培地の容器と、
栄養素培地に接して、栄養素培地が通過することを許して細胞の成長を維持する多孔性の要素であって、指標又は視覚検査を用いた次の処理の為に容器から移動可能であり、透明で、水が透過でき、栄養物質及び指標物質に対して透過性がある多孔性の要素とを具えた装置。
【請求項2】
多孔性の要素は、微生物に対しては透過性はないが、圧力釜で殺菌可能であり、親水性であり、非蛍光性であり、無色であり、選択された細胞酵素に耐性がある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
培地は、微生物の成長を阻止せず又は禁止しない物質のみを含み、培地は固形物全般を目的とする栄養素培地又は選択的即ち鑑別培地の何れかである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
多孔性の要素は、更なる培地の上層を有し又は有さない容器内の培地上に配備された、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
多孔性の要素は、再生セルロース、セロファン、キュプロファン、及び透析細胞膜から成るグループから選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
多孔性の要素は、1000−107Daの範囲内の規則的な又は不規則的な孔を具えた透過性のある細胞膜である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
培地は、固体、半固体又は液体状態であって、多孔性の要素は、栄養を培地から多孔性の要素上の上方又は上に位置する微生物へ伝達する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
更に、
平行テスト用に平行に配列された培地上又は培地内に配備された複数の多孔性の要素を具える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
微生物を検知し、識別し又は列挙するテストキットシステムであって、
栄養を付与して微生物の成長を維持する培地の容器と、
栄養素培地に接する多孔性の要素であって、多孔性の要素上、又は多孔性の要素上の培地上のコロニーを支持し、次の指標処理工程へコロニーを移動し、透明で、水が透過でき、栄養物質及び指標物質に対して透過性がある多孔性の要素と、
指標分子を着色コロニーへ解放するキャリアとして作動する第2の培地を具えるテストキットシステム。
【請求項10】
第2の培地は、アガロース、カラゲナン、ゼラチン及び伝達可能なゲルからなるグループから選択され、ゲルの濃度は水溶液、バッファ、食塩水又は液状栄養素培地内にて約0.1%−10%の範囲である、請求項9に記載のテストキットシステム。
【請求項11】
微小コロニーの指標は、色素形成基質、蛍光発生基質、又は蛍光性かラジオ標識抗体である、請求項9に記載のテストキットシステム。
【請求項12】
微生物を検知し、識別し又は列挙する方法であって、
培地の容器を提供する工程であって、培地の天面又は下面に多孔性の要素が配備され、培地は微生物の成長を維持する栄養を有する工程と、
多孔性の要素上方の領域にて、容器に液体サンプルを注ぐ工程と、
濾過要素内又は多孔性の要素上方の培地上の微生物を捉える工程と、
容器を培養する工程と、
内部の微生物を評価する目的で、指標とともに、容器から第2の培地へ多孔性の要素及び該要素上方のあらゆる培地を移動する工程と、
微生物を検知、識別又は列挙すべくコロニーの形状を検討する工程を含む方法。
【請求項13】
検討する工程は、手動又は自動化された画像識別及び認識装置を用いて実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
更に、
生存可能な微小コロニー(TVO)の総数を検知する工程を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
細胞を検知し且つ識別する装置は、顕微鏡又は自動化された画像検知システムである、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
第2の培地は、多孔性の要素上の微生物の識別を手助けする指標物質を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
多孔性の要素は、濾過不可能又は濾過可能なサンプルの何れかを捉える、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
微生物の検知装置を製造する方法であって、
培地の容器を供給する工程と、
容器内の培地の天面に多孔性の要素を堆積させる工程と、
多孔性の要素上及び容器内の培地の天面上に更なる液体培地を注ぐ工程を有し、
容器内の培地又は更なる液体培地の何れかは、細胞の成長を促進する栄養素を有する方法。
【請求項19】
更に、
濾過要素を受け入れる空隙を培地の天面に形成する工程と、
濾過要素の天面が培地の天面と同一面又は天面以下になるように、濾過要素を空隙に挿入する工程と、
如何なる培地も無い濾過要素が天面よりも低くなるように、如何なる培地も無い濾過要素を空隙に堆積させる工程を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
更に、空隙を形成する工程は、
培地の天面にスペーサを置く工程と、
スペーサ上及び培地の容器の天面上に液体培地を注ぐ工程と、
液体培地が凝固するのを許し、スペーサ上に培地の薄い層を付与する工程と、
スペーサ上の培地の薄い層とともに、スペーサを除去して、培地内に空隙を形成する工程を有する、請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図10】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図10】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図5G】
【図5H】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−521968(P2010−521968A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554594(P2009−554594)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/003826
【国際公開番号】WO2008/118400
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509262862)ナノロジックス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOLOGIX,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/003826
【国際公開番号】WO2008/118400
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509262862)ナノロジックス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOLOGIX,INC.
【Fターム(参考)】
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