説明

通信ユニット

【課題】 通話品質を落とすことなく、固定電話と携帯電話との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換えることができる通信ユニットを提供する。
【解決手段】 固定電話11、20からの通話は構内交換機12により無線通信用アダプタ13に中継され、無線通信用アダプタ13に接続された接続携帯電話の通信機能部(14)から、出先の複数の携帯電話21に発信する。この際、接続携帯電話の通信機能部(14)を無線通信用アダプタ13に内蔵したので、携帯電話を介することなく、無線通信用アダプタ13は直接出先の携帯電話21に発信できる。これにより、通話品質を落とすことなく、固定電話11,20と携帯電話21との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換えることができ、携帯電話同士の料金体系により通話料金の低額化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定電話と携帯電話との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換える通信ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話の急激な普及により、携帯電話同士間の通話料金を、固定電話と携帯電話との間の通話料金よりも低額にする料金体系が、各携帯電話会社に設けられている。
この料金体系を利用して通話料金を低額にするため、固定電話と携帯電話との間の通話を、携帯電話同士の通話に置き換えることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に示すように、特許文献1に記載の遠隔監視システム100では、メンテナンスセンタCENと無線通信用アダプタADAとが、一般公衆回線網REG及び移動体通信網MOBを通して接続されている。メンテナンスセンタCENには、汎用のパソコン101が配置され、モデム102を通して一般公衆回線REGに接続されている。無線通信用アダプタADAには、汎用の携帯電話機103が取り付けられ、また、PBX主装置104などを経由して固定電話機105が接続されている。
【0004】
そして、通常の送受話は、固定電話機105⇔携帯電話機103⇔移動体通信網MOB⇔出先の携帯電話機(図示省略)か、或いは、固定電話機105⇔一般公衆回線網REG⇔相手の会社の固定電話機で行われる。
すなわち、「090」などから始まる携帯電話機固有の電話番号を固定電話機105で入力した場合には、無線通信用アダプタADAが自動的に携帯電話機103を選択して、例えば、出先の社員の携帯電話機に向けて発信させる。同様に、出先の社員の携帯電話機から電話がかかってきた場合にも、携帯電話機103を経由して、固定電話機105に接続される。
これにより、固定電話機105と出先の携帯電話との間の通話を、携帯電話機103と出先の携帯電話との通話に置き換えて、通話料金の低減化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3719639号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の遠隔監視システム100のように、固定電話機105と出先の携帯電話との間の通話を、携帯同士間の通話に置き換えるために、実際に通話に使用していない携帯電話機103を介している。このため、通話品質が低下して、ノイズが増えたり、切れ易かったり、また取付けできる機種にも制限があり、使用できない機種が多かったという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記問題点に解決するために、通話品質を落とすことなく、固定電話と携帯電話との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換えて、通話料金の低額化を図ることができる通信ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の通信ユニットは、携帯電話に振り分ける無線通信用アダプタと、前記無線通信用アダプタに接続され外部の複数の所定の携帯電話に接続可能な接続携帯電話部と、を有し、前記固定電話からの通話を、前記接続携帯電話部と前記携帯電話との間の携帯電話同士の通話に置き換える通信ユニットであって、前記接続携帯電話部を携帯電話の通信機能部のみで構成し、当該通信機能部を前記無線通信用アダプタに内蔵したものである。
【0009】
この構成により、通話は、無線通信用アダプタに中継され、無線通信用アダプタに接続された接続携帯電話部から、出先の複数の携帯電話に発信する。この際、接続携帯電話部を通信機能部のみで構成して無線通信用アダプタに内蔵したので、携帯電話器を介することなく、無線通信用アダプタは直接出先の携帯電話に発信できる。
これにより、通話品質を落とすことなく、固定電話と携帯電話との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換えることができ、携帯電話同士の料金体系により通話料金の低額化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の通信ユニットは、固定電話に接続される構内交換機と、前記構内交換機に接続され携帯電話に振り分ける無線通信用アダプタと、前記無線通信用アダプタに接続され外部の複数の所定の携帯電話に接続可能な接続携帯電話部と、を有し、前記固定電話からの通話を、前記接続携帯電話部と前記携帯電話との間の携帯電話同士の通話に置き換える通信ユニットであって、前記接続携帯電話部を携帯電話の通信機能部のみで構成し、当該通信機能部を前記無線通信用アダプタに内蔵した構成を有している。
【0011】
この構成により、固定電話からの通話は構内交換機により無線通信用アダプタに中継され、無線通信用アダプタに接続された接続携帯電話部から、出先の複数の携帯電話に発信する。この際、接続携帯電話部を通信機能部のみで構成して無線通信用アダプタに内蔵したので、携帯電話器を介することなく、無線通信用アダプタは直接出先の携帯電話に発信できる。
これにより、通話品質を落とすことなく、固定電話と携帯電話との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換えることができ、携帯電話同士の料金体系により通話料金の低額化を図ることができる。
【0012】
また、本発明の通信ユニットは、前記通信機能部に通信インターフェースとRFインターフェースが一体となった携帯モジュールを用いる構成を有している。
【0013】
この構成により、携帯電話器を用いることなく、通信インターフェースとRFインターフェースが一体となった携帯モジュールにより発信できるので、携帯電話器の通信機能部以外の表示機能や筐体等が不要になり、安価で、通話品質を確保することができる。
【0014】
また、本発明の通信ユニットは、前記構内交換機が前記無線通信用アダプタに内蔵されている構成を有している。
【0015】
この構成により、構内交換機を無線通信用アダプタに一体化するので、通信ユニットのコンパクト化を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明の通信ユニットは、音声入出力装置と、前記音声入出力装置に接続され通話を携帯電話に振り分ける無線通信用アダプタと、前記無線通信用アダプタに接続され外部の複数の所定の携帯電話に接続するユビキタスモジュールと、を有する構成を有している。
【0017】
この構成により、音声入出力装置から入力された音声は、無線通信用アダプタおよびユビキタスモジュールを介して出先の携帯電話に発信される。また、出先の携帯電話からの音声は、ユビキタスモジュールおよび無線通信用アダプタおよび音声入出力装置を介して発せられるので、複数の人数と出先の携帯電話との間で通話ができ、例えば、社内の複数人と出先の社員との間で電話会議を低額で行うことができる。また、契約内容によっては、無料通話サービスがあったり、通話料金が通話時間に無関係なので、長時間の会議に好適である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接続携帯電話部を通信機能部のみで構成して無線通信用アダプタに内蔵したので、携帯電話器を介することなく、無線通信用アダプタは直接出先の携帯電話に発信できる。これにより、通話品質を落とすことなく、固定電話と携帯電話との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換えることができ、携帯電話同士の料金体系により通話料金の低額化を図ることができることに効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明にかかる第1実施形態の通信ユニットを示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる第1実施形態の通信ユニットの変形例を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる第2実施形態の通信ユニットを示すブロック図である。
【図4】従来の固定電話と携帯電話との通話を携帯電話同士の通話に置き換える通信ユニットを示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明にかかる第1実施形態の通信ユニットについて、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明にかかる第1実施形態の通信ユニット10は、固定電話11,20に接続される構内交換機(PBX主装置)12と、構内交換機12に接続され出先の携帯電話21に振り分ける無線通信用アダプタ13と、を有する。無線通信用アダプタ13は、アナログ回線,ISDN回線VoIP回線等の回線17により、構内交換機(PBX主装置)12と接続される。
そして、従来、外部の複数の所定の携帯電話21A、21B、…(なお、総称する場合には「携帯電話21」で示す。)に接続するために無線通信用アダプタ13に接続されていた接続携帯電話部の通信機能部(14)のみを、無線通信用アダプタ13の内部に設けた。
【0021】
すなわち、無線通信用アダプタ13内では、発信/受信制御ユニット131に、コネクタ132を介して通信機能部(14)が接続されている。通信機能部(14)として、インターネットに接続するための通信インターフェースと携帯電話の電波を受信するRFインターフェースとが一体となった携帯モジュールであるユビキタスモジュール14が接続されている。なお、ユビキタスモジュール14には、外部アンテナ15が接続されている。
ここで、固定電話としては、NTT一般回線201により接続される外部の固定電話20および社内の内線で接続される固定電話11A、11B、…(なお、総称する場合には、「固定電話11」で示す。)を含む。
【0022】
従って、外部の固定電話20からかかってきた社内の固定電話11にかかってきた通話は、構内交換機12により内線の固定電話11A、11B、…に割り振られる。また、外部の固定電話20から出先にいる社員が持っている携帯電話21A、21B、…のいずれか当てにかかってきた場合には、構内交換機12は無線通信用アダプタ13に割り振り、ユビキタスモジュール14を介して出先の携帯電話21A、21B、…に送信される。
【0023】
また、社内の固定電話11A、11B、…から出先の携帯電話21A、21B、…に電話する際には、構内交換器12から無線通信用アダプタ13に割り振られて、ユビキタスモジュール14を介して、所定の携帯電話21に発信される。
これにより、固定電話11,20から出先の携帯電話21への通話を、ユビキタスモジュール14と出先の携帯電話21との間の、携帯電話同士の通話に置き換える。
【0024】
なお、図2に示すように、構内交換機12を無線通信用アダプタ13と一体的に設けて、通信ユニット10を一体化することも可能である。
【0025】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の通信ユニット10によれば、固定電話11、20からの通話は構内交換機12により無線通信用アダプタ13に中継され、無線通信用アダプタ13に接続された接続携帯電話の通信機能部(14)から、出先の複数の携帯電話21に発信する。この際、接続携帯電話の通信機能部(14)を無線通信用アダプタ13に内蔵したので、通常の携帯電話を介することなく、無線通信用アダプタ13は直接出先の携帯電話21に発信できる。
これにより、通話品質を落とすことなく、固定電話11、20と携帯電話21との間の通話を携帯電話同士の通話に置き換えることができ、携帯電話同士の料金体系により通話料金の低額化を図ることができる。
【0026】
また、通常の携帯電話を用いることなく、ユビキタスモジュール14により発信できるので、携帯電話の通信機能部(14)以外の表示機能や筐体等が不要になり、安価で、通話品質を確保することができる。
【0027】
さらに、構内交換機12が無線通信用アダプタ13に内蔵されているので、通信ユニット10のコンパクト化を図ることができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明にかかる第2実施形態の通信ユニットについて説明する。
なお、前述した第1実施形態にかかる通信ユニット10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図3に示すように、本発明にかかる第2実施形態の通信ユニット10Bは、第1実施形態の通信ユニット10における構内交換機12に代わって音声入出力装置22を有し、無線通信用アダプタ13に接続されている。
音声入出力装置22は、音声入力用のマイク221および音声出力用のスピーカ222を有する。
【0029】
従って、例えば、社内における複数人と、携帯電話21を介して外部の社員等との間で会議を行う際に、社内の複数人の声をマイク221で拾って直接外部の社員の携帯電話21に送ることができる。また、外部の社員の声を、スピーカ222から流して、会議を行うことができる。
なお、無線通信用アダプタ13内部にトーン発信ボタン18を設け、トーン発信ボタン18を押すことにより、携帯電話21に向けて発信するようにすることができる。
また、無線通信用アダプタ13内部に充電池16を設けておき、停電の際でも通信ユニット10Bが稼働できるようにしておくこともでき、また外部に持出すこともできる。
【0030】
また、音声入出力装置22の代わりに種々の装置を接続することにより、通信ユニット10Bを種々の目的で使用することができる。
例えば、図示はしないが、スイッチボックスを無線通信用アダプタ13に接続してスイッチの遠隔操作を行うことができる。
【0031】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態の通信ユニット10Bによれば、音声入出力装置22のマイク221から入力された音声は、無線通信用アダプタ13を介して出先の携帯電話21に発信される。また、出先の携帯電話21からの音声は、無線通信用アダプタ13および音声入出力装置22のスピーカ222を介して発せられる。
このため、社内にいる複数の人数と出先の携帯電話21との間で通話ができ、例えば、社内の複数人と出先の社員との間で電話会議を低額で行う場合に、便利である。また、契約内容によっては、無料通話サービスがあったり、通話料金が通話時間に無関係なので、長時間の会議に好適である。
【0032】
また、常時接続が可能なので、通話以外の種々の作業に用いることができる。
通信ユニット10Bは、例えば、ビジネスフォンPBXに回線収容、ビジネスフォンPBXに組み込み、仮設電話設備に使用、FAXに組み込み、インターフォンに組み込み、一般電話機に組み込み、放送設備に組み込み、防災無線設備に組み込み、社内会議システムに使用、自動販売機に組み込み、自動車に取付、自動車用部品に取付/組み込み、建設機械に取付、カーナビに組み込み、家電製品に組み込み、パソコンに組み込み、パソコン周辺機器に取付/組み込み、自動精算機に取付/組み込み、照明器具/非常誘導灯に組み込み、安全管理/監視に使用、安全器具に取付/組み込み、医療用機器に取付/組み込み、介護設備に取付/組み込み、福祉設備に取付/組み込み、事務用機器に取付/組み込み、無線機に取付/組み込み、通信機器に取付/組み込み、娯楽遊具に取付/組み込み、空調機器に取付/組み込み、調理器具に取付/組み込み、教育機器に取付/組み込み、住宅設備に取付/組み込み、救難救命器具に取付/組み込み、緊急地震速報器に取付/組み込みに応用できる。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る通信ユニット10、10Bは上述した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
例えば、前述した各実施形態において、無線通信用アダプタ13内に設けた発信/受信制御ユニット131,コネクタ132,ユビキタスモジュール14を、各々別個に着脱可能に設けておくと、故障時の対応を容易かつ迅速に行うことができる。
【符号の説明】
【0034】
10、10B 通信ユニット
11、20 固定電話
12 構内交換機
13 無線通信用アダプタ
14 ユビキタスモジュール(接続携帯電話、通信機能部、携帯モジュール)
21 携帯電話
22 音声入出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話に振り分ける無線通信用アダプタと、
前記無線通信用アダプタに接続され外部の複数の所定の携帯電話に接続可能な接続携帯電話部と、を有し、
前記固定電話からの通話を、前記接続携帯電話部と前記携帯電話との間の携帯電話同士の通話に置き換える通信ユニットであって、
前記接続携帯電話部を携帯電話の通信機能部のみで構成し、当該通信機能部を前記無線通信用アダプタに内蔵したことを特徴とする通信ユニット。
【請求項2】
固定電話に接続される構内交換機と、
前記構内交換機に接続され携帯電話に振り分ける無線通信用アダプタと、
前記無線通信用アダプタに接続され外部の複数の所定の携帯電話に接続可能な接続携帯電話部と、を有し、
前記固定電話からの通話を、前記接続携帯電話部と前記携帯電話との間の携帯電話同士の通話に置き換える通信ユニットであって、
前記接続携帯電話部を携帯電話の通信機能部のみで構成し、当該通信機能部を前記無線通信用アダプタに内蔵したことを特徴とする通信ユニット。
【請求項3】
前記通信機能部に通信インターフェースとRFインターフェースが一体となった携帯モジュールを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の通信ユニット。
【請求項4】
前記構内交換機が前記無線通信用アダプタに内蔵されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の通信ユニット。
【請求項5】
音声入出力装置と、
前記音声入出力装置に接続され通話を携帯電話に振り分ける無線通信用アダプタと、
前記無線通信用アダプタに接続され外部の複数の所定の携帯電話に接続するユビキタスモジュールと、を有することを特徴とする通信ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−239035(P2012−239035A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106633(P2011−106633)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(309030791)エヌメック東日本株式会社 (1)
【Fターム(参考)】