説明

通信システムとその端末登録方法およびサーバ

【課題】個々のエンドポイントを最初から本来の接続先のサーバに接続できるようにすること。
【解決手段】SIPサーバに登録を要求するための登録要求に、登録要求の発生した原因が障害の発生であるか否かを特定する情報を付与して、サーバに対して送信する。サーバは、登録要求の発生した原因に基づき、登録を許可するか否かを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、端末間に例えばIP(Internet Protocol)ネットワークを経由するセッションを形成する通信システムと、このシステムにおいて用いられるサーバおよび端末登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信システムでは、端末間のセッションをIPネットワークを経由して形成するのが主流になってきている。その代表的なものはIPネットワークを利用して音声通話を行う、いわゆるVoIP(Voice over IP)システムである。VoIPのプロトコルには良く知られたSIP(Session Initiation Protocol)のほか、Megaco(Media Gateway Control)あるいはH.248などがある。
【0003】
通信システムの運用にはサバイバビリティを考慮する必要がある。サバイバビリティとはこの技術分野では、障害が生じても利用者へのサービスを継続して運用し続けることのできるシステムの能力、あるいは性質などを表す用語である。サバイバビリティにはいくつかのレベルがあり、例えばレベル1サバイバビリティがある。
【0004】
複数のサーバと、通信端末としてのエンドポイント(Endpoint)とをIP電話システムが備えるとき、それぞれのエンドポイントから見ていずれか1つのサーバをホームサーバ(Home Server)とし他をバックアップサーバ(Backup Server)として区別して、通常時(無障害時)にはエンドポイントはホームサーバに接続される、という形態を考える。KeepAlive外れなどによりエンドポイントがホームサーバの障害を検知すると、このエンドポイントはただちにバックアップサーバに接続要求を出し、それ以降は接続先のバックアップサーバを頼りに通信を継続する。このようなシステムコンフィギュレーションによれば、サーバそのものを2重化することなくシステムの信頼性を高めることができる。このようにして実現されるサバイバビリティをレベル1サバイバビリティと称する。ここでいうサーバは、SIPではいわゆるSIPサーバである。
【0005】
ところで、エンドポイントがサーバに接続されるためには、エンドポイントからサーバに向けログイン要求メッセージを出す手順が必要である。エンドポイントはこのメッセージを出すべき相手先のIPアドレスをDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバから取得する。しかしDHCPサーバはホームサーバ、バックアップサーバの区別なく固定的なIPアドレスをエンドポイントに通知するので、ログイン要求が特定のサーバに集中することになる。
【0006】
ログイン要求の送出先のサーバが送出元エンドポイントにとってのバックアップサーバである場合(エンドポイントは事前にそのことを知り得ない)、次のような不具合を生じる。すなわち既存の技術では、ログイン要求がレベル1サバイバビリティに基づくものなのか、あるいはそうでないのかをサーバ側で区別するすべがない。仮にレベル1サバイバビリティに基づかないログイン要求(エンドポイントの電源オン/オフによるものなど)によりバックアップサーバに接続されてしまうと、そのエンドポイントを本来のホームサーバに接続し直すために保守者のマニュアル操作が必要になる。このような不具合はSIPを用いるシステムに限らず他のプロトコルを用いるシステムにおいても生じ得るので、何らかの対処が望まれている。
【0007】
特許文献1に、一見、レベル1サバイバビリティに似た環境を形成し得る技術が開示されている。この文献には、SIP端末からのセッションを振り分け制御部によって低負荷の優先接続サーバに転送することで負荷分散を図るという技術が開示される([要約]など)。しかしながらこの文献では段落[0008]に記載されるようにSIPサーバの負荷状態に応じてトラフィックの転送先を可変するようにしており、端末(エンドポイント)の登録先を分散するという技術は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−4361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上述べたように既存の技術では、エンドポイントがバックアップサーバにログイン要求を出したとき、その要求がレベル1サバイバビリティに基づくのか、あるいはそうでないのかをサーバ側で区別するすべがない。このためエンドポイントが誤ったサーバに接続(登録)されてしまうことがあり、システム運用上の不具合を招くことがある。また、エンドポイントを本来のサーバに接続するには保守者によるコマンド投入などの手間を要するので、これを解消したいとのニーズがある。コマンドをマシン側の処理で投入しようとしてもその前段階としてホームサーバの正常性をチェックする必要があり、システム側の負荷が高くなる。個々のエンドポイントが本来の接続相手であるサーバに最初から接続される技術の提供が待たれている。
この発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、個々のエンドポイントを本来の接続相手であるサーバに接続することの可能な通信システムとその端末登録方法およびサーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためにこの発明の一態様によれば、通信の可能なエンドポイントと、このエンドポイントに対しホームサーバまたはバックアップサーバとして動作するサーバとを具備し、前記エンドポイントは、登録要求の発生した原因が障害の発生に基づくものか否かを区別するための識別情報を付与した登録要求を前記サーバに送信する送信部を備え、前記サーバは、受信した登録要求に付与された識別情報から、前記登録要求の発生した原因が障害の発生であるか否かを特定する特定部と、前記受信した登録要求の送出元のエンドポイントにとって自サーバがホームサーバである場合、または、自サーバがバックアップサーバであって、前記登録要求の原因が前記障害の発生の場合は、当該エンドポイントの登録を許可と判定する判定部と、この判定部により許可される場合は当該エンドポイントを自サーバに登録し、許可されない場合は前記登録要求のリダイレクトを当該エンドポイントに指示する登録処理部とを備えることを特徴とする通信システムが提供される。
【0011】
このような手段を講じることにより、エンドポイントは、登録要求にその要求の生じた原因を示す情報を書き込んでサーバに対して送信する。サーバはこの情報を読み取ることで登録の許否を判定することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、個々のエンドポイントを本来の接続相手であるサーバに接続することの可能な通信システムとその端末登録方法およびサーバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に関わるIP電話システムの実施の形態を示すシステム図。
【図2】図1のIPT#1,#2の実施の形態を示す機能ブロック図。
【図3】図1のSIPサーバ#A,#Bの実施の形態を示す機能ブロック図。
【図4】図3の管理テーブル14aの内容の一例を示す図。
【図5】この発明の実施の形態におけるIPTの初期登録におけるシーケンスの一例を示す図。
【図6】SIPサーバの障害時におけるIPTの再登録シーケンスの一例を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、この発明に関わるIP電話システムの実施の形態を示すシステム図である。このシステムは、SIPサーバ#A,#B、およびエンドポイントとしての複数のIP端末(IPT)#1,#2を共通のIPネットワーク100に接続して形成される。もちろんIPTの数は2に限られるものではなく多数のIPTがIPネットワーク100に接続され、これらのIPTはSIPサーバ#A,#Bのいずれかに登録される。SIPサーバ#A,#Bはいずれも、IPT間のセッションをIPネットワーク100に形成するための制御を行う。
【0015】
IPT#1,#2は、IPネットワーク100に形成されたセッションを介する電話通信機能を備える。この種の端末には多機能電話機、あるいは音声通話ソフトウェアのインストールされたコンピュータ(ソフトフォン)、セルラフォン端末などがある。あるいはパーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)に接続されてマルチメディアデータを送受信する機能を持つ端末であっても良い。さらには、スマートフォン(Smartphone)と称する高機能な携帯電話機もその範疇に入る。スマートフォンはモバイル端末あるいはPHS端末の機能と、PDAの機能とを併せ持つ。
【0016】
IPネットワーク100は、例えばLAN(Local Area Network)である。IPネットワーク100には、IPアドレスの発行、SIPサーバ#A,#BのIPアドレス情報の通知などの機能を持つDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ200も接続される。
【0017】
SIPサーバ#A,#Bはレベル1サバイバビリティを処理する機能を持つ。すなわちSIPサーバ#A,#Bにより1つのサーバシステムが構成され、このサーバシステムは複数のIPTを制御する機能を持つ。すなわちSIPサーバ#A,#Bはホームサーバ、およびこれより優先度の低いバックアップサーバのいずれかに、IPTごとに予め対応付けされる。この対応付けは、例えばIPTのURL(Uniform resource Locator)と各サーバの識別子とを関連付けることでなされる。
【0018】
図2は、図1のIPT#1,#2の実施の形態を示す機能ブロック図である。IPT#1,#2は、LANケーブル60を介してIPネットワーク100に接続されるインタフェース部41と、表示器40と、制御部42と、キーパッド部43と、メモリ44とを備える。このうち表示器40はLCD(Liquid Crystal Display)であり、種々のメッセージを表示する。キーパッド部43はソフトキー、数字キー、特殊キーなどを備え、ユーザの入力操作を受け付ける。
【0019】
メモリ44は例えばフラッシュメモリなどの、書き換え可能な半導体記憶デバイスである。メモリ44は例えばIPTの起動ルーチンにおいてDHCPサーバ200から通知された各サーバ#A,#BのIPアドレスを保持する。このほかメモリ44はIPTの自らのURIも記憶し、IPTはこのURIのもとでいずれかのSIPサーバに登録を要求する。
【0020】
制御部42はこの発明に関わる処理機能として通信処理部42aと、SIPメッセージ処理部42bとを備える。通信処理部42aは、IPネットワーク100を介する通信を制御する。例えば通信処理部42aは、音声通話に対する制御のほか、IPネットワーク100を介して受信したSIPメッセージをSIPメッセージ処理部42bに転送したり、SIPメッセージ処理部42bから転送されたSIPメッセージをIPネットワーク100に送出したりする。例えば自IPTの登録をシステムに要求するためには、通信処理部42aはサーバ#A,#BのいずれかのIPアドレスに宛ててREGISTERメッセージを送信する。
【0021】
SIPメッセージ処理部42bはSIPメッセージの生成および解釈を行なう。その動作はRFC3261などに記述されるSIPのUA(User Agent)の仕様に従う。SIPメッセージは例えばキーパッド部43の入力操作などの、イベント発生を契機として生成される。SIPメッセージの内容は例えば通信処理部42aによりSIPメッセージが受信されたことを契機に解釈され、その結果は例えば表示器40に表示されてユーザに通知される。
【0022】
さらにSIPメッセージ処理部42bは、この実施形態に係わる処理機能として、登録の要求の発生した原因を区別するための識別情報をREGISTERの拡張領域に記載する。すなわち、IPTがSIPサーバに登録を要求するには種々の原因があるが、ここでは次の2つを考慮する。すなわち、「初回登録」と、「再登録」である。
【0023】
初回登録はIPTの起動ルーチンなどに組み込まれた手順としての登録処理であり、障害の検出をその原因せず、レベル1サバイバビリティも直接には関係しない。これに対し再登録は、IPTによる障害の検出をその主な原因とするもので、レベル1サバイバビリティによる処理の一つである。
表1および表2に、REGISTERの記載例を示す。
【表1】

【0024】
表1は、初回登録の際にサーバユニットに通知されるREGISTERの一例である。最下行のUser-Agent:として示す拡張領域に、「extended_register_first_register」なる情報が書き込まれている。これが初回登録であることを示す識別情報であり、これを解釈することで、サーバユニットはこのREGISTERがレベル1サバイバビリティによる登録要求でないことを認識できる。
【表2】

【0025】
表2は、再登録の際にサーバユニットに通知されるREGISTERの一例である。最下行の拡張領域に、「extended_register_fault_switchover」なる情報が書き込まれている。これが再登録であることを示す識別情報であり、これを解釈することで、サーバユニットはこのREGISTERがレベル1サバイバビリティによる登録要求であることを認識できる。
【0026】
図3は、図1のSIPサーバ#A,#Bの実施の形態を示す機能ブロック図である。SIPサーバ#A,#Bは、インタフェース部11、表示部12、入出力部13、データベース部14、および、主制御部15を備える。インタフェース部11はIPネットワーク100に接続されてパケットの授受に関する処理を担う。表示部12は入出力部13とともにユーザインタフェースを提供し、GUI(Graphical User Interface)環境を構築する。データベース部14はハードディスクドライブなどのストレージデバイスであり、管理テーブル14aを記憶する。
【0027】
図4は、管理テーブル14aの一例を示す図である。このテーブル14は、IPTのドメインネーム(Domain Name:DN)ごとに、ホームサーバの識別子と、バックアップサーバの識別子とを関連付けることにより、ホームサーバとバックアップサーバとの関連付けをIPTごとに管理するためのものである。この管理テーブル14aを基礎としてレベル1サバイバビリティが設定される。図4ではDN200〜299を持つIPTはいずれもサーバ#Aをホームサーバとしサーバ#Bをバックアップサーバとすることが示される。DN300〜399を持つIPTは逆に、いずれもサーバ#Bをホームサーバとしサーバ#Aをバックアップサーバとすることが示される。
【0028】
図4の例では、合計200台のIPTがIP電話システムに接続されることになるが、2台のサーバに100台ずつのIPTが分散して登録されるような設定が示される。このようにすることで、特定のサーバに偏らず予め設定した配分でIPTを登録できるという、レベル1サバイバビリティのメリットを得ることができる。次に、この実施形態における作用を説明する。
【0029】
まず、図1を参照して通常の端末登録手順を説明する。電源オン/オフなどで初期化されたIPT1は、アドレス取得要求をIPネットワーク100にブロードキャストする(1)。これを受けたDHCPサーバ200は、要求元のIPTに割り当てるIPアドレスと、その接続先のSIPサーバのIPアドレスとを返信する(2)。
【0030】
IPTは、予め自端末に設定されているDNを用いて自動でSIPサーバにログインする。ここでIPTはDHCPサーバ200から通知されたSIPサーバにREGISTERを要求するが、DHCPサーバ200から通知されたSIPサーバのIPアドレスは固定的である。なぜならDHCPサーバ200は管理テーブル14aを持っていないからである。
【0031】
つまり、DHCPサーバ200がIPTに通知するSIPサーバのIPアドレスは常に、例えばSIPサーバ#A、#Bの順になる。これは、IPTがまず最初にSIPサーバ#Aに接続の要求を行うことを意味する(3)。サーバ#Aの障害などにより接続に失敗すれば、IPTはサーバ#Bに接続の要求を出す。
【0032】
以上の条件において、IPT#1が初期化されたケースを考える。IPT#1は、DHCPサーバから受け取ったIPアドレスと接続先のSIPサーバのIPアドレスを用いて、サーバ#A宛にDN300でREGISTER要求を出す。サーバ#Aは、REGISTERを要求してきたDN300の端末のホームサーバがサーバ#Bであることは、認識できる(管理テーブル14aを参照して)。しかし従来の技術では、このREGISTER要求がレベル1サバイバビリティによるものか否かをサーバ#Aは判断することができない。よってサーバ#AはIPT#1を自サーバに登録せざるをえない。このままでは本来の接続先でない、バックアップサーバであるサーバ#Aに、IPT#1は接続され続けることになる。次に、これを解消するための作用につき説明する。
【0033】
図5は、この実施の形態におけるIPTの初期登録におけるシーケンスの一例を示す図である。図5において(1)、(2)の手順は図1と同様であり、(3)で、IPT#1はSIPサーバ#AにREGISTER要求を出す。ここで、このREGISTERメッセージにはレベル1サバイバビリティによる接続ではない、という識別情報(表1)が書き込まれている。
【0034】
REGISTER要求を受け取ったサーバ#Aは、要求元IPT#1のDNが300であるので、管理テーブル14aを参照すれば自サーバがバックアップサーバであることを認識する。そこでサーバ#Aは、REGISTERメッセージの拡張部分を参照し、レベル1サバイバビリティ機能による登録であるか否かをチェックする。このケースではレベル1サバイバビリティ機能による登録ではない。従ってサーバ#AはIPT#1にリダイレクトを要求し、REGISTERをサーバ#Bに再度送出するように、IPT#1に指示する(4)。これを受けたIPT#1はサーバ#BにREGISTERを要求する。サーバ#Bは自サーバがIPT#1にとってのホームサーバであることを認識し、IPT#1をDN300として自サーバに登録する。
以上のような手順により、ホームサーバとバックアップサーバとのいずれのSIPサーバも正常に動作していれば、登録を要求したIPTは、必ずホームサーバに登録されることになる。
【0035】
図6は、SIPサーバの障害時におけるIPTの再登録シーケンスの一例を示す図である。図6ではレベル1サバイバビリティが機能した状態を示す。図1の(1)、(2)の手順を経てIPT#1がサーバアドレスの通知を受けたのち、サーバ#Bに障害が発生したとする。
【0036】
そうするとIPT#1は、例えばKeepAlive外れを検出することでサーバ#Bの障害発生を検知し、バックアップサーバであるサーバ#AにREGISTERを要求する。その際IPT#1は、このREGISTERメッセージにはレベル1サバイバビリティによる接続である、という識別情報(表2)を付与する。
【0037】
IPT#1からのREGISTER要求を受信したサーバ#Aは、IPT#1のDNが300であることから、自サーバがIPT#1にとってのバックアップサーバであることを認識する。さらにサーバ#Aは、受信したREGISTERの識別情報を参照し、レベル1サバイバビリティによる登録であるか否かをチェックする。図6のケースではレベル1サバイバビリティ機能による登録であることがメッセージに明示されているので、サーバ#AはただちにIPT#1を登録する。これ以降、IPT#1はサーバ#Aに接続されて通信を開始する。
【0038】
以上述べたようにこの実施形態では、SIPサーバに登録を要求するためのREGISTERに拡張フィールドを設け、この拡張フィールドに、レベル1サバイバビリティによる再登録であるか、そうでないのかを明示するための識別情報を記載するようにした。このようにしたので、REGISTERを受けたSIPサーバは、レベル1サバイバビリティが原因でないときにバックアップサーバに接続してきたIPTに、ホームサーバに接続し直すための指示(リダイレクト要求)を直ちに出すことができるようになる。従ってIPTはバックアップサーバに登録されることなく、本来の接続先であるホームサーバに接続されることになる。
【0039】
一方、障害に伴うレベル1サバイバビリティの作用によりバックアップサーバにREGISTERを出したIPTは、そのままバックアップサーバに登録される。その際、バックアップサーバはSIPメッセージの拡張フィールドの情報を参照するだけで必要な情報を得られる。従ってホームサーバの状態チェックなどの手順が不要になり、処理負荷の軽減、ネットワーク負荷の軽減などのメリットを得られる。
【0040】
これらのことから、個々のエンドポイントを本来の接続相手であるサーバに接続することの可能な通信システムとその端末登録方法およびサーバを提供することが可能となる。
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0041】
#A,#B…SIPサーバ、#1,#2…IP端末(IPT)、100…IPネットワーク、200…DHCPサーバ、60…LANケーブル、40…表示器、41…IPインタフェース部、42…制御部、42a…通信処理部、42b…SIPメッセージ処理部、43…キーパッド部、44…メモリ、44a…IPアドレス(サーバ#A)、44b…IPアドレス(サーバ#B)、11…IPインタフェース部、12…表示部、13…入出力部、14…データベース部、14a…管理テーブル、15…主制御部、15a…特定部、15b…判定部、15c…登録処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信の可能なエンドポイントと、
このエンドポイントに対しホームサーバまたはバックアップサーバとして動作するサーバとを具備し、
前記エンドポイントは、
登録要求の発生した原因が障害の発生に基づくものか否かを区別するための識別情報を付与した登録要求を前記サーバに送信する送信部とを備え、
前記サーバは、
受信した登録要求に付与された識別情報から、前記登録要求の発生した原因が障害の発生であるか否かを特定する特定部と、
前記受信した登録要求の送出元のエンドポイントにとって自サーバがホームサーバである場合、または、自サーバがバックアップサーバであって、前記登録要求の原因が前記障害の発生の場合は、当該エンドポイントの登録を許可と判定する判定部と、
この判定部により許可される場合は当該エンドポイントを自サーバに登録し、許可されない場合は前記登録要求のリダイレクトを当該エンドポイントに指示する登録処理部とを備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
さらに、前記登録要求の宛先サーバのアドレスを前記エンドポイントに指定するアドレス通知サーバを具備し、
前記送信部は、このアドレス通知サーバから指定されたアドレスに前記登録要求を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記サーバは、さらに、前記エンドポイントに前記ホームサーバと前記バックアップサーバとを対応させた管理データベースを備えることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項4】
前記サーバはSIP(Session Initiation Protocol)サーバであり、
前記登録要求はSIPのうちのREGISTERであることを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項5】
通信の可能なエンドポイントと、このエンドポイントに対しホームサーバまたはバックアップサーバとして動作するサーバとを具備する通信システムの端末登録方法において、
前記エンドポイントは、登録要求の発生した原因が障害の発生に基づくものか否かを区別するための識別情報を付与した登録要求を前記サーバに送信し、
前記サーバは、受信した登録要求に付与された識別情報から、前記登録要求の発生した原因が障害の発生であるか否かを特定し、
前記サーバは、前記受信した登録要求の送出元のエンドポイントにとって自サーバがホームサーバである場合、または自サーバがバックアップサーバであって、前記登録要求の原因が前記障害の発生の場合は、当該エンドポイントを登録することを許可し、
前記サーバは、前記エンドポイントの登録が許可される場合は当該エンドポイントを自サーバに登録し、許可されない場合は前記登録要求のリダイレクトを当該エンドポイントに指示することを特徴とする端末登録方法。
【請求項6】
前記エンドポイントからの登録要求の送信は、前記登録要求の宛先サーバのアドレスを指定するアドレス通知サーバから指定されたアドレスに対して送信することを特徴とする請求項5に記載の端末登録方法。
【請求項7】
前記エンドポイントの登録の許可は、前記エンドポイントに前記ホームサーバと前記バックアップサーバとを対応させた管理データベースに基づいて判定することを特徴とする請求項5に記載の端末登録方法。
【請求項8】
前記サーバはSIP(Session Initiation Protocol)サーバであり、
前記エンドポイントから送信する登録要求は、SIPのうちのREGISTERに前記識別情報を付与して送信されることを特徴とする請求項5に記載の端末登録方法。
【請求項9】
通信の可能なエンドポイントを収容し、ホームサーバまたはバックアップサーバとして動作するサーバにおいて、
前記エンドポイントから受信した登録要求に付与された識別情報から、登録要求の発生した原因が障害の発生であるか否かを特定する特定部と、
前記受信した登録要求の送出元のエンドポイントにとって自サーバがホームサーバである場合、または、自サーバがバックアップサーバであって、前記登録要求の原因が前記障害の発生の場合は、当該エンドポイントの登録を許可と判定する判定部と、
この判定部により許可される場合は当該エンドポイントを自サーバに登録し、許可されない場合は前記登録要求のリダイレクトを当該エンドポイントに指示する登録処理部と
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項10】
さらに、前記エンドポイントに前記ホームサーバと前記バックアップサーバとを対応させた管理データベースを備えることを特徴とする請求項9に記載のサーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−45135(P2011−45135A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248488(P2010−248488)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2008−322521(P2008−322521)の分割
【原出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】