説明

通気弁用音減衰バッフル

迷路形状を有する少なくとも1つの空気誘導導管(16、18、20、22)を含む、特に自動車の内部への音の進入を低減する通気弁用バッフル(10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車の内部への音の進入を低減する通気弁用バッフルに関する。
【背景技術】
【0002】
車両内部のための通気弁が一般に既知である。それらは、車両内部に供給される空気を、換気システムおよび/または空調システムを介して外部へ排出するように機能する。そのような通気弁は、通常、車両内部から外への空気の流出を可能にするが望ましくない外気の侵入ならびに泥および水の侵入を防止する複数の逆止め弁を有する。
【0003】
高まる快適さの要求を満たすために、通気弁を通る車両内部への望ましくない音の進入を低減するために、既に様々な試みが行われてきている。消音発泡物質で被覆された騒音防止キャップが既知である。しかし、そのような騒音防止キャップの有効性は非常に限定されていることが明らかになった。さらに、騒音防止キャップは、それらの製造が複雑なので、比較的高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、通気弁の分野における簡単かつ費用効果的な方策により、車両内部への望ましくない音の進入を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、特に自動車の内部への音の進入を低減する本発明に基づき、迷路形状を有する少なくとも1つの空気誘導導管を含む、通気弁用バッフルが提供されている。本発明は、簡単な構造を有する拡張機能部分を備えた通気弁を提供しかつ内部への音の進入を防止するかまたは少なくとも低減する基本的発想に基づいている。通気導管の迷路形状は、音波の大部分が外部へ反射および反響されるという結果をもたらす。高価な吸収材を使用する必要はない。迷路形状は、少ない出費で、空気交換に必要な空気誘導導管の流断面積が著しく減らされることなく、所望の反射形状を実現することを可能にする。
【0006】
本発明の実施形態によれば、空気誘導導管内に少なくとも1つの反射壁が配置されると定められている。この反射壁上に入射する音波は、それらが車両内部に進入することができないように反射および反響される。
【0007】
空気誘導導管内に2つの反射壁が配置されると定められていることが好ましい。詳細には、該反射壁は、バッフルの騒音防止効果がさらに増大されるように、互いに対向しているように配置され得る。
【0008】
実施形態によれば、反射壁のうちの1つが、空気誘導導管の底面と一体で形成されている延長部として実現される。この構造は製造支出が少ないことで特徴付けられる。
バッフルは通気弁との結合のために設けられている取付け側を有し、反射壁の一方が取付け側から離れて対向している空気誘導導管の端部に配置され、反射壁の他方は空気誘導導管のおおよそ中央に配置されると定められていることが好ましい。このようにして、良好な反射効果を確実にすると同時に、空気誘導導管の大断面積を維持することが可能である。
【0009】
代替的構造によれば、空気誘導導管は、角度の付いた状態で延在すると定められている。この構造は、角度の付いた延長部により、既に十分な騒音防止効果が得られ得るという調査結果に基づいている。
【0010】
簡単な構造によれば、空気誘導導管の底面は、バッフルの入口側から、最初に上昇し次に下降するように延在すると定められている。騒音防止効果はさておき、そのような構造はまた、さらなる支出なしに、望ましくない水の侵入に対する防御をもたらすことを可能にする。
【0011】
底面の頂上は、少なくとも、空気誘導導管の出口側端部の上縁部の高さに延出すると定められていることが好ましい。この構造は、互いに対する空気誘導導管の壁の十分なずれを確実にし、その結果、非常に良好な騒音防止効果が得られる。
【0012】
本発明の好適な実施形態によれば、空気誘導導管は、侵入する水が外部へ誘導されるように構成されている底面を有すると定められている。この構造では、バッフルもまた、通気弁を通る望ましくない水の侵入を防止する機能を有する。このようにして、通気弁における付加的な排水導管が省略され得る。
【0013】
本発明の好適な実施形態によれば、バッフルには、通気弁への取付けのための取付け手段が設けられると定められている。このことは、それ程苦労せずにバッフルを通気弁に取り付けることを可能にし、その結果、例えば、要求に応じて、1つの同じ通気弁がバッフルを有してまたは有さずに供給され得る。
【0014】
本発明によれば、また、前述の型の通気弁とバッフルとを有する組立体が提供され、空気誘導導管の底面は、侵入する水がバッフルの入口側にかつバッフルの外へ誘導されるように傾斜している。本実施形態は、バッフルが通気弁の外面上に配置されている場合に有利であり、侵入する水は第1の位置では通気弁に到達しないがバッフルにより既に収集されており、再度外部に誘導される。
【0015】
本発明によれば、代替的組立体では、通気弁を通ってバッフルに到達した水が通気弁に戻るように誘導され、その結果、該通気弁を通って離れるように導かれるように、空気誘導導管の底面が傾斜していると定められている可能性がある。この構造は、通気弁の内側上にすなわち車両内部に向かって配置されているバッフルを活用する。この構造では、通気弁を通って侵入した水が、バッフルにより収集され、再度通気弁へ戻るように誘導される。したがって、水を離すように導く別個の方策が省略され得る。
【0016】
バッフルが通気弁に取り外し可能に取り付けられると定められていることが好ましい。この構造は、一方で、それ程苦労せずにバッフルを通気弁に取り付けることを可能にする。他方で、バッフルは、現在の要件に従って、通気弁に組み込まれることが可能である。
【0017】
本発明は、添付図面に示されている2つの実施形態を参照して、以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態によるバッフルの概略断面図である。
【図2】通気弁に取り付けられている図1のバッフルの概略断面図である。
【図3】図2に示されている組立体の斜視図である。
【図4】第2の実施形態によるバッフルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本事例では、広い意味で平行六面体形状を有する一体のプラスチック本体として構成されているバッフル10を断面図に示す。図1に示されている流動矢印により指示されている合計4つの空気誘導導管16、18、20、22が、入口側12から出口側14までバッフルを通って延在している。空気誘導導管16は、上部外壁24と、空気誘導導管16の底面を形成する中間壁26と、下方の空気誘導導管18の上面との間に画定されている。空気誘導導管18は、該上面上で中間壁26と、底面側で別の中間壁28とにより画定されている。一方、空気誘導導管20は、中間壁28と別の中間壁30とにより画定されている。最後に、空気誘導導管22は、中間壁30と、底部に配置されている、バッフル10の外壁32とにより画定されている。外側に沿って、各空気誘導導管16、18、20、22は、バッフルの外側壁34、36により画定されている。
【0020】
2つの各反射壁が、各空気誘導導管内に配置されており、それらは、図1では水平方向に配向されている各空気誘導導管の仮想長手方向軸に対して垂直に延在している。中央反射壁38と後部反射壁40とが、上部空気誘導導管16内に配置されている。中央反射壁38は、上部外壁24の一体延長部として構成されている一方、後部反射壁40は、中間壁26の上方に延在している一体延長部として構成されている。同じ反射壁40は、2つの中心空気誘導導管18、20内に配置されている。これら2つの空気誘導導管の中央反射壁42は、中間壁26および28それぞれから下方に垂直に突出しているウェブ42により形成されている。そのような反射壁42はまた、下方空気誘導導管22にも設けられている一方、後部反射壁は、下方外壁32の上方に延在している延長部44により、下方空気誘導導管22に形成されている。
【0021】
各空気誘導導管の中央に配置されている反射壁38または42それぞれは、おおよそ、後部反射壁40または44それぞれと同じ高さで終端しており、かつ該後部反射壁と共に迷路形状を形成している。この迷路形状は、図1に関して水平方向にバッフルを通る空気流の一直線の通過を防止する。迷路形状は、むしろ、矢印16、18、20、22で表されているように空気流の湾曲した伸展を余儀なくする。
【0022】
図2および図3では、バッフル10は、通気弁50に固定されて示されている。通気弁は、車両構造の開口部内に取り付けられており、複数の逆止め弁52を有し、該逆止め弁は、本事例では概略的にしか示されておらず、空気はそれを通って車両内部から外部へ脱出することができる。バッフル10は、例えばバッフルの掛け金突出部48と係合するスナップ式フック54により、車両内部の方を向いている通気弁50の表面に取り外し可能に取り付けられている。
【0023】
図2では、外部から通気弁50に作用する音は、矢印Sで表されている。逆止め弁52を通って進入する音は反射壁38、40、42、44上で反射されかつ外部へ反響される(矢印R参照)ことが認められる。
【0024】
バッフル10の有利な副作用が、該バッフルが通気弁50を通る車両内部への水の進入を防止することである。空気誘導導管の構造により、反射壁40、44は、どんなに遅くとも、逆止め弁52を通って侵入することができるであろう水の収集壁として作用する。この水は、中間壁26、28、30によりまたは下方外壁32により、通気弁50に戻るように誘導され、そこで、逆止め弁55と関連する開口部経由で、または排水導管56経由で、直接外部へ導かれる。
【0025】
図1から図3までに示されている実施形態とは異なり、また、空気誘導導管のおおよそ中央に配置されている反射壁38、42の配置と通気弁50から離れて対向している端部に配置されている反射壁40、44の配置とは交換することができ、それは、中央反射壁が空気誘導導管の底面から上方に延在しており、後部反射壁が上面から下方に延在していることを意味する。この変異形態では、反射効果および水収集効果の両方が維持されている。
【0026】
図4は、通気弁50上のバッフル10の配置に関して、かつ空気誘導導管の構造に関して、第1の実施形態とは異なる第2の実施形態を示す。
図4に示されているバッフル10は、通気弁50の外面上にすなわち内部から外部への空気流に関して通気弁の下流に配置されている。第2の相違が、空気誘導導管の仮想長手方向軸に対しておおよそ垂直に配向されている反射壁が使用されないことである。むしろ、迷路形状が空気誘導導管自体の上方限界および下方限界により形成されるように、各空気誘導導管は、曲がった状態または角度の付いた状態で延在している。この目的のために、各中間壁26、28、30は、角度の付いた状態ですなわち屋根様形状を有して構成されている。流動方向に沿って見ると、各空気誘導導管16、18、20、22は、最初に上昇し、次にバッフル10の出口側端部まで下降している。各空気誘導導管の底面を画定している中間壁26、28、30または下方外壁32の頂上は、適切な空気誘導導管の出口側上縁とおおよそ等しい高さにあり、該出口側上縁は、上方外壁24または中間壁26、28、30により画定されている。迷路形状はまた、通気弁50を通る外部から車両内部への音の進入を防止するかまたは低減する。さらに、侵入する水が通気弁50に到達する前に空気誘導導管の外側上昇部分がそれを即座に収集し、再度外部へ導くので、侵入する水に対する防御が実現される。
【0027】
全ての実施形態は、空気誘導導管の断面積が迷路形状により制限されるばかりでなく、通気弁50の逆止め弁52によりもたらされる流断面積とおおよそ少なくとも同じ大きさでもあるという共通点を有する。このようにして、通気弁の体積流量は減じられない。
【0028】
図示の実施形態とは異なり、バッフル10はまた、例えばそれをより簡単な方法で製造するために、いくつかの部品で実現され得る。原理上、バッフルを、通気弁を備えた一体で構成することもまた可能である。しかし、バッフルは、それらが対応する通気弁に拡張機能部分として取り付けられ得るように構成されることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
迷路形状を有する少なくとも1つの空気誘導導管(16、18、20、22)を含む、特に自動車の内部への音の進入を低減する通気弁用バッフル(10)。
【請求項2】
前記空気誘導導管(16、18、20、22)内に少なくとも1つの反射壁(38、40、42、44)が配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のバッフル(10)。
【請求項3】
2つの反射壁(38、40、42、44)が前記空気誘導導管(16、18、20、22)内に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のバッフル(10)。
【請求項4】
前記反射壁の一方(40、42)は、前記空気誘導導管の底面と一体で形成されている延長部により実現されることを特徴とする、請求項3に記載のバッフル(10)。
【請求項5】
前記バッフルは前記通気弁との結合のために設けられている取付け側を有すること、および前記反射壁の一方(40、44)は、前記取付け側から離れて対向している前記空気誘導導管(16、18、20、22)の端部に配置されており、前記反射壁の他方(38、42)は前記空気誘導導管のおおよそ中央に配置されていることを特徴とする、請求項3または請求項4に記載のバッフル(10)。
【請求項6】
前記空気誘導導管(16、18、20、22)は角度の付いた状態で延在することを特徴とする、請求項1に記載のバッフル(10)。
【請求項7】
前記空気誘導導管(16、18、20、22)の前記底面は、最初に上昇し次いで下降するように、入口側から延在することを特徴とする、請求項6に記載のバッフル(10)。
【請求項8】
前記底面(26、28、30、32)の頂上は、少なくとも、前記空気誘導導管の出口側端部の上縁部の高さに配置されていることを特徴とする、請求項7に記載のバッフル(10)。
【請求項9】
前記空気誘導導管(16、18、20、22)は、侵入する水が外部に誘導されるように構成されている底面を有することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のバッフル(10)。
【請求項10】
前記バッフルには、通気弁への取付けのための取付け手段(46)が設けられていることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載のバッフル(10)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の通気弁(50)およびバッフル(10)を含む組立体であって、侵入する水が前記バッフル(10)の前記入口側にかつ前記バッフルの外へ誘導されるように、前記空気誘導導管(16、18、20、22)の前記底面(26、28、30、32)は傾斜していることを特徴とする、組立体。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の通気弁(50)およびバッフルを含む組立体であって、前記通気弁(50)を通って前記バッフル(10)に到達した水が前記通気弁(50)へ戻るように誘導され、その結果、該通気弁を通って離れるように導かれるように、前記空気誘導導管の前記底面(26、28、30、32)は傾斜していることを特徴とする、組立体。
【請求項13】
前記バッフル(10)は前記通気弁(50)に取り外し可能に取り付けられていることを特徴とする、請求項11および12のいずれか一項に記載の組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521186(P2013−521186A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556404(P2012−556404)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/001053
【国際公開番号】WO2011/110306
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(597013146)ティーアールダブリュー・オートモーティブ・エレクトロニクス・アンド・コンポーネンツ・ゲーエムベーハー (51)
【住所又は居所原語表記】Industriestr.2−8,78315 Radolfzell,Germany
【Fターム(参考)】