説明

通信システムと通信制御方法及びユーザ装置

【課題】ユーザ装置(UE)が在圏エリアから外部ネットワークに対して接続する際に、最適なゲートウェイを再選択可能とする。
【解決手段】SIPTOアーキテクチャにおける通信方法であって、MMEが、ユーザ装置からのトラッキングエリア(TA)アップデート信号を受信することにより、ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、再アタッチすることを設定する第1の信号を前記ユーザ装置に送信し、前記ユーザ装置は、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記MMEに送信し、前記MMEは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての記載]
本発明は、日本国特許出願:特願2009−217757号(2009年9月18日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、移動体通信システムに関し、特に、パケットデータネットワークへ端末を接続するゲートウェイの再選択の実現に好適なシステムと通信制御方法及びユーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EPC(Evolved Packet Core)におけるベアラ管理は、Always on(常時接続)の思想により、UE(User Equipment:ユーザ装置、あるいは「端末」ともいう)がEPCにアタッチした際に最初に選択されたPGW(PDN(Packet Data Network) Gateway)をアンカーとしてUEがデタッチするまで固定的に使用する。この動作により、UEがEPC内の移動を繰り返しても、PGWで払い出すIP情報が変わらないため、サービスネットワーク(パケットデータネットワーク)からは、常時接続を前提としたサービスを提供することが出来る。
【0003】
UEがEPC内を移動した際には、SGW(Serving Gateway)がUEの移動に伴い再選択され、その度に、SGWとPGWの間のベアラを更新(切断・再確立)することにより、UEからPGWまでの接続性を保障する。
【0004】
一般的に、PGWの選択は、SGWと物理的に近距離であるか、あるいは、ネットワークトポロジー的に近いPGWが選択される。
【0005】
ただし、初めに選択されたPGWは、UEが長距離の移動を繰り返す場合や、長距離移動した後、遠地に留まった場合などでは、SGWとPGW間の距離(物理的距離、ネットワークトポロジー的な距離)が離れてしまい、ネットワークとして効率が悪くなる。それによって、ユーザデータの伝送遅延やEPC内のネットワークリソースが非効率に消費されるといった問題があった。
【0006】
例えば海外から成田空港に入国した際には、概ね、成田空港で携帯電話移動機の電源を投入してEPCにアタッチすることから、成田空港に近いPGWが選択される。ただし、入国後は、東京、大阪、札幌、福岡と移動する場合がある。したがって、各移動後は、成田空港に近いPGWは最も効率的なPGWではなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下に本願発明者達による分析を与える。これまでのEPCネットワークでは、Always Onの原則から、アタッチ時に確立したデフォルト・ベアラに対しては、デタッチ時までは、削除・再確立されることはない。また、UEの移動等により、ベアラを切り替える場合にも、アタッチ時に選択されたPGWがアンカーとして固定されている。
【0008】
このため、UEが長距離を移動した場合等、アタッチ時に選択したPGWとの接続を維持することが、EPCネットワーク上、非効率となるという問題がある。
【0009】
そこで、UEが長距離を移動した場合などに、そのUEが在圏エリアから外部ネットワーク(サービスネットワーク)に対して接続する際、最適なPGWを再選択する方式が求められる(本願発明者達による分析結果)。
【0010】
したがって、本発明の目的は、端末(UE)が在圏エリアから外部ネットワークに対して接続する際、最適なゲートウェイノードを再選択可能とするシステム、方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャにおける通信方法であって、ユーザ装置からのトラッキングエリア(TA)アップデート信号を受信することにより、モビリティマネージメント装置(MME)が、ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、再アタッチすることを設定する第1の信号を前記ユーザ装置に送信し、前記ユーザ装置は、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記MMEに送信し、前記MMEは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う通信方法が提供される。
本発明によれば、Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャにおける通信方法であって、SGSN(Serving General Packet Radio Service(GPRS) Support Node)が、ユーザ装置からのルーチングエリア(RA)アップデート信号を受信することにより、ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、前記SGSNが再アタッチすることを設定する第1の信号を前記ユーザ装置に送信し、前記ユーザ装置は、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記SGSNに送信し、前記SGSNは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う通信方法が提供される。
【0012】
本発明によれば、Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムであって、ユーザ装置と、モビリティマネージメント装置(MME)と、ゲートウェイ装置とを備え、前記MMEが、前記ユーザ装置からのトラッキングエリア(TA)アップデート信号を受信することにより、ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、再アタッチすることを設定する第1の信号を送信し、
前記ユーザ装置が、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記MMEに送信し、前記MMEは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う通信システムが提供される。
本発明によれば、Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムであって、ユーザ装置と、SGSN(Serving General Packet Radio Service(GPRS) Support Node)と、ゲートウェイ装置とを備え、前記SGSNが、前記ユーザ装置からのルーチングエリア(RA)アップデート信号を受信することにより、前記ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、再アタッチすることを設定する第1の信号を送信し、前記ユーザ装置が、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記SGSNに送信し、前記SGSNは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う通信システムが提供される。
【0013】
本発明によれば、Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムにおけるユーザ装置であって、
トラッキングエリア(TA)アップデート信号をモビリティマネージメント装置(MME)に送信することにより、前記MMEから再アタッチすることを設定する第1の信号を受信し、
再アタッチを行うための第2の信号を前記MMEに送信することにより、ゲートウェイ装置の再選択を行わせるユーザ装置が提供される。
本発明によると、Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムにおけるユーザ装置であって、
ルーチングエリア(RA)アップデート信号をSGSN(Serving General Packet Radio Service(GPRS) Support Node)に送信することにより、前記SGSNから再アタッチすることを設定する第1の信号を受信し、
再アタッチを行うための第2の信号を前記SGSNに送信することにより、ゲートウェイ装置の再選択を行わせるユーザ装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザ装置が在圏エリアから外部ネットワーク(サービスネットワーク)に対して接続する際に、最適なゲートウェイノードを再選択可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態のシステム全体構成を示す図である。
【図2】比較例を説明する図である。
【図3】本発明を説明する図である。
【図4】比較例のシーケンスを示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態のシーケンスを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態のシーケンスを示す図である。
【図7】本発明の第3の実施形態のシーケンスを示す図である。
【図8】本発明の第4の実施形態のシーケンスを示す図である。
【図9】本発明の第5の実施形態の構成を示す図である。
【図10】本発明の第6の実施形態の構成を示す図である。
【図11】本発明の第5の実施形態のシーケンスを示す図である。
【図12】本発明の第6の実施形態のシーケンスを示す図である。
【図13】本発明の第7の実施形態のシーケンスを示す図である。
【図14】本発明の第8の実施形態のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について説明する。本発明の一態様に係るシステムは、EPCにおいて、ユーザ装置(UE)の移動に合わせて、PGW(PDN Gateway)を再選択し、デフォルト・ベアラを再確立することにより、ユーザデータの伝送遅延改善やEPC内のネットワークリソースの効率化を実現する。
【0017】
また、現在、3GPP標準化では、LIPA(Local IP Access)、SIPTO(Selected IP Traffic Offload)等と称し、ユーザトラヒックをEPCに取り込まず、UEの在圏する無線アクセス(Radio access)網から、直接、外部パケット網にアクセスさせる技術が検討されている。
本発明を、LIPA、及びSIPTOアーキテクチャと連携させることにより、更に効果的なネットワークリソースの効率化が実現することが可能となる。
【0018】
本発明の一態様のシステムは、既にEPCにアタッチしている状況にあるUEに対し、PGWの再選択を行う。
【0019】
通常、EPCのベアラは、UEがEPCネットワークにアタッチ(登録)した際に最初に選択されたPGWをアンカーとして、UEがデタッチ(登録削除)するまで、固定的に使用する仕様となっている。しかしながら、UEが長い距離を移動した際などには、最初に選択されたPGWが最も効率の良い外部網向けゲートウェイ装置では無くなる場合が多々ある。
【0020】
本発明の一態様においては、UEがアイドル状態(Idle)の場合などに、PGWを再選択、変更することにより、UEとPGW間のパス(ベアラ)の最適化を行うことが可能となる。
【0021】
本発明の一態様においては、UEがパケット通信を行っていない場合(Idle mode)に、PGW再選択を含めて、デフォルト・ベアラの再確立を行うことにより、ユーザエクスペリエンスを損なう事なく、UE−PGW間のネットワークリソースの最適化を行う。
【0022】
例えばUEがSGWを跨ぐ移動をした場合の動作について説明する。図2は、比較例として、本発明を適用しない場合を説明する図である。図2において、UEは、図の左側のSGW61に対してアタッチしているので、左側のSGW61に物理的距離、ネットワークトポロジー的な距離が近いPGW71が最初に選択され接続パス1が設定される。その後、UEが大きく移動したとしても、左側のPGW71を使い続けることとなるので、UE−PGW間のパスは、非効率的な接続パス2で接続される。
【0023】
一方、図3は、本発明を適用した場合において、UEがSGWを跨ぐ移動をした場合を説明する図である。図3において、UEは、左側のSGW61に対してアタッチしているので、SGW61に物理的距離、ネットワークトポロジー的な距離が近いPGW71が、最初に選択され接続パス3が設定される。その後、EPCは、UEが大きく移動したこと等をトリガーに、UEと外部ネットワーク(サービスネットワーク)の接続性について、再吟味を行う。再吟味の結果、右側のPGW72の方が左側のPGW71より効率的な接続(UE−PGWパス)が提供できるものと判断し、UE−PGW間のパスは、接続パス3から、接続パス4に変更され、効率的な接続の提供が可能となる。以下、実施形態に即して説明する。
【0024】
<実施形態1>
図1は、本実施形態のネットワークシステムの構成を示す図である。ネットワークの基本構成自体は、従来のEPCネットワーク構成と変わらない。
【0025】
図1において、UE1〜UE3は、携帯電話移動機である。eNodeB(evolved Node B)11〜12は、LTE(Long Term Evolution)の基地局、更に、NodeB21、及びRNC(Radio Network Controller)31は、UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)システムで採用された、無線アクセス(Radio access)用の装置を示す。
【0026】
MME(Mobility Management Entity)41は、EPCで導入されたモビリティを管理する装置である。
【0027】
SGSN(Serving GPRS(General Packet Radio Service) Support Node)51は、UMTS用に用いる在圏装置であり、接続形態により、ユーザープレーンを扱う場合と扱わない場合とがある。
【0028】
SGSNがユーザープレーンを扱わない場合、そのユーザープレーンは、SGW(Serving Gaeway)とRNC間に設定される。
【0029】
SGW61、62は、在圏でユーザープレーンを扱う装置である。PGW71、72は、外部網(図中にはサービスネットワーク81)とEPCを接続するゲートウェイ装置である。
【0030】
本実施形態の動作を説明する。UEが移動することで行われるトラッキングエリア(TA:Tracking Area)のアップデート手順(TA Update Procedure)について、はじめに、本発明を適用しない比較例を説明しておく。
【0031】
図4は、SGWの変更を伴うTAアップデートの場合を示す図(比較例)である。なお、UEがアイドル状態(非接続状態)のとき、どのトラッキングエリア(位置登録エリア)に属するかが管理され、どのセルに在圏するかは管理されない。
【0032】
MMEは、UEからのTAアップデート要求(TA Update Request)を受信し、SGWの変更が必要だと判断した場合、変更先SGWであるSGW(2)に、セッション生成要求(Create Session Request)を送信する。
【0033】
SGW(2)は、PGW(1)に、ベアラ修正要求(Modify Bearer Request)を送信し、PGW(1)に対して、接続先SGWを変更したことを通知する。
【0034】
PGW(1)は、ベアラ・コンテキスト(bearer context)情報の更新が完了したら、ベアラ修正応答(Modify Bearer Response)をSGW(2)に通知する。
【0035】
SGW(2)は、PGW(1)からのベアラ修正応答(Modify Bearer Response)を受けて、MMEへ、セッション生成応答(Create Session Response)を通知する。
【0036】
MMEは、SGW(2)からのセッション生成応答(正常応答)を受けて、変更元のSGWであるSGW(1)に対して、セッション削除要求(Delete Session Request)を通知する。
【0037】
SGW(1)は、ベアラ・コンテキスト(bearer context)を削除後に、MMEに対して、セッション削除応答(Delete Session Response)を送信する。
【0038】
MMEは、SGW(1)からのセッション削除応答(Delete Session Response)を受け、UEに対して、TA(Tracking Area)アクセプト(TA Accept)を送信する。
【0039】
図4に示した比較例に対して、本発明の一実施形態においては、図5に示すシーケンス動作が行われる。図5を参照して、本発明の一実施形態のシーケンスを説明する。
【0040】
MMEは、UEからTAアップデート要求(TA Update Request)を受信し、SGWの変更が必要であると判断した場合、変更先SGWであるSGW(2)に対して、セッション生成要求(Create Session Request)を送信する。
【0041】
このとき、MMEがPGWの再配置が必要であると判断した場合、MMEは、効率的に外部ネットワーク(サービスネットワーク)に接続可能なPGW(2)を選択し、セッション生成要求(Create Session Request)に、PGWを示すアドレス情報を設定する。
【0042】
また、新たなPGWアドレスを受信したSGW(2)は、PGW(2)に対して、セッション生成要求(Create Session Request)を送信する。
【0043】
PGW(2)は、SGW(2)からのセッション生成要求(Create Session Request)を受け、ベアラ・コンテキスト(bearer context)を生成する。また、PGW(2)は、UEに対して、新たなユーザ用IPアドレスを付与する。PGW(2)は、新たなユーザ用IPアドレスのアサイン、及び、ベアラ・コンテキスト(bearer context)の生成が完了したら、セッション生成応答(Create Session Response)をSGW(2)に通知する。
【0044】
SGW(2)は、PGW(2)からのセッション生成応答(Create Session Response)を受け、PGW(1)に対して、セッション削除要求(Delete Session Request)を送信する。
【0045】
PGW(1)は、ベアラ・コンテキスト(Bearer Context)を削除し、SGW(2)に対して、セッション削除応答(Delete Session Response)を送信する。
【0046】
SGW(2)は、PGW(1)からのセッション削除応答(Delete Session Response)を受けて、MMEへ、セッション生成応答(Create Session Response)を通知する。
【0047】
MMEはSGW(2)からの正常応答を受けて、変更元のSGWであるSGW(1)に対して、セッション削除要求(Delete Session Request)を通知する。
【0048】
SGW(1)は、ベアラ・コンテキスト(Bearer Context)を削除した後に、MMEに、セッション削除応答(Delete Session Response)を送信する。
【0049】
MMEはそれを受けてUEへ、TAアップデートアクセプト(TA Update Accept)を送信する。TA Update Acceptには、新たにユーザに付与されたIPアドレス情報が設定されUEに通知される。
【0050】
上記説明では、SGW−PGW間で、GTPv2(GPRS(General Packet Radio Service) Tunneling Protocol v2)プロトコルを用いた例に即して説明したが、PMIPv6(Proxy Mobile IPv6)を用いたケースでも、同様の機能を実現することが出来る。
【0051】
SGW−PGW間でPMIPv6を用いる場合、Create Session Request/Delete Session Requestの代わりに、Proxy Binding Updateを用いる。また、Create Session Response/Delete Session Responseの代わりに、roxy Binding Acknowledgementを用いる。
【0052】
PGWの再選択を行うためのシーケンスは、図5に示した通りであるが、上記機能を実現するためには、MMEにて、適切なタイミングで、PGW再選択を行う必要がある。
【0053】
UEがパケット通信を行っている場合、サービスネットワークに接続しているPGWを変更しようとすると、UEの通信先にとってIPアドレス等の情報が変わってしまうため、結果的にUEが行っているパケット通信を切断してしまうことになる。従って、図5で示した動作は、UEがパケット通信を行っていないとき(ECM(EPS Connection Management)−IDLE時)に、PGW再選択を行う必要がある。
【0054】
図5では、SGWが変更された場合の動作について記述したが、SGWが変更されない場合であっても、基本的な動作は同様である。図5に示したメッセージ・シーケンスは、SGW−PGW間がGTPプロトコルで構成されている場合のメッセージ名で説明しているが、SGW−PGW間が、PMIP(Proxy Mobile IP)プロトコルで構成された場合であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0055】
また、図5において、MMEをSGSNと置き換えることにより、アクセス網がUMTSである場合のPGWの再選択動作となる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態においては、以下記載の作用効果を奏する。
【0057】
UEの在圏位置をベースとしたPGWの選択が可能となる。UEと物理的に近距離、或いはネットワークトポロジー的に近いPGWが選択・接続されるため、効率的な接続により、ネットワーク・リソースの最適化が可能となる。
【0058】
UE−PGW間の効率的なパス接続により、ユーザデータ伝送の遅延の改善が可能となる。
【0059】
LIPA、SIPTOアーキテクチャと連携して動作させることにより、ユーザデータを全くEPCに取り込むことなく、パケット通信サービスを提供することが可能となる。このため、移動体通信オペレータは、EPCのネットワーク装置の負荷を低減することが可能となる。
【0060】
<実施形態2>
本発明の第2の実施形態について、図6を参照して説明する。端末(UE)が発信したTAアップデート要求(TA Update Request)をMMEが受信した際、MMEは、当該UEが接続されるPGWが妥当かの吟味を行う。
【0061】
図6では、UEがPGW(1)と接続されている状況を示している(UEとPGW(1)間でEPSベアラ確立:EPS bearer originally established)。
【0062】
MMEが、他の適当なPGWを再選択が必要と判断した場合、MMEは、TAアップデート要求(TA Update request)に対して、再アタッチ(ATTACH)を促す理由値(cause値)を設定して、UEに対して、TAアップデート・リジェクト(TA Update Reject)を送信する。
【0063】
UEは、MMEからのTAアップデート・リジェクト(TA Update Reject)に応答して、アタッチ(ATTACH)信号を、MMEに送信する。これを受け、MMEは、PGWの選択ロジックを新たに起動することが可能となる。その結果、適当なPGWの再選択が行われる。
【0064】
図6の例では、PGW(2)が再選択され、PGW(2)に向けた接続処理の例が記述されている。すなわち、MMEからのセッション生成要求(Create Session Request)がSGW(2)に送信され、SGW(2)からセッション生成要求がPGW(2)に送信される。PGW(2)からのセッション生成の応答(Create Session Response)を受けたSGW(2)は、MMEにセッション生成応答を送信する。MMEは、セッション削除要求(Delete Session Request)をSGW(1)に送信する。SGW(1)は、セッション削除の応答(Delete Session Response)をMMEに返す。これを受け、MMEは、TAアップデートの完了を通知するTA Update Acceptを端末(UE)に返す。
【0065】
本実施形態においては、以下の作用効果を奏する。
【0066】
UEにインパクトを与えずに、前記第1の実施形態を得ることができる。また、EPCに対しても、最小の変更で実現可能となる。
【0067】
<実施形態3>
本発明の第3の実施形態について、図7を参照して以下に説明する。本発明の第3の実施形態は、通常のTAアップデート手順に対して、若干の変更が施されている。
【0068】
図7に示したシーケンスは、通常のTAアップデート手順であるが、本実施形態の変更点として、MMEからUEに対してTAアップデート手順の完了を通知する。
【0069】
図7を参照すると、UEからのTAアップデート要求(TA Update Request)を受けたMMEは、SGW(2)に対してセッション生成要求(Create Session Request)、SGW(2)からPGW(1)にベアラ修正要求(Modify Beaer Request)が送信され、SGW(2)からのセッション生成応答(Create Session Response)を受けたMMEは、SGW(1)に対してセッション削除要求(Delete Session Request)を送信し、SGW(1)からセッション削除応答(Delete Session Responce)を受けたMMEは、UEにTAアップデートアクセプト(TA Update Accept(PDN))を送信している。
【0070】
本実施形態においては、TA Update Accept信号に、新たな情報(すなわち、図7における、TA Update Accept(PDN)の「PDN」)を追加し、現在接続中にあるパケットデータネットワーク(PDN)の再接続を促す構成としている。
【0071】
新たな情報(PDN)が付加された、TAアップデートアクセプト(TA Update Accept)信号を受信したUEは、指定された情報を基に、再接続するPDN(パケットデータネットワーク)(複数のPDNが付加される場合も有る)を認識し、当該PDNに対して、
UE requested PDN Disconnection処理(UEが要求したPDNの切断処理)、
UE requested PDN connectivity処理(UEが要求したPDNの接続処理)、
を起動し、パケットデータネットワーク(PDN)の再接続を行う。
【0072】
このパケットデータネットワーク(PDN)の再接続では、MMEにて、PGWの選択ロジックを新たに起動することが可能となるため、結果的に適当なPGWの再選択が必要となる。
【0073】
図7には、SGWが変更された場合の動作について記載されているが、SGWが変更されない場合であっても、基本的な動作は同様である。
【0074】
本実施形態の作用効果を説明する。
【0075】
本実施形態においては、アタッチ(ATTACH)処理(再アタッチ)を起動せずに、PGWの再接続を可能としている。
【0076】
ATTACH処理を起動するということは、複数のPDN接続がある場合、全てのPDN接続に対して、PGW再選択処理が起動され、比較的大きな規模の処理を起動することになる。
【0077】
これに対して、本実施形態は、必要なPGWの再選択のみを、EPC起動で行うことが可能となる。
【0078】
<実施形態4>
本発明の第4の実施形態について、図8を参照して説明する。本発明の第4の実施形態においては、UEが行うTAアップデート手順と非依存で、EPC(MME)が任意のタイミングで起動することが可能なPGWの再選択を行う。MMEが接続中、PGWの再選択が必要と判断した場合、UEに対して、ページ(Page)信号を送信し、UEとの接続を試みる。
【0079】
この際、オプションとして、ページ(Page)信号に、cause情報(理由情報)が追加されている(図8のPage(cause)参照)。UEは、このPage信号(cause情報付きのPage信号)を無視することが許容されている。これは、この処理が、反復的に実行されたことによるUEのバッテリー消耗を回避すること等を目的とした対策である。
【0080】
本来、Page信号は、着信呼をUEに通知するために用いる信号であるのに対して、本実施形態において、PGWの再選択が必要なときに送信されるPage信号は、EPC内の接続パス効率化のためのものであり、必須の動作ではないといえる。このPage信号を受けたUEは、MMEとの通信のために、サービス要求(Service request)信号をMMEに向けて送信する。MMEからのディアクティベートベアラ要求(Deactivate Bearer request)がMMEからeNodeBへ送信され、eNodeからRRC connection reconfigurationを送信し、UEからRRC connection reconfigurationの完了通知を受けると、eNodeBはMMEにディアクティベートベアラ応答(Deactivate Bearer response)を送る。
【0081】
その後、MMEは、PGWの再選択が必要なパケットデータネットワーク(PDN)接続を切断することにより、UEからのUEの要求になるパケットデータネットワーク接続(UE requested PDN connectivity)手順の誘発を行う。
【0082】
この手順の実行により、MMEにて、PGWの選択ロジックを新たに起動することが可能となるため、結果的に、適当なPGWの再選択が必要となる。この手順は、EPC(MME)が任意のタイミングで、PGWの再選択を起動することが可能であるが、そのトリガーとして、O&M(Operation & Maintenance)、LIPA、SIPTO接続の有無などが適用できる。
【0083】
本実施形態においては、MMEが任意のタイミングでPGWの再選択を可能となるという作用効果を奏する。
【0084】
<実施形態5>
本発明を、LIPA、SIPTOアーキテクチャに利用した例を説明する。図9および図10は、本発明の実施形態の構成を示す図である。
【0085】
図9を参照すると、UE1〜3は、携帯電話移動機である。eNodeB11〜12は、LTEの基地局である。更に、NodeB21、及び、RNC31は、UMTSシステムで採用された、無線アクセス(Radio access)用の装置である。MME41は、EPCで導入されたモビリティを管理する装置である。SGSN51は、UMTS用に用いる在圏装置であり、接続形態により、ユーザープレーンを扱う場合と扱わない場合がある。SGSNがユーザープレーンを扱わない場合のユーザープレーンは、SGWとRNC間に設定される。
【0086】
SGW61、62は、在圏でユーザープレーンを扱う装置であり、PGW71、72は、外部網(図9では、サービスネットワーク81)とEPCを接続するゲートウェイ装置である。更に、LPGW(Local PGW)91〜92は、eNodeBと混在しているか、eNodeBに極めて近い位置に存在し、サービスネットワーク81との接続を可能とするゲートウェイ装置である。
【0087】
図10において、UE1〜2は、携帯電話移動機である。NodeB21〜22、及びRNC31〜32は、UMTSシステムで採用された無線アクセス(Radio access)用の装置である。SGSN61〜62は、UMTS用に用いる在圏装置であり、接続形態により、ユーザープレーンを扱う場合と扱わない場合がある。SGSNがユーザープレーンを扱わない場合のユーザープレーンは、GGSNとRNC間に設定される。特に、GGSNとRNC間にユーザープレーンを設定する形態を、「ダイレクトトンネル接続」と呼ぶ。
【0088】
GGSN71〜72は、外部網(図10では、サービスネットワーク81)とGPRS(General Packet Radio Service)網を接続するゲートウェイ装置である。
【0089】
更に、LGGSN(Local GGSN(Gateway GPRS Support Node)101〜102は、RNC(Radio Network Controller)と混在しているか、RNCに極めて近い位置に存在し、サービスネットワーク81との接続を可能とするゲートウェイ装置である。
【0090】
図9に示した構成の第5の実施形態の動作について、図11のシーケンス図を用いて説明する。
【0091】
MMEはUEからのTAアップデート要求(TA Update Request)を受信するが、LIPA、SIPTOアーキテクチャの場合、eNodeBから、MME間のTAアップデート要求(TA Update Request)信号の伝送は、S1−APメッセージ上にカプセル化(encapsulated)される。
【0092】
その際、eNodeBは、S1−APメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知を、MMEに向けて行う。
【0093】
MMEは、SGWの変更が必要であると判断した場合、変更先SGWであるSGW(2)に、セッション生成要求(Create Session Request)を送信する。
【0094】
このとき、MMEは、LPGWへの再配置が必要であると判断した場合には、効率的に外部ネットワーク(サービスネットワーク81)に接続可能なLPGWを、MMEが選択し、セッション生成要求(Create Session Request)に、PGWを示すアドレス情報を設定する。ただし、前述のS1−APメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知は、あくまで一例であり、MMEが他の情報で新たなPGWの再選択の必要性を判断することも可能である。
【0095】
また、新たなPGWアドレスを受信したSGW(2)は、LPGWに対してセッション生成要求(Create Session Request)を送信し、LPGWは、セッション生成要求(Create Session Request)を受けて、ベアラ・コンテキスト(Bearer Context)を生成する。
【0096】
また、LPGWは、UEに対して、新たなユーザ用IPアドレスを付与する。
【0097】
LPGWは、新たなユーザ用IPアドレスのアサイン、及びベアラ・コンテキスト(Bearer Context)の生成が完了すると、セッション生成応答(Create Session Response)をSGW(2)に通知する。
【0098】
セッション生成応答(Create Session Response)を受け、SGW(2)は、PGW(1)に対して、セッション削除要求(Delete Session Request)を送信する。
【0099】
PGW(1)は、ベアラ・コンテキスト(Bearer Context)を削除し、SGW(2)に対して、セッション削除応答(Delete Session Response)を送信する。
【0100】
SGW(2)はセッション削除応答(Delete Session Response)を受けて、MMEに対してセッション生成応答(Create Session Response)を通知する。
【0101】
MMEは、LPGWからの正常応答を受けて、変更元のSGWであるSGW(1)に対して、セッション削除要求(Delete Session Request)を通知する。
【0102】
SGW(1)は、ベアラ・コンテキスト(Bearer Context)を削除した後に、MMEに対して、セッション削除応答(Delete Session Response)を送信する。
【0103】
MMEはセッション削除応答(Delete Session Response)を受け、UEに対して、TA受理(TA Accept)を送信する。このTA Acceptには、新たにユーザに付与されたIPアドレス情報が設定され、UEに通知される。
【0104】
上記説明では、SGW−PGW間で、GTPv2プロトコルを用いた例に即して説明したが、PMIPv6を用いた場合でも、同様の機能を実現することが出来る。
【0105】
その場合、セッション生成要求(Create Session Request)/セッション削除要求(Delete Session Request)の代わりに、
Proxy Binding Updateを用いる。また、セッション生成応答(Create Session Response)/セッション削除応答(Delete Session Response)の代わりに、プロキシバインディングアクノリッジメント(Proxy Binding Acknowledgement)を用いる。
【0106】
LPGW再選択を行うためのシーケンスは、図11で示した通りであるが、上記機能を実現するには、MMEにて、適切なタイミングで、PGWの再選択を行う必要がある。
【0107】
UEがパケット通信を行っている場合、サービスネットワークに接続しているPGWを変更しようとすると、UEの通信先にとって、IPアドレス等の情報が変わってしまうことになる。このため、結果的にUEが行っているパケット通信を切断することになる。従って、図11に示したシーケンス動作は、UEがパケット通信を行っていないとき(ECM−IDLE時)にPGWの再選択を行う必要がある。
【0108】
図11は、SGWが変更された場合の動作について記述したが、SGWが変更されない場合であっても、基本的な動作は同様である。図11のメッセージ・シーケンスは、SGW−PGW間がGTPプロトコルで構成されている場合のメッセージ名で説明しているが、SGW−PGW間がPMIPプロトコルで構成された場合であっても、同様の効果を得ることが可能である。
【0109】
また、図11において、MMEをSGSNに、eNodeBをRNCと置き換えることにより、アクセス網が、UMTSである場合のPGWの再選択動作の説明となる。
【0110】
上記したように、本実施形態によれば、LPGWを再選択することにより、ユーザトラヒックをEPCに取り込むことなく、パケット通信を提供することが可能となる。このため、移動体通信オペレータは、EPCのネットワーク装置の負荷を低減することが可能となる。
【0111】
<実施形態6>
本発明の第6の実施形態について説明する。本実施形態の構成は、図9に示した装置構成とされる。本実施形態の動作について、図12を参照して説明する。
【0112】
MMEは、UEからのTAアップデート要求(TA Update Request)を受信する。LIPA、SIPTOアーキテクチャの場合、eNodeBからMME間のTAアップデート要求(TA Update Request)信号の伝送は、S1−APメッセージ上に、カプセル化される。その際のS1−APメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知を、eNodeBは、MMEに向けて行う。
【0113】
MMEは、当該UEが接続されるPGWが妥当かの吟味を行う。ただし、前述のS1−APメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知は、あくまで一例であり、MMEが他の情報で新たなPGWの再選択の必要性を判断することも可能である。
【0114】
図12では、UEが、PGW(1)と接続されている状況を示している(UEtoPGW(1)間のEPS bearer originally established)。MMEが、LPGWの再選択が必要と判断した場合、MMEは、TAアップデート要求(TA Update Request)に対して、再アタッチ(ATTACH)を促すcause値を設定して、UEに対して、TAアップデート・リジェクト(TA Update Reject)を返送する。
【0115】
UEは、TAアップデート・リジェクト(TA Update Reject)に誘発され、ATTACH信号をMMEに送信する。このATTACH信号の伝送も、S1−APメッセージ上にカプセル化される。eNodeBは、その際のS1−APメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知を、MMEに向けて行う。
【0116】
MMEは、PGWの選択ロジックを新たに起動することが可能となるため、結果的にLPGWの再選択が必要となる。
【0117】
図12では、LPGWが再選択され、LPGWに向けた接続処理の例が記述されている。MMEからSGW(2)、LPGWへのセッション生成要求(Create Session Request)、LPGWからSGW(2)、MMEへのセッション生成応答(Create Session Response)、MMEからSGW(1)へのセッション削除要求(Delete Session Request)、SGW(1)からMMEへのセッション削除応答(Delete Session Response)、MMEからUEへのTAアップデート受理の送信が行われる。
【0118】
上記の通り、本実施形態によれば、LPGWを再選択することにより、ユーザトラヒックをEPCに取り込むことなく、パケット通信を提供することが可能となる。このため、移動体通信オペレータは、EPCのネットワーク装置の負荷を低減することが可能となる。
【0119】
<実施形態7>
本発明の第7の実施形態について説明する。本実施形態の構成は、図9に示した装置構成とされる。本実施形態の動作について、図13を参照して説明する。本実施形態は、通常のTAアップデート手順に対して、変更を加えている。
【0120】
MMEはUEからのTAアップデート要求(TA Update Request)を受信するが、LIPA、SIPTOアーキテクチャの場合、eNodeBからMME間のTAアップデート要求(TA Update Request)信号の伝送は、S1−APメッセージ上にカプセル化される。
【0121】
その際のS1−APメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知をMMEに向けて行う。ただし、前述のS1−APメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知は、あくまで一例であり、MMEが他の情報で新たなPGWの再選択の必要性を判断することも可能である。
【0122】
MMEからUEに対してTAアップデート手順の完了を通知するTAアップデートアクセプト信号(TA UPdate Accept)に新たな情報(図13では、PDN)を追加し、現在接続中にあるパケットデータネットワーク(PDN)の再接続を促す。新たな情報が付加されたがTA Update Accept信号を受信したUEは、指定された情報を元に再接続するPDN(複数のPDNの場合も有)を認識し、当該PDNに対して、従来のUEの要求になるパケットデータネットワーク接続(UE requested PDN Disconnection処理、UE requested PDN connectivity)処理を起動し、パケットデータネットワーク(PDN)の再接続を実行する。
【0123】
このパケットデータネットワーク(PDN)の再接続では、MMEにてPGWの選択ロジックを新たに起動することが可能となるため、結果的にLPGWの再選択が必要となる。
【0124】
図13では、SGWが変更された場合の動作について記述したが、SGWが変更されない場合であっても、基本的な動作は、同様である。
【0125】
上記の通り、本実施形態によれば、LPGWを再選択することにより、ユーザトラヒックをEPCに取り込むことなくパケット通信を提供することが可能となる。このため、移動体通信オペレータは、EPCのネットワーク装置の負荷を低減することが可能となる。
【0126】
<実施形態8>
本発明の第8の実施形態について説明する。本実施形態の構成は、図10に示した装置構成とされる。本実施形態の動作について、図14を参照して説明する。
【0127】
SGSN(Serving GPRS Support Node)は、UEからのRA(ルーチングエリア)アップデート要求(RA Update Request)を受信するが、LIPA、SIPTOアーキテクチャの場合、NodeBからSGSN間のRA Update Request信号の伝送は、RANAP(Radio Access Network Access Part)メッセージ上にカプセル化される。その際のRANAPメッセージ上で、RRCは、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知を、SGSNに向けて行う。
【0128】
SGSNは、当該UEが接続されるGGSN(Gateway GPRS Support Node)が妥当かの吟味を行う。ただし、前述のRANAPメッセージ上で、LIPA、SIPTOアーキテクチャによるPDN接続の設定が可能であることの通知は、あくまで一例であり、SGSNが他の情報で新たなPGWの再選択の必要性を判断することも可能である。
【0129】
図14では、UEがGGSNと接続されている状況を示している(UEとGGSN間でGTPトンネル接続が確立:図14の「GTP Tunneling originally established」参照)。
【0130】
SGSNが、LGGSNとの再選択が必要と判断した場合、SGSNは、RAアップデート要求(RA Update Request)に対して、再アタッチ(ATTACH)を促す理由値(cause値)を設定して、UEに対して、RAアップデート・リジェクト信号(RA Update Reject)を返送する。
【0131】
UEは、RAアップデート・リジェクト信号(RA Update Reject)に誘発され、ATTACH信号を、SGSNに対して送信し、GPRS網に再アタッチ(ATTACH)を試みる。SGSNは、RAアップデート要求(Updata RA request)をHLR(Home Location Register)に送信し、HLRからGGSNに、インサート・サブスクライバ・データ(Insert Subscriver data)が送信され、GGSNは、インサート・サブスクライバ・データ肯定応答(Insert Subscriver data ack)をHLRに返す。この肯定応答(ack)を受けHLRはRAアップデート応答(Updata RA response)をSGSNに返す。SGSNは、ATTACHの受理(ATTACH Accept)をUEに返す。
【0132】
その後、UEは、PDP(Packet Data Protocol)接続を要求するPDPコンテキストアクティベート要求(Activate PDP context request)を、SGSNに対して送信する。
【0133】
PDPコンテキストアクティベート要求(Activate PDP context request)を受信したSGSNは、LGGSNへの接続の妥当性を判断し、妥当であると判断した場合には、LGGSNに向けて、GTP(GPRS Tunneling Protocol)トンネルの作成を行う(Create PDP context request)。LGGSNからSGSNに対して、Create PDP context responseが返送され、SGSNからUEに、PDPコンテキストアクティベート応答(Activate PDP context response)が返送され、UEとLGGSNの接続が可能となる。
【0134】
上記した本実施形態によれば、LGGSNを再選択することにより、ユーザトラヒックをGPRS網に取り込むことなく、パケット通信を提供することが可能となる。このため、移動体通信オペレータは、GPRSのネットワーク装置の負荷を低減することが可能となる。
【0135】
本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし、選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0136】
1、2、3 UE(ユーザ装置、端末)
11、12 eNodeB
21 NodeB
31 RNC
41 MME
61、62 SGW
51 SGSN
71、72 PGW
81 サービスネットワーク
91、92 LPGW
101、102 LGGSN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャにおける通信方法であって、
モビリティマネージメント装置(MME)が、ユーザ装置からのトラッキングエリア(TA)アップデート信号を受信することにより、ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、再アタッチすることを設定する第1の信号を前記ユーザ装置に送信し、
前記ユーザ装置は、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記MMEに送信し、
前記MMEは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う、ことを特徴とする通信方法。
【請求項2】
Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャにおける通信方法であって、
SGSN(Serving General Packet Radio Service(GPRS) Support Node)が、ユーザ装置からのルーチングエリア(RA)アップデート信号を受信することにより、ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、前記SGSNが再アタッチすることを設定する第1の信号を前記ユーザ装置に送信し、
前記ユーザ装置は、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を、前記SGSNに送信し、
前記SGSNは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う、ことを特徴とする通信方法。
【請求項3】
前記ゲートウェイ装置は、サービングゲートウェイ装置、パケットデータネットワーク・ゲートウェイ装置、GGSN(Gateway GPRS Support Node)の少なくともいずれかである請求項1または2に記載の通信方法。
【請求項4】
Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムであって、
ユーザ装置と、モビリティマネージメント装置(MME)と、ゲートウェイ装置とを備え、
前記MMEが、前記ユーザ装置からのトラッキングエリア(TA)アップデート信号を受信することにより、前記ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、再アタッチすることを設定する第1の信号を送信し、
前記ユーザ装置が、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記MMEに送信し、
前記MMEは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う、ことを特徴とする通信システム。
【請求項5】
Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムであって、
ユーザ装置と、SGSN(Serving General Packet Radio Service(GPRS) Support Node)と、ゲートウェイ装置とを備え、
前記SGSNが、前記ユーザ装置からのルーチングエリア(RA)アップデート信号を受信することにより、前記ゲートウェイ装置の再選択が必要であると判断した場合、再アタッチすることを設定する第1の信号を送信し、
前記ユーザ装置が、前記第1の信号を受けて、再アタッチを行うための第2の信号を前記SGSNに送信し、
前記SGSNは、前記ゲートウェイ装置の再選択を行う、ことを特徴とする通信システム。
【請求項6】
前記ゲートウェイ装置は、サービングゲートウェイ装置(SGW)、パケットデータネットワーク・ゲートウェイ装置、GGSN(Gateway GPRS Support Node)の少なくともいずれかである請求項4または5に記載の通信システム。
【請求項7】
Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムにおけるユーザ装置であって、
トラッキングエリア(TA)アップデート信号をモビリティマネージメント装置(MME)に送信することにより、前記MMEから再アタッチすることを設定する第1の信号を受信し、
再アタッチを行うための第2の信号を前記MMEに送信することにより、ゲートウェイ装置の再選択を行わせる、ことを特徴とするユーザ装置。
【請求項8】
Selected IP Traffic Offload(SIPTO)アーキテクチャによる通信システムにおけるユーザ装置であって、
ルーチングエリア(RA)アップデート信号をSGSN(Serving General Packet Radio Service(GPRS) Support Node)に送信することにより、前記SGSNから再アタッチすることを設定する第1の信号を受信し、
再アタッチを行うための第2の信号を前記SGSNに送信することにより、ゲートウェイ装置の再選択を行わせる、ことを特徴とするユーザ装置。
【請求項9】
前記ゲートウェイ装置は、サービングゲートウェイ装置、パケットデータネットワーク・ゲートウェイ装置、GGSN(Gateway GPRS Support Node)の少なくともいずれかである請求項7または8に記載のユーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−70441(P2012−70441A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−277588(P2011−277588)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2011−229637(P2011−229637)の分割
【原出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(508342183)エヌイーシー ヨーロッパ リミテッド (101)
【氏名又は名称原語表記】NEC EUROPE LTD.
【Fターム(参考)】