説明

通信装置、及び通信方法

【課題】所望する通信装置のユーザに回線使用料を負担させることができる通信装置、及び通信方法を提供する。
【解決手段】通信装置2は、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしていると判断された場合、IP網11を介して映像14及び音声15の通信を行う。通信装置2は、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合、IP網11を介して映像14の通信を行い、電話網12を介して音声15の通信を行う。通信装置2は、端末機器5がテレビ会議の開始を要求したかを判断する。通信装置2は、端末機器5がテレビ会議の開始を要求した場合、通信装置3に対して電話を掛けることによって、通信装置3に対して接続要求信号を送信し、通信装置3との間の電話回線を接続する。通信装置2は、接続された電話回線を使用することによって、電話網12を介して音声15の通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP網及び電話網を介して他の通信装置と通信を行う通信装置、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信方式の異なる複数の通信網を介し、他の通信装置との間で通信を行うことが可能な通信装置が知られている。例えば特許文献1に記載された通信装置では、テレビ会議における映像データ及び音声データの通信は、其々異なる通信網を介して実行される。具体的には、IP網を介して映像データの通信が実行され、電話網を介して音声データの通信が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−524301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された通信装置では、電話網を介して音声データの通信が実行されるため、ユーザは、通信時間に応じた回線使用料を支払う必要がある。回線使用料は、原則、電話をかけて回線の接続を要求した側の通信端末のユーザが負担しなければならない。ここで例えば通信装置が、通信の開始を所望する旨の要求を他の通信装置から受けたとする。そして、通信装置が該要求に応じて他の通信装置に対して電話をかけ、回線を接続して音声データの通信を開始したとする。このような場合、他の通信装置から通信の開始が要求されたにもかかわらず、要求を受けた側の通信装置のユーザが回線使用料を負担しなければならなくなるという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、所望する通信装置のユーザに回線使用料を負担させることができる通信装置、及び通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る通信装置は、IP網及び電話網を介して他の通信装置と通信を行うことが可能な通信装置であって、少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、前記IP網を介し、前記他の通信装置に対して音声を送信する第一送信ステップと、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしているか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、電話回線の接続を要求する接続要求を前記他の通信装置に対して送信するか、又は、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記接続要求を送信させるかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記接続要求を送信すると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求を送信することによって、前記他の通信装置との前記電話回線を接続する第一接続ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記他の通信装置に前記接続要求を送信させると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求の送信を依頼し、依頼に応じて前記他の通信装置が送信した前記接続要求を受信することによって、前記他の通信装置との間の前記電話回線を接続する第二接続ステップと、前記第一接続ステップ又は前記第二接続ステップによって接続された前記電話回線を介して、前記他の通信装置に対して前記音声を送信する第二送信ステップとを実行する。
【0007】
第一態様によれば、通信装置は、他の通信装置に対して接続要求を送信するか、他の通信装置に接続要求を送信させるかを判断することができる。通信装置は、他の通信装置に対して接続要求を送信することによって、通信装置のユーザに回線使用料を負担させることができる。また通信装置は、他の通信装置に接続要求を送信させることによって、他の通信装置のユーザに回線使用料を負担させることができる。このように通信装置は、所望する通信装置のユーザに回線使用料を負担させることができる。
【0008】
また、第一態様において、前記通信装置は、前記第二判断ステップを実行する場合において、前記通信装置と前記他の通信装置との間の通信を開始させる旨の要求が、前記通信装置から前記他の通信装置に対してなされている場合、前記接続要求を前記他の通信装置に対して送信すると判断し、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記要求がなされている場合、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記接続要求を送信させると判断してもよい。通信装置は、通信の開始を要求した側の通信装置のユーザに、回線使用料を負担させることができる。従って通信装置は、他の通信装置から通信の開始を要求されたにもかかわらず、自身のユーザが回線使用料を負担しなければならなくなるという不具合を解消することができる。
【0009】
また第一態様において、前記通信装置は、ユーザから指示を受け付ける受付ステップをさらに実行し、前記第二判断ステップを実行する場合において、前記受付ステップにおいて前記指示が受け付けられた場合に、前記接続要求を前記他の通信装置に対して送信してもよい。通信装置は、ユーザから指示を受け付けた場合に、他の通信装置に対して接続要求を送信することができる。これによって通信装置は、ユーザの指示に応じて回線使用料を負担する側の通信装置を決定することができる。ユーザの利便性は向上する。
【0010】
また第一態様において、前記通信装置は、前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、前記他の通信装置に対して、ユーザへの通知を要求する要求ステップと、前記他の通信装置から前記ユーザへの通知が要求された場合に、ユーザに対して通知を行う通知ステップとを更に実行し、前記受付ステップを実行する場合において、前記通知ステップによる通知をうけたユーザから、前記指示を受け付けてもよい。通信装置は、IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、他の通信装置のユーザに通知を行うことができる。他の通信装置のユーザが通知に応じて指示を入力した場合、他の通信装置は、通信装置に対して接続要求を送信することになる。これによって通信装置は、IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断した場合であっても、他の通信装置のユーザに回線使用料を負担させることができる。
【0011】
また第一態様において、前記通信装置は、前記第一送信ステップを実行する場合において、映像及び音声を、前記IP網を介して前記他の通信装置に対して送信し、前記第二送信ステップを実行する場合において、前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、前記映像を、前記IP網を介して前記他の通信装置に対して継続して送信し、前記音声を、前記電話回線を介して前記他の通信装置に対して送信してもよい。通信装置は、伝送路容量の大きなIP網を介して映像の通信を行う。このため通信装置は、通信遅延の発生を抑制することができる。
【0012】
また第一態様において、前記通信装置は、前記第一判断ステップを実行する場合において、前記IP網を介して前記他の通信装置に対して往路データが送信されてから、前記往路データを受信した前記他の通信装置から返信される復路データが受信されるまでの時間が所定時間以下である場合に、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていると判断してもよい。通信装置は、IP網における通信遅延に基づいて、IP網の通信品質を特定することができる。このため通信装置は、IP網における通信品質を正確に特定することができる。
【0013】
また第一態様において、前記通信装置は、配下のIP網又は電話網を介して接続した通話装置から、前記音声を取得する取得ステップをさらに実行し、前記第一送信ステップ及び前記第二送信ステップのうち少なくとも一方を実行する場合において、前記取得ステップにおいて取得された前記音声を送信してもよい。伝送路の切り替えは通信装置において実行されるので、通話装置に伝送路の切り替え機能を実装する必要がない。また、回線使用料の負担元の選択は通信装置において実行されるので、通話装置に回線使用料の選択機能を実装する必要がない。これらによって通信装置は、従来周知の通話装置をそのまま使用しつつ、回線使用料の負担元を自由に選択することができる。
【0014】
本発明の第二態様に係る通信方法は、IP網を介し、他の通信装置に対して音声を送信する第一送信ステップと、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしているか否かを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、電話回線の接続を要求する接続要求を前記他の通信装置に対して送信するか、又は、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記接続要求を送信させるかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記接続要求を送信すると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求を送信することによって、前記他の通信装置との前記電話回線を接続する第一接続ステップと、前記第二判断ステップにおいて、前記他の通信装置に前記接続要求を送信させると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求の送信を依頼し、依頼に応じて前記他の通信装置が送信した前記接続要求を受信することによって、前記他の通信装置との間の前記電話回線を接続する第二接続ステップと、前記第一接続ステップ又は前記第二接続ステップによって接続された前記電話回線を介して、前記他の通信装置に対して前記音声を送信する第二送信ステップとを実行する。第二態様によれば、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】通信システム1の概要を示す模式図である。
【図2】端末機器5、6間での通信を説明するための模式図である。
【図3】端末機器5、6間での通信を説明するための模式図である。
【図4】通信装置4の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】第一実施例におけるメイン処理を示すフローチャートである。
【図6】第一実施例におけるメイン処理を示すフローチャートであって、図5の続きである。
【図7】第一通信処理を示すフローチャートである。
【図8】第二通信処理を示すフローチャートである。
【図9】第二実施例におけるメイン処理を示すフローチャートであって、図5の続きである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0017】
図1を参照して、通信システム1の概要について説明する。通信システム1は、通信装置2、3、及び端末機器5、6を備えている。以下、通信装置2、3を特に区別しない場合、又は総称する場合、これらを通信装置4ともいう。端末機器5、6を特に区別しない場合、又は総称する場合、これらを端末機器7ともいう。通信装置4は、IP網11及び電話網12に接続している。IP網11は、TCP/IPに基づいて通信が行われる通信網である。電話網12は、電話回線が交換機によって接続される通信網である。通信装置4は、IP網11及び電話網12を介して他の通信装置4と通信を行うことができる。通信装置4として、端末機器7間の通信を制御するゲートウェイを使用することができる。
【0018】
通信装置2は、配下のIP網8に接続している。端末機器5は、IP網8に接続している。通信装置2及び端末機器5は、IP網8を介して通信を行うことができる。通信装置2及び端末機器5は、拠点18に属している。通信装置3は、配下のIP網9に接続している。端末機器6は、IP網9に接続している。通信装置3及び端末機器6は、IP網9を介して通信を行うことができる。通信装置3及び端末機器6は、拠点19に属している。端末機器7は、通信装置4を介して他の端末機器7と通信を行うことで、他の端末機器7との間でテレビ会議を行うことができる。端末機器7として、周知のPCやテレビ会議用の専用端末を使用することができる。
【0019】
端末機器7間でテレビ会議が実行される場合の通信の概要について説明する。端末機器7に設けられたカメラによって、ユーザの映像が取得される。端末機器7に設けられたマイクによって、ユーザの音声が取得される。取得された映像及び音声は、通信装置4を介して他の端末機器7に対して送信される。端末機器7が、他の端末機器7から送信された映像及び音声を受信したとする。端末機器7は、受信した映像をディスプレイに表示する。端末機器7は、受信した音声をスピーカから出力する。端末機器7のユーザは、映像及び音声を認識することによって、他の端末機器7のユーザの様子を把握することができる。以上のようにして、端末機器7間でテレビ会議が実行される。
【0020】
通信装置4は、IP網11又は電話網12を介して映像及び音声の通信を仲介する。また通信装置4は、映像及び音声の通信に使用する伝送路を、IP網11の通信品質に応じて切り替えることができる。IP網11の通信品質が良好である場合、図2に示すように、IP網11を介して映像及び音声の通信が行われる。一方、IP網11の通信品質が悪化した場合、図3に示すように、IP網11を介して映像の通信が行われ、電話網12を介して音声の通信が行われる。以下詳説する。
【0021】
端末機器5において映像及び音声が取得されたとする。図2に示すように、端末機器5は、取得した映像14及び音声15を合成する。以下、合成された映像14及び音声15を、合成データ13ともいう。合成データ13は、映像及び音声を同期させて一体化したデータである。合成データ13は、端末機器5から通信装置2に対して送信され、通信装置2において受信される。通信装置2は、IP網11の通信品質が良好である場合、端末機器5から受信した合成データ13を、IP網11を介して通信装置3に対して送信する。通信装置3は、IP網11を介して合成データ13を受信する。通信装置3は、受信した合成データ13を端末機器6に対して送信する。以上のように、IP網11の通信品質が良好である場合、映像14及び音声15の通信はIP網11を介して実行される。IP網11の通信品質が良好であるため、端末機器5から合成データ13が送信されてから、端末機器6において合成データ13が受信されるまでの間の通信遅延は小さい。このため、端末機器7間のテレビ会議は円滑に実行される。
【0022】
IP網11の通信品質が悪化したとする。この場合、IP網11を介して通信が行われた場合の通信遅延は大きくなる。また、通信中のデータがIP網11内で破棄される確率が高くなる。従って、IP網11が映像14及び音声15の伝送路として継続して使用された場合、テレビ会議の品質が低下する可能性がある。そこで端末機器7は、IP網11の通信品質の悪化を検出した場合、以下に示す方法で通信を行う。
【0023】
IP網11の通信品質の悪化を検出した場合、通信装置3は、端末機器5から受信した合成データ13から、映像14及び音声15を抽出する。図3に示すように、映像14の通信はIP網11を介して行われる。音声15の通信は電話網12を介して行われる。通信装置3は、IP網11を介して映像14を受信し、電話網12を介して音声15を受信する。通信装置3は、受信した映像14及び音声15を合成し、合成データ13を作成する。通信装置3は、作成した合成データ13を端末機器6に対して送信する。
【0024】
以上のように通信が行われた場合、IP網11を介した通信のデータ量は、音声15のデータ量分抑制される。従って通信装置4は、IP網11の通信品質が更に悪化することを防止できる。また、電話網12を介して音声15の通信が行われるので、音声15の通信遅延は小さくなる。電話網12を介して通信が行われる場合、電話回線を接続することによって伝送路が確実に確保されるためである。また映像14の通信には、IP網11が継続して使用される。電話網12の伝送路の容量は小さいためである。このように通信装置4は、IP網11の通信品質が悪化した場合であっても、IP網11及び電話網12を使用することによって、端末機器7間でのテレビ会議を継続して円滑に実行できる。
【0025】
電話網12を介して音声15の通信が行われる場合、一方の通信装置4が他方の通信装置4に対して電話を掛け、通信装置4間の電話回線を接続する必要がある。電話網12を介した通信は、接続された電話回線を介して実行されるためである。電話回線を介して通信が行われる場合、通信時間や通信距離に応じた回線使用料が発生する。発生する回線使用料は、原則、電話を掛けた側の通信装置4が属する拠点のユーザが負担することになる。
【0026】
例えば、図3のうち、通信装置2がIP網11の通信品質の悪化を検出したとする。通信装置2は、通信装置3に対して電話を掛け、電話回線を接続する。接続された電話回線を介して、音声15の通信が開始される。この場合、接続された電話回線の回線使用料は、通信装置2が属する拠点18のユーザが負担することになる。例えば、端末機器6が端末機器5とのテレビ会議の開始を所望した場合を想定する。端末機器6は、端末機器5に対してテレビ会議の開始を要求する。端末機器5が要求に応じ、テレビ会議が開始される。IP網11の通信品質が悪化し、通信装置2がIP網11の通信品質の悪化を検出したとする。このような場合、端末機器5は端末機器6からの要求に応じてテレビ会議を開始したにもかかわらず、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザに回線使用料の負担義務が発生することとなってしまう。
【0027】
そこで本発明では、後述する第一実施例及び第二実施例にて説明する処理を通信装置4が実行することによって、上述の問題を解消している。第一実施例では、テレビ会議の開始を要求した端末機器7が属する拠点のユーザに、回線使用料を負担させることができる。これによって、テレビ会議の開始の要求を受けた側で回線使用料を負担することを回避している。第二実施例では、ユーザによる入力操作に応じて、回線使用料を負担する側の拠点を決定することができる。これによって、回線使用料を負担するユーザを、ユーザの指示に基づいて選択できるようにしている。
【0028】
図4を参照し、通信装置4の電気的構成について説明する。通信装置4は、通信装置4の制御を司るCPU21を備えている。CPU21は、ROM22、RAM23、記憶装置24、イーサネット(登録商標)インタフェース(以下、イーサネットI/Fという。)26、Foreign eXchange Office(以下、FXOという。)29、LED30、及び操作部31と電気的に接続している。ROM22には、ブートプログラムやBIOS、OS等が記憶される。RAM23には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。記憶装置24には、CPU21の制御プログラムが記憶される。イーサネットI/F26は、イーサネットを介して通信を行うためのコントローラである。イーサネットI/F26は、WAN I/F27及びLAN I/F28と電気的に接続している。WAN I/F27は、IP網11を介して通信を行うためのコントローラである。LAN I/F28は、配下のIP網8、9を介して通信を行うためのコントローラである。FXO29は、電話網12を介して通信を行うためのコントローラである。操作部31は、ユーザによる入力操作を受け付ける押ボタンである。
【0029】
<第一実施例>
第一実施例におけるメイン処理について、図5から図8を参照して説明する。メイン処理は、通信装置4のCPU21において実行される。通信装置4の電源が投入された場合に、メイン処理は起動され実行される。以下、図1の通信装置2のCPU21においてメイン処理が実行される場合を想定して説明する。
【0030】
配下のIP網8に接続する端末機器5から、端末機器6とのテレビ会議の開始の要求を受け付けたかが判断される(S11)。テレビ会議の開始の要求は、端末機器5から要求パケットを受信することによって受け付けてもよいし、通信装置3との間のセッションを確立させるための確立要求パケットを、端末機器6から直接受信することによって受け付けてもよい。端末機器5からテレビ会議の開始の要求を受け付けた場合(S11:YES)、通信装置3との間のセッションを確立させるための確立要求パケットが、IP網11を介して通信装置3に対して送信される(S13)。送信された確立要求パケットに応じて通信装置3から送信される応答パケットが、IP網11を介して受信される(S15)。通信装置3との間のセッションは確立する。IP網11を介し、通信装置2、3間でP2P型の通信を行うことが可能となる。処理はS21に進む。
【0031】
テレビ会議の開始の要求を受け付けていない場合(S11:NO)、通信装置3から送信された確立要求パケットを、IP網11を介して受信したかが判断される(S17)。確立要求パケットが受信された場合(S17:YES)、通信装置3に対して応答パケットが送信される(S19)。通信装置3との間のセッションは確立する。IP網11を介し、通信装置2、3間でP2P型の通信を行うことが可能となる。処理はS21に進む。一方、確立要求パケットを受信していない場合(S17:NO)、処理はS11に戻る。
【0032】
なお上述の確立要求パケット及び応答パケットは、SIP(Session Initiation Protocol)に基づいて行われてもよい。確立要求パケット及び応答パケットは、IP網11に接続されたSIPサーバを介して行われてもよい。
【0033】
端末機器7間で、テレビ会議が開始される(S21)。テレビ会議が開始された場合、端末機器5は、カメラによってユーザの映像を取得し、マイクによってユーザの音声を取得する。取得された映像及び音声は合成され、合成データが作成される。作成された合成データは、端末機器5の属する拠点18と同一拠点内にある通信装置2に対して送信される。通信装置2では、後述する第一通信処理(S25参照)が実行されることによって、IP網11を介して合成データの通信が実行される。第一通信処理の詳細は後述する。端末機器5は、端末機器5の属する拠点18と同一拠点内にある通信装置2から、合成データを受信する。端末機器5は、通信装置2から受信した合成データから、映像及び音声を抽出する。端末機器5は、抽出された映像をディスプレイに表示し、抽出された音声をスピーカから出力する。
【0034】
電話網12を介して通信を行うための準備として、通信装置3の電話番号が取得される(S23)。通信装置3の電話番号は、記憶装置24(図4参照)に記憶された電話帳データを参照することによって行われてもよいし、端末機器5との間で通信を行うことによって端末機器5から取得されてもよい。端末機器5のユーザは、端末機器5に対して通信装置3の電話番号を入力してもよい。端末機器5は、入力された電話番号を、IP網8を介して通信装置2に対して送信してもよい。
【0035】
IP網11を介し、通信装置3との間で合成データの通信を行うための処理(第一通信処理、図7参照)が実行される(S25)。図7を参照し、第一通信処理について説明する。端末機器5から送信された合成データを、配下のIP網8を介して受信したかが判断される(S61)。配下のIP網8を介して合成データが受信された場合(S61:YES)、受信された合成データは、IP網11を介して通信装置3に対して送信される(S63)。処理はS65に進む。配下のIP網8を介して合成データが受信されていない場合(S61:NO)、処理はS65に進む。
【0036】
通信装置3から送信された合成データを、IP網11を介して受信したかが判断される(S65)。IP網11を介して合成データが受信された場合(S65:YES)、受信された合成データは、配下のIP網8を介して端末機器5に対して送信される(S67)。第一通信処理は終了し、処理はメイン処理(図5参照)に戻る。IP網11を介して合成データが受信されていない場合(S65:NO)、第一通信処理は終了し、処理はメイン処理(図5参照)に戻る。
【0037】
図5に示すように、第一通信処理(S25)の後、IP網11を介して通信装置3と通信を行う場合の通信遅延時間が計測される(S27)。通信遅延時間は、周知の様々な方法で計測することが可能である。例えば通信装置2は、次のようにして通信遅延時間を計測する。通信装置2は、通信装置3に対してIP網11を介して往路データを送信する。通信装置3は、通信装置2から往路データを受信した場合、通信装置2に対して復路データを返信する。通信装置2は、IP網11を介して復路データを受信する。通信装置2は、往路データを送信してから復路データを受信するまでに要した時間を計測する。計測された時間が、通信遅延時間に相当する。このように通信遅延時間が計測されることによって、通信装置2は、通信品質を正確に特定することができる。この方法によって通信遅延時間を計測するための具体的な方法として、例えばpingが用いられる。
【0038】
図6に示すように、S27(図5参照)で計測された通信遅延時間に基づき、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしているかが判断される(S31)。通信品質が所定の基準を満たしているか否かは、計測された通信遅延時間と所定の閾値(例えば150ms)とを比較することによって実行される。通信遅延時間が150ms未満である場合、遅延の影響がユーザに認識されないレベルであるので、通信品質は所定の基準を満たしていると判断される。一方、通信遅延が150ms以上である場合、遅延の影響によってユーザが違和感を覚えるレベルであるので、通信品質は所定の基準を満たしていないと判断される。
【0039】
通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合(S31:NO)、電話網12を介して音声の通信が行われるように、伝送路を切り替えなければならない。このため、電話回線を接続するための処理が次のようにして実行される。
【0040】
配下のIP網8に接続する端末機器5が、テレビ会議の開始を要求しているかが判断される(S33)。S11(図5参照)で、端末機器5からテレビ会議の開始の要求を受け付けている場合、端末機器5はテレビ会議の開始を要求していることになる(S33:YES)。この場合、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザに、回線使用料を負担させる必要がある。通信装置3に電話を掛ける処理が実行される。電話回線の接続を要求する接続要求信号が、電話網12を介して通信装置3に対して送信される(S35)。接続要求信号に応じて通信装置3から送信される接続応答信号を、電話網12を介して受信したかが判断される(S37)。接続応答信号が受信されない場合(S37:NO)、処理はS37に戻る。通信装置3から送信された接続応答信号を、電話網12を介して受信した場合(S37:YES)、通信装置3との間の電話回線は接続した状態になる。接続された電話回線の回線使用料は、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザが負担することになる。回線使用料の課金が開始された旨が、LED30(図4参照)によってユーザに通知される(S39)。例えばLED30は、回線使用料の課金が開始された場合に点灯する。処理はS51に進む。
【0041】
なお上述の接続要求信号及び接続応答信号は、電話網12に接続した回線交換機を介して実行される。回線交換機は、接続要求信号及び接続応答信号を受信した場合に、通信装置2、3間の電話回線を接続する。
【0042】
なお、S39での通知は、端末機器5から行われてもよい。通信装置2は、回線使用料の課金が開始された旨が端末機器5のディスプレイに表示されるように、端末機器5に通知してもよい。端末機器5は、回線使用料の課金が開始された旨をディスプレイに表示することによって、回線使用料の課金が開始された旨をユーザに通知してもよい。
【0043】
一方、S11(図5参照)で、端末機器5からテレビ会議の開始の要求を受け付けていない場合(S33:NO)、配下のIP網8に接続する端末機器5とテレビ会議を行っている端末機器6が、端末機器5に対してテレビ会議の開始を要求していることになる。この場合、通信装置3及び端末機器6が属する拠点19のユーザに、回線使用料を負担させる必要がある。電話網12を介して接続要求信号を送信するように通信装置3に対して要求する送信要求パケットが、IP網11を介して通信装置3に対して送信される(S41)。
【0044】
送信要求パケットに応じて通信装置3から送信される接続要求信号を、電話網12を介して受信したかが判断される(S45)。接続要求信号を受信できない場合(S45:NO)、処理はS25(図5参照)に戻る。通信装置3から送信された接続要求信号を、電話網12を介して受信した場合(S45:YES)、要求に応じてオフフックされる(S47)。電話網12を介し、通信装置3に対して接続応答信号が送信される(S49)。通信装置3との間の電話回線は接続した状態になる。接続された電話回線の回線使用料は、通信装置3及び端末機器6が属する拠点19のユーザが負担することになる。処理はS51に進む。
【0045】
S31で、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしていると判断された場合(S31:YES)、通信装置3から送信された送信要求パケットを、IP網11を介して受信したかが判断される(S43)。送信要求パケットが受信された場合(S43:YES)、通信装置3においてIP網11の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断されており、且つ、通信装置2の配下のIP網8に接続する端末機器5が、テレビ会議の開始を要求していることになる。この場合、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザに、回線使用料を負担させる必要がある。接続要求信号が、電話網12を介して通信装置3に対して送信される(S35)。接続要求信号に応じて通信装置3から送信された接続応答信号を受信した場合(S37:YES)、通信装置3との間の電話回線は接続した状態になる。接続された電話回線の回線使用料は、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザが負担することになる。回線使用料の課金が開始された旨を、LED30(図4参照)によってユーザに通知する(S39)。処理はS51に進む。
【0046】
S43で、IP網11を介して送信要求パケットを受信していない場合(S43:NO)、通信装置3から送信された接続要求信号を、電話網12を介して受信したかが判断される(S45)。接続要求信号を受信した場合(S45:YES)、通信装置3においてIP網11の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断されており、且つ、通信装置3の配下のIP網9に接続する端末機器6がテレビ会議の開始を要求していることになる。この場合、通信装置3及び端末機器6が属する拠点19のユーザが、回線使用料を負担することになる。要求に応じてオフフックされる(S47)。電話網12を介し、通信装置3に対して接続応答信号が送信される(S49)。通信装置3との間の電話回線は接続した状態になる。接続された電話回線の回線使用料は、通信装置3及び端末機器6が属する拠点19のユーザが負担することになる。処理はS51に進む。
【0047】
S51では、IP網11を介して映像の通信を行い、電話網12を介して音声の通信を行うための処理(第二通信処理、図8参照)が実行される(S51)。図8を参照し、第二通信処理について説明する。端末機器5から送信された合成データを、配下のIP網8を介して受信したかが判断される(S71)。配下のIP網8を介して合成データが受信された場合(S71:YES)、受信された合成データから、映像及び音声が抽出される(S73)。抽出された映像は、IP網11を介して通信装置3に対して送信される(S75)。抽出された音声は、電話網12を介して通信装置3に対して送信される(S77)。処理はS79に進む。配下のIP網8を介して合成データが受信されていない場合(S71:NO)、処理はS79に進む。
【0048】
通信装置3から送信された映像を、IP網11を介して受信し、且つ、通信装置3から送信された音声を、電話網12を介して受信したかが判断される(S79)。映像及び音声が受信された場合(S79:YES)、受信された映像及び音声は合成され、合成データが作成される(S81)。作成された合成データは、配下のIP網8を介して端末機器5に対して送信される(S83)。第二通信処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。映像及び音声が受信されていない場合(S79:NO)、第二通信処理は終了し、処理はメイン処理(図6参照)に戻る。
【0049】
図6に示すように、第二通信処理の終了後、テレビ会議を終了させるための指示を、端末機器5から受け付けたかが判断される(S53)。テレビ会議を終了させるための指示が受け付けられていない場合(S53:NO)、処理はS51に戻り、テレビ会議が継続される。テレビ会議を終了させるための指示が受け付けられた場合(S53:YES)、テレビ会議は終了される。通信装置3との間で確立されたセッションは終了される。通信装置3との間の電話回線が切断される。メイン処理は終了する。
【0050】
以上説明したように、通信装置2は、テレビ会議の開始を要求した端末機器7の属する拠点のユーザに、回線使用料を負担させることができる。これによって、IP網11の通信品質の悪化を検出した通信装置4の属する拠点のユーザが、常に回線使用料を負担しなければならないという不具合を解消することができる。通信装置2は、テレビ会議の開始を要求した端末機器7の属する拠点のユーザに回線使用料を負担させることによって、回線使用料の負担元を明確に規定することができる。このため、回線使用料の負担義務が、不特定者に不意に発生することを予防することができる。
【0051】
通信装置4に接続される端末機器7としては、従来周知の通話装置(例えばアナログ電話機)を使用することができる。伝送路の切り替えは通信装置4において実行されるので、通話装置に伝送路の切り替え機能が不要となるためである。また、回線使用料の負担元の選択は通信装置4において実行されるので、通話装置に回線使用料の選択機能を実装する機能が不要となるためである。
【0052】
なお第一実施例では、端末機器7において映像及び音声が合成され、合成データが作成されていた。端末機器7は、取得された映像及び音声を、同一拠点内にある通信装置4に対してそのまま送信してもよい。通信装置4は、同一拠点内にある端末機器7から映像及び音声を受信した場合、受信した映像及び音声を合成し、合成データを作成してもよい。これによって通信装置4は、IP網11を介して映像の通信を行い、電話網12を介して音声の通信を行う場合、端末機器7から受信した映像及び音声を、そのまま送信することができる。端末機器7から受信した合成データから、映像及び音声を抽出する処理が不要となるので、通信装置4の処理を効率化することができる。
【0053】
上述のように、通信装置4において、映像及び音声が端末機器7から受信された場合であり、且つ、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしている場合、通信装置4は、合成データを作成せず、映像及び音声をそのままIP網11を介して送信してもよい。
【0054】
<第二実施例>
第二実施例におけるメイン処理について、図9を参照して説明する。メイン処理は、通信装置4のCPU21において実行される。通信装置4の電源が投入された場合に、メイン処理は起動され実行される。メイン処理のうち、図5のS11からS27、第一通信処理(図7参照)、及び第二通信処理(図8参照)については、上述の第一実施例と同一であるので、以下では説明を省略している。以下、図1の通信装置2のCPU21においてメイン処理が実行される場合を想定して説明する。
【0055】
図9に示すように、S27(図5参照)で計測された通信遅延時間に基づき、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしているかが判断される(S101)。通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合(101:NO)、電話網12を介して音声の通信が行われるように、伝送路を切り替えなければならない。電話回線を接続するための処理が以下のようにして実行される。
【0056】
回線使用料を負担するか否かをユーザに問い合わせるための通知を、通信装置3に対して実行させるために、通知要求パケットがIP網11を介して通信装置3に対して送信される(S103)。回線使用料を負担するか否かをユーザに問い合わせるための通知が、LED30(図4参照)によって行われる(S107)。例えばLED30が点滅することによって、回線使用料を負担するか否かをユーザに問い合わせる。
【0057】
ユーザによって操作部31が操作され、回線使用料を負担する指示が入力されたかが判断される(S111)。回線使用料を負担する指示がユーザによって入力された場合(S111:YES)、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザに、回線使用料を負担させる必要がある。通信装置3に電話を掛ける処理が実行される。接続要求信号が、電話網12を介して通信装置3に対して送信される(S113)。接続要求信号に応じて通信装置3から送信される接続応答信号を受信したかが判断される(S115)。接続応答信号が受信されない場合(S115:NO)、処理はS115に戻る。通信装置3から送信された接続応答信号を受信した場合(S115:YES)、通信装置3との間の電話回線は接続した状態になる。接続された電話回線の回線使用料は、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザが負担することになる。処理はS123に進む。
【0058】
回線使用料を負担する指示がユーザによって入力されなかった場合(S111:NO)、通信装置3から送信された接続要求信号を、電話網12を介して受信したかが判断される(S117)。接続要求信号が受信されない場合(S117:NO)、処理はS25(図5参照)に戻る。通信装置3から送信された接続要求信号が、電話網12を介して受信された場合(S117:YES)、回線使用料を負担する指示が、通信装置3に対して入力されたことになる。接続要求信号に応じてオフフックされる(S119)。電話網12を介し、通信装置3に対して接続応答信号が送信される(S121)。通信装置3との間の電話回線は接続した状態になる。接続された電話回線の回線使用料は、通信装置3及び端末機器6が属する拠点19のユーザが負担することになる。処理はS123に進む。
【0059】
S101で、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしていると判断された場合(101:YES)、通信装置3から送信される通知要求パケットを、IP網11を介して受信したかが判断される(S105)。通知要求パケットが受信された場合(S105:YES)、通信装置3において、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断されたことになる。処理はS107に進む。回線使用料を負担するか否かをユーザに問い合わせるための通知が、LED30によって行われる(S107)。ユーザによって操作部31が操作され、回線使用料を負担する指示が入力された場合(S111:YES)、接続要求信号が、電話網12を介して通信装置3に対して送信される(S113)。接続要求信号に応じて通信装置3から送信された接続応答信号を受信した場合(S115:YES)、通信装置3との間の電話回線は接続した状態になる。接続された電話回線の回線使用料は、通信装置2及び端末機器5が属する拠点18のユーザが負担することになる。処理はS123に進む。一方、通知要求パケットを受信していない場合(S105:NO)、処理はS25(図5参照)に戻る。
【0060】
S123では、IP網11を介して映像の通信を行い、電話網12を介して音声の通信を行うための処理(第二通信処理、図8参照)が実行される(S123)。テレビ会議を終了させるための指示を、端末機器5から受け付けたかが判断される(S125)。テレビ会議を終了させるための指示が受け付けられていない場合(S125:NO)、処理はS123に戻り、テレビ会議が継続される。テレビ会議を終了させるための指示が受け付けられた場合(S125:YES)、テレビ会議は終了される。通信装置3との間で確立されたセッションは終了される。通信装置3との間の電話回線が切断される。メイン処理は終了する。
【0061】
以上説明したように、通信装置2は、回線使用料を負担する指示をユーザから受け付けた場合に、通信装置3に対して接続要求信号を送信し、回線使用料をユーザに負担させることができる。通信装置4は、IP網11の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断した場合であっても、通信装置3のユーザの指示に応じて回線使用料を負担する側の通信装置を決定することができる。ユーザは、回線使用料を負担する側の通信装置4を決定できることとなるので、ユーザの利便性は向上する。
【0062】
本発明は上述の第一実施例及び第二実施例に限定されず、種々の変更が可能である。通信装置4は、マイク、スピーカ、カメラ、及びディスプレイを備えていてもよい。通信装置2のカメラによって撮影された映像、及び、通信装置3のマイクを介して取得された音声が、通信装置3に対して送信されてもよい。通信装置2のカメラによって撮影された映像、及び、通信装置3のマイクを介して取得された音声は、適宜合成されてもよい。通信装置3は、通信装置2から送信された映像を受信した場合に、通信装置3のディスプレイに映像を表示してもよい。通信装置3は、通信装置2から送信された音声を受信した場合に、通信装置3のスピーカから音声を出力してもよい。
【0063】
上述では、通信装置4間で映像及び音声の通信が行われていた。端末機器7は、音声のみを取得し、映像は取得しなくてもよい。通信装置4は、IP網11の通信品質が良好である場合、IP網11を介して音声の通信を行ってもよい。通信装置4は、IP網11の通信品質が悪化した場合、電話網12を介して音声の通信を行ってもよい。
【0064】
上述では、通信装置4と端末機器7とはIP網を介して接続していたが、通信装置4と端末機器7とは電話網を介して接続していてもよい。
【0065】
S25の処理が本発明の「第一送信ステップ」に相当する。S31の処理が本発明の「第一判断ステップ」に相当する。S33の処理が本発明の「第二判断ステップ」に相当する。S35、S37の処理が本発明の「第一接続ステップ」に相当する。S45、S47、S49の処理が本発明の「第二接続ステップ」に相当する。S51の処理が本発明の「第二送信ステップ」に相当する。S111の処理が本発明の「受付ステップ」に相当する。S103の処理が本発明の「要求ステップ」に相当する。S107の処理が本発明の「問合せステップ」に相当する。S61、S73の処理が本発明の「取得ステップ」に相当する。
【符号の説明】
【0066】
1 通信システム
2、3、4 通信装置
5、6、7 端末機器
11 IP網
12 電話網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP網及び電話網を介して他の通信装置と通信を行うことが可能な通信装置であって、
少なくとも一つ以上の制御部と、前記制御部への命令を記憶した少なくとも一つ以上のメモリとを備え、前記命令が実行されることにより、
前記IP網を介し、前記他の通信装置に対して音声を送信する第一送信ステップと、
前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしているか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、電話回線の接続を要求する接続要求を前記他の通信装置に対して送信するか、又は、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記接続要求を送信させるかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記接続要求を送信すると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求を送信することによって、前記他の通信装置との前記電話回線を接続する第一接続ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記他の通信装置に前記接続要求を送信させると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求の送信を依頼し、依頼に応じて前記他の通信装置が送信した前記接続要求を受信することによって、前記他の通信装置との間の前記電話回線を接続する第二接続ステップと、
前記第一接続ステップ又は前記第二接続ステップによって接続された前記電話回線を介して、前記他の通信装置に対して前記音声を送信する第二送信ステップと
を実行することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信装置は、前記第二判断ステップを実行する場合において、
前記通信装置と前記他の通信装置との間の通信を開始させる旨の要求が、前記通信装置から前記他の通信装置に対してなされている場合、前記接続要求を前記他の通信装置に対して送信すると判断し、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記要求がなされている場合、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記接続要求を送信させると判断することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信装置は、
ユーザから指示を受け付ける受付ステップをさらに実行し、
前記第二判断ステップを実行する場合において、
前記受付ステップにおいて前記指示が受け付けられた場合に、前記接続要求を前記他の通信装置に対して送信すると判断することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記通信装置は、
前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、前記他の通信装置に対して、ユーザへの通知を要求する要求ステップと、
前記他の通信装置から前記ユーザへの通知が要求された場合に、ユーザに対して通知を行う通知ステップと
を更に実行し、
前記受付ステップを実行する場合において、
前記通知ステップによる通知をうけたユーザから、前記指示を受け付けることを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記通信装置は、前記第一送信ステップを実行する場合において、
映像及び音声を、前記IP網を介して前記他の通信装置に対して送信し、
前記第二送信ステップを実行する場合において、
前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、前記映像を、前記IP網を介して前記他の通信装置に対して継続して送信し、前記音声を、前記電話回線を介して前記他の通信装置に対して送信することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信装置。
【請求項6】
前記通信装置は、前記第一判断ステップを実行する場合において、
前記IP網を介して前記他の通信装置に対して往路データが送信されてから、前記往路データを受信した前記他の通信装置から返信される復路データが受信されるまでの時間が所定時間以下である場合に、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていると判断することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は、配下のIP網又は電話網を介して接続した通話装置から、前記音声を取得する取得ステップをさらに実行し、
前記第一送信ステップ及び前記第二送信ステップのうち少なくとも一方を実行する場合において、
前記取得ステップにおいて取得された前記音声を送信することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の通信装置。
【請求項8】
IP網を介し、他の通信装置に対して音声を送信する第一送信ステップと、
前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしているか否かを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップにおいて、前記IP網の通信品質が所定の基準を満たしていないと判断された場合に、電話回線の接続を要求する接続要求を前記他の通信装置に対して送信するか、又は、前記他の通信装置から前記通信装置に対して前記接続要求を送信させるかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記接続要求を送信すると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求を送信することによって、前記他の通信装置との前記電話回線を接続する第一接続ステップと、
前記第二判断ステップにおいて、前記他の通信装置に前記接続要求を送信させると判断された場合に、前記他の通信装置に対して前記接続要求の送信を依頼し、依頼に応じて前記他の通信装置が送信した前記接続要求を受信することによって、前記他の通信装置との間の前記電話回線を接続する第二接続ステップと、
前記第一接続ステップ又は前記第二接続ステップによって接続された前記電話回線を介して、前記他の通信装置に対して前記音声を送信する第二送信ステップと
を実行することを特徴とする通信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−222684(P2012−222684A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88046(P2011−88046)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】