説明

通信システム

【課題】本発明は、携帯端末を利用するユーザが常に、自分が所持する携帯端末の通信可能範囲および通信可能ポイントを把握できる通信システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る通信システム100は、有線LAN3および無線LAN5の両方に接続可能な、携帯端末1を備えている。携帯端末1は、有線LAN3に接続できる位置を示す位置情報および無線LAN5を利用した通信ができるエリアを示すエリア情報を、格納する記憶部22と、記憶部22に格納されている各情報に基づいて、有線LAN3に接続できる位置および無線LAN5を利用した通信ができるエリアを表示する、表示部23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに係る発明であり、特に閉じられた通信範囲における通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話装置に対して良好な通信状態を確保できる地域を通知する技術が、既に存在する(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1に係る技術では、携帯電話装置とは別に制御装置が設置されている。そして、当該制御装置が携帯電話装置の位置とその位置における通信環境とを検知している。当該検知の結果、制御装置は、無線LANを使用する上で良好な通信状態を確保できる地域を、携帯電話装置に対して通知する。
【0003】
また、上記とは別に、携帯電話装置に対する電源供給に関する技術として、例えば、特許文献2が存在する。当該特許文献2に係る技術では、中継装置(クレードル)に携帯電話装置を載置することにより、データ通信を行ないながら、充電等のための電源供給を受けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−033707号公報
【特許文献2】特開2004−304720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、制御装置が携帯電話装置の位置とその位置における通信環境とを検知する必要がある。しかしながら、無線電波の届く範囲が限られており、制御装置と携帯電話装置との無線通信が不可能となる領域がある場合には、制御装置が携帯電話装置の位置を把握できない。これにより、制御装置は、良好な通信状態を確保できる範囲を、携帯電話装置に通知できない。つまり、特許文献1に関する技術では、携帯電話装置のユーザは、良好な通信状態を確保できる範囲を、認識できないことも想定される。
【0006】
また、特許文献1に係る技術では、携帯電話装置が有線LAN接続が可能である場合に、当該携帯電話装置を有線LANに接続できる場所を、ユーザは認識することができなかった。
【0007】
他方、特許文献2に開示されている技術では、携帯電話に対する充電(電源供給)に際して、別途、中継装置(クレードル)を用いる必要がある。したがって、当該クレードルの持ち運びは不便であり、また当該クレードルに携帯電話が載置されている状態で、当該携帯電話を利用した通話が困難である、などの問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、携帯端末を利用するユーザが常に、自分が所持する携帯端末の通信可能範囲および通信可能ポイントを把握できる通信システムを提供することを目的とする。さらには、当該携帯端末の電源供給(充電を含む)を簡便に行うことができる通信システムを提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る通信システムは、所定の範囲内での通信のために設置される、有線ネットワークと、前記所定の範囲内での通信のために設置される、無線ネットワークと、前記有線ネットワークおよび前記無線ネットワークの両方に接続可能な、携帯端末とを、備えており、前記携帯端末は、前記有線ネットワークに接続できる位置を示す位置情報および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを示すエリア情報を、格納する記憶部と、前記記憶部に格納されている前記位置情報および前記エリア情報に基づいて、前記有線ネットワークに接続できる位置および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを表示する、表示部とを、備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る通信システムは、所定の範囲内での通信のために設置される、有線ネットワークと、前記所定の範囲内での通信のために設置される、無線ネットワークと、前記有線ネットワークおよび前記無線ネットワークの両方に接続可能な、携帯端末とを、備えており、前記携帯端末は、前記有線ネットワークに接続できる位置を示す位置情報および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを示すエリア情報を、格納する記憶部と、前記記憶部に格納されている前記位置情報および前記エリア情報に基づいて、前記有線ネットワークに接続できる位置および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを表示する、表示部とを、備えている。
【0011】
したがって、携帯端末が所定の範囲のどのような場所に存在しても(つまり、携帯端末の通信不可能領域においても)、常に、有線ネットワークに接続できる位置および無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを、表示させることができる。つまり、携帯端末のユーザは、所定の範囲の如何なる場所においても常に、有線ネットワークの接続位置および無線ネットワークの接続可能エリアを、容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係る通信システム100の構成を示す図である。
【図2】通信システム100において、携帯端末1を有線LAN3に接続する様子を示す図である。
【図3】通信システム100において、携帯端末1を無線LAN5に接続する様子を示す図である。
【図4】携帯端末1の外観構成を示す斜視図である。
【図5】携帯端末1の内部構成を示すブロック図である。
【図6】携帯端末1の表示画面11に表示される画像を示す図である。
【図7】実施の形態2に係る通信システム200の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、閉じられた範囲(つまり、通信範囲が限られている)の通信ネットワークに携帯端末を接続し、当該携帯端末を利用した通信および通話を行う通信システムに関するものである。換言すれば、本発明は、通信範囲が限定されている携帯端末を利用した、通信システムに関する発明である。以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて、具体的に説明する。
【0014】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態1に係る通信システム100の概略構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、閉じられた範囲(通信範囲が限定されている範囲であり、所定の範囲と把握できる)50内に、通信システム100が配設されている。ここで、閉じられた範囲50としては、ビル内や工場内や船舶内などが想定される。以下、当該閉じられた範囲50は、船舶における船内50として話を進める。
【0016】
通信システム100は、複数の携帯端末1およびLAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク2(以下、船内LAN2と記す)により構成される。
【0017】
船内LAN2は、船内50に設置され、当該船内50における通信・通話のために使用される。携帯端末1は、有線LAN(有線ネットワークと把握できる)3によって船内LAN2に接続される(図2参照)。または、携帯端末1は、無線LAN用アンテナ4を経由の無線LAN(無線ネットワークと把握できる)5(図3参照)によって船内LAN2に接続される。
【0018】
携帯端末1が、有線LAN3または無線LAN5によって船内LAN2に接続されることにより、閉じられた領域である船内50において、当該船内LAN2に接続される他の装置と、通話および通信を行うことができる。つまり、携帯端末1は、閉じられた領域である船内50内において、他の装置と通信・通話を行うことができる。携帯端末1として、船内50内で使用範囲が限定されたIP携帯電話(より具体的には、舶用無線IP携帯電話)を採用できる。
【0019】
図2に示すように、船内50に存在する有線LAN3において、複数の接続ポートLおよびHUB6が、所定の場所に点在して設置されている。したがって、船内50において、携帯端末1が有線LAN3に接続できる箇所は、限定的である(つまり、接続ポートLやHUB6が存在する箇所においてのみ、携帯端末1は有線LAN3に接続することができる)。
【0020】
携帯端末1には、有線LAN通信機能が備えられており、有線LAN接続部(図4の符号15)が配設されている。図2に示すように、携帯端末1(より具体的には、有線LAN接続部15)と接続ポートL(または、HUB6)とを、LANケーブル(通信ケーブルと把握できる)9を用いて接続する。当該接続により、携帯端末1は、有線LAN1を介して船内LAN2に連接され、船内50という限られた範囲内において、当該船内LAN2に接続される他の装置との通信および通話が可能となる。
【0021】
また、図3に示すように、船内50に存在する無線LAN5において、複数の無線LAN用アンテナ4が、所定の場所に点在して設置されている。そして、各無線LAN用アンテナ4に対して、通信可能領域7が規定される。したがって、船内50において、携帯端末1が無線LAN5に接続できる領域(範囲)は、限定的である(つまり、各通信可能領域7内に存在する携帯端末1のみが、無線LAN5に接続することができる)。
【0022】
携帯端末1には、無線LAN通信機能が備えられており、無線アンテナ(図4の符号12)が配設されている。図3に示すように、携帯端末1(より具体的には、無線アンテナ12)と無線LAN用アンテナ4とが、通信可能領域7内において無線LAN5にて接続する。また、各無線LAN用アンテナ4は、有線により、船内LAN2と接続される。したがって、携帯端末1は、無線LAN5を介して船内LAN2に連接され、船内50という限られた範囲内において、当該船内LAN2に接続される他の装置との通信および通話が可能となる。
【0023】
図4は、携帯端末1の外観構成を示す斜視図である。また、図5は、携帯端末1の内部機能構成を示すブロック図である。
【0024】
図4に示すように、携帯端末1には、表示画面11、無線アンテナ12、操作部13、通話部14および有線LAN接続部15を有する。また、図5に示すように、携帯端末1内には、制御部21、記憶部22、表示部23、有線LAN部24および無線LAN部25が配設されている。
【0025】
表示画面11には、図6に示すように、船内50の全体図51および船内50の所望の部分の拡大図である拡大区分図52が表示される。ここで、全体図51は、船内50の概略全体像を示すものであり、図6に示すように、当該全体図51は、複数の小区分51Aにより分割されている。つまり、携帯端末1は、船内50の全体図51を、複数の小区分51Aに分割されて管理している。
【0026】
たとえば、ユーザが、全体図51における小区分51Aを任意に選択する。すると、当該選択された小区分51Aに対応する拡大図が、拡大区分図52として表示画面11に表示される。
【0027】
当該拡大区分図52には、船内50における小区分51Aの見取り図と、当該見取り図上に表示される各表示情報とが、含まれる。当該各表示情報とは、当該小区分51Aに属する、有線LAN3に接続できる位置と、当該小区分51Aに属する、無線LAN5を利用した通信ができるエリアとである。
【0028】
ここで、有線LAN3に接続できる位置とは、接続ポートLの位置およびHUB6の位置である。また、無線LAN5を利用した通信ができるエリアとは、無線LAN用アンテナ4を含む通信可能領域7である。
【0029】
制御部21は、携帯端末1内部の動作を制御・管理する。記憶部22には、船内50の見取り図情報、および、有線LAN3に接続できる位置(接続ポートLの位置およびHUB6位置)を示す位置情報、および、無線LAN5を利用した通信ができるエリア(無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能領域7)を示すエリア情報が、予め格納されている。
【0030】
表示部23は、表示画面11に、図6に例示するような画像を表示させる。つまり、表示部23は、表示画面11に、有線LAN3に接続できる位置および無線LAN5を利用した通信ができるエリアを表示する。
【0031】
また、有線LAN部24は、有線LAN接続部15を介して、有線LAN3との接続を実行する。また、無線LAN部25は、無線アンテナ12を介して、無線LAN5との接続を実行する。
【0032】
なお、図4に示す操作部13は、携帯端末1に対する操作の際に使用され、図4に示す通話部14は、携帯端末1を用いた通話の際に使用される。
【0033】
次に、本実施の形態に係る通信システム100の動作について説明する。
【0034】
船内50に居るユーザは、所持している携帯端末1の操作部13に対して、LAN接続可能場所を表示させる操作を行う。ここで、携帯端末1には、最初に表示画面11に表示させる小区分51Aが、デフォルトで設定されている。
【0035】
そこで、制御部21は、当該操作に起因して、記憶部22から、全体図51を表示させるための情報、および、当該デフォルト設定されている小区分51Aについての拡大区分図52を表示させるための情報(当該情報には、当該小区分51Aの見取り図情報、有線LAN3に接続できる位置を示す位置情報、無線LAN5を利用した通信ができるエリアを示すエリア情報)を、読み出す。
【0036】
そして、制御部21は、読み出した各情報を、表示部23に送信する。表示部23では、受信した各情報を用いて、表示画面11に図6に例示する画面(全体図51および拡大区分図52)を表示させる。これにより、図6に示すように、表示画面11には、船内50の全体図51が、複数の小区分51Aにより分割された状態で表示される。また、デフォルト設定されている拡大区分図52も、表示画面11に表示される。
【0037】
ここで、表示画面11に表示されている拡大区分図52の場所(小区分51A)は、全体図51において、他の小区分51Aと区別可能に表示される。図6の例では、表示画面11に表示されている拡大区分図52の場所(小区分51A)は、全体図51において、斜線が付された小区分51Aとして表示されている。
【0038】
ここで、表示部画面11に表示される拡大区分図52には、上述したように、デフォルト設定されている小区分51Aの船内50の見取り図、当該見取り図上に重ねて表示される、当該デフォルト設定されている小区分51Aに属する上記位置情報(つまり、接続ポートLの位置やHUB6の位置)、および当該見取り図上に重ねて表示される、該デフォルト設定されている小区分51Aに属する上記エリア情報(つまり、無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能範囲7)が、含まれている。
【0039】
つまり、表示部23は、表示画面11において、小区分51Aの見取り図と、有線LAN3に接続できる場所と、無線LAN5に接続できる場所とを、ユーザが視認できるように表示される。
【0040】
次に、ユーザは、携帯端末1の操作部13を操作して、自分が居る船内50の場所を、全体図51において指定する。当該指定は、全体図51において、所望の小区分51Aを選択することにより、実行される。ここで、全小区分51Aの内の何れかの小区分51Aを選択する操作は、いつでも実行できる。また、選択される小区分51Aは、ユーザの希望に応じて任意である。
【0041】
さて、上記小区分51Aの選択の操作を受けて、制御部21は、当該操作に起因して、記憶部22から、ユーザが選択した小区分51Aについての拡大区分図52を表示させるための情報(当該情報には、当該小区分51Aの見取り図情報、有線LAN3に接続できる位置を示す位置情報、無線LAN5を利用した通信ができるエリアを示すエリア情報)を、読み出す。
【0042】
そして、制御部21は、読み出した各情報を、表示部23に送信する。表示部23では、受信した各情報を用いて、表示画面11に、全体図51に加えて、ユーザが選択した小区分51Aに関する拡大区分図52を表示させる。
【0043】
ここで、ユーザが選択された小区分51Aは、他の非選択の小区分51Aとの区別ができるように、表示画面11に表示される。たとえば、今、表示画面11に表示されている拡大区分図52の場所(換言すれば、上記でユーザが選択した小区分51Aは、全体図51において、斜線が付された小区分51Aとして表示されている。
【0044】
ここで、上記ユーザの選択により、表示部画面11に表示される拡大区分図52には、上述したように、選択された小区分51Aの船内50の見取り図、当該見取り図上に重ねて表示される、ユーザが選択した小区分51Aに属する上記位置情報(つまり、接続ポートLの位置やHUB6の位置)、および当該見取り図上に重ねて表示される、ユーザが選択した小区分51Aに属する上記エリア情報(つまり、無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能範囲7)が、含まれている。
【0045】
つまり、表示部23は、表示画面11において、選択された小区分51Aの見取り図と、当該選択された小区分51Aに属する有線LAN3に接続できる場所と、当該選択された小区分51Aに属する無線LAN5に接続できる場所とを、ユーザが視認できるように表示される。
【0046】
なお、上記では、表示部23により表示される拡大区分図52には、上記位置情報(つまり、接続ポートLの位置やHUB6の位置)および上記エリア情報(つまり、無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能範囲7)の両方が、含まれている。
【0047】
しかしながら、ユーザが携帯端末1の操作部13を操作することにより、表示部23により表示される拡大区分図52に、上記位置情報(つまり、接続ポートLの位置やHUB6の位置)および上記エリア情報(つまり、無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能範囲7)の何れか一方のみを、含ませるようにしても良い。
【0048】
また、ユーザが操作部13を操作することにより、拡大区分図52に位置情報のみを含ませて状態(つまり、表示画面11に、見取り図と位置情報とを表示させている状態)から、拡大区分図52にエリア情報のみを含ませる状態(つまり、表示画面11に、見取り図とエリア情報とを表示させている状態)への切り替えることもできる(この逆の切り替えも当然可能である)。
【0049】
つまり、表示部23は、操作部13に対する操作に応じて、有線LAN3に接続できる位置および無線LAN5を利用した通信ができるエリアの何れか一方を、選択可能に表示する。
【0050】
さて、表示画面11に、ユーザが選択した小区分51Aに対応する拡大区分図52が表示されると、ユーザは、表示画面11の表示内容から、携帯端末1が接続できる有線LAN3の接続ポートLの位置、HUB6の位置を容易に認識できる。
【0051】
そこで、ユーザは、たとえばユーザの近くの接続ポートLの位置またはHUB6の位置まで移動する。そして、持参しているLANケーブル9を、所持している携帯端末1の有線LAN接続部15に接続すると共に、接続ポートLまたはHUB6に接続する。そして、ユーザは、有線LAN3を介して、船内LAN2に接続される他の装置と、通信または通話を行う。なお、ユーザが既に、接続ポートLの位置またはHUB6の位置の近くに居る場合には、当然移動する必要は無い。
【0052】
また、表示画面11に、ユーザが選択した小区分51Aに対応する拡大区分図52が表示されると、ユーザは、表示画面11の表示内容から、携帯端末1が接続できる無線LAN5の接続エリア(つまり、無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能領域7)を容易に認識できる。
【0053】
そこで、ユーザは、たとえば近くの通信可能領域7まで移動する。そして、ユーザは、無線LAN用アンテナ4および無線LAN5を介して、船内LAN2に接続される他の装置と、通信または通話を行う。なお、ユーザが既に、通信可能領域7の範囲内に居る場合には、当然移動する必要は無い。
【0054】
このように、携帯端末1は、有線LAN3を利用した通信・通話および無線LAN5を利用した通信・通話の両方が可能である(つまり、携帯端末1は、有線LAN接続および無線LAN接続を使い分かることができる)。したがって、ユーザは、有線LAN3の使用または無線LAN5の使用を切り替えることにより、携帯端末1を容易に船内LAN2と接続することができる。
【0055】
以上のように、本実施の形態に係る通信システム100では、携帯端末1自身が、上記位置情報(つまり、接続ポートLの位置やHUB6の地図)および上記エリア情報(つまり、無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能領域7)を保持している。そして、携帯端末1の表示部23は、当該保持している各情報に基づいて、有線LAN3に接続できる位置および無線LAN5を利用した通信ができるエリアを、表示画面11に表示させる。
【0056】
したがって、携帯端末1が船内50のどのような場所に存在しても(つまり、携帯端末1の通信不可能領域においても)、常に、表示画面11に、有線LAN3に接続できる位置および無線LAN5を利用した通信ができるエリアを、表示させることができる。つまり、携帯端末1のユーザは、船内50の如何なる場所においても常に、有線LAN3の接続位置および無線LAN5の接続可能エリアを、容易に認識することができる。
【0057】
よって、本実施の形態に係る通信システム100は、船内などにように、多くの区画に分かれて無線電波の届く範囲が限られており、有線LAN3への接続ポイントが限定されているような場所においても、携帯端末1を用いた通信および通話ができない期間を、減少させることができる。
【0058】
なお、携帯端末1が自機の位置を把握できる状態の場合には、携帯端末1は、自機の位置を拡大区分図52に合わせて表示させても良い。また、当該場合には、最初に表示画面11に表示させる拡大区分図52を、デフォルト設定のものでなく、当該携帯端末1の現在位置を含む小区分51Aの拡大区分図52としても良い。
【0059】
<実施の形態2>
図7は、本実施の形態に係る通信システム200の構成を示す図である。
【0060】
図7に示すように、本実施の形態に係る通信システム200では、通信システム100の構成に、管理端末35が新たに加わっている。当該管理端末35が追加された以外は、通信システム200の構成と、通信システム100の構成とは、同じである。したがって、図7に示されている他の構成1〜4,Lなどは、実施の形態1で説明した内容と同じである。
【0061】
図7に示す構成例では、管理端末35は、有線LAN3を介して、船内LAN2に接続されている。なお、図7の構成と相違するが、管理端末35は、無線LAN用アンテナ4を利用して、無線LAN5を介して、船内LAN2に接続される構成であっても当然良い。
【0062】
管理端末35は、記憶部(図示せず)を備えており、当該記憶部に対して位置情報およびエリア情報の格納ができる。ここで、実施の形態1で説明したように、位置情報とは、船内50の見取り図上における、有線LAN3に接続できる位置(接続ポートLの位置およびHUB6位置)を示す情報である。また、エリア情報とは、船内50の見取り図上における、無線LAN5を利用した通信ができるエリア(無線LAN用アンテナ4の位置および通信可能領域7)を示す情報である。
【0063】
ここで、管理端末35の記憶部において、当該位置情報およびエリア情報の更新が可能であり、たとえば管理者は、ネットワークの変更があったとき、最新の位置情報およびエリア情報を当該記憶部に格納する。ここで、記憶部に格納(更新)される位置情報およびエリア情報には、当該記憶部において格納(更新)された日時等の情報も対応づけされている。
【0064】
同様に、携帯端末1の記憶部22においても、格納されている位置情報およびエリア情報には、当該位置情報およびエリア情報が格納(更新)された日時等の情報も対応づけされている。
【0065】
次に、本実施の形態に係る通信システム200の動作について説明する。
【0066】
実施の形態1で説明した携帯端末1が、図7に示すように、LANケーブル9を用いて、有線LAN3に接続されたとする。なお、図7に例示する構成と異なるが、携帯端末1は、通信可能領域7内において無線LAN用アンテナ4を介して、無線LAN5に接続されたことを想定しても良い。つまり、携帯端末1が、有線LAN3または無線LAN5を介して、船内LAN2に連接されたときを想定する。
【0067】
このようなときには、携帯端末1の制御部21は、記憶部22に格納されている位置情報およびエリア情報が、管理端末35の記憶部に格納されている位置情報およびエリア情報よりも、古いデータであるか否かを判断する。
【0068】
具体的に、制御部21は、携帯端末1の記憶部22に格納されている、位置情報に対応付けされている日時情報およびエリア情報日時情報(これらを、第一の日付情報と称する)を参照する。また、当該制御部21は、船内LAN2を介して、管理端末35の記憶部に格納されている、位置情報に対応付けされている日時情報およびエリア情報日時情報(これらを、第二の日付情報と称する)を参照する。そして、制御部21は、第一の日付情報と第二の日付情報とを比較する。
【0069】
当該比較の結果、制御部21が、携帯端末1の記憶部22に格納されている位置情報およびエリア情報において、管理端末35の記憶部に格納されている位置情報およびエリア情報よりも古いデータが含まれていると判断したとする。当該判断の場合には、制御部21は、携帯端末1の記憶部に格納されている位置情報およびエリア情報を、管理端末35の記憶部に格納されている位置情報およびエリア情報に書き換える。
【0070】
つまり、制御部21は、船内LAN2を介して、管理端末35の記憶部に格納されている位置情報およびエリア情報を、取得する。そして、制御部21は、記憶部22に記憶されている位置情報およびエリア情報を、当該取得した位置情報およびエリア情報に書き改める。
【0071】
以上のように、本実施の形態に係る通信システム200では、通信端末1は、船内LAN2接続されたとき、自機に記憶されている位置情報およびエリア情報が、管理端末35に記憶されている位置情報およびエリア情報よりも古いか否かを判断している。そして、古いと判断したとき、通信端末1は、記憶部22に対して、管理端末35の記憶されている新しい方の位置情報およびエリア情報を上書きしている。
【0072】
したがって、携帯端末1のユーザは、位置情報およびエリア情報の更新を気にすることなく、自動的に最新の位置情報およびエリア情報を取得できる。よって、携帯端末1は、常に最新の位置情報およびエリア情報を利用して、表示画面11に拡大区分図52を表示することができる。
【0073】
<実施の形態3>
本実施の形態では、通信システム100および通信システム200において、有線LAN3は、PoE(Power over Ethernet(Ethernet:登録商標))に対応している。つまり、船内50に配設された有線ネットワークは、通信データの送受信の媒体として機能するだけでなく、電力の送受電の媒体としても機能する。
【0074】
図2に示すように、ユーザは、通信ケーブルであるLANケーブル9を用いて、携帯端末1と有線LAN3の接続ポートLとを接続する。ここで、当該LANケーブル9は、データ線および電力供給線となるUTP(Unshield Twisted Pair)ケーブルである。
【0075】
このように、携帯端末1を、PoE化された有線LAN3に接続することにより、当該携帯端末1は、有線LAN3を介した通信のみならず、電力の供給も受けることができる。
【0076】
したがって、本実施の形態に係る発明を適用することにより、ユーザは、携帯端末1に対する電力供給(充電も含む)のために、別途クレードル等を持ち運ぶ必要が無い。つまり、通信の際に使用する部材は、持ち運びに便利なLANケーブル9のみである。よって、簡便に、携帯端末1は有線LAN3を介して電力供給を受けることができる。
【0077】
また、LANケーブル9を有線LAN3に接続するだけで、携帯端末1は、通信・通話および電力供給が可能となる。ここで、通信ケーブル9は、携帯端末1の使用の際に特に邪魔となる部材ではない。したがって、LANケーブル9を利用して電源供給を受けている携帯端末1を、ユーザが通信・通話の際に使用したとしても、当該通信・通話の動作を容易に実施できる。
【符号の説明】
【0078】
1 携帯端末
2 通信ネットワーク(船内LAN)
3 有線ネットワーク(有線LAN)
4 無線LAN用アンテナ
5 無線LAN
6 HUB
7 通信可能領域
9 通信ケーブル(LANケーブル)
11 表示画面
12 無線アンテナ
13 操作部
14 通話部
15 有線LAN接続部
21 制御部
22 記憶部
23 表示部
24 有線LAN部
25 無線LAN部
35 管理端末
50 閉じられた範囲(船内)
51 全体図
51A 小区分
52 拡大区分図
100,200 通信システム
L 接続ポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の範囲内での通信のために設置される、有線ネットワークと、
前記所定の範囲内での通信のために設置される、無線ネットワークと、
前記有線ネットワークおよび前記無線ネットワークの両方に接続可能な、携帯端末とを、備えており、
前記携帯端末は、
前記有線ネットワークに接続できる位置を示す位置情報および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを示すエリア情報を、格納する記憶部と、
前記記憶部に格納されている前記位置情報および前記エリア情報に基づいて、前記有線ネットワークに接続できる位置および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを表示する、表示部とを、備えている、
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記有線ネットワークは、
電力の送電も可能であり、
前記携帯端末は、
通信ケーブルを用いて、当該携帯端末を前記有線ネットワークに接続することにより、電力の供給を受ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記有線ネットワークおよび前記無線ネットワークに接続され、前記位置情報および前記エリア情報を格納できる管理端末を、さらに備えており、
前記有線ネットワークまたは前記無線ネットワークに接続したとき、前記携帯端末は、
(A)当該携帯端末に格納されている前記位置情報および前記エリア情報が、前記管理端末に格納されている前記位置情報および前記エリア情報よりも、古いデータであるか否かを判断し、
(B)前記(A)において古いデータであると判断したとき、当該携帯端末に格納されている前記位置情報および前記エリア情報を、前記管理端末に格納されている前記位置情報および前記エリア情報に書き換える、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記携帯端末は、
前記所定の範囲を、複数の小区分に分割されて管理しており、
前記表示部は、
前記小区分に属する、前記有線ネットワークに接続できる位置および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアを、表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記表示部は、
前記有線ネットワークに接続できる位置および前記無線ネットワークを利用した通信ができるエリアの何れか一方を、選択可能に表示する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、
通話が可能な携帯電話である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記有線ネットワークは、
有線LANであり、
前記無線ネットワークは、
無線LANであり、
前記携帯端末は、
IP携帯電話である、
ことを特徴とする請求項6に記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−222593(P2012−222593A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86115(P2011−86115)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(501137636)東芝三菱電機産業システム株式会社 (904)
【Fターム(参考)】