説明

通信端末、通信システム、通信方法、及び通信プログラム

【課題】P2P型の通信を行っている通信端末間のセッションを確実に切断することができる通信端末、通信システム、通信方法、及び通信プログラムを提供する。
【解決手段】通信端末は、セッションが確立している他の通信端末のうち、セッションの確立状態を管理する管理端末から第一要求信号を受信した場合、管理端末を除く他の通信端末に対して、セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する(S53)。通信端末は、第二要求信号を送信した他の通信端末から第一応答信号を受信した場合(S55:YES)、第一応答信号を送信した他の端末装置とのセッションを切断する(S59)。管理端末を除く全ての他の通信端末とのセッションが切断された場合、通信端末は、管理端末に対して第二応答信号を送信し(S61)、管理端末との間のセッションを切断する(S63)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の通信端末とPeer to Peer(P2P)通信を行う通信端末、通信システム、通信方法、及び通信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のサーバ−クライアント型の通信の代わりにPeer to Peer(P2P)型の通信を行うことによって、他の複数の通信端末と多地点通信を行うことができる通信端末が知られている。サーバ−クライアント型の通信では、サーバに通信負荷が集中する場合があるのに対し、P2P型の通信では、通信負荷は分散し、特定の通信端末に通信負荷が集中し難いという利点がある。このため例えば、複数の通信端末間でテレビ会議を行う場合の通信方式として、MCU(Multi point control Unit)を使用した従来のサーバ−クライアント型の通信方式に代わりに、P2P型の通信方式が使用され始めている。
【0003】
通信端末間のセッションを切断してP2P型の通信を終了させる場合、サーバ−クライアント型の通信の場合のように、サーバが一括してクライアントに切断要求を送信することで、全てのセッションを切断することができない。このため、P2P型の通信が行われている通信端末間のセッションを切断する様々な通信方法が提案されている。例えば特許文献1に記載された通信端末では、セッションを切断するための通信が以下の手順で行われる。
【0004】
通信端末X、Y間、及び、通信端末Y、Z間でセッションが確立しており、通信端末X、Z間のセッションは確立していないとする。通信端末Xは、通信端末Yに対して切断要求を送信する。通信端末Yは切断要求を受信し、通信端末X、Y間のセッションは切断される。次いで通信端末Yは、通信端末Zに対して切断要求を送信する。通信端末Zは切断要求を受信し、通信端末Y、Z間のセッションは切断される。このようにして、通信端末X、Y、Z間のセッションは全て切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−186785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしなら上述の方法において、例えば通信端末Y、Z間の通信回線の通信状態が悪く、通信端末Y、Z間で切断要求による通信が失敗したとする。この場合、通信端末X、Y間のセッションは切断されるにもかかわらず、通信端末Y、Z間のセッションは確立した状態で維持される。このように、上述した方法では、通信端末間のセッションのうち切断されないセッションが発生する場合があり、P2P型の通信を確実に終了させることができないという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、P2P型の通信を行っている通信端末間のセッションを確実に切断することができる通信端末、通信システム、通信方法、及び通信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係る通信端末では、セッションが確立している複数の他の通信端末とPeer to Peer(P2P)型の通信を行う通信端末であって、いずれか一つの前記他の通信端末から、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を受信する第一受信手段と、前記第一受信手段において前記第一要求信号を受信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第一送信手段と、前記第一送信手段において前記第二要求信号を送信した後、前記第二要求信号を受信した前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第二受信手段と、前記第二受信手段において前記第一応答信号を受信した場合に、前記第一応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断手段と、前記第一切断手段において、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末とのセッションを切断した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信する第二送信手段と、前記第二送信手段において前記第二応答信号を送信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第二切断手段とを備えている。
【0009】
第一態様によれば、通信端末は、第一要求信号を受信した場合、第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによって、第一要求信号を送信した他の通信端末を除く他の通信端末との間のセッションを確実に切断することができる。通信端末は、第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによるセッションの切断の終了後、第一要求信号を送信した他の通信端末との間のセッションを切断する。通信端末は、第二要求信号/第一応答信号の通信に失敗した場合、第一要求信号を送信した他の通信端末との間のセッションは切断しない。第一要求信号を送信した他の通信端末は、維持されているセッションを使用して、切断されなかったセッションを切断するための通信を行うことができる。従って通信端末は、セッションの一部が切断されず維持されてしまうことを防止し、全てのセッションを確実に切断することができる。
【0010】
また第一態様において、前記第一送信手段は、前記第一受信手段において受信した前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末が、前記通信端末間の前記セッションの確立状態を管理する管理端末である場合に、前記管理端末を除く前記他の通信端末に対して、前記第二要求信号を送信してもよい。通信端末は、第一要求信号を送信した他の通信端末が管理端末である場合に、第二要求信号を送信する。通信端末は、管理端末でない不特定の通信端末が第一要求信号を送信することでセッションが切断されてしまうことを防止できる。これによって通信端末は、セッションを安定化し、P2P型の通信の信頼性を高めることができる。
【0011】
また第一態様において、前記第一受信手段は、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を識別する識別情報を、前記第一要求信号と共に受信し、前記第一送信手段は、前記第一受信手段において受信した前記識別情報を、前記第二要求信号と共に送信し、前記第一送信手段において送信した前記識別情報及び前記第二要求信号を受信した前記他の通信端末から、前記識別情報と前記第二要求情報を受信する第三受信手段と、前記第一受信手段において受信した前記識別情報と、前記第三受信手段において受信した前記識別情報とが一致する場合に、前記第二要求信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第三切断手段とを備えていてもよい。通信端末は、第一要求信号と共に受信した識別情報と、第二要求信号と共に受信した識別情報とを比較する。そして、識別情報が一致する場合に、第二要求信号に応じてセッションを切断することができる。第一要求信号を受信した複数の通信端末は、其々、セッションが確立している他の通信端末に対して第二要求信号を送信する。従って、第二要求信号を送信した宛先の通信端末から、第二要求信号を受信することになる。このような場合に通信端末は、受信した第二要求信号が、自身に対して第一要求信号を送信した通信端末からの指示に基づいて、他の通信端末から送信されたものであることを認識し、セッションを切断することができる。これによって通信端末は、第一要求信号を送信した通信端末の指示に的確に応じ、確立中のセッションを正確に切断することができる。
【0012】
本発明の第二態様に係る通信端末は、セッションが確立している複数の他の通信端末とPeer to Peer(P2P)型の通信を行う通信端末であって、前記複数の他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する要求信号を送信する第一送信手段と、前記第一送信手段において送信した前記要求信号を受信した前記複数の他の通信端末の少なくともいずれかが、確立中の全ての前記セッションを切断した後、前記セッションの切断の要求に応じる応答信号を送信した場合に、前記応答信号を受信する受信手段と、前記受信手段において前記応答信号を受信した場合に、前記応答信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第一切断手段とを備えている。
【0013】
第二態様によれば、通信端末は、セッションが確立している複数の他の通信端末に対して要求信号を送信することで、他の通信端末とのセッションだけでなく、他の通信端末間のセッションも切断することができる。通信端末は、応答信号を受信した場合に、他の通信端末とのセッションを切断する。通信端末は、応答信号を受信できない場合、切断されていないセッションが残っていると判断し、他の通信端末とのセッションを切断しない。これによって通信端末は、維持されたセッションを使用して他の通信端末と通信を行うことで、確実に全てのセッションを切断させることができる。通信端末は、他の通信端末間のセッションの一部が切断されず維持されてしまうことを防止できる。
【0014】
また第二態様において、前記受信手段は、受信した前記応答信号の総数が、前記複数の他の通信端末の総数から1減算した数以上になるまで、継続して前記応答信号を受信してもよい。通信端末は、他の通信端末との間の通信状態が悪く、全ての他の通信端末から応答信号を受信できない場合でも、受信した応答信号の総数が、P2P型の通信を行っている他の複数の通信端末の総数から1減算した数以上である場合には、他の通信端末間のセッションが全て切断したと判断できる。従って通信端末は、応答信号の総数を監視することで、全てのセッションが切断されたことを容易に認識できる。また通信端末は、全ての他の通信端末から応答信号を受信する必要がないので、短時間で確実且つ効率的にセッションを終了させることができる。
【0015】
また第二態様において、前記複数の他の通信端末の総数から1減算した数の前記応答信号を、前記受信手段において所定時間経過後も受信できない場合に、未だ受信していない前記応答信号の送信元の前記他の通信端末に対して、前記要求信号を再送する第二送信手段を備えていてもよい。通信端末は、所定時間経過後も所定数の応答信号を受信できない場合に、複数の他の通信端末間のセッションの切断に失敗したと判断し、セッションの切断に失敗した他の通信端末に対して、要求信号を再送することができる。これによって通信端末は、一時的な通信状態の悪化等によって複数の他の通信端末間のセッションが切断されなかった場合でも、確実にこのセッションを切断することができる。
【0016】
また第二態様において、前記複数の他の通信端末の総数から1減算した数の前記応答信号を、前記受信手段において所定時間経過後も受信できない場合に、未だ受信していない前記応答信号の送信元の前記他の通信端末に対して、前記セッションを強制的に切断する第三要求信号を送信する第三送信手段と、前記第三送信手段において前記第三要求信号を送信した後、前記第三要求信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第二切断手段とを備えていてもよい。通信端末は、複数の他の通信端末間の通信状態が悪く、セッションの切断が不可能な場合に、他の通信端末とのセッションを即座に切断することができる。これによって通信端末は、通信状態が悪いセッションの存在によって、通信状態が良好なセッションが長時間切断されない状態を回避できる。
【0017】
本発明の第三態様に係る通信システムは、通信端末、及び複数の他の通信端末の間でセッションを確立させ、Peer to Peer(P2P)型の通信を行う通信システムであって、前記通信端末は、前記複数の他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を送信する第一送信手段と、前記第一送信手段において送信した前記第一要求信号を受信した複数の前記他の通信端末の少なくともいずれかが、確立中の全ての前記セッションを切断した後、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信した場合に、前記第二応答信号を受信する第一受信手段と、前記第一受信手段において前記第二応答信号を受信した場合に、前記第二応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断手段とを備え、前記他の通信端末は、前記通信端末から前記第一要求信号を受信する第二受信手段と、前記第二受信手段において前記第一要求信号を受信した場合に、自身を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第二送信手段と、前記第二送信手段において前記第二要求信号を送信した後、自身を除く前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第三受信手段と、自身を除く前記他の通信端末から、前記第二要求信号を受信する第四受信手段と、前記第四受信手段において前記第二要求信号を受信した場合に、前記第二要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記第一応答信号を送信する第三送信手段と、前記第三受信手段において前記他の通信端末から前記第一応答信号を受信するか、又は、前記第三送信手段において前記他の通信端末に対して前記第一応答信号を送信した場合に、前記他の通信端末との前記セッションを切断する第二切断手段と、前記第二切断手段において、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末とのセッションを切断した場合に、前記通信端末に対して、前記第二応答信号を送信する第四送信手段と、前記第四送信手段において前記第二応答信号を送信した場合に、前記通信端末との間の前記セッションを切断する第三切断手段とを備えている。
【0018】
本発明の第三態様によれば、通信端末は、セッションが確立している複数の他の通信端末に対して第一要求信号を送信することで、他の通信端末とのセッションだけでなく、他の通信端末間のセッションも切断することができる。他の通信端末は、第一要求信号を受信した場合、第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによって、他の通信端末との間のセッションを確実に切断することができる。他の通信端末は、第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによるセッションの切断の終了後、第一要求信号を送信した通信端末との間のセッションを切断する。他の通信端末は、第二要求信号/第一応答信号の通信に失敗した場合、第一要求信号を送信した通信端末との間のセッションは切断しない。通信端末は、維持されているセッションを使用して、切断されなかったセッションを切断するための通信を行うことができる。従って通信端末は、セッションの一部が切断されず維持されてしまうことを防止し、全てのセッションを確実に切断することができる。
【0019】
本発明の第四態様に係る通信方法は、セッションが確立し、Peer to Peer(P2P)型の通信を行っている複数の他の通信端末のうちいずれか一つの前記他の通信端末から、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を受信する第一受信ステップと、前記第一受信ステップにおいて前記第一要求信号を受信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第一送信ステップと、前記第一送信ステップにおいて前記第二要求信号を送信した後、前記第二要求信号を受信した前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第二受信ステップと、前記第二受信ステップにおいて前記第一応答信号を受信した場合に、前記第一応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断ステップと、前記第一切断ステップにおいて、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末とのセッションを切断した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信する第二送信ステップと、前記第二送信ステップにおいて前記第二応答信号を送信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第二切断ステップとを備えている。
【0020】
第四態様によれば、第一要求信号が受信された場合、第二要求信号/第一応答信号の通信が行われることよって、第一要求信号を送信した他の通信端末を除く他の通信端末との間のセッションは確実に切断される。第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによるセッションの切断の終了後、第一要求信号を送信した他の通信端末との間のセッションが切断される。第二要求信号/第一応答信号の通信に失敗した場合、第一要求信号を送信した他の通信端末との間のセッションは切断されない。第一要求信号を送信した他の通信端末は、維持されているセッションを使用して、切断されなかったセッションを切断するための通信を行うことができる。従って、セッションの一部が切断されず維持されてしまうことを防止し、全てのセッションを確実に切断することができる。
【0021】
本発明の第五態様に係る通信プログラムは、セッションが確立し、Peer to Peer(P2P)型の通信を行っている複数の他の通信端末のうちいずれか一の前記他の通信端末から、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を受信する第一受信ステップと、前記第一受信ステップにおいて前記第一要求信号を受信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第一送信ステップと、前記第一送信ステップにおいて前記第二要求信号を送信した後、前記第二要求信号を受信した前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第二受信ステップと、前記第二受信ステップにおいて前記第一応答信号を受信した場合に、前記第一応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断ステップと、前記第一切断ステップにおいて、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末とのセッションを切断した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信する第二送信ステップと、前記第二送信ステップにおいて前記第二応答信号を送信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第二切断ステップとをコンピュータに実行させる。
【0022】
第五態様によれば、第一要求信号が受信された場合、第二要求信号/第一応答信号の通信が行われることよって、第一要求信号を送信した他の通信端末を除く他の通信端末との間のセッションは確実に切断される。第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによるセッションの切断の終了後、第一要求信号を送信した他の通信端末との間のセッションが切断される。第二要求信号/第一応答信号の通信に失敗した場合、第一要求信号を送信した他の通信端末との間のセッションは切断されない。第一要求信号を送信した他の通信端末は、維持されているセッションを使用して、切断されなかったセッションを切断するための通信を行うことができる。従って、セッションの一部が切断されず維持されてしまうことを防止し、全てのセッションを確実に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】通信システム1の概要、及び通信端末10の電気的構成を示す図である。
【図2】通信手順を説明するための模式図である。
【図3】通信手順を説明するための模式図である。
【図4】通信手順を説明するための模式図である。
【図5】通信手順を説明するための模式図である。
【図6】メイン処理を示すフローチャートである。
【図7】送信側処理を示すフローチャートである。
【図8】受信側処理を示すフローチャートである。
【図9】通信手順を説明するための模式図である。
【図10】通信手順を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0025】
図1を参照し、通信システム1について説明する。通信システム1は、通信端末11、12、13、14、及び15(以下、これらを区別しない場合、「通信端末10」と呼ぶ。)を備えている。通信端末10は、ネットワーク2を介してP2P型の通信を行うことで、他の通信端末10との間でテレビ会議を行うことができる。通信端末10は、例えば周知のPCやテレビ会議用の専用端末である。なお、図1のうち通信端末10に付された符号(11、12、13、14、及び15)は、其々の通信端末10のIDも示しているものとする。図1のうち通信端末10間に付された点線は、P2P型の通信を行うためのセッションが通信端末10間で確立していることを示している。
【0026】
通信端末10の電気的構成について説明する。通信端末10は、通信端末10の制御を司るCPU20を備えている。CPU20は、ROM21、RAM22、ハードディスクドライブ(HDD)23、入力部24、ディスプレイ25、カメラ26、スピーカ27、マイク28、通信I/F29、及びドライブ装置30と電気的に接続している。ROM21には、ブートプログラムやBIOS、OS等が記憶される。RAM22には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD23には、CPU20の通信プログラムが記憶される。入力部24は、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウスである。通信I/F29は、ネットワーク2を介して他の通信端末10と通信を行う場合のタイミング制御を行う。ドライブ装置30は、記憶媒体301に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通信端末10のセットアップ時、記憶媒体301に記憶された通信プログラムはドライブ装置30によって読み出され、HDD23に記憶される。
【0027】
図2から図5を参照し、通信端末10間のセッションが切断される場合の通信手順の概要について説明する。通信端末10間では、周知の方法でセッションが確立され、P2P型の通信が実行されているものとする。通信端末11は、通信端末10間のセッションを切断するための通信を管理する端末として、予め選定されているものとする。以下、セッションを切断するための通信を管理する端末を「管理端末」という。通信端末12、13、14、及び15は、通信端末11が管理端末であることを予め認識している。
【0028】
なお、管理端末の選定方法は特に限定されない。例えば、P2P型の通信を行なっている通信端末10のうち、最もIDが小さい通信端末10や大きい通信端末10を、管理端末として定めてもよい。また例えば、P2P型の通信を開始するためのパケットを最初に送信した通信端末10を、管理端末として定めてもよい。
【0029】
図2に示すように、はじめに通信端末11は、通信端末12、13、14、及び15との間のセッション41、42、43、及び44を切断するために、通信端末12、13、14、及び15に対して、セッションの切断を要求する第一要求信号を送信する。通信端末12、13、14、及び15は、第一要求信号を受信する。なおこの時点では、通信端末11と通信端末12、13、14、及び15との間のセッションは切断されない。
【0030】
第一要求信号を受信した通信端末12、13、14、及び15の其々は、通信端末11との間のセッションを除く他の全てのセッションを切断するために、セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する。例えば通信端末12は、図3に示すように、通信端末13、14、及び15との間のセッション45、46、及び47を切断するために、通信端末13、14、及び15に対して第二要求信号を送信する。通信端末13、14、及び15は、第二要求信号を受信する。図4に示すように、通信端末12から第二要求信号を受信した通信端末13、14、及び15は、セッションの切断の要求に応じるために、通信端末12に対して第一応答信号を送信する。通信端末12は、第一応答信号を受信する。
【0031】
なお、図3及び図4にて説明した手順の通信は、通信端末11から第一要求信号を受信した他の通信端末13、14、及び15においても同様に実行される。従って例えば通信端末12は、自身が送信した第二要求信号に応じて通信端末13、14、及び15から第一応答信号を受信する(図4参照)とともに、通信端末13、14、及び15から第二要求信号を受信し、受信した第二要求信号に応じて第一応答信号を返信することになる。通信端末12は、(1)自身が送信した第二要求信号に応じて通信端末13、14、及び15から第一応答信号を受信するか、又は、(2)通信端末13、14、及び15から受信した第二要求信号に応じて第一応答信号を送信した場合、通信端末13、14、及び15との間のセッション45、46、及び47を切断する。
【0032】
第二要求信号/第一応答信号による通信の結果、通信端末12、13、14、及び15は、通信端末11との間のセッションを除く他のセッションを全て切断したとする。図5に示すように、通信端末12、13、14、及び15は、通信端末11に対して、セッションの切断の要求に応じるために第二応答信号を送信する。通信端末11は第二応答信号を受信する。通信端末11と、通信端末12、13、14、及び15との間のセッション41、42、43、及び44は切断される。以上の手順を経て、通信端末10間のセッションは全て切断される。
【0033】
通信端末12と通信端末13との間の通信状態が悪くなり、通信端末12と通信端末13との間で行われる第二要求信号/第一応答信号の通信が失敗したとする。通信端末12は、通信端末13との間のセッション45を切断できない場合、通信端末11に対して第二応答信号を送信しない。通信端末13は、通信端末12との間のセッション45を切断できない場合、通信端末11に対して第二応答信号を送信しない。通信端末11から送信された第一要求信号に対応する第二応答信号が、通信端末12、及び13から送信されていないことになるので、通信端末11と通信端末12との間のセッション41、及び、通信端末11と通信端末13との間のセッション42は切断されない。通信端末11は、維持されているセッション41、42を使用して第一要求信号を再送し、再度、通信端末12と通信端末13との間のセッションを終了させるように指示できる。このようにして通信端末11は、確立中のセッションのうち一部のセッションが切断されずに残ってしまうことを防止している。通信端末11は、確実に全てのセッションを終了させることができる。
【0034】
図6から図8を参照し、通信端末10のCPU20において実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、通信端末10間でセッションが確立されてP2P型の通信が行われている状態で起動され、実行される。
【0035】
図6に示すように、確立中のセッションを切断してP2P型の通信を終了させる指示が、ユーザによって入力部24を介して入力されたかが判断される(S11)。また、他の通信端末10から送信される通知パケット(S16、後述)を受信したか否かが判断される(S11)。P2P型の通信を終了させる指示が入力されたか、又は、他の通信端末10から通知パケットが受信された場合(S11:YES)、自身が管理端末であるか否かが判断される(S12)。自身が管理端末でない場合(S12:NO)、P2P型の通信を終了させる指示が入力されたことを通知する通知パケットが、管理端末に対して送信される(S16)。処理はS11に戻る。
【0036】
一方、S12で自身が管理端末であると判断された場合(S12:YES)、通信端末10を識別するための識別情報が取得される(S13)。なお識別情報としては、例えばIDが使用される。セッションの切断を要求する第一要求信号と、S13で取得された識別情報とが、自身とセッションが確立している全ての他の通信端末10に対して送信される(S14)。セッションを切断する通信を管理するための処理(送信側処理(図7参照))が実行される(S15)。送信側処理の終了後、処理はS11に戻る。
【0037】
図7を参照し、送信側処理について説明する。S14(図6参照)において送信された第一要求信号に応じ、他の通信端末10から第二応答信号を受信したか否かが判断される(S31)。第二応答信号が受信された場合(S31)、第二応答信号を送信した他の通信端末との間のセッションは切断される(S32)。
【0038】
受信した第二応答信号の総数「M」が特定される。また、自身とセッションが確立している他の通信端末10の数、即ち、S14(図6参照)で送信された第一要求信号の総数「N」が特定される。「M」と「N−1」を比較することによって、確立中のセッションが全て切断されたか否かが判断される(S33)。「M」と「N−1」を比較する理由は、以下のとおりである。
【0039】
例えば図2に示すように、通信端末11から通信端末12、13、14、及び15に対して、第一要求信号が送信されたとする。通信端末12、13、14、及び15は、第二要求信号/第一応答信号の通信(例えば図3及び図4参照)によって、通信端末12、13、14、及び15の間の全てのセッションを切断したとする。ここで図9に示すように、通信端末11と通信端末13との間の通信状態が悪くなり、通信端末13から送信された第二応答信号が通信端末11において受信できなかったとする。通信端末12、14、及び15から送信された第二応答信号は、通信端末11において受信されている。この場合、通信端末12、13、14、及び15間のセッションは全て切断されているので、通信端末11は、第二応答信号が受信できていない通信端末13とのセッションを切断しても問題ない。
【0040】
そこで通信端末11は、第一要求信号を送信した通信端末12、13、14、及び15の全てから第二応答信号を受信できない場合でも、受信した第二応答信号の総数「M」が、第一要求信号を送信した通信端末12、13、14、及び15の総数「N」から1減算した数「N−1」以上であれば、通信端末12、13、14、及び15間のセッションは全て切断されたと判断する。上述の例では、通信端末11は、通信端末12、14、及び15から第二応答信号を受信しているので、「M」は3ということになる。また通信端末11は、通信端末12、13、14、及び15に第一要求信号を送信しているので、「N」は4ということになる。従って、「M」(=3)は「N−1」(=3)以上という条件を満たす。従って通信端末11は、通信端末12、13、14、及び15間のセッションは全て切断されたと判断して、通信端末13から第二応答信号を受信していない場合であっても、通信端末13との間のセッションを切断する。結果、通信端末11と、通信端末12、13、14、及び15との間のセッション41、42、43、及び44は全て切断される。このようにして通信端末11は、通信端末12、13、14、及び15間のセッションがすべで切断されたか否かを効率的に判断することで、短い時間で全てのセッションを切断させることができる。
【0041】
図7に示すように、受信された第二応答信号の総数「M」が、送信された第一要求信号の総数「N」から1減算した数「N−1」以上である場合(S33:YES)、他の通信端末10間のセッションは切断されたと判断される。第二応答信号を受信できていない他の通信端末との間のセッションは切断される(S35)。送信側処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。一方、受信された第二応答信号の総数「M」が、送信された第一要求信号の総数「N」から1減算した数「N−1」未満である場合(S33:NO)、他の通信端末の間のセッションのうち未だ切断されていないセッションが残っている可能性がある。継続して第二応答信号の受信を監視するために、処理はS31に戻る。
【0042】
他の通信端末10から第二応答信号を受信していない場合(S31:NO)、第一要求信号を送信してからの経過時間が所定時間以上となったかが判断される(S37)。経過時間が所定時間未満である場合(S37:NO)、第一要求信号を送信した他の通信端末10から第二応答信号を受信する可能性があるので、処理はS31に戻る。一方、第一要求信号を送信してからの経過時間が所定時間以上となった場合(S37:YES)、通信状態の悪化等の影響によって、他の通信端末10の間のセッションが切断できなかった可能性がある。そこで、第二応答信号を受信できていない他の通信端末10に対して、第一要求信号及び識別情報が再送される(S39)。これによって通信端末10は、一時的な通信状態の悪化等によってセッションが切断されなかった場合でも、第一要求信号を再送することで、確実にセッションを切断させることができる。
【0043】
他の通信端末10への第一要求信号の再送回数が所定回数以上となったかが判断される(S41)。第一要求信号の再送回数が所定回数未満である場合(S41:NO)、処理はS31に戻る。第一要求信号の再送回数が所定回数以上となった場合(S41:YES)、ネットワーク2の切断等の理由で、他の通信端末10と間のセッションの切断が不可能な状態である可能性がある。この場合、他の通信端末10との間のセッションの強制的な切断を要求する第三要求信号が、第二応答信号を受信できていない他の通信端末10に対して送信される(S43)。
【0044】
第三要求信号に応じて他の通信端末10から送信される第三応答信号の受信が監視される(S45)。第三応答信号が受信されない場合(S45:NO)、処理はS45に戻る。第三応答信号が受信された場合(S45:YES)、第三応答信号を送信した他の通信端末10との間のセッションは切断される(S35)。このように通信端末10は、他の通信端末10間の通信状態が非常に悪く、セッションの切断が不可能な状態となった場合に、他の通信端末10とのセッションを強制的に切断することができる。これによって通信端末は、通信状態が非常に悪いセッションの存在によって、通信状態が良好なセッションが長時間切断されない状態を回避できる。また通信端末は、セッション切断のための通信に長時間を要してしまうことを回避できる。送信側処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。
【0045】
なお上述では、第三要求信号が他の通信端末10に対して送信された(S43)後、第三応答信号の受信が監視されていた(S45)。本発明はこれに限定されない。通信端末10は、他の通信端末10に対して第三要求信号を送信した後、即座に、他の通信端末10との間のセッションを切断してもよい。他の通信端末10からの応答に関わらずセッションが切断できるので、通信端末10と他の通信端末10との間の通信状態が非常に悪く、通信が不可能となってしまった場合でも、確実且つ迅速にセッションを切断させることができる。
【0046】
また上述では、第一要求信号及び識別情報の再送回数が所定回数以上となった場合に、他の通信端末10に対して第三要求信号が送信されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、第一要求信号を送信してからの経過時間に基づいて第三要求信号が送信されてもよい。具体的には、図7のS37で、第一要求信号を送信してからの経過時間が第一所定時間以上となるか否かを判断し、第一所定時間以上となった場合に、第一要求信号及び識別情報が再送されてもよい。またS41で、第一要求信号を送信してからの経過時間が監視されてもよい。第一要求信号を送信してからの経過時間が第二所定時間(第一所定時間<第二所定時間とする)以上となった場合に(S41:YES)、第三要求信号が送信されてもよい。
【0047】
図6のメイン処理のS11で、確立中のセッションを切断してP2P型の通信を終了させる指示が入力されていない場合(S11:NO)、第一要求信号及び識別情報を他の通信端末10から受信したかが判断される(S17)。第一要求信号及び識別情報が受信された場合(S17:YES)、管理端末からの指示に基づき、セッションを切断する通信を行うための処理(受信側処理(図8参照))が実行される(S18)。受信側処理の詳細は後述する。受信側処理の終了後、処理はS11に戻る。
【0048】
一方、第一要求信号及び識別情報を受信していない場合(S17:NO)、他の通信端末10から再送された第一要求信号及び識別情報を受信したかが判断される(S19)。再送された第一要求信号及び識別情報が受信された場合(S19:YES)、処理はS18に進み、受信側処理(図8参照)が実行される(S18)。受信側処理の終了後、処理はS11に戻る。再送された第一要求信号及び識別情報を受信していない場合(S19:NO)、処理はS11に戻る。
【0049】
図8を参照し、受信側処理について説明する。S17(図6参照)で受信した第一要求信号及び識別情報の送信元の他の通信端末10が、管理端末であるかが判断される(S51)。第一要求信号及び識別情報の送信元の他の通信端末10が管理端末でない場合(S51:NO)、受信した第一要求信号及び識別情報は無効であると判断して受信側処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。このようにして通信端末10は、管理端末とは異なる不特定の通信端末10が第一要求信号を送信することでセッションが切断されてしまうことを防止している。これによって、セッションは安定化し、P2P型の通信の信頼性は向上する。
【0050】
第一要求信号及び識別情報の送信元の他の通信端末10が管理端末であった場合(S51:YES)、確立中のセッションのうち、管理端末との間のセッションを除くセッションの切断を要求する第二要求信号が、管理端末を除く他の通信端末10に対して送信される。また、S17(図6参照)で受信した識別情報が取得され、第二要求信号と共に送信される(S53)。
【0051】
第二要求信号及び識別情報の送信後、送信した第二要求信号に応じて他の通信端末10から送信される第一応答信号を受信したかが判断される(S55)。第一応答信号が受信された場合(S55:YES)、管理端末を除く他の通信端末10との間の全てのセッションを切断することが可能な状態になったか否かが判断される(S57)。他の通信端末10から第一応答信号を受信する(S55参照)か、又は、他の通信端末10から第二要求信号を受信し(S65参照、後述)、第一応答信号を返信した(S71参照、後述)場合、他の通信端末10との間のセッションを切断することが可能な状態となる。一方、他の通信端末10から第一応答信号を受信しておらず、且つ、他の通信端末10に対して第一応答信号を送信していない場合、他の通信端末10との間のセッションは切断することができないと判断される。切断することができないセッションが残っている場合(S57:NO)、処理はS55に戻る。
【0052】
管理端末を除く全ての他の通信端末10とのセッションを切断できる状態である場合(S57:YES)、管理端末を除く全ての他の通信端末10とのセッションは切断される(S59)。第一要求信号を送信した管理端末に対して、第二応答信号が送信される(S61)。管理端末との間のセッションは切断される(S63)。受信側処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。
【0053】
一方、S55で、第一応答信号を受信していない場合(S55:NO)、管理端末を除く他の通信端末10から第二要求信号及び識別情報を受信したかが判断される(S65)。第二要求信号及び識別情報を受信した場合(S65:YES)、受信した識別情報と、S17(図6参照)で第一要求信号と共に受信した識別情報とが比較される(S69)。比較結果に基づいて、受信した第二要求信号が有効であるか否かが判断される。以下、具体例を挙げて説明する。
【0054】
例えば図10に示すように、管理端末である通信端末11から送信された第一要求信号と識別情報101、及び102とが、通信端末12及び通信端末15において受信されたとする。通信端末12は、通信端末11から受信した識別情報101を、第二要求信号と共に通信端末15に対して送信する。通信端末15は、第二要求信号及び識別情報101を受信する。通信端末11から通信端末12に対して送信された識別情報101と、通信端末11から通信端末15に対して送信された識別情報102とは同一である。従って、通信端末15が通信端末11から受信した識別情報102と、通信端末12から受信した識別情報101とは一致する。この場合通信端末15は、通信端末12から受信した第二要求信号が、通信端末11からの指示に基づいて通信端末12から送信されたものであると判断し、受信した第二要求信号が有効であると判断する。そして通信端末15は、通信端末12に対して第一応答信号103を送信し、通信端末12との間のセッション47を切断する。
【0055】
一方、通信端末15が管理端末から受信した識別情報と、通信端末15が通信端末12から受信した識別情報とが相違したとする。この場合通信端末15は、通信端末12から受信した第二要求信号は、通信端末11とは異なる別の管理装置からの指示に基づいて、通信端末12から送信されたものであると判断し、受信した第二要求信号は無効であると判断する。この場合、通信端末15は、通信端末12に対して第一応答信号を送信せず、通信端末12との間のセッションは切断しない。このようにして通信端末10は、受信した第二要求信号が、自身に対して第一要求信号を送信した管理端末からの指示に基づくものであるか否かを正確に把握し、共通の管理端末から指示されたセッションのみを確実に切断することができる。
【0056】
なお、上述にて説明した識別情報による判断は、例えば、特定の通信端末10が複数のP2P型の通信のグループに属している場合(例えば、異なる複数のテレビ会議に参加している場合)に特に有効である。一方のグループ内の管理端末からセッションの切断指示があった場合に、他方のグループ内のセッションを誤って切断してしまうことを防止できるためである。
【0057】
図8に示すように、S17(図6参照)で受信した識別情報と、S65で受信した識別情報とが一致する場合(S69:YES)、第二要求信号を送信した他の通信端末10に対して第一応答信号が送信される(S71)。管理端末を除く他の通信端末10との間の全てのセッションを切断することが可能な状態になったか否かが判断される(S75)。切断することができないセッションが残っている場合(S75:NO)、処理はS55に戻る。管理端末を除く全ての他の通信端末10とのセッションを切断できる状態である場合(S75:YES)、処理はS59に進む。管理端末を除く全ての他の通信端末10とのセッションは切断される(S59)。第一要求信号を送信した管理端末に対して、第二応答信号が送信される(S61)。管理端末との間のセッションは切断される(S63)。受信側処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。
【0058】
S65で第二要求信号及び識別情報を受信していない場合(S65:NO)、管理端末から第三要求信号を受信したかが判断される(S77)。第三要求信号を受信した場合(S77:YES)、管理端末に対して第三応答信号が送信される(S79)。管理端末との間のセッションは切断される(S81)。受信側処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。第三要求信号を受信していない場合(S77:NO)処理はS55に戻る。
【0059】
以上説明したように、通信端末10は、管理端末から第一要求信号を受信した場合、第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによって、管理端末を除く他の通信端末10とのセッションを切断することができる。通信端末10は、第二要求信号/第一応答信号の通信を行うことによるセッションの切断の終了後、管理端末とのセッションを切断することができる。通信端末10は、第二要求信号/第一応答信号の通信に失敗した場合、管理端末とのセッションは切断しないので、管理端末との間のセッションは維持される。維持されたセッションが使用され、管理端末から第一要求信号が送信されることで、通信端末10は全てのセッションを確実に切断することができる。通信端末10は、P2P型の通信が行われているセッションの一部が切断されず維持されてしまうことを防止することができる。
【0060】
また管理端末は、セッションが確立している複数の他の通信端末10に対して第一要求信号を送信することで、他の通信端末10とのセッションだけでなく、他の通信端末10間のセッションも切断することができる。管理端末は、第二応答信号を受信した場合に、他の通信端末10とのセッションを切断する。管理端末は、第二応答信号を受信できない場合、切断されていないセッションが残っていると判断し、他の通信端末10とのセッションを切断しない。これによって管理端末は、維持されたセッションを使用して他の通信端末10と通信を行うことによって、確実に全てのセッションを切断させることができる。管理端末は、他の通信端末間のセッションの一部が切断されず維持されてしまうことを防止できる。
【0061】
本発明の通信端末において、S17の処理を行うCPU20が本発明の「第一受信手段」に相当する。S53の処理を行うCPU20が本発明の「第一送信手段」に相当する。S55の処理を行うCPU20が本発明の「第二受信手段」に相当する。S59の処理を行うCPU20が本発明の「第一切断手段」に相当する。S61の処理を行うCPU20が本発明の「第二送信手段」に相当する。S63の処理を行うCPU20が本発明の「第二切断手段」「第三切断手段」に相当するに相当する。S65の処理を行うCPU20が本発明の「第三受信手段」に相当する。S14の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第一送信手段」に相当する。S31の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「受信手段」に相当する。S32の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第一切断手段」に相当する。S39の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第二送信手段」に相当する。S43の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第三送信手段」に相当する。S35の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第二切断手段」に相当する。
【0062】
本発明の通信システムにおいて、S14の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第一送信手段」に相当する。S31の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第一受信手段」に相当する。S32の処理を行う管理端末のCPU20が本発明の「第一切断手段」に相当する。S17の処理を行うCPU20が本発明の「第二受信手段」に相当する。S53の処理を行うCPU20が本発明の「第二送信手段」に相当する。S55の処理を行うCPU20が本発明の「第三受信手段」に相当する。S65の処理を行うCPU20が本発明の「第四受信手段」に相当する。S71の処理を行うCPU20が本発明の「第三送信手段」に相当する。S59の処理を行うCPU20が本発明の「第二切断手段」に相当する。S61の処理を行うCPU20が本発明の「第四送信手段」に相当する。S63の処理を行うCPU20が本発明の「第三切断手段」に相当するに相当する。
【0063】
本発明の通信方法及び通信プログラムにおいて、S17の処理が本発明の「第一受信ステップ」に相当する。S53の処理が本発明の「第一送信ステップ」に相当する。S55の処理が本発明の「第二受信ステップ」に相当する。S59の処理が本発明の「第一切断ステップ」に相当する。S61の処理が本発明の「第二送信ステップ」に相当する。S63の処理が本発明の「第二切断ステップ」に相当する。
【0064】
なお本発明は、上述の実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。上述では、P2P型の通信を行う複数の通信端末10のうち一つが、管理端末として選定されている。ここで例えば、サーバ−クライアント型の通信を行う通信端末のうちサーバに、上述した管理装置の機能が実装されてもよい。即ち本発明は、サーバ−クライアント型の通信におけるセッションを切断するための通信方法としても利用することができる。
【0065】
上述の実施形態では、管理端末から第一要求信号を受信した通信端末10の全てが第二要求信号を送信していた。本発明はこれに限定されない。例えば、第二要求信号を送信する前に、第二要求信号を送信する予定の他の通信端末10から第二要求信号を受信した場合、第一応答信号を返信し、この通信端末10に対しては第二要求信号を送信しなくともよい。これによって、通信端末10間の通信量を抑制できるので、ネットワーク2の通信負荷を軽減することができる。
【0066】
通信端末10から第二要求信号が送信されるタイミングが、他の通信端末10と一致しないように、第一要求信号を受信してから第二要求信号を送信するまでの時間がランダムに定められてもよい。これによって、第二要求信号の送信タイミングが一致して信号同士が衝突し、通信が失敗してしまうことを防止できる。
【0067】
上述のメイン処理(図6参照)では、P2P型の通信を終了させる旨の指示がユーザによって入力された場合、管理端末のCPU20において送信側処理(図7参照)が呼び出されて実行され、他の通信端末10のCPU20において受信側処理(図8参照)が呼び出されて実行されていた。従って、送信側処理又は受信側処理が実行されている最中は、他の通信端末10から送信された新たな第一要求信号を受信して処理を行うことができなかった。これに対し、例えば送信側処理及び受信側処理は、上述した実行タイミングで起動され、メイン処理と並列して実行されてもよい。これによってメイン処理では、常に他の通信端末10から送信された新たな第一要求信号を受信する(S17、図6参照)ことが可能となる。これによって、複数の管理端末から同時期に第一要求信号が送信された場合でも、其々の第一要求信号を受信し、対応する第二要求信号を他の通信端末10に対して送信することが可能となる。
【0068】
管理端末は、P2P型の通信の最中に変更可能としてもよい。例えば、管理端末である通信端末11がテレビ会議から離脱する場合、通信端末12、13、14、及び15のいずれかに、管理端末の権限を移譲できるようにしてもよい。具体的には、通信端末11は、通信端末12、13、14、及び15のいずれかが新たに管理端末となる旨の通知パケットを、通信端末12、13、14、及び15に対して送信してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 通信システム
10、11、12、13、14、15 通信端末
20 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セッションが確立している複数の他の通信端末とPeer to Peer(P2P)型の通信を行う通信端末であって、
いずれか一つの前記他の通信端末から、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を受信する第一受信手段と、
前記第一受信手段において前記第一要求信号を受信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第一送信手段と、
前記第一送信手段において前記第二要求信号を送信した後、前記第二要求信号を受信した前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第二受信手段と、
前記第二受信手段において前記第一応答信号を受信した場合に、前記第一応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断手段と、
前記第一切断手段において、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末との前記セッションを切断した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信する第二送信手段と、
前記第二送信手段において前記第二応答信号を送信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第二切断手段と
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項2】
前記第一送信手段は、
前記第一受信手段において受信した前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末が、前記通信端末間の前記セッションの確立状態を管理する管理端末である場合に、前記管理端末を除く前記他の通信端末に対して、前記第二要求信号を送信することを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記第一受信手段は、
前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を識別する識別情報を、前記第一要求信号と共に受信し、
前記第一送信手段は、
前記第一受信手段において受信した前記識別情報を、前記第二要求信号と共に送信し、
前記第一送信手段において送信した前記識別情報及び前記第二要求信号の宛先の前記他の通信端末から、前記識別情報と前記第二要求情報を受信する第三受信手段と、
前記第一受信手段において受信した前記識別情報と、前記第三受信手段において受信した前記識別情報とが一致する場合に、前記第二要求信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第三切断手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信端末。
【請求項4】
セッションが確立している複数の他の通信端末とPeer to Peer(P2P)型の通信を行う通信端末であって、
前記複数の他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する要求信号を送信する第一送信手段と、
前記第一送信手段において送信した前記要求信号を受信した前記複数の他の通信端末の少なくともいずれかが、確立中の全ての前記セッションを切断した後、前記セッションの切断の要求に応じる応答信号を送信した場合に、前記応答信号を受信する受信手段と、
前記受信手段において前記応答信号を受信した場合に、前記応答信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第一切断手段と
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項5】
前記受信手段は、
受信した前記応答信号の総数が、前記複数の他の通信端末の総数から1減算した数以上になるまで、継続して前記応答信号を受信することを特徴とする特徴とする請求項4に記載の通信端末。
【請求項6】
前記複数の他の通信端末の総数から1減算した数の前記応答信号を、前記受信手段において所定時間経過後も受信できない場合に、未だ受信していない前記応答信号の送信元の前記他の通信端末に対して、前記要求信号を再送する第二送信手段を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の通信端末。
【請求項7】
前記複数の他の通信端末の総数から1減算した数の前記応答信号を、前記受信手段において所定時間経過後も受信できない場合に、未だ受信していない前記応答信号の送信元の前記他の通信端末に対して、前記セッションを強制的に切断する第三要求信号を送信する第三送信手段と、
前記第三送信手段において前記第三要求信号を送信した後、前記第三要求信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第二切断手段と
を備えたことを特徴とする請求項4又は5に記載の通信端末。
【請求項8】
通信端末、及び複数の他の通信端末の間でセッションを確立させ、Peer to Peer(P2P)型の通信を行う通信システムであって、
前記通信端末は、
前記複数の他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を送信する第一送信手段と、
前記第一送信手段において送信した前記第一要求信号を受信した複数の前記他の通信端末の少なくともいずれかが、確立中の全ての前記セッションを切断した後、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信した場合に、前記第二応答信号を受信する第一受信手段と、
前記第一受信手段において前記第二応答信号を受信した場合に、前記第二応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断手段と
を備え、
前記他の通信端末は、
前記通信端末から前記第一要求信号を受信する第二受信手段と、
前記第二受信手段において前記第一要求信号を受信した場合に、自身を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第二送信手段と、
前記第二送信手段において前記第二要求信号を送信した後、自身を除く前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第三受信手段と、
自身を除く前記他の通信端末から、前記第二要求信号を受信する第四受信手段と、
前記第四受信手段において前記第二要求信号を受信した場合に、前記第二要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記第一応答信号を送信する第三送信手段と、
前記第三受信手段において前記他の通信端末から前記第一応答信号を受信するか、又は、前記第三送信手段において前記他の通信端末に対して前記第一応答信号を送信した場合に、前記他の通信端末との前記セッションを切断する第二切断手段と、
前記第二切断手段において、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末との前記セッションを切断した場合に、前記通信端末に対して、前記第二応答信号を送信する第四送信手段と、
前記第四送信手段において前記第二応答信号を送信した場合に、前記通信端末との間の前記セッションを切断する第三切断手段と
を備えたことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
セッションが確立し、Peer to Peer(P2P)型の通信を行っている複数の他の通信端末のうちいずれか一つの前記他の通信端末から、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を受信する第一受信ステップと、
前記第一受信ステップにおいて前記第一要求信号を受信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第一送信ステップと、
前記第一送信ステップにおいて前記第二要求信号を送信した後、前記第二要求信号を受信した前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第二受信ステップと、
前記第二受信ステップにおいて前記第一応答信号を受信した場合に、前記第一応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断ステップと、
前記第一切断ステップにおいて、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末との前記セッションを切断した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信する第二送信ステップと、
前記第二送信ステップにおいて前記第二応答信号を送信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第二切断ステップと
を備えたことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
セッションが確立し、Peer to Peer(P2P)型の通信を行っている複数の他の通信端末のうちいずれか一の前記他の通信端末から、前記セッションの切断を要求する第一要求信号を受信する第一受信ステップと、
前記第一受信ステップにおいて前記第一要求信号を受信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末を除く前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断を要求する第二要求信号を送信する第一送信ステップと、
前記第一送信ステップにおいて前記第二要求信号を送信した後、前記第二要求信号を受信した前記他の通信端末から、前記セッションの切断の要求に応じる第一応答信号を受信する第二受信ステップと、
前記第二受信ステップにおいて前記第一応答信号を受信した場合に、前記第一応答信号を送信した前記他の通信端末との前記セッションを切断する第一切断ステップと、
前記第一切断ステップにおいて、前記第二要求信号を送信した全ての前記他の通信端末との前記セッションを切断した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末に対して、前記セッションの切断の要求に応じる第二応答信号を送信する第二送信ステップと、
前記第二送信ステップにおいて前記第二応答信号を送信した場合に、前記第一要求信号を送信した前記他の通信端末との間の前記セッションを切断する第二切断ステップと
をコンピュータに実行させるための通信プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−138864(P2012−138864A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291485(P2010−291485)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】