説明

通信システム

【課題】 サーバから取得したデータに基づいて端末が複数のサービスを提供する場合に、サーバおよび端末でのデータ管理を簡略化できる通信システムを提供する。
【解決手段】 サーバ1は、複数のサービスを提供するためのアプリケーションが用いるデータを端末2へ送信する通信部11と、データを管理するデータ処理サーバ部12とを備え、端末2は、サーバ1からデータを受信する通信部21と、サーバ1から取得したデータに基づいてアプリケーションを実行することによって、ユーザにサービスを提供するサービス機能部22とを備え、データは、複数のサービスに共通のデータフォーマットで構成され、データフォーマットは、複数のサービスに共通の形式で記述されて、アプリケーションが用いるデータ本体領域と、複数のサービスに共通の形式で記述されて、データ本体領域が用いられるサービスに関する情報を少なくとも含む情報格納領域とで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバと端末とが互いに通信可能に構成されて、端末が、サーバから取得したデータに基づいてユーザに複数のサービスを提供する通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅において、各住戸に設置された専用端末やパーソナルコンピュータ等の端末が、中継装置を介して集合住宅用のサーバに接続し、サーバが各住戸の端末へ各種のサービスを提供する通信システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、中継装置を介することなく、端末装置とサーバとが直接通信を行い、サーバが各住戸の端末へ各種のサービスを提供する通信システムがあり、システム構成の簡略化の点で優れている。
【0004】
サービスとしては、掲示板サービス、メールサービス(簡易メッセージ)、スケジューラサービス等がある。
【0005】
図12は、従来の通信システムの構成を示し、サーバ500と、クライアント側の端末600とがネットワークNT11に接続して、互いに通信可能に構成されている。
【0006】
サーバ500は、サービス毎に個別のサーバ機能を有しており、掲示板用サーバ部501、メール用サーバ部502、スケジューラ用サーバ部503等が個別に設けられている。そして、各サーバ部501〜503には、それぞれのサービスに対応したサーバ側アプリケーション(サーバ側アプリ)が搭載されている。
【0007】
さらに、掲示板用サーバ部501、メール用サーバ部502、スケジューラ用サーバ部503の各々は、個別の記憶部511,512,513を有している。そして、各サービスに対応したデータは、サービス毎に個別に設けられた記憶部511,512,513に格納される。
【0008】
一方、端末600も、サービス毎に個別の端末側アプリケーション(端末側アプリ)が搭載されており、図12では、掲示板用アプリケーション601、メール用アプリケーション602、スケジューラ用アプリケーション603等が個別に設けられている。なお、以降、掲示板用アプリ601、メール用アプリ602、スケジューラ用アプリ603と称す。また、掲示板用アプリ601、メール用アプリ602、スケジューラ用アプリ603をまとめて端末側アプリと称す。
【0009】
そして、端末側アプリ601〜603の各々は、個別の記憶部611,612,613を有しており、各サービスに対応したデータは、サービス毎に個別に設けられた記憶部611,612,613に格納される。
【0010】
図13は、従来の通信システムにおけるメールサービスを実行する際の通信シーケンスを示す。
【0011】
まず、端末600のメール用アプリ602が、定期的に「メールの存在確認」をサーバ500へ送信し、サーバ500のメール用サーバ部502は、端末600宛のメールが記憶部512に蓄積されているか否かを判別する(S101)。メール用サーバ部502は、端末600宛のメールが蓄積されていない場合、「メールなし」のメッセージを端末600へ返信する(S102)。メール用アプリ602は、「メールの存在確認」をサーバ500へ送信するポーリングを定期的に繰り返す。
【0012】
「メールの存在確認」を受信したメール用サーバ部502は、端末600宛のメールが蓄積されている場合、「メールあり」のメッセージを端末600へ返信する(S103)。そして、メール用アプリ602は、ユーザの受信操作等のイベントをトリガとして(S104)、「受信要求」をサーバ500へ送信する(S105)。「受信要求」を受信したメール用サーバ部502は、端末600宛のメールデータを記憶部512から読み出し、この端末600宛のメールデータを端末600へ送信する(S106)。メールデータを受信したメール用アプリ602は、メールデータを保存するとともに、端末600の画面上にメールの内容を表示する(S107)。
【0013】
メール用アプリ602は、上記のようにサーバ500から取得したメールデータを記憶部612に保存しており、端末600の画面上に、記憶部612に保存しているメールのリストを表示することができる。
【0014】
次に、図14は、従来の通信システムにおける掲示板サービスを実行する際の通信シーケンスを示す。
【0015】
まず、端末600の掲示板用アプリ601は、端末600のユーザ操作によって入力された記事情報をサーバ500へ送信する記事書込み処理を行う(S111)。サーバ500の掲示板用サーバ部501は、端末600から受信した記事情報を処理して、掲示板用データに変換し、記憶部511に格納する(S112)。記憶部511に格納された掲示板用データは、個別の記事データだけでなく、記事リストデータも作成され、保存される。そして、掲示板用アプリ601は、ユーザの受信操作等のイベントをトリガとして(S113)、「記事リスト要求」をサーバ500へ送信する(S114)。「記事リスト要求」を受信した掲示板用サーバ部501は、端末600宛の記事リストデータを記憶部511から読み出し、この端末600宛の記事リストデータを端末600へ送信する(S115)。記事リストデータを受信した掲示板用アプリ601は、端末600の画面上に記事リストデータを表示する(S116)。
【0016】
そして、ユーザは、画面上に表示された記事リストデータから所望の記事を選択し、掲示板用アプリ601は、この選択された記事の取得要求をサーバ500へ送信する。掲示板用サーバ部501は、取得要求の対象となる記事データを記憶部511から読み出し、この記事データを端末600へ送信する。記事データを受信した掲示板用アプリ601は、端末600の画面上に記事データを表示する。
【0017】
一般の掲示板サービスでは、掲示板用サーバ部501としてHTTP(HyperText Transfer Protocol)サーバが使用され、さらにはCGI(Common Gateway Interface)等のプログラムが準備されており、データの形式変換を行っている。掲示板用サーバ部501は、掲示板のデータ取得要求が端末600からあった場合、形式変換を行ったHTML形式の掲示板用データ(記事データ、記事リストデータ)を端末600へ送信する。そして、端末600の掲示板用アプリ601には、WEBブラウザが用いられており、WEBブラウザによって、受信したHTML形式の掲示板用データを画面上に表示する。
【0018】
次に、図15は、従来の通信システムにおいて、サーバ500から端末600へコマンドを送信する際の通信シーケンスを示す。
【0019】
サーバ500が端末600へ処理要求コマンドを送信すると(S121)、端末600は、受信したコマンドを解釈し(S122)、コマンド応答をサーバ500へ返信する(S123)。これらの動作は、例えば分散オブジェクト操作等を用いることが考えられる。そして、端末600は、受信したコマンドの解釈に基づく処理を実行するために、必要に応じてアプリケーションを起動させる(S124)。以降、起動したアプリケーション固有の処理を行う(S125)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2008−165447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
従来の通信システムにおいて、例えば掲示板サービスでは、サーバ500に、HTML形式の掲示板データ(記事データ、記事リストデータ)を作成するための掲示板用サーバ501が必要になる。さらに、端末600には、WEBブラウザ機能を有する掲示板用アプリ601を搭載する必要があり、端末600のコストが高くなる要因となっていた。
【0022】
また、メールサービスでは、サーバ500にメール用サーバ部502を設け、端末600にメール用アプリ602を設けて、メール用サーバ部502とメール用アプリ602とが、例えばPOP(Post Office Protocol)等のメール用プロトコルにしたがってメールデータの送受信を行う。
【0023】
上記以外のサービスにおいても、サービス毎に個別のサーバ部およびアプリを設ける必要があり、さらにはサービス毎に独自のデータ構造を有するデータを用いていた。
【0024】
このように、従来の通信システムで扱うデータは、サービスを提供するアプリケーション毎にデータ構造(データフォーマット、記述形式)が異なる。したがって、サーバ500では、サービス毎のサーバ部が必要となり、サーバ側でのデータ管理が複雑化していた。また、端末600では、アプリケーション毎に扱うデータ構造が異なるため、端末側でのデータ処理も複雑化していた。
【0025】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、サーバから取得したデータに基づいて端末が複数のサービスを提供する場合に、サーバおよび端末でのデータ管理を簡略化できる通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
請求項1の発明は、サーバと端末とが互いに通信可能に構成されて、前記端末が、前記サーバから取得したデータに基づいてユーザに複数のサービスを提供する通信システムであって、前記サーバは、ユーザに複数の前記サービスを提供するためのアプリケーションが用いる前記データを前記端末へ送信する第1の通信部と、この第1の通信部が送信する前記データを管理するデータ処理サーバ部とを備え、前記端末は、前記サーバから前記データを受信する第2の通信部と、1つ以上の前記アプリケーションを具備して、前記サーバから取得した前記データに基づいて前記アプリケーションを実行することによって、ユーザに前記サービスを提供するサービス機能部とを備え、前記データは、複数の前記サービスに共通のデータフォーマットで構成され、前記データフォーマットは、複数の前記サービスに共通の形式で記述されて、前記アプリケーションが用いるデータ本体領域と、複数の前記サービスに共通の形式で記述されて、前記データ本体領域が用いられる前記サービスに関する情報を少なくとも含む情報格納領域とを含んで構成されることを特徴とする。
【0027】
この発明において、前記端末の前記サービス機能部は、1または複数の前記情報格納領域を前記サーバから取得した後に、この取得した1または複数の前記情報格納領域から選択したいずれかの前記情報格納領域と対になる前記データ本体領域を前記サーバから取得することが好ましい。
【0028】
この発明において、前記端末は、前記サービス機能部が前記サーバから取得した前記情報格納領域および前記データ本体領域をキャッシュするキャッシュ部と、このキャッシュ部への前記情報格納領域および前記データ本体領域の読み書きを行うキャッシュ管理部とを備えることが好ましい。
【0029】
この発明において、前記情報格納領域は、前記キャッシュ部にキャッシュするか否かを示すフラグを含み、前記端末の前記キャッシュ管理部は、前記サービス機能部が取得した前記情報格納領域に含まれる前記フラグに基づいて、前記サービス機能部が取得した前記サービス機能部および前記データ本体領域を前記キャッシュ部にキャッシュするか否かを判断することが好ましい。
【0030】
この発明において、前記端末の前記サービス機能部は、前記サーバから前記データを取得する場合、前記取得するデータの前記情報格納領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていれば、この情報格納領域を前記キャッシュ部から取得し、前記取得するデータの前記情報格納領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていなければ、この情報格納領域を前記サーバから取得し、前記取得した1つ以上の前記情報格納領域のうち、所望の前記情報格納領域と対になる前記データ本体領域を前記サーバから取得する場合、前記取得するデータ本体領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていれば、このデータ本体領域を前記キャッシュ部から取得し、前記取得するデータ本体領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていなければ、このデータ本体領域を前記サーバから取得することが好ましい。
【0031】
この発明において、前記情報格納領域は、時間間隔を示すインターバル情報を含み、前記端末の前記サービス機能部は、前記インターバル情報を含む前記情報格納領域を取得した場合、前記インターバル情報に基づく時間間隔毎に、前記取得した情報格納領域と対になる前記データ本体領域を前記サーバから取得することが好ましい。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように、本発明では、サーバから取得したデータに基づいて端末が複数のサービスを提供する場合に、サーバおよび端末でのデータ管理を簡略化できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態における通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同上の共通データのデータフォーマットを示す構造図である。
【図3】同上のサーバが保持するアプリケーション情報を示すテーブル図である。
【図4】同上のサーバによるデータ変換処理を示すフローチャート図である。
【図5】同上のサーバのデータベースの格納されているデータ構造を示すテーブル図である。
【図6】同上の端末が保持するアプリケーション情報を示すテーブル図である。
【図7】同上の端末における共通データ取得処理を示すフローチャート図である。
【図8】同上のサーバにおける共通データ取得処理を示すフローチャート図である。
【図9】同上の端末における共通データ取得処理を示すフローチャート図である。
【図10】同上の端末におけるキャッシュ済の共通データ取得処理を示すフローチャート図である。
【図11】同上の端末における繰り返し要求処理を示すフローチャート図である。
【図12】従来の通信システムの構成を示すブロック図である。
【図13】従来の通信システムにおけるメールサービスを示すシーケンス図である。
【図14】従来の通信システムにおける掲示板サービスを示すシーケンス図である。
【図15】従来の通信システムにおけるコマンド送信を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
(実施形態)
本実施形態の通信システムは、図1に示すように、サーバ1と、クライアント側の複数の端末2とがネットワークNT1に接続して、互いに通信可能に構成されている。この通信システムは、集合住宅において、各住戸に設置された専用端末やパーソナルコンピュータ等の端末2が、ネットワークNT1を介して集合住宅用のサーバ1に接続し、サーバ1が各住戸の端末2へ各種のサービスを提供する。サービスには、掲示板サービス、メールサービス(簡易メッセージ)、スケジューラサービス等がある。
【0036】
そして、サーバ1は、通信部11と、データ処理サーバ部12と、データ管理部13と、データベース14とを備える。なお、サーバ1の設置場所は、集合住宅の内外を問わない。
【0037】
通信部11は、ネットワークNT1との間で信号授受を行うインターフェース機能を有しており、本発明の第1の通信部を構成している。
【0038】
データベース14は、上記サービスの各々に対応したデータが格納されており、各データを端末2へ送信することによって、端末2は各サービスをユーザへ提供可能となる。
【0039】
データ管理部13は、データベース14内の各データを管理しており、データベース14におけるデータの書き込み、読み出し、削除を行う。
【0040】
データ処理サーバ部12は、通信部11によるデータの送受信、データ管理部13によるデータベース14のデータ管理、後述のデータ形式の変換処理等を行う。
【0041】
次に、端末2は、通信部21と、サービス機能部22と、キャッシュ部23と、キャッシュ管理部24とを備える。
【0042】
通信部21は、ネットワークNT1との間で信号授受を行うインターフェース機能を有しており、本発明の第2の通信部を構成している。
【0043】
サービス機能部22は、各種サービスを実行するためのアプリケーションが搭載されており、本実施形態では、掲示板用アプリケーション221と、メール用アプリケーション222と、スケジューラ用アプリケーション223とが搭載されている。なお、以降、掲示板用アプリ221、メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223と称す。また、掲示板用アプリ221、メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223をまとめて端末側アプリと称す。
【0044】
キャッシュ部23は、サーバ1から取得したデータをキャッシュし、キャッシュ管理部24は、キャッシュ部23内の各データを管理しており、キャッシュ部23におけるデータの書き込み、読み出し、削除を行う。
【0045】
そして、端末2の端末側アプリ221〜223は、サービス実行時に、サーバ1のデータベース14に格納されているデータを取得する。
【0046】
データベース14に格納されているデータには、掲示板用アプリ221が用いる掲示板用データ、メール用アプリ222が用いるメール用データ、スケジューラ用アプリ223が用いるスケジューラ用データ等がある。
【0047】
例えば、掲示板用データは、データ処理サーバ部12が、端末2の掲示板用アプリ221が作成した記事情報を受信し、この受信した記事情報を処理して掲示板用データに変換しており、データ管理部13が掲示板用データをデータベース14に格納する。
【0048】
メール用データは、データ処理サーバ部12が、インターネット等の外部ネットワークからメール情報を受信し、この受信したメール情報を処理してメール用データに変換しており、データ管理部13がメール用データをデータベース14に格納する。
【0049】
スケジューラ用データは、データ処理サーバ部12が、端末2のスケジューラ用アプリ223が作成したスケジュール情報を受信し、この受信したスケジュール情報を処理してスケジューラ用データに変換している。そして、データ管理部13がスケジューラ用データをデータベース14に格納する。
【0050】
本実施形態において、データベース14に格納されている掲示板用データ、メール用データ、スケジューラ用データ等は、データ処理サーバ部12によって、これらのデータを用いるサービスに関わらず、共通のデータフォーマットで構成されている。以降、共通のデータフォーマットで構成された掲示板用データ、メール用データ、スケジューラ用データ等のデータを、共通データと総称する。
【0051】
図2は、共通データのデータフォーマット(以降、共通フォーマットと称す)を示しており、共通データの先頭に設けられた情報格納領域R1(INDEX)と、情報格納領域R1に続いて設けられたデータ本体領域R2(BODY)とで構成される。
【0052】
情報格納領域R1は、データ本体領域R2が用いられるサービス(掲示板サービス、メールサービス、スケジューラサービス等)に関する情報が少なくとも含まれている。本実施形態では、「ID」、「From」、「To」、「Date」、「Priority」、「Limit」、「Loop」、「Interval」、「Type」、「Cache」の各情報が情報格納領域R1に含まれている。この情報格納領域R1におけるデータの記述形式は、掲示板用アプリ221、メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223等の各アプリケーションに対して共通に設定される。
【0053】
「ID」情報は、この共通データを管理するための識別情報であり、「From」情報は、この共通データの送信元のアドレス情報であり、「To」情報は、この共通データの送信先のアドレス情報であり、「Date」情報は、共通データの作成日時を示す。「Priority」情報は、この共通データの優先度であり、「Limit」情報は、この共通データの有効期限を示す。「Loop」情報は、後述の繰り返し要求の有無を示し、「Interval」情報(インターバル情報)は、繰り返し要求時におけるインターバル時間を示す。「Type」情報は、この共通データが用いられるアプリケーションの種類や、この共通データの種類を示す。「Cache」情報は、この共通データをキャッシュする必要性の有無を示す。
【0054】
したがって、端末2のサービス機能部22は、共通データの情報格納領域R1(の「Type」情報)を参照することによって、この共通データを用いるアプリケーションを判別でき、対象のアプリケーションに共通データを引き渡すことができる。
【0055】
データ本体領域R2は、端末2のサービス機能部22に搭載している各アプリケーションが、サービス実行時に実際に用いるデータであり、データ本体領域R2を用いるアプリケーションの種類やデータの種類は、情報格納領域R1の「Type」に示されている。このデータ本体領域R2におけるデータの記述形式は、掲示板用アプリ221、メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223等の各アプリケーションに対して共通に設定される。
【0056】
本実施形態では、サーバ1のデータ処理サーバ部12が、外部から入力される様々なフォーマットの情報を、共通フォーマットの共通データに変換して、データベース14に格納している。ここで、外部から入力される様々なフォーマットの情報とは、掲示板サービスに用いる記事情報、メールサービスに用いるメール情報、スケジューラサービスに用いるスケジューラ用アプリ223が作成したスケジュール情報等である。これらの各情報は、集合住宅内のネットワークNT1経由、インターネット等の外部ネットワーク経由で、サーバ1が受信する。
【0057】
そして、データ処理サーバ部12は、図3に示すアプリケーション情報J1を記憶しており、このアプリケーション情報J1に基づいて、共通データへの変換処理を行う。アプリケーション情報J1は、端末2のサービス機能部22に搭載しているアプリケーション毎に、Type情報、入力情報形式、変換手段の各項目が設定されている。
【0058】
例えば、掲示板用アプリケーションは、Type情報「ID1」、入力情報形式「HTML」、変換手段「変換手法1」が設定されている。すなわち、「HTML」の入力情報形式で作成された記事情報は、「変換手法1」によって共通フォーマットの掲示板用データに変換され、掲示板用データの情報格納領域R1の「Type」情報には、「ID1」が設定される。
【0059】
また、メール用アプリケーションは、Type情報「ID2」、入力情報形式「MBOX」、変換手段「変換手法2」が設定されている。すなわち、「MBOX」の入力情報形式で作成されたメール情報は、「変換手法2」によって共通フォーマットのメール用データに変換され、メール用データの情報格納領域R1の「Type」情報には、「ID2」が設定される。
【0060】
また、スケジューラ用アプリケーションは、Type情報「ID3」、入力情報形式「vCalendar」、変換手段「変換手法3」が設定されている。すなわち、「vCalendar」の入力情報形式で作成されたスケジュール情報は、「変換手法3」によって共通フォーマットのスケジューラ用データに変換され、スケジューラ用データの情報格納領域R1の「Type」情報には、「ID3」が設定される。
【0061】
図4は、サーバ1のデータ処理サーバ部12によるデータ変換処理を示す動作フローチャートである。まず、データ処理サーバ部12は、情報が入力されると(S1)、入力された情報に対応するアプリケーションタイプ(掲示板、メール、スケジューラ)を判定し(S2)、さらに共通フォーマットで作成された共通データであるか否かを判定する(S3)。入力された情報が共通データであれば、データベース14に格納する(S5)。入力された情報が共通データでなければ、上記のようにアプリケーション情報J1に基づいて共通データへの変換処理を行った後(S4)、データベース14に格納する(S5)。
【0062】
そして、サーバ1のデータベース14には、図5に示すように、情報格納領域R1とデータ本体領域R2とを対にした共通データが格納されている。
【0063】
また、端末2のサービス機能部22は、図6に示すアプリケーション情報J2を記憶しており、このアプリケーション情報J2に基づいて、サーバ1から取得した共通データを処理する。アプリケーション情報J2は、端末2のサービス機能部22に搭載しているアプリケーション毎に、Type情報、処理内容の各項目が設定されている。
【0064】
例えば、サービス機能部22は、Type情報「ID1」が設定された共通データは掲示板用データであると判断して、掲示板用アプリ221を実行し、この掲示板用データを端末2の画面上に表示する。
【0065】
また、サービス機能部22は、Type情報「ID2」が設定された共通データはメール用データであると判断して、メール用アプリ222を実行し、このメール用データを端末2の画面上に表示する。
【0066】
また、サービス機能部22は、Type情報「ID3」が設定された共通データはスケジューラ用データであると判断して、スケジューラ用アプリ223を実行し、このスケジューラ用データを端末2の画面上に表示する。
【0067】
次に、図7に示す端末2の動作フローチャート、図8に示すサーバ1の動作フローチャートを用いて、端末2によるサーバ1からの共通データ取得処理を説明する。以下、掲示板サービスを例にして説明する。
【0068】
まず、端末2の掲示板用アプリ221は、端末2のユーザ操作によって、掲示板サービスのリスト要求をサーバ1へ送信する(S11)。リスト要求には、送信元の端末2の端末ID(部屋番号)、要求するデータの「Type」情報(この場合、ID1)が付加されている。
【0069】
サーバ1のデータ処理サーバ部12は、掲示板サービスのリスト要求を受信すると(S21)、受信したリスト要求に基づいて、リスト要求の送信元である端末2の端末IDを確認し(S22)、さらに、「Type」情報を確認する(S23)。そして、データ管理部13は、「Type」情報が一致するデータ(この場合、掲示板用アプリ221が用いる掲示板用データ)から、リスト要求の送信元である端末2に関するデータを検索し、その情報格納領域R1のみをデータベース14から読み出す(S24)。データ処理サーバ部12は、掲示板用データの情報格納領域R1のリストデータ(記事リストデータ)を端末2へ返信する(S25)。
【0070】
リスト要求を送信した端末2のサービス機能部22は、リスト要求に対するサーバ1の応答(記事リストデータの返信)があるか否かを判定している(S12)。そして、サービス機能部22は、サーバ1から記事リストデータを取得すると(S13)、記事リストデータを構成する情報格納領域R1に含まれる「Type」情報に基づいて、掲示板サービス用のデータであると解釈し、掲示板用アプリ221を実行する(S14)。掲示板用アプリ221は、掲示板用データの情報格納領域R1のリストを、端末2の画面上に表示する。
【0071】
さらに、掲示板用アプリ221は、サーバ1から取得した記事リストデータを構成する情報格納領域R1の各々について、情報格納領域R1内の「Cache」情報を参照して、リスト内の情報格納領域R1の各々をキャッシュする必要性を判定する(S15)。そして、「Cache」情報が必要性「有」に設定されている情報格納領域R1のみを、キャッシュ管理部24によって、キャッシュ部23にキャッシュする(S16)。「Cache」情報が必要性「無」に設定されている情報格納領域R1は、キャッシュ部23にキャッシュされることなく、リスト表示の終了後に破棄される(S17)。
【0072】
また、掲示板用アプリ221以外のアプリケーション(メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223等)が用いるデータのリスト要求を端末2がサーバ1へ送信した場合も、上記同様に処理される。すなわち、端末2は、メールリストデータ、スケジュールリストデータをサーバ1から受信して、画面上に表示可能となる。
【0073】
リストは、情報格納領域R1に含まれる各情報に基づいて表示されており、メールサービスであれば、メールの送信者、タイトル、受信日時等の情報である。掲示板サービスであれば、記事のタイトル、記事の作成者、記事の作成日時等の情報である。スケジュールサービスであれば、スケジュールのタイトル、スケジュールの作成日時等である。
【0074】
図9は、リストデータ(記事リストデータ、メールリストデータ、スケジュールリストデータ等)を表示している端末2における処理を示す動作フローチャートである。以下、掲示板サービスを例にして説明する。
【0075】
まず、端末2は、その画面上に、掲示板サービスの記事リストデータを表示している。そして、端末2は、画面上に表示している記事リストデータから、ユーザ操作によっていずれかの記事を選択可能に構成されており、選択待ち状態となる(S31)。次に、記事の選択操作の有無を判定し(S32)、記事の選択操作が発生すれば、掲示板用アプリ221は、掲示板サービスのデータ本体要求をサーバ1へ送信する(S33)。すなわち、ユーザは、詳細な内容を知りたい記事を記事リストデータから選択し、この記事のデータ本体領域R2(記事データ)を取得するために、サーバ1へデータ本体要求を送信する。データ本体要求には、送信元の端末2の端末ID(部屋番号)、要求するデータの「Type」情報(この場合、ID1)だけでなく、選択した記事に関する情報も付加されている。
【0076】
サーバ1のデータ処理サーバ部12は、受信したデータ本体要求に基づき、データ管理部13によってデータベース14から、要求対象となる掲示板用データのデータ本体領域R2を検索して読み出す。そして、データ処理サーバ部12は、掲示板用データのデータ本体領域R2を端末2へ返信する。
【0077】
データ本体要求を送信した端末2のサービス機能部22は、データ本体要求に対するサーバ1の応答(記事データの返信)があるか否かを判定している(S34)。そして、サービス機能部22は、サーバ1から記事データを取得すると(S35)、掲示板用アプリ221を実行し、取得した記事データ(掲示板用データのデータ本体領域R2)を、端末2の画面上に表示する(S36)。
【0078】
さらに、掲示板用アプリ221は、サーバ1から取得した記事データと対になる情報格納領域R1がキャッシュ部23に格納されているか否かを判断することによって、サーバ1から取得したデータ本体領域R2をキャッシュする必要性を判定する(S37)。サーバ1から取得した記事データと対になる情報格納領域R1がキャッシュ部23に格納されている場合、サーバ1から取得したデータ本体領域R2を、キャッシュ管理部24によって、キャッシュ部23にキャッシュする(S38)。サーバ1から取得したデータ本体領域R2と対になる情報格納領域R1がキャッシュ部23に格納されていない場合、サーバ1から取得したデータ本体領域R2を、キャッシュ部23にキャッシュすることなく、表示終了後に破棄する(S39)。
【0079】
また、掲示板用アプリ221以外のアプリケーション(メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223等)が用いるデータのデータ本体要求を端末2がサーバ1へ送信した場合も、上記同様に処理される。すなわち、端末2は、メール内容、スケジュール内容をサーバ1から受信して、画面上に表示可能となる。
【0080】
このように、端末2がサーバ1から受信するデータの構造は共通フォーマットに統一されており、サーバ1、端末2では、複数のサービスに対して、共通のデータ構造を用いたデータ処理が可能となる。
【0081】
したがって、複数のサービスを提供可能に構成した場合でも、サーバ1は、共通フォーマットで構成された共通データをデータベース14に格納すればよく、データ管理部13によるデータ検索が容易となる。また、データ処理サーバ部12も、異なるサービスであっても、統一された共通データに対してデータ処理を行えばよいので、データ管理が容易となる。また、サービス毎のサーバ部が不要となり、サーバ1の構成を簡略化できる。
【0082】
また、端末2においても、サーバ1から取得するデータは共通データに統一されるので、各サービスに対応するアプリケーション毎にデータのメモリ領域を確保する必要がなく、メモリリソースを有効に使用することができる。また、サービス毎のデータ管理も容易となる。
【0083】
さらに、提供するサービスが互いに異なるアプリケーションにおいて、統一された共通データを用いるので、各アプリケーションでは同様のアルゴリズムを用いたデータ処理が可能となり、アプリケーションの作成が容易となる。
【0084】
すなわち、本実施形態では、サーバ1および端末2でのデータ管理を簡略化できる。
【0085】
また、共通データは、情報格納領域R1とデータ本体領域R2とで構成されており、端末2は、最初に情報格納領域R1のみをサーバ1から取得してリスト表示した後に、必要なデータ本体領域R2をサーバ1から取得することができる。したがって、情報格納領域R1とデータ本体領域R2との両方をサーバ1から一括して取得する場合に比べて、高速通信が可能となり、さらには通信路全体のデータ量も抑えることができる。また、サーバ1が全ての共通データをデータベース14に格納しており、端末2は、必要なデータのみをキャッシュ部23にキャッシュすればよく、端末2のメモリリソースを抑えることができる。
【0086】
また、端末2のサービス機能部22(アプリケーション)は、情報格納領域R1の「Cache」情報を参照して、データをキャッシュする必要性の有無を判断している。したがって、不要なデータはキャッシュすることなく、端末2のメモリリソースをさらに抑えることができる。情報格納領域R1の「Cache」情報は、サーバ1のデータ処理サーバ部12が作成しており、サーバ1が端末2におけるキャッシュの要否を判断して、端末2のキャッシュ動作を制御することができる。
【0087】
次に、情報格納領域R1およびデータ本体領域R2をキャッシュ部23にキャッシュ済の共通データの取得処理について、図10の動作フローチャートを用いて説明する。以下、掲示板サービスを例にして説明する。
【0088】
まず、端末2は、その画面上に、掲示板サービスの記事リストデータを表示している。そして、端末2は、画面上に表示している記事リストデータから、ユーザ操作によっていずれかの記事を選択可能に構成されており、選択待ち状態となる(S41)。次に、記事の選択操作の有無を判定し(S42)、記事の選択操作が発生すれば、掲示板用アプリ221は、キャッシュ部23を参照して(S43)、選択した記事に対応するデータ本体領域R2がキャッシュ部23にキャッシュされているか否かを判定する(S44)。選択した記事に対応するデータ本体領域R2がキャッシュ部23にキャッシュされている場合、該当するデータ本体領域R2をキャッシュ部23から取得し、掲示板用アプリ221によって、取得した記事データ(掲示板用データのデータ本体領域R2)を、端末2の画面上に表示する(S45)。
【0089】
選択した記事に対応するデータ本体領域R2がキャッシュ部23にキャッシュされていない場合、端末2は、図9のステップS33以降と同様の処理を行い、サーバ1から記事データを取得して、表示する。
【0090】
また、掲示板用アプリ221以外のアプリケーション(メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223等)が用いるデータのデータ本体要求を端末2がサーバ1へ送信した場合も、上記同様に処理される。すなわち、端末2は、メール内容、スケジュール内容の取得処理を、キャッシュ状況に応じて行うことができる。
【0091】
このように、端末2のサービス機能部22(アプリケーション)は、データ本体領域R2をサーバ1から取得する場合、まずキャッシュ部23のキャッシュ状況を確認する。そして、取得するデータ本体領域R2がキャッシュされていれば、キャッシュされているデータを取得するので、処理速度を向上させることができる。また、アプリケーション毎に異なるフォーマットのデータをキャッシュすることなく、共通フォーマットの共通データをキャッシュしているので、キャッシュ部23におけるデータの検索処理、保存処理が容易となる。
【0092】
また、端末2のサービス機能部22(アプリケーション)は、実行するサービスに対応するいずれかの情報格納領域R1をサーバ1から取得する場合も、まずキャッシュ部23のキャッシュ状況を確認する。そして、取得する情報格納領域R1がキャッシュされていれば、キャッシュされているデータを取得するので、処理速度を向上させることができる。一方、取得する情報格納領域R1がキャッシュされていなければ、サーバ1から情報格納領域R1を取得する。
【0093】
次に、共通データの情報格納領域R1に含まれる「Loop」情報、「Interval」情報を用いた繰り返し要求処理について、図11に示す動作フローチャートを用いて説明する。
【0094】
共通データの情報格納領域R1に含まれる「Loop」情報は、繰り返し要求の有無を示し、「Interval」情報は、インターバル時間を示す。そして、端末2のサービス機能部22は、サーバ1から受信した情報格納領域R1を読み込み(S51)、「Loop」情報に「繰り返し要求有り」が設定されている場合、以降、この情報格納領域R1と対になるデータ本体領域R2を定期的にサーバ1から取得する。
【0095】
具体的に、端末2のサービス機能部22は、情報格納領域R1に含まれる「Interval」情報を参照して、インターバル時間を確認する(S52)。そして、サービス機能部22は、計時動作を開始し、計時時間がインターバル時間に達したか否かを判定する(S53)。サービス機能部22は、計時時間がインターバル時間に達した時点で、対応するアプリケーションを実行し、サーバ1へデータ本体要求を送信して、対応するデータ本体領域R1をサーバ1から取得して、画面上に表示する(S54)。
【0096】
したがって、時間の経過に伴ってサーバ1へ順次入力される情報を、端末2が定期的にサーバ1から取得することができ、簡易なサーバ側サービスを実現できる。
【0097】
本発明では、サーバ1と端末2との間で授受されるデータを、共通フォーマットの共通データで構成しており、サーバ1および端末2においてデータ管理を容易にすることが目的である。データ構造は、図2に示す情報格納領域R1およびデータ本体領域R2において、そのデータ形式(XML等のテキストデータ、バイナリデータ等)は問わない。例えば、メール用データであれば、情報格納領域R1に、データ本体領域R2が用いられるメールサービスに関する情報が格納され、データ本体領域R2にメール内容が格納されていればよい。
【0098】
また、図2に示す情報格納領域R1に含まれる各情報は一例であり、情報格納領域R1には、これらの情報のうち、共通データが用いられるアプリケーションの種類や、この共通データの種類を示す「Type」情報が少なくとも含まれていればよい。さらに、情報格納領域R1には、図2に示されていない情報が含まれていてもよい。
【0099】
さらに、共通データは、情報格納領域R1に情報が必ず含まれていなければならないが、データ本体領域R2における情報の有無は問わない。例えば、情報格納領域R1の「Type」情報に特殊な情報を設定して、情報格納領域R1をコマンドとして使用する場合、データ本体領域R2に情報は格納されない。このような場合、データ本体領域R2における情報の有無を、情報格納領域R1に書き込んでもよい。
【0100】
また、サーバ1に設けたデータベース14の種類や記憶方法も問わない。例えば、一般的なRDBMS(Relational DataBase ManagementSystem)を用いてもよく、あるいは独自のデータベース構造を用いてもよい。すなわち、端末2からの要求に応じて、共通データの情報格納領域R1およびデータ本体領域R2を検索できればよい。
【0101】
また、サーバ1に情報を入力する方法も、その手段を問わない。例えば、メールサービスであれば、外部のプロバイダのメールサーバから、MBOX等の一般的なメール形式でデータを受け取った後に、共通データに変換する方法、プロバイダ独自のメール形式を用いた共通データ構造でデータを受け取る方法等がある。すなわち、外部からサーバ1に入力された情報が、最終的に、サーバ1のデータベース14に共通データの構造で格納できればよい。
【0102】
また、端末2の画面上におけるデータの表示形態も問わない。例えば掲示板サービスの場合、記事リストデータの表示形態は、掲示板用アプリ221に依存している。すなわち、端末2は、サーバ1から取得した共通データの情報格納領域R1に含まれている各情報に基づいて、対応するアプリケーションが実行されるのであれば、データの表示方法や、アプリケーションの仕様等は問わない。
【0103】
また、端末2との間で共通データを授受する機器は、サーバ1に限定されることなく、例えば、端末2同士が行うチャットサービスにおいて、サーバ1を介することなく、端末2−端末2間の通信に共通データを用いてもよい。さらには、端末2が、図示しない宅内機器の監視制御サービスを行う場合も同様に、サーバ1を介することなく、端末2−宅内機器間の通信に共通データを用いてもよい。さらには、端末2が、玄関、エレベータ等に設置された図示しないインターホン機器との間でメッセージ通信を行う場合も同様に、サーバ1を介することなく、端末2−インターホン機器間の通信に共通データを用いてもよい。
【0104】
また、端末2のサービス機能部22には、掲示板用アプリ221、メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223を個別に搭載している。例えば、掲示板サービスの場合、掲示板用データの表示方法があり、メールサービスの場合、メール用データの表示方法があり、スケジューラサービスの場合、スケジューラ用データの表示方法があり、それぞれのサービスに適した表示方法ある。そこで、サービス毎に適した表示機能内の検索処理、ソート処理等を実現するためには、サービス毎に個別のアプリケーションを用いたほうがよい。
【0105】
一方、本発明では、端末2が他の機器との間で授受するデータは、共通フォーマットの共通データで構成されているので、アプリケーションに要求される機能は、データの表示機能が主となる。そこで、端末2のサービス機能部22には、掲示板用アプリ221、メール用アプリ222、スケジューラ用アプリ223等の各機能を有する1つのアプリケーションを搭載してもよい。また、掲示板サービス、メールサービス、スケジューラサービス等の各共通データを端末2において一括表示して、ユーザの選択操作によってフィルタリング処理を行う場合も、複数のサービスの各機能を有する1つのアプリケーションを搭載してもよい。
【0106】
また、上述の例では、端末2がサーバ1に対して要求を送信し、サーバ1が、この要求に対する返信として共通データを端末2へ送信している。しかし、サーバ1が共通データを端末2へ送信するトリガとしては、端末2からの要求以外であってもよい。例えば、サーバ1がメール用データを端末2へ送信するトリガとして、端末2からの要求を用いた場合、端末2によるメール確認が遅れてしまう虞がある。そこで、サーバ1が、外部からのメール情報の受信時、または定期的に、データベース14に格納しているメール用データの情報格納領域R1のリスト(メールリストデータ)を、自発的に端末2へ送信してもよい。
【0107】
また、従来は、図12に示すように、ユーザに提供するサービスの数だけ、サーバ500のサーバ部(サーバ側アプリ)、および端末600のアプリケーション(端末側アプリ)が必要であった。すなわち、新規のサービスを追加する場合には、図12に示すように、サーバ500に、新規のサーバ部504および記憶部514を追加し、端末600に、新規のアプリ604および記憶部614を追加する必要があった。したがって、新規のサービスを追加することは容易ではなかった
一方、本発明において、サーバ1−端末2間で授受されるデータは、共通データに統一されているので、新規のサービスを追加する場合、サーバ部1のデータ処理サーバ部12、端末2のサービス機能部22に新しい機能を追加することは容易となる。
【符号の説明】
【0108】
1 サーバ
11 通信部
12 データ処理サーバ部
13 データ管理部
14 データベース
2 端末
21 通信部
22 サービス機能部
23 キャッシュ部
24 キャッシュ管理部
NT1 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと端末とが互いに通信可能に構成されて、前記端末が、前記サーバから取得したデータに基づいてユーザに複数のサービスを提供する通信システムであって、
前記サーバは、ユーザに複数の前記サービスを提供するためのアプリケーションが用いる前記データを前記端末へ送信する第1の通信部と、この第1の通信部が送信する前記データを管理するデータ処理サーバ部とを備え、
前記端末は、前記サーバから前記データを受信する第2の通信部と、1つ以上の前記アプリケーションを具備して、前記サーバから取得した前記データに基づいて前記アプリケーションを実行することによって、ユーザに前記サービスを提供するサービス機能部とを備え、
前記データは、複数の前記サービスに共通のデータフォーマットで構成され、前記データフォーマットは、複数の前記サービスに共通の形式で記述されて、前記アプリケーションが用いるデータ本体領域と、複数の前記サービスに共通の形式で記述されて、前記データ本体領域が用いられる前記サービスに関する情報を少なくとも含む情報格納領域とを含んで構成される
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記端末の前記サービス機能部は、1または複数の前記情報格納領域を前記サーバから取得した後に、この取得した1または複数の前記情報格納領域から選択したいずれかの前記情報格納領域と対になる前記データ本体領域を前記サーバから取得することを特徴とする請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記端末は、前記サービス機能部が前記サーバから取得した前記情報格納領域および前記データ本体領域をキャッシュするキャッシュ部と、このキャッシュ部への前記情報格納領域および前記データ本体領域の読み書きを行うキャッシュ管理部とを備えることを特徴とする請求項1または2記載の通信システム。
【請求項4】
前記情報格納領域は、前記キャッシュ部にキャッシュするか否かを示すフラグを含み、
前記端末の前記キャッシュ管理部は、前記サービス機能部が取得した前記情報格納領域に含まれる前記フラグに基づいて、前記サービス機能部が取得した前記サービス機能部および前記データ本体領域を前記キャッシュ部にキャッシュするか否かを判断する
ことを特徴とする請求項3記載の通信システム。
【請求項5】
前記端末の前記サービス機能部は、前記サーバから前記データを取得する場合、前記取得するデータの前記情報格納領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていれば、この情報格納領域を前記キャッシュ部から取得し、前記取得するデータの前記情報格納領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていなければ、この情報格納領域を前記サーバから取得し、
前記取得した1つ以上の前記情報格納領域のうち、所望の前記情報格納領域と対になる前記データ本体領域を前記サーバから取得する場合、前記取得するデータ本体領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていれば、このデータ本体領域を前記キャッシュ部から取得し、前記取得するデータ本体領域が前記キャッシュ部にキャッシュされていなければ、このデータ本体領域を前記サーバから取得する
ことを特徴とする請求項3または4記載の通信システム。
【請求項6】
前記情報格納領域は、時間間隔を示すインターバル情報を含み、
前記端末の前記サービス機能部は、前記インターバル情報を含む前記情報格納領域を取得した場合、前記インターバル情報に基づく時間間隔毎に、前記取得した情報格納領域と対になる前記データ本体領域を前記サーバから取得する
ことを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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