説明

通信装置及び通信装置の制御方法

【課題】復調処理及びネットワーク処理を可能とし、かつ回路規模の増大を抑制することができる通信装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】通信装置101は、複数チャンネルに対応するソフト無線機能を有する通信装置であり、2以上の異なる規格及び/又は異なるチャネルの受信データの復調処理を行うデモジュレーション回路と、ネットワークプロトコル処理含むネットワーク処理を行うNW−DSP回路12とを有している。そして、デモジュレーション回路及びNW−DSP回路12は、ソフトウェアによりそれぞれ復調処理及びネットワーク処理を行う機能を有し、復調処理におけるデコード処理とネットワーク処理におけるデコード処理とを、ネットワーク処理に適したDSP機能を有するハードウェアであるNW−DSP回路12を時分割で使用して実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェア無線機能を有する通信装置及び通信装置の制御方法に関し、特に、マルチチャンネルやマルチスタンダードに対応した通信装置及び通信装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DTV(ital television)・STB(Set-Top Box)放送用デモジュレータは、ハードウェアによる回路構成で実現されていた。しかしW/W(ワールドワイド)の放送方式は地域によって異なる方式を採用しているため、それぞれ異なるハードウェアを搭載しなければならなかった。これをマルチスタンダード化と呼ぶ。
【0003】
また、DTV・STB放送は複数の放送チャンネルを同時に受信し、複数番組の視聴や録画に対応する需要が高まっているため、ハードウェアによる回路構成をいくつも並列に搭載しなければならなかった。これをマルチチャンネル化と呼ぶ。
【0004】
このように、近時、無線通信方式が多様化し、周波数及び変調方式等が異なる多くの無線通信機器が混在しているため、複数の無線通信方式に対応する無線通信機器は非常に実用的である。実際に、複数の無線通信方式に対応したマルチモード端末が開発されている。
【0005】
ところで、上述のように、無線通信の実用化以来、無線通信機器の多くの機能はハードウェアにより実現されてきた。しかしながら、ハードウェアにこのような機能を実現するためには、その無線通信方式と同じ数の電子回路が必要になり、小型化やコスト面等の点で問題が生ずる場合がある。
【0006】
これに対し、従来のハードウェアに代わってソフトウェアによってさまざまな無線通信方式を実現できるならば、煩雑な作業を伴わずに簡単に新たな機能を追加したり、機能を変更することができるという利点がある。そこで、マルチスタンダード化の実現のため、従来は全てハードウェアにより実現していた無線通信機器の機能の一部を、ソフトウェアに置き換えたソフトウェア無線技術が提案されている。
【0007】
ソフトウェア無線機の機能としては、
マルチバンド、マルチモード、及びマルチプロトコルの無線
多様な変調方式に対応できるプログラマブル復調機能を有する
多様な符号化方式に対応できるプログラマブル復号機能を有する
プログラマブルな周波数変換機能を備えていて、しかもIF帯域幅を柔軟に変更できる(可能なら実行時に任意の特性フィルタを実現することができる)
プログラムダウンロード機能を有し、容易に無線機能を変更できる
などが考えられている。
【0008】
そして、近年、ソフトウェア無線を実現するためのDSP(Digital signal processor)による回路の提案がなされている。DSPはプログラムのメモリを入れ替えることで、放送方式のアルゴリズムやデータ処理方法等を変更することができる。
【0009】
また、DSPを用いることで、マルチチャンネル化の実現のために処理クロックを高速化し、メモリ容量を増加させるだけで複数チャンネルの処理を共通のハードウェアで行うことができる。
【0010】
さらに、BluetoothやZigbeeといった近距離の無線通信からIEEE 802.11a/b/g/nの無線LAN、HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)やWCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、LTE(Long Term Evolution:ロング・ターム・エボリューション)、DTV(Digital Television:ディジタルテレビ)及びCS-PCM音声放送・衛星ディジタル音声放送・CSディジタル音声放送・BSディジタル音声放送(BSデジタルラジオ)・地上ディジタル音声放送(地上デジタルラジオ)等のディジタルラジオを含むディジタル放送、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)といった長距離の無線通信まで含めて、1チップで対応することも不可能ではない。
【0011】
なお、例えば、地上波テレビを見ながらメールを使う、など同時に複数の無線規格を用いる用途もあるため、実際の実装では複数チップを搭載することになる可能性もある。
【0012】
従来のソフトウェア無線機に関する技術としては、例えば下記特許文献1乃至6等が公知である。特許文献1には、処理能力の向上と、コストの抑制、ハードウェア規模の小型化を同時に実現することに加え、消費電力の極端な増加やデバイスの発熱量の増加を抑制することを目的とするソフトウェア無線機が開示されている。
【0013】
また、特許文献2には、信号処理デバイスのリソース管理を的確かつ効率的に行うことを目的とした無線通信装置が開示されている。当該無線通信装置は、複数の無線通信システムに適用可能な無線通信装置において、無線信号の送受信を行うように構成された無線送受信デバイスと、機能が定義されたリソースを含み、該リソースは少なくとも1つのモデム機能及びプロトコル機能を司り、該リソースによって送受信に伴い必要な信号処理を行うように構成された信号処理デバイスと、無線通信システムにそれぞれ対応した他のモデム機能及びプロトコル機能をリソースに再定義すべく信号処理デバイスに供給するコントローラとを有する。
【0014】
さらに、特許文献3には、信号符号/復号部の有効利用を可能として、信号処理リソースの無駄をなくすことを目的とした基地局装置が開示されている。
【0015】
さらにまた、特許文献4には、インターリーブの処理用パターンを遅延させ、デインターリーブにも用いメモリへのアクセス回数を少なくし、復号化時間の短縮を図った通信システム及び通信方法が開示されている。
【0016】
また、特許文献5には、無線信号を多重アンテナによって受信し、復調して送信されたシンボルの観察を生成し、各観察を対応したアンテナのチャンネル応答特性の複素共役で加重し、加重された観察を結合して結合された観察を形成し、送信されたシンボルコンステレーションのサブセットに基づいたソフトデマッピングルールにしたがって、結合された観察に対するその送信されたシンボルを示す1以上のソフト決定ビットを発生するステップを含んでいる、受信ダイバーシティによる無線システム内の共同等化に関する方法が開示されている。
【0017】
さらに、特許文献6には、中央制御信号処理装置及びプログラマブル信号処理装置、無線通信ボードからソフトウェア無線機を構成し、中央制御信号処理装置には複数のCPUを、プログラマブル信号処理装置には複数のFPGA群をそれぞれ備え、加えてプログラマブル信号処理装置に画像信号処理装置を接続し、それぞれ一方のCPU、FPGAにより無線通信を行う一方で、他方で異なる無線通信システムとの接続を行うと共に、ディジタル放送の受信を可能とするディジタル放送対応型ソフトウェア無線機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−208961号公報
【特許文献2】特開2002−335186号公報
【特許文献3】特開2005−318135号公報
【特許文献4】特許第3634225号公報
【特許文献5】特表2005−514864号公報
【特許文献6】特開2007−129490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上述のソフトウェア無線機を構成するためのデモジュレータを搭載したLSIを製造する場合、ソフトウェア構成であっても、マルチチャンネルの実現には多くのハードウェア資源を要する。つまり、回路規模を増大することなく、複数の放送チャンネルを処理できるよう多機能化するには、周波数を上げる必要があり、消費電力及びコストが大きくなる。これを避けるためには、やはり多くのハードウェア資源が必要となる一方で、常にマルチチャンネルで使用するとも限らないという構成上の課題がある。
【0020】
ところで、このようなLSIを搭載した通信装置で、イーサネット(登録商標)やUSB等のネットワーク接続からのデータを処理するためには、ネットワーク処理機能を搭載する必要がある。つまり、このようなLSIにおいては、ネットワーク接続によるビデオストリーミングデータ等を再生するために、ネットワークプロトコル処理、IPsec(Security Architecture for Internet Protocol:アイピーセック)などの暗号復号処理を高速に処理するエンジンが必要となる。
【0021】
通常、このような両機能を搭載したアプリケーションプロセッサ用LSIやマルチメディア処理用LSIにおいては、デモジュレーション処理部と、ネットワーク処理部とは異なるハードウェアで構成されている。これは、デモジュレータでマルチチャンネル化を要しない条件では、それぞれの処理部が同時に動作する必要があり、ハードウェアは別々に必要となるためである。さらに、ネットワーク処理では、セキュアデータを扱うという特殊性により、その機能を他の機能と一体化することが難しいという側面もある。
【0022】
ところで、このネットワーク処理における復号処理では、プロトコルによって異なる方式に対応する必要があり、それぞれ異なるハードウェアを搭載する必要がある。よって、デモジュレータと同様に処理能力を高めるには、多くのハードウェア資源を必要とするという課題がある。
【0023】
このように、デモジュレータのマルチチャンネルを実現し、デモジュレーション処理及びネットワーク処理の何れの処理能力も高めるには、更に多くのハードウェア資源を要することとなる。このような背景のもと、ソフトウェア無線処理部とネットワーク処理部を搭載したアプリケーションプロセッサ用LSIやマルチメディア処理用LSI等においては、現在、多機能化しつつ、ハードウェア資源の増大を抑制したいという要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明に係る通信装置は、複数チャンネルに対応するソフト無線機能を有する通信装置であって、2以上の異なる規格及び/又は異なるチャネルの受信データの復調処理を行うデモジュレーション回路と、ネットワークプロトコル処理含むネットワーク処理を行うネットワーク処理回路とを有し、前記デモジュレーション回路及び前記ネットワーク処理回路は、ソフトウェアによりそれぞれ復調処理及びネットワーク処理を行う機能を有し、ネットワーク処理に適したDSP(Digital signal processor)機能を有するハードウェアを時分割で使用し、前記復調処理におけるデコード処理及び前記ネットワーク処理におけるデコード処理を実施するものである。
【0025】
ここで、本明細書においては、復調処理をデモジュレーション回路とデコード回路とで行うこととしている。デモジュレーション回路とは、受信データから得られたベースバンド信号をディジタル信号処理する回路であり、例えば受信サーチ、チャネル推定、イコライザ処理、FFT(Discrete Fourier Transform:高速フーリエ変換)処理、フィルタ処理、デマッピング等の処理が実施される。また、デコード回路とは、前述のディジタル処理が終了した信号の誤り訂正を行う回路であり、例えば、デインターリーブ、ビタビ・リードソロモン等の誤り訂正(Forward Error Correction:前方誤り訂正)処理、及びデパンクチャ等の処理が実施される。
【0026】
ただし、本発明においては、復調処理を前段と後段とに分けて考え、後段の誤り訂正処理と、ネットワーク処理とを同一のハードウェア(DSP)により時分割して処理する点が特長であって、復調処理のデモジュレーション処理とデコード処理との切り分け方をポイントとするものではない。すなわち、装置の有する機能等に応じてその切り分け方は異なってもよいことは言うまでもない。例えば、イコライザにより振幅等化及び位相等化されたOFDM周波数領域信号を、その変調方式に応じてデマッピングし、データを復号する等の処理を実施するデマッピング処理は、デコード回路で行ってもよい。
【0027】
本発明に係る通信装置の制御方法は、2以上の異なる規格及び/又は異なるチャネルの受信データの復調処理を行うデモジュレーション回路と、ネットワークプロトコル処理を含むネットワーク処理を行うネットワーク処理回路とを有し、複数チャンネルに対応するソフト無線機能を有する通信装置の制御方法であって、前記デモジュレーション回路及び前記ネットワーク処理回路は、ソフトウェアによりそれぞれ復調処理及びネットワーク処理を行う機能を有し、ネットワーク処理に適したDSP(Digital signal processor)機能を有するハードウェアを時分割で使用し、前記復調処理におけるデコード処理及び前記ネットワーク処理におけるデコード処理を実施するものである。
【0028】
本発明においては、復調処理におけるデコード処理とネットワーク処理におけるデコード処理とをハードウェアを時分割で使用して実施する。つまり、復調処理とネットワーク処理は、同時に実施されないことが多いため、両者のデコード処理において、一方が使用していないときに他方が使用することにより、ハードウェア資源の使用効率を上げ、その増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、復調処理及びネットワーク処理を可能とし、かつ回路規模の増大を抑制することができる通信装置及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】発明の参考例にかかる通信機を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる通信装置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる通信装置におけるデモジュレータとしての復調動作モードを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる通信装置におけるデモジュレータとしてのデコード動作モードを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1にかかる通信装置におけるデモジュレータのストレージ再生動作モードを示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態にかかる通信装置を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態にかかる通信装置を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態にかかる通信装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、複数チャンネルに対応するDSP構成のデモジュレータエンジンと、DSP構成のネットワーク処理エンジンとを有する通信装置に適用したものである。この通信装置においては、デモジュレータエンジンから復号機能を分離した構成とし、デモジュレーション処理におけるデコード処理をネットワーク処理エンジンで行う。これにより、ハードウェア資源を削減し、さらに処理効率を最適化して消費電力を削減することができる。
【0032】
すなわち、本願発明者は、デモジュレータを構成する機能のうち復号機能は、ビット単位やバイト単位のストリームデータ処理における複雑なアルゴリズムを処理する機能であること、及びネットワーク処理に必要なパケット処理や暗号復号処理をする機能と近いことから、復調処理及びネットワーク処理の両処理におけるデコード処理において、ハードウェア資源を共通に使用できることを見出した。
【0033】
ここで、デモジュレータをマルチチャンネル化しても、視聴のために再生する場合はその全てをリアルタイム再生する必要がなく、その多くはメモリに記録することで、所望の時間に個々に再生できればよい。また、メモリに記録するデータを暗号化されたままのデータとすれば、マルチチャンネルの受信データのそれぞれに重い暗号復号処理を実施する必要がない。したがって、復調処理及びネットワーク処理におけるデコード処理についてDSP機能を有するハードウェアを共通とし、時分割で使用しても性能が不足することがない。すなわち、再生は、所望の時間に個々に行えばよいので、暗号復号処理を行う際にはデモジュレータの復号処理で使用したハードウェア資源を活用することができることを見出した。
【0034】
先ず、本発明の理解を容易とするため、デモジュレータ機能とネットワーク処理機能とを搭載したシステム構成について説明しておく。図1は、本発明の参考例にかかる通信機を示すブロック図である。図1に示すように、通信装置1は、アンテナ2、RF(Radio Frequency)チューナ3、アナログディジタル変換器(ADC(Analog-to-Digital Converter)4、ODFM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)復調部5、バススイッチ6、ネットワーク処理(TS DEMUX処理、ネットワークプロトコル処理、暗号復号処理)部(以下、単にネットワーク処理部という。)7、ビデオデコーダ8a、オーディオデコーダ8b及びデータデコーダ8cを有する。
【0035】
この通信装置1においては、屋外に配置されたアンテナ2により、例えば、BS(放送衛星)から送られてくる、ISDB((Integrated Services Digital Broadcasting、統合ディジタル放送サービス))−T(Terrestrial)方式のディジタル放送波を受信する。アンテナ2は、一般に周波数変換器を備え、受信/周波数変換した信号をRFチューナ3に出力する。
【0036】
RFチューナ3では、物理チャンネルが選択され、信号を増幅してベースバンド信号を出力する。そして、ADC4でアナログ信号をディジタルベースバンド信号に変換する。次に、ODFM復調部5にてベースバンド信号を復調してトランスポート・ストリーム信号を生成し、後段へ出力する。以上の構成は、一般的なISDB−T受信機と同様の構成である。
【0037】
一方、イーサネット(登録商標)やUSB接続からのストリームデータは、ネットワーク処理部7に入力される。バススイッチ6は、ODFM復調部5からのストリームデータ出力バス及びネットワーク接続により入力されるストリームデータ入力バスのいずれかを、ネットワーク処理部7の入力バスに接続するためのバスの切換えを行うものである。このバススイッチ6のスイッチングにより、ODFM復調部5からのストリームデータと、ネットワーク接続により入力されるストリームデータとのいずれか一方がネットワーク処理部7に入力される。
【0038】
ネットワーク処理部7は、ネットワークプロトコル処理を含むネットワーク処理を行う。具体的には、ネットワーク接続からのデコード処理を行った後、MPEG2(Moving Picture Experts Group2)のビデオストリーム、オーディオストリーム、及びPSI/SI(Program Specific Information/Service Information)等のデータストリーム分離するデマックス処理を行って、それぞれビデオデコーダ8a、オーディオデコーダ8b及びデータデコーダ8cに出力する。同じく、ODFM復調部5から出力されたトランスポート・ストリームのデマックス処理を行って、それぞれビデオデコーダ8a、オーディオデコーダ8b及びデータデコーダ8cに出力する。ネットワーク処理部7はまた、様々な通信方式に共通なパケットデータ処理、及び暗号化されたデータの復号化を行う暗号復号処理等も実施する。
【0039】
ビデオデコーダ8a、オーディオデコーダ8b及びデータデコーダ8cでは、これらのデータがデコードされ、それぞれ映像データ、音声データ、番組名、番組開始時刻、番組継続時間、番組内容情報、及び番組ジャンル情報等を含む文字データにデコードされ、出力される。
【0040】
更に、この後段には、図示せぬ表示系装置が配置される。当該表示系装置は、映像データを受け取ってD/A変換を行い、例えばNTSCコンポジット信号に変換したり、音声データを受け取ってD/A変換を行い、例えば右(R)音のアナログ信号及び左(L)音のアナログ信号を生成したりして、更に後段に配置されるディスプレイやスピーカーから出力される。
【0041】
ここで、ODFM復調部5は、例えば同期処理部5a、検波処理部5b及び誤り訂正処理部5cを有する。同期処理部5aは、ディジタル変換された信号の直交復調を行う。検波処理部5bは、受信信号に含まれるSP(Scattered Pilot)情報から伝送路特性を推定して同期検波処理を行う。誤り訂正処理部5cは、各階層で使用されている伝送パラメータを示す制御信号TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)を復号し、この復号結果と、検波処理部52における検波結果に基づき、ビタビ復号、リードソロモン復号等の誤り訂正処理を実施し、TSストリームを出力する。ここで、本明細書においては、ODFM復調部5で実施される処理全体を復調処理といい、復調処理のうち、同期処理部5a及び検波処理部5bで実施される処理、すなわち、誤り訂正処理以外の処理をデモジュレーション処理といい、誤り訂正処理部5cで実施される誤り訂正処理を復調処理におけるデコード処理ということとする。
【0042】
この参照例にかかる通信装置は、一般的なディジタル放送用受信機能と、ネットワーク処理機能とを有する通信装置の構成を示しているが、バススイッチ6を設けず、無線データと、ネットワークデータとを別々に処理する回路を設ける構成とすることも可能である。以下に説明する実施の形態において、デモジュレーション処理はODFM復調部5での処理に相当し、ネットワーク処理はネットワーク処理部7での処理に相当する。以下、このようなソフトウェア無線機能及びネットワーク処理機能付き通信装置の各実施の形態について説明する。
【0043】
本発明の実施の形態1.
図2は、本発明の実施の形態1にかかる通信装置を示す図である。通信装置101は、BB−DSP回路11、NW−DSP回路12、MEM−DSP回路13、第1バススイッチ15、及び第2バススイッチ16を有する。BB−DSP回路11、NW−DSP回路12、MEM−DSP回路13は、それぞれ第1、第2、第3のDSPに相当し、DSP回路で構成される。
【0044】
BB−DSP回路11は、ADC4から出力されたベースバンド信号(以下、RFデータという。)が入力される回路で、N(Nは1以上の自然数)個のストリームデータ入力部を有し、複数の無線規格、複数のチャンネルからのデータ処理に対応したものとなっている。このBB−DSP回路11は、RFデータ51〜5Nに対し、復調処理のうち、デインターリーブ処理及び誤り訂正処理(デコード処理)以外の処理(デモジュレーション処理)を行うDSPである。具体的には、ディジタル変換された信号の直交復調を行ったり、受信信号に含まれるSP(Scattered Pilot)情報から伝送路特性を推定して同期検波処理を行ったりする。こうして、デコード処理の前段階の処理が終了するとストリーム出力から出力され、第1バススイッチ15、MEM−DSP回路13、及び第2バススイッチ16を介してNW−DSP回路12に入力される。ここでBB−DSP回路11は、2以上の規格、チャンネルのデータを取り扱うことが可能となっており、それぞれDEM(1)〜DEM(N)で処理される。
【0045】
NW−DSP回路12は、ネットワークに接続することで得られるデータ(以下、NWデータという。)が入力され、NW力データ71〜7Mに対し、ネットワーク処理を行うネットワーク処理エンジンとして機能する。ネットワーク処理とは、USBパケット処理及びMACフレーム (Media Access Control Frame)処理(以下、まとめてパケット処理という。)、並びに暗号復号処理等であり、従来と同様の機能である。ネットワークを介して入力されるデータは通常暗号化されており、暗号復号処理部で復号化する。これらの処理は、NW−DSP回路12のDEC(1)〜DEC(M)で処理される(図示せず)。この際、必要に応じて外部メモリ21が使用される。
【0046】
デコード後のデータは、DEMUXにおいて、ビデオデータやオーディオデータに分離され、第1バススイッチ15が、NW−DSP回路12のストリーム出力Zとストリーム出力バスWとを接続することで、デコード後のデータが後段のデコーダに送られる。
【0047】
また、本実施の形態にかかるNW−DSP回路12は、BB−DSP回路11において、検波・同期処理等がなされたデータが第1バススイッチ15、及び第2バススイッチ16を介して入力され、復調処理における誤り訂正等のデコード処理をも実行する。すなわち、本実施の形態の通信装置101においては、NW−DSP回路12というネットワーク処理に適したDSP機能を有するハードウェアを時分割で使用して、RFデータの復調処理におけるデコード処理とネットワーク処理におけるデコード処理とを実施することで、両デコード処理は、共有のハードウェアを使用することができる。
【0048】
このネットワーク処理に適したDSPとは、ビットデータやバイトデータのような単位が細かいデータの並べ替え等の処理が得意で、パケットデータに対する解析、ビット処理、バイト処理、ディスパッチ処理(分配)、及び暗号化されたデータの復号処理等に適したDSPを指す。
【0049】
本明細書においては、上述したように復調処理をデモジュレーション処理(イコライザ処理、FFT処理、フィルタ処理等)とデコード処理(誤り訂正、FEC処理など)とに分割して処理する。復調処理のデコード処理は、ネットワーク処理同様に、ビットデータやバイトデータのような単位細かいデータの並べ替え等の処理であり、ネットワーク処理と信号処理方法が類似するため、ネットワーク処理に適したNW−DSP回路12により、復調処理のデコード処理も実施することができる。なお、復調処理のデモジュレーション処理を実施するDSPは、乗算等を行う、デジタルフィルタ処理、イコライザ処理等に適したものであって、復調処理のデコード処理とは、数学的には異なる分野の信号処理を実施する。復調処理におけるデコード処理においても、必要に応じて外部メモリ21が使用される。BB−DSP回路11及びNW−DSP回路12によりデモジュレータエンジンを構成する。
【0050】
デコード後のデータは、ネットワーク処理と同様に、DEMUXにおいて、ビデオデータやオーディオデータに分離され、第1バススイッチ15がNW−DSP回路12のストリーム出力バスZと後段への出力バスWとを接続することで、分離後のストリームが後段のデコーダに送られる。
【0051】
NW−DSP回路12では、デマックス部DEMU以外の演算資源を、ネットワーク処理の実行時には、例えばM種類のNWデータを処理するためのデコーダDEC(1)〜DEC(M)に割り当て、デモジュレーション処理の実行時には、例えばN種類のRFデータを処理するためのデコーダDEC(1)〜(N)に割り当てることで、両デコード処理を実施するものとする。
【0052】
MEM−DSP回路13は、復調処理のデコード処理であるデインターリーブ処理及び誤り訂正処理に必要なメモリアドレッシング機能、ネットワーク処理のパケット処理及び暗号復号処理に必要なメモリアドレッシング機能等を有する。すなわち、本実施の形態にかかる通信装置101においては、デモジュレータエンジン及びネットワーク処理エンジンとは別個の専用のメモリ用DSPエンジンを有し、デモジュレータエンジン及びネットワーク処理エンジンのそれぞれのデコード処理で必要となる外部メモリ21を共有する。すなわち、本実施の形態においては、外部メモリ21は、デモジュレータエンジン及びネットワーク処理エンジンが共通に使用する共有メモリである。さらに、このMEM−DSP回路13は、両デコード処理で必要となるメモリアドレッシング機能に加え、デコード後のデータを保護するセキュアメモリ保護機能を有している。
【0053】
すなわち、外部メモリ21は、この外部メモリ21を使用する回路から自由にアクセスできる領域と、デコード後のデータを格納するセキュアな領域とを有している。このセキュアな領域は、他の回路から自由にアクセスできる領域とは別に設けられる領域であり、他の回路からのアクセスができない領域となっている。このような領域を設けることで、デコード後のデータを安全に保護することができる。
【0054】
このように、暗号復号後のデータも共通の外部メモリ21で扱うためは、セキュアメモリ保護機能を有するメモリ制御が必要である。更に、本実施の形態においては、デモジュレータの復号処理、ネットワーク処理、暗号復号処理のそれぞれに対応するため、プログラマビリティの高いメモリ制御機能が必要となる。よって、DSP構成のメモリエンジンとしてMEM−DSP回路13を配置する。これにより外部メモリ21とそのメモリ制御を含めたハードウェア資源を共通化することができる。
【0055】
なお、外部メモリ21は、図2に示す回路を搭載したLSIの外に配置されるメモリであってもよいが、当該LSI内に配置してもよいことはいうまでもない。また、外部メモリ21を、復調処理におけるデコード処理に使用する資源と、ネットワーク処理におけるデコード処理とで共有するものとして説明しているが、個別に設けてもよい。例えは、復調処理のデコーダは、DDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)等を外部メモリとして使用することができる。
【0056】
第1バススイッチ15は、BB−DSP回路11及びNW−DSP回路12の出力データバスと、MEM−DSP回路13への入力データバス又は後段の処理部(図示せず)への入力データバスとを接続し、NW−DSP回路12での処理が終了したデータを後段の処理部に入力し、その他のデータは、MEM−DSP回路13に入力するようバスを切り替えるスイッチである。
【0057】
第2バススイッチ16は、NW入力データバス及びMEM−DSP回路13の出力データバスと、NW−DSP回路12への入力データバスとを接続し、NW入力データ又はMEM−DSP回路13の出力データのいずれかをNW−DSP回路12に入力するようバスを切り替える。
【0058】
ここで、図2において、第1バススイッチ15からMEM−DSP回路13への太線、MEM−DSP回路13から第2バススイッチ16への太線は、外部メモリ21に対する書き込み用、読み出し用のデータバスを示す。また、MEM−DSP回路13から第1バススイッチ15及び第2バススイッチ16への細線は、外部メモリ21に対する書き込み、読み出しをする際にいずれのバスからのデータを選択するのかを決めるための制御信号を示している。なお、後述する図6乃至図8についても同様である。
【0059】
次に、複数チャンネルのデモジュレータの録画動作を例にとって、本実施の形態にかかる通信装置の動作について説明する。図3は、デモジュレータとしての復調動作モードを示す図である。上述したように、デモジュレータの復調処理では、BB−DSP回路11が、ディジタル変換された信号の直交復調を行ったり、受信信号に含まれるSP情報から伝送路特性を推定して同期検波処理を行って、デモジュレーション処理を実施する。そして、その結果を外部メモリ21に保存するか、MEM−DSP回路13及び第2バススイッチ16を介してNW−DSP回路12に入力する。
【0060】
図4は、デモジュレータとしてのデコード動作モードを示す図である。デコード動作においては、NW−DSP回路12が外部メモリ21からデモジュレーション処理後のデータを読み出し、復調処理のうちのデコード処理を実施する。デコード処理では、例えば、各階層で使用されている伝送パラメータを示す制御信号TMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)を復号し、この復号結果と、復調時の検波結果に基づき、ビタビ復号、リードソロモン復号等の誤り訂正処理を実施し、TSストリームを生成する。
【0061】
デコードしたストリームデータは、第1バススイッチ15を介して後段の処理部へ出力されるか、外部メモリ21に保存される。この際、デコード後のストリームデータは、HDD又はフラッシュメモリ等からなる共有メモリへ保存することも可能である。次に、1チャンネルのストレージ再生動作について説明する。
【0062】
図5は、デモジュレータのストレージ再生動作モードを示す図である。ストレージ再生では、外部メモリ21から読み出したデータがNW−DSP回路12に入力され、DECにより暗号復号処理する。そして、第1バススイッチ15がNW−DSP回路12と後段への出力バスとを接続することで、DEMUXによりデマックスしたストリームを後段のメディアデータ伸張ブロック等へ出力する。
【0063】
ユーザは、例えば衛星放送の録画と再生を別々の日に行うことも多く、例えば放送受信時に復調処理のうち同時にデコード処理を行わない場合は、ネットワーク処理を衛星放送の録画と同時に実行することができる。すなわち、復調処理におけるデコード処理とネットワーク処理におけるデコード処理とで、ハードウェア(NW−DSP回路12)を共有することができる。
【0064】
なお、ネットワーク処理についても、入力データバスがMEM−DSP回路13からではなく、NWデータ71が入力されるデータバスであることを除き、図5により説明した処理と同様の処理がなされる。
【0065】
本実施の形態においては、複数チャンネルのデモジュレータにおける復調処理を、デモジュレーション処理とデコード処理とに分割することで、システムの利用条件によってデコード処理のハードウェア資源をネットワーク処理のために解放する。更にメモリ制御にプログラマブルDSPを配置することで、復調処理及びネットワーク処理において必要な外部メモリ21とその制御のためのハードウェア資源を共通化する。このMEM−DSP回路13は、デコード処理に求められる複雑なアドレッシングと連続するデータ転送に対応するものとし、また上述のセキュアメモリ保護機能により、外部メモリ21に対し特定の回路のみがアクセスでき、外部から自由にアクセスできないように管理することができる。
【0066】
本実施の形態の効果について、具体例を挙げて説明する。ここで、2チャンネルのデモジュレータと、10種類のネットワークプロトコルを処理可能である通信装置について説明する。それぞれのデコード処理には、100mips(100万命令毎秒:million instructions per second)が必要であるとする。
【0067】
従来であれば、それぞれのデコード処理部は独立した回路が構成されるので、例えば図1において、ODFM復調部5におけるデコード処理に200mips(100mips×2チャンネル)のDSPが搭載され、ネットワーク処理部7におけるデコード処理に10000mips(100mips×10種類のプロトコル)のDSPが搭載されることになる。つまり、合計1200mipsの回路が必要となる。
【0068】
次に、図2について、同様に考えると、NW−DSP回路12は、単純に復調処理におけるデコード処理分の200mipsと、ネットワーク処理におけるデコード処理分の1000mipsとを加えた、1200mipsのDSPとして構成することができる。すなわち、NW−DSP回路12の性能が200mips増大することとなり、これにより、例えば、更に多くのネットワークプロトコルを扱うことができ、ネットワーク処理に対するNW−DSP回路12の性能を向上することができる。
【0069】
また、NW−DSP回路12のネットワーク処理におけるデコード処理で使用する1000mipsの資源を使用して、デモジュレータにおけるデコード処理を行わせる場合には、ソフトウェア無線処理部とネットワーク処理部を搭載したアプリケーションプロセッサ用LSIやマルチメディア処理用LSI等において、回路規模の増大を最小限にとどめることができる。
【0070】
さらには、NW−DSP回路12は、単純には復調処理におけるデコード処理に使用する資源と、ネットワーク処理におけるデコード処理に使用する資源のうち、大きい方の資源に合わせた大きさとすればよいため、上記のようネットワーク処理におけるデコード処理の方が使用する資源が多い場合には、復調処理におけるデコード処理では、ハードウェア資源に余裕ができるため、更に異なるチャンネルのデータを受信したり、後述するように、モジュレータの機能を設けることができる。
【0071】
本発明の実施の形態2.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は、本実施の形態にかかる通信装置を示す図である。図6に示すように、通信装置102は、ネットワーク処理においてデマックス処理を行う回路(NW−DSP回路)14と、復調処理及びネットワーク処理のデコードを行う回路(DEC−DSP回路)12aとを個別に有している。つまり、上記実施の形態1にかかるNW−DSP回路12から、デマックスDSP回路14を独立分離した構成となっている。
【0072】
第1バススイッチ15は、BB−DSP回路11、DEC−DSP回路12a、又はデマックスDSP回路14の出力データバスのいずれかと、MEM−DSP回路13への入力データバスとを接続する。
【0073】
第2バススイッチ16は、ネットワークに接続することで得られるNWデータ71〜7Mを入力する入力バス又はMEM−DSP回路13の出力データを出力する出力バスと、DEC−DSP回路12aへのデータを入力する入力バス、デマックスDSP回路14へのデータを入力する入力バス、又は後段の処理部にデータを入力する入力バスとを接続する。
【0074】
復調処理では、BB−DSP回路11は、RFデータ51〜5Nに対し、復調処理のうち、デコード処理以外の処理(デモジュレーション処理)を行う。第1バススイッチ15は、BB−DSP回路11からのデモジュレーション処理結果データを出力する出力バスとMEM−DSP回路13へデータを入力する入力バスとを接続し、デモジュレーション結果は外部メモリ21に保存される。または、第2バススイッチ16がMEM−DSP回路13からのデータを出力する出力バスとDEC−DSP回路12aへデータを入力する入力バスとを接続し、上記のデモジュレーション処理結果データがMEM−DSP回路13及び第2バススイッチ16を介してDEC−DSP回路12aに入力される。
【0075】
DEC−DSP回路12aは、復調処理のうち、デコード処理を行う。デコード処理後のデータは、MEM−DSP回路13を介して外部メモリ21の所定の領域に格納される。または、第2バススイッチ16がMEM−DSP回路13からのデータを出力する出力バスとデマックスDSP回路14へデータを入力する入力バスとを接続し、デコード処理後のデータがデマックスDSP回路14に入力され、デマックス処理され、更にMEM−DSP回路13を経て再び外部メモリ21に格納されるか、第2バススイッチ16からストリーム出力Wとして更に後段の処理部に出力される。
【0076】
ネットワーク処理では、第2バススイッチ16がNWデータ71〜7Mを入力する入力バスとDEC−DSP回路12aへデータを入力する入力バスとを接続する。これにより、DEC−DSP回路12aにNWデータ71〜7Mが入力され、ネットワーク処理が実施される。第1バススイッチ15は、DEC−DSP回路12aからのデータを出力する出力バスとMEM−DSP回路13へデータを入力する入力バスとを接続する。ネットワーク処理後の暗号が解かれた生データは、MEM−DSP回路13を介して外部メモリ21のセキュアな領域に格納される。または、第2バススイッチ16がMEM−DSP回路13からのデータを出力する出力バスとデマックスDSP回路14へデータを入力する入力バスとを接続し、ネットワーク処理後のデータがデマックスDSP回路14に入力され、デマックス処理され、更にMEM−DSP回路13を経て再び外部メモリ21のセキュアな領域に格納されるか、第2バススイッチ16からストリーム出力Wとして更に後段の処理部に出力される。
【0077】
以上の構成により、本実施の形態にかかる通信装置102においては、BB−DSP回路11、デマックスDSP回路14、DEC−DSP回路12a、及びMEM−DSP回路13をそれぞれ独立してマルチタスク処理することが可能となり、処理効率を向上することができる。
【0078】
本発明の実施の形態3.
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図7は、本実施の形態にかかる通信装置を示す図である。図7に示すように、通信装置103は、各DSP回路からメモリアクセスのスケジューリングを行うスケジューラを分離し、独立したDSPとしてDSPスケジューラ13bを有している。DSPスケジューラ13bは、デマックスDSP回路14、DEC−DSP回路12a及びBB−DSP回路11に対し、その起動、停止及び動作パラメータの制御を行う。また、これと同様な制御の方法で、DSPスケジューラ13bは、デマックスDSP回路14、DEC−DSP回路12a及びBB−DSP回路11のそれぞれから外部メモリ21にアクセスする際に、MEM−DSP回路13aの起動、停止及び動作パラメータの制御を行う。これにより、MEM−DSP回路13は、外部メモリ21にアクセスするアドレスを管理するMEM−DSP回路13aとすることができる。
【0079】
これにより、BB−DSP回路11、デマックスDSP回路14、DEC−DSP回路12a、及びMEM−DSP回路13をそれぞれ独立してマルチタスク処理する際に、それらのスケジューリングを個々のDSPブロックの状態に影響されずに、DSPスケジューラ13bにより集中管理することができる。したがって、システムのマルチスタンダード化やマルチチャンネル化を実現する際に、専用のDSPスケジューラ13bを配置することで、個々の処理条件に応じたスケーラビリティを高めることができ、スケジューリングの効率を向上することができる。
【0080】
なお、DSPスケジューラ13bを配置しない場合には、これらのDSPより上位のホストCPUか、又はいずれかのDSPが親スケジューラとなって、その他が子スケジューラとなって、スケジューリングのタイミングを制御している。
【0081】
本発明の実施の形態4.
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図8は、本実施の形態にかかる通信装置を示す図である。図8に示すように、通信装置104は、デモジュレータ機能に加えて、モジュレータ機能を持たせたものである。すなわち、図2に示すBB−DSP回路11を2チャンネル構成としたとき、2チャンネル目を送信機能に割り当てる。このため、BB−DSP回路11aは、デモジュレーション処理部DEMとモジュレーション処理部MODとを有する。また、NW−DSP回路12bは、デコード処理部DECの他に、エンコード処理部CODを有し、また、デマックスDEMUXの他に、ストリームを多重化する多重化部MUXを有する。
【0082】
ここで、BB−DSP回路11aのモジュレーション処理部MODは、変調処理のうち、エンコード処理以外の処理を行うもので、復調処理のデコード処理は、変調処理のエンコード処理に、復調処理のデモジュレーション処理は、変調処理のモジュレーション処理に対応している。
【0083】
送信動作は、送信データが入力ストリームWからNW−DSP回路12bに入力されると、CODにより当該送信データをエンコードし、MUXにより多重化して出力される。多重化された送信データは、第1バススイッチ15及び第2バススイッチ16のスイッチングにより、NW−DSP回路12bのストリーム出力ZバスがMEM−DSP回路13の入力バスに接続され、その出力バスBB−DSP回路11aのストリーム入力バスに接続されることで、MEM−DSP回路13を介してBB−DSP回路11aに入力される。そして、BB−DSP回路11aのMODにより、送信データが変調されて、RFデータ31として送信部に出力される。
【0084】
本実施の形態においては、マルチチャンネルの通信装置にモジュレータを具備し、すなわち受信機能のみならず送信機能をも具備するものとすることができ、送受信動作が可能となる。
【0085】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0086】
例えば、上述の実施の形態においてDSPで実行されるコンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0087】
2 アンテナ
3 RFチューナ
4 ADC
5 ODFM復調部
6 バススイッチ
7 ネットワーク処理部
8a ビデオデコーダ
8b オーディオデコーダ
8c データデコーダ
11 BB−DSP回路
11a BB−DSP回路
12 NW−DSP回路
12a DEC−DSP回路
12b NW−DSP回路
13 MEM−DSP回路
13b DSPスケジューラ
13a MEM−DSP回路
14 デマックスDSP回路
15 第1バススイッチ
16 第2バススイッチ
21 外部メモリ
31 RFデータ
41 NWデータ
51 RFデータ
71 NWデータ
101 通信装置
102 通信装置
103 通信装置
104 通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数チャンネルに対応するソフト無線機能を有する通信装置であって、
2以上の異なる規格及び/又は異なるチャネルの受信データの復調処理を行うデモジュレーション回路と、
ネットワークプロトコル処理含むネットワーク処理を行うネットワーク処理回路とを有し、
前記デモジュレーション回路及び前記ネットワーク処理回路は、ソフトウェアによりそれぞれ復調処理及びネットワーク処理を行う機能を有し、ネットワーク処理に適したDSP機能を有するハードウェアを時分割で使用し、前記復調処理におけるデコード処理及び前記ネットワーク処理におけるデコード処理を実施する、通信装置。
【請求項2】
前記復調処理及び前記ネットワーク処理の際に使用可能なメモリに対するアクセスを制御するメモリコントローラとを有する請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記メモリコントローラは、ソフトウェアにより各機能を実現するものであって、前記復調処理におけるデコード処理であるデインターリーブ処理及び/又は誤り訂正処理に必要なメモリアドレッシング機能と、ネットワーク処理のパケット処理及び/又は暗号復号処理に必要なメモリアドレッシング機能とを有する、請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記メモリを有し、当該メモリは、前記デコード処理後のデータを保護するセキュア領域を有する、請求2又は3記載の通信装置。
【請求項5】
前記デモジュレーション回路は、前記復調処理に加え、ソフトウェアにより変調処理を行う機能を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の通信装置。
【請求項6】
実施の形態1〜4
アンテナを介して受信された受信データが入力され、当該受信データに対し前記復調処理のうち、デコード処理以外の処理であるデモジュレーション処理を行う第1のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)と、
前記第1のDSPにより前記デモジュレーション処理が実施されたデータが入力され、前記復調処理のデコード処理を行うと共に、ネットワークに接続することで得られる入力データが入力され、当該入力データに対し前記ネットワーク処理を行う第2のDSPと、
前記第1及び第2のDSPが使用するメモリに対するアクセスを制御する第3のDSPとを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1又は第2のDSPからのデータを出力する出力バスと、前記第3のDSP又は後段の処理部へのデータを入力する入力バスとを接続する第1のバススイッチと、
ネットワークに接続することで得られる入力データを入力する入力バス又は前記第3のDSPからのデータを出力する出力バスと、前記第2のDSPへのデータを入力する入力バスと接続する第2のバススイッチとを有する、請求項5記載の通信装置。
【請求項8】
アンテナを介して受信された受信データが入力され、当該受信データに対し前記復調処理のうち、デコード処理以外の処理であるデモジュレーション処理を行う第1のDSPと、
前記第1のDSPにより前記デモジュレーション処理が実施されたデータが入力され、前記復調処理のデコード処理を行うと共に、ネットワークに接続することで得られる入力データが入力され、当該入力データに対し前記ネットワーク処理のうち多重化されたストリームを分離するデマックス処理以外の処理を行う第2のDSPと、
前記第1及び第2のDSPが使用するメモリに対するアクセスを制御する第3のDSPと、
前記ネットワーク処理のうち前記デマックス処理を行う第4のDSPと、
前記第1、2及び第4のDSPからのデータを出力する出力バスと、前記第3のDSPへのデータを入力する入力バスとを接続する第1のバススイッチと、
前記入力データを入力する入力バス及び前記第3のDSPからのデータを出力する出力バスと、前記第2若しくは第4のDSPへのデータを入力する入力バス又は後段の処理部へのデータを入力する入力バスとを接続する第2のバススイッチとを有する、請求項1乃至4のいずれか1項記載の通信装置。
【請求項9】
各DSPでの処理を独立したマルチタスク処理する際のスケジューリングを管理するスケジューリング回路を各DSPとは別に有する請求項6乃至8のいずれか1項記載の通信装置。
【請求項10】
前記第1のDSPは、前記受信データに対し前記復調処理のうちデコード処理以外のデモジュレーション処理を行うと共に、出力データの変調処理のうちエンコード処理以外のモジュレーション処理を行い、当該変調処理後のデータを無線信号として出力する前段の処理部へ出力し、
前記第2のDSPは、前記変調処理のうち前記エンコード処理を行い、当該エンコード処理後のデータを前記第3のDSPを介して前記第1のDSPに入力する請求項7乃至9のいずれか1項記載の通信装置。
【請求項11】
2以上の異なる規格及び/又は異なるチャネルの受信データの復調処理を行うデモジュレーション回路と、ネットワークプロトコル処理を含むネットワーク処理を行うネットワーク処理回路とを有し、複数チャンネルに対応するソフト無線機能を有する通信装置の制御方法であって、
前記デモジュレーション回路及び前記ネットワーク処理回路は、ソフトウェアによりそれぞれ復調処理及びネットワーク処理を行う機能を有し、ネットワーク処理に適したDSP機能を有するハードウェアを時分割で使用し、前記復調処理におけるデコード処理及び前記ネットワーク処理におけるデコード処理を実施する、通信装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−9043(P2013−9043A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138710(P2011−138710)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】