説明

通信機器および検知周期補正方法

【課題】回路内の低消費電力を維持しつつ、基準周波数を高精度に補正することができる通信機器を提供する
【解決手段】所定条件下で中心周波数偏差を有する基準周波数を生成する基準周波数発生部と、基準周波数に基づく検知周期で動作し、基準周波数よりも高精度の基準周波数に基づいて生成された周期信号を検知する無線信号検知部とを備える。無線信号検知部は、周期信号を用いて検知周期を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信機器および検知周期方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、待機電力極小化技術チップに関する技術が知られている。そこで、この待機電力極小化技術チップ(以下、「EcoChip(エコチップ)」という。)を携帯電話機などの通信機器に搭載することにより、通信機器はアクセスポイント(以下、単に「AP」という。)や他の通信機器から送信された無線信号を常時監視することができる。すなわち、EcoChipを利用することにより、例えば携帯電話機とAPなどとの間において無線LAN通信を行うために、携帯電話機内の消費電力の大きいWLAN通信モジュールの電源をオフし、消費電力の小さいEcoChipによりAPからの信号を定期的に監視することができる。
【0003】
ここで、携帯電話機内のEcoChipは、APなどから送信された待ち受け中である信号が検知されたか否かを、時間軸上における受信強度(HighまたはLow)のみによって判断するようになっている。このため、EcoChipは、ユニーク(固有な)な送信系列または一定周期で送信し続けられる信号の周期性に基づいて、所要の検知の有無を判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−89434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EcoChipは、動作するための動作クロックに例えば回路内の水晶発振子により発生した基準周波数を用いる。また、EcoChipが動作するための動作クロックとして、電波時計を用いることも考えられる。しかし、電波時計は電波の受信状況に左右されることから屋内や特に地下では使用することは難しい。
【0006】
ここで、水晶発振子の精度は温度に依存する(周波数温度特性)。水晶発振子は、周囲の温度によって発振周波数が数100ppmのオーダーで変化してしまう可能性がある。そのため、EcoChipが動作するための動作クロックとして水晶発振子を用いる場合、水晶発振子による発振周波数を定期的にまたはイベントドリブンで補正する必要がある。
【0007】
一方、EcoChipが動作するための動作クロックとしてより高精度の水晶発振子を回路内に実装することも考えられる。しかし、高精度の水晶発振子用に新たなスペースを確保する必要がある。また、帰還回路などによる発振周波数の補正方法では、EcoChipにおける消費電力が増えてしまい、EcoChipによる低消費電力化を実現することが困難となる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、回路内の低消費電力を維持しつつ、基準周波数を高精度に補正することができる通信機器および検知周期補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の通信機器は、所定条件下で中心周波数偏差を有する基準周波数を生成する基準周波数発生部と、前記基準周波数に基づく検知周期で動作し、前記基準周波数よりも高精度の基準周波数に基づいて生成された周期信号を検知する無線信号検知部とを備える。前記無線信号検知部は、前記検知周期を前記周期信号から生成された時刻制御信号を用いて補正することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態における通信機器の一例である携帯電話機のシステム構成図。
【図2】図1の無線信号検知回路および無線通信モジュールを特に示す回路構成図。
【図3】基準周波数発生回路の温度対周波数許容偏差の一例を示す図。
【図4】無線信号検知回路が無線信号の検知に用いるレジスタの構成を説明する図。
【図5】検知ウインドウごとに得られた信号パターンを概念的に示す図。
【図6】連続した起床区間における周期信号の検出時刻のずれを説明する図。
【図7】レジスタの構成例を示す図。
【図8】無線信号検知回路が間欠動作する際に検知ウインドウで検出された信号パターンの様子を示す図。
【図9】ウインドウ幅が周期信号の周期に対して誤差を有しない場合の検知ウインドウの加算および積算処理を説明する図。
【図10】ウインドウ幅が周期信号の周期に対して誤差を有する場合の検知ウインドウの加算および積算処理を説明する図。
【図11】本実施形態における携帯電話機において実行される検知ウインドウ補正処理を説明するフローチャート。
【図12】ハイレベル区間の幅の差を求める際の概念図。
【図13】他の検知ウインドウ補正処理を説明する概念図。
【図14】無線信号検知回路および無線通信モジュールを特に示す変形例としての回路構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る通信機器および検知周期補正方法の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における通信機器の一例である携帯電話機1のシステム構成図である。
【0013】
携帯電話機1は、移動通信モジュール11、WLAN通信モジュール12、BT通信モジュール13、CPU15、メモリ16、入力部17、表示部18、マイクロフォン19、スピーカ20、無線信号検知回路23および電源回路24を有する。携帯電話機1の各部は、バス25により接続される。
【0014】
電源回路24は、バッテリの出力を基に所定の動作電源電圧を生成して動作電力を各回路部に供給する。携帯電話機1は、電源回路24から供給されるこの動作電力に基づいて動作する。
【0015】
移動通信モジュール11は、基地局(図示せず)との音声や電子メールなどのデータの送受信を実現する。移動通信モジュール11は、アンテナを備え、移動体通信網に収容される基地局から所定の通信処理システムで送信される無線信号を空間から受信する。また、移動通信モジュール11は、基地局に対して所定の通信処理システムで無線通信できるようにアンテナを介して空間に所定の無線信号を放射する。移動通信モジュール11は、受信された信号に対して所定の処理を行った後、CPU15にデータを出力したり、スピーカ20より音声を出力したりする。また、移動通信モジュール11は、CPU15より出力されたデータやマイクロフォン19より集音された音声を所定の処理を行った後送信する。
【0016】
WLAN通信モジュール12は、内蔵されたアンテナを介して通信規格IEEE802.11aやIEEE802.11bなどに準拠した無線LAN通信を行う。
【0017】
Bluetooth(BT)通信モジュール13は、アンテナを介して携帯電話機1の近傍(数m〜十数m)に存在する他の通信機器などと無線通信を行う。
【0018】
CPU(central Processing Unit)15は、種々の制御信号を生成し、各部に供給することにより携帯電話機1を統括的に制御する。CPU15は、メモリ16としてのROM(Read Only Memory)に記憶されているプログラムまたはROMからRAM(Random Access Memory)にロードされた、オペレーティングシステム(OS)を含む各種アプリケーションプログラムや制御プログラム(ファームウェアなど)に従って各種処理を実行する。
【0019】
メモリ16は、ROM、RAM、フラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などの記憶装置である。
【0020】
入力部17は、例えば操作キータイプやタッチパネルタイプなどの入力手段を介して入力を受け付け、この入力信号をCPU15に出力する。表示部18は、CPU15の指示に基づいて文字や画像などからなるデータを出力する。この表示部18は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイなどにより構成される。
【0021】
無線信号検知回路23は、振幅変調(オンオフキーイング)された無線信号を検知するための回路である。無線信号検知回路23は、例えばアクセスポイント(AP)やパーソナルコンピュータ(PC)などの他の通信機器より受信した無線信号の時間軸における電力値の大小のパターンおよび周期によって信号の種類を判定する。以下、無線信号検知回路23が受信した無線信号の時間軸における電力値の大小のパターンおよび周期を「特定パターン」という。
【0022】
無線信号検知回路23は、検知した特定パターンを照合した結果、特定パターンが予め記憶した待ち受ける無線信号の特定パターンであると判定した場合には、所定の制御信号を割り込み信号としてCPU15やWLAN通信モジュール12、BT通信モジュール13、電源回路24に出力したりする。
【0023】
WLAN通信モジュール12やBT通信モジュール13は、受信した無線信号をダウンコンバートして復号しデータを得る機能や、データを送信する機能(符号化、変調、無線信号送信)を備えているため、無線信号検知回路23に比べて動作電力が高くなっている。すなわち、無線信号検知回路23は、WLAN通信モジュール12やBT通信モジュール13がAPやPCより送出された所定の無線信号を監視する際の動作電力よりも低い動作電力によって、この所定の無線信号を待ち受けることが可能な回路である。このため、本実施形態における携帯電話機1は、WLAN通信モジュール12やBT通信モジュール13に代えて無線信号検知回路23が無線信号を待ち受けることにより、WLAN通信モジュール12などの動作電力を抑制するようになっている。なお、無線信号検知回路23が所定の無線信号を検知した場合には、CPU15を介して、または直接WLAN通信モジュール12などに通知する。その後、WLAN通信モジュール12などの各部は起動し、公知の接続処理やデータ通信を行う。
【0024】
無線信号検知回路23の各回路は、後述する各回路の説明毎に示す文献に記載された技術をはじめとする、省電力化を実現することが可能な従来技術を適用して構成することができる。しかし、無線信号検知回路23は、後述する文献に記載された構成に限らず、少なくともWLAN通信モジュール12が他の機器(PCやAPなど)より送出された無線信号を監視する際の動作電力より低い動作電力でこの無線信号を待ち受けることが可能であればいかなる構成であってもよい。
【0025】
なお、携帯電話機1の外部と無線通信を行うWLAN通信モジュール12、BT通信モジュール13および移動通信モジュール11を特に区別しない場合、または3つのうち少なくともいずれかを指す場合には、単に「無線通信モジュール26」という。
【0026】
図2は、図1の無線信号検知回路23および無線通信モジュール26を特に示す回路構成図である。
【0027】
無線信号検知回路23は、RF信号受信回路31、ダウンコンバータ(整流回路)32、ベースバンド(BB)信号増幅回路33、信号識別回路34、制御信号出力回路35を備える。このうち、RF信号受信回路31、ダウンコンバータ(整流回路)32およびベースバンド(BB)信号増幅回路33は、アナログ回路で構成される。また、信号識別回路34および制御信号出力回路35は、デジタル回路で構成される。
【0028】
RF(Radio Frequency)信号受信回路31は、APやPCなどの通信機器より送出された検知感度に達する無線信号(電波)を受信すると、この信号を増幅しダウンコンバータ32に出力する。なお、RF信号受信回路31は、バイパス可能な回路となっている。RF信号受信回路31がバイパスされる場合には、モノポールアンテナ61が受信した信号は集中定数整合回路30を経てダウンコンバータ32へ出力される。
【0029】
ダウンコンバータ(整流回路)32は、RF信号受信回路31より出力されたRF信号を整流および検波して復調信号を取得する。なお、省電力化のため、ダウンコンバータ(整流回路)32は局部発振器を有しない構成となっている。ダウンコンバータ(整流回路)32の構成については、例えば特許第4377946号公報(復調装置)に記載された技術を適用することができる。
【0030】
BB信号増幅回路33は、ダウンコンバータ(整流回路)32から出力された復調信号を増幅する。BB信号増幅回路33の構成については、例えば特開2009−89434号公報(トリガ信号発生装置)に記載された技術が適用可能である。
【0031】
信号識別回路34は、BB信号増幅回路33において増幅された信号の電位を比較基準電位と比較する。比較基準電位には複数の値が設定可能であるが、全てのビーコンを検知することが可能となるように低めの閾値を設定しておくのが好ましい。信号識別回路34は、この比較基準電位よりも電位が高い信号が検出された場合にはハイレベル、比較基準電位よりも電位が低い信号はローレベルと識別して信号レベルを取得する。すなわち、信号識別回路34は、時間軸における電圧の大小のパターンおよび周期、すなわち特定パターンを取得する。また、信号識別回路34は、必要に応じて、得られた信号が待ち受ける無線信号の特定パターンと一致するか否かを識別し、識別結果を制御部36に出力する。
【0032】
制御信号出力回路35は、制御部36より出力された指示に基づいて割込み処理の発生を通知する旨の制御信号を生成し、生成された制御信号をCPU15などに出力する。また、制御信号出力回路35は、CPU15より出力された制御信号を受信し、制御部36に通知する。
【0033】
制御部36は、信号識別回路34および制御信号出力回路35を制御する。また、本実施形態においては、無線信号検知回路23が自律的に行う検知ウインドウ補正処理(詳細は後述する)を行う。
【0034】
記憶部37は、無線信号検知回路23がWLAN通信モジュール12やBT通信モジュール13に代わって待ち受ける信号の特定パターンに関する情報を記憶する。また、記憶部37は、後述する検知ウインドウ補正処理に必要なデータを記憶したり、補正処理のために生成した補正データを記憶したりする。
【0035】
基準周波数発生回路41は、無線信号検知回路23が動作するための基準周波数を生成し、発振/分周回路42に供給する。発振/分周回路42は、供給された基準周波数を所要の周波数に分周し、信号識別回路34に供給する。また、無線信号検知回路23の各回路、基準周波数発生回路41および発振/分周回路42は、電源43より供給された動作電圧によって動作する。
【0036】
無線通信モジュール26(WLAN通信モジュール12、BT通信モジュール13、移動通信モジュール11)は、高精度基準周波数発生回路51から供給される基準周波数に基づいて動作するようになっている。また、無線通信モジュール26は、電源52より供給される動作電力に基づいて動作する。
【0037】
図3は、基準周波数発生回路の温度対周波数許容偏差の一例を示す図である。
【0038】
図3は、25℃の時の周波数を基準として、周囲温度の変化による周波数許容偏差の変化を示すものである。図3に示すように、一般的な基準周波数発生回路は、温度変化に伴い水晶発振の精度が変化する。このため、水晶発振器の温度補償は必須となる。
【0039】
ここで、無線通信モジュール26が動作するための基準周波数を供給する高精度基準周波数発生回路51は、例えば1MHzで動作する水晶発振子によって基準周波数を発生させる回路である。高精度基準周波数発生回路51は、温度補償回路などの補正回路を備えており、温度に依存する周波数温度特性が良好である一方、消費電流が大きい回路である。
【0040】
これに対し、無線信号検知回路23が動作するための基準周波数を供給する基準周波数発生回路41は、例えば32.768kHzで振動する水晶発振子によって基準周波数を発生させる回路である。また、基準周波数発生回路41は、低消費電力の観点から高精度基準周波数発生回路51に比べて周波数が小さく、また高精度基準周波数発生回路51が備える程の高精度な補正回路は備えていない。すなわち、基準周波数発生回路41は、高精度基準周波数発生回路51に比べて低消費電力で動作する一方、周囲温度の変化により周波数が変動するため精度は低く誤差を含みやすくなっている。
【0041】
モノポールアンテナ61は、アンテナ切替スイッチ62の状態に応じて無線信号検知回路23の受信アンテナとして、または無線通信モジュール26の送受信アンテナとして機能する。アンテナ切替スイッチ62の状態がスイッチステートA1およびA2の場合、モノポールアンテナ61は無線信号検知回路23の受信アンテナとして機能する。アンテナ切替スイッチ62の状態がスイッチステートA1の場合には、RF信号受信回路31はバイパスされ、受信された信号は集中定数整合回路30を経てダウンコンバータ32に供給される。また、スイッチステートA2の場合には、受信された信号はRF信号受信回路31に供給される。アンテナ切替スイッチ62の状態がスイッチステートA3の場合、無線通信モジュール26の送受信アンテナとして機能する。
【0042】
なお、アンテナ切替スイッチ62の状態により送受信状態が切り替えられる無線通信モジュール26は、WLAN通信モジュール12、BT通信モジュール13および移動通信モジュール11の少なくとも1つであってよい。
【0043】
本実施形態においては、無線信号検知回路23は、一定周期で送信される信号(以下、「周期信号」という。)の周期に対応した周期からなる検知ウインドウごとに信号レベルで表される信号パターンを取得することにより、周期信号の検知を行う。すなわち、無線信号検知回路23は、検知ウインドウごとにほぼ等しい信号パターンが現われたか否かを識別することにより、周期信号を検知することができる。無線信号検知回路23は、この検知ウインドウごとの信号パターンを、レジスタに記憶する。
【0044】
図4は、無線信号検知回路23が無線信号の検知に用いるレジスタの構成を説明する図である。
【0045】
無線信号検知回路23は、所定のサンプリングピッチごとに信号識別回路34により識別された信号レベルを制御部36に出力する。無線信号検知回路23は、例えば、無線LAN通信時に用いられるビーコン信号などの102.4ms周期で送信される無線信号を検知する場合、サンプリングピッチを0.2ms、サンプリング点数を512点に設定して検出を行う。なお、他の周期で送信される無線信号を受信する場合には、サンプリングピッチやサンプリング点数を調整することにより対応可能である。
【0046】
制御部36は、0〜511番が割り当てられた512個のレジスタ(記憶部37)に、識別された信号レベルを順次記憶する。制御部36は、例えば信号識別回路34において比較基準電位より電位が高い信号が検出された場合(信号が検知された場合)にはハイレベル(1)、電位が低い信号が検出された場合(信号が未検知である場合)にはローレベル(0)を示す情報を記憶する。レジスタは、0〜511番のレジスタに信号レベルを記憶すると、再度0番から信号レベルを記憶する。周期信号が理想的に検知された場合には、ハイレベルを示す情報は常にレジスタの一定の位置に現われるため、制御部36は検知ウインドウ内のハイレベルの位置を参照することにより周期信号の検知を行うことができる。
【0047】
図5は、検知ウインドウごとに得られた信号パターンを概念的に示す図である。
【0048】
図5(A)は、ウインドウ幅が周期信号に一致する例を示す。図5(B)は、ウインドウ幅が周期信号と不一致である例を示す。
【0049】
検知ウインドウは、図示左から右に向かう方向に時刻が経過している。以下、検知ウインドウ内の信号の検出時刻を信号の検出位置という。また、一の検知ウインドウの周期に相当する量を、「ウインドウ幅」という。
【0050】
図5(A)に示すように、ウインドウ幅と102.4ms周期で送信される周期信号の周期とが一致すると、周期信号は各ウインドウ幅において同位置に現われる。すなわち、無線信号検知回路23は、周期信号を正しく検知することができる。
【0051】
一方、図5(B)に示すように、ウインドウ幅が周期信号に対してずれ、ウインドウ幅が大きくなる(検知ウインドウの周期が大きくなる)場合、ウインドウ幅と周期信号の周期とが一致せず各検知ウインドウにおける信号パターン(周期信号が現われる位置)が一致しない。このため、無線信号検知回路23は、周期信号を一定周期で送信された無線信号として検知できない可能性がある。
【0052】
このように、基準周波数発生回路41に生じる周囲温度の変化により周波数が変化すると、ウインドウ幅と周期信号の周期とがずれてしまう。この結果、無線信号検知回路23は、周期信号をデータ信号のようなバースト性を有する信号として認識したり、異なる周期信号であると認識したりして、周期信号を正しく検知できない。
【0053】
また、無線信号検知回路23は、低消費電力の観点から間欠動作を行うようになっている。例えば、無線信号検知回路23は、10秒ごとに1秒間起床する間欠動作を行う。上述したとおり、温度変化の影響を受け周波数が変化するため、無線信号検知回路23は、起床区間ごとの周期信号の検出位置の誤差が顕著に表れる可能性がある。
【0054】
図6は、連続した起床区間における周期信号の検出時刻のずれを説明する図である。
【0055】
図6(A)は、ある時刻Tにおける検知ウインドウ内の周期信号の検出位置を示す。図6(B)は、時刻Tから10秒後における検知ウインドウ内の周期信号の検出位置を示す。
【0056】
例えば、基準周波数発生回路41が100ppmの偏差を含む場合、10秒後に検知される周期信号の基準周波数に対する検出時刻ずれは、1msとなる。無線LAN通信のビーコン信号の送信時間(パルス幅)が0.8ms(一般的には0.8ms〜1.6ms)である場合、時刻Tで検出されたビーコン信号の検出終了時刻と時刻Tから10秒後に検知されたビーコン信号の検出開始時刻との間隔が0.2msとなる。このため、時刻Tで検出されたビーコン信号と時刻Tから10秒後に検出されたビーコン信号とは別の信号であると検知されてしまう可能性が高い。
【0057】
本実施形態における携帯電話機1は、基準周波数発生回路41から供給される基準周波数に誤差が生じた場合、すなわちウインドウ幅が周期信号の周期に対してずれを生じた場合に、ウインドウ幅に対応する使用レジスタ個数を調整することにより自律的にウインドウ幅の補正を行うようになっている。
【0058】
図7は、レジスタの構成例を示す図である。
【0059】
レジスタは、基準値であるレジスタ個数512個よりも多く用意される。(図5においては527個)このため、基準周波数発生回路41より供給される基準周波数が小さくなった場合、すなわちウインドウ幅が周期信号の周期よりも大きくなった場合には、無線信号検知回路23は、ウインドウ幅内のレジスタ個数をずれに応じて512個よりも少なくする。また、基準周波数が大きくなった場合、すなわちウインドウ幅が周期信号の周期よりも小さくなった場合には、ウインドウ幅内のレジスタ個数をずれに応じて512個よりも多くする。
【0060】
例えば、基準周波数が正確である場合には、図5(A)に示すように、0番〜511番の512個のレジスタが一の検知ウインドウにおける周期信号の検知に使用される。基準周波数が小さくなった場合には、図5(B)に示すように、0番〜509番の510個のレジスタが使用される。また、基準周波数が大きくなった場合には、図5(C)に示すように、0番〜514番の515個のレジスタが使用される。
【0061】
以下、具体的に使用するレジスタの個数を調整することにより行われる検知ウインドウの補正処理について説明する。
【0062】
検知ウインドウ補正処理は、基準周波数発生回路41より高精度な基準周波数発生回路から供給される基準周波数に基づいて動作する回路から送信された周期信号に基づいて行われる。
【0063】
この補正処理において用いることが可能な周期信号の一例としては、WLAN通信モジュール12、BT通信モジュール13および移動通信モジュール11が外部機器に対して送信する周期信号、または補正処理のために無線信号検知回路23に対して送信する周期信号である。CPU15は、無線信号検知回路23が外来雑音を誤検知しないよう、補正処理時においてはアンテナ切替スイッチ62を切替える。例えば、無線信号検知回路23は、アンテナ切替スイッチ62がスイッチステートA3である場合にはモノポールアンテナ61と接続されていない。このため、無線信号検知回路23は、外来雑音を誤検知することなく、無線通信モジュール26が外部機器に対して送信した周期信号の漏れ電流や、携帯電話機1内部の基板を介して伝わる漏れ電流により補正処理を行うことができる。
【0064】
補正処理は、無線信号検知回路23が検知した検知ウインドウ間で得られた信号パターンを用いて行われる。具体的には、無線信号検知回路23は、検知ウインドウ内のハイレベルを示す区間(ハイレベル区間)の幅(時間)および検出位置(検出時刻)を利用して行われる。このハイレベル区間の幅は、ハイレベルを示すレジスタの個数から取得される。以下、ハイレベル区間の幅の取得方法の一例について説明する。
【0065】
図8は、無線信号検知回路23が間欠動作する際に検知ウインドウで検出された信号パターンの様子を示す図である。
【0066】
区間Ta1およびTa2は、無線信号検知回路23の間欠動作における起床区間である。すなわち、無線信号検知回路23は、区間Ta1およびTa2においては、周期信号の検知を行う。区間Tbは、無線信号検知回路23の間欠動作における休止区間である。すなわち、無線信号検知回路23は、区間Tbにおいては周期信号の検知を行わない。
【0067】
無線信号検知回路23は、上述したとおり基準周波数発生回路41の精度は温度変化により中心周波数に対して偏差を含む。また、無線信号検知回路23は、このような間欠動作に基づいて周期信号を受信するため、この誤差を考慮しない場合には起床区間Ta1と停止期間Tb後の起床区間Ta2とで検知された信号は異なる周期信号として検知してしまう可能性がある。
【0068】
無線信号検知回路23は、例えば1回の起床区間に取得された所定数の検知ウインドウの検出結果、すなわち信号パターンから時刻制御信号を取得する。時刻制御信号は、検知ウインドウ補正処理に用いられる補正データである。時刻制御信号は、検知ウインドウの信号パターンを時間軸に対して加算または積算(以下、単に「検知ウインドウの加算または積算」という。)して得られた信号パターン(無線信号検知回路23が間欠動作しない場合には所定数の検知ウインドウを加算または積算して得られた信号パターン)を示す信号である。具体的には、時刻制御信号は、加算または積算後のハイレベルを示す区間(以下、「ハイレベル区間」という。)およびローレベルを示す区間(以下、「ローレベル区間」という。)を示すものである。例えば、加算の繰り返し回数が20回に設定された場合には、無線信号検知回路23は、20の検知ウインドウの信号パターンの加算を行って得られた信号パターンを、1回分の時刻制御信号として取得する。この加算および積算の回数は、高精度基準周波数発生回路51が有する誤差(精度)に応じて決定されるのが好ましい。
【0069】
なお、起床区間の間隔は、高精度基準周波数発生回路51の誤差(精度)、すなわち周期信号の誤差に応じて決定されるのが好ましい。高精度基準周波数発生回路51の誤差を考慮することにより、無線信号検知回路23における周期信号の検知の精度を維持することができるためである。
【0070】
図9は、ウインドウ幅が周期信号の周期に対して誤差を有しない場合の検知ウインドウの加算および積算処理を説明する図である。
【0071】
図10は、ウインドウ幅が周期信号の周期に対して誤差を有する場合の検知ウインドウの加算および積算処理を説明する図である。
【0072】
なお、図9および図10は、無線信号検知回路23が102.4ms周期の周期信号を検知した例を示す。
【0073】
無線信号検知回路23は、複数の検知ウインドウを時間軸で一致させて加算する。図9に示すように、検知ウインドウA1と検知ウインドウA2とを加算すると、ウインドウ(A1+A2)に示すようにハイレベル区間の幅Hi_A12を有する信号パターンが得られる。検知ウインドウA1と検知ウインドウA2と検知ウインドウA3とを加算すると、ウインドウ(A1+A2+A3)に示すようにハイレベル区間の幅Hi_A123を有する信号パターンが得られる。ウインドウ幅が誤差を有しない場合には、検知ウインドウA1のハイレベル区間の幅Hi_A1、およびHi_A12とHi_A123とは一致する。
【0074】
また、検知ウインドウA1と検知ウインドウA2との理論積を取ると、ウインドウ(A1×A2)に示すように、ハイレベル区間の幅Hi_A12を有する信号パターンが得られる。検知ウインドウA1と検知ウインドウA2と検知ウインドウA3との理論積を取ると、ウインドウ(A1×A2×A3)に示すように、ハイレベル区間の幅Hi_A123を有する信号パターンが得られる。ウインドウ幅が誤差を有しない場合には、ウインドウA1のハイレベル区間の幅ΔHi_A1、およびHi_A12とHi_A123とは一致する。
【0075】
一方、図10に示すように、検知ウインドウB1と検知ウインドウB2とを加算すると、ウインドウ(B1+B2)に示すように、ハイレベル区間の幅Hi_B12を有する信号パターンが得られる。検知ウインドウB1と検知ウインドウB2と検知ウインドウB3とを加算すると、ウインドウ(B1+B2+B3)に示すように、ハイレベル区間の幅Hi_B123を有する信号パターンが得られる。ウインドウ幅が誤差を有する場合には、ウインドウB1のハイレベル区間の幅Hi_B1、およびHi_B12とHi_B123とは異なる値となる。すなわち、加算後のハイレベル区間の幅は、加算するごとに徐々に大きくなる。
【0076】
また、検知ウインドウB1と検知ウインドウB2との理論積を取ると、ウインドウ(B1×B2)に示すように、ハイレベル区間の幅Hi_B12を有する信号パターンが得られる。検知ウインドウB1と検知ウインドウB2と検知ウインドウB3との理論積を取ると、ウインドウ(B1×B2×B3)に示すように、ハイレベル区間の幅Hi_B123(図8においてはなし)を有する信号パターンが得られる。ウインドウ幅が誤差を有する場合には、検知ウインドウB1のハイレベル区間の幅Hi_B1、およびHi_B12とHi_B123とは一致しない。
【0077】
なお、時刻制御信号は、所定数の検知ウインドウを加算または積算する場合に限らず、一の検知ウインドウの信号パターンをそのまま時刻制御信号として用いてもよい。
【0078】
以下に説明する検知ウインドウ補正処理は、ウインドウ幅TwをTstepずつ変化させ、周期信号の周期に対するウインドウ幅のずれが最も小さくなるウインドウ幅Twを決定することにより行われる。
【0079】
図11は、本実施形態における携帯電話機1において実行される検知ウインドウ補正処理を説明するフローチャートである。
【0080】
以下の補正処理においては、無線信号検知回路23が主に実行するステップについては、無線信号検知回路23を主語にして説明する。また、補正処理に用いられる周期信号を送信する無線通信モジュール26に、WLAN通信モジュール12を用いた場合を例に説明する。
【0081】
また、補正処理は、例えばWLAN通信モジュール12が他の通信機器と無線LAN通信を行う際の初期設定時などの所定のタイミングで開始される。
【0082】
ステップS1において、CPU15は、ウインドウ幅の補正が必要か否かの判定を行う。CPU15は、例えばユーザにより設定された補正を実施するタイミングに関する情報(補正を実施する間隔など)に基づいて判定を行う。CPU15は、補正が必要ではないと判定した場合(ステップS1のNO)、補正判定ステップS23に進む。
【0083】
無線信号検知回路23はウインドウ幅の補正が必要であると判定した場合(ステップS1のYES)、ステップS2において、記憶部37に記憶された補正に必要な各値を初期化する。具体的には、無線信号検知回路23は、検知ウインドウの加算または積算の繰り返し回数(以下、単に「加算繰り返し回数」という。)Nを0に設定する(N=0)。また、時刻制御信号の取得回数nを1にする(n=1)。また、無線信号検知回路23は、n回目に取得されたハイレベル区間の幅およびローレベル区間の幅を0に設定する(Hi_1=Hi_2=・・・=Hi_n=0、L_1=L_2=・・・=L_n=0)。なお、ハイレベルまたはローレベル区間の幅は、例えば各レベルを示すレジスタの個数を用いて表現される。
【0084】
ステップS3において、WLAN通信モジュール12は周期信号を送信する。WLAN通信モジュール12は、例えばCPU15から指示を受け付けた場合に周期信号を送信する。また、無線信号検知回路23は、WLAN通信モジュール12から受信した周期信号を記憶部37に記憶する。このとき、無線信号検知回路23は、入力電力のレベルおよび信号識別回路34の閾値を制御することにより、WLAN通信モジュール12から送信される周期信号以外の信号の検知を行わないのが好ましい。
【0085】
ステップS4において、無線信号検知回路23は、受信した周期信号のS/N(signal−noise)比(受信S/N)が受信品質を判定するための閾値としてのS/N比(閾値S/N)よりも大きいか否かの判定を行う(受信S/N>閾値S/N)。品質判定ステップS4は、一定の品質を有する信号に基づいてウインドウ幅の補正を行うことができるか否かを判定するために行われる。無線信号検知回路23は、受信した周期信号のS/N比が閾値としてのS/N比以下であると判定した場合(ステップS4のNO)、すなわち、所要の受信品質が得られていないと判定した場合、ステップS20に進む。
【0086】
無線信号検知回路23は、受信した周期信号のS/N比が閾値としてのS/N比よりも大きいと判定した場合(ステップS4のYES)、すなわち、所要の受信品質が得られた場合、ステップS5において、記憶部37に予め記憶されている初期ウインドウ幅Tw0を読み出し、この初期ウインドウ幅Tw0を周期信号の検知に用いられるウインドウ幅Twとして設定する。無線信号検知回路23が信号検知に用いるレジスタ個数は、このウインドウ幅Tw0によって決定される。この初期ウインドウ幅Tw0は、例えば図3に示すような基準周波数発生回路の温度対周波数許容偏差逆二乗特性のピーク値より得られる値に設定されるのが好ましい。基準周波数の変化は、小さくなる方向への変化に限られるため、ウインドウ幅を大きくする方向の補正のみを考慮でき、補正処理の簡易化を図ることができる。これに対し、ウインドウ幅Tw0がピーク値より得られる値を考慮せず設定された場合には、ウインドウ幅を大きくする方向と小さくする方向の2つの補正が考えられる。このため、補正時間の無用な増加や回路の複雑化を招いてしまう。
【0087】
ステップS6において、無線信号検知回路23は、一の検知ウインドウで検知された信号パターンからハイレベル区間の幅Hi_n、ローレベル区間の幅L_nを測定する。無線信号検知回路23は、ハイレベル信号が検知された場合にはハイレベルを示す情報をレジスタに記憶する。無線信号検知回路23は、ローレベルが検知された場合には、ローレベルを示す情報をレジスタに記憶する。無線信号検知回路23は、このレジスタに記憶された信号レベルを示す情報(すなわち信号パターン)からハイレベル区間の幅Hi_nおよびローレベル区間の幅L_nをそれぞれ測定する。
【0088】
ステップS7において、無線信号検知回路23は、ハイレベル区間の幅Hi_nは予め設定されたハイレベル区間の幅の最小値Hi_minから最大値Hi_maxまでの範囲内にあるか否かの判定を行う(Hi_min<Hi_n<Hi_max)。また、無線信号検知回路23は、ローレベル区間の幅L_nは予め設定されたローレベル区間の幅の最小値L_minから最大値L_maxまでの範囲内にあるか否かの判定を行う(L_min<L_n<L_max)。このステップS7は、測定ステップS6において測定されたハイレベル区間の幅およびローレベル区間の幅が所定範囲内に収まるか否かを判定することにより、ハイレベル区間の幅およびローレベル区間の幅が正常に測定されているか否か(誤検知の有無)を判定する。無線信号検知回路23は、ハイレベル区間の幅およびローレベル区間の幅は、それぞれ所定の最小値から最大値までの範囲内にはないと判定した場合(ステップS7のNO)、ステップS20に進む。
【0089】
無線信号検知回路23は、ハイレベル区間の幅およびローレベル区間の幅は、それぞれ所定の最小値から最大値までの範囲内にあると判定した場合(ステップS7のYES)、ステップS8において、ハイレベル区間の幅Hi_nの値を上書き記録する。ステップS9において、無線信号検知回路23は、現在の加算繰り返し回数Nを1増加する(N=N+1)。なお、無線信号検知回路23は、記憶部37への記憶を行うタイミングを、CPU15が起動しているタイミングで実施するのが好ましい。CPU15が起動中は、ホスト側で大きな消費電力が使われており、無線信号検知回路23による補正処理に要する消費電力がほぼ無視できるためである。
【0090】
ステップS10において、無線信号検知回路23は、現在の加算繰り返し回数Nが予め設定された加算繰り返し回数Naccumulateよりも大きいか否かの判定を行う(N≧Naccumulate)。無線信号検知回路23は、現在の加算繰り返し回数Nが予め設定された加算繰り返し回数Naccumulateよりも小さいと判定した場合(ステップS10のNO)、信号送信ステップS3に戻る。すなわち、無線信号検知回路23は、現在の加算繰り返し回数Nが加算繰り返し回数Naccumulate以上になるまで信号送信ステップS3〜繰り返し回数判定ステップS10を繰り返す。
【0091】
無線信号検知回路23は、現在の加算繰り返し回数Nが加算繰り返し回数Naccumulate以上であると判定した場合(ステップS10のYES)、ステップS11において、n回目の検出で取得された時刻制御信号に含まれるハイレベル区間の幅Hi_nと、1回目の検出で取得された制御信号に含まれるハイレベル区間の幅Hi_1との差が、所定値Hi_threshold以下(|Hi_n−Hi_1|≦Hi_threshold)であるか否かの判定を行う。図10に示すように、ウインドウ幅は基準周波数の変化に伴って誤差が生じるため、時刻制御信号の取得回数nを重ねるにつれて時刻制御信号のハイレベル区間の幅についても誤差が大きくなる。このため、1回目のハイレベル区間の幅Hi_1を基準値として用いる。なお、無線信号検知回路23は、1回目以外で取得された時刻制御信号を用いてもよい。
【0092】
図12は、ハイレベル区間の幅の差を求める際の概念図である。
【0093】
図12においては、1回の起床区間における3つの検知ウインドウを加算して得られた信号を時刻制御信号とする例を説明する。
【0094】
Hi_1は、1回目の起床区間Ta1における検知ウインドウC1、C2、C3を加算して得られる時刻制御信号のハイレベル区間の幅である。Hi_nは、n回目の起床区間Tanにおける検知ウインドウD1、D2、D3を加算して得られる時刻制御信号のハイレベル区間の幅である。無線信号検知回路23は、このハイレベル区間の幅Hi_1とHi_nとの差分を求める。すると、無線信号検知回路23は、ウインドウ(C−D)に示すように|Hi_n−Hi_1|を求めることができる。無線信号検知回路23は、この|Hi_n−Hi_1|が所定値Hi_threshold以下であるか否かの判定を行う。
【0095】
無線信号検知回路23は、ハイレベル区間Hi_nとハイレベル区間Hi_1との差が、所定値Hi_thresholdより大きいと判定した場合(ステップS11のNO)、加算ステップS14に進む。
【0096】
一方、無線信号検知回路23は、ハイレベル区間Hi_nとハイレベル区間Hi_1との差が、所定値Hi_threshold以下であると判定した場合(ステップS11のYES)、ステップS12において、取得回数n回目のハイレベル区間Hi_nと取得回数1回目のハイレベル区間Hi_1との差が、所定値Hi_diff以上(|Hi_n−Hi_a|≧Hi_diff)であるか否かの判定を行う。所定値Hi_diffは、後述するステップS14において設定される、n−1回目に取得された時刻制御信号のハイレベル区間Hi_n−1と1回目に取得された時刻制御信号のハイレベル区間Hi_1との差(以下、「前回差分」という。)である。すなわち、この前回差分判定ステップS12は、今回所得された時刻制御信号のハイレベル区間の幅Hi_nとハイレベル区間の幅Hi_1との差が、前回取得された時刻制御信号のハイレベル区間の幅Hi_n−1とハイレベル区間の幅Hi_1との差以上であるか否かを判定する処理である。
【0097】
ハイレベル区間の幅Hi_nとHi_1との差が前回差分Hi_diff以上である場合には、無線信号検知回路23は前回および今回のウインドウ幅と周期信号の周期とのずれは許容値(Hi_threshold)以下であり、かつ検知回数n−1回目で行ったウインドウ幅の補正がより適切であったと判定することができるためである。
【0098】
なお、1回目に取得された時刻制御信号のハイレベル区間の幅Hi_1に対しては前回差分が存在しない。このため、Hi_diffは予め適当な値(例えばHi_diff=100)が初期値として設定される。
【0099】
無線信号検知回路23は、Hi_nとHi_1との差が前回差分Hi_diffより小さいと判定した場合(ステップS12のNO)、ステップS13において、前回差分Hi_diffをハイレベル区間の幅Hi_nとHi_1との差に更新する(Hi_diff=|Hi_n−Hi_1|)。すなわち、無線信号検知回路23は、新たな前回差分Hi_diffを記憶部37に記憶する。
【0100】
ステップS14において、時刻制御信号の取得回数nを1増加する(n=n+1)。
【0101】
ステップS15において、無線信号検知回路23は、現在のウインドウ幅Twに所定値Tstepを加算(または減算)した値(Tw±Tstep)は予め設定されたウインドウ幅Twが許容される最小値Tw_minから最大値Tw_maxまでの範囲内にあるか否かの判定を行う(Tw_min≦Tw±Tstep≦Tw_max)。所定値Tstepは、予め設定されたウインドウ幅の1回分の補正で加算または減算するウインドウ幅の量(レジスタ個数。以下、「刻み幅」という。)である。無線信号検知回路23はウインドウ幅Tw±Tstepは最小値Tw_minから最大値Tw_maxまでの範囲内であると判定した場合(ステップS15のYES)、ステップS16においてウインドウ幅Twに対して刻み幅Tstepを加算(または減算)した値をウインドウ幅Twとして設定する(Tw=Tw±Tstep)。無線信号検知回路23は、所定信号送信ステップS3に進み、前回差分判定ステップS12において最適なウインドウ幅Twが設定されたと判定されるまで処理を繰り返す。
【0102】
一方、無線信号検知回路23は、ウインドウ幅Tw±Tstepは最小値Tw_minから最大値Tw_maxまでの範囲内ではないと判定した場合(ステップS15のNO)、補正判定ステップS23に進む。すなわち、無線信号検知回路23は、補正に失敗したと見なす。
【0103】
無線信号検知回路23は、前回差分判定ステップS12においてHi_nとHi_1との差が前回差分Hi_diff以上であると判定した場合(ステップS12のYES)、ステップS17において、ウインドウ幅Twの設定を行う。具体的には、無線信号検知回路23は、ウインドウ幅Twに対して刻み幅Tstepを減算(または加算)してウインドウ幅Twを補正する(Tw=Tw±Tstep)。無線信号検知回路23は、前回のウインドウ幅補正ステップS16においてウインドウ幅を加算した場合には、このウインドウ幅補正ステップS17において現在のウインドウ幅Twから刻み幅Tstepを減算する。また、無線信号検知回路23は、前回のウインドウ幅設定ステップS16においてウインドウ幅を減算した場合には、ウインドウ幅Twから刻み幅Tstepを加算する。すなわち、n−1回目の検出におけるウインドウ幅設定ステップS16において設定されたウインドウ幅Twに戻す。前回(nー1回)に行われた補正で設定されたウインドウ幅Twの方がより適切な値であるためである。
【0104】
ステップS18において、無線信号検知回路23は、補正が行われたウインドウ幅Twを初期ウインドウ幅Tw0として更新し、記憶部37にこのウインドウ幅Twの更新を記憶する。ステップS19において、無線信号検知回路23は、ウインドウ幅Twの補正が行われた旨をCPU15に通知する。以上により、現在の基準周波数発生回路41から供給される基準周波数に基づく時刻を基準としたウインドウ幅Tw0が決定される。無線信号検知回路23は、このウインドウ幅Tw0に基づいてAPやPCなどの他の通信機器から送信される信号の特定パターンの検知を行う。その後、処理は補正判定ステップS23に進む。
【0105】
無線信号検知回路23は、受信品質判定ステップS4において所定の受信品質が閾値S/N比よりも小さいと判定した場合(ステップS4のNO)、またはハイレベル区間の幅Hi_nまたはローレベル区間の幅L_nが所定範囲内ではないと判定した場合(ステップS7のNO)、ステップS20において、周期信号の受信に失敗した回数を示す受信失敗回数Mを1増加する(M=M+1)。
【0106】
ステップS21において、無線信号検知回路23は、受信失敗回数Mが所定値Overtimeより大きいか否かの判定を行う。このステップS21は、所要の受信品質が得られないにも関わらず無線信号検知回路23が無限に周期信号の受信を試みようとすることを回避するためである。無線信号検知回路23は、受信失敗回数Mが所定値Overtime以下であると判定した場合(ステップS21のNO)、初期値設定ステップS2に戻り、以降の処理を繰り返す。
【0107】
無線信号検知回路23は、受信失敗回数Mが所定値Overtimeより大きいと判定した場合(ステップS21のYES)、ステップS22において、受信失敗回数Mを0に設定し(M=0)、補正判定ステップS23に進む。
【0108】
ステップS23において、CPU15は、無線信号検知回路23が何らかの割り込み制御信号を検出したか否か、または一定時間の経過に伴いウインドウ幅の補正を実施するタイミングが到来したか否かの判定を行う。CPU15は、割り込み制御信号を検出した、または補正を実施するタイミングが到来したと判定した場合(ステップS23のYES)、初期値設定ステップS2に進む。
【0109】
一方、CPU15は、割り込み制御信号を検出していない、および補正を実施するタイミングが到来していないと判定した場合(ステップS23のNO)、ステップS24において、初期ウインドウ幅Tw0を無線信号検知回路23が信号の検知に用いるウインドウ幅Twとして設定する。
【0110】
ステップS25において、CPU15は、無線信号検知回路23を休止状態に移行させるか否かの判定を行う。CPU15は、無線信号検知回路23の起動状態を維持すると判定した場合(ステップS25のNO)、補正判定ステップS23に戻り以降の処理を繰り返す。
【0111】
一方、CPU15は無線信号検知回路23を休止状態に移行させると判定した場合(ステップS25のYES)、ステップS26において、無線信号検知回路23が信号を検知する際に必要なデータを所定の不揮発性の記録手段への書き込みを行う。なお、この書込ステップS26は、無線信号検知回路23が不揮発性の記録手段を有する場合には省略することができる。
【0112】
以上で、検知ウインドウ補正処理は終了する。
【0113】
なお、上述した図11の検知ウインドウ補正処理においては、ハイレベル区間の幅Hi_nとHi_1との差分に基づいてウインドウ幅が適正値であるか否かの判定を行った。しかし、以下の他の方法を用いてウインドウ幅の適正値の判定を行ってもよい。
【0114】
図13は、他の検知ウインドウ補正処理を説明する概念図である。
【0115】
この検知ウインドウ補正処理においては、無線信号検知回路23はn回目に取得された時刻制御信号の開始位置(開始時刻)に対して、1サンプリングピッチずつ開始位置がシフトされた過去の時刻制御信号との理論積をそれぞれ求める。無線信号検知回路23は、n回目に検知された時刻制御信号と相関が最大となる過去の時刻制御信号のシフト量を求める。無線信号検知回路23は、このシフト量から必要な検知ウインドウの補正量(ずれ量)を求めることができる。
【0116】
無線信号検知回路23は、例えば間欠動作の1番目の起床区間で求められた時刻制御信号を過去の時刻制御信号として用いる。また、n番目の起床区間で求められた時刻制御信号は、過去の時刻制御信号を用いた補正処理の対象となる現在の時刻制御信号である。
【0117】
例えば、図13(A)に示すように、取得回数n回目において検知ウインドウEに示す信号パターンを有する時刻制御信号が得られた。無線信号検知回路23は、補正用ウインドウE1に示す信号パターンを有する取得回数1回目の(過去の)時刻制御信号を、補正用ウインドウE2、E3、E4のようにウインドウの開始位置を所定量ΔT(1サンプリングピッチに相当)ずつスライドさせる。補正用ウインドウE1は、ウインドウの開始時刻が検知ウインドウEの開始時刻TEと一致するウインドウである。補正用ウインドウE2は、補正用ウインドウE1に対してウインドウの開始位置が所定量ΔT(検知ウインドウEに対してΔT)スライドされたウインドウである。また、補正用ウインドウE3は、補正用ウインドウE2に対してウインドウの開始位置が所定量ΔT(検知ウインドウEに対してΔT×2)スライドされたウインドウである。補正検知ウインドウE4についても同様である。
【0118】
無線信号検知回路23は、これらの補正用ウインドウE1〜E4(開始位置がシフトした過去の時刻制御信号)と取得回数n回目の時刻制御信号との理論積をそれぞれ求める。無線信号検知回路23は、補正用ウインドウE1〜E4のうち相関が最大となる補正用ウインドウを求める。図13(A)においては、相関が最大となる補正用ウインドウとして、補正検知ウインドウE1が求まる。無線信号検知回路23は、検知ウインドウEの開始位置と補正用ウインドウE1の開始位置とに差分はないため、補正量は不要(補正量は0)であると求めることができる。
【0119】
また、図13(B)に示すように、取得回数n回目において検知ウインドウFに示す信号パターンを有する時刻制御信号が得られた。無線信号検知回路23は、補正用ウインドウF1に示す信号パターンを有する取得回数1回目の(過去の)時刻制御信号を、補正用ウインドウF2、F3、F4のようにウインドウの開始位置を所定量ΔT(1サンプリングピッチに相当)ずつスライドさせる。無線信号検知回路23は、これらの補正用ウインドウF1〜F4(過去の時刻制御信号)と取得回数n回目の時刻制御信号との理論積をそれぞれ求める。無線信号検知回路23は、補正用ウインドウF1〜F4のうち相関が最大となる補正用ウインドウを求める。
【0120】
図13(B)においては、相関が最大となる補正用ウインドウとして、補正検知ウインドウF3が求まる。無線信号検知回路23は、検知ウインドウFの開始位置と補正用ウインドウF3の開始位置との差分ΔTFを求め、この差分に基づいて補正量を求める。無線信号検知回路23は、この補正量に対応する検知ウインドウの適切な開始位置(ずれ幅)を求めることができ、検知ウインドウの補正を行うことができる。
【0121】
この携帯電話機1によれば、低消費電力であるが精度を十分に有していない基準周波数発生回路41から供給された基準周波数に基づいて動作する無線信号検知回路23であっても、より高精度な基準周波数に基づいて生成された周期信号を用いて検知周期の補正を行うことができる。この結果、携帯電話機1は、無線信号検知回路23の消費電力を低く抑えられると同時に、高精度に受信信号を検知することができる。
【0122】
また、無線信号検知回路23は、自身の各回路を経由した信号に基づいて補正を行うことができるため周囲温度や回路特性などの検知周期のずれに寄与する諸要因を加味した形での補正を行うことができる。この結果、無線信号検知回路23は、簡易に正確な補正を行うことができる。
【0123】
また、無線信号検知回路23は、補正処理に内部の無線通信モジュール26を利用した場合には、周期信号の受信に外乱を受けにくく、かつ既知の信号を利用することができるため、より高精度に検知周期の補正を行うことができる。
【0124】
また、携帯電話機1は、CPU15の制御に基づいて補正処理を開始するため、無線信号検知回路23および無線通信モジュール26は補正のための周期信号の送信であるのか、または他の機器との通信を確立するための周期信号の送信であるのかを容易に区別することができる。
【0125】
なお、本実施形態においては、無線通信モジュール26と無線信号検知回路23とがアンテナ切替スイッチ62の状態に応じてモノポールアンテナ61を共用する例を説明した。しかし、無線通信モジュール26と無線信号検知回路23とは、個別にアンテナを有する構成にしてもよい。
【0126】
図14は、無線信号検知回路23および無線通信モジュール26を特に示す変形例としての回路構成図である。
【0127】
図14の回路構成が図2と異なる点は、無線信号検知回路23専用のダイポールアンテナ81が設けられた点、無線通信モジュール26専用のモノポールアンテナ61が設けられた点である。また、無線信号検知回路23は、無線通信モジュール26とモノポールアンテナ82とを接続する信号線と接続された。このため、無線信号検知回路23は、無線通信モジュール26から送信される周期信号をインピーダンス83を介して受信できるようになっている。また、無線信号検知回路23がダイポールアンテナ81を備えたことに伴い、RF受信回路が省略された。
【0128】
無線信号検知回路23は、補正用スイッチ84がオンされた場合には、無線通信モジュール26から送信される周期信号を直接受信できる。また、無線信号検知回路23は、無線通信モジュール26がモノポールアンテナ82を介して送信した信号をダイポールアンテナ81からも受信可能である。
【0129】
なお、本実施形態においては、ウインドウ幅や開始位置を制御することにより補正を行った。しかし、この方法に限らず。IIR(Infinite Impulse Response)フィルタなどの共振型フィルタを用いる場合には、分周比を切替えることで補正を行うことも可能である。
【0130】
また、CPU15は、ステップS1またはステップS23において、補正を行うタイミングの要否を判定した。これに限らず、無線信号検知回路23は、補正処理を行うタイミング(周期信号を記憶するタイミング)をWLAN通信モジュール12がAPなどから受信したビーコン信号に含まれるSSID(Service Set Identifier)に基づいて接続可否の照合を行った後に実行してもよい。WLAN通信モジュール12が起動しているタイミングを利用することにより、CPU15はWLAN通信モジュール12を補正処理のために起動する必要がなく、また起動に要する消費電力の抑制を図ることができる点で有効である。
【0131】
また、基準周波数の中心周波数に対する偏差による検知周期のずれに起因して、無線信号検知回路23は、誤った信号に係る特定パターンをAPなどから送信されたビーコン信号に係る特定パターンとして検知し、WLAN通信モジュール12に通知してしまう可能性がある。これに伴い、WLAN通信モジュール12は、APなどとの接続を試みようとするが、失敗する。すなわち、WLAN通信モジュール12が無線LAN通信接続に失敗した場合には、無線信号検知回路23のウインドウ幅がずれている可能性が考えられる。このため、WLAN通信モジュール12は、無線LAN通信接続に失敗した場合にCPU15などの指示に基づいて補正処理のために周期信号を送信し、無線信号検知回路23はこのタイミングで補正処理を行うことが望ましい。
【0132】
さらに、本実施形態においては、無線信号検知回路23は無線通信モジュール26から送信された無線信号を用いて時刻制御信号を取得した。しかし、無線信号検知回路23は、外部機器から送信された周期信号を用いて時刻制御信号を取得してもよい。このとき、より正確な時刻制御信号を求めるため、無線信号検知回路23は、周期信号の周期が既知の(例えば、SSID情報によりビーコン信号の送信周期が既知の)外部機器から送信された周期信号を用いるのが好ましい。
【0133】
さらにまた、無線信号検知回路23は、WLAN通信モジュール12、BT通信モジュール13および移動通信モジュール11から送信される周期信号を用いて時刻制御信号を生成する例を説明した。しかし、無線信号検知回路23は、赤外線通信モジュールや非接触式ICカードモジュールを備える場合には、これらのモジュールから送信される周期信号を用いてもよい。
【0134】
また、本実施形態においては、無線信号検知回路23が間欠動作を行う例を説明したが、常時起床していてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 携帯電話機
11 移動通信モジュール
12 WLAN通信モジュール
13 BT通信モジュール
15 CPU
16 メモリ
23 無線信号検知回路
24 電源回路
26 無線通信モジュール
31 RF信号受信回路
32 ダウンコンバータ(整流回路)
33 ベースバンド(BB)信号増幅回路
34 信号識別回路
35 制御信号出力回路
36 制御部
37 記憶部
41 基準周波数発生回路
42 発振/分周回路
51 高精度基準周波数発生回路
61 モノポールアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定条件下で中心周波数偏差を有する基準周波数を生成する基準周波数発生部と、
前記基準周波数に基づく検知周期で動作し、前記基準周波数よりも高精度の基準周波数に基づいて生成された周期信号を検知する無線信号検知部とを備え、
前記無線信号検知部は、前記周期信号を用いて前記検知周期を補正することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
前記基準周波数より精度が高い高精度基準周波数を生成する高精度基準周波数発生部と、
前記高精度基準周波数に基づく検知周期で動作し、周期信号を外部機器に対して出力する無線通信部とを備え、
前記無線信号検知部は、前記無線通信部より出力された前記周期信号を用いて補正する請求項1記載の通信機器。
【請求項3】
前記検知周期は、前記周期信号の周期に対応した周期で前記周期信号の検知結果を取得する検知ウインドウの周期であり、
前記無線信号検知部は、前記検知ウインドウの周期を大きくまたは小さくすることにより補正を行う請求項1または2記載の通信機器。
【請求項4】
前記無線信号検知部は、前記検知ウインドウごとに前記周期信号の検知を示すハイレベルおよび前記周期信号の未検知を示すローレベルからなる信号レベルで示された信号パターンから時刻制御信号を生成し、前記時刻制御信号の前記ハイレベルの区間の時間および検出時刻を参照することにより前記検知ウインドウの周期を補正する請求項3記載の通信機器。
【請求項5】
前記無線信号検知部は、所定数の前記検知ウインドウの信号パターンを時間軸に対して加算しまたは理論積を求めることにより得られた信号パターンから前記時刻制御信号を生成し、前記時刻制御信号の前記ハイレベルの区間の時間および検出時刻を参照することにより前記検知ウインドウの周期を補正する請求項4記載の通信機器。
【請求項6】
前記無線信号検知部は、複数の前記時刻制御信号の前記信号パターンの差分を求め、前記差分が所定値以下となるように前記検知ウインドウの周期を補正する請求項4または5記載の通信機器。
【請求項7】
前記無線信号検知部は、所定時間の起床区間を含む間欠動作を行い、前記起床区間ごとに生成された複数の前記時刻制御信号を用いて前記検知ウインドウの周期を補正する請求項4〜6のいずれか一項記載の通信機器。
【請求項8】
前記無線信号検知部は、取得された時刻制御信号の開始時刻に対して、所定のサンプリングピッチずつ開始時刻がシフトされた過去の時刻制御信号との理論積をそれぞれ求め、相関が最大となるシフト量を求め、前記シフト量から前記検知周期を補正する請求項4記載の通信機器。
【請求項9】
前記無線通信部は、無線LAN通信モジュール、Bluetooth通信モジュールおよび移動通信モジュール11を含む少なくとも一の無線通信モジュールである請求項2記載の通信機器。
【請求項10】
前記無線通信部は、無線LAN通信モジュールであり、
前記無線信号検知部は、前記無線LAN通信モジュールが通信可否を照合した後に検知周期の補正を行う請求項2記載の通信機器。
【請求項11】
前記検知ウインドウの初期設定値は、前記基準周波数発生部の温度対周波数許容偏差のピーク値より得られる値に設定される請求項3記載の通信機器。
【請求項12】
所定条件下で中心周波数偏差を有する基準周波数を生成する基準周波数発生部と、前記基準周波数に基づく検知周期で動作し、前記基準周波数よりも高精度の基準周波数に基づいて生成された周期信号を検知する無線信号検知部とを準備するステップと、
前記無線信号検知部が前記周期信号を用いて前記検知周期を補正するステップとを備えることを特徴とする検知周期補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−254403(P2011−254403A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−128247(P2010−128247)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【特許番号】特許第4799675号(P4799675)
【特許公報発行日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】