説明

通信装置及びデバッグ方法

【課題】 デバッグのための専用回線を設けずに、かつ通信装置の通信機能を極力止めずに、デバッグを行うこと。
【解決手段】 ネットワーク50に接続される通信部30と、通信部30と少なくとも1つの通信経路によって接続されるCPU22と、通信部30と少なくとも1つの通信経路によって接続され、CPU22を試験するための試験制御部46と、を含む通信装置10において、通信部30は、ネットワーク50からの信号を受信する通信インターフェイス部42と、受信信号がCPU22の試験のための試験用信号であるか否かを判断するCPU32と、受信信号がCPU22の試験のための試験用信号であると判断される場合に試験制御部46に対して受信信号を出力し、該試験用信号でないと判断される場合にCPU22に対して受信信号を出力する第1経路選択部36と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信装置及びデバッグ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信装置のCPUのデバッグを行う場合、CPUにデバッグ用のコンピュータを接続して行うことが多い。この場合、デバッグ用コンピュータからCPUに対して試験用信号を入力し、CPUの該試験用信号に対する応答出力を確認することにより、デバッグを行う。
【0003】
しかし、通信装置は通信拠点に据え付けられている場合も多く、上述のようにデバッグ用コンピュータを接続して試験を行うためには、通信装置のある場所に出向く必要が生じる。このため、遠隔地からCPUに対してアクセスするための技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、遠隔地から被試験パソコンシステムに対するデバッグを行うことを可能にするシステムについて記載されている。
【特許文献1】特開平9−297724号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の方法では、通信サービスを継続提供するために通信機能を極力停止したくない商用通信装置をデバッグする場合、デバッグ用の別回線を用意しなければならず、デバッグのためのランニングコストが生じるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的の一つは、デバッグのための専用回線を設けずに、かつ通信装置の通信機能を極力止めずに、デバッグを行うことが可能な通信装置及びデバッグ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る通信装置は、通信ネットワークに接続される通信部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続される被試験部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続され、該被試験部を試験するための試験制御部と、を含む通信装置において、前記通信部は、前記通信ネットワークからの信号を受信する信号受信手段と、前記信号受信手段により受信した受信信号が前記試験用信号であるか否かを判断する判断手段と、前記受信信号が前記試験用信号であると判断される場合に前記試験制御部に対して前記受信信号を出力し、前記試験用信号でないと判断される場合に前記被試験部に対して前記受信信号を出力する信号出力手段と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
このようにすることにより、信号出力手段は受信される信号が試験用信号である場合と、試験用信号でない場合と、により該信号の出力先を変えることができるので、デバッグのための専用回線を設けずに、かつ通信装置の通信機能を極力止めずに、デバッグを行うことが可能となる。
【0008】
また、上記通信装置において、前記受信信号が前記被試験部の試験を開始することを示す情報を含む場合に、当該通信部と前記被試験部の間の第1通常通信経路を、当該通信部と前記試験制御部の間の第1試験用通信経路に切替える第1通信経路切替手段、をさらに含み、前記信号出力手段は、前記第1通信経路切替手段による通信経路の切替に連動して、前記受信信号を前記試験制御部に対して出力する、こととしてもよい。このようにすれば、通信経路を切替えて使用することにより、デバッグを行うことが可能となる。
【0009】
また、上記通信装置において、前記通信部は、第1通信経路切替手段により、前記第1通常通信経路が、前記第1試験用通信経路に切替えられた場合に、前記第1通常通信経路を終端する終端手段、をさらに含む、こととしてもよい。このようにすれば、被試験部において回線切断エラーとなることを防止できる。
【0010】
また、上記通信装置において、前記通信部は、前記被試験部及び前記試験制御部にそれぞれ対応付けた対応アドレス情報を記憶する記憶手段と、前記受信信号の送信先アドレス情報を取得するアドレス情報取得手段と、をさらに含み、前記信号出力手段は、前記受信信号の送信先アドレス情報が前記被試験部についての前記対応アドレス情報である場合に前記被試験部に対して前記受信信号を出力し、前記送信先アドレス情報が前記試験制御部についての前記対応アドレス情報である場合に前記試験制御部に対して前記受信信号を出力する、こととしてもよい。このようにすれば、アドレスに応じて受信される信号を振り分けることができる。
【0011】
また、上記通信装置において、前記通信部は、前記通信ネットワークを介して、他の通信装置と接続され、前記受信信号が前記他の通信装置の試験のための他試験用信号である場合に、前記通信ネットワークに対して、前記受信信号を送信する信号転送手段、をさらに含む、こととしてもよい。このようにすれば、ある通信装置から、遠隔地にある他の通信装置の試験をも行うことができるようになる。
【0012】
また、上記通信装置において、前記通信部は、前記受信信号が前記他試験用信号である場合に、前記通信ネットワークと前記被試験部の間の第2通常通信経路を、前記通信ネットワークと前記受信される信号の送信源の間の第2試験用通信経路に切替える第2通信経路切替手段、をさらに含み、前記信号転送手段は、前記第2通信経路切替手段による通信経路の切替に連動して、前記受信信号を前記通信ネットワークに対して、該信号を送信する、こととしてもよい。
【0013】
また、上記通信装置において、前記他の通信装置の試験のための試験用信号は、該他の通信装置の前記通信ネットワークにおけるアドレス情報を含み、前記信号転送手段は、該アドレス情報に基づいて、前記他試験用信号を送信する、こととしてもよい。
【0014】
また、上記通信装置において、前記通信装置は、さらに前記被試験部に対し所定の入力を行った場合に出力されるトレース信号を蓄積するトレース制御部を含み、前記信号出力手段は、前記受信される信号が、前記トレース制御部に蓄積される前記信号を取得することを示す情報を含む場合に、前記受信信号を前記トレース制御部に対して出力する、こととしてもよい。このようにすれば、試験制御部、トレース制御部、被試験部に対してそれぞれ信号を振り分けることができるようになる。
【0015】
また、上記通信装置において、前記通信部に対する電源の供給を行うための制御信号を、前記被試験部及び/又は前記通信部から出力することにより、前記通信部の入力電源部と前記通信部との間を接続する接続制御手段をさらに含む、こととしてもよい。このようにすれば、試験制御部から被試験部の電源をリセットした場合においても、通信部の電源をリセットしないようにできるので、試験を継続的に行うことができるようになる。
【0016】
また、本発明に係るデバッグ方法は、通信ネットワークに接続される通信部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続される被試験部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続され、該被試験部を試験するための試験制御部と、を含む通信装置をデバッグするデバッグ方法であって、前記通信ネットワークからの信号を受信する信号受信ステップと、前記通信部の受信した受信信号が前記被試験部の試験のための試験用信号であるか否かを判断する判断ステップと、前記受信信号が前記試験用信号であると判断される場合に前記試験制御部に対して前記受信信号を出力し、前記受信信号が前記試験用信号でないと判断される場合に前記被試験部に対して、前記受信信号を出力する信号出力ステップと、を含む、ことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
本発明の第1の実施形態における通信装置10の機能ブロック図を図1に示す。同図に示すように、通信装置10は、主装置20と、通信部30と、を含んで構成される。主装置20は、呼処理プロセッサとして使用されるCPU22、CPU22をリセットするためのリセット回路24、及び論理積回路26を含んで構成される。通信部30としては例えばモデムなどの通信インターフェイス用装置を使用することができ、CPU32、ダミーCPU34、第1経路選択部36、第3経路選択部40、通信インターフェイス部42、試験制御部46及びデバッグ情報蓄積部48を含んで構成される。
【0019】
通信インターフェイス部42はネットワーク50と接続される。該ネットワーク50は、例えば通信装置10が移動体通信システムで使用される基地局装置である場合においては、移動局装置と接続される無線網であってもよいし、交換機と接続される有線網であってもよい。また、通信装置10がクライアントサーバシステムにおけるサーバ装置である場合には、該ネットワーク50はインターネットであってもよい。なお、ネットワーク50が無線網である場合には、通信インターフェイス部42はベースバンド信号と無線信号とを相互変換するベースバンド処理部及びアンテナを含んで構成される。
【0020】
そして通信装置10は、CPU22を呼処理プロセッサ、通信部30をモデムなどの通信インターフェイス用装置として、ネットワーク50及びネットワーク50に接続する他の通信装置との通信を行うことができるよう、構成される。より具体的には、CPU22と、第1経路選択部36と、CPU32と、通信インターフェイス部42と、がこの順に接続され、通信信号をCPU22で処理することが可能になっている。
【0021】
試験制御部46は、被試験部としてのCPU22を試験するための試験用信号を制御する機能部であり、具体的には、JTAG(Joint Test Action Group)を使用することができる。JTAGとは、被試験デバイスのJTAG端子に対してテスト信号を入力し、その結果、出てきたシリアル信号を解析して、被試験デバイス上の部品が正しく実装されている(若しくは正しく動作している)かどうかをチェックする試験の規格である。
【0022】
また、ネットワーク50には試験装置60が接続される。該試験装置60は、通信インターフェイス部42を介してCPU22の試験を行うために設置される。
【0023】
試験装置60からCPU22の試験を行う際の、通信装置10における処理について、以下に説明する。まず、試験装置60は、ネットワーク50を介して、通信インターフェイス部42に対して試験を開始することを示す「STANDBYコマンド」信号を送信する。「STANDBYコマンド」信号を受信した通信インターフェイス部42は、CPU32に対して、該信号を出力する。CPU32では、該「STANDBYコマンド」信号に応じて、第1経路選択部36において選択される経路を決定し、第1経路選択部36に対し選択経路を指示するための経路指示信号を送信する。
【0024】
ここで、第1経路選択部36における具体的な処理について、図2乃至図4を参照しながら説明する。図2に示す場合(経路切替形態)においては、第1経路選択部36はパス制御部37−1と、スイッチ100と、を含む第1通信経路切替手段として構成される。パス制御部37−1は、CPU32から送信される経路指示信号に従い、スイッチ100の切替制御を行う。スイッチ100は、パス制御部37−1の制御に従い、端子100−Aと端子100−Bが接続される状態又は端子100−Aと端子100−Cが接続される状態のいずれかとなる。端子100−Aと端子100−Bが接続される状態では、通信インターフェイス部42で受信される信号は、CPU22に対して出力される。端子100−Aと端子100−Cが接続される状態では、通信インターフェイス部42で受信される信号は、試験制御部46に対して出力される。
【0025】
なお、CPU32とCPU22とを接続する通信経路は複数用意されていることもある。このような場合には、複数の通信経路のうちの少なくとも1つの経路について、試験制御部46に接続されるよう切替えることとしてもよい。この場合には、CPU32において、信号ごとに複数の通信経路のうちから該信号を出力する経路を選択し、該選択された経路に対して該信号を出力することとしてもよい。このようにすれば、切替えない通信経路については通信を継続することができる。
【0026】
ところで、図2の場合において、端子100−Aと端子100−Cが接続される状態では、CPU22とCPU32との間の経路については切断されることとなる。このため、CPU22においてCPU32に対して送信した信号の応答が返らなくなり、タイムアウトによるエラーとなってしまう。このため、図3に示すように、ダミーCPU34を使用して、切断されたCPU22とCPU32との間の経路を終端することが望ましい。具体的には、第3経路選択部40は、パス制御部37−1の指示に従い、切替動作を行うスイッチ102を含み、ダミーCPU34と第3経路選択部40とにより終端手段を構成する。パス制御部37−1は、スイッチ100において端子100−Aと端子100−Bが接続される状態となる場合には、スイッチ102において端子102−Aと端子102−Bが接続される状態とし、スイッチ100において端子100−Aと端子100−Cが接続される状態となる場合には、スイッチ102において端子102−Aと端子102−Cが接続される状態とする。このようにすることにより、CPU22とCPU32との間の経路が切断された場合には、CPU22とダミーCPU34とが接続され、ダミーCPU34においてCPU22からの信号に対してダミー応答を返すことができるようになるので、CPU22においてエラーが発生することを防止することができる。
【0027】
次に、図4に示す場合(信号振分形態)について説明する。図4においては、第1経路選択部36はパス制御部37−2を含んで構成される。パス制御部37−2は、CPU22、試験制御部46、デバッグ情報蓄積部48及びCPU32と接続される。そして、CPU32から出力される信号を、該信号の内容に応じてCPU22、試験制御部46、デバッグ情報蓄積部48のいずれかに出力する。もっとも、信号の内容に応じて経路を判断しているのはCPU32であり、CPU32から第1経路選択部36に対し出力される、信号ごとの選択経路を指示するための経路指示信号に従って、パス制御部37−2は信号の出力先を振り分けることとしてもよい。
【0028】
また、パス制御部37−2は、信号自体に含まれるアドレス情報に従って、信号の出力先を振り分けることとしてもよい。すなわち、信号には、CPU22、試験制御部46、デバッグ情報蓄積部48のいずれに出力されるべき信号であるかを示すアドレス情報が含まれており、該情報に従って信号の出力先を振り分けることができる。このアドレス情報は、具体的には各部に割り当てられたIPアドレスであってもよい。
【0029】
以上のようにして、第1経路選択部36は、CPU32から出力される信号を、CPU22、試験制御部46又はデバッグ情報蓄積部48のいずれかに出力する。以下、どのような信号をどの出力先に出力するかについて、JTAGの場合を例にとり、図5を参照しながら説明する。
【0030】
図5に示すように、JTAGでは、試験制御部46とCPU22との間で、nTRST、TMS、TCK、TDI、TDOの各試験用信号の送受信を行う。なお、JTAGを使用する場合には、試験されるCPU22においてもJTAGに対応している必要があり、JTAGに対応している場合には、ステートマシン(JTAGのテストアクセスポートコントローラ)を備えている。各信号の意味について、表1に示す。
【表1】

【0031】
信号振分形態では、CPU32は、通信インターフェイス部42において受信された信号が試験制御部46への試験用信号であるか否かを判断し、試験制御部46への試験用信号である場合には、パス制御部37−2において該信号を試験制御部46に対して出力する。一方、試験制御部46への試験用信号でない場合には、パス制御部37−2において該信号をCPU22に対して出力する。
【0032】
また、試験制御部46は試験装置60からの指示信号に従い、CPU22のリセット試験を行うことができる。具体的には、リセット回路24からのリセット信号(Lレベル)と試験制御部46からのリセット信号(Lレベル)の何れか一方が負論理の論理積回路26に入力された場合に、CPU22に対しリセット信号(Lレベル)が入力され、CPU22はリセット動作を行う。
【0033】
次に、デバッグ情報蓄積部48としてはETM(Embedded Trace Macrocell)を使用することができ、図5に示すように、トレース制御部49と、記憶部47と、を含んで構成される。トレース制御部49はCPU22、試験制御部46及び記憶部47と接続される。そしてトレース制御部49は、CPU22のパイプラインの実行状態を示す信号であるPIPE_STAT[2:0]及びその同期化のためのTRACE_CLK、パイプラインに関連する付加的な情報を含む信号であるTRACE_PKT[n−1:0]及びその同期化のためのTRACE_SYNC(以上の4信号をトレース情報と総称する)をCPU22から読み出して取得し、記憶部47に書き込むことにより記憶する。
【0034】
トレース制御部49は、試験制御部46から出力されるコントロール信号に従って動作する。ここで、該コントロール信号は試験装置60から送信されるものであり、図4に示す信号振分形態では、CPU32は、通信インターフェイス部42において受信された信号が該コントロール信号かであるか否かを判断し、コントロール信号であれば、パス制御部37−2において該信号をデバッグ情報蓄積部48に出力することとしてもよい。
【0035】
さらにトレース制御部49は、試験装置60から送信される「TRACEコマンド」信号に応じて、TRACEを開始するか否かを決定する。すなわちTRACE制御部49は、試験装置60から入力される「TRACEコマンド」信号に応じて、上記読み出しを開始することができる。そしてTRACE制御部49は、記憶部47に書き込まれたトレース情報を、試験装置60に対して送信する処理を行う。
【0036】
以上のようにして、第1の実施形態では、ネットワーク50から送信される信号に応じて信号の出力先をCPU32が判断手段として判断し、第1経路選択部36により該信号の出力先を変更することができる。より具体的には、経路を切替えることにより信号の出力先を切替えることもできるし(経路切替形態)、信号の内容に応じて出力先を振り分けることもできる(信号振分形態)。このようにすることにより、デバッグのための専用回線を設けずに、かつ通信装置の通信機能を極力止めずに、該通信装置のデバッグを行うことが可能となる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、第2の実施形態における通信装置10の機能ブロック図である。同図に示すように、通信装置10は、第1の実施形態に加え、第2経路選択部38及び試験用インターフェイス部44をさらに含んで構成される。第2の実施形態においては、試験装置60は、試験用インターフェイス部44に接続される。以下、第2の実施形態を特徴付ける第2経路選択部38及び試験用インターフェイス部44について説明する。
【0038】
第2経路選択部38の詳細な処理について、図7を参照しながら説明する。同図に示すように、第2経路選択部38はパス制御部39及びスイッチ104を含む第2通信経路切替手段として構成される。スイッチ104は、端子104−A乃至Fを含んでおり、端子104−Dと端子104−Fとは常時接続される。そしてパス制御部39の指示に従い切替動作を行う。
【0039】
この切替動作について説明する。まず、試験装置60は、試験用インターフェイス部44に対してモデムとして動作することを要求することを示す「MODEMコマンド」信号を送信する。「MODEMコマンド」信号を受信した試験用インターフェイス部44は、CPU32に対して、該信号を出力する。
【0040】
そして「MODEMコマンド」信号を受信したCPU32では、該「MODEMコマンド」信号に応じて、第2経路選択部38において選択される経路を決定し、第2経路選択部38に対し選択経路を指示するための経路指示信号を送信する。
【0041】
第2経路選択部38は、該経路指示信号に応じて、スイッチ104の切替動作を行う。具体的には、端子104−Aと端子104−Cを接続するとともに、端子104−Bと端子104−Eを接続するモード(通信モード)又は端子104−Aと端子104−Dを接続するとともに、端子104−Bと端子104−Fを接続するモード(試験用モデムモード)のいずれかとなるよう、切替動作を行う。
【0042】
試験用モデムモードにおいては、試験用インターフェイス部44に対して試験装置60から送信される信号は、通信インターフェイス部42を介してネットワーク50に送出される。そして、試験装置60から送信される信号には他の通信装置に含まれる試験対象CPUのアドレスを示す情報が含まれており、該情報に従って、ネットワーク50において該試験対象CPUまでルーティングされる。なお、該他の通信装置は、本発明の第1の実施形態における通信装置10であるとしてもよい。
【0043】
一方通信モードにおいては、通信装置10は、CPU22とネットワーク50との間での通信を行う。なお、通信装置10が複数の通信インターフェイス部42を備える場合には、該複数の通信インターフェイス部42のうちの少なくとも1つを試験用モデムモードに切替え、他を通信モードとしてもよい。
【0044】
以上のようにすることにより、ある通信装置10に接続された試験装置60から、他の通信装置のデバッグを行うことができるようになる。
【0045】
次に、本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態に係る通信装置10の電源系統について説明する。図8は、本発明に係る通信装置10のハードウェア構成図である。同図に示すように、通信装置10の主装置20は、CPU22、通信部電源制御部70、主装置用電源(レギュレーター)76、バッテリー80を含んで構成され、さらに通信部電源制御部70は、スイッチ72、論理和回路74を含んで構成される。また、通信部30は、CPU32及び通信部用電源(レギュレーター)78を含んで構成される。
【0046】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、上述のように、試験制御部46は試験装置60からの指示信号に従い、パワーオフシーケンスを実行させることも可能である。具体的には、スイッチ72に対してCPU22から供給される「PW_CNT_MAIN」がLOWとなることにより、CPU32への電源供給が切断される。しかしながらこのようにすると試験装置60と通信部30との接続も切断されてしまう。
【0047】
そこで通信装置10においては、パワーオフシーケンスを実行されても電源がOFFにならないようにするため、試験装置60と通信部30との接続が切断されないようにしている。具体的には、CPU22だけでなくCPU32からもスイッチ72の制御を行うための「PW_CNT_MODULE」を入力することとし、論理和回路74を設け、「PW_CNT_MAIN」又は「PW_CNT_MODULE」のいずれかがHIGHレベルである場合にスイッチ72を接続し、「PW_CNT_MAIN」及び「PW_CNT_MODULE」がLOWレベルである場合に、スイッチ72を解放することとしている。
【0048】
そして、「PW_CNT_MODULE」は、CPU32において試験装置60から「JTAG_SYSTEM_UPコマンド」信号が入力された場合に、HIGHであるように構成される。このようにすることにより、試験中以外の状態では、「PW_CNT_MODULE」はLOWレベルとなることにより、CPU22の指示(「PW_CNT_MAIN」をLOWにする)に従いスイッチ72を解放し、試験中の状態では、「PW_CNT_MODULE」はHIGHレベルとなることにより、CPU22の指示に依らず、スイッチ72を制御することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施の形態に係る通信装置の機能ブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る第1経路選択部の機能ブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る第1経路選択部及び第3経路選択部の機能ブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る第1経路選択部の機能ブロック図である。
【図5】本実施の形態に係る試験用信号を説明するための図である。
【図6】本実施の形態に係る通信装置の機能ブロック図である。
【図7】本実施の形態に係る第2経路選択部の機能ブロック図である。
【図8】本実施の形態に係る通信装置のハードウェア構成図である。
【符号の説明】
【0050】
10 通信装置、20 主装置、22,32 CPU、24 リセット回路、26 論理積回路、30 通信部、34 ダミーCPU、36 第1経路選択部、37,39 パス制御部、38 第2経路選択部、40 第3経路選択部、42 通信インターフェイス部、44 試験用インターフェイス部、46 試験制御部、47 記憶部、48 デバッグ情報蓄積部、49 トレース制御部、50 ネットワーク、60 試験装置、70 通信部電源制御部、72 スイッチ、74 論理和回路、76 主装置用電源(レギュレーター)、78 通信部用電源(レギュレーター)、80 バッテリー、100,102,104 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークに接続される通信部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続される被試験部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続され、該被試験部を試験するための試験制御部と、を含む通信装置において、
前記通信部は、
前記通信ネットワークからの信号を受信する信号受信手段と、
前記信号受信手段により受信した受信信号が前記被試験部の試験のための試験用信号であるか否かを判断する判断手段と、
前記受信信号が前記試験用信号であると判断される場合に前記試験制御部に対して前記受信信号を出力し、前記受信信号が前記試験用信号でないと判断される場合に前記被試験部に対して前記受信信号を出力する信号出力手段と、
を含む、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置において、
前記通信部は、
前記受信信号が前記被試験部の試験を開始することを示す情報を含む場合に、当該通信部と前記被試験部の間の第1通常通信経路を、当該通信部と前記試験制御部の間の第1試験用通信経路に切替える第1通信経路切替手段、
をさらに含み、
前記信号出力手段は、前記第1通信経路切替手段による通信経路の切替に連動して、前記受信信号を前記試験制御部に対して出力する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置において、
前記通信部は、
前記第1通信経路切替手段により、前記第1通常通信経路が、前記第1試験用通信経路に切替えられた場合に、前記第1通常通信経路を終端する終端手段、
をさらに含む、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の通信装置において、
前記通信部は、
前記被試験部及び前記試験制御部にそれぞれ対応付けた対応アドレス情報を記憶する記憶手段と、
前記受信信号の送信先アドレス情報を取得するアドレス情報取得手段と、
をさらに含み、
前記信号出力手段は、前記送信先アドレス情報が前記被試験部についての前記対応アドレス情報である場合に前記被試験部に対して前記受信信号を出力し、前記送信先アドレス情報が前記試験制御部についての前記対応アドレス情報である場合に前記試験制御部に対して前記受信信号を出力する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の通信装置において、
前記通信部は、
前記通信ネットワークを介して、他の通信装置と接続され、
前記受信信号が前記他の通信装置の試験のための他試験用信号である場合に、前記通信ネットワークに対して、前記受信信号を送信する信号転送手段、
をさらに含む、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通信装置において、
前記通信部は、
前記受信信号が前記他試験用信号である場合に、前記通信ネットワークと前記被試験部の間の第2通常通信経路を、前記通信ネットワークと前記受信信号の送信源の間の第2試験用通信経路に切替える第2通信経路切替手段、
をさらに含み、
前記信号転送手段は、前記第2通信経路切替手段による通信経路の切替に連動して、前記受信信号を前記通信ネットワークに対して送信する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の通信装置において、
前記他試験用信号は、該他の通信装置の前記通信ネットワークにおけるアドレス情報を含み、
前記信号転送手段は、該アドレス情報に基づいて、前記他試験用信号を送信する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の通信装置において、
前記通信装置は、さらに前記被試験部に対し所定の入力を行った場合に出力されるトレース信号を蓄積するトレース制御部を含み、
前記信号出力手段は、前記受信される信号が、前記トレース制御部に蓄積される前記信号を取得することを示す情報を含む場合に、前記受信信号を前記トレース制御部に対して出力する、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載の通信装置において、
前記通信部に対する電源の供給を行うための制御信号を、前記被試験部及び/又は前記通信部から出力することにより、前記通信部の入力電源部と前記通信部との間を接続する接続制御手段をさらに含む、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項10】
通信ネットワークに接続される通信部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続される被試験部と、該通信部と少なくとも1つの通信経路によって接続され、該被試験部を試験するための試験制御部と、を含む通信装置をデバッグするデバッグ方法であって、
前記通信部において、
前記通信ネットワークからの信号を受信する信号受信ステップと、
前記通信部の受信した受信信号が前記被試験部の試験のための試験用信号であるか否かを判断する判断ステップと、
前記受信信号が前記試験用信号であると判断される場合に前記試験制御部に対して前記受信信号を出力し、前記受信信号が前記試験用信号でないと判断される場合に前記被試験部に対して前記受信信号を出力する信号出力ステップと、
を含む、
ことを特徴とするデバッグ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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