説明

通信サービスユニットおよび接続シーケンス実行方法

異なる通信手順を有するマルチメディア端末間の場合であることを意識せずに通信する。端末2は端末3と通信するために、通信サービスユニット1との通信路確立に必要な通信手順を開始し、通信プロトコル変換部7が端末2からの通信開始要求を受け取ると、通信開始要求中に存在する端末2を特定する識別番号をもとに発信端末の識別処理を行ない、端末情報管理部9に対して発信端末の問い合わせを通知する。端末情報管理部9は端末情報要求に基づいて発信端末に関する端末情報の検索し検索した端末情報を通信プロトコル変換部7へ通知する。通信プロトコル変換部7は、端末2の発信端末情報が取得できれば、端末3へ通信開始要求を通知して以降の通信路確立に必要な通信手順の中継処理を継続実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、映像、音声あるいはデータ等の符号化メディア情報をパケット多重してメディア伝送する通信サービスユニットおよび接続シーケンス実行方法に関するものである。
【背景技術】
映像、音声あるいはデータ等のメディア情報を通信して、TV電話のようなサービスを実現するマルチメディア端末について、各メディア情報をマルチメディア多重伝送するための規格がさまざまに制定されている。
W−CDMA第3世代携帯電話で提供されるTV電話サービスを実現するマルチメディア端末では、例えば、マルチメディア多重伝送するための規格の一つとして国際勧告 ITU−T(International Telecommunication Union − Telecommunication Standardization Sector)勧告 H.324(Terminal for low bit−rate multimedia communication)が適用される。ITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア端末は、メディア情報を伝送するための各種設定を交換して決定するAV通信制御プロトコルとして国際勧告ITU−T勧告H.245(Control Protocol for multimedia communication)、マルチメディア多重方式として国際勧告ITU−T勧告H.223(Multiplexing protocol for low bit rate multimedia communication)が適用される。
また、インターネット通信で利用されるTV電話サービスを実現するマルチメディア端末では、例えば、マルチメディア多重伝送するための規格の一つとしてIETF(Internet Engineering Task Force)規格SIP(Session Initiation Protocol)が適用される。IETF規格SIPに準拠したマルチメディア端末は、マルチメディア多重方式としてIETF規格RTP(Realtime Transport Protocol)/RTCP(Realtime Transport Control Protocol)が適用される。
マルチメディア端末間での通信では、情報を伝送するための通信経路の確立とともに、実際に端末間で送受信する映像、音声などのメディア情報についてメディア情報の符号化方式あるいは符号化メディア情報の伝送方法などを確定する必要がある。ITU−T勧告H.324では、呼制御手順と呼ばれているような通信経路を確立するための通信手順と、AVメディア制御シーケンスと呼ばれているような通信確立後に映像、音声などのメディア情報の符号化方式あるいは符号化メディア情報の伝送方法などを確定するための通信手順との2つの段階によって、マルチメディア端末間でのマルチメディア通信を確立する。一方、IETF規格SIPでは、通信経路の確立と映像、音声などのメディア情報の符号化方式あるいは符号化メディア情報の伝送方法などの確定を同時に行う通信手順によって、マルチメディア端末間でのマルチメディア通信を確立する。つまり、映像、音声などのメディア情報に関する通信情報、例えばメディアの符号化能力であれば、ITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア端末では、通信経路確立後のメディア制御手順中で情報伝達と決定を行い、IETF規格SIPに準拠したマルチメディア端末では、通信経路の確立と合わせた呼制御・メディア制御手順中で情報伝達と決定を行うことになる。
したがって、ITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア端末と、IETF規格SIPに準拠したマルチメディア端末という異なる通信手順を有する端末間で、相互に通信を実現する場合、メディア情報に関する端末情報の通知タイミングの相違が問題となる。たとえば、ITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア端末からIETF規格SIPに準拠したマルチメディア端末への相互通信時、通信開始時にITU−T勧告H.324に準拠した端末では通信開始を要求した発信端末のメディア情報に関する端末情報が通信手順に含まれていないため、IETF規格SIPに準拠した端末へ通知することができない問題がある。
上記のような問題に対して、日本特許公開平10−334007号公報と日本特許公開2000−285043号公報において、電子メール型ファクシミリ装置として、IP網での情報伝達と回線交換網での情報伝達という異なる通信手順での中継について言及している。ファクシミリ装置の通信においても、発信ファクシミリ装置と、宛先ファクシミリ装置との間で受信可能なデータ形式や画質指定などの端末情報の通知が必要であり、その解決策が開示されている。
特に、日本特許公開平10−334007号公報記載の従来技術では、発信ファクシミリ型電子メール装置、中継機となるファクシミリ型電子メール装置、サーバと宛先ファクシミリ装置から構成されている。サーバでは、ファクシミリ装置の電話番号、メールアドレス、受信可能なデータ形式や画質指定などの端末情報を管理する。このとき、オペレータが端末情報に相当する項目を入力して、所定の操作によってサーバにそれらの入力情報を送信すれば、サーバ内のデータベースに自動登録することが指摘されている。そして、発信ファクシミリ装置は、ファクシミリ送信時に宛先ファクシミリ装置に対する端末情報をサーバに問い合わせることによってデータベース中の端末情報を取得し、最適な送信方法を選択してファクシミリ情報を送信することができる。
また、日本特許公開2000−285043号公報記載の従来技術では、複数のIP網からなる環境において、DNS(Domain Name System)サーバと、サーバ内のデータベース上に当該端末に対する端末情報が存在しない場合に他のサーバへ問い合わせて取得する手段から構成されている。そのため、宛先ファクシミリ装置に対する端末情報を直接保持していなくとも、たとえば当該端末が属するIP網上のサーバへ問い合わせることによって端末情報を取得できる可能性があり、より広域なネットワーク環境下でファクシミリ情報を送信することができる。その際、他のサーバから取得した端末情報を自サーバへ自動登録しておくことによって、次回からは宛先ファクシミリ装置の端末情報を速やかに取得することができる。
先に述べたようにITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア通信端末では、伝送路の確立(呼制御手順)と、メディア通信の確立(AVメディア制御手順)との2段階の手順で実行する。それに対して、IETF規格SIPに準拠したマルチメディア通信端末は、呼制御手順とAVメディア制御手順とを同時に実行する。そのため、両者を相互接続する場合、通信手順の差によって必要な情報が不足する課題がある。
また、上述の日本特許公開平10−334007号公報や、日本特許公開2000−285043号公報で開示された宛先ファクシミリ装置に対する端末情報の取得方法では、一度オペレータによって必要な項目を入力しておく必要がある。言い換えれば、宛先ファクシミリ装置に関する仕様の入手が必要となる。また、端末情報について装置間での通信手順によって情報交換のみされ、通常知ることのできない端末情報がある場合、本方法を適用することができない問題が生じてしまう。
ITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア端末やIETF規格SIPに準拠したマルチメディア端末等の端末では、操作パネル等によってユーザが選択することができる項目以外に、たとえばメディアの符号化方式に関するパラメータや符号化メディア情報の多重伝送方式に関するパラメータなど装置固有の仕様によって決定されて装置間での通信手順によってのみ情報交換されるような通常知ることのできない端末情報も存在している。
そこで、本発明は、ユーザが知ることのできない端末情報を含めてデータベースに簡易に自動登録し、異なる通信手順を有するマルチメディア端末間通信の場合でも、それらの端末が異なる通信手順であることを意識せず相互に通信を開始することができる通信サービスユニットおよび接続シーケンス実行方法を提供することを目的とする。
【発明の開示】
上記課題を解決するため、本発明では、異なる通信プロトコル方式を有する通信端末との間で、一方の通信端末から他方の通信端末への発信時に通信プロトコルを変換して中継する際、発信端末を識別して、発信端末に対応した端末情報を上記事前に保持した端末情報のうちから検索し、検索した端末情報を使用して着信端末との接続シーケンスを実行することを基本とする。特に、発信端末に対応する端末情報が存在しない場合は、着信端末との通信接続を行わずに、発信端末の端末情報を取得するための擬似的な通信手順を実行して発信端末の端末情報を取得し登録するようにする。
以上のように、本発明によれば、異なる通信プロトコル方式を有する通信端末との間に位置し、一方の通信端末から他方の通信端末への発信時に通信プロトコルを変換して中継する際、発信端末を識別して、発信端末に対応した端末情報を事前に登録しておいた端末情報から検索し、検索した端末情報を使用して着信端末との接続シーケンスを実行することを基本としたので、異なる通信手順を有するマルチメディア端末間通信の場合でも、それらの端末は異なる通信手順であることを意識せず相互に通信を開始することができる。
特に、発信端末に対応する端末情報が存在しない場合は、着信端末との通信接続を行わずに、発信端末の端末情報を取得するための擬似的な通信手順を実行して発信端末の端末情報を取得し登録するようにしたので、発信端末に対応する端末情報が存在しない場合でもその端末情報を自動的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
図1はこの発明が適用される通信サービスユニットの実施の形態1を示す構成図、
図2は実施の形態1における通信開始時のシーケンスの一例を示す図、
図3は実施の形態2における通信開始時のシーケンスの一例を示す図、
図4はこの発明が適用される通信サービスユニットの実施の形態4を示す構成図、
図5は実施の形態5における通信サービスユニット1において検索する発信端末に関する端末情報の一例を示す図、
図6は実施の形態6における映像、音声などの符号化されたメディア情報の変換の一例を示す図、
図7は実施の形態7における映像、音声などの符号化されたメディア情報の変換の一例を示す図、
である。
【発明を実施するための最良の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明が適用される通信サービスユニットの実施の形態1を示す構成図である。
図において、1は異なる通信手順を有するマルチメディア端末間での相互通信を実現する通信サービスユニットの全体、2は映像、音声などのメディア情報を符号化して多重した伝送ストリームを送信あるいはその逆に伝送ストリームを受信して分離した映像、音声などの符号化されたメディア情報を復号するマルチメディア端末、3はマルチメディア端末2とは異なる通信手順を有するマルチメディア端末である。4は通信サービスユニット1を制御する装置制御部、5はマルチメディア端末2とネットワークAを介して伝送ストリームを送受信するネットワークIF部、6はマルチメディア端末3とネットワークBを介して伝送ストリームを送受信するネットワークIF部である。ネットワークIF部5,6ではそれぞれが通信対象とするマルチメディア端末が準拠した規格にしたがった方式によって映像、音声などのメディア情報や通信制御情報を伝送ストリームとして送受信する機能を有している。7はネットワークIF部5,6を介してマルチメディア端末2,3からの通信制御情報を相互に変換して中継する通信プロトコル変換部、8はネットワークIF部5,6を介してマルチメディア端末2,3からの映像、音声などの符号化されたメディア情報を相互に変換して中継するメディア変換部、9は相互通信の対象となるマルチメディア端末に関する端末情報を管理する端末情報管理部である。
次に、実施の形態1の動作について説明する。ここでは一例として、通信サービスユニット1を介したマルチメディアディア端末2からマルチメディア端末3への相互通信における動作を説明する。
図2は、実施の形態1における通信開始時のシーケンスの一例を示す図である。
マルチメディア端末2はマルチメディア端末3への相互通信するために、通信サービスユニット1との通信路確立に必要な通信手順を開始する。通信サービスユニット1では、装置制御部4による全体制御の下で、マルチメディア端末2からの通信の開始についてネットワークIF部5を介して通信プロトコル変換部7で通信手順を実行する。そして、通信プロトコル変換部7は、発信端末であるマルチメディア端末2から通知された通信メッセージをプロトコル変換し、ネットワークIF部6を介してマルチメディア端末3への通信を開始する。このとき、通信プロトコル変換部7は、発信端末であるマルチメディア端末2から通知された通信開始要求の通信メッセージ20を受け取ると、通信開始要求20中に存在するマルチメディア端末2を特定する識別番号、たとえばITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア端末であれば回線交換網上での発信電話番号、あるいはIETF規格SIPに準拠したマルチメディア端末であればIP網上でのSIP−URLと呼ばれる端末アドレスをもとに発信端末の識別処理21を行う。そして、端末情報要求22によって端末情報管理部9に対して発信端末の問い合わせを通知する。
端末情報管理部9は端末情報要求22に基づいて発信端末に関する端末情報の検索処理23を行う。そして、端末情報応答24によって検出結果である発信端末に関する端末情報を通知する。通信プロトコル変換部7は端末情報応答24によってプロトコル変換処理を継続するか否かの判定処理25を行う。ここで、発信端末であるマルチメディア端末2の発信端末情報が取得できていれば、マルチメディア端末3へ通信開始要求の通信メッセージ26を通知して以降の通信路確立に必要な通信手順の中継処理を継続実行する。その後、マルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間でのマルチメディア伝送に必要なメディア制御手順を実行する。
このとき、マルチメディア端末2とマルチメディア端末3で異なる通信手順を有している場合、両マルチメディア端末から通知される通信メッセージ数や内容に相違があり、必ずしも1対1に対応するとは限らない。この場合、通信プロトコル変換部7において取得した発信端末情報を適用し、必要に応じて通信メッセージが変換される。
なお、端末情報管理部9が端末情報の検索処理23において参照する端末情報に関するデータベースは、通信サービスニット1内部で管理していても良いし、通信サービスユニット1外部の専用サーバにて一括管理して問い合わせる形式でも良い。
以上のように、実施の形態1によれば、異なる通信手順を有するマルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間で相互通信する場合に、通信開始手順に必要な発信端末に対する端末情報が不足していても、通信サービスユニット1において発信端末に対する端末情報を検索して取得した端末情報を補填することによって、マルチメディア端末2とマルチメディア端末3とは、異なる通信手順を有するマルチメディア端末間通信であることを意識せずに相互通信を実現できる効果を奏する。
実施の形態2.
実施の形態2の構成図は、実施の形態1の構成図である図1と同一であるので、構成の説明は省略して、実施の形態2の動作について説明する。ここでは一例として、通信サービスユニット1を介したマルチメディアディア端末2からマルチメディア端末3への相互通信における動作を説明する。
図3は、実施の形態3における通信開始時のシーケンスの一例を示す図である。
通信サービスユニット1では、実施の形態1でも述べたようにマルチメディア端末2から通知された通信開始要求の通信メッセージ20を受け取ると、端末情報要求22によって端末情報管理部9に対して発信端末であるマルチメディア端末2に関する端末情報の問い合わせを行う。端末情報管理部9は端末情報要求22に基づいて発信端末に関する端末情報の検索処理23を行う。そして、端末情報応答30によって発信端末に関する端末情報の検索結果を通知する。このとき、当該発信端末に対する端末情報がデータベース上に存在しなければ、端末情報応答30によって端末情報取得不可の旨が通知される。通信プロトコル変換部7は端末情報応答30によってプロトコル変換処理を継続するか否かの判定処理25を行って、マルチメディア端末2の発信端末情報が取得できていなければ、マルチメディア端末3への通信を行わず、マルチメディア端末2からの端末情報取得に移行する。
通信プロトコル変換部7は、マルチメディア端末2へ通信開始応答の通信メッセージ31を通知することによってマルチメディア端末2にとって通信路確立に必要な通信手順を擬似的に実行する。通信路の確立後、マルチメディア端末2はマルチメディア伝送に必要な通信手順を開始する。そのとき、マルチメディア端末2から通知された端末能力通知のメディア制御メッセージ32を受け取ると、端末能力通知32中から発信端末であるマルチメディア端末2のマルチメディア伝送に関する情報を抽出して発信端末の情報取得処理33を行う。そして、通信プロトコル変換部7は、端末情報登録34によって端末情報管理部9に対して発信端末の情報登録を通知する。端末情報管理部9は、その端末情報登録34に基づいて発信端末に関する端末情報の登録処理36を行う。一方で、マルチメディア端末2へ端末能力通知のメディア制御メッセージ35を通知することによってマルチメディア端末2にとってマルチメディア伝送に必要な通信手順を擬似的に実行する。
このとき、マルチメディア端末2とマルチメディア端末3で異なる通信手順を有している場合、両マルチメディア端末から通知される通信メッセージ数や内容に相違があり、必ずしも1対1に対応するとは限らない。この場合、通信プロトコル変換部7において取得した発信端末情報を適用し、必要に応じて通信メッセージが変換される。また、マルチメディア端末3から通知される他のメディア制御メッセージによって発信端末に関する端末情報が通知された場合、その都度、発信端末の端末情報の登録処理36を行っても良い。その後はマルチメディア端末2の操作者の判断によって一度通信を終了して、再度マルチメディア端末3への通信を開始しても良い。その場合は、発信端末の端末情報はデータベース上に登録されているので、通信サービスユニット1において図1で示した手順によりマルチメディア端末2とマルチメディア端末3とのマルチメディア通信が確立される。
なお、端末情報管理部9が端末情報の検索処理23において参照する端末情報に関するデータベースは、通信サービスニット1内部で管理していても良いし、通信サービスユニット1外部の専用サーバにて一括管理して問い合わせる形式でも良い。
以上のように、実施の形態2によれば、異なる通信手順を有するマルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間で相互通信する場合、通信開始手順に必要な発信端末に対する端末情報が不足していても、操作者が複雑な手順によって情報入力することなく通信サービスユニット1において発信端末からその端末情報を自動的に取得できる効果を奏する。
実施の形態3.
実施の形態3の構成図は、実施の形態1の構成図である図1と同一であるので、構成の説明は省略して、実施の形態3の動作について説明する。ここでは一例として、通信サービスユニット1を介したマルチメディアディア端末2からマルチメディア端末3への相互通信における動作を説明する。
図3で示したように発信端末に関する端末情報がデータベース上に存在しない場合、マルチメディア端末2と通信サービスユニット1との間で、通信路の確立およびメディア伝送の確立に必要な一連の通信メッセージやメディア制御メッセージを交換して発信端末であるマルチメディア端末2に関する端末情報の取得を行った後、擬似的なマルチメディア通信を確立する。
このとき、本実施の形態3では、マルチメディア端末2と通信サービスユニット1との間で確立した擬似的なマルチメディア通信を維持したまま、通信サービスユニット1からマルチメディア端末3へマルチメディア通信の確立を行うようにする。この場合、通信サービスユニット1とマルチメディア端末3との間で、通信路を確立するための通信手順とメディア伝送を確立するための通信手順とを行ってマルチメディア通信を確立後、マルチメディア端末2と通信サービスユニット1との間でのマルチメディア通信と、通信サービスユニット1とマルチメディア端末3との間でのマルチメディア通信についてそれぞれのマルチメディア通信を中継することによってマルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間のマルチメディア通信に移行することができる。
以上のように、実施の形態3によれば、異なる通信手順を有するマルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間で相互通信する場合、通信開始手順に必要な発信端末に対する端末情報が不足していても、操作者が複雑な手順によって情報入力することなく通信サービスユニット1において発信端末から自動的に端末情報を取得するとともに、自動的に相手端末であるマルチメディア端末3へマルチメディア通信を確立できる効果を奏する。
実施の形態4.
図4は、この発明が適用される通信サービスユニットの実施の形態4を示す構成図である。なお、実施の形態4の通信サービスユニットにおけるガイダンス制御部40以外の構成は、図1に示す実施の形態1の通信サービスユニット1のものと同じである。
図4において、40は映像、音声などのメディア情報を符号化したストリームを管理し、任意のマルチメディア端末から通信開始要求されたときに、当該マルチメディア端末に関する端末情報がデータベース上に登録されていないとき、端末情報を取得するべく通信サービスユニット1との間で擬似的なマルチメディア通信を確立した際、通信サービスユニット1から当該マルチメディア端末へ通信状況あるいは動作手順を説明するようなガイダンス映像に相当する符号化したメディア情報に通知するガイダンス制御部である。
次に、実施の形態4の動作について説明する。
ここでは一例として、通信サービスユニット1を介したマルチメディアディア端末2からマルチメディア端末3への相互通信における動作を説明する。図3で示したように発信端末であるマルチメディアディア端末2に関する端末情報がデータベース上に存在しない場合、マルチメディア端末2と通信サービスユニット1との間で、通信路の確立およびメディア伝送の確立に必要な一連の通信メッセージやメディア制御メッセージを交換して発信端末に関する端末情報の取得を行った後、擬似的なマルチメディア通信を確立する。
このとき、本実施の形態4の場合、マルチメディア端末2と通信サービスユニット1との間で確立した擬似的なマルチメディア通信中に、ガイダンス制御部40から発信端末であるマルチメディア端末2へ状況説明のガイダンス映像を通知する。たとえば、マルチメディア端末2の操作者が一度通信を終了して、再度マルチメディア端末3への通信を開始する必要がある場合、マルチメディア端末2の操作者にその旨を説明するためのガイダンス映像を通知する。あるいは、マルチメディア端末2と通信サービスユニット1との間で確立した擬似的なマルチメディア通信を維持したまま、通信サービスユニット1からマルチメディア端末3へマルチメディア通信の確立を行って、マルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間のマルチメディア通信に移行する場合、最終的な通信状態へ移行するまでの間、マルチメディア端末2の操作者にその旨を説明するためのガイダンス映像を通知する。なお、このガイダンス映像に、映像だけでなく、音声も含んでいて良いことは勿論である。
以上のように、実施の形態4によれば、異なる通信手順を有するマルチメディア端末2とマルチ端末3との間で相互通信する場合、通信開始手順に必要な発信端末に対する端末情報が不足していても、操作者が複雑な手順によって情報入力することなく通信サービスユニット1において発信端末から自動的に端末情報を取得するとともに、発信端末の操作者に動作状況を説明するガイダンス映像を通知することによって操作者が容易に相手端末へのマルチメディア通信を確立できる効果を奏する。
実施の形態5.
実施の形態5の構成図は、実施の形態1の構成図である図1と同一であるので、構成の説明は省略して、実施の形態5の動作について説明する。
図5は、実施の形態5における通信サービスユニット1において検索する発信端末に関する端末情報の一例を示す図である。
端末情報管理部9が端末情報の検索処理23において参照する端末情報に関するデータベースには、発信端末が他のマルチメディア端末と通信する際に端末間で交換するメディア制御メッセージに関する各種情報を保持している。端末情報としては、発信端末を特定するための識別番号、たとえばITU−T勧告H.324に準拠したマルチメディア端末であれば回線交換網上での発信電話番号、あるいはIETF規格SIPに準拠したマルチメディア端末であればSIP−URLと呼ばれる端末アドレス、端末が送信可能な映像、音声などのメディア情報に適用可能なメディア符号化能力、たとえばMPEG−4 VisualやH.263、AMR、G.723.1等の映像の符号化方式や音声の符号化方式、また各メディア符号化方式に固有な情報、たとえば映像符号化方式にMPEG−4 Visualを適用する場合には符号化情報に関する情報としてDCI(Decoder Configuration Information)と呼ばれる情報がある。
マルチメディア端末2からマルチメディア端末3への相互通信時には、図2で示したようにマルチメディア端末2から通信開始要求20によって発信端末を特定する識別番号が通知される。そのため、発信端末に関する端末情報について発信端末を特定する識別番号に関連付けてデータベース上に登録すれば、通知された識別番号を適用して容易に検索することができる。
なお、上記実施の形態1〜4と同様に、端末情報を格納したデータベースは、通信サービスニット1内部で管理していても良いし、通信サービスユニット1外部の専用サーバにて一括管理して問い合わせる形式でも良い。データベースを通信サービスユニット1外部の専用サーバで一括管理する場合は、通信サービスユニット1内の通信プロトコル変換部7と端末情報管理部9との間での端末情報に関する問い合わせや登録を行う方法と同様の手法を、通信サービスユニット1と専用サーバ間で実行することによって実現することができることは明らかである。そして、通信サービスユニット1が複数台数に増設する場合でも、発信端末に関する端末情報は専用サーバ上に保持されているため、特別な仕組みを設けることなく容易に拡張することができる。
以上のように、実施の形態5によれば、異なる通信手順を有するマルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間で相互通信する場合、通信開始手順に必要な発信端末に対する端末情報が不足していても、発信端末を特定する識別番号に関連付けてマルチメディア通信に必要なさまざまな端末情報を管理することによって、マルチメディア端末からの通信開始時に速やかに必要な情報を検索することができる効果を奏する。また、発信端末に関する情報を通信サービスユニット1外部の専用サーバで一括管理すれば、複数の通信サービスユニット1でシステムを構築する場合にも容易に拡張できる効果を奏する。
実施の形態6.
実施の形態6の構成図は、実施の形態1の構成図である図1と同一であるので、構成の説明や省略し、ここでは一例として、通信サービスユニット1を介したマルチメディアディア端末2からマルチメディア端末3への相互通信における動作を説明する。
図6は、実施の形態6における映像、音声などの符号化されたメディア情報の変換の一例を示す図である
図6において、50、51はマルチメディア端末2から通信サービスユニット1へ通知された映像メディア情報と音声メディア情報、52はマルチメディア端末2に対する事前情報として登録されていた、映像メディア情報と音声メディア情報を同期して再生出力するのに受信端末側で必要な同期タイミング情報である。53,54は映像メディア情報50、音声メディア情報51に対してメディア変換部8にて適切な変換処理をして通信サービスユニット1からマルチメディア端末3へ通知する映像メディア情報と音声メディア情報とである。
次に、実施の形態6の動作について説明する。
本実施の形態6では、一例として、マルチメディア端末2は通信手順によって同期タイミング情報52を通知する手段を有しているが、マルチメディア端末3は同期タイミング情報52に相当する情報を通知する手段を有せず、映像、音声などのメディア情報を伝送する個々のパケットに時刻情報を付与して通知するような異なる通信手順を有しているとする。
ここで、例えば、マルチメディア端末2の端末情報において登録されていた同期タイミング情報52の値が、たとえばTで、マルチメディア端末2から通知された映像メディア情報50の受信時刻をtv、同じく音声メディア情報51の受信時刻をtaとする。メディア変換部9では、同期タイミング情報52の値を適用し、映像メディア情報50、音声メディア情報51の通信サービスユニット1での受信時刻を補正して、マルチメディア端末3へ通知する映像メディア情報53、音声メディア情報54に付与する時刻情報tv’、ta’に反映する。たとえば、映像メディア情報53に付与する時刻情報tv’、ta’についてマルチメディア端末2から受信した時間をそのまま適用してtv’=tv+αと変換処理した場合に、音声メディア情報54に付与する時間情報ta’は、同期タイミング情報52の値のT分だけ加算したta’=ta+α+Tとなる。このとき、メディア情報53,54に付与する時刻情報tv’、ta’に対して通信サービスユニット1内部における処理遅延時間を考慮して、固定のオフセット値αを決定して補正に適用しても良い。
以上のように、実施の形態6によれば、異なる通信手順を有するマルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間で相互通信する場合に、発信端末の端末情報として映像、音声などのメディア情報を受信側で同期して再生出力するための同期タイミング情報を保持しておき、その同期タイミング情報に基づいて各メディア情報に付与する時刻情報を調整することで、同期タイミング情報を通知する手順を有さないマルチメディア端末に対しても複数のメディア情報間で時刻同期を合わせた中継処理を行うことができる効果を奏する。
実施の形態7.
実施の形態7の構成図は、実施の形態1の構成図である図1と同一であるので、構成の説明や省略して、ここでは一例として、通信サービスユニット1を介したマルチメディアディア端末2からマルチメディア端末3への相互通信における動作を説明する。
図7は、実施の形態7における映像、音声などの符号化されたメディア情報の変換の一例を示す図である
図7において、55,56は映像メディア情報50、音声メディア情報51に対してメディア変換部8にて適切な変換処理をして通信サービスユニット1からマルチメディア端末3へ通知する映像メディア情報と音声メディア情報、57,58は映像メディア情報55、音声メディア情報56に対して再生タイミングを通知する基準時刻情報である。
次に、実施の形態7の動作について説明する。
本実施の形態7では、一例として、マルチメディア端末2は通信手順によって同期タイミング情報52を通知する手段を有しているが、マルチメディア端末3は同期タイミング情報52に相当する情報を通知する手段を有せず、映像、音声などのメディア情報を伝送する個々のパケットに時刻情報を付与して通知するともに、それぞれのメディア情報の時刻情報の基準となる時刻情報を通知するような異なる通信手順を有するとする。
マルチメディア端末2の端末情報において登録されていた同期タイミング情報52の値が、たとえばTで、マルチメディア端末2から通知された映像メディア情報50の受信時刻をtv、同じく音声メディア情報51の受信時刻をtaとした場合、メディア変換部9では同期タイミング情報52の値を適用し、映像メディア情報50、音声メディア情報51の通信サービスユニット1での受信時刻を補正する。このとき、マルチメディア端末3へ通知する映像メディア情報53、音声メディア情報54に付与する時刻情報tv2’、ta2’に対しては通信サービスユニット1に通知された時間からtv2’=tv+α、ta2’=ta+αと変換した場合、各メディア情報に対する時刻情報の基準となる時刻情報tbv’、tba’にも反映する。たとえば、映像メディア情報55に対する基準となる時刻情報tbvについてマルチメディア端末2から受信した時間をそのまま適用してtbv=tv+βと変換処理した場合に、音声メディア情報56に対する基準となる時刻情報tbaは、同期タイミング情報52の値のT分だけ加算したtba=ta+β+Tとなる。このとき、メディア情報55,56に付与する時刻情報tv2’、ta2’あるいは、各メディア情報に対する基準となる時刻情報tbv、tbaに対して通信サービスユニット1内部における処理遅延時間を考慮して、固定のオフセット値α、βを決定して補正に適用しても良い。
以上のように、実施の形態7によれば、異なる通信手順を有するマルチメディア端末2とマルチメディア端末3との間で相互通信する場合に、発信端末の端末情報として映像、音声などのメディア情報を受信側で同期して再生出力するための同期タイミング情報を保持しておき、その同期タイミング情報に基づいて各メディア情報に付与する時刻情報の基準となる時刻情報を調整することで、同期タイミング情報を通知する手順を有さないマルチメディア端末に対しても複数のメディア情報間で時刻同期を合わせた中継処理を行うことができる効果を奏する。
【図1】

【図2】


【図3】


【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる通信プロトコル方式を有する通信端末との間に位置し、一方の通信端末から他方の通信端末への発信時において、通信プロトコルを変換して中継する通信サービスユニットであって、
発信端末を識別して、発信端末に対応した端末情報を事前に登録しておいた端末情報から検索し、検索した端末情報を使用して着信端末との接続シーケンスを実行する
ことを特徴とする通信サービスユニット。
【請求項2】
通信開始時、発信端末に対応する端末情報が存在しない場合、着信端末との通信接続を行わずに、発信端末の端末情報を取得するための擬似的な通信手順を実行して発信端末の端末情報を取得し登録する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信サービスユニット。
【請求項3】
通信開始時、発信端末に対応する端末情報が存在しない場合、着信端末との通信接続を行わずに、発信端末の端末情報を取得するための擬似的な通信接続手順を実行して発信端末の端末情報を取得し登録した後、あらためて着信端末との通信接続を実行し、発信端末と着信端末とを相互接続する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信サービスユニット。
【請求項4】
通信開始時、発信端末に対応する端末情報が存在しない場合、発信端末の操作者に通信状況または操作方法を説明するガイダンスを発信端末へ伝送する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信サービスユニット。
【請求項5】
発信端末の電話番号あるいはURLなど、ネットワーク上での発信端末の識別番号に、発信端末の端末情報を関連付けて管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信サービスユニット。
【請求項6】
端末情報として、マルチメディア通信時に適用する映像、音声などのメディアの符号化方式種別、および符号化に関する動作パラメータ情報を管理する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信サービスユニット。
【請求項7】
端末情報として映像、音声などのメディア情報の同期タイミング情報を保持しておき、少なくとも2以上のメディア情報が多重化されたメディア多重フレームを中継する際、メディア多重フレームに時刻情報を付加する場合に、その同期タイミング情報に基づいて時刻情報を調整し、複数のメディア情報間で時刻同期を合わせて中継する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信サービスユニット。
【請求項8】
端末情報として映像、音声などのメディア情報の同期タイミング情報を保持しておき、少なくとも2以上のメディア情報が多重化されたメディア多重フレームを中継する際、メディア多重フレームに時刻情報を付加し、各メディア情報に対する時刻を関連付ける基準情報が伝送されている場合、その同期タイミング情報に基づいて基準情報を調整し、複数のメディア情報間で時刻同期を合わせて中継する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信サービスユニット。
【請求項9】
着信先端末となる通信端末との通信接続手順において、通信サービスユニットで取得した発信端末の端末情報を外部サーバ上に管理しておき、
通信接続開始時、外部サーバから発信端末に関する端末情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信サービスユニット
【請求項10】
異なる通信プロトコル方式を有する通信端末との間で、一方の通信端末から他方の通信端末への発信時に通信プロトコルを変換して中継する際、
発信端末を識別して、発信端末に対応した端末情報を上記事前に保持した端末情報のうちから検索し、検索した端末情報を使用して着信端末との接続シーケンスを実行する
ことを特徴とする接続シーケンス実行方法。

【国際公開番号】WO2004/075508
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502760(P2005−502760)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001871
【国際出願日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】