説明

通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラム

【課題】ネットワーク上における通信の品質が劣化した区間を、少ない計算量で特定することが可能な通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラムを提供する。
【解決手段】自装置とは異なる通信装置を選択し(S104)、通信品質を測定する(S105)。通信品質が劣化している場合(S106:YES)、S104で選択した通信装置以外の通信装置を選択して通信品質を測定し(S107)、通信品質が劣化しているか否かを確認する(S108)。劣化している場合には(S110:YES)、ネットワーク上において自装置を含む区間を劣化区間として特定してディスプレイに表示する(S111)。劣化していない場合には(S110:NO)、自装置とは異なる通信装置が測定した通信品質を受信する。受信した通信品質に基づいて、ネットワーク上の劣化区間を特定して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの通信の品質を測定できる通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネットワークの通信の品質を測定できる通信装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の計測端末では、P2Pの計測を行うにあたり、ネットワークの規模にかかわらず、通信経路の各ノードに対する全ての区間の通信の品質の劣化を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−60611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の計測端末における計測方法は、通信経路の各ノードに対する全ての区間の通信の品質の劣化を検出するために、計測相手端末を特定する処理、計測結果の保存場所を特定する処理等を行っている。この結果、計算量が多くなり、計測端末に負荷がかかるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、ネットワーク上における通信の品質が劣化した区間を、少ない計算量で特定することが可能な通信装置、通信制御方法、および通信制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る通信装置は、ネットワークを介して、自装置とは異なる通信装置である複数の他装置と接続される通信装置であって、複数の前記他装置のうちの一の前記他装置である第一他装置と自装置との間の通信品質である第一通信品質を取得する第一取得手段と、前記第一他装置が検出した、前記第一他装置以外の前記他装置である第二他装置と前記第一他装置との間の前記通信品質である第二通信品質を取得する第二取得手段と、前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化している場合に、少なくとも前記第二取得手段によって取得された前記第二通信品質が劣化しているか否かを判断し、前記ネットワークにおける前記通信品質が劣化した区間である劣化区間を特定する劣化区間特定手段とを備えている。
【0007】
この場合、第一取得手段と第二取得手段によって、第一通信品質と第二通信品質とが取得される。そして、第一通信品質が劣化している場合、第二通信品質が劣化しているか否かを判断し、劣化区間を特定することができる。このため、通信経路の各ノード対する全ての区間の通信の劣化を検出する場合に比べて少ない計算量で、通信の品質が劣化した区間を特定することができる。よって、通信装置への負荷が低減される。
【0008】
前記通信装置において、前記劣化区間特定手段は、前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化し、且つ、前記第二取得手段によって取得された前記第二通信品質が劣化している場合に、前記第一他装置から分岐することなく接続されたノードと前記他装置とを含む前記ネットワーク上の区間である第二区間を、前記劣化区間として特定してもよい。この場合、第二区間の通信品質の劣化を検出できる。
【0009】
前記通信装置において、前記第一他装置以外の一の前記他装置である第三他装置と自装置との間の前記通信品質である第三通信品質を取得する第三取得手段を備え、前記劣化区間特定手段は、前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化し、且つ、前記第三取得手段によって取得された前記第三通信品質が劣化しておらず、且つ、前記第二取得手段によって取得された前記第二通信品質が劣化していない場合に、前記第一他装置から分岐することなく接続されたノードと前記他装置とを含む前記ネットワーク上の区間である第二区間と、自装置から分岐することなく接続されたノードと自装置とを含む前記ネットワーク上の区間である第一区間との間の区間である第三区間を、前記劣化区間として特定してもよい。この場合、第三区間の通信品質の劣化を検出できる。
【0010】
前記通信装置において、前記劣化区間特定手段は、前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化し、且つ、前記第三取得手段によって取得された前記第三通信品質が劣化している場合に、前記第一区間を前記劣化区間として特定してもよい。この場合、第一区間の通信品質の劣化を検出できる。
【0011】
前記通信装置において、前記第一他装置以外の前記他装置のうち、前記第三他装置をランダムに選択する第一選択手段を備え、前記第三取得手段は、前記第一選択手段によって選択された前記第三他装置と自装置との間の前記第三通信品質を取得してもよい。この場合、ランダムに選択された第三他装置と自装置との間の第三通信品質を取得して、劣化区間を特定することができる。
【0012】
前記通信装置において、前記第一他装置以外の前記他装置のうち、前記第三他装置を、予め設定された基準に基づいて選択する第二選択手段を備え、前記第三取得手段は、前記第二選択手段によって選択された前記第三他装置と自装置との間の前記第三通信品質を取得してもよい。この場合、予め設定された基準に基づいて選択された第三他装置と自装置との間の第三通信品質を取得して、劣化区間を特定することができる。
【0013】
前記通信装置において、前記第二取得手段は、前記第一他装置が検出した、一の前記第二他装置と前記第一他装置との間の前記第二通信品質を取得してもよい。この場合、第二取得手段が取得する第二通信品質は、一の前記第二他装置と前記第一他装置との間の経路、すなわち一つの経路についての第二通信品質のみである。このため、二以上の経路について第二通信品質を取得する場合に比べて、ネットワークへの負荷と、通信装置の計算量とを軽減することができる。
【0014】
前記通信装置において、前記劣化区間特定手段によって特定された前記劣化区間を、画像を表示する表示手段に表示させる表示制御手段を備えてもよい。この場合、ユーザに通信の品質が劣化している区間を報知することができる。
【0015】
前記通信装置において、自装置から二以上の前記他装置に向かう前記ネットワーク上の経路に存在する前記ノードのIPアドレスをそれぞれの経路について取得するIPアドレス取得手段と、前記IPアドレス取得手段によって取得された前記IPアドレスに基づいて、自装置から二以上の前記他装置に向かう経路が分岐する分岐点に存在するノードの前記IPアドレスを特定する分岐点特定手段とを備えてもよい。この場合、分岐点に存在するノードのIPアドレスを取得することができる。
【0016】
前記通信装置において、前記通信品質は、パケットロス率、ジッタ、および通信可能帯域のうちの少なくとも1であってもよい。この場合、パケットロス率、ジッタ、および通信可能帯域のうちの少なくとも1を取得して、劣化区間を特定することができる。
【0017】
本発明の第2の態様に係る通信制御方法は、ネットワークを介して、自装置とは異なる通信装置である複数の他装置と接続される通信装置において実行される通信制御方法あって、複数の前記他装置のうちの一の前記他装置である第一他装置と自装置との間の通信品質である第一通信品質を取得する第一取得ステップと、前記第一他装置が検出した、前記第一他装置以外の前記他装置である第二他装置と前記第一他装置との間の前記通信品質である第二通信品質を取得する第二取得ステップと、前記第一取得ステップによって取得された前記第一通信品質が劣化している場合に、少なくとも前記第二取得ステップによって取得された前記第二通信品質が劣化しているか否かを判断し、前記ネットワークにおける前記通信品質が劣化した区間である劣化区間を特定する劣化区間特定ステップとを備えている。この場合、通信経路の各ノード対する全ての区間の通信の劣化を検出する場合に比べて少ない計算量で、通信の品質が劣化した区間を特定することができる。よって、通信装置への負荷が低減される。
【0018】
本発明の第3の態様に係る通信制御プログラムは、ネットワークを介して、自装置とは異なる通信装置である複数の他装置と接続される通信装置において実行される通信制御プログラムあって、通信装置のCPUに、複数の前記他装置のうちの一の前記他装置である第一他装置と自装置との間の通信品質である第一通信品質を取得する第一取得ステップと、前記第一他装置が検出した、前記第一他装置以外の前記他装置である第二他装置と前記第一他装置との間の前記通信品質である第二通信品質を取得する第二取得ステップと、前記第一取得ステップによって取得された前記第一通信品質が劣化している場合に、少なくとも前記第二取得ステップによって取得された前記第二通信品質が劣化しているか否かを判断し、前記ネットワークにおける前記通信品質が劣化した区間である劣化区間を特定する劣化区間特定ステップとを実行させる。この場合、通信経路の各ノード対する全ての区間の通信の劣化を検出する場合に比べて少ない計算量で、通信の品質が劣化した区間を特定することができる。よって、通信装置への負荷が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】通信システム1の構成を示すブロック図である。
【図2】通信装置3の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】ディスプレイ36に表示される通信品質表示361の一例を示す図である。
【図4】フラグデータテーブル51を示す模式図である。
【図5】劣化設定データテーブル52を示す模式図である。
【図6】復帰設定データテーブル53を示す模式図である。
【図7】メイン処理を示すフローチャートである。
【図8】メイン処理を示すフローチャートである。
【図9】劣化判断データテーブル54を示す模式図である。
【図10】復帰判断データテーブル55を示す模式図である。
【図11】例示テーブル56を示す模式図である。
【図12】ディスプレイ36に表示される通信品質表示361の一例を示す図である。
【図13】フラグデータテーブル51を示す模式図である。
【図14】第一復帰確認処理を示すフローチャートである。
【図15】ディスプレイ36に表示される通信品質表示361の一例を示す図である。
【図16】フラグデータテーブル51を示す模式図である。
【図17】第二復帰確認処理を示すフローチャートである。
【図18】ディスプレイ36に表示される通信品質表示361の一例を示す図である。
【図19】第三復帰確認処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る通信装置3,4,5,6、および通信システム1の一実施の形態について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成、各種処理のフローチャートなどは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0021】
図1を参照し、本実施形態における通信装置3,4,5,6を構成要素とする通信システム1の構成について説明する。通信システム1は、ネットワーク2と通信装置3と通信装置4と通信装置5と通信装置6とを備えている。通信装置3,4,5,6は、ネットワーク2を介して相互に接続されている。通信装置3,4,5,6は、同一の電気的構成をしており、同一のプログラムが設定されている。なお、図1において、通信装置3,4,5,6の4台がネットワーク2に接続されているが、台数は限定されず、例えば10台がネットワーク2に接続されていてもよい。以後の説明では、通信装置3,4,5,6のいずれかを特定しない場合には、単に「通信装置」という。
【0022】
ネットワーク2は、ノード71〜89を備えている。ノード71〜89は、例えば、ルータである。ネットワーク2において、通信装置3から通信装置4に向かう通信経路には、ノード71〜78が順に接続されている。また、通信装置5から通信装置6に向かう通信経路には、ノード81,84,85,86,88,89が順に接続されている。ノード73は、ノード79と接続されている。ノード79は、ノード80とノード82とに接続されている。ノード80は、ノード81とノード82とノード85とに接続されている。ノード82は、ノード77とノード83とに接続されている。ノード83は、ノード88に接続されている。通信装置3,4,5,6は、ノード71〜89のいずれかを介して、種々のデータを送受信する。
【0023】
通信装置3,4,5,6の電気的構成について、図2を参照して説明する。なお、通信装置3,4,5,6の電気的構成は同一であるので、ここでは、通信装置3の電気的構成について説明する。図2に示すように、通信装置3は、CPU31とHDD32とRAM33とを備えている。CPU31は、通信装置3の各種の制御処理を司る。CPU31はHDD32とRAM33とに電気的に接続され、記憶領域にアクセスできる。
【0024】
HDD32は、プログラム記憶領域321と劣化設定データテーブル記憶領域322と復帰設定データテーブル記憶領域323とを少なくとも備えている。プログラム記憶領域321には、CPU31が各種の処理等を実行するために必要なプログラムデータが記憶される。劣化設定データテーブル記憶領域322には、後述する劣化設定データテーブル52(図5参照)が記憶される。復帰設定データテーブル記憶領域323には、後述する復帰設定データテーブル53(図6参照)が記憶される。
【0025】
RAM33は、フラグデータテーブル記憶領域331と通信品質記憶領域332と劣化判断データテーブル記憶領域333と復帰判断データテーブル記憶領域334とを少なくとも備えている。フラグデータテーブル記憶領域331には、後述するフラグデータテーブル51(図4参照)が記憶される。通信品質記憶領域332には、S102の処理(図7参照)において測定される通信品質の基準値が記憶される。劣化判断データテーブル記憶領域333には、後述する劣化判断データテーブル54(図9参照)が記憶される。復帰判断データテーブル記憶領域334には、後述する復帰判断データテーブル55(図10参照)が記憶される。
【0026】
通信装置3は、通信インターフェイス(通信I/F)35を備えている。通信I/F35には、LANポート34とCPU31とが電気的に接続されている。LANポート34は、ネットワーク2(図1参照)に接続されている。CPU31は、通信I/F35、LANポート34、およびネットワーク2を介して、通信装置4,5,6と通信を行うことができる。
【0027】
通信装置3は、ディスプレイ36と入力部37とを備えている。ディスプレイ36と入力部37とは、CPU31と電気的に接続されている。CPU31は、ディスプレイ36に所望の画像を表示することができる。CPU31は、入力部37を介して入力されたユーザからの指示を認識することができる。入力部37は、例えば、マウスやキーボードである。
【0028】
通信装置3はCD−ROMドライブ38を備えている。CD−ROMドライブ38は、CPU31に電気的に接続されている。CD−ROMドライブ38に挿入されるCD−ROM39には、例えば、本実施形態における各種のプログラム等が記憶されている。CD−ROM39の導入時には、各種プログラム等が、CD−ROM39からHDD32にセットアップされて、プログラム記憶領域321に記憶される。
【0029】
図3を参照して、ディスプレイ36に表示される通信品質表示361の一例について説明する。通信品質表示361は、通信装置相互間の通信経路において、通信品質が正常である区間と、通信品質が劣化した区間とを示す表示である。図3では、通信装置3と通信装置4との間の通信経路における通信品質表示361を示している。なお、その他の通信経路の通信品質表示361についても同様にディスプレイ36に表示されるが、図示は省略している。また、図3では、説明のため、通信品質表示361をディスプレイ36の中央に表示しているが、表示位置は限定されず、例えば、ディスプレイ36の下部に小さく表示してもよい。
【0030】
図3における通信品質表示361は、通信装置3のCPU31がディスプレイ36に表示させる通信品質表示361の一例を示している。通信品質表示361には、通信装置3と通信装置4とノード73とノード77とが表示されている。通信装置3とノード73との間、ノード73とノード77との間、およびノード77と通信装置4との間は、それぞれ青色の線(図3では、横線で表した線)で接続されている。これらの青色の線は、ネットワーク2における区間を示している。
【0031】
ここで、自装置である通信装置3から分岐することなく接続されたノードと通信装置3とを含むネットワーク2上の区間を第二区間22という。また、自装置とは異なる通信装置4,5,6のそれぞれから分岐することなく接続されたノードと通信装置4,5,6とを含むネットワーク上の区間を、第一区間という。特に、通信装置4を含む第一区間を第一区間21という。また、第二区間22と第一区間との間の前記ネットワーク上の区間を第三区間という。特に、通信装置3を含む第二区間22と、通信装置4を含む第一区間21との間の、ネットワーク上の区間を第三区間23という。
【0032】
図1に示すように、通信装置3と通信装置4とが、ノード71〜78を介して通信を行う場合、第二区間22は、通信装置3とノード71〜73とを含む区間である。また、第一区間21は、通信装置4とノード77,78とを含む区間である。第三区間は、第二区間22と第一区間21との間のノード74〜76を含む区間である。
【0033】
図3において、通信装置3とノード73との間の線が第二区間22を表し、ノード77と通信装置4との間の線が第一区間21を表し、ノード73とノード76との間の線が第三区間23を表している。また、青色の線は、通信品質が正常であることを示している。通信品質が劣化した場合、通信品質が劣化した区間の線が、赤色に変更されるが、詳細については、後述する。
【0034】
図3において、ノード73の下側には、ノード73のIPアドレス「192.168,100,123」が表示されている。このIPアドレスは、後述するS101の処理(図7参照)において取得されるIPアドレスである。
【0035】
図4を参照して、フラグデータテーブル51について説明する。フラグデータテーブル51は、フラグデータテーブル記憶領域331に記憶される。フラグデータテーブル51は、後述するS104の処理(図7参照)において参照される。図4に示すように、フラグデータテーブル51では、通信装置3,4,5,6について、それぞれのフラグが、全て「FALSE」に設定されている。図4に示すフラグデータテーブル51は、初期状態を表わしており、後述する処理において、「FALSE」から「TRUE」に、又は、「TRUE」から「FALSE」に変更される。
【0036】
図5を参照して、劣化設定データテーブル52について説明する。劣化設定データテーブル52は、劣化設定データテーブル記憶領域322に記憶されている。劣化設定データテーブル52には、劣化設定として、通信可能帯域「2Mbps」、ジッタ「5ms(5ミリ秒)」、およびパケットロス率「2%」が登録されている。通信可能帯域とは、通信装置間の通信経路おいて、通信を行うために使用可能な通信帯域である。劣化設定は、通信品質が、劣化したことを判断するための基準となり、後述するS103の処理(図7参照)において、劣化判断データテーブル54を作成する際に用いられる。例えば、通信可能帯域が、S102の処理(図7参照、後述)において測定された基準値から、「2Mbps」以上劣化した場合には、通信品質が劣化したと判断される。詳細については、後述する。なお、ユーザが劣化設定データテーブル52の劣化設定を変更できないようにしてもよいし、ユーザが任意に劣化設定を設定できるようにしてもよい。
【0037】
図6を参照して、復帰設定データテーブル53について説明する。復帰設定データテーブル53は、復帰設定データテーブル記憶領域323に記憶されている。復帰設定データテーブル53には、復帰設定として、通信可能帯域「1Mbps」、ジッタ「2ms」、およびパケットロス率「0.2%」が登録されている。復帰設定は、通信品質が、劣化した後に正常な状態に復帰したことを判断するための基準となり、後述するS103の処理(図7参照)において、復帰判断データテーブル55を作成する際に用いられる。例えば、S102の処理(図7参照、後述)において測定された基準値から、一度2Mbps以上劣化した通信可能帯域が、基準値から「1Mbps」以下の劣化にまで復帰した場合には、通信品質が復帰したと判断される。詳細については、後述する。なお、ユーザが復帰設定データテーブル53の復帰設定を変更できないようにしてもよいし、ユーザが任意に復帰設定を設定できるようにしてもよい。
【0038】
通信システム1による処理の一例について説明する。なお、以下で説明する各処理は、全ての通信装置3,4,5,6において行われる処理であるが、説明をわかりやすくするために、通信装置3のCPU31によって行われる処理として説明する。なお、説明のため、通信装置3以外の通信装置が行う処理として説明する場合がある。図7および図8に示すフローチャートを参照して、通信装置3のCPU31によるメイン処理について説明する。
【0039】
メイン処理では、まず、自装置である通信装置3と、自装置とは異なる通信装置4,5,6との通信経路に存在するノードのIPアドレスが取得され、分岐点に存在するノードが特定される(S101)。IPアドレスを取得する場合には、例えば、Tracerouteコマンド等が使用される。CPU31は、Tracerouteコマンド等を使用することによって、通信装置3と、各通信装置4,5,6との各通信経路に存在するノードのIPアドレスの各リストを取得することができる。
【0040】
通信装置3と各通信装置4,5,6との通信経路に存在するノードのIPアドレスの各リストにおいて、通信装置3から分岐することなく接続されたノードのIPアドレスは、各リストで共通となる。そして、通信経路が分岐すると、各リストでノードのIPアドレスが異なる。つまり、各リストで共通するIPアドレスのうち、通信装置3から最も離れたノードのIPアドレスが、分岐点に存在するノードのIPアドレスとなる。これによって、分岐点に存在するノードが特定される(S101)。通信装置3から分岐点に存在するノードまでのネットワーク2上の区間が第二区間22である。
【0041】
次いで、アクティブ計測によって、自装置である通信装置3と、自装置とは異なる通信装置4,5,6との間の通信品質が所定時間測定され、測定された通信品質の平均値が基準値として通信品質記憶領域332に記憶される(S102)。通信品質は、例えば、通信可能帯域、ジッタ、およびパケットロス率等である。所定時間は、例えば、10秒である。
【0042】
次いで、S102の処理で記憶された通信品質の基準値と、劣化設定データテーブル52(図5参照)とが参照され、劣化判断データテーブル54(図9参照)が作成される(S103)。また、基準値と復帰設定データテーブル53(図6参照)とが参照され、復帰判断データテーブル55(図10参照)が作成される(S103)。作成方法については、例を示して後述する。
【0043】
例えば、通信装置3と通信装置4とは、ノード71〜78を介して通信を行うとし、通信装置3と通信装置5とは、ノード71,72,73,79,80,81を介して通信を行うとする。通信装置3と通信装置6とは、ノード71,72,73,79,82,83,88,89を介して通信を行うとし、通信装置4と通信装置5とは、ノード78,77,82,80,81を介して通信を行うとする。通信装置4と通信装置6とは、ノード78,77,82,83,88,89を介して通信を行うとする。以後、この例示を「具体例」という。
【0044】
具体例の場合において、通信装置3のCPU31が行うメイン処理では、まず、自装置である通信装置3と、自装置とは異なる通信装置4,5,6との通信経路に存在するノードのIPアドレスが取得され、分岐点に存在するノードが特定される(S101)。S101の処理では、通信装置3と通信装置4との通信経路に存在するノード71〜78のIPアドレスのリストが取得される。同様に、通信装置3と通信装置5との通信経路に存在する、ノード71,72,73,79,80,81のIPアドレスのリストと、通信装置3と通信装置6との通信経路に存在する、ノード71,72,73,79,82,83,88,89のIPアドレスのリストとが取得される。各リストに共通するノード71〜73のIPアドレスのうち、最も通信装置3から離れたIPアドレスがノード73のIPアドレスとなる。このため、ノード73が分岐点に存在するノードとして特定される(S101)。具体例の場合、ノード73のIPアドレスは、「192.168.100.123」であるとする。通信装置3とノード71〜73との区間が、第二区間22である。
【0045】
次いで、アクティブ計測によって、自装置である通信装置3と、自装置とは異なる通信装置4,5,6との間の通信品質が、所定時間測定され、測定された通信品質の平均値が基準値として通信品質記憶領域332に記憶される(S102)。具体例の場合、通信品質は、通信可能帯域、ジッタ、およびパケットロス率であるとする。また、S102の処理で記憶された通信装置3と通信装置4との間の通信品質の基準値は、通信可能帯域「5Mbps」、ジッタ「1ms」、およびパケットロス率「0.1%」であるとする。また、通信装置3と通信装置5との通信品質の基準値は、通信可能帯域「7Mbps」、ジッタ「2ms」、およびパケットロス率「0.2%」であるとする。また、通信装置3と通信装置6との通信品質の基準値は、通信可能帯域「10Mbps」、ジッタ「3ms」、およびパケットロス率「0.3%」であるとする。
【0046】
次いで、S102の処理で記憶された通信品質の基準値と、劣化設定データテーブル52(図5参照)とが参照され、劣化判断データテーブル54(図9参照)が作成される(S103)。劣化設定データテーブル52(図5参照)において、通信可能帯域は「2Mbps」、ジッタは「5ms」、パケットロス率は「2%」と設定されている。この場合、S102の処理で記憶された通信装置3と通信装置4との通信品質の基準値における通信可能帯域「5Mbps」から、劣化設定データテーブル52における通信可能帯域「2Mbps」分劣化した値は、「3Mbps」となる。よって、劣化判断データテーブル54(図9参照)には、「3Mbps以下」と登録される。同様に、通信装置3と通信装置4との通信品質の基準値におけるジッタ「1ms」から、劣化設定データテーブル52における「5ms」分劣化した値は、「6ms」となる。よって、劣化判断データテーブル54には、「6ms以上」と登録される。また、通信装置3と通信装置4との通信品質の基準値におけるパケットロス率「0.1%」から、劣化設定データテーブル52における「2%」分劣化した値は「2.1%」となる。よって、劣化判断データテーブル54には、「2.1%以上」と登録される。
【0047】
同様に、通信装置3と通信装置5との間の通信品質は、通信可能帯域「5Mbps以下」、ジッタ「7ms以上」、パケットロス率「2.2%以上」と登録される。また、通信装置3と通信装置6との間の通信品質は、通信可能帯域「8Mbps以下」、ジッタ「8ms以上」、パケットロス率「2.3%以上」と登録される。
【0048】
また、S103の処理では、S102の処理で記憶された基準値と、復帰設定データテーブル53(図6参照)とが参照され、復帰判断データテーブル55(図10参照)が作成される。復帰設定データテーブル53(図6参照)において、通信可能帯域は「1Mbps」、ジッタは「2ms」、パケットロス率は「0.2%」と設定されている。この場合、S102の処理で記憶された通信装置3と通信装置4との通信品質の基準値における通信可能帯域「5Mbps」から、復帰設定データテーブル53における通信可能帯域「1Mbps」分劣化した値は、「4Mbps」となる。よって、復帰判断データテーブル55には、「4Mbps以上」と登録される。同様に、通信装置3と通信装置4との通信品質の基準値におけるジッタ「1ms」から、復帰設定データテーブル53における「2ms」分劣化した値は、「3ms」となる。よって、復帰判断データテーブル55には、「3ms以下」と登録される。また、通信装置3と通信装置4との通信品質の基準値におけるパケットロス率「0.1%」から、復帰設定データテーブル53における「0.2%」分劣化した値は「0.3%」となる。よって、復帰判断データテーブル55には、「0.3%以下」と登録される。
【0049】
同様に、通信装置3と通信装置5との間の通信品質は、通信可能帯域「6Mbps以上」、ジッタ「4ms以下」、パケットロス率「0.4%以下」と登録される。また、通信装置3と通信装置6との間の通信品質は、通信可能帯域「9Mbps以上」、ジッタ「5ms以下」、パケットロス率「0.5%以下」と登録される。
【0050】
次いで、フラグデータテーブル51におけるフラグが「FALSE」となっている通信装置4,5,6のうちの一の通信装置を選択する(S104)。S104の処理では、処理が行われる度に通信装置4,5,6が順番に選択される。次いで、S104の処理で選択された通信装置と、通信装置3との間の通信経路の通信品質が測定される(S105)。つまり、フラグが「TRUE」となっている通信装置以外の通信装置と通信装置3との間の通信品質が測定される。
【0051】
なお、フラグが「TRUE」になる場合とは、後述するS112、S117、およびS120の処理で、フラグが「TRUE」に設定された場合である。フラグが「TRUE」に設定されている通信装置を選択しないのは、すでに通信品質が劣化していることが確定している通信経路については、S105の処理における計測を行わないようにするためである。すでに通信品質が劣化していることが確定している通信経路の通信品質については、後述するS201の処理(図14および図19参照)等において計測される。以後の説明では、S104の処理で選択された自装置とは異なる通信装置を「第一他装置」といい、S105の処理で測定される通信品質を「第一通信品質」という。
【0052】
次いで、第一通信品質が、S103の処理で作成された劣化判断データテーブル54に登録されている通信品質の範囲にあるか否かが判断されることで、第一通信品質が劣化したか否かが判断される(S106)。劣化していない場合には(S106:NO)、S104に戻り、処理が繰り返される。劣化している場合には(S106:YES)、第一他装置以外、且つフラグデータテーブル51のフラグが「FALSE」である通信装置がランダムに選択され、選択された通信装置と通信装置3との間の通信経路の通信品質が所定時間測定される(S107)。所定時間は、例えば、1秒である。なお、以後の説明では、S107の処理において選択された自装置とは異なる通信装置を「第三他装置」といい、S107の処理において測定された通信品質を「第三通信品質」という。
【0053】
次いで、第三通信品質が、劣化判断データテーブル54に登録されている通信品質の範囲にあるか否かを確認することで、第三通信品質が劣化しているか否かが確認される(S108)。次いで、S108の処理で確認された第三通信品質の結果が、第一他装置に対して送信される(S109)。S108の処理において、第三通信品質が劣化していることが確認された場合には、劣化していることを示す信号が送信され、第三通信品質が劣化していないことが確認された場合には、劣化していないことを示す信号が送信される(S109)。なお、S109の処理で送信された第三通信品質の結果は、第一他装置が行うS114の処理(後述)によって受信される。
【0054】
次いで、第三通信品質が、S108の処理において劣化していると確認されたか否かが判断される(S110)。つまり、第三通信品質が劣化しているか否かが判断される。劣化している場合には(S110:YES)、第二区間22が劣化区間であるとして、通信品質表示361が表示される(S111)。
【0055】
S111の処理が行われる場合とは、第一通信品質と第三通信品質とが劣化している場合、言い換えると、通信装置3と、通信装置4,5,6との間の通信経路のうち、少なくとも2つの通信経路の通信品質が劣化している場合である。この場合、ネットワーク2において、劣化した2つの通信経路に共通する区間が劣化している。つまり、第二区間22に通信品質の劣化が発生している。このため、S111の処理において、第二区間22が劣化区間であるとして、通信品質表示361が表示される(S111)。
【0056】
次いで、フラグデータテーブル51において、通信装置3のフラグが「FALSE」から「TRUE」に更新される(S112)。次いで、第一復帰確認処理が開始される(S113)。第一復帰確認処理については、後述する。次いで、S104に戻り、処理が繰り返される。
【0057】
ここで、具体例の場合における通信品質のうち、通信可能帯域が変化した場合について説明する。具体例では、通信可能帯域は、図11に示す例示テーブル56のように変化しているとする。例示テーブル56は、S101の処理が始まってからの経過時間のうち、60秒から74秒までの時間において、劣化している区間と、各区間が劣化した場合の通信可能帯域の変化の一例を表している。
【0058】
例示テーブル56において、60秒から61秒までは、劣化区間はない。62秒から64秒までは、第二区間22の通信可能帯域が劣化している。また、65秒から66秒までは、劣化区間はない。67秒から68秒までは、第一区間21が劣化している。69秒から70秒までは、劣化区間はない。71秒から72秒までは、第三区間23が劣化している。73秒から74秒までは劣化区間がない。
【0059】
上記のように、劣化区間が変化した場合、例示テーブル56では、通信装置3と通信装置4との通信経路の通信可能帯域は、60秒から61秒まで「5Mbps」、62秒から64秒まで「3Mbps」、65秒から66秒まで「5Mbps」、67秒から68秒まで「3Mbps」、69秒から70秒まで「5Mbps」、71秒から72秒まで「3Mbps」、73秒から74秒まで「5Mbps」のように変化している。
【0060】
同様に、通信装置3と通信装置5との通信経路の通信可能帯域は、60秒から61秒まで「7Mbps」、62秒から64秒まで「5Mbps」、65秒から74秒まで「7Mbps」と変化している。通信装置3と通信装置6との通信経路の通信可能帯域は、60秒から61秒まで「10Mbps」、62秒から64秒まで「8Mbps」、65秒から74秒まで「10Mbps」と変化している。通信装置4と通信装置5との通信経路の通信可能帯域は、60秒から66秒まで「12Mbps」、67秒から68秒まで「10Mbps」、69秒から74秒まで「12Mbps」と変化している。通信装置4と通信装置6との通信経路の通信可能帯域は、60秒から66秒まで「14Mbps」、67秒から68秒まで「12Mbps」、69秒から74秒まで「14Mbps」と変化している。なお、通信装置4と通信装置5との間の通信可能帯域「12Mbps」と通信装置4と通信装置6との間の通信可能帯域「14Mbps」とは、通信装置4のS102の処理において測定される基準値であるとする。
【0061】
例示テーブル56のように通信可能帯域が変化する場合、61秒までは、フラグデータテーブル51におけるフラグが「FALSE」となっている通信装置4,5,6が順に選択され(S104)、第一通信品質が測定され(S105)、第一通信品質が劣化していないので(S106:NO)、S104からS106の処理が繰り返される。
【0062】
そして、62秒になると、通信装置3と通信装置4との通信経路の通信可能帯域が5Mbpsから3Mbpsに劣化する。このとき、通信装置4が選択され(S104)、第一通信品質における通信可能帯域が「3Mbps」であることが測定される(S105)。そして、測定された第一通信品質における通信可能帯域が「3Mbps」であるので、劣化判断データテーブル54(図9参照)に登録されている通信可能帯域「3Mbps以下」の範囲にあると判断されることで、第一通信品質が劣化したと判断される(S106:YES)。S104の処理で選択された通信装置4が「第一他装置4」である。
【0063】
次いで、第一他装置4以外、且つフラグデータテーブル51のフラグが「FALSE」である通信装置である通信装置5がランダムに選択されたとする(S107)。S107の処理で選択された通信装置5が「第三他装置5」である。第三他装置5と通信装置3との間の通信経路の第三通信品質が所定時間測定される(S107)。所定時間は、1秒であるとする。例示テーブル56(図11参照)に示すように、通信装置3と通信装置5との間の通信経路の通信可能帯域は、62秒から5Mbpsに劣化している。このため、S107の処理において、通信可能帯域「5Mbs」が測定される。
【0064】
次いで、第三通信品質における通信可能帯域「5Mbps」が、劣化判断データテーブル54(図9参照)に登録されている通信可能帯域の範囲「5Mbps以下」の範囲にあるので、第三通信品質が劣化していることが確認される(S108)。次いで、第三通信品質は、S108の処理で劣化していることが確認されているので、劣化していることを示す信号が第一他装置4に送信される(S109)。なお、S109の処理で送信された第三通信品質の結果は、第一他装置4が行うS114の処理(図8参照)によって受信される。
【0065】
次いで、第三通信品質における通信可能帯域が劣化していると判断され(S110:YES)、図12に示すように、第二区間22が劣化区間であるとして、通信品質表示361がディスプレイ36に表示される(S111)。図12に示すように、第二区間22が赤色(図12では、縦線)で表示され、第一区間21と第三区間23とが青色で表示される。これによって、ユーザに、第二区間22の通信品質が劣化していることを報知することができる。なお、通信品質表示361では、S101の処理で取得された分岐点のノード73のIPアドレス「192.168.100.123」が表示されている。
【0066】
次いで、図13に示すように、フラグデータテーブル51において、通信装置3のフラグが「FALSE」から「TRUE」に更新される(S112)。次いで、第一復帰確認処理が開始される(S113)。次いで、S104の処理に戻る。なお、通信装置3のフラグが「TRUE」となっている。この場合は、通信装置3の全ての通信経路には、フラグが「TRUE」となっている通信装置3が含まれるため、S104の処理において、通信装置を選択しない。つまり、後述するS204の処理(図14参照)において、通信装置3のフラグが「FALSE」に変更されるまで、S104の処理で通信装置を選択せず、S105の処理で通信品質を測定しない。
【0067】
図14を参照して、第一復帰確認処理について説明する。第一復帰確認処理では、まず、通信装置3と第一他装置との間の通信経路の第一通信品質を測定する(S201)。次いで、S201の処理において計測された第一通信品質が、復帰判断データテーブル55(図10参照)に登録されている条件まで復帰したか否かが判断される(S202)。復帰していない場合には(S202:NO)、S201に戻り、処理が繰り返される。復帰した場合には(S202:YES)、第一通信品質が復帰したことを示す信号である復帰信号が、第一他装置に送信される(S203)。送信された復帰信号は、第一他装置4が行うS301の処理(図17参照、後述)において受信される。次いで、フラグデータテーブル51(図13参照)において、自装置である通信装置3のフラグが「TRUE」から、「FALSE」に更新される(S204)。次いで、通信品質表示361における第二区間22の劣化の表示が、正常の表示に変更される(S205)。次いで、第一復帰確認処理が終了される。
【0068】
具体例の場合、例示テーブル56(図11参照)に示すように、62秒から64秒まで、通信装置3と通信装置4との間の通信可能帯域は劣化したままである。このため、64秒までは、第一通信品質を測定することによって、通信可能帯域「3Mbps」が検出され(S201)、通信可能帯域「3Mbps」が、復帰判断データテーブル55に登録されている条件「4Mbps以上」まで復帰していないので(S202:NO)、S201に戻り、処理が繰り返される。
【0069】
そして、例示テーブル56に示すように、65秒になると、通信装置3と通信装置4との間の通信可能帯域は「5Mbps」になる。この場合、通信可能帯域「5Mbps」が検出され(S201)、復帰判断データテーブル55に登録されている条件「4Mbps以上」まで復帰していると判断され(S202:YES)、第一通信品質が復帰したことを示す信号である復帰信号が、第一他装置4に送信される(S203)。次いで、フラグデータテーブル51において、自装置である通信装置3のフラグが「TRUE」から、「FALSE」に更新される(S204)。つまり、フラグデータテーブル51は、図4に示す状態に戻る。次いで、通信品質表示361における第二区間22の劣化の表示が、正常の表示に変更される(S205)。つまり、通信品質表示361は、図3に示すように、全ての区間が青色で表示された状態になる。次いで、第一復帰確認処理が終了される。
【0070】
図7および図8に示すように、S110の処理において、第三通信品質が劣化していないと判断された場合には(S110:NO)、第一他装置のS109の処理において送信される、通信品質の結果が受信されたか否かが判断される(S114)。なお、S114の処理で受信される通信品質の結果は、第一他装置が測定した通信品質の結果である。このため、S114の処理で受信される通信品質は、第一他装置と、第一他装置以外の通信装置との間の通信経路の通信品質である。以下の説明では、第一他装置と、第一他装置以外の通信装置との間の通信経路の通信品質を「第二通信品質」といい、第一他装置以外の通信装置を「第二他装置」という。
【0071】
第二通信品質の結果が受信されていない場合には(S114:NO)、S114に戻り、処理が繰り返される。受信された場合には(S114:YES)、S114の処理において受信された第二通信品質の結果が参照され、第二通信品質が劣化しているか否かが判断される(S115)。劣化している場合には(S115:YES)、第一区間が劣化区間であるとして、通信品質表示361に表示される(S116)。
【0072】
S116の処理が行われる場合とは、S106の処理において、通信装置3と第一他装置との間の第一通信品質が劣化していると判断され(S106:YES)、且つ、通信装置3と第三他装置との間の第三通信品質が劣化していないと判断され(S110:NO)、且つ、第一他装置が測定した、第一他装置と第二他装置との間の第二通信品質が劣化している場合である(S115:YES)。この場合、通信装置3が測定した第一通信品質と第三通信品質とのうち、一方の通信品質が劣化していないため、共通する区間である第二区間22の通信品質は劣化していない。一方、通信装置3が測定した第一通信品質が劣化しており、第一他装置が測定した第二通信品質が劣化しているため、共通する区間である第一区間が劣化している。このため、S116の処理において、第一区間が劣化区間であるとして通信品質表示361に表示される。
【0073】
次いで、フラグデータテーブル51において、第一他装置のフラグが「FALSE」から「TRUE」に変更される(S117)。次いで、第二復帰確認処理が開始される(S118)。第二復帰確認処理については、後述する。次いで、S104に戻り、処理が繰り返される。
【0074】
具体例の場合、例示テーブル56(図11参照)では、67秒から、通信装置3と通信装置4との通信経路の通信可能帯域が5Mbpsから3Mbpsに劣化する。このとき、通信装置4が選択され(S104)、通信可能帯域が「3Mbps」であることが測定され(S105)、第一通信品質における通信可能帯域が劣化したと判断される(S106:YES)。この場合、通信装置4が第一他装置4である。
【0075】
次いで、第一他装置4以外、且つフラグデータテーブル51のフラグが「FALSE」である通信装置である通信装置5がランダムに選択されたとする(S107)。この場合、通信装置5が第三他装置5である。第三他装置5と通信装置3との間の第三通信品質が1秒間測定される(S107)。例示テーブル56に示すように、通信装置3と通信装置5との間の通信経路の通信可能帯域は、7Mbpsのままであり、劣化していない。このため、通信可能帯域「7Mbs」が測定される(S107)。通信可能帯域「7Mbps」が、劣化判断データテーブル54(図9参照)に登録されている通信可能帯域の範囲「5Mbps以下」の範囲にないので、第三通信品質が劣化していないことが確認される(S108)。次いで、第三通信品質は、S108の処理で劣化していないことが確認されているので、劣化していないことを示す信号が第一他装置4に送信される(S109)。S109の処理で送信された第三通信品質の結果は、第一他装置4が行うS114の処理によって受信される。
【0076】
次いで、第三通信品質における通信可能帯域が劣化していないと判断され(S110:NO)、第一他装置4のS109の処理において送信される。第二通信品質の結果が受信されたか否かが判断される(S114)。ここで、第一他装置4が測定した第二通信品質は、第一他装置4と通信装置6との間の通信経路の通信品質であるとする。この場合、通信装置6が第二他装置6である。例示テーブル56に示すように、67秒から、通信装置4と通信装置6との間の通信可能帯域は、14Mbpsから12Mbpsに劣化している。このため、第一他装置4から送信される第二通信品質の結果は、劣化していることを示す信号である。
【0077】
この通信品質の結果が受信されると(S114:YES)、受信された第二通信品質の結果が参照され、第二通信品質が劣化していると判断され(S115:YES)、第一区間21が劣化区間であるとして、通信品質表示361が表示される(S116)。図15に示すように、第一区間21が赤色で表示され、第二区間22と第三区間23とが青色で表示される。これによって、ユーザに、第一区間21の通信品質が劣化していることを報知することができる。
【0078】
次いで、図16に示すように、フラグデータテーブル51において、第一他装置である通信装置4のフラグが「FALSE」から「TRUE」に変更される(S117)。次いで、第二復帰確認処理が開始される(S118)。次いで、S104に戻り、処理が繰り返される。
【0079】
図17を参照して、第二復帰確認処理について説明する。図17に示すように、第二復帰確認処理では、まず、第一他装置のS203の処理(図14参照)において送信される復帰信号が受信されたか否かが判断される(S301)。通信装置3においてS116〜S118の処理(図8参照)が行われる場合、第一他装置は、S111〜S113の処理(図7参照)、および第一復帰確認処理(図14参照)を行う。第一他装置から分岐することなく接続されたノードまでの区間が劣化区間となっているからである。このため、第一他装置は、通信品質が復帰した場合、復帰信号を通信装置3に対して送信する(図14のS203参照)。つまり、通信装置3のS301の処理では、この復帰信号を受信したか否かが判断されることで、第一区間の通信品質が復帰したか否が判断されている。
【0080】
復帰信号が受信されていない場合には(S301:NO)、S301に戻り、処理が繰り返される。復帰信号が受信された場合には(S301:YES)、フラグデータテーブル51において、第一他装置のフラグを「TRUE」から、「FALSE」に更新する(S302)。次いで、通信品質表示361における第一区間の劣化の表示を、正常の表示に変更する(S303)。次いで、第二復帰確認処理が終了される。
【0081】
具体例の場合、例示テーブル56(図11参照)に示すように、67秒から68秒まで第一区間21の通信可能帯域は劣化したままである。このため、第一他装置4は、S201〜S202の処理(図14参照)を繰り返している。このため、S203の処理が行われず、復帰信号が通信装置3に送信されない。よって、通信装置3のCPU31は、第一他装置4のS203の処理(図14参照)において送信される復帰信号を受信していないと判断し(S301:NO)、S301に戻り、処理を繰り返す。
【0082】
例示テーブル56に示すように、69秒から第一区間21の通信可能帯域の劣化が復帰している。このため、第一他装置4は、通信装置3に復帰信号を送信する(S203)。送信された復帰信号は、通信装置3のS301の処理において受信される(S301:YES)。つまり、第一区間21の通信品質が復帰したと判断される。次いで、フラグデータテーブル51において、第一他装置である通信装置4のフラグを「TRUE」から、「FALSE」に更新する(S302)。これによって、フラグデータテーブル51は、図4に示す状態になる。次いで、通信品質表示361における第一区間21の劣化の表示が、正常の表示に変更される(S303)。つまり、通信品質表示361は、図3に示すように、全ての区間が青色で表示された状態になる。これによって、ユーザに、通信品質が復帰したことを報知することができる。次いで、第二復帰確認処理が終了される。
【0083】
図7および図8に示すように、S115の処理において、S114の処理において受信された第二通信品質の結果が参照され、第二通信品質が、劣化していないと判断された場合には(S115:NO)、第三区間が劣化区間であるとして、通信品質表示361が表示される(S119)。
【0084】
S119の処理が行われる場合とは、S106の処理において、通信装置3と第一他装置との間の第一通信品質が劣化していると判断され(S106:YES)、且つ、通信装置3と第三他装置との間の第三通信品質が劣化していないと判断され(S110:NO)、且つ、第一他装置が測定した、第一他装置と第二他装置との間の第二通信品質が劣化していない場合である(S115:NO)。この場合、通信装置3が測定した第一通信品質と第三通信品質のうち、一方の通信品質が劣化していないため、共通する区間である第二区間22の通信品質は劣化していない。また、第一他装置が測定した、第一他装置と第二他装置との間の第二通信品質が劣化していないため、第一区間の通信品質は劣化していない。そして、通信装置3が測定した通信装置3と第一他装置との間の第一通信品質が劣化している。以上の結果から、第二区間22と第一区間以外の区間である第三区間が劣化していることがわかる。このため、S119の処理において、第三区間が劣化区間であるとして通信品質表示361が表示される。
【0085】
次いで、フラグデータテーブル51において、第一他装置のフラグが「FALSE」から「TRUE」に変更される(S120)。次いで、第三復帰確認処理が開始される(S121)。次いで、S104に戻り、処理が繰り返される。
【0086】
具体例の場合、例示テーブル56(図11参照)では、71秒から通信装置3と通信装置4との通信経路の通信可能帯域が5Mbpsから3Mbpsに劣化する。このとき、通信装置4が選択され(S104)、通信可能帯域が「3Mbps」であることが測定され(S105)、第一通信品質における通信可能帯域が劣化したと判断される(S106:YES)。この場合、通信装置4が第一他装置4である。
【0087】
次いで、第一他装置4以外、且つフラグデータテーブル51のフラグが「FALSE」である通信装置である通信装置5がランダムに選択されたとする(S107)。この場合、通信装置5が第三他装置5である。第三他装置5と通信装置3との間の第三通信品質が1秒間測定される(S107)。例示テーブル56に示すように、通信装置3と通信装置5との間の通信経路の通信可能帯域は、7Mbpsのままであり、劣化していない。このため、通信可能帯域「7Mbs」が測定される(S107)。通信可能帯域「7Mbps」が、劣化判断データテーブル54に登録されている通信可能帯域の範囲「5Mbps以下」の範囲にないので、第三通信品質が劣化していないことが確認される(S108)。次いで、第三通信品質は、S108の処理で劣化していないことが確認されているので、劣化していないことを示す信号が第一他装置4に送信される(S109)。S109の処理で送信された通信品質の結果は、第一他装置4が行うS114の処理によって受信される。
【0088】
次いで、第三通信品質が劣化していないと判断され(S110:NO)、第一他装置4のS109の処理において送信される、第二通信品質の結果が受信されたか否かが判断される(S114)。ここで、通信装置4が測定した第二通信品質は、通信装置4と通信装置6との間の通信経路の通信品質であるとする。この場合、通信装置6が第二他装置6である。例示テーブル56に示すように、71秒から、通信装置4と通信装置6との間の通信可能帯域は、14Mbpsのままであり、劣化していない。このため、第一他装置4から送信される第二通信品質の結果は、劣化していないことを示す信号である。
【0089】
S115の処理において、S114の処理において受信された第二通信品質の結果が参照され、第二通信品質が、劣化していないと判断される(S115:NO)。次いで、第三区間23が劣化区間であるとして、通信品質表示361が表示される(S119)。図18に示すように、第三区間23が赤色で表示され、第二区間22と第一区間21とが青色で表示される。これによって、ユーザに、第三区間23の通信品質が劣化していることを報知することができる。
【0090】
次いで、フラグデータテーブル51において、図16に示すように、第一他装置である通信装置4のフラグが「FALSE」から「TRUE」に変更される(S120)。次いで、第三復帰確認処理が開始される(S121)。次いで、S104に戻り、処理が繰り返される。
【0091】
図19を参照して、第三復帰確認処理について説明する。第三復帰確認処理において、S201〜S203の処理が行われる。S201〜S203の処理は、第一復帰確認処理(図14参照)と同様なので、説明は省略する。次いで、フラグデータテーブル51において、第一他装置のフラグが「TRUE」から、「FALSE」に更新される(S206)。次いで、通信品質表示361における第三区間の劣化の表示が、正常の表示に変更される(S207)。次いで、第三復帰確認処理が終了される。
【0092】
具体例の場合、例示テーブル56(図11参照)に示すように、72秒まで通信装置3と通信装置4との間の通信可能帯域は劣化したままである。このため、72秒までは、第一通信品質を測定することによって、通信可能帯域「3Mbps」が検出され(S201)、通信可能帯域「3Mbps」が、復帰判断データテーブル55に登録されている条件「4Mbps以上」まで復帰していないので(S202:NO)、S201に戻り、処理が繰り返される。
【0093】
そして、例示テーブル56に示すように、73秒になると、通信装置3と通信装置4との間の通信可能帯域は「5Mbps」になる。この場合、通信可能帯域「5Mbps」が検出され(S201)、復帰判断データテーブル55に登録されている条件「4Mbps以上」まで復帰しているので(S202:YES)、第一通信品質が復帰したことを示す信号である復帰信号が、第一他装置4に送信される(S203)。次いで、フラグデータテーブル51(図16参照)において、第一他装置である通信装置4のフラグが、TRUE」から、「FALSE」に更新される(S206)。これによって、フラグデータテーブル51は、図4に示す状態になる。次いで、通信品質表示361における第三区間23の劣化の表示が、正常の表示に変更される(S207)。つまり、通信品質表示361は、図3に示すように、全ての区間が青色で表示された状態になる。これによって、ユーザに、第三区間23の通信品質の劣化が復帰したことを報知することができる。次いで、第三復帰確認処理が終了される。
【0094】
以上説明したように、本実施形態における処理が実行される。本実施形態では、S105、S107、およびS114(図7および図8参照)の処理において取得される各通信経路の第一〜第三通信品質に基づいて、第一〜第三区間のうち、いずれが劣化区間であるかを特定することができる。このため、従来のように、通信経路の各ノード対する全ての区間の通信の劣化を検出する場合に比べて少ない計算量で、通信の品質が劣化した区間を特定することができる。よって、通信装置への負荷が低減される。
【0095】
また、従来の場合、劣化の検出には、テストパケットをネットワークに流す必要があった。このため、ネットワークへの負荷とCPUの計算量が増大していた。本発明では、テストパケットを流す必要がないので、従来の場合に比べて、ネットワークへの負荷とCPUの計算量とを低減することができる。
【0096】
また、S107の処理(図7参照)においては、ランダムに通信装置が選択される。つまり、ランダムに選択された自装置とは異なる通信装置と自装置との間の第三通信品質を取得して、劣化区間を特定することができる。
【0097】
また、S114の処理(図8参照)においては、自装置とは異なる通信装置が測定した一の通信経路の通信品質の結果が取得されている。このため、二以上の通信経路について通信品質を取得する場合に比べて、ネットワークへの負荷と、CPU31の計算量とを軽減することができる。
【0098】
また、S101の処理(図7参照)によって、分岐点に存在するノードのIPアドレスを取得することができる。また、取得したIPアドレスをディスプレイ36に表示することができる。
【0099】
また、第一、第三復帰確認処理(図14および図19参照)において、一の通信経路のみの第一通信品質を測定し(S201)、第一通信品質が復帰することを判断している(S202)。第二区間22と第三区間とのいずれかの通信品質が劣化した場合でも、第一通信品質が復帰すれば、第二区間22、第三区間の通信品質が復帰したと判断できるためである。このため、複数の通信品質を測定して通信品質の復帰を判断する場合に比べて、CPU31の計算量を少なくすることができる。
【0100】
上記実施形態において、S105の処理を行うCPU31が本発明の「第一取得手段」に相当し、S114の処理を行うCPU31が本発明の「第二取得手段」に相当する。S106、S110、およびS115の処理を行って、劣化区間を特定する処理を行うCPU31が、本発明の「劣化区間特定手段」に相当し、S107の処理において第三通信品質を測定する処理を行うCPU31が本発明の「第三取得手段」に相当する。
【0101】
S107の処理において、通信装置をランダムに選択する処理を行うCPU31が、本発明の「第一選択手段」に相当し、ディスプレイ36が本発明の「表示手段」に相当する。S111、S116、およびS119の処理を行うCPU31が本発明の「表示制御手段」に相当し、S101の処理において、各通信経路のノードのIPアドレスを取得する処理を行うCPU31が本発明の「IPアドレス取得手段」に相当する。S101の処理において分岐点のノードを特定する処理を行うCPU31が本発明の「分岐点特定手段」に相当する。
【0102】
S104の処理が「第一取得ステップ」に相当し、S114の処理を行うCPU31が本発明の「第二取得ステップ」に相当する。S106、S110、およびS115の処理を行って、劣化区間を特定する処理が本発明の「劣化区間特定ステップ」に相当する。
【0103】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、S105の処理において、ランダムに通信装置が選択されていたが、これに限定されない。例えば、予め設定された基準に基づいて通信装置を選択してもよい。予め設定された基準は、例えば、通信経路に接続されているノードの数が少ない通信装置を選択するように設定された基準や、S102の処理で測定された通信品質のうち、通信可能帯域が最も大きかった通信経路における自装置とは異なる通信装置を選択するように設定された基準や、SIP(Session Initiation Protocol)を使って通信を開始した場合において、最も大きい数のCall−IDの通信装置または最も小さい数のCall−IDの通信装置を選択するように設定された基準などである。これによって、予め設定された基準に基づいて選択された通信装置と自装置との間の通信品質を取得して、劣化区間を特定することができる。なお、予め設定された基準に基づいて通信装置を選択するCPU31は、本発明の「第二選択手段」に相当する。
【0104】
また、S103の処理において、S102の処理で記憶された通信品質の基準値と、劣化設定データテーブル52(図5参照)とが参照され、基準値から劣化設定データテーブル52に登録されている値以上劣化した範囲が劣化判断データテーブル54に登録されていたが、これに限定されない。例えば、劣化判断データテーブル54において、S102の処理で記憶された通信品質の基準値にかかわらず、登録される値(つまり、劣化の判断基準)を固定してもよい。例えば、図9に示す劣化判断データテーブル54の一例において、通信可能帯域については前述のS103の処理と同様に設定し、ジッタ、パケットロス率については、ジッタ「5ms以上」、パケットロス率「2%以上」に固定するようにしてもよい。また、通信可能帯域についても同様に「2Mbps以下」に固定してもよい。このようにすれば、固定された閾値で通信品質が劣化したことを判断することができる。
【0105】
また、固定された閾値を用いて通信品質が劣化したことを判断する場合、S102の処理で記憶された通信品質の基準値が、既に閾値より劣化している場合もあり得る。この場合、例えば、既に閾値より劣化している通信品質については、S106等において劣化の判断を行わないようにしてもよい。具体的には、例えば、S102の処理で記憶されたジッタの基準値が「6ms」であり、劣化判断データテーブル54における固定されたジッタの閾値が「5ms以上」である場合、S106等の劣化の判断において、ジッタについては判断を行わないようにしてもよい。
【0106】
また、S103の処理において、S102の処理で記憶された通信品質の基準値と、復帰設定データテーブル53(図6参照)とが参照され、基準値から復帰設定データテーブル53に登録されている値だけ劣化した値より復帰した範囲が復帰判断データテーブル55に登録されていたが、これに限定されない。例えば、復帰判断データテーブル55において、S102の処理で記憶された通信品質の基準値にかかわらず、登録される値(つまり、復帰の判断基準)を固定してもよい。例えば、図10に示す復帰判断データテーブル55の一例において、通信可能帯域については前述のS103の処理と同様に設定し、ジッタ、パケットロス率については、ジッタ「2ms以上」、パケットロス率「0.2%以下」に固定するようにしてもよい。また、通信可能帯域についても同様に「1Mbps以上」に固定してもよい。このようにすれば、固定された閾値で通信品質が復帰したことを判断することができる。
【0107】
通信品質表示361(図3等参照)において、IPアドレスは、ノード73のIPアドレスのみを表示していたが、これに限定されない。例えば、通信装置3,4およびノード77のIPアドレスを表示してもよい。なお、ノード77のIPアドレスは、通信装置4が行うS101の処理によって特定されるので、このIPアドレスを通信装置4から通信装置3に送信することで、通信装置3はノード77のIPアドレスを取得することができる。これによって、第二区間と第三区間との境目のノードのIPアドレスもディスプレイ36に表示することができる。
【0108】
また、S107およびS114の処理において、それぞれ、一の通信経路についての通信品質を測定・取得していたが、これに限定されない。例えば、それぞれの処理において、複数の通信経路についての通信品質を測定・取得して、劣化区間を特定してもよい。
【0109】
通信品質表示361(図12、図15、および図18参照)において、種々の通信品質のうち、劣化している通信品質についての情報を表示していなかったが、これに限定されない。例えば、通信可能帯域が劣化している場合には「通信可能帯域が劣化中」等の表示をしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 通信システム
2 ネットワーク
3,4,5,6 通信装置
21 第一区間
22 第二区間
23 第三区間
36 ディスプレイ
52 劣化設定データテーブル
53 復帰設定データテーブル
54 劣化判断データテーブル
55 復帰判断データテーブル
71〜89 ノード
321 プログラム記憶領域
361 通信品質表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、自装置とは異なる通信装置である複数の他装置と接続される通信装置であって、
複数の前記他装置のうちの一の前記他装置である第一他装置と自装置との間の通信品質である第一通信品質を取得する第一取得手段と、
前記第一他装置が検出した、前記第一他装置以外の前記他装置である第二他装置と前記第一他装置との間の前記通信品質である第二通信品質を取得する第二取得手段と、
前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化している場合に、少なくとも前記第二取得手段によって取得された前記第二通信品質が劣化しているか否かを判断し、前記ネットワークにおける前記通信品質が劣化した区間である劣化区間を特定する劣化区間特定手段と
を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記劣化区間特定手段は、前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化し、且つ、前記第二取得手段によって取得された前記第二通信品質が劣化している場合に、前記第一他装置から分岐することなく接続されたノードと前記他装置とを含む前記ネットワーク上の区間である第二区間を、前記劣化区間として特定することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記第一他装置以外の一の前記他装置である第三他装置と自装置との間の前記通信品質である第三通信品質を取得する第三取得手段を備え、
前記劣化区間特定手段は、前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化し、且つ、前記第三取得手段によって取得された前記第三通信品質が劣化しておらず、且つ、前記第二取得手段によって取得された前記第二通信品質が劣化していない場合に、前記第一他装置から分岐することなく接続されたノードと前記他装置とを含む前記ネットワーク上の区間である第二区間と、自装置から分岐することなく接続されたノードと自装置とを含む前記ネットワーク上の区間である第一区間との間の区間である第三区間を、前記劣化区間として特定することを特徴とする請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記劣化区間特定手段は、前記第一取得手段によって取得された前記第一通信品質が劣化し、且つ、前記第三取得手段によって取得された前記第三通信品質が劣化している場合に、前記第一区間を前記劣化区間として特定することを特徴とする請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記第一他装置以外の前記他装置のうち、前記第三他装置をランダムに選択する第一選択手段を備え、
前記第三取得手段は、前記第一選択手段によって選択された前記第三他装置と自装置との間の前記第三通信品質を取得することを特徴とする請求項3または4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第一他装置以外の前記他装置のうち、前記第三他装置を、予め設定された基準に基づいて選択する第二選択手段を備え、
前記第三取得手段は、前記第二選択手段によって選択された前記第三他装置と自装置との間の前記第三通信品質を取得することを特徴とする請求項3から5のいずれかに記載の通信装置。
【請求項7】
前記第二取得手段は、前記第一他装置が検出した、一の前記第二他装置と前記第一他装置との間の前記第二通信品質を取得することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の通信装置。
【請求項8】
前記劣化区間特定手段によって特定された前記劣化区間を、画像を表示する表示手段に表示させる表示制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の通信装置。
【請求項9】
自装置から二以上の前記他装置に向かう前記ネットワーク上の経路に存在する前記ノードのIPアドレスをそれぞれの経路について取得するIPアドレス取得手段と、
前記IPアドレス取得手段によって取得された前記IPアドレスに基づいて、自装置から二以上の前記他装置に向かう経路が分岐する分岐点に存在するノードの前記IPアドレスを特定する分岐点特定手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の通信装置。
【請求項10】
前記通信品質は、パケットロス率、ジッタ、および通信可能帯域のうちの少なくとも1であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の通信装置。
【請求項11】
ネットワークを介して、自装置とは異なる通信装置である複数の他装置と接続される通信装置において実行される通信制御方法あって、
複数の前記他装置のうちの一の前記他装置である第一他装置と自装置との間の通信品質である第一通信品質を取得する第一取得ステップと、
前記第一他装置が検出した、前記第一他装置以外の前記他装置である第二他装置と前記第一他装置との間の前記通信品質である第二通信品質を取得する第二取得ステップと、
前記第一取得ステップによって取得された前記第一通信品質が劣化している場合に、少なくとも前記第二取得ステップによって取得された前記第二通信品質が劣化しているか否かを判断し、前記ネットワークにおける前記通信品質が劣化した区間である劣化区間を特定する劣化区間特定ステップと
を備えたことを特徴とする通信制御方法。
【請求項12】
ネットワークを介して、自装置とは異なる通信装置である複数の他装置と接続される通信装置において実行される通信制御プログラムあって、
通信装置のCPUに、
複数の前記他装置のうちの一の前記他装置である第一他装置と自装置との間の通信品質である第一通信品質を取得する第一取得ステップと、
前記第一他装置が検出した、前記第一他装置以外の前記他装置である第二他装置と前記第一他装置との間の前記通信品質である第二通信品質を取得する第二取得ステップと、
前記第一取得ステップによって取得された前記第一通信品質が劣化している場合に、少なくとも前記第二取得ステップによって取得された前記第二通信品質が劣化しているか否かを判断し、前記ネットワークにおける前記通信品質が劣化した区間である劣化区間を特定する劣化区間特定ステップと
を実行させることを特徴とする通信制御プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−34092(P2012−34092A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170550(P2010−170550)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】