説明

通信装置、及び、発信者情報受信方法

【課題】発信者情報を受信する際における機械式リレーの機械音の発生を抑制することが可能な技術を開示する。
【解決手段】交換機71から発呼側の発信者情報が通知される複合機1であって、モデム39と、一対の接点12A,12Bの間に接続され交換機71にて検知可能な第1閉ループRL1を形成するCMLリレー16と、一対の接点を含みCMLリレーを含まず交換機にて検知不能な第2閉ループRL2と、フォトカプラ63がオンして、一対の接点を含みCMLリレーを含まず交換機にて検知可能な第3閉ループRL3を形成するDP発呼回路60と、主制御部29,信号検知部38と、を備え、主制御部は、CMLリレーを開状態とし、且つ、フォトカプラをオフした状態でCAR信号を検知し、CAR信号が検知された場合、CMLリレーを開状態に維持させ、且つ、フォトカプラをオンさせて、第2閉ループを介してモデムに発信者情報を受信させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、交換機から発呼側の発信者情報が通知されるナンバーディスプレイサービスに対応した通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通信回線を介して通信を行うファクシミリ装置等の通信装置には、交換機から発呼側の発信者情報が通知される、いわゆるナンバーディスプレイサービスに対応したものがある(特許文献1参照)。従来、このナンバーディスプレイサービスに対応した通信装置は、情報受信端末起動信号(CAR信号)及び呼出信号(CI信号)を検出する信号検出回路と、モデムと、CML(Connect Modem to Line)リレーとを備える。
【0003】
CMLリレーは、機械式リレーであって、通信回線の接続先を、信号検出回路とモデムとの間で切り替える。具体的には、通信装置がナンバーディスプレイサービスを利用する場合、まず、CMLリレーはオフされて通信回線が信号検出回路側に接続される。信号検出回路がCAR信号を検出すると、CMLリレーはオンされて通信回線がモデム側に接続される。モデムが発信者情報を受信すると、CMLリレーは再びオフされ、信号検出回路がCI信号を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−16360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来の通信装置では、発信者情報を受信するために、CMLリレーにオンとオフとを少なくとも1回ずつ実行させる必要がある。このため、従来の通信装置では、ナンバーディスプレイサービスを利用する場合、同サービスを利用しない場合に比べて、CMLリレーのオンオフによる機械音、換言すれば切替音が多く発せられるという問題がある。
【0006】
本明細書では、発信者情報を受信する際における機械式リレーの機械音の発生を抑制することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書によって開示される通信装置は、交換機から発呼側の発信者情報が通知される電話回線に接続される通信装置であって、前記電話回線に接続される少なくとも一対の回線接続端子と、モデムと、前記一対の回線接続端子の間に接続される機械式リレーであって、前記電話回線と前記モデムとを閉結して前記交換機にて検知可能な所定量以上の電流が流れる第1閉ループを形成する閉状態と、当該第1閉ループを開放した開状態とに切り替わる機械式リレーと、前記一対の回線接続端子を含み前記機械式リレーを含まない第2閉ループであって、前記通信回路と前記モデムとを閉結して前記交換機にて前記所定量未満の電流が流れる第2閉ループ(を有する閉回路)と、前記一対の回線接続端子との間に接続される半導体スイッチ素子を有し、当該半導体スイッチがオンすることで、前記一対の回線接続端子を含み前記機械式リレーを含まず、前記所定量以上の電流が流れる第3閉ループを形成するスイッチ回路と、制御ユニットと、を備え、前記制御ユニットは、前記機械式リレーを前記開状態とし、且つ、前記半導体スイッチ素子をオフした状態で、前記電話回線に伝送された情報受信端末起動信号を検知する起動信号検知処理と、前記信号検知処理にて前記情報受信端末起動信号が検知された場合に、前記機械式リレーを前記開状態に維持させ、且つ、前記半導体スイッチ素子をオンによって前記第3閉ループを形成させ、前記第2閉ループを介して前記モデムに前記発信者情報を受信させる受信処理と、を実行する。
【0008】
上記通信装置では、前記制御ユニットは、前記受信処理後、前記半導体スイッチ素子をオフし、前記電話回線に伝送された呼出信号を検知する呼出信号検知処理を実行してもよい。
【0009】
上記通信装置では、前記スイッチ回路は、ダイヤルパルス回路であって、前記制御ユニットは、前記半導体スイッチ素子をオンオフさせてダイヤパルス発呼信号を、前記電話回線を介して被呼側に出力する発呼処理を実行してもよい。
【0010】
上記通信装置では、前記半導体スイッチ素子は、フォトカプラでもよい。
【0011】
なお、この発明は、発信者情報受信方法、当該方法または上記通信装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、発信者情報を受信する際、機械式リレーを開状態のまま、スイッチ回路が有する半導体スイッチ素子がオンされることで、一対の回線接続端子を含み、且つ、交換機側で検知可能な所定量以上の電流が流れる第3閉ループが形成される。これにより、機械式リレーを閉状態にすることなく、交換機から発信者情報を受信することができる。このため、機械式リレーを閉状態にして発信者情報を受信する従来の通信装置に比べて、発信者情報を受信する際における機械式リレーの機械音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一実施形態に係る複合機の構成を示すブロック図
【図2】DP発呼回路の構成例を示す図
【図3】着信時処理を示すフローチャート
【図4】CI信号の波形図
【図5】CAR信号の波形図
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態について図1〜図5を参照しつつ説明する。本実施形態に係る複合機1は、少なくとも電話機能を含む複数機能を有する通信装置であり、電話機能以外の機能としては、ファクシミリ機能、印刷機能やスキャナ機能等が挙げられる。
【0015】
(複合機の構成)
図1は、複合機1の構成を示すブロック図である。なお、同図では、主に電話機能に関する構成が示されており、その他の機能に関する構成には公知技術を利用することができるため、省略されている。同図に示すように、複合機1は、電話回線70を介して交換機71に接続されている。この交換機1は、発呼側の発信者情報を通知するサービスを実行する。発呼側の発信者情報の一例としては、電話番号、ファックス番号、発信側の機器の識別情報や発信者の氏名などが挙げられる。また、複合機1には、外部通信装置の一例としての外付電話50が接続されている。
【0016】
複合機1は、外付電話50を接続可能な電話接続端子11と、電話回線70を接続可能な回線接続端子12とを備えている。電話接続端子11、回線接続端子12は、いずれも複合機1の外部に露出した同一形状のモジュラージャックとして構成されており、2つの接点11Aおよび11Bと、接点12Aおよび12Bをそれぞれ備えている。接点12Aおよび12Bは、一対の回線接続端子の一例である。また、複合機1には、トランス17と、接点12Aとトランス17の一端とを接続する通電経路13Aと、接点12Bとトランス17の他端とを接続する通電経路13Bとが備えられている。
【0017】
リレー15は、電話接続端子11側に設けられる。リレー15は、リレー切替信号RSSに基づいて、接点Xと接点Yとを選択可能に切り替える機械式リレーである。リレー15の接点Xは、接点11Aを通電経路13Aに第1ノードN1で接続し、接点11Bを通電経路13Bに第2ノードN2で接続する。よって接点Xが選択されると、電話接続端子11の接続先が、モデム39および回線接続端子12とされる。また、リレー15の接点Yは、鳴動回路18に接続される。よって接点Yが選択されると、電話接続端子11の接続先が鳴動回路18とされる。リレー15は、電話回線70からの情報受信端末起動信号、即ち、CAR信号の待ち受け状況では、接点Xを選択して外付電話50を電話回線70に接続した状態に維持するとしてもよい。
【0018】
極性反転回路33は、電話回線70の極性反転を検出する回路である。信号検知部38は、CAR信号や、呼出信号、即ち、CI信号を検出する回路である。鳴動回路18は、電話回線70を介して入力されるCI信号の代わりとなる擬似呼出信号を、CPU30からの指令に基づいて出力する周知の回路である。すなわち、リレー15の接続先を接点Yとしておけば、鳴動回路18から外付電話50に擬似呼出信号を出力することができ、着信の有無に関わらず外付電話50を鳴動させることができる。
【0019】
また、電話接続端子11とリレー15と間の通電経路上には、電流検出回路19が備えられる。電流検出回路19は、通電経路に流れる電流の有無を検出し、検出結果を電流検出信号IDSとしてCPU30へ出力する。
【0020】
CMLリレー16は、機械式リレーの一例であって、回線接続端子12側の、第1ノードN1とトランス17との接続経路上に設けられる。CMLリレー16は、通電経路13Aをオン・オフし、回線接続端子12をトランス17に接続するか否かを制御することで、電話回線70を閉結するか否かを制御することができる。トランス17は、電話回線70から入力された通信データを、絶縁状態を保持しつつモデム39に伝達する回路である。また、モデム39は、デジタル信号とアナログ信号とを相互に変換する周知の回路である。
【0021】
CMLリレー16をオンにすることで、接点12A、CMLリレー16、トランス17、接点12Bを通る経路の直流ループが形成され、モデム39が電話回線70と閉結される。この直流ループには、所定量以上の電流が流れるため、交換機71は、当該直流ループの存在を検知することができる。以下、この直流ループを、第1閉ループRL1という。また、CMLリレー16をバイパスするように備えられる抵抗34によって、接点12A、第1ノードN1、抵抗34、トランス17、第2ノードN2、接点12Bを通るバイパス経路の直流ループが形成されており、モデム39が電話回線70と常に閉結された状態とされている。以下、この直流ループを、第2閉ループRL2という。なお、当該第2閉ループを形成する回路部分が閉回路の一例である。また、外付電話50のデータ経路、即ち、接点12A、第1ノードN1、電流検出回路19、接点11A、外付電話50、接点11B、電流検出回路19、第2ノードN2、接点12Bを通る経路によって、外付電話50が電話回線70と閉結される。
【0022】
データ経路によって外付電話50が信号を受信している際には、CMLリレー16は非接続状態、即ち、開状態とされ、第1閉ループRL1は遮断される。しかし、第2閉ループRL2を用いることによって、外付電話50が受信した信号をモデム39でもモニタすることができる。また、第2閉ループRL2は、抵抗34を経由しているため、ハイインピーダンスとなっており、所定量未満の電流しか流れない。このため、交換機71は、当該第2閉ループRL2の存在を検知することができない。よって、第2閉ループRL2を用いる際に、外付電話50の応答動作に影響を与えることはない。
【0023】
主制御部29には、CPU30、ROM31、RAM32が備えられる。CPU30は、ROM31に記憶されたプログラムに基づき、複合機1を制御する回路である。CPU30には、モデム39、極性反転回路33、信号検知部38、鳴動回路18、表示部41、内蔵電話43、操作部44などが接続される。RAM32には、後述する各種のパラメータが記憶される。主制御部29及び信号検知部38は、制御ユニットの一例である。
【0024】
表示部41は、複合機1の筐体表面(不図示)に設けられた、液晶パネルなどの装置である。内蔵電話43は、複合機1に予め備えられる、音声通話用の受話器である。操作部44は、複合機1の筐体表面に設けられた、テンキーなどの入力装置である。また、CPU30からはリレー切替信号RSSおよびリレー制御信号SCSが出力され、CPU30には電流検出信号IDSが入力される。
【0025】
複合機1には、接点12Aと接点12Bとの間に接続されたDP(ダイヤルパルス)発呼回路60が備えられている。CPU30は、発信時において、通信先の電話番号またはファックス番号に応じたオンオフ指令を出力することにより、DP発呼回路60に、ダイヤル発呼信号を、電話回線70を介して被呼側に出力させる発呼処理を実行する。
【0026】
図2は、DP発呼回路60の構成例を示す図である。DP発呼回路60は、ダイオードブリッジ61、ダイオード62及びフォトカプラ63を有する。ダイオードブリッジ61は、4つのダイオードを接続した周知の整流回路であり、2つのダイオードのカソード同士の接続点61Aと、2つのダイオードのアノード同士の接続点61Bとの間に、ダイオード62及びフォトカプラ63が並列に接続されている。また、ダイオードブリッジ61は、2つのダイオードのアノードとカソードとの接続点61Cが通電経路13Aに接続され、2つのダイオードのアノードとカソードとの接続点61Dが通電経路13Bに接続されている。DP発呼回路60は、スイッチ回路の一例であり、図2に示す構成以外に、各種の公知技術を利用することができる。また、フォトカプラ63は、半導体スイッチ素子の一例である。
【0027】
CPU30が、オン指令を出力して、フォトカプラ63にオン動作させると、接点12A、DP発呼回路60が有するダイオードブリッジ61、接点12Bを通る経路の直流ループが形成される。この直流ループには、上記抵抗34が無く、所定量以上の電流が流れるため、交換機71は、当該直流ループの存在を検知することができる。以下、この直流ループを、第3閉ループRL3という。一方、CPU30が、オフ指令を出力して、フォトカプラ63にオフ動作させると、第3閉ループRL3は遮断される。
【0028】
(着信時処理)
図3は、着信時処理を示すフローチャートである。また、図4はCI信号の波形図であり、図5はCAR信号の波形図である。主制御部29は、交換機71から電話回線70を介して、音声通話やFAX通信が着信した場合に、着信時処理を実行する。なお、以下の説明では、複合機1の初期状態では、リレー15の接続先が接点Xとされ、外付電話50が電話回線70に接続され、CMLリレー16が開状態とされ、電話回線70にモデム39が閉結されていないものとする。また、初期状態では、モデム39は、第1モードに設定されているものとする。第1モードは、いわゆる通常モードであって、具体的にはDTMF信号取得などの待機状態でのモードである。
【0029】
具体的には、CPU30は、まず、極性反転回路33が極性反転を検出したか否かが判断する(S1)。極性反転は、各種の信号が交換機71から送出開始される旨を意味する。各種の信号の一例としては、CAR信号やCI信号が挙げられる。CPU30は、極性反転を検出したと判断すると(S1:YES)、信号検知部38がCI信号を検知したかどうかを判断する(S2)。この処理は、起動信号検知処理、起動信号検知ステップの一例である。
【0030】
ここで、図4に示すように、CI信号は、1秒のオン時間と2秒のオフ時間とを有するパルス波形が繰り返される信号である。図5に示すように、CAR信号は、0.5秒のオン時間と0.5秒のオフ時間とを有するパルス波形が約6秒間繰り返される信号である。信号検知部38は、交換機71から受信した信号のオン時間およびオフ時間を測定することで、CI信号とCAR信号の何れを受信したのかを判別することができる。
【0031】
CPU30は、CI信号を検知したと判断した場合には(S1:YES)、鳴動回路18に鳴動動作を実行させ(S3)、内蔵電話43または外付電話50のハンドセットが持ち上げられてオフフック状態とされたかどうかを判断する(S4)。CPU30は、オフフック状態とされたと判断すると(S4:YES)、鳴動回路18に鳴動動作を停止させ、CMLリレー16を閉状態にする(S5)。これにより、モデム39と電話回線70とが、第1閉ループRL1により閉結されて、CPU30は、通話処理を実行する(S6)。CPU30は、ハンドセットが元の場所に戻されてオンフック状態とされたと判断すれば(S7:YES)、通話処理を終了し、CMLリレー16を開状態とし(S8)、本着信時処理を終了する。
【0032】
一方、CPU30は、CAR信号を検知したと判断した場合には(S1:NO)、CMLリレー16を開状態としたまま、DP発呼回路60をオンさせる(S9)。第1閉ループRL1は遮断されたまま、第3閉ループRL3が形成される。上述したように、第3閉ループRL3は、第1閉ループRL1と同様、交換機71で検知可能である。従って、交換機71に対し、CMLリレー16を開閉させることなく、第3閉ループRL3の存在により、複合機1において電流ループが形成されたことを疑似的に検知させることができる。交換機71は、電流ループを検知すると、発信者情報を複合機1に送信する。また、S8では、半導体素子であるフォトカプラ63がオンするのであって、CMLリレー16のような機械式リレーを閉動作させるわけではない。従って、機械式リレーの閉閉動作による機械音の発生を抑制することができる。
【0033】
CPU30は、DP発呼回路60をオンした後、モデム39の設定を、第2モードに切り替える(S10)。第2モードは、発信者情報などを取得可能なモードである。そして、CPU30は、第2閉ループRL2及びモデム39経由で、交換機71からの発信者情報を受信する(S11)。S9〜S11までが、受信処理、受信ステップの一例である。なお、S9とS10の順序を入れ替えてもよい。
【0034】
CPU30は、発信者情報の受信を完了すると、DP発呼回路60をオフする(S12)。このとき、フォトカプラ63がオフするのであって、CMLリレー16のような機械式リレーを開動作させるわけではない。従って、機械式リレーの閉閉動作による機械音の発生を抑制することができる。
【0035】
CPU30は、DP発呼回路60をオフすると、モデム39の設定を、第1モードに戻し(S13)、上記発信者情報に応じた情報を表示部41に表示させ(S14)、S1に戻る。その後、CPU30は、CI信号を検知したと判断すれば(S2:YES)、S3に進み、上述の通話処理等を実行し、本着信時処理を終了する。
【0036】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、発信者情報を受信する際、CMLリレー16を開状態のまま、DP発呼回路60が有するフォトカプラ63がオンされることで、第3閉ループRL3が形成される。交換機71は、第3閉ループRL3の存在により、複合機1において電流ループが形成されたことを疑似的に検知させることができる。すると、交換機71は、発信者情報を複合機1に送信することができ、その発信者情報は、第2閉ループを介してモデム39によって受信される。
【0037】
これにより、CMLリレー16を閉状態にすることなく、複合機1は、交換機71から発信者情報を受信することができる。このため、機械式リレーを閉状態にして発信者情報を受信する従来の通信装置に比べて、発信者情報を受信する際における機械式リレーの機械音の発生を抑制することができる。
【0038】
また、発信者情報の受信から、CI信号の検知処理(S2)への移行時に、フォトカプラ63をオフするので、機械式リレーをオフする場合に比べて、機械式リレーの機械音の発生を抑制することができる。更に、発呼動作時に利用する既存のDP発呼回路60を、スイッチ回路として利用することにより、発信者情報を受信する際における機械式リレーの機械音の発生を抑制することができる。即ち、第3閉ループRL3を形成するために専用のスイッチ回路を設ける必要がない。また、半導体スイッチ素子はフォトカプラ63なので、主制御部29等が、例えば電話回線70上のノイズによる影響を受けることを抑制することができる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0040】
(1)上記実施形態では、通信装置の一例として、複数機能を有する複合機1を挙げた。しかし、通信装置は、これに限らず、少なくとも電話回線を介して通信する装置であればよく、例えば、電話機能及びファックス機能の少なくとも1つの機能を有する装置であればよい。
【0041】
(2)上記実施形態では、制御ユニットの一例として、1つのCPU30を有する主制御部29及び信号検知部38を例に挙げた。しかし、制御ユニットは、信号検知部38を有さずに、当該信号検知部38の処理を、CPU30に実行させる構成でもよい。また、制御ユニットは、複数のCPUを備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及びCPUの両方を備える構成でもよい。例えば上記起動信号検知処理と受信処理とを別々のCPUやハード回路で実行する構成でもよい。
【0042】
(3)上記実施形態では、スイッチ回路の一例として、発呼時に利用する既存の発呼回路60を例に挙げた。しかし、スイッチ回路は、これに限らず、DP発呼回路とは別に設けられたものでもよい。また、スイッチ回路は、フォトカプラ63を有するものに限らず、トランジスタなど、他の半導体スイッチ素子を利用するものでもよい。要するに、スイッチ回路は、半導体スイッチ素子を有する構成であればよく、更には整流回路を有する構成であることが好ましい。
【0043】
(4)上記実施形態では、CI信号を検知した場合にはCMLリレー16を開閉させた。しかし、これに限らず、CI信号を検知した場合にも、DP発呼回路60をオンオフさせる構成でもよい。但し、上記実施形態であれば、抵抗34が存在しない第1閉ループRL1を利用して通話処理を実行するので、上記構成に比べて、通話時のノイズ等を抑制することができる。
【0044】
(5)上記実施形態では、着信時処理のプログラムの一例として、RAM32に記憶されたものを例に挙げた。しかし、同プログラムは、これに限らず、ハードディスク装置、フラッシュメモリ(登録商標)などの不揮発性メモリや、CD−Rなどの記憶媒体などに記憶されたものでもよい。
【符号の説明】
【0045】
1:複合機 12A、12B:接点 16:CMLリレー 29:主制御部 38:信号検知部 39:モデム 60:DP発呼回路 63:フォトカプラ RL1:第1閉ループ RL2:第2閉ループ RL3:第3閉ループ 70:電話回線 71:交換機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換機から発呼側の発信者情報が通知される電話回線に接続される通信装置であって、
前記電話回線に接続される少なくとも一対の回線接続端子と、
モデムと、
前記一対の回線接続端子の間に接続される機械式リレーであって、前記電話回線と前記モデムとを閉結して前記交換機にて検知可能な所定量以上の電流が流れる第1閉ループを形成する閉状態と、当該第1閉ループを開放した開状態とに切り替わる機械式リレーと、
前記一対の回線接続端子を含み前記機械式リレーを含まない第2閉ループであって、前記通信回路と前記モデムとを閉結して前記交換機にて前記所定量未満の電流が流れる第2閉ループと、
前記一対の回線接続端子との間に接続される半導体スイッチ素子を有し、当該半導体スイッチがオンすることで、前記一対の回線接続端子を含み前記機械式リレーを含まず、前記所定量以上の電流が流れる第3閉ループを形成するスイッチ回路と、
制御ユニットと、を備え、
前記制御ユニットは、
前記機械式リレーを前記開状態とし、且つ、前記半導体スイッチ素子をオフした状態で、前記電話回線に伝送された情報受信端末起動信号を検知する起動信号検知処理と、
前記信号検知処理にて前記情報受信端末起動信号が検知された場合に、前記機械式リレーを前記開状態に維持させ、且つ、前記半導体スイッチ素子をオンによって前記第3閉ループを形成させ、前記第2閉ループを介して前記モデムに前記発信者情報を受信させる受信処理と、を実行する、通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
前記制御ユニットは、前記受信処理後、前記半導体スイッチ素子をオフし、前記電話回線に伝送された呼出信号を検知する呼出信号検知処理を実行する、通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の通信装置であって、
前記スイッチ回路は、ダイヤルパルス回路であって、
前記制御ユニットは、前記半導体スイッチ素子をオンオフさせてダイヤパルス発呼信号を、前記電話回線を介して被呼側に出力する発呼処理を実行する、通信装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の通信装置であって、
前記半導体スイッチ素子は、フォトカプラである、通信装置。
【請求項5】
交換機から通知される発呼側の発信者情報を電話回線を介して通信装置で受信する発信者情報受信方法であって、
前記通信装置は、
前記電話回線に接続される少なくとも一対の回線接続端子と、
モデムと、
前記一対の回線接続端子の間に接続される機械式リレーであって、前記電話回線と前記モデムとを閉結して前記交換機にて検知可能な所定量以上の電流が流れる第1閉ループを形成する閉状態と、当該第1閉ループを開放した開状態とに切り替わる機械式リレーと、
前記一対の回線接続端子を含み前記機械式リレーを含まない第2閉ループであって、前記通信回路と前記モデムとを閉結して前記交換機にて前記所定量未満の電流が流れる第2閉ループと、
前記一対の回線接続端子との間に接続される半導体スイッチ素子を有し、当該半導体スイッチがオンすることで、前記一対の回線接続端子を含み前記機械式リレーを含まず、前記所定量以上の電流が流れる第3閉ループを形成するスイッチ回路と、を備える構成であり、
前記機械式リレーを前記開状態とし、且つ、前記半導体スイッチ素子をオフした状態で、前記電話回線に伝送された情報受信端末起動信号を検知する起動信号検知ステップと、
前記信号検知処理にて前記情報受信端末起動信号が検知された場合に、前記機械式リレーを前記開状態に維持させ、且つ、前記半導体スイッチ素子をオンさせて、前記第2閉ループを介して前記モデムに前記発信者情報を受信させる受信ステップと、を含む発信者情報受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−31097(P2013−31097A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167121(P2011−167121)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】