説明

通信システム、通信装置並びに通信方法

【課題】視聴が制限される年齢の情報が付されたコンテンツの配信サービスを好適に行なう。
【解決手段】DMSにおいて、コンテンツに視聴年齢制限が課されているか否かを、メタ情報で提供する。これに対し、DMCは、DMRに再生要求しようとするコンテンツのメタ情報を取得して、視聴年齢制限のあるコンテンツか否かを確認する。また、DMCは、コンテンツの再生を要求するDMRから機器種別に関する情報を取得し、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が可能な機器かどうかを確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される技術は、例えばDLNA規格若しくはUPnP規格に則ってコンテンツ配信サービスを行なう通信システム、通信装置並びに通信方法に係り、特に、視聴が制限される年齢の情報が付されたコンテンツの配信サービスを行なう通信システム、通信装置並びに通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、AVコンテンツのほとんどがディジタル化されており、CDやDVDなどのディジタル・コンテンツを記録再生するメディアが広く利用されている。さらには、ネットワークを経由した映像や音楽などのコンテンツの流通・配信サービスが盛んとなり、CDやDVDなどのメディアの移動なしに、ネットワークを経由して遠隔端末間でコンテンツ配信が行なわれている。また、機器を接続しただけでネットワークへの参加を可能にするUPnP(Universal Plug and Play)をベースとしてディジタル化されたAVコンテンツを家庭内でIP(Internet Protocol)ネットワーク経由で流通させるDLNA(DigitalLiving Network Alliance)が規格化されている。これに伴い、AV機器を中心としたCE(Consumer Electronics)機器、PC(Personal Computer)及びその周辺機器で、DLNA規格、あるいはUPnP規格に準拠した機能を持つ製品が増えてきている。
【0003】
数年前に策定されたDLNA Guideline 1.0(及び1.5)では、コンテンツを提供するサーバーに相当するDMS(Digital Media Server)と、再生するクライアントに相当するDMP(Digital Media Player)からなる2−Box Pull形式(System Usage)の接続条件について定義された。同ガイドラインのリリースに伴い、DMS及びDMS機能を装備した製品が主に普及した。また、近年策定されたDLNA Guideline 1.5では、クライアントがDMR(Digital Media Renderer)及びDMC(Digital Media Controller)からなる3−Box System Usageが定義され、DMCを操作して、DMSからコンテンツをDMRに送信して再生させることができる。同ガイドラインのリリースに伴い、DMR及びDMC機能を装備した製品が登場した。
【0004】
2−Box Pull及び3−Box System Usageのいずれにおいても、DMSは自身のストレージに保存されているコンテンツを配信することができる。
【0005】
また、ブロードバンドの普及に伴い、音楽や動画コンテンツをストリーミング配信するサービスが増えてきている。各々の機器(DMP、DMC、DMR)がコンテンツを直接受信するのではなく、DMS機能を持つ1つの機器がプロキシー・サーバーのような役割で受信して、他のクライアント機器に配信することができる。このような利用形態によれば、DMP、DMC、DMRなどのクライアント機器側では、サービスを直接受けるための認証シーケンスを実装したソフトウェア・モジュールや、放送を受信するチューナーなどのハードウェアを必要としないというメリットがある。
【0006】
他方、配信されるコンテンツの中には、暴力シーンや教育上好ましくないシーンを含むものもある。このため、年齢に基づいた視聴制限や推奨最低年齢などの情報をコンテンツに付随させ、一定年齢以下の視聴者が視聴できないようにする仕組みが適宜導入されている。
【0007】
放送コンテンツの場合、例えばARIB(Association of Radio Industries and Businesses:電波産業会)10では、所定の記述子「Parential rating descriptor」を、番組情報であるEvent Information Table(EIT)に挿入することにより、番組の視聴制限年齢を示すことが可能である。
【0008】
例えば、視聴年齢制限により視聴不可となった番組を録画する際に、ユーザーにパスワードの入力を求め、認証に成功しないと無音で且つ映像のない状態が録画することで、視聴制限年齢未満のユーザーの眼に触れないようにする。また、視聴年齢制限により視聴不可となった番組を録画しようとした場合に、録画を中止する記録装置制御システムについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0009】
また、受信機と記録再生装置の2Boxで構成されるネットワークシステムにおいて、受信機が受信したコンテンツを録画する際に、録画先となる記録再生装置が、視聴年齢制限に応じてコンテンツの再生の制御が可能か否かを確認する方法について提案がなされている(例えば、特許文献2を参照のこと)。このネットワークシステムによれば、DMS機能を備えた受信機が受信したどのようなコンテンツであっても、安心して録画することができる。
【0010】
他方、DMS、DMC、DMRの3Boxで構成されるシステムにおいて、DMS機能を備えた受信機で受信し録画したコンテンツをDMRで視聴しようとする場合、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が正しく行なわれないおそれがある。DMCを操作してDMRに設定を行なうと、DMSからDMRへコンテンツが送信され自動的に再生出力が開始される。ところが、DMCとDMRは同じ場所にあるとは限らないので、ユーザーがDMC上での操作を誤ると、好ましくないコンテンツが予期せぬDMR上(例えば、子供部屋にあるDMR)で出力されてしまうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−238278号公報
【特許文献2】特許第4609506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本明細書で開示される技術の目的は、視聴が制限される年齢の情報が付されたコンテンツの配信サービスを好適に行なうことができる、優れた通信システム、通信装置並びに通信方法を提供することにある。
【0013】
本明細書で開示される技術のさらなる目的は、DMS、DMC、DMRの3Boxで構成され、DMCからの操作によってDMS上のコンテンツをDMRで再生する際に、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が正しく行なうことができる、優れた通信システム、通信装置並びに通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
コンテンツを提供するサーバーと、
サーバーが提供するコンテンツを再生する再生装置と、
前記再生装置上でのコンテンツの再生を制御する再生制御装置と、
を具備し、
前記再生制御装置は、前記サーバーが提供するコンテンツの種別と、前記再生装置が視聴許可するコンテンツの種別を取得し、前記再生装置が視聴許可する種別を持つコンテンツの再生を前記再生装置に要求する、
通信システムである。
【0015】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0016】
また、本願の請求項2に記載の技術は、
コンテンツを提供するサーバーからコンテンツの詳細情報の閲覧を要求する閲覧要求部と、
前記サーバーが提供するコンテンツの再生を再生装置に要求する再生要求部と、
前記再生要求部による前記再生装置へのコンテンツの再生要求の可否を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記再生装置が視聴許可するコンテンツの種別を取得し、閲覧要求したコンテンツの詳細情報に含まれるコンテンツの種別と比較して、前記再生装置へのコンテンツの再生要求の可否を決定する、
通信装置である。
【0017】
本願の請求項3に記載の技術によれば、サーバーは提供するコンテンツの詳細情報に含むコンテンツの種別として視聴対象年齢に関する情報を開示し、再生装置は再生するコンテンツの視聴可能年齢に関する情報を有している。そして、請求項2に記載の通信装置の制御部は、前記再生装置の視聴可能年齢を満たす視聴対象年齢となるコンテンツの再生要求を許可するように構成されている。
【0018】
本願の請求項4に記載の技術によれば、サーバーは、DLNA規格又はUPnP規格に則って動作するDMSであり、CDS情報にParental ratingを付与して、コンテンツの種別として視聴対象年齢に関する情報を開示するようになっている。また、再生装置は、DLNA規格又はUPnP規格に則って動作するDMRであり、Device Description内にAgeフィールドを挿入して再生するコンテンツの視聴可能年齢に関する情報を有している。そして、請求項2に記載の通信装置の制御部は、前記DMRのDevice Description内のAgeフィールドに記載された視聴可能年齢と、CDS情報にParental ratingとして付与された視聴対象年齢を比較し、視聴可能年齢以下となる視聴対象年齢を持つコンテンツの前記再生装置への再生要求を許可するように構成されている。
【0019】
また、本願の請求項5に記載の技術は、
コンテンツを提供するサーバーから、コンテンツの詳細情報を取得するステップと、
前記サーバーが提供するコンテンツの再生を要求する再生装置から、視聴許可するコンテンツの種別を取得するステップと、
取得したコンテンツの詳細情報に含まれるコンテンツの種別と、前記再生装置が視聴許可するコンテンツの種別を比較して、前記再生装置へのコンテンツの再生要求の可否を決定するステップと、
を有する通信方法である。
【発明の効果】
【0020】
本明細書で開示される技術によれば、DMS、DMC、DMRの3Boxで構成されるシステムにおいて、DMCからの操作によってDMS上のコンテンツをDMRで再生する際に、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が正しく行なうことができる、優れた通信システム、通信装置並びに通信方法を提供することができる。
【0021】
本明細書で開示される技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、DLNA Guideline 1.5で定義された3−Box System Usageに基づく通信システムの構成例を示した図である。
【図2】図2は、図1中のDMSとして動作する機器の機能的構成を模式的に示した図である。
【図3】図3は、図1中のDMCとして動作する機器の機能的構成を模式的に示した図である。
【図4】図4は、図1中のDMRとして動作する機器の機能的構成を模式的に示した図である。
【図5】図5は、XML形式で記述されたDevice Descriptionの一例を示した図である。
【図6A】図6Aは、3−Box System Usageにおいて、DMCがDMRのDevice Descriptionの取得並びにコンテンツ・ブラウジングを行なうための通信シーケンス例を示した図である。
【図6B】図6Bは、3−Box System Usageにおいて、DMRがコンテンツ再生を行なうための通信シーケンス例を示した図である。
【図7】図7は、DMCが実行する、DMRにコンテンツの再生出力を要求してよいかどうかを判断するための処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示される技術の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1には、DLNA Guideline 1.5で定義された3−Box System Usageに基づく通信システムの構成例を示している。家庭内に敷設されたIPネットワーク上には、家庭内IPネットワークを介してコンテンツを提供するDMSと、IPネットワーク経由で受信したコンテンツを再生するDMRと、DMRを操作するDMCが、所定の接続条件に従って接続されている。DMSは、自身のストレージに保存している静的なコンテンツを提供する。また、DMSは、インターネットなどの外部ネットワークにも接続しており、外部ネットワーク上のプロバイダー(コンテンツ・サーバー)から取得したライブ・コンテンツを提供することもできる。
【0025】
図2には、図1中のDMSとして動作する機器の機能的構成を模式的に示している。以下、各部について説明する。
【0026】
通信制御部201は、家庭内IPネットワーク並びに外部ネットワークを介した通信動作を制御するとともに、当該機器全体の動作を統括的に制御する。
【0027】
コンテンツ取得部203は、DMRから要求されたコンテンツを取得する。例えばDMSがSTB(Set Top Box)のような受信機の場合、コンテンツ取得部203はチューナーに相当し、放送コンテンツをコンテンツ蓄積部202に蓄積する。また、コンテンツ取得部203は、DMRから要求されたライブ・コンテンツを、外部ネットワーク経由でプロバイダーから取得することもある。
【0028】
コンテンツ提供部204は、コンテンツ蓄積部202に蓄積されている静的なコンテンツ、並びに、プロバイダーから取得した取得したライブ・コンテンツを、要求に応じてDMRに提供する。
【0029】
CDS情報生成部205は、コンテンツ蓄積部202に蓄積されている静的なコンテンツ、並びに、プロバイダーから取得した取得したライブ・コンテンツについてのCDS情報を生成する。
【0030】
ここで、CDS(Content Directory Service)は、DLNAのベースとなるUPnPで策定された、DMSが提供するコンテンツのリストとコンテンツの詳細情報を階層化して配信する機能である。
【0031】
CDS情報提供部206は、DMCからのCDS情報の取得要求に応答して、CDS情報生成部205で生成したCDS情報を提供する。
【0032】
図3には、図1中のDMCとして動作する機器の機能的構成を模式的に示している。以下、各部について説明する。
【0033】
通信制御部301は、家庭内IPネットワークを介した通信動作を制御するとともに、当該機器全体の動作を統括的に制御する。
【0034】
CDS情報閲覧部302は、DMSに対してCDS情報の取得要求を行ない、取得したCDS情報の閲覧画面を表示する。例えば、CDS情報として、DMSが提供可能な(若しくはDMSを通じて取得可能な)コンテンツのリストを取得したときには、コンテンツ一覧画面が表示され、ユーザーはこの一覧画面を通して、再生出力したいコンテンツを選択することができる。
【0035】
コンテンツ再生要求部303は、ユーザーが選択したコンテンツの再生出力を、DMRに対して要求する。コンテンツ再生要求部303は、DMRでコンテンツの再生出力を要求する際に、コンテンツの視聴年齢制限に応じた再生制御も行うが、この点の詳細については後述に譲る。
【0036】
図4には、図1中のDMRとして動作する機器の機能的構成を模式的に示している。以下、各部について説明する。
【0037】
通信制御部401は、家庭内IPネットワークを介した通信動作を制御するとともに、当該機器全体の動作を統括的に制御する。
【0038】
コンテンツ取得部402は、DMCから再生要求されたコンテンツの取得要求をDMSに送信して、コンテンツの取得を行なう。そして、コンテンツ復号部403は取得したコンテンツを復号し、コンテンツ再生出力部404は復号したコンテンツを再生出力する。
【0039】
なお、図面の簡素化のため、図1中ではDMS、DMC、DMRをそれぞれ1台ずつしか描いていないが、2台以上のDMS、DMC、DMRが家庭内IPネットワークに接続されることもある。
【0040】
放送コンテンツの場合、例えばARIB(Association of Radio Industries and Businesses:電波産業会)10では、6.2.12 Parential rating descriptorを、番組情報である5.2.7Event Information Table(EIT)に挿入することにより、番組の視聴制限年齢を示すことが可能である。
【0041】
例えば、受信機で受信した放送コンテンツを、テレビ受像機により視聴する場合、受信機において、上記の記述子「Parential rating descriptor」を検出すると、必要に応じて暗証番号の入力を促すメッセージをテレビ受像機の画面に出力する。そして、ユーザーがリモコン操作などを通じて入力した暗証番号をあらかじめ登録された暗証番号と照合することで、年齢に基づくコンテンツの視聴制限を行なうことができる。
【0042】
また、受信機と記録再生装置で構成される2Boxのシステムの場合、特許文献2にも記載されているように、受信機が受信したコンテンツを録画する際に、録画先となる記録再生装置が、視聴年齢制限に応じてコンテンツの再生の制御が可能か否かを確認する。これによって、後に記録再生装置においてコンテンツを再生する際に、年齢に基づくコンテンツの視聴制限を正しく行なうことができる。
【0043】
これに対し、図1に示したようなDMS、DMC、DMRの3Boxで構成されるシステムの場合、DMCを操作してDMRに設定を行なうと、DMSからDMRへコンテンツが送信され自動的に再生出力が開始される。ところが、DMCとDMRは同じ場所にあるとは限らないので、ユーザーがDMC上での操作を誤ると、好ましくないコンテンツが予期せぬDMR上(例えば、子供部屋にあるDMR)で出力されてしまうおそれがある。
【0044】
そこで、本明細書で開示する技術では、以下の仕組みを導入することにより、DMCが視聴年齢制限のあるコンテンツを不用意にDMR上に出力しないようにしている。
【0045】
(1)DMSにおいて、コンテンツに視聴年齢制限が課されているか否かを、メタ情報で提供する。これに対し、DMCは、DMRに再生要求しようとするコンテンツのメタ情報を取得して、視聴年齢制限のあるコンテンツか否かを確認する。
(2)DMCは、コンテンツの再生を要求するDMRから機器種別に関する情報を取得し、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が可能な機器かどうかを確認する。
(3)DMCは、コンテンツの視聴年齢制限に関する情報と、DMRの機器種別に関する情報とを比較して、コンテンツの再生をDMRに要求するか否かを決定する。
【0046】
まず、視聴年齢制限のあるコンテンツか否かを確認する方法について説明する。
【0047】
DLNAのベースとなるUPnPでは、DMSが提供するコンテンツのリストとコンテンツの詳細情報を階層化して配信するCDS機能が策定されている。上述したように、DMS側では、CDS情報生成部205が、コンテンツ蓄積部202に蓄積されているコンテンツについてのCDS情報を生成し、CDS情報提供部206がDMSからの取得要求に応答して、CDS情報を提供する。また、CDS情報生成部205は、プロバイダーから取得した取得したライブ・コンテンツについてのCDS情報も生成する。一方、DMC側では、CDS情報閲覧部302が、DMSに対してCDS情報の取得要求を行なう。
【0048】
UPnPが規定する「Content Directory:1 Service Template Version 1.01」のAppendix Bに記載されているメタデータ項目として「rating field」がある。DMS側では、CDS情報生成部205が、このフィールドにコンテンツの視聴対象年齢に関する情報を記載することで、コンテンツの「Parental Rating」すなわち視聴年齢制限を開示することができる。そして、DMC側では、CDS情報を取得してこのフィールドの記載内容を参照することで、視聴年齢制限が課されたコンテンツかどうかを確認することができる。
【0049】
続いて、DMRの機器種別に関する情報について説明する。
【0050】
UPnPの仕様の作成などを行なう団体「UPnP Forum」のドキュメント「Basic:1.0 Device Description Version 1.0 For UPnPTM Version 1.0」で規定されている「Device Description」は、UPnPで規定される機器の種別(Device Type)などを定義するための情報である。Device Descriptionは、例えば、DMRの通信制御部401の内部メモリー(図示しない)に記憶されている。Device Description(以下、「DD」とも言う)内に、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が可能な機器かどうかを示す情報を挿入することで、DMRは自分の視聴年齢制限に関する能力を提示する。一方、DMCは、コンテンツを再生要求するDMRからDevice Descriptionを読み取って、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が可能な機器かどうかを確認することができる。
【0051】
図5には、XML(eXtensible Markup Language)形式で記述されたDevice Descriptionの一例を示している。図示のDevice Description中の領域501に、視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が可能な機器かどうかを示すタグ・フィールドが挿入されている。
【0052】
領域501には、「Age」というフィールドが設けられ、当該DMRの視聴可能年齢を記載するようになっている。図示のように「<Age>16</Age>」と記載されている場合、16歳以上のユーザーが当該DMRを視聴すること(すわなち、当該DMRで視聴するユーザーの中で最も若い年齢が16歳であること)を意味する。
【0053】
DMCは、DMRから取得したDevice DescriptionからAgeフィールドの値を読み取ると、コンテンツのCDSのメタ項目「rating」に記載されている視聴年齢制限と比較する。そして、Ageフィールドの値の方が大きければ、DMRでコンテンツを再生しても、視聴年齢制限を満たすと判断することができる。
【0054】
なお、Ageフィールドの値の設定は、DMRの設定メニューで行う。その際に、PIN(Personal Identificaton Number)などの入力を要求して設定者を制限することで、むやみに設定を変えられないようにする。
【0055】
また、Device Description中で視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御が可能な機器かどうかを示すために、「Age」タグに代えて「parentalCont」タグを使用するようにしてもよい。例えば、領域501に「<parentalCont>yes</parentalCont>」と記載されている場合、DMRは、視聴年齢制限のあるコンテンツを再生出力する際には、ユーザーにパスワードの入力を求めるようにする。そして、DMCは、DMRから取得したDevice DescriptionのparentalContフィールドに「yes」と記載されている場合は、コンテンツの再生要求を行なうが、「no」と記載されている場合は、コンテンツの再生要求を行なわない。
【0056】
続いて、DMRから機器種別に関する情報を、DMCなどDMR以外の機器が取得する方法について説明する。
【0057】
図5に示したようなDevice Descriptionは、例えば、DMRの通信制御部401の内部メモリー(図示しない)に記憶されている。Device Descriptionは、は例えば、DMRの出荷時にメモリーに記憶される。
【0058】
また、DMRは、内部メモリーにおけるDevice Descriptionの記憶位置などを特定するためのアドレス情報のURL(Uniform Resource Locator)を、必要に応じて通信制御部401からネットワークへ送出する。
【0059】
UPnPでは、ネットワーク(家庭内IPネットワーク)上で機器を検出するサービスとして、SSDP(Simple Service Discover Protocol)が規定されている。DMRは、SSDPプロトコルに従って、DMR自身を特定する情報などとともに、Device Descriptionの記憶位置を特定するためのURLをマルチキャストする。なお、SSDPの詳細については、UPnPForimのドキュメント「UPnP Device Architecture 1.0」を参照されたい。
【0060】
図6Aには、3−Box System Usageにおいて、DMCがDMRのDevice Descriptionの取得並びにコンテンツ・ブラウジングを行なうための通信シーケンス例を示している。
【0061】
DMRは、SSDPプロトコルに従って、DMR自身を特定する情報などとともに、Device Descriptionの記憶位置を特定するためのURLをマルチキャストする。
【0062】
DMCは、SSDPプロトコルに従ってマルチキャストされたメッセージを受信すると、そこに記載されているURLに基づいて、DMRにDevice Descriptionを要求し、受信する。そして、DMCは、Device Descriptionの「Age」フィールドに記載されている値を取得する。例えば、DMC内の通信制御部301の処理によって、Device Descriptionを取得する。
【0063】
また、コンテンツ・ブラウジングにおいては、DMCのCDS情報閲覧部302からDMSに対して、CDS:Browseアクションが発行される。
【0064】
DMS側では、自身のストレージであるコンテンツ蓄積部202に保存されているコンテンツに対してCDS:Browseアクションが発行されたので、CDS情報生成部205は、該当するコンテンツに関するコンテンツ情報をコンテンツ蓄積部202の内部データベースから取得して、CDS情報を生成する。そして、CDS情報提供部206は、生成されたCDS情報を、DMCに対してCDS Resultとして返す。
【0065】
DMC側では、CDS情報閲覧部302が、受信したCDS Resultを解析して、コンテンツのタイトルなどのメタ情報やコンテンツを取得するURLを含むコンテンツ情報を表示する。DMCのユーザーは、コンテンツのリストの中から、再生したいコンテンツを選択することができる。
【0066】
また、DMC側では、CDS情報閲覧部302は、CDS情報の「Parental Rating」フィールドを参照して、コンテンツの対象年齢に関する情報を取得する。そして、DMCは、Device Descriptionの「Age」フィールドに記載されている値と、CDS情報の「Parental Rating」フィールドから取得したコンテンツの対象年齢に関する情報に基づいて、DMRにコンテンツの再生出力を要求してよいかどうかを判断する。この判断処理の詳細については後述する。
【0067】
また、図6Bには、3−Box System Usageにおいて、DMRがコンテンツ再生を行なうための通信シーケンス例を示している。以下では、DMCが、DMRにコンテンツの再生出力を要求してよいと判断したことを前提とする。
【0068】
再生時には、DMCのコンテンツ再生要求部303が、DMRに対してAVT:SetAVTransportURI()アクションを発行して、選択したコンテンツの属性情報を通知する。コンテンツの属性情報には、コンテンツのタイトル、コンテンツのサイズ、コンテンツの長さ、コンテンツにアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)などが含まれる。コンテンツ再生要求部503は、DMRに対してさらにAVT:Play()アクションを発行して、コンテンツの再生開始を要求する。
【0069】
DMRは、DMCからのコンテンツの再生開始要求に応答して、コンテンツ取得部402が、HTTP Getメソッドを用いてコンテンツを要求する。DMS側では、コンテンツ提供部204がHTTP Get要求を受けとると、自身のストレージであるコンテンツ蓄積部202に保存されているコンテンツ・データを、一定容量毎にDMPに返す(配信する)。そして、DMR側では、コンテンツ復号部403が受け取ったデータをデコードし、コンテンツ再生出力部404が再生する。コンテンツ・データのエンドに到達するまで、DMSからのコンテンツ・データの配信とDMR側でのコンテンツのデコード及び再生が繰り返される。
【0070】
図7には、DMCが実行する、DMRにコンテンツの再生出力を要求してよいかどうかを判断するための処理手順をフローチャートの形式で示している。図示の処理手順は、例えばDMC内の通信制御部301上で所定利プログラムを実行するという形態で実現される。
【0071】
DMCは、DMRからDevice Descriptionを取得すると(ステップS701)、Device Descriptionの「Age」フィールドに記載されている値、すなわちDMRの視聴年齢制限を取得する(ステップS702)。DMRからは、DMR自身を特定する情報などとともに、Device Descriptionの記憶位置を特定するためのURLがマルチキャストされるので、DMCはこのURLを用いてDevice Descriptionを要求することができる(前述)。
【0072】
次いで、DMCは、DMSに対して、再生したいコンテンツのCDS情報の閲覧要求を行なう(ステップS703)。DMCは、DMSに対して、CDS:Browseアクションを発行して、CDS情報を閲覧要求する(前述)。そして、DMCは、CDS Resultとして返信されたCDS情報の「Parental Rating」フィールドを参照して、コンテンツの対象年齢に関する情報を取得する(ステップS704)。
【0073】
次いで、DMCは、Device DescriptionのAgeフィールドから読み取った値、すなわちDMRの視聴年齢制限と、CDS情報の「Parental Rating」フィールドに記載されている視聴対象年齢を大小比較する(ステップS705)。
【0074】
ここで、DMRの視聴年齢制限がコンテンツの視聴対象年齢以上のときには(ステップS705のYes)、DMCは、DMRに対してコンテンツの再生要求を行なう(ステップS706)。DMCは、DMRに対してAVT:SetAVTransportURI()アクションを発行し、さらにAVT:Play()アクションを発行して、コンテンツの再生開始を要求する(前述)。
【0075】
他方、DMRの視聴年齢制限がコンテンツの視聴対象年齢よりも小さいときには(ステップS705のNo)、DMCは、コンテンツの視聴年齢制限を順守すべく、DMRに対してコンテンツの再生要求を行なうことなく、本処理ルーチンを終了する。
【0076】
DMCは、図7に示した処理手順に従って動作することで、ネットワーク接続の3boxでの視聴をするときに、視聴年齢制限のある番組を不用意にDMR上に出力することはなくなり、コンテンツの安全な利用が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本明細書で開示される技術について詳細に説明してきた。しかしながら、本明細書で開示する技術の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0078】
また、本明細書では、本技術をDLNAの3−Box System Usageに適用した実施形態を中心に説明してきたが、本明細書で開示する技術の要旨はこれに限定されるものではない。DMCが、DMSに蓄積されているコンテンツの視聴年齢制限に関するメタ情報を取得でき、且つ、DMRの視聴年齢制限に応じたコンテンツの再生制御の可否に関する情報を取得できる仕組みを実装することで、さまざまなタイプの通信システムに対して同様に本技術を適用することができる。
【0079】
また、本明細書では、Parental ratingすなわち視聴年齢制限が課されたコンテンツを配信サービスする実施形態について説明してきたが、本技術の要旨はこれに限定されるものではない。コンテンツのCDS情報にコンテンツの種別を記述するとともに、DMRのDevice Descriptionにコンテンツの種別に対する視聴許可を記述し、それを基にDMCがDMRへのコンテンツの再生出力の可否を決めるようにすることで、同様に本技術を適用することができる。視聴制限すべきコンテンツの種別として、暴力的なもの(violent)や性的なもの(sex)を挙げることができる。暴力的なもの、性的なものを含むコンテンツについては、CDS情報のメタデータ項目「content」に「violent,sex」を明記する。また、DMRのDevice Descriptionには「violent」及び「sex」というタグ・フィールドを設け、DMRが暴力的なものを含むコンテンツの再生を許可するときは「<violent>yes</violent>」を記載し、性的なものを含むコンテンツの再生を禁止するときは「<sex>no</sex>」を記載する。そして、DMCは、両者を比較して、コンテンツの種別に応じてDMRへの再生出力の可否を決定する。
【0080】

CDS上のelement <content>violent, sex</content>
CDS上のエレメント:
<content>violent, sex</content>
Device Description上のエレメント:
<violent>yes</violent> <sex>no</sex>
【0081】
要するに、例示という形態で本技術を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本技術の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【符号の説明】
【0082】
201…通信制御部
202…コンテンツ蓄積部
203…コンテンツ取得部
204…コンテンツ提供部
205…CDS情報生成部
206…CDS情報提供部
301…通信制御部
302…CDS情報閲覧部
303…コンテンツ再生要求部
401…通信制御部
402…コンテンツ取得部
403…コンテンツ復号部
404…コンテンツ再生出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを提供するサーバーと、
サーバーが提供するコンテンツを再生する再生装置と、
前記再生装置上でのコンテンツの再生を制御する再生制御装置と、
を具備し、
前記再生制御装置は、前記サーバーが提供するコンテンツの種別と、前記再生装置が視聴許可するコンテンツの種別を取得し、前記再生装置が視聴許可する種別を持つコンテンツの再生を前記再生装置に要求する、
通信システム。
【請求項2】
コンテンツを提供するサーバーからコンテンツの詳細情報の閲覧を要求する閲覧要求部と、
前記サーバーが提供するコンテンツの再生を再生装置に要求する再生要求部と、
前記再生要求部による前記再生装置へのコンテンツの再生要求の可否を制御する制御部と、
を具備し、
前記制御部は、前記再生装置が視聴許可するコンテンツの種別を取得し、閲覧要求したコンテンツの詳細情報に含まれるコンテンツの種別と比較して、前記再生装置へのコンテンツの再生要求の可否を決定する、
通信装置。
【請求項3】
前記サーバーは、提供するコンテンツの詳細情報に含むコンテンツの種別として視聴対象年齢に関する情報を開示し、
前記再生装置は、再生するコンテンツの視聴可能年齢に関する情報を有し、
前記制御部は、前記再生装置の視聴可能年齢を満たす視聴対象年齢となるコンテンツの再生要求を許可する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記サーバーは、DLNA規格又はUPnP規格に則って動作するDMSであり、CDS情報にParental ratingを付与して、コンテンツの種別として視聴対象年齢に関する情報を開示し、
前記再生装置は、DLNA規格又はUPnP規格に則って動作するDMRであり、Device Description内にAgeフィールドを挿入して再生するコンテンツの視聴可能年齢に関する情報を有し、
前記制御部は、前記DMRのDevice Description内のAgeフィールドに記載された視聴可能年齢と、CDS情報にParental ratingとして付与された視聴対象年齢を比較し、視聴可能年齢以下となる視聴対象年齢を持つコンテンツの前記再生装置への再生要求を許可する、
請求項2に記載の通信装置。
【請求項5】
コンテンツを提供するサーバーから、コンテンツの詳細情報を取得するステップと、
前記サーバーが提供するコンテンツの再生を要求する再生装置から、視聴許可するコンテンツの種別を取得するステップと、
取得したコンテンツの詳細情報に含まれるコンテンツの種別と、前記再生装置が視聴許可するコンテンツの種別を比較して、前記再生装置へのコンテンツの再生要求の可否を決定するステップと、
を有する通信方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−227823(P2012−227823A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95165(P2011−95165)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】