説明

通信装置

【課題】防水性能を確保しつつ、筐体内に溜まった水を外部へ容易に排出することができる通信装置を提供する。
【解決手段】通信機器が収容された筐体10の底部に、筐体10内に溜まった水を外部へ排出するための水抜き孔15を形成する。筐体10の底部には水抜き孔15を塞ぐ閉塞部30を設ける。水抜き孔15を塞ぐ閉塞部30には、水抜き孔15の孔径よりも大径の頭部を有する雄ネジ部31を備えており、雄ネジ部31の頭部31aにより水抜き孔15を容易に塞ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設置される筐体内に通信機器が収容されている通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、携帯電話などのユーザ端末のために、無線通信可能なエリア(セル)を形成するための無線基地局装置は、デジタル領域のベースバンド信号処理や制御・管理などを行う無線装置制御部(Radio Equipment Control;REC)と、アナログ領域の無線信号処理(変調や増幅など)を行う無線部(Radio Equipment;RE)と、を有して構成されている。
【0003】
無線基地局装置としては、RECを搭載した基地局本体から離れた位置に、REを搭載した通信装置であるリモート・レディオ・ヘッド(Remote Radio Head;RRH)を設置可能なものがある(例えば、特許文献1参照)。この場合、RRHは、無線部等の通信機器を筐体内に収容して屋外に設置され、RECとREとは、例えば光ファイバで接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−118106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
RRHは屋外に設置されるため、筐体内に雨水等が浸入しないように、光ファイバ等が接続される筐体のコネクタには防水処理が施され、筐体内はほぼ密閉状態とされている。しかし、夕立ちやスコール等などの天候変化による急激な温度変化や湿度変化等により筐体の内部が負圧になると、防水処理が施されたコネクタであっても、その接続部から筐体内に水蒸気が吸い込まれ、筐体内に水が溜まるという問題があった。
【0006】
上記問題を解決するためには、筐体の底部に水抜き孔を形成することが考えられる。この場合、筐体内に水が溜まるのを防止することはできるが、筐体には水抜き孔が常時開口するため、筐体の防水性能が低下するという新たな問題が生じる。
そこで、本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、防水性能を確保しつつ、筐体内に溜まった水を外部へ容易に排出することができる通信装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の通信装置は、屋外に設置される筐体内に通信機器が収容されている通信装置であって、前記筐体の底部には水抜き孔が形成され、前記水抜き孔を塞ぐ閉塞部を備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、筐体の底部に水抜き孔を形成したので、筐体内に溜まった水を水抜き孔から外部へ容易に排出することができる。また、前記水抜き孔を閉塞部により塞ぐことができるため、筐体の防水性能を確保することができる。
【0009】
(2)前記閉塞部は、前記水抜き孔の孔径よりも大径の頭部を有する雄ネジ部を備えていることが好ましい。この場合は、雄ネジ部の頭部により水抜き孔を容易に塞ぐことができる。
【0010】
(3)前記水抜き孔には、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部が形成されていることが好ましい。この場合は、雄ネジ部の頭部と、雄ネジ部と雌ネジ部との螺合部分とにより水抜き孔を塞ぐことができるため、筐体の防水性能を高めることができる。
【0011】
(4)前記閉塞部は、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部をさらに備えていることが好ましい。この場合は、雄ネジ部の頭部と、雄ネジ部と雌ネジ部との螺合部分とにより水抜き孔を塞ぐことができるため、筐体の防水性能を高めることができる。
【0012】
(5)上記(1)の通信装置において、前記閉塞部は、前記水抜き孔に挿通される雄ネジ部を備え、前記水抜き孔には、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部が形成されていることが好ましい。この場合は、雄ネジ部を水抜き孔に挿通した状態で雌ネジ部に螺合することにより、水抜き孔を容易に塞ぐことができる。
【0013】
(6)前記閉塞部は、水抜き孔に挿通される雄ネジ部と、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部とを備えていることが好ましい。この場合は、雄ネジ部を水抜き孔に挿通した状態で雌ネジ部に螺合することにより、水抜き孔を容易に塞ぐことができる。
【0014】
(7)前記雄ネジ部は、頭部が水抜き孔の上方に位置するように前記雌ネジ部に螺合されるボルトを有していることが好ましい。この場合は、水抜きを行う際にボルトが筐体から落下するのを防止することができる。
【0015】
(8)前記ボルトが、前記水抜き孔の下方に一部突出するように前記雌ネジ部に螺合され、前記閉塞部は、前記ボルトの突出部分に螺合されるナットをさらに備えていることが好ましい。この場合は、ボルトの突出部分にナットを螺合させ、ナットの上面を筐体の底部下面に当接させて締結することができるため、筐体の防水性能を高めることができる。
【0016】
(9)前記雄ネジ部は、前記ボルトの下方において前記水抜き孔の孔径よりも小径に形成され、かつ軸方向の長さが前記水抜き孔の上下方向の全長よりも長く形成された小径部をさらに有していることが好ましい。この場合は、水抜き孔とボルトとの螺合を解除し、ボルトを上方へ押し上げて小径部を水抜き孔内に挿入することにより、小径部と水抜き孔との隙間から筐体内に溜まった水を外部へ排出することができる。したがって、筐体内に溜まった水を外部へ迅速にに排出することができる。
【0017】
(10)前記雄ネジ部は、前記ボルトの下方において前記ナットのネジ孔径よりも大径に形成された大径部をさらに有していることが好ましい。この場合は、ナットとボルトとの螺合を解除した際に、ナットが大径部に当接することにより雄ネジ部から脱落するのを防止することができる。
【0018】
(11)前記水抜き孔は、前記筐体の底部から下方に延びる第1孔部と、当該第1孔部の下端から横方向に延びて前記筐体の底部の外側に開口する第2孔部とを有していることが好ましい。この場合は、水抜き孔が第1孔部と第2孔部とにより屈曲するように形成されるため、雨水等が筐体内に浸入するのを抑制することができる。
【0019】
(12)前記水抜き孔は、前記筐体の底部に複数形成されていることが好ましい。この場合は、複数の水抜き孔の一部を空気孔として用いることにより、排水性能を高めることができる。
【0020】
(13)前記通信機器は、前記筐体内において電子部品が露出する基板を有し、前記基板が、前記筐体内の上側に配置されていることが好ましい。この場合は、基板の電子部品が筐体内に溜まった水によりショートするのを抑制することができる。
【0021】
(14)前記通信機器は、前記筐体内において電子部品が露出しないユニットをさらに有し、前記基板が、前記ユニットよりも上方に配置されていることが好ましい。この場合は、電子部品が露出する基板を、電子部品が露出しないユニットよりも上方に配置されているため、筐体内に配置された電子部品が筐体内に溜まった水によりショートするのを効果的に抑制することができる。
【0022】
(15)前記筐体の底部には、当該筐体内の水を溜めるための凹部が形成され、前記水抜き孔が、前記凹部内に形成されていることが好ましい。この場合は、水抜き孔が筐体内の水を溜める凹部内に形成されているため、筐体内の水を水抜き孔から効果的に排出することができる。
【0023】
(16)前記通信装置は、前記筐体の底部から下方に突出する突出部材をさらに備えていることが好ましい。この場合は、筐体の外側から横方向に吹き付けられる雨水等が水抜き孔に直接付着するのを抑制することができるため、雨水等が水抜き孔に浸入するのを突出部材により抑制することができる。
【0024】
(17)前記水抜き孔は、前記突出部材に近接して形成されていることが好ましい。この場合は、水抜き孔から雨水等が浸入するのを突出部材により効果的に抑制することができる。
【0025】
(18)前記突出部材は、前記通信機器に接続されるコネクタであることが好ましい。この場合は、通信機器に接続されるコネクタを突出部材として兼用することができるため、通信装置の製造コストを低減することができる。
【0026】
(19)前記筐体の底部には、前記通信機器に接続されるコネクタを前記水抜き孔よりも高い位置に取り付けるための段部が形成されていることが好ましい。この場合は、筐体内においてRFコネクタの周辺に水が溜まるのを抑制することができる。これにより、RFコネクタが筐体内に溜まった水によりショートするのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の通信装置によれば、筐体内に溜まった水を水抜き孔から外部へ容易に排出することができる。また、前記水抜き孔を閉塞部により塞ぐことができるため、筐体の防水性能を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る通信装置を備えた無線基地局装置を示す概略図である。
【図2】通信装置の構成図である。
【図3】通信装置の筐体を示す正面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】筐体の本体部の内側を示す正面図である。
【図6】筐体の蓋部の内側を示す正面図である。
【図7】本体部の要部拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る通信装置の要部拡大断面図である。
【図9】第2の実施形態における水抜き手順を示す説明図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る通信装置の要部拡大断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る通信装置の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
〔全体構成〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信装置を備えた無線基地局装置を示す概略図である。この無線基地局装置1は、ベースバンド処理部2aを有する基地局装置本体2に対して、無線装置(通信装置)であるリモート・レディオ・ヘッド(RRH)3が接続されている。RRH3は屋外に設置されており、基地局装置本体2とRRH3との間は、例えば光ファイバ4で接続されている。無線装置制御部として機能するベースバンド処理部2aは、デジタル領域でベースバンド信号の処理を行うとともに、RRH3の制御も行う。
【0030】
図2は、通信装置であるRRH3の構成図を示している。RRH3は、筐体10(図3参照)の内部に通信機器20が収容されたものである。通信機器20は、無線信号処理部21と、無線部22と、電源制御部(電源回路)23とを備えている。無線信号処理部(メイン基板)21は、光ファイバ4等を介して、基地局装置本体2との間でやりとりされる送受信データ(デジタルデータ)を処理するものである。この無線信号処理部21は、アナログ受信信号を受信デジタルデータに変換するためのADコンバータ(図示省略)と、送信デジタルデータをアナログ送信信号に変換するためのDAコンバータ(図示省略)を備えている。無線信号処理部21は、光ファイバ4を接続するための制御用コネクタ26に接続されている。なお、制御用コネクタ26は、電気ケーブルを接続するものであってもよい。
【0031】
無線部22は、無線部本体22aと、ノイズを除去するフィルタ22bとを有している。無線部本体22aは、増幅器などを有しており、フィルタ22bを介してRFコネクタ25に接続されている。RFコネクタ25は、複数個(本実施形態では4個)設けられており(図3参照)、各RFコネクタ25はそれぞれ専用のアンテナに接続されるようになっている。また、無線部本体22a及び無線信号処理部21は、電源制御部23に接続されている。
【0032】
電源制御部23は、外部から供給された電源電圧を、所定の電圧に変換し、無線信号処理部21及び無線部22に所定電圧の電力を供給するためのものである。この電源制御部23は、電源コネクタ24に接続されており、この電源コネクタ24を介して外部から電源供給を受ける。
【0033】
[通信装置]
図3はRRH3の筐体10を示す正面図であり、図4は図3のA−A断面図である。図3及び図4において、RRH3の筐体10は、箱状の本体部11と、この本体部11に対して着脱可能に取り付けられた箱状の蓋部12と、蓋部12の外側に突出形成された複数の放熱フィン13とを備えている。
【0034】
図5は、本体部11の内側を示す正面図である。図4及び図5において、本体部11の側面の上側には、無線信号処理部21の基板21aが固定されている。基板21a上には、複数の電子部品21bが、筐体10内において露出した状態で配置されている。本体部11の底部の幅方向一方側(図5の左側)には電源コネクタ24が固定され、他方側(図5の右側)には制御用コネクタ26が固定されている。本体部11の側面の下側には、電源制御部23が固定されている。
【0035】
図6は、蓋部12の内側を示す正面図である。図4及び図6において、蓋部12の側面の上側には、無線部本体22aが固定されている。無線部本体22aは、樹脂製のケース22a1内に電子部品(図示省略)を収容してユニット化されたものであり、電子部品が筐体10内において露出しないようになっている。
【0036】
蓋部12の側面の下側には、フィルタ(ユニット)22bが固定されている。フィルタ22bも、ケース22b1内に電子部品(図示省略)を収容してユニット化されたものであり、電子部品が筐体10内において露出しないようになっている。蓋部12の底部には、4個のRFコネクタ25が、幅方向に所定間隔をあけて固定されている。このように、電子部品が露出する基板21aを有する無線信号処理部21は、筐体10内の上側において電子部品が露出しないフィルタ22bよりも上方に配置されている(図4参照)。
【0037】
図4において、蓋部12の底部先端12aは、本体部11の底部先端11aの上面に載置されており、これら底部先端11a,12aにより、筐体10の底部には段部が形成されている。これにより、各RFコネクタ25は、本体部11側の水抜き孔15(後述)よりも高い位置に取り付けられている。
【0038】
[水抜き孔]
図7は、図5の本体部11の要部拡大図である。本体部11の底部には、複数(本実施形態では2つ)の水抜き孔15が形成されている。具体的には、本体部11の底部の幅方向両端部には、筐体10内の水を溜めるための凹部14が形成されており、各凹部14内に前記水抜き孔15がそれぞれ形成されている。一方(図7の左側)の水抜き孔15は、電源コネクタ24に近接して形成され、他方(図7の右側)の水抜き孔15は、制御用コネクタ26に近接して形成されている。各水抜き孔15は、本体部11の底部を上下方向に貫通して形成されており、凹部14に溜まった水を外部へ排出するようになっている。
【0039】
本体部11の底部には、水抜き孔15の外側において、当該底部から下方に突出する一対の突出部材16が設けられている。この突出部材16は、本体部11の底部の幅方向両端部にそれぞれ一体形成されており(図5参照)、本体部11の前後方向(図4の左右方向)の略全長に亘って延びている。これにより、本体部11の外側から横方向に吹き付けられる雨水等を突出部材16により遮蔽することができ、この雨水等が水抜き孔15に直接付着するのを抑制することができる。
【0040】
本実施形態では、電源コネクタ24及び制御用コネクタ26も、前記突出部材16としての機能を果たしている。すなわち、電源コネクタ24及び制御用コネクタ26は、水抜き孔15の孔径よりも大径に形成され(図4参照)、水抜き孔15の外側において本体部11の底部よりも下方に突出して配置されており(図7参照)、前記雨水等を遮蔽するようになっている。また、電源コネクタ24及び制御用コネクタ26に下方から挿し込まれるコネクタ(図示省略)及びケーブル(図示省略)も突出部材16としての機能を果たすようになっている。
【0041】
[閉塞部]
図7において、本体部11の底部には、各水抜き孔15をそれぞれ塞ぐ閉塞部30が設けられている。閉塞部30は、水抜き孔15に挿通される雄ネジ部であるボルト31と、このボルト31が螺合される雌ネジ部であるネジ孔32とを備えている。本実施形態では、水抜き孔15の内周面の上下方向全長に亘ってネジ孔32が形成されており、水抜き孔15がネジ孔32としての機能を果たしている。
【0042】
ボルト31は、水抜き孔15の孔径よりも大径の頭部31aを有している。ボルト31は、頭部31aが水抜き孔15の下方に位置するように水抜き孔15(ネジ孔32)に螺合して締め付けられ、頭部31aの上面が本体部11の底部下面に当接している。これにより、水抜き孔15は、ボルト31と水抜き孔15との螺合部分、及びボルト31の頭部31aによって塞がれている。
【0043】
本実施形態において、凹部14に溜まった水を水抜き孔15から外部へ排出する際は、図7の状態から、各ボルト31を回転させて各水抜き孔15から抜き出した状態とする。これにより、凹部14に溜まった水は、水抜き孔15を通過して外部へ排出される。水抜き後は、各ボルト31を各水抜き孔15に締め付けて図11の閉塞状態とする。
【0044】
以上、本発明の第1の実施形態に係る通信装置によれば、筐体10の本体部11の底部に水抜き孔15を形成したので、筐体10内に溜まった水を水抜き孔15から外部へ容易に排出することができる。また、水抜き孔15を閉塞部30により塞ぐことができるため、筐体10の防水性能を確保することができる。
【0045】
また、ボルト31の頭部31aが、水抜き孔15の孔径よりも大径に形成されているため、この頭部31aにより水抜き孔15を容易に塞ぐことができる。
【0046】
また、水抜き孔15には、ボルト31が螺合されるネジ孔32が形成されているため、ボルト31の頭部31aと、ボルト31とネジ孔32との螺合部分とにより水抜き孔15を塞ぐことができるため、筐体10の防水性能を高めることができる。
【0047】
また、ネジ孔32を水抜き孔15の内周面に形成したので、水抜き孔15を閉塞部30の雌ネジ部として兼用することができる。このため、通信装置(RRH3)の製造コストを低減することができる。
【0048】
また、水抜き孔15が1つのみの場合は、筐体10内が密閉されているため、水抜きをしにくい場合があるが、本実施形態の水抜き孔15は、筐体10の底部に複数形成されているため、複数の水抜き孔15の一部を空気孔として用いることにより、排水性能を高めることができる。
【0049】
また、筐体10内において電子部品が露出する無線信号処理部21の基板21aを、筐体10内の上側に配置したので、基板21a上の電子部品が筐体10内に溜まった水によりショートするのを抑制することができる。
【0050】
電子部品が露出する前記基板21aを、電子部品が露出しないフィルタ22bよりも上方に配置されているため、筐体10内に配置された電子部品が筐体10内に溜まった水によりショートするのを効果的に抑制することができる。
【0051】
また、本体部11の底部に筐体10内の水を溜めるための凹部14を形成し、この凹部14内に水抜き孔15を形成したので、筐体10内の水を水抜き孔15から効果的に排出することができる。
【0052】
また、本体部11の底部から下方に突出し、当該底部の外側から横方向に吹き付けられる雨水等を遮蔽する突出部材16を備えているので、雨水等が水抜き孔15に直接付着するのを抑制することができる。したがって、筐体10の外側から横方向に吹き付ける雨水等が水抜き孔15に浸入するのを突出部材16により効果的に抑制することができる。
【0053】
また、水抜き孔15が突出部材16(電源コネクタ24)に近接して形成されているため、水抜き孔15から雨水等が浸入するのを突出部材16によりさらに効果的に抑制することができる。
【0054】
また、電源制御部23に接続された電源コネクタ24を突出部材16として兼用することができるため、通信装置の製造コストを低減することができる。
【0055】
また、筐体10の底部には、蓋部12の底部先端12aと本体部11の底部先端11aとにより、RFコネクタ25を水抜き孔15よりも高い位置に取り付けるための段部が形成されているため、筐体10内においてRFコネクタ25の周辺に水が溜まるのを抑制することができる。これにより、RFコネクタ25が筐体10内に溜まった水によりショートするのを抑制することができる。
【0056】
〔第2の実施形態〕
図8は、本発明の第2の実施形態に係る通信装置の要部拡大断面図である。本実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、閉塞部の構成が異なる点である。以下、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一構成の部位については、同一名称及び同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図8において、本実施形態における閉塞部35は、ボルト31が水抜き孔15(ネジ孔32)の上方から螺合されて締め付けられ、頭部31aの下面が本体部11の底部上面に当接している。
【0058】
ボルト31は、水抜き孔15の下方に先部31bの一部が突出するように水抜き孔15に螺合されている。本実施形態の閉塞部35は、水抜き孔15に螺合された前記先部31bの突出部分に螺合されるナット33をさらに備えている。ナット33は、図8に示すように、前記先部31bの突出部分に螺合して締め付けられ、その上面33aが本体部11の底部の下面に当接して締結されている。これにより、水抜き孔15は、ボルト31の頭部31a、ボルト31と水抜き孔15との螺合部分、及びナット33によって塞がれている。
【0059】
図9は、筐体10内の水を水抜き孔15から外部へ排出する水抜き手順を示す説明図である。まず、図8の閉塞状態からナット33を緩める。すなわち、ナット33を矢符a方向に回転させ、図9(a)に示すように、ナット33をボルト31の先部31bに対して下方に移動させる。その際、ボルト31は、水抜き孔15に螺合されているため、ナット33とともに矢符a方向に供回りすることはない。
【0060】
次に、図9(a)に示すように、ボルト31の先部31bを矢符b方向に回転させてボルト31を緩めると、図9(b)に示すように、ボルト31の頭部31aの下面が本体部11の底部上面から上方へ離反する。これにより、凹部14に溜まった水は、ボルト31の先部31bと水抜き孔15との隙間を通過して外部へ排出される。水抜き後は、上記と逆の手順によりボルト31及びナット33を締め付けて図8の閉塞状態とする。
【0061】
以上、第2の実施形態に係る通信装置によれば、ボルト31の頭部31aが水抜き孔15の上方に位置するように当該水抜き孔15に螺合されているので、水抜きを行う際に、ボルト31が本体部11から落下するのを防止することができる。また、ボルト31の先部31bが、水抜き孔15の下方に一部突出させるように水抜き孔15に螺合されているので、この状態から前記先部31bの突出部分を回転させながら上方へ移動させることにより、ボルト31を水抜き孔15に対して緩めることができる。これにより、本体部11から蓋部12を取り外すことなく水抜きを行うことができる。
【0062】
また、ボルト31の先部31bの突出部分にナット33を螺合したので、ナット33の上面33aを本体部11の底部下面に当接させて締結することができる。これにより、筐体10の防水性能を高めることができる。
【0063】
〔第3の実施形態〕
図10は、本発明の第3の実施形態に係る通信装置の要部拡大断面図である。本実施形態と第2の実施形態とが相違する点は、閉塞部の雄ネジ部の構成が異なる点である。以下、本実施形態の説明において、第2の実施形態と同一構成の部位については、同一名称及び同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
図10(a)において、本実施形態における閉塞部の雄ネジ部41は、ボルト41aと、このボルト41aの下端に固定された円柱状の小径部41bと、小径部41bの下端に固定された円板状の大径部41cとによって構成されている。ボルト41aは、水抜き孔15(ネジ孔32)に螺合して締め付けられ、頭部41a1の下面が本体部11の底部上面に当接している。これにより、水抜き孔15は、ボルト41aの頭部41a1、ボルト41aと水抜き孔15との螺合部分、及びナット33によって塞がれている。
【0065】
小径部41bは、図10(c)に示すように、水抜き孔15の孔径よりも小径に形成されているとともに、その軸方向の長さは、水抜き孔15の上下方向の全長よりも長く形成されている。大径部41cは、ナット33のネジ孔径よりも大径に形成されている。
【0066】
次に、凹部14に溜まった水を水抜き孔15から外部へ排出する水抜き手順を図10(a)〜(c)に基づいて説明する。まず、図10(a)の閉塞状態からナット33を緩める。すなわち、ナット33を矢符a方向に回転させ、ナット33とボルト41aとの螺合を解除する。その際、ボルト41aは、水抜き孔15に螺合されているため、ナット33とともに矢符a方向に供回りすることはない。また、ナット33は、螺合解除されると自重により落下するが、図10(b)に示すように、大径部41cの上面に当接することにより、雄ネジ部41から脱落しないようになっている。
【0067】
次に、図10(b)に示すように、大径部41cを矢符b方向に回転させ、小径部41bを介してボルト41aを緩める方向に回転させる。そして、ボルト41aと水抜き孔15との螺合が解除されると、図10(c)に示すように、大径部41cを上方へ押し上げ、小径部41bを水抜き孔15内に挿入させる。これにより、凹部14に溜まった水は、小径部41bと水抜き孔15との隙間を通過して外部へ排出される。水抜き後は、上記と逆の手順によりボルト41a及びナット33を締め付けて図10(a)の閉塞状態とする。
【0068】
以上、第3の実施形態に係る通信装置によれば、閉塞部の雄ネジ部41に、水抜き孔15の孔径よりも小径であってかつ軸方向の長さが水抜き孔15の上下方向の全長よりも長い小径部41bを形成し、小径部41bと水抜き孔15との隙間から水抜きを行うようにしたので、第2の実施形態のようにボルト31と水抜き孔15との隙間から水抜きを行う場合に比べて、迅速に水抜きを行うことができる。
【0069】
また、雄ネジ部41のボルト41aの下方に、ナット33のネジ孔径よりも大径の大径部41cを形成したので、水抜き時にナット33とボルト41aとの螺合を解除した際に、ナット33が大径部41cに当接することにより雄ネジ部41から脱落するのを防止することができる。
【0070】
〔第4の実施形態〕
図11は、本発明の第4の実施形態に係る通信装置の要部拡大断面図である。本実施形態と第1の実施形態とが相違する点は、水抜き孔及び閉塞部の構成が異なる点である。以下、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一構成の部位については、同一名称及び同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図11において、本体部11の底部の凹部14が形成されている箇所には、その上下方向の厚みが他の箇所よりも厚く形成された肉厚部11bが形成されている。この肉厚部11bには、本実施形態の水抜き孔50が形成されている。水抜き孔50は、第1孔部50aと第2孔部50bとにより屈曲形成されている。第1孔部50aは、凹部14から略鉛直下方に延びている。第2孔部50bは、第1孔部50aの下端から横方向に延びて肉厚部11bの外側である外側面11b1に開口している。
【0072】
本体部11には、水抜き孔50を塞ぐ閉塞部51が設けられている。閉塞部51は、雄ネジ部であるボルト52と、このボルト52が螺合される雌ネジ部であるネジ孔53とによって構成されている。本実施形態では、水抜き孔50の第2孔部50bにネジ孔53が形成されており、第2孔部50bがネジ孔53としての機能を果たしている。
【0073】
ボルト52は、第2孔部50b(ネジ孔53)に螺合して締め付けられ、頭部52aの下面(図11の左側面)が肉厚部11bの外側面11b1に当接している。これにより、水抜き孔15は、ボルト52の頭部52a、及びボルト52と第2孔部50bとの螺合部分によって塞がれている。
【0074】
本実施形態において、凹部14に溜まった水を水抜き孔50から外部へ排出する際は、図11の状態から、ボルト52を回転させて第2孔部50bから抜き出した状態とする。これにより、凹部14に溜まった水は、第1孔部50a及び第2孔部50bを通過して外部へ排出される。水抜き後は、ボルト52を第2孔部50bに締め付けて図11の閉塞状態とする。
【0075】
以上、第4の実施形態に係る通信装置によれば、水抜き孔50を第1孔部50aと第2孔部50bとにより屈曲形成したので、雨水等が水抜き孔50から筐体10内に浸入するのを抑制することができる。
【0076】
[その他の変形例]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0077】
例えば、上記各実施形態において、水抜き孔15(50)は、本体部11に形成されているが、蓋部12に形成されていてもよい。また、水抜き孔15(50)は、少なくとも1箇所に形成されていればよい。
【0078】
また、第1の実施形態において、水抜き孔15にはネジ孔32が形成されているが、このネジ孔32を形成せずに、ボルト31を水抜き孔15の上方から差し込み、ボルト31の頭部31aのみで水抜き孔15の上端部を塞いでもよい。この場合、ボルト31の下部を上方へ押し上げ、頭部31aをネジ孔32の上端部から上方へ持ち上げることにより、水抜きを容易に行うことができる。
【0079】
また、第2及び第3の実施形態において、水抜き孔15に形成されたネジ孔32を閉塞部30の雌ネジ部としているが、ナット33のネジ孔を雌ネジ部としてもよい。
【0080】
また、突出部材16として、本体部11の底部の幅方向両端部に形成されたものと、電源コネクタ24とがあるが、いずれか一方のみであってもよい。また、電源コネクタ24以外に、RFコネクタ25や制御用コネクタ26を突出部材16としてもよい。
また、筐体10の底部に形成された段部に、RFコネクタ25を取り付けているが、電源コネクタ24や制御用コネクタ26を取り付けてもよい。
また、閉塞部30(35,51)は、ネジ(雄ネジ部・雌ネジ部)以外に、ゴムやゴアテックス(登録商標)等の他の部材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0081】
3 リモート・レディオ・ヘッド(通信装置)
10 筐体
14 凹部
15,50 水抜き孔
16 突出部材
20 通信機器
21a 基板
22b フィルタ(ユニット)
24 電源コネクタ(コネクタ)
25 RFコネクタ(コネクタ)
26 制御用コネクタ(コネクタ)
30,35,51 閉塞部
31,41a,52 ボルト(雄ネジ部)
31a,52a 頭部
32,53 ネジ孔(雌ネジ部)
33 ナット
41 雄ネジ部
41b 小径部
41c 大径部
50a 第1孔部
50b 第2孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置される筐体内に通信機器が収容されている通信装置であって、
前記筐体の底部には水抜き孔が形成され、
前記水抜き孔を塞ぐ閉塞部を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記閉塞部は、前記水抜き孔の孔径よりも大径の頭部を有する雄ネジ部を備えている請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記水抜き孔には、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部が形成されている請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記閉塞部は、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部をさらに備えている請求項2又は3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記閉塞部は、前記水抜き孔に挿通される雄ネジ部を備え、
前記水抜き孔には、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部が形成されている請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記閉塞部は、水抜き孔に挿通される雄ネジ部と、前記雄ネジ部が螺合される雌ネジ部とを備えている請求項1又は5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記雄ネジ部は、頭部が前記水抜き孔の上方に位置するように前記雌ネジ部に螺合されるボルトを有している請求項3〜6に記載の通信装置。
【請求項8】
前記ボルトが、前記水抜き孔の下方に一部突出するように前記雌ネジ部に螺合され、
前記閉塞部は、前記ボルトの突出部分に螺合されるナットをさらに備えている請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記雄ネジ部は、前記ボルトの下方において前記水抜き孔の孔径よりも小径に形成され、かつ軸方向の長さが前記水抜き孔の上下方向の全長よりも長く形成された小径部をさらに有している請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記雄ネジ部は、前記小径部の下方において前記ナットのネジ孔径よりも大径に形成された大径部をさらに有している請求項9に記載の通信装置。
【請求項11】
前記水抜き孔は、前記筐体の底部から下方に延びる第1孔部と、当該第1孔部の下端から横方向に延びて前記筐体の底部の外側に開口する第2孔部とを有している請求項1〜7のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記水抜き孔は、前記筐体の底部に複数形成されている請求項1〜11のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信機器は、前記筐体内において電子部品が露出する基板を有し、
前記基板が、前記筐体内の上側に配置されている請求項1〜12のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信機器は、前記筐体内において電子部品が露出しないユニットをさらに有し、
前記基板が、前記ユニットよりも上方に配置されている請求項13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記筐体の底部には、当該筐体内の水を溜めるための凹部が形成され、
前記水抜き孔が、前記凹部内に形成されている請求項1〜14のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項16】
前記筐体の底部から下方に突出する突出部材をさらに備えている請求項1〜15のいずれか一項に記載の通信装置。
【請求項17】
前記水抜き孔が、前記突出部材に近接して形成されている請求項16に記載の通信装置。
【請求項18】
前記突出部材が、前記通信機器に接続されるコネクタである請求項16又は17に記載の通信装置。
【請求項19】
前記筐体の底部には、前記通信機器に接続されるコネクタを前記水抜き孔よりも高い位置に取り付けるための段部が形成されている請求項1〜18のいずれか一項に記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−38844(P2012−38844A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176082(P2010−176082)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】