説明

通信装置、その処理方法及びプログラム

【課題】
通信パラメータ自動設定処理時におけるユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【解決手段】
通信装置は、アクセスポイント機能とステーション機能とを有し、他の装置から受信した制御信号に基づいて、アクセスポイント機能又はステーション機能のいずれの動作モードで動作するかを決定する動作モード決定手段と、制御信号に基づいて、当該他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかを決定するパラメータ設定モード決定手段と、動作モード決定手段に決定された動作モードで動作するとともに、パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、通信パラメータの設定処理を実施するパラメータ設定手段とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、その処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種装置(例えば、プリンタ、カメラ、パーソナルコンピュータ等)においては、IEEE802.11シリーズに準拠した無線LAN(Local Area Network)に代表される無線通信を搭載した製品が急速に普及している。無線LANを利用した通信を行なう場合、設定しなければならない多くの設定項目が存在する。例えば、ネットワーク識別子(SSID:Service Set Identifier)、暗号方式、暗号鍵等の通信パラメータを設定する必要があり、このような設定は、ユーザにとって非常に煩わしい。
【0003】
この問題を解決するため、装置間で所定のシーケンス、メッセージを介して、一方の装置から他方の装置へ通信パラメータを提供する技術が提案されている。非特許文献1には、アクセスポイント経由で通信を行なうインフラストラクチャモードにおける通信パラメータの自動設定処理の一例として、WPS(Wi-Fi Protected Setup)が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、ピアツーピア(Peer To Peer)のアドホックモード及びインフラストラクチャモードの両方に対応した通信パラメータ自動設定処理の一例が開示されている。この技術では、インフラストラクチャモードでSSIDを検索し、SSIDを取得できれば、インフラストラクチャモードで初期設定を行なう。SSIDを取得できなければ、アドホックモードで初期設定を行なう。また、特許文献2には、アクセスポイント機能とステーション機能とを切り替えて動作する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−218885号公報
【特許文献2】特開2008−035373号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wi-Fi CERTIFIED(TM) for Wi-Fi Protected Setup: Easing the User Experience for Home and Small Office Wi-Fi(R) Networks, http://www.wi-fi.org/wp/wifi-protected-setup
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アクセスポイント機能とステーション機能とを備える通信装置においては、他の装置との間で通信パラメータの自動設定を行なう際に、アクセスポイントとして動作するのか、ステーションとして動作するのかを決める必要がある。
【0008】
また、このような動作の選択のみならず、通信パラメータの自動設定処理時に登録側として動作するのか、被登録側として動作するのかも決める必要もある。しかし、登録側又は被登録側のいずれとして動作するかは、ユーザが設定する必要があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、通信パラメータ自動設定処理時におけるユーザの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、アクセスポイント機能とステーション機能とを有する通信装置であって、他の装置から受信した制御信号に基づいて、前記アクセスポイント機能又は前記ステーション機能のいずれの動作モードで動作するかを決定する動作モード決定手段と、前記制御信号に基づいて、当該他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかを決定するパラメータ設定モード決定手段と、前記動作モード決定手段に決定された動作モードで動作するとともに、前記パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、前記通信パラメータの設定処理を実施するパラメータ設定手段とを具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、通信パラメータ自動設定処理時におけるユーザの利便性を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる通信システムの構成の一例を示す図。
【図2】図1に示す第1の通信装置10の構成の一例を示す図。
【図3】図1に示す第2の通信装置30の構成の一例を示す図。
【図4】図1に示す第2の通信装置30の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図5】図1に示す第1の通信装置10の処理の流れの一例を示すフローチャート。
【図6】図1に示す通信システムにおける処理の流れを示すシーケンスチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施の形態に係わる通信システムの構成の一例を示す図である。
【0015】
通信システムには、アクセスポイント50と、第1の通信装置10と、第2の通信装置30とが具備される。
【0016】
アクセスポイント50、第1の通信装置10及び第2の通信装置30は、IEEE802.11シリーズに準拠した無線LANを用いた通信に対応しており、無線ネットワークを介して各装置間で通信を行なう。
【0017】
ここで、アクセスポイント50は、無線ネットワークを構築し、構築した無線ネットワークの管理及び制御を行なうアクセスポイント機能のみを有する装置である。また、第2の通信装置30は、アクセスポイント50に接続し、アクセスポイント50の管理下で無線通信を行なうステーション機能のみを有する装置である。第1の通信装置10は、アクセスポイント機能とステーション機能とを有する装置である。
【0018】
図1に示す例では、アクセスポイント50は、第2の通信装置30と第1のネットワーク61を介して通信を行なっている。ここで、アクセスポイント50を除外(電源オフ、別の場所に移動等)し、第1の通信装置10を新たに配置したとする。この場合、アクセスポイント50が除外されたため、第2の通信装置30は、第1のネットワーク61を介した通信を行なえなくなる。
【0019】
ここで、第1の通信装置10が配置された後、第2の通信装置30において、第1の通信装置10との間の通信の開始がユーザにより指示されたとする。この場合、第2の通信装置30は、第1の通信装置10と(第1の通信装置10により形成された)第2のネットワーク62を介して通信パラメータ設定処理(自動設定処理)を実施する。このとき、第1の通信装置10は、アクセスポイントとして動作し、第2の通信装置30は、ステーションとして動作する。
【0020】
通信パラメータ自動設定処理においては、一方の装置が登録側(Registrar)としての役割を果たし、他方の装置が被登録側(Enrollee)としての役割を果たす。また、通信パラメータ自動設定処理においては、例えば、ネットワーク識別子(SSID)、暗号方式、暗号鍵等の設定が行なわれる。
【0021】
以上が、通信システムの全体構成の一例についての説明である。なお、上記説明した、アクセスポイント50、第1の通信装置10及び第2の通信装置30各々には、例えば、コンピュータが内蔵されている。コンピュータには、CPU等の主制御手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段が具備される。また、コンピュータにはその他、キーボード、マウス、ディスプレイ又はタッチパネル等の入出力手段等も具備される。これら各構成部は、バス等により接続され、主制御手段が記憶手段に記憶されたプログラムを実行することで制御される。
【0022】
次に、図2を用いて、図1に示す第1の通信装置10の構成の一例について説明する。
【0023】
第1の通信装置10は、その機能的な構成として、入力部11と、出力部12と、記憶部13と、制御部14と、通信部15と、アンテナ16とを具備して構成される。
【0024】
入力部11は、例えば、タッチパネルやボタン等により実現され、ユーザからの各種指示を装置内に入力する。出力部12は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display やLED(Light Emitting Diode)等で実現され、各種情報をユーザに出力する。なお、出力部12は、スピーカ等で実現されても良い。
【0025】
記憶部13は、ROMやRAM等のメモリ、又はHDD等で実現され、各種情報を記憶する。通信部15は、アンテナ16を介して他の装置との間で通信を行なう。
【0026】
制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等で実現され、第1の通信装置10における処理を統括制御する。制御部14においては、例えば、通信部15及びアンテナ16を介して通信相手の装置との間における制御信号及びデータの送受信を制御したり、ネットワークへの接続処理を制御したりする。
【0027】
ここで、制御信号は、アクセスポイントとして動作する装置が送信するビーコン、ステーションとして動作する装置が送信するプローブリクエスト、プローブリクエストに対する受信応答であるプローブレスポンスなどを示す。なお、ビーコン、プローブリクエスト、プローブレスポンスには、これら制御信号の送信元の装置に関する各種情報(装置情報)が付加される。装置情報としては、例えば、アクセスポイントとして動作しているか、ステーションとして動作しているかを示す情報や、登録側又は被登録側のいずれで動作しているかを示す情報等が含まれる。また、通信パラメータ自動設定機能を起動しているか否かを示す情報も含まれる。
【0028】
ここで、制御部14により実現される機能的な構成の一例について説明する。なお、制御部14内における各構成は、例えば、CPUがROM等に記憶されたプログラムを読み出し実行することで実現される。
【0029】
制御部14には、その機能的な構成として、他装置検索部21と、動作モード決定部22と、パラメータ設定モード決定部23と、パラメータ自動設定部24とが具備される。
【0030】
他装置検索部21は、自装置(第1の通信装置10)の周囲に存在する他の装置(他装置)を検索する。他装置検索部21における検索は、例えば、通信部15を介してプローブリクエストを送信し、その応答として送られてくるプローブレスポンスを受信することで行なわれる。また、他の装置からのビーコンを受信することにより周囲に存在する装置を検索しても良い。それ以外にも、受信したプローブリクエストやビーコンに基づいて、インフラストラクチャーモードで通信パラメータ自動設定を起動しているアクセスポイントが存在するか否かを検索することもできる。
【0031】
動作モード決定部22は、他の装置から受信した制御信号の種別(ビーコン、プローブリクエスト)に基づいて、自装置をアクセスポイントとして動作させるか、ステーションとして動作させるかを決定する。例えば、他の装置から受信した制御信号がビーコンであれば、自装置をステーションとして動作させる旨決定する。また、例えば、他の装置から受信した制御信号がプローブリクエストであれば、自装置をアクセスポイントとして動作させる旨決定する。
【0032】
パラメータ設定モード決定部23は、通信パラメータ自動設定処理時におけるモード(パラメータ設定モード)を決定する。より具体的には、通信パラメータ自動設定処理時に、自装置を登録側として動作させるか、被登録側として動作させるかを決定する。この決定は、他の装置から受信した制御信号における特定情報要素(装置情報の一部)に基づいて行なわれる。
【0033】
ここで、例えば、WPS(Wi-Fi Protected Setup)においては、通信相手の装置がアクセスポイントとして動作していれば、自装置のパラメータ設定モードを被登録側に決定する。一方、通信相手の装置がステーションとして動作していれば、自装置のパラメータ設定モードを登録側に決定する旨の規定がなされている。
【0034】
本実施形態においては、以下の場合に自装置のパラメータ設定モードを被登録側に決定する。
1)通信相手の装置がアクセスポイントとして動作しており、当該装置からの制御信号に特定情報要素が付加されていない。
2)通信相手の装置がアクセスポイントとして動作しており、当該装置からの制御信号の特定情報要素に登録側である旨が設定されている。
3)通信相手の装置がステーションとして動作しており、当該装置からの制御信号の特定情報要素が登録側である旨が設定されている。
【0035】
また、本実施形態においては、以下の場合に自装置のパラメータ設定モードを登録側に決定する。
4)通信相手の装置がステーションとして動作しており、当該装置からの制御信号に特定情報要素が付加されていない。
5)通信相手の装置がアクセスポイントとして動作しており、当該装置からの制御信号の特定情報要素に被登録側である旨が設定されている。
6)通信相手の装置がステーションとして動作しており、当該装置からの特定情報要素に被登録側である旨が設定されている。
【0036】
パラメータ自動設定部24は、動作モード決定部22及びパラメータ設定モード決定部23により決定された動作モードやパラメータ設定モードに従って通信パラメータ自動設定処理を行なう。通信パラメータ自動設定処理においては、登録側の装置が、所定のプロトコル動作に従って、被登録側の装置に対してSSID、暗号方式、暗号鍵等のパラメータを提供する。
【0037】
次に、図3を用いて、図1に示す第2の通信装置30の構成の一例について説明する。
【0038】
第2の通信装置30は、その機能的な構成として、入力部31と、出力部32と、記憶部33と、制御部34と、通信部35と、アンテナ36とを具備して構成される。なお、これら各構成は、図2を用いて説明した通信装置10における対応する構成と同様の機能を果たすため、その説明については省略する。ここでは、その機能が相違する構成について重点的に説明する。
【0039】
ここで、制御部34により実現される機能的な構成の一例について説明する。なお、制御部34内における各構成は、例えば、CPUがROM等に記憶されたプログラムを読み出し実行することで実現される。
【0040】
制御部34には、その機能的な構成として、通信状況判定部41と、他装置検索部42と、候補決定部43と、パラメータ設定モード決定部44と、パラメータ自動設定部45とが具備される。
【0041】
通信状況判定部41は、自装置(第2の通信装置30)の通信状況を判定する。この判定は、例えば、通信部35を介して他の装置から受信するビーコンを監視することにより行なわれる。通信状況判定部41においては、例えば、接続中のアクセスポイントから所定時間以上、制御信号(ビーコン)を受信できなくなった場合、当該アクセスポイントとの間の通信が不可である旨の判定を行なう。
【0042】
他装置検索部42は、自装置(第2の通信装置30)の周囲に存在する他の装置(他装置)を検索する。他装置検索部42における検索は、上述した第1の通信装置10における他装置検索部21と同様にして行なわれる。
【0043】
候補決定部43は、通信状況判定部41による判定結果に基づいて、通信パラメータ自動設定処理時におけるモード(登録側、被登録側)の候補を決定する。
【0044】
パラメータ設定モード決定部44は、通信パラメータ自動設定処理時における最終的なパラメータ設定モード(登録側、被登録側)を決定する。この決定は、自装置が送信したプローブリクエストに対する受信応答(プローブレスポンス)に付加されている特定情報要素(装置情報の一部)と、候補決定部43により決定された候補とに基づいて行なわれる。
【0045】
パラメータ自動設定部45は、パラメータ設定モード決定部44により決定されたパラメータ設定モードに従って通信パラメータ自動設定処理を行なう。
【0046】
次に、図4を用いて、図1に示す第2の通信装置30における処理の流れの一例について説明する。ここでは、第2の通信装置30が、アクセスポイント50と第1のネットワーク61を介して通信を行なっている状態(図1に示す状態)にある場合の処理の流れについて説明する。
【0047】
第2の通信装置30は、まず、アクセスポイント50と第1のネットワーク61を介して通信を行なっている。このとき、第2の通信装置30は、通信状況判定部41において、アクセスポイント50から送信される制御信号(ビーコン)を監視している。
【0048】
ここで、アクセスポイント50が別の場所等に移動されたとする。この場合、第2の通信装置30は、所定時間以上、アクセスポイント50からの制御信号(ビーコン)を受信できない(S101でYES)。そのため、第2の通信装置30は、通信状況判定部41において、アクセスポイント50と通信が行なえないと判定し、その判定結果(通信状況の判定結果)を記憶部33に格納する(S102)。
【0049】
判定結果の格納が済むと、第2の通信装置30は、入力部31を介したユーザによる通信パラメータ自動設定処理の指示待ちとなる(S103でNO)。この指示がなされると(S103でYES)、第2の通信装置30は、候補決定部43において、記憶部33に格納された通信状況の判定結果を参照し、通信パラメータ自動設定処理時のパラメータ設定モードの候補を決定する。この決定処理では、通信状況の判定結果が通信不可であれば(S104でYES)、登録側に決定され(S105)、そうでなければ(S104でYES)、被登録側に決定される(S106)。なお、自動設定処理の完了時やネットワークへの接続完了時等には、通信状況の判定結果として通信可の判定結果が記憶部33に格納されていても良い。また、通信パラメータ自動設定処理の開始や、パラメータ設定モードの候補等に関する情報は、出力部32に出力されても良い。
【0050】
次に、第2の通信装置30は、他装置検索部42において、周囲に存在する装置を検索する。この検索処理では、上記決定されたパラメータ設定モード候補(登録側、被登録側)を特定情報要素として付加した制御信号(プローブリクエスト)を送信する(S107)。そして、その応答として制御信号(プローブレスポンス)を受信することで周囲に存在する装置を検索する(S108でYES)。なお、S105及びS106の処理で決められたパラメータ設定モードの候補がデフォルト設定と同じであれば、プローブリクエストに特定情報要素を付加しなくても良い。例えば、アクセスポイント機能がなくステーション機能のみを有する通信装置の場合には、被登録側がデフォルト設定となる。また、例えば、アクセスポイント機能とステーション機能との両方を有する通信装置の場合には、登録側がデフォルト設定となる。
【0051】
他の装置の検索が済むと、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、通信パラメータ自動設定処理時のパラメータ設定モードを決定する。この決定処理は、候補決定部43により決定された設定モードの候補と、S108の処理で受信したプローブレスポンスの特定情報要素とに基づいて行なわれる。
【0052】
この処理では、まず、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、S108の処理で受信したプローブレスポンスの特定情報要素を参照する。ここで、特定情報要素が付加されていなければ(S109でNO)、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、プローブレスポンス元の装置がアクセスポイントとして動作しているか否かの判定を行なう。
【0053】
判定の結果、プローブレスポンス元の装置がアクセスポイントとして動作していれば(S110でYES)、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、自装置のパラメータ設定モードを被登録側に決定する(S111)。一方、プローブレスポンス元の装置がアクセスポイントとして動作していなければ(S110でNO)、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、自装置のパラメータ設定モードを登録側に決定する(S112)。
【0054】
また、S109の判定の結果、プローブレスポンスに特定情報要素が付加されていたとする(S109でYES)。この場合、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、上記決定されたパラメータ設定モードの候補と異なるパラメータ設定モードが特定情報要素として設定されているか否かを判定する(S113)。なお、S105及びS106の処理で決定したパラメータ設定モードの候補と異なるパラメータ設定モードが特定情報要素に設定されている場合には、プローブレスポンス元の装置が、第2の通信装置30が決定したパラメータ設定モードを承諾したことになる。例えば、第2の通信装置30が、被登録側を付加したプローブリクエストを送信した場合に、プローブレスポンスに登録側が付加されていれば、プローブレスポンス元の装置が、第2の通信装置30が決定したパラメータ設定モードを承諾したことになる。
【0055】
ここで、上記候補と異なるパラメータ設定モードが特定情報要素に設定されていれば(S114でYES)、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、当該候補を自装置のパラメータ設定モードに決定する(S115)。一方、上記候補と同じパラメータ設定モードが特定情報要素に設定されていれば(S114でNO)、第2の通信装置30は、パラメータ設定モード決定部44において、上記候補と異なるパラメータ設定モードを自装置のパラメータ設定モードに決定する(S116)。すなわち、通信相手の装置の意向に従って自装置のパラメータ設定モードを設定する。この場合、例えば、登録側をパラメータ設定モードの候補としていた場合には、第2の通信装置30は、被登録側を設定し、被登録側をパラメータ設定モードの候補としていた場合には、第2の通信装置30は、登録側を設定することになる。なお、ここでは、通信相手の装置の意向に従って、自装置のパラメータ設定モードを決めているが、これに限られない。例えば、通信相手の装置との間で再度通信を行なうことにより、当該通信相手の装置側のパラメータ設定モードを自装置の意向に従わせて変更させても良い。
【0056】
このようにしてパラメータ設定モードが決定した後、第2の通信装置30は、パラメータ自動設定部45において、パラメータ設定モード決定部44により決定されたパラメータ設定モードに従って通信パラメータ自動設定処理を行なう(S117)。その後、この処理は終了する。
【0057】
次に、図5を用いて、図1に示す第1の通信装置10における処理の流れの一例ついて説明する。
【0058】
第1の通信装置10は、入力部11を介したユーザによる通信パラメータ自動設定処理の指示待ちにある(S201でNO)。この指示がなされると(S201でYES)、第1の通信装置10は、他装置検索部21において、周囲に存在する装置を検索する。この検索処理は、周囲の装置から送られてくる制御信号(ビーコン、プローブリクエスト)の受信に基づいて行なわれる。
【0059】
ここで、制御信号(ビーコン)を受信した場合(S203でYES)、第1の通信装置10は、当該制御信号の送信元の装置をアクセスポイントであると判定する(S203でYES)。そして、動作モード決定部22において、自装置の動作モードをステーションに決定する(S204)。また、制御信号(プローブリクエスト)した場合(S203でNO)、第1の通信装置10は、当該制御信号の送信元の装置をステーションであると判定する。そして、動作モード決定部22において、自装置の動作モードをアクセスポイントに決定する(S205)。
【0060】
次に、第1の通信装置10は、パラメータ設定モード決定部23において、当該受信した制御情報(ビーコン、プローブリクエスト)に付加された特定情報要素を参照し、通信パラメータ自動設定処理時のパラメータ設定モードを決定する。
【0061】
ここで、特定情報要素が付加されていなければ(S206でNO)、第1の通信装置10は、パラメータ設定モード決定部23において、S203の処理で受信した制御信号がビーコンであるか否かを判定する。ビーコンであれば(S207でYES)、当該制御信号の送信元がアクセスポイントであるとして、第1の通信装置10は、パラメータ設定モード決定部23において、自装置のパラメータ設定モードを被登録側に決定する(S208)。一方、プローブリクエストであれば(S207でNO)、当該制御信号の送信元がステーションであるとして、第1の通信装置10は、パラメータ設定モード決定部23において、自装置のパラメータ設定モードを登録側に決定する(S209)。
【0062】
また、S206の判定の結果、制御信号に特定情報要素が付加されていたとする(S206でYES)。この場合、第1の通信装置10は、当該特定情報要素に登録側か被登録側かのいずれが付加されているかを判定する。登録側が付加されていれば(S210でYES)、第1の通信装置10は、パラメータ設定モード決定部23において、自装置のパラメータ設定モードを被登録側に決定する(S211)。一方、被登録側が付加されていれば(S210でNO)、第1の通信装置10は、パラメータ設定モード決定部23において、自装置のパラメータ設定モードを登録側に決定する(S212)。
【0063】
このようにしてパラメータ設定モードが決定した後、第1の通信装置10は、当該決定したパラメータ設定モードを特定情報要素として付加した制御信号(受信応答)を送信する。すなわち、S202で受信した制御信号に対する応答として、受信応答の送信元の装置が登録側又は被登録側のいずれであるかを示す情報を送信する(S213)。
【0064】
応答の送信後、第1の通信装置10は、パラメータ自動設定部24において、上記決定された動作モード及びパラメータ設定モードに従って通信パラメータ自動設定処理を行なう(S214)。その後、この処理は終了する。
【0065】
次に、図6を用いて、図1に示す通信システムにおける全体的な処理の流れについて具体例を挙げて説明する。ここでは、アクセスポイント50と第2の通信装置30とが通信を行なった後、アクセスポイント50が除外(電源オフ、別の場所に移動等)され、第1の通信装置10を新たに配置した場合に、通信パラメータ自動設定処理を行なうケースについて説明する。
【0066】
第2の通信装置30は、アクセスポイント50から制御信号(ビーコン)を受信している(S301及びS302)。ここで、アクセスポイント50が別の場所に移す等されたとする。この場合、第2の通信装置30においては、アクセスポイント50との間の通信が不可になったと判定される(S303)。
【0067】
ここで、アクセスポイント機能とステーション機能とを有する第1の通信装置10が新たに配置される。そして、当該第1の通信装置10において、入力部11を介したユーザの指示により通信パラメータ自動設定処理の開始が指示されたとする。また、第2の通信装置30においても、入力部31を介したユーザの指示により通信パラメータ自動設定処理の開始が指示されたとする。
【0068】
第2の通信装置30は、S303の処理における通信状況の判定結果(通信不可)を参照し、通信パラメータ自動設定処理時のパラメータ設定モードの候補を登録側に決定する(S304)。その後、第2の通信装置30は、S304の処理で決定したパラメータ設定モードの候補を特定情報要素として付加した制御信号(プローブリクエスト)を送信する(S305)。
【0069】
ここで、第1の通信装置10は、第2の通信装置30からの制御信号(プローブリクエスト)を受信し、当該制御信号に基づいて自装置(第1の通信装置10)の動作モードをアクセスポイントに決定する(S306)。また、第1の通信装置10は、第2の通信装置30からの制御信号(プローブリクエスト)の特定情報要素に基づいて、自装置(第1の通信装置10)のパラメータ設定モードを被登録側に決定する(S307)。その後、第1の通信装置10は、被登録側を特定情報要素として付加した制御信号(プローブレスポンス)を送信する(S308)。
【0070】
ここで、第2の通信装置30は、自装置(第2の通信装置30)のパラメータ設定モードを登録側に決定する(S309)。この決定は、S304の処理で決定したパラメータ設定モードの候補と、S308の処理で受信した制御信号(プローブレスポンス)の特定情報要素とに基づいて行なわれる。
【0071】
その後、第1の通信装置10と第2の通信装置30との間で通信パラメータ自動設定処理が実施される(S310)。このとき、第1の通信装置10は、S306の処理で決定した動作モード(アクセスポイント)とS307の処理で決定したパラメータ設定モード(被登録側)に従って通信パラメータ自動設定処理を実施する。従って、第1の通信装置10は、アクセスポイントとして機能し、登録側から通信パラメータの提供を受け、当該提供された通信パラメータを設定し、以降、アクセスポイントとして無線通信を行なう。また、第2の通信装置30は、ステーションとして動作するとともに、S309の処理で決定したパラメータ設定モード(登録側)に従って通信パラメータ自動設定処理を実施する。従って、第2の通信装置30は、ステーションとして機能し、被登録側の装置に通信パラメータを提供する。
【0072】
以上説明したように本実施形態によれば、通信相手の装置から受信した制御信号に基づいて、動作モード(アクセスポイント、ステーション)やパラメータ設定モード(登録側、被登録側)を決定し、当該モードに従って通信パラメータ自動設定処理を実施する。
【0073】
これにより、通信パラメータ自動設定処理に際して、ユーザがメニュー画面等を操作して動作モードやパラメータ設定モードを指定する必要がなくなるため、通信パラメータ自動設定処理時におけるユーザの利便性が向上する。
【0074】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0075】
例えば、上述した実施形態においては、IEEE802.11準拠の無線LANを適用した場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、ワイヤレスUSB、MBOA、Bluetooth(登録商標)、UWB、ZigBee等の他の無線媒体を用いた通信に適用しても良い。また更に、有線LAN等の有線を利用した通信媒体を用いた通信に適用しても良い。なお、MBOA(Multi Band OFDM Alliance)やUWB(Ultra Wide Band)には、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、WINETなどが含まれる。
【0076】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイント機能とステーション機能とを有する通信装置であって、
他の装置から受信した制御信号に基づいて、前記アクセスポイント機能又は前記ステーション機能のいずれの動作モードで動作するかを決定する動作モード決定手段と、
前記制御信号に基づいて、当該他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかを決定するパラメータ設定モード決定手段と、
前記動作モード決定手段に決定された動作モードで動作するとともに、前記パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、前記通信パラメータの設定処理を実施するパラメータ設定手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記動作モード決定手段は、
前記制御信号の種別に基づいて前記動作モードを決定する
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記動作モード決定手段は、
前記制御信号がビーコンであれば、前記動作モードをステーション機能に決定し、前記制御信号がプローブリクエストであれば、前記動作モードをアクセスポイント機能に決定する
ことを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記パラメータ設定モード決定手段は、
前記制御信号に付加された前記他の装置の情報に基づいて前記パラメータ設定モードを決定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記パラメータ設定モード決定手段は、
前記制御信号に前記他の装置が登録側であることを示す情報が付加されていれば、前記パラメータ設定モードを被登録側に決定し、前記制御信号に前記他の装置が被登録側であることを示す情報が付加されていれば、前記パラメータ設定モードを登録側に決定する
ことを特徴とする請求項4記載の通信装置。
【請求項6】
前記パラメータ設定モード決定手段は、
前記制御信号に前記他の装置が登録側又は被登録側のいずれであるかを示す情報が付加されていない場合、当該制御信号がビーコンであれば、前記パラメータ設定モードを被登録側に決定し、当該制御信号がプローブリクエストであれば、前記パラメータ設定モードを登録側に決定する
ことを特徴とする請求項4記載の通信装置。
【請求項7】
前記パラメータ設定モード決定手段により決定された前記パラメータ設定モードを制御信号に含めて送信する送信手段
を更に具備することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
ステーション機能を有する通信装置であって、
自装置がアクセスポイントと接続中であるか否かを判定する判定手段と、
前記アクセスポイントと接続中であるか否かに基づいて、他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかの候補を決定する候補決定手段と、
前記候補決定手段により決定された前記パラメータ設定モードの候補を制御信号に含めて送信する送信手段と、
前記送信手段により送信された制御信号の受信応答に付加された情報に基づいて最終的な前記パラメータ設定モードを決定するパラメータ設定モード決定手段と、
前記パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、前記通信パラメータの設定処理を実施するパラメータ設定手段と
を具備することを特徴とする通信装置。
【請求項9】
前記受信応答には、当該受信応答の送信元の装置が登録側又は被登録側のいずれであるかを示す情報が付加されており、
前記パラメータ設定モード決定手段は、
前記受信応答に付加された情報が前記制御信号に付加した前記パラメータ設定モードの候補と異なっていれば、前記パラメータ設定モードの候補を最終的な前記パラメータ設定モードに決定し、前記受信応答に付加された情報が前記制御信号に付加した前記パラメータ設定モードの候補と同じであれば、予め決められたモードを最終的な前記パラメータ設定モードに決定する
ことを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項10】
前記パラメータ設定モード決定手段は、
前記受信応答に当該受信応答の送信元の装置が登録側又は被登録側のいずれであるかを示す情報が付加されていなければ、当該受信応答の送信元の装置がアクセスポイントとして動作していれば、最終的な前記パラメータ設定モードを被登録側に決定し、アクセスポイントとして動作していなければ、最終的な前記パラメータ設定モードを登録側に決定する
ことを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項11】
アクセスポイント機能とステーション機能とを有する通信装置の処理方法であって、
動作モード決定手段が、他の装置から受信した制御信号に基づいて、前記アクセスポイント機能又は前記ステーション機能のいずれの動作モードで動作するかを決定する工程と、
パラメータ設定モード決定手段が、前記制御信号に基づいて、当該他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかを決定する工程と、
パラメータ設定手段が、前記動作モード決定手段に決定された動作モードで動作するとともに、前記パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、前記通信パラメータの設定処理を実施する工程と
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項12】
ステーション機能を有する通信装置の処理方法であって、
判定手段が、自装置がアクセスポイントと接続中であるか否かを判定する工程と、
候補決定手段が、前記アクセスポイントと接続中であるか否かに基づいて、他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかの候補を決定する工程と、
送信手段が、前記候補決定手段により決定された前記パラメータ設定モードの候補を制御信号に含めて送信する工程と、
パラメータ設定モード決定手段が、前記送信手段により送信された制御信号の受信応答に付加された情報に基づいて最終的な前記パラメータ設定モードを決定する工程と、
パラメータ設定手段が、前記パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、前記通信パラメータの設定処理を実施する工程と
を含むことを特徴とする処理方法。
【請求項13】
アクセスポイント機能とステーション機能とを有する通信装置に内蔵されたコンピュータを、
他の装置から受信した制御信号に基づいて、前記アクセスポイント機能又は前記ステーション機能のいずれの動作モードで動作するかを決定する動作モード決定手段、
前記制御信号に基づいて、当該他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかを決定するパラメータ設定モード決定手段、
前記動作モード決定手段に決定された動作モードで動作するとともに、前記パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、前記通信パラメータの設定処理を実施するパラメータ設定手段
として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
ステーション機能を有する通信装置に内蔵されたコンピュータを、
自装置がアクセスポイントと接続中であるか否かを判定する判定手段、
前記アクセスポイントと接続中であるか否かに基づいて、他の装置との間の通信に必要な通信パラメータの設定処理を行なう際に登録側又は被登録側のいずれのパラメータ設定モードで動作するかの候補を決定する候補決定手段、
前記候補決定手段により決定された前記パラメータ設定モードの候補を制御信号に含めて送信する送信手段、
前記送信手段により送信された制御信号の受信応答に付加された情報に基づいて最終的な前記パラメータ設定モードを決定するパラメータ設定モード決定手段、
前記パラメータ設定モード決定手段により決定されたパラメータ設定モードに従って、前記通信パラメータの設定処理を実施するパラメータ設定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−156895(P2012−156895A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15704(P2011−15704)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】