説明

通信装置

【課題】携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末において、デジタル放送視聴中に着信しても、デジタル放送視聴と携帯電話のながら通話を可能とする。
【解決手段】デジタル放送視聴中に着信があった場合、イベント解析処理部112は番組情報処理部104へ字幕放送表示を要求し、音声パス切替制御部109へ音声パスを電話音声処理部114の出力側へ切替え用要求を行う。番組情報処理部104は多重伝送分離部103に字幕放送の分離をさせ、表示重畳部108は字幕デコード出力と映像デコード出力を重畳し表示出力部110が表示する。利用者が通話・終話ボタン116を押すと通話開始イベントがイベント解析処理部112へ送られ、イベント解析処理部112は電話RF部に対し通話要求を行い通話を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電話機能とデジタル放送受信機能を併せ持つ通信装置及び電話音声データの送受信処理とデジタル放送の受信処理とを行う通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の急速な普及はWEBブラウザやEメールなど本来の通話機能以外の機能を搭載したことに多く起因している。昨今もJava(登録商標)アプリケーションやTV電話など新規機能の搭載が日進月歩で行われている。
【0003】
日本ではすでにCS(Communication Satellite)・BS(Broadcasting Satellite)などのデジタル衛星放送サービスが始まり、地上波放送でも2003年にデジタル放送サービスが開始される予定である。さらに地上波デジタル放送の受信端末は部分受信を行う携帯型も開発が進められており、サービスの開始に向け準備されている。
【0004】
今後、携帯電話はWEBブラウザやEメール以外にもデジタル放送受信機能を備えることが予想されるが、現時点では本発明が課題とする分野の従来技術は見当たらない。
【0005】
参考技術として特開平6−165073を挙げる。
【0006】
図8にその構成図を示す。この発明ではリモコン送信器9または本体キーボード8により消音ボタンが押された時、消音処理を行うと同時にキャプションデコーダオンオフ制御部10がキャプションデコーダ3をオンにし、表示処理部5により多重化されているキャプションデータを表示するものである。
【0007】
逆に消音中でかつキャプションデコーダオン中にリモコン送信器9まはた本体キーボード8により消音解除ボタンが押された時、消音解除処理を行うと同時にキャプションデコーダオンオフ制御部10がキャプションデコーダ3をオフにし、映像のみを表示処理部5により表示するものである。
【特許文献1】特開平6−165073号公報
【特許文献2】特開平7−30872号公報
【特許文献3】特開2000−196776号公報
【特許文献4】特開平7−123376号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特開平6−165073は音声を消音しキャプションデータを表示するのみで他の機能の実現を目的にしたものではない。
【0009】
携帯電話とデジタル放送受信機の融合が予測される中、デジタル放送番組を視聴中に電話の着信がある場合や、逆に電話の発信が要求される場面も想定される。
【0010】
さらに携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末は画面サイズが小さいことが予想され常時字幕放送を表示させるのは見やすさの点から問題がある。
【0011】
本発明の目的はデジタル放送の視聴と電話の“ながら通話”を可能とし、デジタル放送の字幕放送の表示を最小時間とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る通信装置は、少なくとも音声データと映像データ又は文字データとが含まれた多重データを受信する多重データ受信部と、
前記多重データから前記音声データと前記映像データ又は前記文字データとを抽出する抽出部と、
電話音声データの送受信を行う電話部と、
前記抽出部により抽出された抽出音声データ又は前記電話部により受信された前記電話音声データのいずれかを出力する音声出力部と、
表示出力部とを有し、
前記電話部による前記電話音声データの送受信中に前記多重データ受信部による多重データの受信を開始するイベントの発生を検知した場合に、前記電話部による前記電話音声データの送受信を継続するとともに前記多重データ受信部による前記多重データの受信を開始させ、前記音声出力部に前記電話音声データを出力させるとともに前記表示出力部に前記抽出映像データ及び前記抽出文字データの少なくともいずれかを出力させる
ことを特徴とする。
【0013】
この発明に係る通信装置は、少なくとも音声データが含まれた多重データを受信する多重データ受信部と、
前記多重データから前記音声データを抽出する抽出部と、
電話音声データの送受信を行う電話部と、
前記抽出部により抽出された抽出音声データ又は前記電話部により受信された前記電話音声データのいずれかを出力する音声出力部とを有し、
前記多重データ受信部による前記多重データの受信中に着信イベントの発生又は発信イベントの発生のいずれか一方を検知した場合に、前記多重データ受信部による前記多重データの受信を継続するとともに前記電話部に前記電話音声データの送受信を開始させ、前記音声出力部に前記電話音声データを出力させる
ことを特徴とする。
【0014】
また、多重データ受信部は、映像データ及び文字データが含まれた多重データを受信し、
抽出部は、前記多重データから前記映像データ又は前記文字データを抽出し、
前記通信装置は、更に、前記抽出部により抽出された抽出映像データ又は前記抽出文字データを出力する表示出力部を有し、
前記多重データ受信部による前記多重データの受信中に着信イベントの発生又は発信イベントの発生のいずれか一方を検知した場合に、前記抽出部に前記映像データの抽出を継続するとともに前記文字データの抽出を開始させ、前記表示出力部に前記抽出映像データ及び前記抽出文字データを出力させる
ことを特徴とする。
【0015】
また、音声出力部は、抽出音声データ又は電話音声データのいずれかを音量を拡大して出力する拡声音声出力部と、前記電話音声データを通常の音量で出力するイヤー音声出力部とからなり、
多重データ受信部による多重データの受信中に着信イベントの発生又は発信イベントの発生のいずれか一方を検知した場合に、前記拡声音声出力部に前記電話音声データを出力させる
ことを特徴とする。
【0016】
この発明に係る通信装置は、少なくとも音声データが含まれた多重データを受信する多重データ受信部と、
前記多重データから前記音声データを抽出する抽出部と、
電話音声データの送受信を行う電話部と、
前記抽出部により抽出された抽出音声データ又は前記電話部により受信された前記電話音声データのいずれかを出力する音声出力部とを有し、
前記電話部による前記電話音声データの送受信中に試聴開始イベントの発生を検知した場合に、前記電話部による前記電話音声データの送受信を継続して前記音声出力部に前記電話音声データを出力させるとともに、前記多重データ受信部による前記多重データの受信を開始させる
ことを特徴とする。
【0017】
また、多重データ受信部は、映像データ及び文字データが含まれた多重データを受信し、
抽出部は、前記多重データから前記映像データ又は前記文字データを抽出し、
前記通信装置は、さらに、前記抽出部により抽出された抽出映像データ又は前記抽出文字データを出力する表示出力部を有し、
前記電話部による前記電話音声データの送受信中に視聴開始イベントの発生を検知した場合に、前記抽出部に前記映像データ及び前記文字データの抽出を開始させ、前記表示出力部に前記抽出映像データ及び前記抽出文字データを出力させる
ことを特徴とする。
【0018】
また、音声出力部は、抽出音声データ又は電話音声データのいずれかを音量を拡大して出力する拡声音声出力部と、前記電話音声データを通常の音量で出力するイヤー音声出力部とからなり、
前記電話部による前記電話音声データの送受信中に視聴開始イベントの発生を検知した場合に、前記拡声音声出力部に前記電話音声データを出力させる
ことを特徴とする。
【0019】
また、通信装置は、さらに、バイブレータを有し、
電話部による電話音声データの送受信中に視聴開始イベントの発生を検知した場合に、前記バイブレータを振動させる
ことを特徴とする。
【0020】
また、電話部による電話音声データの送受信中に終話イベントの発生を検知した場合に、多重データ受信部による多重データの受信を継続するとともに抽出部に抽出音声データの抽出を開始させ、音声出力部に前記抽出音声データを出力させる
ことを特徴とする。
【0021】
また、電話部による電話音声データの送受信中に終話イベントの発生を検知した場合に、抽出部に映像データの抽出を継続するとともに抽出文字データの抽出を停止させ、表示出力部に前記抽出文字データを出力せず前記抽出映像データを出力させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、多重データの受信中に着信イベント又は発信イベントが発生した場合には音声出力を受信電話音声データに切り替え、また多重データの受信中に終話イベントが発生した場合には音声出力を抽出音声データに切り替えるため、多重データの受信・出力と通話の双方を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る携帯電話とデジタル放送受信のハイブリッド端末を示すものであり、図において101はデジタル放送チューナー部、102はデジタル放送復調部、103は多重伝送分離部、104は番組情報処理部であり、105は字幕・データ放送処理部であり、106はデジタル放送映像処理部、107はデジタル放送音声処理部、108は表示重畳部、109は音声パス切替制御部、110は表示出力部、111は音声出力部、112はイベント解析処理部、113は電話RF部、114は電話音声処理部、115は音声入力部、116は通話・終話ボタン、117はCPU、118はメモリである。
【0024】
デジタル放送チューナー部101は、映像データ、音声データ、字幕データ(文字データ)等が多重化されたデジタル放送波を受信する。デジタル放送チューナー部101は、多重データ受信部の例であり、また、デジタル放送チューナー部101が受信するデジタル放送波は、多重データの例である。
【0025】
デジタル放送復調部102は、デジタル放送チューナー部101で受信されたデジタル放送波に対する復調処理を行う。
【0026】
多重伝送分離部103は、多重化されているデータから該当するストリームやセクションデータを分離する(映像データ、音声データ等を抽出する)。デジタル放送処理では既知の技術なので詳細は記述しない。多重伝送分離部103は、所定の場合に、デジタル放送の音声データの分離停止と字幕データの分離開始を行う。なお、多重伝送分離部103は、抽出部の例である。また、多重伝送分離部103により分離された映像データは抽出映像データに相当し、音声データは抽出音声データに相当し、字幕データは抽出文字データに相当する。
【0027】
番組情報処理部104は、デジタル放送波で送出されてくる番組情報により放送番組に多重化されている映像データ、音声データ、字幕データ(文字データ)などのモノメディアやデータ放送の存在が判断でき、その分離情報を知ることができる。デジタル放送処理では既知の技術なので詳細は記述しない。また、番組情報処理部104は番組情報を参照して多重伝送分離部103へデジタル放送の音声データの分離停止と字幕データが存在する場合は字幕データの分離開始を指示する。また、字幕データが存在しない場合はデジタル放送の音声データの分離停止と消音の指示のみを行う。
【0028】
なお、番組情報処理部104は、後述するイベント解析処理部112とともに、指示部の例に相当する。
【0029】
字幕・データ放送処理部105は、字幕データやその他各種データを表示する際に必要なデータ処理(例えば、字幕データのデコード処理)を行う。
【0030】
デジタル放送映像処理部106は、映像データを表示する際に必要なデータ処理(例えば、映像データのデコード処理)を行う。
【0031】
デジタル放送音声処理部107は、音声データを出力する際に必要なデータ処理(例えば、音声データのデコード処理)を行う。また、所定の場合に、音声データの消音処理を行う。
【0032】
表示重畳部108は、異なる映像データを重畳したり、映像データに字幕データを重畳する機能を持つ。また、重畳した映像データや字幕データを表示出力部110に表示する。デジタル放送処理では既知の技術なので詳細は記述しない。
【0033】
表示出力部110は、表示重畳部108により重畳されたデータを表示する。
【0034】
音声パス切替制御部109は音声パス(音声出力部111への入力)を電話側又はデジタル放送音声側に切替え、音声を音声出力部111から出力させる。なお、音声パス切替制御部109は、切替制御部の例である。
【0035】
音声出力部111は、音声パスが電話側にあるときは、電話音声処理部114からの電話音声データを出力し、音声パスがデジタル放送音声側にあるときは、デジタル放送音声処理部107からの音声データを出力する。
【0036】
イベント解析処理部112は、利用者がデジタル放送の映像、音声を視聴中に電話の着信又は発信があった場合に、番組情報処理部104へデジタル放送音声の消音と字幕データの表示を指示する。また、イベント解析処理部112は、同時に音声パス切替制御部109へ音声パスを電話音声処理部の出力側へ切替えるよう指示する。更には、利用者がデジタル放送の視聴中に通話を終了した場合には、イベント解析処理部112は番組情報処理部104へデジタル放送の音声データの復帰と字幕データの消去を指示する。またイベント解析処理部112は音声パス切替制御部109へ音声パスをデジタル放送音声処理部107の出力側へ切替えるよう指示する。
【0037】
なお、イベント解析処理部112及び番組情報処理部104をあわせたものが指示部の例に相当する。
【0038】
電話RF部113、電話音声処理部114、音声入力部115及び通話・終話ボタン116は、電話機能を実現する要素であり、これらはあわせて電話部に相当する。
【0039】
また、本実施の形態に係るハイブリッド端末は、通信装置の例である。
【0040】
次に動作について説明する。
【0041】
まず、利用者がデジタル放送番組を視聴中に、電話の着信があった場合について説明する。
【0042】
この場合は、デジタル放送チューナー部101によりデジタル放送波が受信されており、また、多重伝送分離部103で、映像データ、音声データの分離処理が行われ、表示出力部110より映像データが出力され、音声出力部111より音声データが出力されている状態である。また、音声パス切替制御部109により音声パスはデジタル放送音声側に設定されている。
【0043】
利用者がデジタル放送番組を視聴中に、電話の着信があった場合は、電話RF部113がイベント解析処理部112へ着信イベントをあげる。
【0044】
イベント解析処理部112では、着信イベントを検知し、番組情報処理部104にデジタル放送音声の消音と字幕データの表示を指示する。同時に、イベント解析処理部112は、音声パス切替制御部109に対して指示メッセージ(受信電話音声データ切替指示)を送信し、音声パスを電話音声処理部114の出力側へ切替るよう指示する。
【0045】
番組情報処理部104は、番組情報を参照して多重伝送分離部103に対して指示メッセージを送信する。具体的には、デジタル放送の音声データの分離停止を指示する指示メッセージ(音声データ抽出停止指示)を送信し、更に、字幕データが存在する場合は、字幕データの分離開始を指示する指示メッセージ(文字データ抽出開始指示)を送信する。字幕データが存在しない場合には、デジタル放送の音声データの分離停止のみを指示する。
【0046】
多重伝送分離部103は、デジタル放送の音声データの分離停止と字幕データの分離開始を行い、デジタル放送音声処理部107は消音処理を行い、字幕・データ放送処理部105は字幕データをデコードする。
【0047】
表示重畳部108は映像データに字幕データを重畳し表示出力部110に表示する。
【0048】
また、音声パス切替制御部109は音声パスを電話側に切替える。
【0049】
利用者が通話・終話ボタン116を押すと、イベント解析処理部112が通話開始イベントを受け、電話RF部113に対して指示メッセージ(電話音声データ送受信開始指示)を送信して、電話音声データの送受信の開始を指示し、通話を開始させる。
【0050】
利用者がデジタル放送番組を視聴中に、利用者が電話の発信を行う場合も上述した処理と同様の処理を行う。
【0051】
つまり、利用者が通話・終話ボタン116を押すと、イベント解析処理部112が発信イベントを検知し、番組情報処理部104にデジタル放送音声の消音と字幕データの表示を指示する。同時に、イベント解析処理部112は、音声パス切替制御部109に対して指示メッセージ(受信電話音声データ切替指示)を送信し、音声パスを電話音声処理部114の出力側へ切替るよう指示する。
【0052】
そして、番組情報処理部104は、番組情報を参照して多重伝送分離部103に対してデジタル放送の音声データの分離停止を指示する指示メッセージ(音声データ抽出停止指示)及び、字幕データが存在する場合は、字幕データの分離開始を指示する指示メッセージ(文字データ抽出開始指示)を送信する。多重伝送分離部103は、デジタル放送の音声データの分離停止と字幕データの分離開始を行い、デジタル放送音声処理部107は消音処理、字幕・データ放送処理部105は字幕データのデコードを行う。
【0053】
表示重畳部108は映像データに字幕データを重畳し表示出力部110に表示する。
【0054】
また、音声パス切替制御部109は音声パスを電話側に切替える。
【0055】
また、イベント解析処理部112は、電話RF部113に対して指示メッセージ(電話音声データ送受信開始指示)を送信して、電話音声データの送受信の開始を指示し、通話を開始させる。
【0056】
次に、利用者が通話を終了した場合の動作を説明する。
【0057】
なお、この場合は、デジタル放送チューナー部101によりデジタル放送波が受信されており、また、多重伝送分離部103で、映像データ及び字幕データの分離処理は行われているが、音声データの分離処理は停止しており、表示出力部110より映像データ及び字幕データが出力されている状態である。また、電話RF部113、電話音声処理部114、音声入力部115により電話音声データの送受信が行われ、音声出力部111からは電話音声データが出力されている。更には、音声パス切替制御部109により音声パスは電話側に設定されている。
【0058】
利用者が通話・終話ボタン116を押すと、イベント解析処理部112が終話イベントを検知し、電話RF部113に対して指示メッセージ(電話音声データ送受信停止指示)を送信して、通話を終了させる。
【0059】
対話者(通話相手)が先に終話した場合は電話RF部113が終話イベントをイベント解析処理部112へあげる。
【0060】
また、同時に、イベント解析処理部112は、番組情報処理部104へデジタル放送の音声データの分離開始(デジタル放送音声の復帰)と字幕データの分離停止(字幕放送の消去)を指示する。更に、イベント解析処理部112は、音声パス切替制御部109に対して指示メッセージ(抽出音声データ切替指示)を送信し、音声パスをデジタル放送音声処理部107の出力側へ切替えるよう指示する。
【0061】
番組情報処理部104は、多重伝送分離部103に対して指示メッセージ(音声データ抽出開始指示及び文字データ抽出停止指示)を送信して、デジタル放送の音声データの分離開始と字幕データの分離停止を指示する。
【0062】
多重伝送分離部103は、デジタル放送の音声データの分離開始と字幕データの分離停止を行い、デジタル放送音声処理部107は音声デコード処理を開始し、字幕・データ放送処理部105は字幕データのデコードを停止する。
【0063】
この結果、表示重畳部108は、デジタル放送映像処理部106から出力された映像データのみを表示出力部110に表示する。
【0064】
イベント解析処理部112により指示メッセージを受信した音声パス切替制御部109は音声パスをデジタル放送音声側に切替え、デジタル放送の音声データを音声出力部111から出力させる。
【0065】
図2は着信および発信時のハイブリッド端末の内部動作のフローを示したものである。図3はイベント解析処理部が扱うイベント・状態の例である。図3(a)は、イベント解析処理部が管理する状態を表し、図3(b)は、イベント解析処理部が管理するイベントを表している。
【0066】
このように構成された携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末によれば、デジタル放送視聴中に着信した場合又は発信する場合に、利用者に通話とデジタル放送受信の両者を提供することが可能となる。また、このハイブリッド端末では、通話中のみ字幕データを表示することとしているので、小さい画面での字幕データの表示時間を少なくすることができる。
【0067】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2に係るハンズフリー機能を持った携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末を示すものであり、図において101はデジタル放送チューナー部、102はデジタル放送復調部、103は多重伝送分離部、104は番組情報処理部であり、105は字幕・データ放送処理部であり、106はデジタル放送映像処理部、107はデジタル放送音声処理部、108は表示重畳部、109は音声パス切替制御部、110は表示出力部、112はイベント解析処理部、113は電話RF部、114は電話音声処理部、115は音声入力部、116は通話・終話ボタン、117はCPU、118はメモリ、201はハンズフリー制御部、202は拡声音声出力部、203はイヤー音声出力部である。
【0068】
拡声音声出力部202はハンズフリーモードでの携帯電話の電話音声データとデジタル放送の音声データの出力用である。イヤー音声出力部203は通常モードでの携帯電話の電話音声データの出力用である。
【0069】
ハンズフリー制御部201はハンズフリーのオン・オフ制御を行う。ハンズフリーは携帯電話では既知の技術なので詳細は述べない。なお、ハンズフリー制御部201は、拡声音声イヤー音声選択部の例である。
【0070】
実施の形態1と同様にデジタル放送視聴中に携帯電話の着信があった場合又は発信を行う場合、イベント解析処理部112により音声パスは電話側に切替えられるが、その時、イベント解析処理部112はハンズフリー制御部201にハンズフリーモードのオンを要求し(拡声音声選択指示を送信し)、ハンズフリー制御部201はハンズフリーモードをオンにする(拡声音声出力部を選択する)。なお、その他の処理は、実施の形態1と同じである。
【0071】
このように構成された携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末によれば、デジタル放送受信時に着信した場合、自動でハンズフリーモードへ移行し快適にデジタル放送受信と同時に携帯電話の通話を行うことが可能となる。
【0072】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る番組視聴予約可能な携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末を示すものであり、図において101はデジタル放送チューナー部、102はデジタル放送復調部、103は多重伝送分離部、104は番組情報処理部であり、105は字幕・データ放送処理部であり、106はデジタル放送映像処理部、107はデジタル放送音声処理部、108は表示重畳部、109は音声パス切替制御部、110は表示出力部、111は音声出力部、112はイベント解析処理部、113は電話RF部、114は電話音声処理部、115は音声入力部、116は通話・終話ボタン、117はCPU、118はメモリ、301は視聴予約処理部である。
【0073】
視聴予約処理部301はデジタル放送波によって送出される番組情報を用いて番組の予定を解析し視聴予約をできる。デジタル放送処理では既知の技術なので詳細は記述しない。なお、視聴予約処理部301は、多重データ受信開始時刻管理部の例である。
【0074】
この発明の実施の形態3では、あらかじめ視聴予約されている番組が視聴予約処理部301の予約機能により開始するとき、視聴予約処理部301は、デジタル放送チューナー部101に対して受信開始を指示する(多重データ受信開始指示の送信)とともに、イベント解析処理部112に視聴開始イベントをあげ(多重データ受信開始通知の送信)、イベント解析処理部112は利用者が通話中か否かの判定、即ち、電話音声データの送受信が行われているか否かの判定を行う。
【0075】
利用者が通話中(電話音声データの送受信中)ならば、イベント解析処理部112は番組情報処理部104に対しデジタル放送音声の消音と字幕データの表示を指示する。また、イベント解析処理部112は、音声パス切替制御部109に音声パスの切替を指示せず、音声パスをそのまま電話側とする。なお、その他の処理は、実施の形態1と同じである。
【0076】
図6にデジタル放送視聴開始時のの制御フローを示す。
【0077】
運用としては実施の形態2で示したように通話はハンズフリーモードへ移行して行われることが望ましい。
【0078】
このように構成された携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末によれば、通話中に視聴予約されたデジタル放送番組が開始してもデジタル放送受信と電話の同時利用が可能となる。
【0079】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4に係る番組視聴予約可能な携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末を示すものであり、図において101はデジタル放送チューナー部、102はデジタル放送復調部、103は多重伝送分離部、104は番組情報処理部であり、105は字幕・データ放送処理部であり、106はデジタル放送映像処理部、107はデジタル放送音声処理部、108は表示重畳部、109は音声パス切替制御部、110は表示出力部、111は音声出力部、112はイベント解析処理部、113は電話RF部、114は電話音声処理部、115は音声入力部、116は通話・終話ボタン、117はCPU、118はメモリ、301は視聴予約処理部、401はバイブレータ制御部、402はバイブレータである。
【0080】
バイブレータ制御部401、バイブレータ402は携帯電話の着信を知らせることにも使用される。これは既知の技術なので詳細は述べない。
【0081】
この発明の実施の形態4では、あらかじめ視聴予約されている番組が視聴予約処理部301の予約機能により開始するとき、イベント解析処理部112に視聴開始イベントをあげ、イベント解析処理部112は利用者が通話中か否かの判定を行う。
【0082】
利用者が通話中の場合は、バイブレータ制御部401へ指示メッセージ(バイブレータ作動指示)を送信し、バイブレータオンを指示し、バイブレータ制御部401はバイブレータ402を振動させる。
【0083】
以降は発明の実施の形態1に示した動作を行う。
【0084】
このように構成された携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末によれば、携帯電話の着信通知に使用されるバイブレータを視聴予約された番組の開始通知にも用いることにより利用者は通話中に視聴予約されていた番組が開始することを容易に知ることができる。
【0085】
運用としては実施の形態2で示したように通話はハンズフリーモードへ移行して行われることが望ましい。
【0086】
なお、実施の形態1〜4では、携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末を例にして説明したが、実施の形態1〜4で説明した機構を有線の固定電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末に適用することも可能である。
【0087】
また、実施の形態1〜4では、デジタル放送を受信するハイブリッド端末を例にして説明したが、実施の形態1〜4で説明した機構をアナログ放送を受信するハイブリッド端末に適用することも可能である。
【0088】
更に、実施の形態1〜4では、本発明に係る通信装置の例について説明したが、実施の形態1〜4に示す処理手順にて本発明に係る通信方法も実現可能である。
【0089】
ここで、実施の形態1〜4に示したハイブリッド端末の特徴を以下にて再言する。
【0090】
実施の形態1〜4に示したハイブリッド端末は、デジタル放送を受信するチューナー部とデジタル放送を復調するデジタル放送復調部と多重化された伝送データを分離する多重伝送分離部と、番組情報を解析しデジタル放送チューナー部に選局指示し多重伝送分離部に分離指示を行う番組情報処理部と多重伝送分離部により分離された字幕データ放送をデコード処理する字幕・データ放送処理部と同じく多重伝送分離部により分離された映像放送をデコード処理するデジタル放送映像処理部と同じく多重伝送分離部により分離されたデジタル放送音声をデコード処理するデジタル放送音声処理部と字幕・データ放送と映像放送を重畳表示する表示重畳部と電話の無線処理を行う電話RF部と電話の音声を処理する電話音声処理部と電話の着信・発信イベントを解析・処理するイベント解析処理部とデジタル放送音声出力と電話音声出力を切り替える音声パス切替制御部と音声出力部から構成され、デジタル放送視聴中に電話着信があった場合に音声パスを電話側に切替えかつ字幕放送を表示し通話し、終話時には音声パスをデジタル放送音声側に切替え、字幕放送を消去しデジタル放送映像のみを表示することを特徴とする。
【0091】
実施の形態1に示したハイブリッド端末は、デジタル放送視聴中の電話着信の場合、イベント解析処理部が番組情報処理部に字幕放送の分離表示とデジタル放送音声の分離停止・消音を要求し、同じくイベント解析処理部が音声パス切替制御部に音声パスの切替えを要求し、字幕表示、音声パスの切替えを行うことを特徴とする。
【0092】
実施の形態1に示したハイブリッド端末は、デジタル放送視聴中に電話発信を行う場合、イベント解析処理部が番組放送処理部に字幕放送の表示を要求し、同じくイベント解析処理部が音声パス切替制御部に音声パスの切替えを要求し、字幕表示、音声パスの切替えを行うことを特徴とする。
【0093】
実施の形態2に示したハイブリッド端末は、ハンズフリー制御部を付加し、デジタル放送視聴中の電話着信の場合、音声を消音し、字幕放送の表示を行い、同時にハンズフリーモードへ移行することを特徴とする。
【0094】
実施の形態3に示したハイブリッド端末は、視聴予約処理部を付加し、電話通話中に視聴予約された番組が始まる場合、番組情報処理部が音声の代わりに字幕放送を出力することを特徴とする。
【0095】
実施の形態4に示したハイブリッド端末は、バイブレータ制御部とバイブレータを加え、電話通話中に受信予約された番組が始まる場合、バイブレータにより利用者に番組開始を通知し、番組情報処理部が音声の代わりに字幕放送を出力することを特徴とする。
【0096】
以上のように、本発明によれば、多重データの受信中に着信イベント又は発信イベントが発生した場合には音声出力を受信電話音声データに切り替え、また多重データの受信中に終話イベントが発生した場合には音声出力を抽出音声データに切り替えるため、多重データの受信・出力と通話の双方を実現することができる。
【0097】
また、本発明によれば、多重データの受信中に着信イベント又は発信イベントが発生した場合に抽出文字データの表示を開始し、多重データの受信中に終話イベントが発生した場合に抽出文字データの表示を停止するため、文字データの表示時間を最小限にすることができる。
【0098】
また、本発明によれば、多重データの受信中に着信イベント又は発信イベントが発生した場合に拡声音声による音声出力を行うため、多重データの受信・出力と通話の双方をハンズフリーで実現することができる。
【0099】
また、本発明によれば、多重データ受信開始時刻に電話音声データの送受信が行われている場合には抽出音声データへの切替えを行わないため、通話中に多重データの受信が開始された場合であっても多重データの受信・出力と通話の双方を実現することができる。
【0100】
また、本発明によれば、多重データ受信開始時刻に電話音声データの送受信が行われている場合にはバイブレータを作動させるため、通話中に多重データの受信が開始された場合であってもバイブレータにより多重データの受信開始を通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】実施の形態1に係る携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末の構成を示す図。
【図2】電話着信時の制御フローを示すフローチャート図。
【図3】イベント解析処理部が管理するイベントおよび状態を示す図。
【図4】実施の形態2に係る携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末の構成を示す図。
【図5】実施の形態3に係る携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末の構成を示す図。
【図6】デジタル放送視聴開始時の制御フローを示すフローチャート図。
【図7】実施の形態4に係る携帯電話とデジタル放送受信機のハイブリッド端末の構成を示す図。
【図8】従来の技術を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも音声データと映像データ又は文字データとが含まれた多重データを受信する多重データ受信部と、
前記多重データから前記音声データと前記映像データ又は前記文字データとを抽出する抽出部と、
電話音声データの送受信を行う電話部と、
前記抽出部により抽出された抽出音声データ又は前記電話部により受信された前記電話音声データのいずれかを出力する音声出力部と、
表示出力部とを有し、
前記電話部による前記電話音声データの送受信中に前記多重データ受信部による多重データの受信を開始するイベントの発生を検知した場合に、前記電話部による前記電話音声データの送受信を継続するとともに前記多重データ受信部による前記多重データの受信を開始させ、前記音声出力部に前記電話音声データを出力させるとともに前記表示出力部に前記抽出映像データ及び前記抽出文字データの少なくともいずれかを出力させる
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
通信装置は、さらに、バイブレータを有し、
電話部による電話音声データの送受信中に前記多重データ受信部による多重データの受信を開始するイベントの発生を検知した場合に、前記バイブレータを振動させる
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
多重データ受信部による前記多重データの受信中に終話イベントの発生を検知した場合に、多重データ受信部による多重データの受信を継続させ、音声出力部には抽出音声データを出力させる
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項4】
多重データ受信部による前記多重データの受信中に終話イベントの発生を検知した場合に、多重データ受信部による多重データの受信を継続させ、表示出力部には抽出文字データを出力せずに抽出映像データを出力させる
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−53796(P2007−53796A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290072(P2006−290072)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【分割の表示】特願2003−579446(P2003−579446)の分割
【原出願日】平成14年3月27日(2002.3.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】