説明

通信装置

【課題】既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置において、キャリアセンスを行う際に、その処理を効率的に行うようにする。
【解決手段】任意の所望のチャネルに対応する周波数での受信強度を検出する狭帯域キャリアセンス部と、前記既定の全チャネルの帯域全体における受信強度を検出する広帯域キャリアセンス部と、広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体に亘り所定レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた送信を許可する手段と、広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体の中で、所定レベルを超えている場合に、前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が所定レベルを超えていないときに、該所望のチャネルを用いた送信を許可する手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばRFIDシステムにおけるICタグとの通信のように、既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、同一チャネルでの通信衝突を避けるためにリッスンビフォートーク(LBT)機能を有する通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDシステムでは、通信装置であるリーダライタから変調または無変調の電波が送信されて、ICタグがその電波を受けると、ICタグにおいて起電力が発生され、その起電力によりICタグからのデータが応答信号として発信されて、その応答信号をリーダライタで受け取るようになっている。
【0003】
例えば、日本の電波法では、UHF帯RFIDに対して950〜956MHzの周波数が割り当てられており、200KHz間隔で、低出力の場合には14チャネル、大出力の場合には9チャネルの既定のチャネルが用意されており、この共通のチャネルを複数の通信装置で時分割して使用している。
【0004】
このような複数の通信装置を使用する環境下での、同一チャネル使用による通信衝突を避けるために、リッスンビフォートーク機能を通信装置に組み入れて、所望のチャネルを使用する前にキャリアセンスを行うことが義務付けられている。
【0005】
この通信装置のキャリアセンス回路としては、特許文献1ないし4によって提案されているものがある。
【0006】
特許文献1では、設定された周波数の局部発振信号の周波数を用いて受信信号を復調するRFID用送受信装置において、通常通信の際は基準周波数の局部発振信号を出力し、キャリアセンスの際は、基準周波数に対し所定周波数分シフトした周波数の局部発振信号を出力している。
【0007】
特許文献2では、キャリアセンスを行うときには、ローカル発振器の高周波信号の周波数を受信周波数よりもΔfだけシフトさせ、受信した高周波信号とローカル発振器から発生する高周波信号により発生するビート周波数Δfの振幅によりキャリアセンスを行っている。
【0008】
特許文献3では、受信RF信号と異なる周波のローカル信号を発生し、受信RF信号とローカル信号をミキシングし、受信RF信号とローカル信号の差の周波をバンドパスフィルタに通過させるようにしている。
【0009】
特許文献4では、局部発振器のローカル信号を変調し、ローカル信号の変調によって得られる受信機の出力によってキャリアセンスを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−295287号公報
【特許文献2】特開2007−28583号公報
【特許文献3】特開2008−85669号公報
【特許文献4】特開平2−100521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以上のように従来の提案によれば、変調または無変調の電波に対してもキャリアセンスを行うことができるようにしている。そして、受信信号の強度に基づき受信信号が存在すると判断できるときには、チャネルを変えて、再度キャリアセンスを行うことになる。
【0012】
本発明は、キャリアセンスの処理をより効率的に行うことができる通信装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
任意の所望のチャネルに対応する周波数での受信強度を検出する狭帯域キャリアセンス部と、
前記既定の全チャネルの帯域全体における受信強度を検出する広帯域キャリアセンス部と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体の中で、閾値レベルを超えている場合に、前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えていないときに、該所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のものにおいて、前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えているときには、閾値レベルを超えない受信強度となる所望のチャネルが見つかるまで狭帯域キャリアセンス部によって受信強度を検出するチャネルを変更する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の発明は、既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
前記既定の全チャネルの帯域全体における受信強度を検出する広帯域キャリアセンス部と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する第1手段と、
任意の所望のチャネルに対応する周波数での受信強度を検出する狭帯域キャリアセンス部と、
前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えていないときに、該所望のチャネルを用いた通信を許可する第2手段と、
を備え、前記第1手段と前記第2手段とのいずれか、または前記広帯域キャリアセンス部及び前記第1手段と前記狭帯域キャリアセンス部及び前記第2手段とのいずれかを切り替えて用いることを特徴とする。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のものにおいて、前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えているときには、閾値レベルを超えない受信強度となる所望のチャネルが見つかるまで狭帯域キャリアセンス部によって受信強度を検出するチャネルを変更する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5記載の発明は、既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
前記既定の全チャネルの帯域全体における受信強度を検出する広帯域キャリアセンス部と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体の中で、閾値レベルを超えている場合に、通信を不許可とする手段と、
を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
任意の所望のチャネルの中心周波数近傍の受信強度を検出するキャリアセンス部と、
あるチャネルが使用されずにそれに隣接するチャネルが使用されている状態でのチャネルの中心周波数近傍における受信強度の周波数に対する変化を記憶する記憶手段と、
キャリアセンス部で検出された所望のチャネルの中心周波数での受信強度が閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
キャリアセンス部で検出された所望のチャネルの中心周波数での受信強度が閾値レベルを超え且つ第2閾値レベル以下である場合に、キャリアセンス部で検出された所望チャネルの中心周波数近傍の受信強度の周波数に対する変化傾向と前記記憶手段で記憶された対応する変化傾向とを比較し、キャリアセンス部で検出された所望チャネルの中心周波数近傍の受信強度の周波数に対する変化傾向が記憶手段で記憶された変化傾向と一致しているか否かを判断し、一致していると判断したときには、該所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の発明は、既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
任意の所望のチャネルの周波数領域及びそれに隣接するチャネルの周波数領域の少なくとも一部の領域にある受信信号と所望のチャネルの中心周波数からΔfだけずれた信号とのビート信号を検出するキャリアセンス部と、
前記ビート信号の包絡線からその時間的変化を検出する手段と、
前記変化を検出する手段によりビート信号の包絡線の時間的変化がないことが検出された場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記ビート信号の包絡線の時間変化が1/Δfの周期に従っているかどうかを判定する手段と、
前記判定する手段によりビート信号の包絡線の時間変化が1/Δfの周期に従っている場合に、所望のチャネルを用いた通信を不許可とする手段と、
前記ビート信号の包絡線の時間変化が1/(2Δf)の周期に規則正しく従っているかどうかを判定する手段と、
前記判定する手段によりビート信号の包絡線の時間変化が1/(2Δf)の周期に規則正しく従っている場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記判定する手段によりビート信号の包絡線の時間変化が1/(2Δf)の周期に規則正しく従っていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を不許可する手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1〜2記載の本発明によれば、広帯域キャリアセンス部と狭帯域キャリアセンス部とを備えており、広帯域キャリアセンス部で検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合には、既定の複数のチャネルのいずれも使用されていないことが判断できるから、狭帯域キャリアセンス部による検出の結果によらずに、既定の複数のチャネルのうちの所望のチャネルを使用した通信を可能としている。これによって、キャリアセンスのための処理を効率化することができる。
【0021】
請求項3〜4記載の本発明によれば、第1手段と第2手段とのいずれか、または広帯域キャリアセンス部及び第1手段と狭帯域キャリアセンス部及び第2手段とのいずれかを切り替えることにより、状況に応じた効率的なキャリアセンスを行うことができる。
【0022】
請求項5記載の本発明によれば、広帯域キャリアセンス部で検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合には、既定の複数のチャネルのいずれも使用されていないことが判断できるから、個々のチャネルに対するキャリアセンスを不要とすることができる。これによって、キャリアセンスのための処理を効率化することができる。
【0023】
請求項6記載の本発明によれば、他の通信装置によって所望のチャネルは使用されていないけれども隣接チャネルが使用されており、この隣接チャネルの影響で所望のチャネルの中心周波数が閾値レベルを超えている場合には、所望のチャネルの使用が可能である可能性があるので、隣接するチャネルが使用されている状態での所望のチャネルの中心周波数近傍での受信強度の周波数の変化傾向を予め記憶しておき、所望のチャネルの中心周波数が第2閾値レベルを超えていない場合に、その変化傾向が一致している場合には、所望のチャネルを用いた通信を許可することで、所望のチャネルを使用する確率を増やすことができ、キャリアセンスの精度及び効率を高めることができる。
【0024】
請求項7記載の本発明によれば、他の通信装置によって所望のチャネルは使用されていないけれども隣接チャネルが使用されている場合には、所望のチャネルの使用が可能である可能性があるので、所望のチャネルの中心周波数からΔfだけずれた信号とのビート信号の傾向から、所望のチャネルが使用されているか隣接チャネルだけが使用されているかを判別して、隣接チャネルだけが使用されている場合には、所望のチャネルを用いた通信を許可することで、所望のチャネルを使用する確率を増やすことができ、キャリアセンスの精度及び効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る通信装置の全体ブロック図である。
【図2】本発明に係る通信装置の第1実施形態を表すブロック回路図である。
【図3】狭帯域キャリアセンス部でキャリアセンスを行うチャネルがチャネル5としたときの隣接チャネルとの間の受信強度の関係を表すスペクトル図である。
【図4】狭帯域キャリアセンス部によるキャリアセンスのタイミングチャートである。
【図5】広帯域キャリアセンス部によるキャリアセンスのタイミングチャートである。
【図6】狭帯域キャリアセンス部と広帯域キャリアセンス部とを組み合わせて使用する場合の好適な手順を表すフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施形態に係るブロック図である。
【図8】本発明のさらに別の他の実施形態に係る信号処理・制御部の処理を表すフローチャートである。
【図9】図8の実施形態に係る原理を説明するスペクトル図である。
【図10】本発明のさらに別の他の実施形態に係る信号処理・制御部の処理を表すフローチャートである。
【図11】図10の実施形態に係る原理を説明する波形図である。
【図12】図10の実施形態に係る原理を説明する波形図である。
【図13】図10の実施形態に係る原理を説明する波形図である。
【図14】図10のフローチャートの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明に係る通信装置を表すブロック図である。この例では、ダイレクトコンバージョン方式を採用している。
【0027】
図1に示すように、通信装置は、信号処理・制御部10と、送信部12と、アンテナ部14と、受信部16と、狭帯域キャリアセンス部18と、広帯域キャリアセンス部20と、リッスンビフォートーク(LBT)機能と通常の受信機能とを切替える切替部22と、を備える。
【0028】
信号処理・制御部10は、論理回路102と、CPU104とを備えることができる。論理回路102は、集積回路で構成する他に、ソフトウエアとして構成することも可能である。
【0029】
送信部12は、前記信号処理・制御部10からの制御信号に基づき、指定された周波数の高周波信号を生成する高周波発生源としての周波数シンセサイザ122と、信号処理・制御部10からの変調信号に基づき、変調を行う変調器124と、バンドパスフィルタ126と、電力増幅器128と、ローパスフィルタ130と、を備える。
【0030】
アンテナ部14は、送受信を切替えるサーキュレータ142と、アンテナ144とを備える。
【0031】
受信部16は、周波数シンセサイザ122からの高周波信号をローカル信号として復調を行うIQ復調器162と、ローパスフィルタ164と、低周波増幅器166と、を備える。
【0032】
LBT機能を実行する狭帯域キャリアセンス部18は、IQ復調器162と、バンドパスフィルタ182と、増幅器184と、ピーク検出器186と、を備え、受信部16とIQ復調器162を共有している。バンドパスフィルタ182としては、アクティブフィルタまたはLC回路からなるパッシブフィルタを用いることができる。アクティブフィルタは半導体化に好適である。
【0033】
LBT機能を実行する広帯域キャリアセンス部20は、バンドパスフィルタ202と、低雑音増幅器204と、RF検出器206と、を備える。バンドパスフィルタ202としては、SAWフィルタや誘電体フィルタを使用することができる。
【0034】
切替部22は、第1スイッチ222と、第2スイッチ228と、を備える。通常の受信時には、図2に示す第1スイッチ222及び第2スイッチ228を上側の接点に切替え、LBT機能を実行する時には、第1スイッチ222及び第2スイッチ228を下側の接点に切替える。
【0035】
(狭帯域キャリアセンスの動作)
以下、狭帯域キャリアセンス部18の動作について説明する。
信号処理・制御部10で決定されたキャリアセンスを行う所望のチャネルがCHNであるとする。論理回路102からの制御信号により、周波数シンセサイザ122から周波数がその所望のチャネルの中心周波数Fchnに対してΔfだけシフトしたFchn+Δf(またはFchn−Δf)の周波数の信号が出力され、これをローカル信号として、IQ復調器162で復調が行われる。チャネルCHNが使用中であるとすると、バンドパスフィルタ182から周波数Δfのビート信号が出力される。この信号を増幅して、ピーク検出器186でピーク検出を行い、受信強度に対応するDC信号に変換する。このDC信号が所定レベル以上であると、チャネルCHNは使用されていると判断する。
【0036】
図3は、受信強度の閾値レベルを−64dBmとした場合のチャネル5とその隣接チャネル4、6との間の受信強度の関係を表すスペクトル図である。
【0037】
実線は、無変調波を表し、一点鎖線は変調波を表す。チャネル5自体は使用されていないけれども隣接チャネルの影響が大きく(例えば隣接チャネルの変調波)、チャネル5の中心周波数F5において、閾値レベルを超える場合は(図3の(1)のケース)、チャネル5での通信はできない。勿論、隣接チャネルは使用されていなくても、チャネル5自体が使用されている場合には(図3の(2)のケース)、チャネル5での通信はできない。
【0038】
一方、チャネル5自体は使用されておらず、また、隣接チャネルの影響が小さく(例えば隣接チャネルが無変調波)、チャネル5の中心周波数F5において、閾値レベルを超えない場合は(図3の(3)のケース)、チャネル5での通信は可能となる。また、隣接チャネルが使用されておらず、チャネル5自体が使用されているものの距離が離れており、受信強度が小さい場合(図3の(4)のケース)には、チャネル5での通信は可能となる。
【0039】
図4は、狭帯域キャリアセンス部18によるキャリアセンスのタイミングチャートである。通信装置は、1秒送信を行い少なくとも100m秒停止する。通信装置Aがチャネル5(中心周波数F5)を使用して通信を行っている最中に、通信装置Bがチャネル5のキャリアセンスを10m秒行うと、チャネル5での通信はできないことが判断される。ある時間経過後、通信装置Aが通信停止中に、再び通信装置Bがチャネル5のキャリアセンスを行った場合には、チャネル5を使用した通信が許可となる。
【0040】
また、通信装置Aが通信装置Bの通信中に、チャネル6でのキャリアセンスを行うと、チャネル6は空いているので、チャネル6での通信が許可となる。
【0041】
尚、キャリアセンス時から通常の通信に切替えるときには、切替部22での切替が行われると共に、信号処理・制御部10からの制御信号も切り替えられる。そして、キャリアセンス時には、周波数シンセサイザ122からIQ変調器162に対して周波数F5±Δfのローカル信号が出力されたのに対して、通常の通信時には、IQ変調器162に対して周波数シンセサイザ122から周波数F5のローカル信号が出力されるように制御される。これによって、狭帯域キャリアセンス部18と受信部16とで、同じIQ復調器162を共通化することができる。
【0042】
(広帯域キャリアセンスの動作)
次に、広帯域キャリアセンス部20の動作について説明する。
アンテナ144で受信された高周波信号は、バンドパスフィルタ202によって濾波される。このバンドパスフィルタ202の通過帯域は、全チャネルの帯域全体(例えば、950〜956MHz)に相当している。バンドパスフィルタ202を通過した信号を増幅器204が増幅して、RF検出器206がDC信号に変換する。この受信強度に対応するDC信号が所定レベル以上であると、チャネルのいずれかが使用されていると判断する。
【0043】
図5は、広帯域キャリアセンス部20によるキャリアセンスのタイミングチャートである。通信装置Aがチャネル4(中心周波数F4とする)を使用して通信を行っている最中に、通信装置Bがキャリアセンスを行うと、通信装置Aが通信を行っているので、通信装置Bは通信ができないことが判断される。ある時間経過後、通信装置Aが通信停止中に、再び通信装置Bがキャリアセンスを行うと、いずれの通信装置も通信を行っていないので、通信装置Bのチャネル5を使用した通信が許可となる。通信装置Bが通信中に、通信装置Aがキャリアセンスを行うと、通信装置Aでは通信ができないことが判断される。
【0044】
この広帯域キャリアセンス部20によるキャリアセンスでは、いずれかの通信装置がいずれかのチャネルを使用していると、他の通信装置が使用できないことになる。通信装置の数が少ない状況であれば、この広帯域キャリアセンス部20だけでも十分であり、これによって、回路構成が簡単になる。
【0045】
(狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンス)
このように狭帯域キャリアセンス部18と広帯域キャリアセンス部20を両方備えた通信装置においては、選択的に狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンスを切替えて使用するか、または、狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンスを組み合わせて使用することが可能になる。以下、様々な形態について説明する。
【0046】
(1) 狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンスを組み合わせて使用する形態
狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンスを組み合わせて使用する形態の好適な手順について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0047】
初めに、広帯域キャリアセンス部20による処理(ステップS12)を経たピーク検出器186からのDC信号を所定レベルと比較し、受信強度が−64dBm以下であるかどうかを判定する(ステップS14)。この判定において、受信強度が−64dBm以下であれば、狭帯域キャリアセンスは省略して、チャネルを決定して送信を開始する(ステップS30)。ここで、ステップS14及びS30の処理が通信を許可する手段として機能する。
【0048】
ステップS14にて、受信強度が−64dBmを超えていると判定されると、他の通信装置が通信中であることを意味するから、キャリアセンスを行うべき所望のチャネルを決定して狭帯域キャリアセンス部18による処理(ステップS16)を経たピーク検出器186からのDC信号を所定レベルと比較し、受信強度が−64dBm以下であるかどうかを判定する(ステップS18)。受信強度が−64dBmを超えている場合には、そのチャネルは使用中であるので、所望のチャネルを別のチャネルに変更して(ステップS22)、狭帯域キャリアセンス部18による処理を行う。また、−64dBm以下であれば、予め決められた時間10ms経過する(ステップS20)まで、狭帯域キャリアセンスを繰り返し、次いで、バックオフ時間、狭帯域キャリアセンスを再び行う(ステップS24〜S28)。バックオフ時間はランダムな時間に設定されて、これによって、同時に同じチャネルのキャリアセンスを行っている他の通信装置との間での衝突を防止する。
【0049】
S28での判定がYesとなると、その所望のチャネル送信を1s行い(ステップS30、32)、100ms以上停止する(ステップS34)。
【0050】
ここで、ステップS18、S20、S26、S28、S30の処理が通信を許可する手段として機能する。また、ステップS22がチャネルを変更する手段として機能する。
【0051】
このように、広帯域キャリアセンスを優先にして狭帯域キャリアセンスと組み合わせることにより、キャリアセンスの効率化を図ることができる。尚、ステップS22において所望のチャネルを別のチャネルに変更する代わりに、所望のチャネルを固定して、所定時間経過後にステップ16〜20の狭帯域キャリアセンスを繰り返すようにすることもできる。
【0052】
(2) 狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンスとを切替えて使用する場合
信号処理・制御部10において、狭帯域キャリアセンス部18と広帯域キャリアセンス部20からの信号を選択的に取り込むことにより、狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンスとの切替を行い、ソフトウエア的に切替手段を実現することができる。
【0053】
この場合には、狭帯域キャリアセンスが選択された場合には、図6のステップS16〜S28を行い、ステップS18、S20、S26、S28、S30の処理が通信を許可する手段として機能する。また、ステップS22がチャネルを変更する手段として機能する。また、広帯域キャリアセンスが選択された場合には、図6のステップS12からS14を行い、ステップS14、S30の処理が通信を許可する手段として機能する。
【0054】
または、狭帯域キャリアセンス部18と広帯域キャリアセンス部20とを切替るスイッチ(切替手段として機能する)を別途設けることにより、狭帯域キャリアセンスと広帯域キャリアセンスとの切替を行い、ハードウエア的に切替手段を実現すると共に、信号処理・制御部10においてもソフトウエア的に切替手段を実現することもできる。
【0055】
このような切替手段により、切替は通信装置が使用される状況に応じて行うことができる。例えば、多数の通信装置が存在していない状況下では、いずれの通信装置も通信していない空き時間が存在する可能性が高いので、広帯域キャリアセンス部20による検出だけで十分となる。一方、多数の通信装置が存在しており、常時、いずれかの通信装置が通信していると予測される状況下では、狭帯域キャリアセンス部18による検出だけで十分となる。
【0056】
こうして状況に応じて広帯域キャリアセンスと狭帯域キャリアセンスとを切替えることで、状況に応じた効率的なキャリアセンスが行えることになる。
【0057】
(3) 広帯域キャリアセンスのみを行う形態
予測される状況下によっては、通信装置において狭帯域キャリアセンス部18自体を削除した構成とすることも可能である。この場合、信号処理・制御部10は、図6のステップS12からS14を行い、ステップS14、S30の処理が通信を許可する手段として機能する。
これによって、個々のチャネルに対するキャリアセンスを不要として、キャリアセンスのための処理を効率化することができる。
【0058】
(他の実施形態)
図7は、本発明の他の実施形態に係るブロック回路図である。この実施形態では、図2の実施形態において受信部16のローパスフィルタ164の代わりにデジタルフィルタ168とし、信号処理・制御部10からの制御信号によってカットオフ周波数を変更可能としたものである。そして、狭帯域キャリアセンス部18のバンドパスフィルタ182及び増幅器184を設ける代わりに、受信部16のデジタルフィルタ168及び増幅器166を共通に用いている。
【0059】
狭帯域キャリアセンスを行う場合には、デジタルフィルタ168を、Δfを通過させるような通過帯域に切替え、受信時にはベースバンド信号を通過させる通過帯域に切替える。こうして、狭帯域キャリアセンス部18と受信部16とで一層の回路部品の共通化を行うことができる。
【0060】
(他の実施形態2)
図8は、本発明のさらに別の他の実施形態に係る信号処理・制御部10の処理を表すフローチャート、図9は、本発明のさらに別の他の実施形態に係る原理を表すスペクトル図である。この実施形態では、図2または好適には図7の回路構成図を使用することができる。
【0061】
キャリアセンスを行う所望のチャネル(図9においてチャネル5)の隣接チャネル(チャネル4,6)の干渉波が存在している場合、所望のチャネルは使用されていないにもかかわらず、隣接チャネルの干渉波の影響を受けて、所望のチャネルの中心周波数での受信強度が前記閾値レベル(−64dBm)を超えてしまい、使用不能と判定されてしまうことが起こり得る。
【0062】
しかしながら、隣接チャネルの干渉波が存在していてもS/I(Signal/Interference)比が約10〜15dBあるとすると、受信強度−50dBm位までは受信可能であるため、所望チャネルを使用することができると考えられる。
【0063】
そこで、所望チャネルが使用されておらず、隣接チャネルの干渉波の影響を受けている時の、所望チャネルの中心周波数近傍の受信強度の変化傾向を予め記憶しておき、この記憶した変化傾向との比較により、所望チャネルは使用されておらず隣接チャネルのみが使用されている状況を識別する。
【0064】
所望チャネルの中心周波数近傍の受信強度は、狭帯域キャリアセンス部18において、所望チャネルの中心周波数Fchnに対して、周波数シンセサイザ122からのローカル信号を±Δf(例えば、±50kHz)の範囲で連続的に変化させて図7または図2のピーク検出器186からのDC信号を取り込み、これをA/D変換することによって取得することができる。または、取得したデータの中で、隣接データとの偏差をとることで、変化量、微分値を取得することができる。
【0065】
予め、あるチャネルが使用されておらず隣接チャネルのみが使用されているときのそのチャネルの中心周波数近傍±Δfでの平均的な変化傾向のデータを取得する。図9(b)に示すように、チャネル4しか使用されていない場合、±Δf内での変化は単調減少となると考えられる。また、図9(c)に示すようにチャネル6しか使用されていない場合、±Δf内での変化は単調増加となると考えられる。また、図9(d)に示すように、2つの隣接チャネルが両方存在しているときの平均的な変化傾向のデータも取得する。この場合、±Δf内での変化は単調減少の後に単調増加となると考えられる。
【0066】
以上の変化傾向のデータとしては、例えば、変化量、微分値(変化率)、極値の数とすることができ、または「単調増加」、「単調減少」、「単調減少の後に単調増加」といったデータとすることもできる。これらのいずれかの変化傾向のデータは、記憶手段としてのメモリに格納しておく。
【0067】
キャリアセンスを行う際には、狭帯域キャリアセンス部18で所望チャネルの中心周波数Fchnに対して、周波数シンセサイザ122からのローカル信号を±Δf(例えば、±50kHz)の範囲で連続的に変化させてピーク検出器186からのDC信号を取り込み、これをA/D変換し、キャリアセンス時の変化傾向のデータを取得する(S102)。
【0068】
そして、所望チャネルの中心周波数Fchnでの受信感度が、所定閾値レベル(例えば−64dBm)を超えているかの判定を行う(S104)。超えていなければ、所望チャネルを用いた通信を許可する(S104、S120〜S124)。
【0069】
受信感度が所定閾値レベルを超えている場合には、第2所定閾値レベル(例えば−50dBm)を超えているかの判定を行う(S106)。
【0070】
受信強度が第2所定閾値レベルを超えている場合には、所望のチャネルを別のチャネルに変更して(S108)、狭帯域キャリアセンス部18の処理(S102)を行う。超えていなければ、次に、前記キャリアセンス時の変化傾向のデータと、メモリで格納された変化傾向のデータとの比較を行う(S110)。
【0071】
キャリアセンス時の変化傾向のデータがメモリで格納された隣接チャネルのみが存在しているときの変化傾向のデータと一致している場合には、所望のキャリアは使用されていないと判断し、所望チャネルを用いた通信を許可する(S110、S120〜S124)。
【0072】
他方、隣接チャネルが存在している状態で、所望のチャネルでの通信(図9(a)の点線)が重畳すると、前記変化傾向に変化が現れる。図9(e)、(f)に示すように、中心周波数F5(=953MHz)付近で極値が2個現れるか、または、図9(g)に示すように、極値が3個以上現れる。よって、キャリアセンス時の変化傾向のデータがメモリで格納された隣接チャネルのみが存在しているときの変化傾向のデータと一致していない場合には、所望チャネルは使用されていると判断し、所望のキャリアを別のチャネルに変更する(S108)。
【0073】
以上の処理によって、所望チャネルを使用する確率を増やすことができ、キャリアセンスの精度を高めることができる。
【0074】
(他の実施形態3)
図10は、本発明のさらに別の他の実施形態に係る信号処理・制御部10の処理を表すフローチャートである。この実施形態では、図2または好適には図7の回路構成図を使用することができる。
【0075】
この実施形態では、図7におけるデジタルフィルタ168(または図2のバンドパスフィルタ182)のフィルタ帯域を急峻に減衰させる帯域ではなく、広い帯域とすることができ、及び/または、所望チャネルに対応する周波数を使用した送信可能かどうかだけでなく、ICタグ等の通信相手からの応答周波数が隣接チャネルにかかる場合に、その隣接チャネルにおける干渉波の影響を加味して、所望チャネルを用いた通信が許可可能かどうかを判定することができる。
【0076】
図11〜図13は、隣接チャネルのみにキャリアがあり所望チャネルにキャリアがない場合と、隣接チャネル及び所望チャネルの両方にキャリアがある場合の、それぞれ広い帯域を持つフィルタを通過後のビート信号の波形を表す。
【0077】
図11(a)及び図12(a)は、隣接チャネルのみにキャリアがある場合であり、この場合には、高周波の隣接チャネルのキャリアによるビート信号だけが現れるのに対して、図11(b)及び図12(b)では、隣接チャネル及び所望チャネルの両方にキャリアがある場合であり、高周波の隣接チャネルのキャリアによるビート信号にΔfの低周波の所望チャネルのキャリアによるビート信号が重畳されて現れる。図12の例は、図11よりも隣接チャネルのキャリアによるビート信号の強度が高いが、傾向自体は、ビート信号の大小にかかわらず、同じである。
【0078】
一方、図13(a)は、両隣の隣接チャネルにキャリアがあり所望チャネルにキャリアがない場合であり、この場合には、両隣の隣接チャネルのキャリアによるビート信号の他に、両隣の隣接チャネルのキャリア同士の差異に基づく2×Δfの低周波のビート信号が重畳して現れる。図13(b)は、両隣の隣接チャネル及び所望チャネルのいずれもキャリアがある場合であり、この場合には、さらに、Δfの低周波のビート信号が重畳されるために、不規則な振幅変化が現れる。
【0079】
信号処理・制御部10は、以上の傾向に基づき、隣接チャネルの状況に応じて所望チャネルの使用が可能かどうか判定するものであり、まず、キャリアセンスを行うべき所望のチャネルを決定し、狭帯域キャリアセンス部18による処理を経て、ビート信号の包絡線を検出するピーク検出器186からのDC信号をA/D変換した時系列のデータを取り込み(S202)、そのデータの受信強度が所定閾値レベル(例えば−64dBm)を超えているかの判定を行う(S204)。超えていなければ、所望チャネルを用いた通信を許可する(S204、S220〜S224)。
【0080】
時系列データの受信感度が所定閾値レベルを超えている場合には、第2所定閾値レベル(例えば−50dBm)を超えているかの判定を行う(S206)。
時系列データが第2所定閾値レベルを超えている場合には、隣接チャネルまたは所望チャネルのいずれかの受信強度が大きいとして、所望のチャネルを別のチャネルに変更して(S208)、狭帯域キャリアセンス部18の処理(S202)を行う。但し、このS206での判定は任意には省略することも可能であり、隣接チャネルからの干渉信号が存在していても所望チャネルが使用されていない場合に通信可能である状況下で、第2所定閾値レベルを超えていても、以下の処理により所望チャネルが使用されていないと判定できる場合には、通信を許可するようにしてもよい。
【0081】
次に、時系列データの変化が所定範囲内であるかを判定する(S210)。時系列データの変化が所定範囲内である場合、言い換えれば、時系列データの変化がなく、その受信強度がほぼ一定である場合(例えば図11(a))には、所望のチャネルは使用されていないと判定し、その所望のチャネルを用いた通信を許容する(S210、S220〜S224)。ここで所定範囲とは一定と見なせる許容範囲である。
【0082】
他方、時系列データの変化が所定範囲内にない場合、言い換えれば、時系列データは変動しているときには、1/Δfの周期の変化を行っているかを判定する(S212)。
【0083】
時系列データが1/Δfの周期の変化を行っている場合には、所望のチャネルが使用されていることを意味するから、所望のチャネルを別のチャネルに変更する(S208)。
【0084】
他方、時系列データが1/Δfの周期の変化を行っていない場合には、さらに、時系列データの変化から1/(2Δf)の周期の変化を行っており、且つその周期が規則正しいかどうかを判定する(S214)。ここで規則正しい場合の例としては、周期のばらつき、または時系列データの周期的に繰り返される最大値又は最小値の値のばらつきが所定範囲内にあること等を例示することができる。
【0085】
時系列データが規則正しい1/(2Δf)の周期の変化を行っている場合には、両隣の隣接チャネルのキャリアがあるものの、所望のチャネルのキャリアはないと判定することができるから、所望のチャネルは使用されていないと判定し、その所望のチャネルを用いた通信を許容する(S214、S220〜S224)。
【0086】
他方、時系列データが規則正しい1/(2Δf)の周期の変化を行っていない場合には、所望のチャネルは使用されていると判定して、所望のチャネルを別のチャネルに変更する(S208)。
【0087】
こうして、隣接チャネルを含めてのキャリアセンスを行うことが可能になる。
【0088】
図14は、図10のフローチャートの変形例である。基本的な考え方は図10の場合と同じであるため、詳細説明は省略する。この例では、所望のチャネルが使用されていると判定されている場合と、所望のチャネルが使用されていないと判定されている場合とで、使用を許可する閾値レベルを変更しており(S211とS215の第3所定閾値レベル>S213とS217の第2所定閾値レベル)、所望のチャネルが使用されていないと判定されている場合には、干渉波のレベルが多少高くても所望チャネルの通信を許可している。
【0089】
例えば、干渉波が第2所定閾値レベル(例えば−50dBm)以上あっても、通信相手であるICタグ等が接近する場合、S/I比は向上するので復調は可能となる。このような場合には、その所望チャネルによる通信を許可することにより、キャリアセンス効率及び選択チャネル効率を一層高めることができる。
【符号の説明】
【0090】
10 信号処理・制御部
12 送信部
14 アンテナ部
16 受信部
18 狭帯域キャリアセンス部
20 広帯域キャリアセンス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
任意の所望のチャネルに対応する周波数での受信強度を検出する狭帯域キャリアセンス部と、
前記既定の全チャネルの帯域全体における受信強度を検出する広帯域キャリアセンス部と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体の中で、閾値レベルを超えている場合に、前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えていないときに、該所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えているときには、閾値レベルを超えない受信強度となる所望のチャネルが見つかるまで狭帯域キャリアセンス部によって受信強度を検出するチャネルを変更する手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
前記既定の全チャネルの帯域全体における受信強度を検出する広帯域キャリアセンス部と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する第1手段と、
任意の所望のチャネルに対応する周波数での受信強度を検出する狭帯域キャリアセンス部と、
前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えていないときに、該所望のチャネルを用いた通信を許可する第2手段と、
を備え、前記第1手段と前記第2手段とのいずれか、または前記広帯域キャリアセンス部及び前記第1手段と前記狭帯域キャリアセンス部及び前記第2手段とのいずれかを切り替えて用いることを特徴とする通信装置。
【請求項4】
前記狭帯域キャリアセンス部によって検出された所望のチャネルに対応する周波数での受信強度が閾値レベルを超えているときには、閾値レベルを超えない受信強度となる所望のチャネルが見つかるまで狭帯域キャリアセンス部によって受信強度を検出するチャネルを変更する手段をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の通信装置。
【請求項5】
既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
前記既定の全チャネルの帯域全体における受信強度を検出する広帯域キャリアセンス部と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体に亘り閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記広帯域キャリアセンス部によって検出された受信強度が帯域全体の中で、閾値レベルを超えている場合に、通信を不許可とする手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項6】
既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
任意の所望のチャネルの中心周波数近傍の受信強度を検出するキャリアセンス部と、
あるチャネルが使用されずにそれに隣接するチャネルが使用されている状態でのチャネルの中心周波数近傍における受信強度の周波数に対する変化を記憶する記憶手段と、
キャリアセンス部で検出された所望のチャネルの中心周波数での受信強度が閾値レベルを超えていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
キャリアセンス部で検出された所望のチャネルの中心周波数での受信強度が閾値レベルを超え且つ第2閾値レベル以下である場合に、キャリアセンス部で検出された所望チャネルの中心周波数近傍の受信強度の周波数に対する変化傾向と前記記憶手段で記憶された対応する変化傾向とを比較し、キャリアセンス部で検出された所望チャネルの中心周波数近傍の受信強度の周波数に対する変化傾向が記憶手段で記憶された変化傾向と一致しているか否かを判断し、一致していると判断したときには、該所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項7】
既定の複数チャネルのいずれかのチャネルを用いて通信を行う通信装置であって、
任意の所望のチャネルの周波数領域及びそれに隣接するチャネルの周波数領域の少なくとも一部の領域にある受信信号と所望のチャネルの中心周波数からΔfだけずれた信号とのビート信号を検出するキャリアセンス部と、
前記ビート信号の包絡線からその時間的変化を検出する手段と、
前記変化を検出する手段によりビート信号の包絡線の時間的変化がないことが検出された場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記ビート信号の包絡線の時間変化が1/Δfの周期に従っているかどうかを判定する手段と、
前記判定する手段によりビート信号の包絡線の時間変化が1/Δfの周期に従っている場合に、所望のチャネルを用いた通信を不許可とする手段と、
前記ビート信号の包絡線の時間変化が1/(2Δf)の周期に規則正しく従っているかどうかを判定する手段と、
前記判定する手段によりビート信号の包絡線の時間変化が1/(2Δf)の周期に規則正しく従っている場合に、所望のチャネルを用いた通信を許可する手段と、
前記判定する手段によりビート信号の包絡線の時間変化が1/(2Δf)の周期に規則正しく従っていない場合に、所望のチャネルを用いた通信を不許可する手段と、
を備えることを特徴とする通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−171881(P2010−171881A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14441(P2009−14441)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(000003388)東京計器株式会社 (103)
【Fターム(参考)】