説明

通信装置

【課題】検出回路からのノイズが電極間の電界に重畳されるのを防止できる通信装置を提供する。
【解決手段】電極PSとPG間を避けて検出回路11を設けたので、そこからのノイズが電界Eに重畳されず、情報検出ができないという問題の発生を防止することができる。具体的には、検出回路11を筐体1cに収納し、筐体1cの外側に電極PGを対向させ、筐体1cの外側に電極PGを介して電極PSを対向させることで、かかる効果が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出回路からのノイズが電極間の電界に重畳されるのを防止できる通信装置を提供するに関する。
【背景技術】
【0002】
近年においては、人体などの電界伝達媒体と大地間に電界を誘起させることにより情報を送受信する通信装置が開発されるようになった(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】"RedTacton"、[online]、日本電信電話株式会社、[平成19年3月8日検索]、インターネット〈URL:http://www.redtacton.com/〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図2は、上記のような通信装置10とその情報検出の様子を示す図である。
【0004】
送信側の通信装置(不図示)により、伝達すべき情報に応じた波形の電界強度をもつ電界が電界伝達媒体M(机など)と大地間に誘起される。これにより通信装置10の電極PSとPG間に電界Eが誘起される。
【0005】
通信装置10の検出回路11では、電極PSの電圧を、電極PGに導通するグランド配線の電位を基準にして増幅するとともに増幅後の波形により情報を検出する。
【0006】
しかし、電極PSとPG間に検出回路11が配置されているので、そこからのノイズが電界Eに重畳され、情報検出ができないという問題が発生する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、検出回路からのノイズが電極間の電界に重畳されるのを防止できる通信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の本発明は、検出すべき情報に応じた波形の電界強度をもつ電界が電界伝達媒体と大地間に誘起されたときに電界が誘起される場所を介して対向する2つの電極と、第1の前記電極の電圧を、第2の前記電極に導通するグランド配線の電位を基準にして増幅するとともに増幅後の波形により前記情報を検出する検出回路とを備え、前記検出回路は、前記電極間を避けて配置されたことを特徴とする通信装置をもって解決手段とする。
【0009】
請求項1記載の本発明によれば、電極間を避けて検出回路を配置したので、そこからのノイズが電極間の電界に重畳されず、情報検出ができないという問題の発生を防止することができる。
【0010】
請求項2記載の本発明は、前記検出回路は、筐体に収納され、該筐体の外側に第2の電極を対向させ、該筐体の外側に第2の電極を介して第1の電極を対向させたことを特徴とする請求項1記載の通信装置をもって解決手段とする。
【0011】
請求項2記載の本発明によれば、検出回路を筐体に収納し、筐体の外側に第2の電極を対向させ、筐体の外側に第2の電極を介して第1の電極を対向させたので、検出回路からのノイズが電極間の電界に重畳されず、情報検出ができないという問題の発生を防止することができる。
【0012】
請求項3記載の本発明は、筐体と第2の電極間に設けた伸縮可能な部材を備えることを特徴とする請求項2記載の通信装置をもって解決手段とする。
【0013】
請求項3記載の本発明によれば、伸縮可能な部材を備えるので、各電極の電界伝達媒体との距離を一定にでき、安定した情報検出が可能となる。
【0014】
請求項4記載の本発明は、前記検出回路を、前記電極間の電位差を差動増幅するとともに増幅後の波形により該情報を検出する検出回路に置き換えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の通信装置をもって解決手段とする。
【0015】
請求項4記載の本発明によれば、電極間の電位差を差動増幅することで、電極両方の電圧に重畳されたノイズがキャンセルされるので、情報検出の感度を高めることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電極間を避けて検出回路を配置したので、そこからのノイズが電極間の電界に重畳されず、情報検出ができないという問題の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、一実施の形態に係る通信装置1とその情報検出の様子を示す図である。
【0019】
通信装置1は、送信側の通信装置(不図示)から伝達される情報を検出し、情報をノート型コンピュータ2へ送信するものである。通信装置1は、ノート型コンピュータ2のカードスロットに挿入されるコンパクトフラッシュ(登録商標)カード型の筐体1cと、その中に収納される検出回路11と、筐体1cの外側に設けた電極などを備える。
【0020】
通信装置1にあっては、筐体1cの外側に伸縮可能なスポンジSPと絶縁シートIS1(粘着テープなど)を介して電極PGが対向する。また、筐体1cの外側にスポンジSPと絶縁シートIS1と電極PGと絶縁シートIS2(紙など)を介して電極PSが対向する。また、電極PSの反対側は絶縁シートIS3(粘着テープなど)で保護される。
【0021】
ノート型コンピュータ2は、机などの電界を伝達する媒体(電界伝達媒体Mという)の上に置かれ、電界伝達媒体Mにおいては、電極PSに対向する位置に電極MPが設けられている。
【0022】
電極PSは、リード線などにより、検出回路11内の増幅器の入力端子に導通している。電極PGは、リード線などにより、検出回路11内のグランド配線に導通している。
【0023】
この実施の形態では、送信側の通信装置により、伝達すべき情報に応じた波形の電界強度をもつ電界が電界伝達媒体Mと大地間に誘起される。
【0024】
これにより通信装置1の電極PSとPG間に電界Eが誘起される。なお、電極MPにより電界Eの電界強度を高める効果が得られる。
【0025】
通信装置1の検出回路11は、電極PSの電圧を、電極PGに導通するグランド配線の電位を基準にして増幅するとともに増幅後の波形により情報を検出する。そして、通信装置1は、その情報をノート型コンピュータ2へ送信する。
【0026】
上記のように電極PSとPG間を避けて検出回路11を設けたので、そこからのノイズが電界Eに重畳されず、情報検出ができないという問題の発生を防止することができる。 具体的には、検出回路11を筐体1cに収納し、筐体1cの外側に電極PGを対向させ、筐体1cの外側に電極PGを介して電極PSを対向させることで、かかる効果が得られる。
【0027】
また、筐体1cと電極PG間に伸縮可能な部材であるスポンジSPを設けたので、電極PG、PSの電界伝達媒体Mとの距離をカードスロットの高さによらず一定にでき、安定した情報検出が可能となる。
【0028】
なお、検出回路11を別な検出回路に置き換えてもよい。例えば、それは、電極PS、PG間の電位差を差動増幅するとともに増幅後の波形により情報を検出する検出回路である。
【0029】
図1の検出回路11では、電極PSの電圧にノイズが重畳されたときには情報検出の感度が低下するが、差動増幅を行えば、ノイズは電極両方の電圧に重畳されキャンセルされるので、情報検出の感度を高めることができる。
【0030】
また、検出回路11を電極間を避けて設けることで、電極間の距離を短くできる。これにより、検出回路11以外から電極間へのノイズ進入を防止することができる。また、電極間の距離が短いと、各電極の電圧に重畳されるノイズの大きさ同士をできるだけ等しくでき、差動増幅を行う場合の情報検出の感度を一層高めることができる。
【0031】
なお、検出回路11は電極PSとPG間を避けて設ければよく、図1の形態に限定されない。例えば、名刺型の筐体1cをポケットに入れて、電界伝達媒体Mである人体に近接させるような場合にも、電極PS、PGなどを筐体1cの一方側に設ければよい。
【0032】
また、電極PS、PGは対向しているが、電界Eが誘起されるのであれば、異なる方向を向いていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】一実施の形態に係る通信装置1とその情報検出の様子を示す図である。
【図2】電界を用いて通信する通信装置10とその情報検出の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 通信装置
2 ノート型コンピュータ
11 検出回路
1c 筐体
M 電界伝達媒体
PG、PS 電極
IS1、IS2、IS3 絶縁シート
SP スポンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出すべき情報に応じた波形の電界強度をもつ電界が電界伝達媒体と大地間に誘起されたときに電界が誘起される場所を介して対向する2つの電極と、
第1の前記電極の電圧を、第2の前記電極に導通するグランド配線の電位を基準にして増幅するとともに増幅後の波形により前記情報を検出する検出回路とを備え、
前記検出回路は、
前記電極間を避けて配置された
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記検出回路は、筐体に収納され、
該筐体の外側に第2の電極を対向させ、
該筐体の外側に第2の電極を介して第1の電極を対向させた
ことを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
筐体と第2の電極間に設けた伸縮可能な部材
を備えることを特徴とする請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記検出回路を、
前記電極間の電位差を差動増幅するとともに増幅後の波形により該情報を検出する検出回路に置き換えた
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−44662(P2009−44662A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209997(P2007−209997)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】