説明

通信制御システム、及びシンク機器

【課題】HDMI等により接続されたソース機器とシンク機器のシステムにおいて、従来のソース機器が接続される場合であっても、ソース機器とシンク機器の映像音声データのフォーマットを合致させ、映像音声データの伝送を可能にする。
【解決手段】シンク機器110の制御部111は、非対応フォーマットの映像音声データを受信した時に、EDID格納領域113のEDIDを書き換えて、ソース機器120へ異なるEDIDを再度読み込ませて、ソース機器120から出力される映像音声データのフォーマットをシンク機器110が対応するフォーマットへ切り替える。この際、一度必須フォーマットのEDIDに変更後、元の対応可能なフォーマットのEDIDに戻すように、EDIDの設定を切り替えることで、ソース機器120が認識しているシンク機器110にて対応可能なフォーマット情報を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチメディアインターフェイスを介し接続されたシンク機器とソース機器との間で映像データ及び音声データ(以下、「映像音声データ」と記載)を送受信するためのシステムに適用した、通信制御システム、及びシンク機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の映像音声信号伝送システムとして、デジタル化された映像音声データを伝送するための規格として、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格が普及している。HDMIによってシンク機器とソース機器とを接続して機器間で映像音声データを送受信する際に、ソース機器とシンク機器間でのフォーマットの不一致が発生し、映像音声がディスプレイまたはスピーカへ出力されなくなる問題が生じることがあった。このようなフォーマットの不一致は、EDID(Extended Display Identification Data)またはEnhanced EDIDによるフォーマットの検出が正常に行われなかった場合、あるいは、ソース機器を操作するユーザが誤ってシンク機器の非対応のフォーマットを指定する操作を行った場合、などに発生する。フォーマットの不一致が発生すると、ディスプレイへ映像出力ができないため、ユーザは対応しているフォーマットを選択することができず、フォーマットを一致させる状態へ戻すことは困難であった。
【0003】
上記の問題に対して、従来技術として、ソース機器が対応している全フォーマットの映像音声データを一定間隔で順次に出力し、ユーザが特定のフォーマットを決定する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。この従来技術によれば、ユーザが好みのフォーマットを決定することができる。
【0004】
また、別の手段として、HDMIのオプション規格である、CEC(Consumer Electronics Control)(例えば、非特許文献1を参照)を用いて、コマンドデータ通信により、シンク機器からソース機器へ、受信可能な映像音声データのフォーマットの通知を行い、シンク機器が対応可能なフォーマットのみを選択できるようにする方法が知られている(例えば特許文献2参照)。この従来技術によれば、ユーザが、誤ってシンク機器の非対応のフォーマットの選択を行うことを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−058369号公報
【特許文献2】特開2008−197529号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】High−Definition Multimedia Interface Specification Version 1.3a
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来技術を利用することで、HDMI接続されたソース機器とシンク機器間の映像音声データのフォーマットの不一致を防ぐことができる。
しかしながら、上記従来技術の場合、ソース機器側が対応することにより実現可能となる。ソース機器では、HDMIのオプション技術であるCEC機能の実装などの対応が必要であり、上記従来技術に対応していないレガシーなソース機器とのHDMI接続の場合、フォーマットの不一致による問題を回避することができないという課題を有していた。
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、ソース機器とシンク機器との間で映像音声データを伝送するシステムにおいて、従来のソース機器が接続される場合であっても、ソース機器とシンク機器間の映像音声データのフォーマットを一致させ、映像音声データの伝送を行うことのできる通信制御システム、及びシンク機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の通信制御システムは、映像データと音声データの少なくとも一方を含む映像音声データを送信するソース機器と、前記映像音声データを受信するシンク機器とが、通信路を介してデータ通信する通信制御システムであって、前記シンク機器は、前記映像音声データを処理する映像音声受信処理部と、前記映像音声受信処理部において処理可能な前記映像音声データのフォーマット情報を格納するフォーマット情報記憶領域と、前記ソース機器から処理不可能なフォーマットの映像音声データを受信した場合、前記フォーマット情報記憶領域に格納されているフォーマット情報を特定のフォーマット情報に設定して前記ソース機器へ読み込ませ、前記ソース機器が保持している前記シンク機器の映像音声データのフォーマット情報を更新させ、自装置が処理可能なフォーマットの映像音声データを送信させる制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来のソース機器が接続される場合であっても、ソース機器とシンク機器間の映像音声データのフォーマットを一致させ、映像音声データの伝送を行うことのできる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における通信制御システムの構成図
【図2】本発明の実施の形態におけるシンク機器の出力画面1(コーション画面201)を示す図
【図3】本発明の実施の形態におけるシンク機器の出力画面2(コーション画面301)を示す図
【図4】本発明の実施の形態における通信制御システムのシンク機器動作説明のためのフロー図
【図5】本発明の実施の形態におけるシンク機器の映像音声データのフォーマット例
【図6】本発明の実施の形態におけるシンク機器の必須の映像音声データのフォーマット例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本実施の形態では、HDMIによってシンク機器とソース機器とを接続し、シンク機器とソース機器との間で映像音声データを送受信する構成の一例を示す。
【0013】
HDMIは、複数の映像音声データのフォーマットに対応している。例えば、映像データであれば、解像度別に480p、576p、720p、1080i、1080pなど、また音声データであれば、リニアPCM、ドルビーデジタル、各種圧縮オーディオなどに対応している。映像音声データを送信するソース機器と、映像音声データを受信するシンク機器は、上記のHDMIで伝送可能な映像音声データフォーマットの中から、各々の機器が送受信可能なフォーマットを指定し、指定したフォーマットの映像音声データをHDMIによって伝送する。
【0014】
HDMI伝送する映像音声データのフォーマットを指定する方法として、EDIDを使用する方法がある。EDIDは、シンク機器のもつディスプレイまたはスピーカ出力に対応可能な映像音声データのフォーマットをIDとして列挙したデータ列である。HDMI伝送において、EDIDは256バイト以上のデータで構成されており、映像データフォーマットを識別する情報を格納するVideo Data Blockと、音声データフォーマットを識別する情報を格納するAudio Data Blockの領域を有する。
【0015】
ソース機器は、HDMIで規定されているDDC(Display Data Channel)という通信ラインより、シンク機器の持つEDIDのデータ列を取得し、シンク機器が受信可能な映像音声データのフォーマットを認識する。ソース機器は、認識した使用可能なフォーマットより最適なフォーマットを自動で選定し、映像音声データの送信を行う(例えば、非特許文献1を参照)。また、上記に加えて、ソース機器の機能として、ソース機器が送信する映像音声データのフォーマットを選択する画面をシンク機器のディスプレイへ出力し、ユーザ操作で特定のフォーマットを選択する機能を有するものもある。
【0016】
上記のEDIDによるフォーマットの検出が正常に行われなかった場合、あるいは、ソース機器を操作するユーザが誤ってシンク機器の非対応のフォーマットを指定する操作を行った場合、ソース機器とシンク機器間でのフォーマットの不一致が発生することがある。
【0017】
上記機器間のフォーマットの不一致を防止するため、本実施の形態では、シンク機器側においてソース機器とシンク機器間の映像音声データのフォーマットを一致させる機能を持つものとする。
【0018】
図1は本発明の実施の形態における通信制御システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、通信制御システム10は、HDMI伝送路100を介して、シンク機器110、ソース機器120が接続され、映像音声データの伝送、及び、機器間の制御通信が可能である。シンク機器110は映像音声データを受信する機器であり、ソース機器120は映像音声データを送信する機器である。ここで、「映像音声データ」としては、映像データ、音声データの少なくとも一方を含むデータを指すものとする。
【0019】
HDMI伝送路100には少なくとも、TMDSライン100A、+5V Powerライン100B、Hot Plug Detectライン100C、DDCライン100Dが含まれる。
【0020】
TMDSライン100Aは、映像音声データを伝送するために用いられる。+5V Powerライン100Bは、シンク機器110が、ソース機器120の接続検出をするために用いられる。ソース機器120がシンク機器110と接続され、映像音声データを送信できる状態の時に、ソース機器120から+5V Powerライン100BにHighレベルの信号が流される。シンク機器110は、+5V Powerライン100BでLowレベル状態を検出すると、ソース機器120が切断されていると判断し、Highレベル状態を検出すると、ソース機器120が接続されていると判断する。
【0021】
DDCライン100Dは、シンク機器110のもつディスプレイまたはスピーカ出力に対応可能な映像音声データのフォーマットをIDとして列挙したデータ列である、EDIDの伝送に用いられる。
【0022】
Hot Plug Detectライン100Cは、ソース機器120に対して、シンク機器110のEDIDが読み出し可能な状態であることを知らせるために用いられる。シンク機器110のEDIDが読み出し可能な状態の場合、シンク機器110からHot Plug Detectライン100CにHighレベルの信号が流される。Hot Plug Detectライン100CがLowレベル状態の場合、ソース機器120は、映像音声データの送信を停止させなければならない。
【0023】
シンク機器110は、制御部111と、HDMI伝送部112と、EDID格納領域113と、映像音声受信処理部114と、ディスプレイ115と、スピーカ116とを備えており、例えばディスプレイ機器である。
【0024】
制御部111は、例えばCPU、メモリ(ROM、RAM等)を含むコンピュータにより構成される。CPUは、例えばROMに格納されたコンピュータプログラムを、RAMを作業領域として使いながら実行することにより、各種処理を行って所定の機能を実現する。
【0025】
このような制御部111は、HDMI伝送部112と、EDID格納領域113と、映像音声受信処理部114と、ディスプレイ115と、スピーカ116を制御し、シンク機器110に関する処理を行う。シンク機器110に関する処理としては、例えば、ソース機器120より伝送された映像音声データのフォーマットの情報に基づき、EDID格納領域113のデータの書き換えなど、本実施の形態で行われる処理全般がある。
【0026】
制御部111は、受信した映像音声データのフォーマットとして、自装置において非対応のフォーマットを受信した場合に、ユーザに対するコーション情報(注意情報)を含む出力画面をディスプレイ115上へ表示させる処理も行う。ユーザ通知用の出力画面としては、例えば、図2、図3に示すようなコーション画面201、301をディスプレイ115に表示する。
【0027】
HDMI伝送部112は、制御部111が制御処理を行うことにより、ソース機器120とのHDMI伝送路100上の伝送処理を行う。ソース機器120からHDMI伝送路100を通じて受信した信号のうち、映像音声データを映像音声受信処理部114へ伝送し、+5V Powerライン100Bの状態を制御部111へ通知する。また、HDMI伝送部112は、ソース機器120からのEDIDの取得要求に対して、EDID格納領域113のEDIDの転送をDDCライン100Dを用いて行う。また、HDMI伝送部112は、制御部111からの指示により、Hot Plug Detectライン100CのHighレベル/Lowレベルの切り替え制御を行う。
【0028】
EDID格納領域113は、シンク機器110のもつディスプレイまたはスピーカ出力に対応可能な映像音声データのフォーマットをIDとして列挙したデータ列であるEDIDを格納する領域である。EDID格納領域113は、制御部111よりデータの書き換えが可能な記憶領域であり、不揮発性メモリ等の記憶媒体により構成される。
【0029】
映像音声受信処理部114は、シグナルプロセッサ等により構成され、制御部111が制御処理を行うことにより、映像音声データの信号処理を行う。映像音声受信処理部114は、ソース機器120から伝送された映像音声データに関して、映像データは映像信号にしてディスプレイ115へ表示し、音声データは音声信号にしてスピーカ116へ出力する。また、映像音声受信処理部114は、受信した映像音声データの各々のフォーマットを検出し、制御部111へ通知する。また、映像音声受信処理部114は、制御部111の制御により、ディスプレイ115とスピーカ116への出力を停止させ、ミュート(MUTE)させる。
【0030】
ソース機器120は、HDMI伝送部121を搭載した機器であり、例えばBD(Blu-ray Disc)(商標)プレーヤである。ソース機器120は、HDMI伝送路100によって、シンク機器110と接続された場合、+5V Powerライン100BへHighレベルの信号を流し、シンク機器110に対して機器の接続を検知させる機能を持つ。また、ソース機器120は、Hot Plug Detectライン100CがHighレベルであることを検出すると、DDCライン100Cよりシンク機器110からのEDIDの受信を行い、TMDSライン100Aへ映像音声データの送信を行う機能を持つ。
【0031】
以上のように構成された通信制御システムについて、以下にその処理動作を図4、図5、図6を用いて説明する。
【0032】
シンク機器110は、図5に示す通り、映像データの対応フォーマットとして、480p、720p、1080iに対応し、音声データの対応フォーマットとして、リニアPCMの6chに対応しているものとする。そして、シンク機器110は、これらの対応フォーマットをEDIDのデータとして、EDID格納領域113へ格納している。
【0033】
図4は本発明の実施の形態における通信制御システムのシンク機器110の処理フロー図である。本処理フローは、シンク機器110において、自装置が対応していない映像音声データのフォーマットを受信したことを、検出した際に開始する。今回、ソース機器120が、シンク機器110が対応していない1080pの映像データを出力したものとし、図4の処理フローを開始する。
【0034】
シンク機器110の制御部111は、映像音声受信処理部114より、非対応の映像フォーマット1080pを受信していることの通知を受けると、映像音声受信処理部114の映像音声データ出力の停止を行いミュート(MUTE)させるMUTE処理を行う。そして制御部111は、ディスプレイ115へ図2のコーション画面201を出力させ、ユーザに対して、ソース機器120が、非対応のフォーマットを出力し、シンク機器110が復帰処理を行っていることを通知する(S401)。
【0035】
制御部111は、図6に示す通り、EDIDのデータをHDMI規格の必須フォーマットに書き換えて、EDID格納領域113へ書き込む(S402)。このとき、映像データのフォーマットは、図5に示す480p、720p、1080iから、HDMI規格の必須フォーマットとして、図6に示す480pのみに対応するEDIDを生成する。なお、映像データの必須フォーマットは、NTSC(National Television System Committee)対応のシンク機器であれば480p、PAL(Phase Alternating Line)対応のシンク機器であれば576pを設定する。また、音声データのフォーマットは、図5に示すリニアPCM6chから、HDMI規格の必須フォーマットとして、図6に示すリニアPCM2chのみに対応するEDIDを生成する。
【0036】
ここで、映像データのフォーマットを480pのみに設定する理由を述べる。HDMI規格において、480pは必須のフォーマットであり、EDIDに記載されていなくても対応することをソース機器120へ示すことができる。ここで、例えば720pに設定すると、720pと480pの両方に対応しているということをソース機器120へ示すことになる。その場合、制御部111は、以降のステップS406の判断で、720pもしくは480pを受信したかの判断が必要となる。本実施の形態では、制御部111において一意にフォーマットを検出できるようにするため、480pに設定する。
【0037】
制御部111は、以降のステップS403〜S406の処理を繰り返した回数をカウントしており、その回数があらかじめ設定されている閾値回数α回を超えているかどうかを判断する(S403)。ここで、閾値回数を3回と設定すると、ステップS403〜S406の処理を3回繰り返すことになる。
【0038】
制御部111は、ステップS403で、閾値回数αを超えていない場合、ステップS404の処理へ進む。制御部111は、HDMI伝送部112を制御し、Hot Plug Detectライン100CをLowレベルに設定し、一定期間後にHighレベルに設定する。これによって、制御部111は、ソース機器120に対して、EDIDを再読み込みさせ、HDMI伝送の再接続処理を行わせる(S404)。
【0039】
HDMI伝送の再接続処理後、ソース機器120より、映像音声受信処理部114において映像音声データを受信すると、制御部111は、映像音声受信処理部114より、現在受信している映像音声データのフォーマットを取得する(S405)。
【0040】
制御部111は、受信したフォーマットが、ステップS402で設定したEDIDの映像フォーマット、すなわち必須フォーマットである480pかどうかの判断を行う(S406)。
【0041】
制御部111は、ステップS406で、受信した映像フォーマットが480pでない場合は、ステップS403へ戻り、最大閾値回数α回分ステップS403〜S406の処理を繰り返す。
【0042】
制御部111は、ステップS403で閾値回数αを超えている場合、ソース機器120がシンク機器110に対応するフォーマットへ戻すことが出来ないと判断し、ステップS411の処理へ進む。制御部111は、HDMI伝送部112を制御し、Hot Plug Detectライン100CをLowレベルに設定し、ソース機器120からのHDMI伝送を停止させる(S411)。
【0043】
その後、制御部111は、ディスプレイ115へ図3のコーション画面301を出力させ、ユーザに対して、シンク機器110の復帰処理が行えなかったことを通知し、接続機器の設定を確認するよう促し、本処理を終了する(S412)。
【0044】
制御部111は、ステップS406で受信した映像フォーマットが480pである場合、ステップS407の処理へ進む。
【0045】
制御部111は、ソース機器120に対して、シンク機器110が対応している全フォーマットを再度通知させるために、EDIDのデータを元のフォーマットに書き換えて、EDID格納領域113へ書き込む(S407)。このとき、図5に示すように、元のフォーマットである、映像データのフォーマット480p、720p、1080iと、音声データのフォーマットのリニアPCMの6chとに対応するEDIDを設定する。
【0046】
その後、制御部111は、HDMI伝送部112を制御し、Hot Plug Detectライン100CをLowレベルに設定し、一定期間後にHighレベルに設定する。これによって、制御部111は、ソース機器120に対して、EDIDを再読み込みさせ、HDMI伝送の再接続処理を行わせる(S408)。
【0047】
HDMI伝送の再接続処理後、ソース機器120より、映像音声受信処理部114において映像音声データを受信すると、制御部111は、映像音声受信処理部114より、現在受信している映像音声データのフォーマットを取得する(S409)。
【0048】
制御部111は、フォーマット検出後、映像音声受信処理部114のミュート(MUTE)を解除し、映像音声出力を再開させ、ソース機器120より入力した映像音声データをディスプレイ115とスピーカ116へ出力させ、本処理を終了する(S410)。
【0049】
ステップS409にて、シンク機器110に対応していない映像音声データのフォーマットを受信している場合は、図4の処理を最初からやり直す。
【0050】
図4に示す一連の処理において、ステップS402とステップS407で2種類のEDIDを使用する理由は、ソース機器120によっては、同じEDIDの場合、読み込みを行っても、シンク機器110のEDIDの更新を行わない場合があるためである。
【0051】
図4の一連の処理中に、シンク機器110の制御部111が、+5V Powerライン100BのLowレベル状態の検出により、ソース機器120が切断されたことを検出した場合、図4の処理を即時に終了させ、図4の処理が開始される前の状態に戻す。これは、次に他のソース機器が接続されることを考慮するためである。
【0052】
上記図4の処理の説明では、映像データが非対応フォーマットの場合の例を示したが、ソース機器120が音声データの非対応フォーマットを出力した場合も同様の処理が行われる。例えば、ソース機器120がリニアPCM8chを出力したとき、もしくは圧縮オーディオを送信したとき等が考えられる。図4の処理において、音声データが非対応のフォーマットの場合は、前述で示した通り、ステップS402において、音声データのフォーマットはリニアPCM2chのみ対応するEDIDを生成し、EDID格納領域113へ書き込む。ステップS406の判断処理で、音声データがHDMI規格の必須データであるリニアPCM2chであるかどうかを判断する。
【0053】
また、ソース機器120が、映像データと音声データのどちらも非対応のフォーマットを出力した場合は、ステップS406において、映像データまたは音声データのどちらか片方のフォーマットで判断し、処理を行う。
【0054】
以上のように本実施の形態では、シンク機器110が非対応フォーマットの映像音声データを受信した時に、シンク機器110のEDIDを制御し、ソース機器120へ異なるEDIDを再度読み込ませる。この機能によって、ソース機器120が認識しているシンク機器110の対応フォーマットを更新し、ソース機器120から出力される映像音声データのフォーマットをシンク機器110にて処理可能なフォーマットへ切り替えることができる。
【0055】
したがって、本実施の形態によれば、ソース機器120とシンク機器110間でのフォーマットの不一致が発生し、映像音声がディスプレイまたはスピーカへ出力されなかった場合であっても、映像音声データのフォーマットを一致させることが可能になる。この際、ソース機器120側で機能を付加する必要がなく、また、ユーザの操作なしに自動的に、ソース機器120の映像音声データのフォーマットと、シンク機器110の映像音声データのフォーマットとを合致させ、伝送を行うことが可能になる。
【0056】
なお、本実施の形態において、シンク機器110のもつ、一つのEDID格納領域113を書き換えることで、2種類の異なるEDIDを設定する例を示したが、あらかじめ2種類のEDIDのデータを格納する領域を用意し、随時片方を使用する方法をとっても良い。また、EDID格納領域113を、制御部111の記憶領域、もしくは、HDMI伝送部112の記憶領域へ組み込む形をとっても良い。
【0057】
また、図5のEDIDのデータの構成は一例であり、この例に限定されるものではない。また、図4のステップS402では、HDMI規格の必須フォーマットである480pとリニアPCM2chを指定したが、ステップS407で書き込む元のEDIDとの差分があれば、シンク機器110が受信できるいずれの映像音声データのフォーマットであっても良い。
【0058】
また、図4のステップS403の閾値回数αを1回として、ステップS403〜S406の処理を1回だけにする方法をとっても良い。
【0059】
また、図4では、ソース機器、シンク機器ともに、映像音声データの伝送に対応しているものとして説明したが、ソース機器120が、音声データの送信に対応していない場合も考えられる。この場合、シンク機器110は映像データ受信に対してのみ図4の処理を行い、ステップS405及びS409での音声データ受信を確認しない方法をとっても良い。また、シンク機器110が、音声データの受信に対応していない場合は、ステップS402の必須フォーマットのEDID作成時に、映像データのフォーマットのみ記載する方法を取り、ステップS405及びS409での映像音声データ受信確認において、映像データの受信のみ確認する方法をとっても良い。
【0060】
また、図1のシンク機器110の構成では、ディスプレイ115とスピーカ116を内蔵している例を示しているが、これらを外部機器としてシンク機器110に接続可能な構成としてもよい。
【0061】
本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
映像データと音声データの少なくとも一方を含む映像音声データを送信するソース機器と、前記映像音声データを受信するシンク機器とが、通信路を介してデータ通信する通信制御システムであって、前記シンク機器は、前記映像音声データを処理する映像音声受信処理部と、前記映像音声受信処理部において処理可能な前記映像音声データのフォーマット情報を格納するフォーマット情報記憶領域と、前記ソース機器から処理不可能なフォーマットの映像音声データを受信した場合、前記フォーマット情報記憶領域に格納されているフォーマット情報を特定のフォーマット情報に設定して前記ソース機器へ読み込ませ、前記ソース機器が保持している前記シンク機器の映像音声データのフォーマット情報を更新させ、自装置が処理可能なフォーマットの映像音声データを送信させる制御部と、を備える通信制御システム。
上記構成により、ソース機器側の追加機能、あるいはユーザによる操作等の必要なく、ソース機器の映像音声データのフォーマットと、シンク機器の映像音声データのフォーマットとを一致させ、伝送を行うことが可能になる。
【0062】
上記の通信制御システムであって、前記シンク機器の制御部は、前記ソース機器が前記通信路から切断したことを検出すると、前記フォーマット情報の更新処理を中断する通信制御システム。
上記構成により、他のソース機器が接続されるような場合に適切に対応することができる。
【0063】
ソース機器と通信路を介して接続され、前記ソース機器から映像データと音声データの少なくとも一方を含む映像音声データを受信するシンク機器であって、前記映像音声データを処理する映像音声受信処理部と、前記映像音声受信処理部において処理可能な前記映像音声データのフォーマット情報を格納するフォーマット情報記憶領域と、を備え、前記フォーマット情報記憶領域は、前記処理可能な映像音声データのフォーマット情報として、特定の一つのフォーマット情報を含んだ第一の格納データと、処理可能なフォーマット情報を全て含んだ第二の格納データとのいずれかを選択的に格納するシンク機器。
上記構成により、ソース機器に対して、特定のフォーマット情報と自装置が処理可能な全てのフォーマット情報のいずれかを通知し、ソース機器が認識しているシンク機器の対応フォーマットを更新させることができる。
【0064】
上記のシンク機器であって、前記第一の格納データとして、HDMIの規格で定められている必須のフォーマット情報のみを前記フォーマット情報記憶領域へ格納するシンク機器。
上記構成により、ソース機器に対して、HDMIの規格で定められている必須のフォーマット情報を通知し、ソース機器が認識しているシンク機器の対応フォーマットを更新させることができる。
【0065】
上記のシンク機器であって、前記ソース機器から処理不可能なフォーマットの映像音声データを受信した場合、前記第一の格納データを前記フォーマット情報記憶領域へ格納して前記ソース機器へ読み込ませ、前記ソース機器が保持している前記シンク機器の映像音声データのフォーマット情報を更新させ、前記第一の格納データに対応するフォーマットの映像音声データを前記ソース機器から受信すると、前記第二の格納データを前記フォーマット情報記憶領域へ格納して前記ソース機器へ読み込ませ、自装置が処理可能なフォーマットの映像音声データを送信させる制御部をさらに備えるシンク機器。
上記構成により、ソース機器側の追加機能、あるいはユーザによる操作等の必要なく、ソース機器の映像音声データのフォーマットと、シンク機器の映像音声データのフォーマットとを一致させ、伝送を行うことが可能になる。
【0066】
上記のシンク機器であって、前記制御部は、前記第一の格納データを前記フォーマット情報記憶領域へ格納して前記ソース機器へ読み込ませ、前記第一の格納データに対応するフォーマットの映像音声データを受信しない場合、再度、前記第一の格納データのフォーマット情報を前記ソース機器へ読み込ませるシンク機器。
上記構成により、一度でソース機器が認識しているシンク機器の対応フォーマットが更新できない場合、再度第一の格納データのフォーマット情報を読み込ませて更新することが可能である。
【0067】
上記のシンク機器であって、前記制御部は、前記フォーマット情報の更新処理中、前記ソース機器より受信している映像音声データをミュートさせるシンク機器。
上記構成により、フォーマット情報の更新の際に、不要な映像及び音声の出力を停止することができる。
【0068】
以上、本発明を詳細に説明したが、上記説明はあらゆる意味において例示的なものであり限定的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなしに多くの他の改変及び変形例が可能であることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係わる通信制御システム、及びシンク機器は、従来のソース機器が接続される場合であっても、ソース機器とシンク機器間の映像音声データのフォーマットを一致させ、映像音声データの伝送を行うことのできる効果を有する。本発明は、例えばHDMIによって接続されるソース機器及びシンク機器を有するシステム等として有用であり、シンク機器が対応する映像音声データのフォーマットが限られる、特に車載環境など、ディスプレイサイズが小さく、高解像度の映像フォーマットに対応していないシンク機器を搭載するシステム等に好適である。
【符号の説明】
【0070】
10 通信制御システム
100 HDMI伝送路
110 シンク機器
120 ソース機器
100A TMDSライン
100B +5V Powerライン
100C Hot Plug Detectライン
100D DDCライン
111 制御部
112、121 HDMI伝送部
113 EDID格納領域
114 映像音声受信処理部
115 ディスプレイ
116 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データと音声データの少なくとも一方を含む映像音声データを送信するソース機器と、前記映像音声データを受信するシンク機器とが、通信路を介してデータ通信する通信制御システムであって、
前記シンク機器は、
前記映像音声データを処理する映像音声受信処理部と、
前記映像音声受信処理部において処理可能な前記映像音声データのフォーマット情報を格納するフォーマット情報記憶領域と、
前記ソース機器から処理不可能なフォーマットの映像音声データを受信した場合、前記フォーマット情報記憶領域に格納されているフォーマット情報を特定のフォーマット情報に設定して前記ソース機器へ読み込ませ、前記ソース機器が保持している前記シンク機器の映像音声データのフォーマット情報を更新させ、自装置が処理可能なフォーマットの映像音声データを送信させる制御部と、
を備える通信制御システム。
【請求項2】
前記シンク機器の制御部は、前記ソース機器が前記通信路から切断したことを検出すると、前記フォーマット情報の更新処理を中断する請求項1に記載の通信制御システム。
【請求項3】
ソース機器と通信路を介して接続され、前記ソース機器から映像データと音声データの少なくとも一方を含む映像音声データを受信するシンク機器であって、
前記映像音声データを処理する映像音声受信処理部と、
前記映像音声受信処理部において処理可能な前記映像音声データのフォーマット情報を格納するフォーマット情報記憶領域と、を備え、
前記フォーマット情報記憶領域は、前記処理可能な映像音声データのフォーマット情報として、特定の一つのフォーマット情報を含んだ第一の格納データと、処理可能なフォーマット情報を全て含んだ第二の格納データとのいずれかを選択的に格納するシンク機器。
【請求項4】
前記第一の格納データとして、HDMIの規格で定められている必須のフォーマット情報のみを前記フォーマット情報記憶領域へ格納する請求項3に記載のシンク機器。
【請求項5】
前記ソース機器から処理不可能なフォーマットの映像音声データを受信した場合、前記第一の格納データを前記フォーマット情報記憶領域へ格納して前記ソース機器へ読み込ませ、前記ソース機器が保持している前記シンク機器の映像音声データのフォーマット情報を更新させ、前記第一の格納データに対応するフォーマットの映像音声データを前記ソース機器から受信すると、前記第二の格納データを前記フォーマット情報記憶領域へ格納して前記ソース機器へ読み込ませ、自装置が処理可能なフォーマットの映像音声データを送信させる制御部をさらに備える請求項3に記載のシンク機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第一の格納データを前記フォーマット情報記憶領域へ格納して前記ソース機器へ読み込ませ、前記第一の格納データに対応するフォーマットの映像音声データを受信しない場合、再度、前記第一の格納データのフォーマット情報を前記ソース機器へ読み込ませる請求項3に記載のシンク機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記フォーマット情報の更新処理中、前記ソース機器より受信している映像音声データをミュートさせる請求項5に記載のシンク機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−199643(P2012−199643A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60943(P2011−60943)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】