説明

通知装置、通知システム、端末装置、通知方法、及び通知プログラム

【課題】端末装置が確実に他の端末装置のプレゼンス情報を取得できるように、端末装置にメッセージを通知できる通知装置、通知システム、端末装置、通知方法、及び通知プログラムを提供する。
【解決手段】通知装置10は、端末装置11から送信されたSUBSCRIBEを受信する(S17)。通知装置10は、SUBSCRIBEによって指定されるプレゼンティティIDの数が一つであるので、プレゼンティティIDに対応する状態情報を一つ取得し、NOTIFYに格納して端末装置11に対して送信する(S21)。通知装置10は、端末装置12から送信されたSUBSCRIBEを受信する(S39)。通知装置10は、SUBSCRIBEによって指定されるプレゼンティティの数が二以上であるので、プレゼンティティIDに対応する状態情報を二つ取得し、200 OKに格納して一度に端末装置12に対して送信する(S41)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知装置、通知システム、端末装置、通知方法、及び通知プログラムに関する。より詳細には、端末装置のプレゼンス情報を通知する通知装置、通知システム、端末装置、通知方法、及び通知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
端末装置が、ネットワークに接続する他の端末装置及びそのユーザの状態に関する情報を知ることができるサービスが知られている。以下、端末装置及びそのユーザの状態に関する情報を、プレゼンス情報ともいう。このサービスでは、通常、プレゼンス情報を管理する通知装置が使用される。端末装置は、通知装置に対して、他の端末装置のプレゼンス情報を要求する。通知装置は、要求された他の端末装置のプレゼンス情報を特定し、端末装置に通知する。これによって端末装置は、他の端末装置のプレゼンス情報を取得することができる。以下、プレゼンス情報を要求する側の端末装置を「ウォッチャ」ともいう。プレゼンス情報が要求される他の端末装置を「プレゼンティティ」ともいう。通知装置を「プレゼンスサーバ」ともいう。上述したサービスの一例として、SIP(Session Initiation Protocol)を利用したサービスが挙げられる。
【0003】
SIPを利用したサービスでは、複数のプレゼンティティのプレゼンス情報をプレゼンスサーバがウォッチャに通知する場合、プレゼンス情報毎にメッセージを一つずつ作成してウォッチャに送信する必要がある。これに対して特許文献1に記載された方法では、同一のウォッチャに送信するプレゼンス情報が複数ある場合、プレゼンスサーバは、これらを一つのメッセージに格納して送信することができる。ウォッチャは、受信したメッセージから複数のプレゼンス情報を抽出することで、複数のプレゼンティティのプレゼンス情報を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−72485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数のプレゼンス情報が格納されたメッセージの認識が可能な端末装置と、該メッセージの認識が不可能な既存の端末装置とがネットワーク内に併存する場合がある。この場合、認識が不可能な端末装置は、受信したメッセージから複数のプレゼンス情報を抽出できないので、他の端末装置のプレゼンス情報を取得できない場合が発生し得るという問題点がある。
【0006】
本発明の目的は、端末装置が確実に他の端末装置のプレゼンス情報を取得できるように、端末装置にメッセージを通知できる通知装置、通知システム、端末装置、通知方法、及び通知プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様に係る通知装置は、ネットワークを介して接続した端末装置を識別する識別情報と、前記端末装置及び前記端末装置のユーザの状態を示す状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段と、前記端末装置から送信された、他の前記端末装置の前記状態情報を要求する要求パケットを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断手段と、前記第一判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断手段と、前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得手段と、前記第一取得手段によって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信手段とを備えている。
【0008】
第一態様によれば、通知装置は、二以上の他の端末装置の状態情報を要求する要求パケットを受信した場合に、対応する二以上の状態情報を取得し、要求パケットを送信した端末装置に対して通知する。通知装置は、要求パケットによって要求されている状態情報の数に基づいて、二以上の状態情報をまとめて通知するか否かを判断できる。通知装置は、端末装置において第一通知パケットに格納された二以上の状態情報をまとめて認識できると判断した場合に、二以上の状態情報をまとめて端末装置に通知する。これによって通知装置は、要求パケットを送信した端末装置が認識可能な態様で、状態情報を端末装置に対して通知することができる。
【0009】
また、第一態様において、前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報のうち少なくとも一が前記記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記状態情報が取得できない旨を通知する第二通知パケットを、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して送信する第二送信手段を備えていてもよい。通知装置は、要求された状態情報の全てを取得できない場合、端末装置に対して、状態情報が取得できない旨を通知することができる。これによって端末装置は、通知装置が管理するネットワークやサービスの範囲内に、所望する他の端末装置が存在していないことを認識できる。
【0010】
また、第一態様において、前記第一送信手段は、前記第一通知パケットに格納する前記状態情報のデータサイズが所定値より大きくなった場合に、前記状態情報のデータサイズが前記所定値以下となるように分割して前記第一通知パケットに格納し、前記第一通知パケットを送信してもよい。第一通知パケットを予め分割して送信することで、ネットワークに介在するルータやサーバ等が第一通知パケットを分割することを回避できる。これによって、ルータやサーバでの処理負荷を軽減できるので、第一通知パケットは確実にルータやサーバによって転送され、端末装置に到達する。従って、端末装置は、通知装置から送信された第一通知パケットを確実に受信し、状態情報を取得できる。
【0011】
また、第一態様において、前記第一取得手段は、前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報のうち少なくとも一が前記記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、二以上の前記端末装置の前記識別情報のうち、前記記憶手段に記憶されている前記識別情報に対応する前記状態情報を取得してもよい。通知装置は、要求された状態情報の全てが取得できない場合、取得可能な状態情報のみを取得して端末装置に通知できる。これによって端末装置は、通知装置において取得可能な状態情報を把握して再度要求する通信が不要となるので、ネットワークのトラフィックを抑制できる。また端末装置は、通知装置において取得可能な状態情報を短時間で取得できる。
【0012】
また、第一態様において、前記第一判断手段によって、一の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、一の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する一の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第二取得手段と、前記第二取得手段によって取得された一の前記状態情報を第三通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第三通知パケットを送信する第三送信手段とを備えていてもよい。端末装置において、第一通知パケットに格納された二以上の識別情報をまとめて処理できない場合には、通知装置は、第一通知パケットに一の状態情報を格納することができる。これによって端末装置は、確実に状態情報を取得することができる。
【0013】
本発明の第二態様に係る通信システムは、ネットワークに接続した端末装置、及び、前記端末装置及び前記端末装置のユーザの状態を示す状態情報を前記端末装置に対して通知する通知装置を備えた通知システムであって、前記通知装置は、前記端末装置を識別する識別情報と前記状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段と、前記端末装置から送信された、他の前記端末装置の前記状態情報を要求する要求パケットを受信する第一受信手段と、前記第一受信手段によって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断手段と、前記第一判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断手段と、前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得手段と、前記第一取得手段によって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信手段とを備え、前記端末装置は、一又は二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットを、前記通知装置に対して送信する端末送信手段と、前記端末送信手段によって二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットが送信された場合に、前記通知装置から送信される前記第一通知パケットを受信する端末受信手段とを備えている。
【0014】
第二態様によれば、通知装置は、二以上の他の端末装置の状態情報を要求する要求パケットを受信した場合に、対応する二以上の状態情報を取得し、要求パケットを送信した端末装置に対して通知する。通知装置は、要求パケットによって要求されている状態情報の数に基づいて、二以上の状態情報をまとめて通知するか否かを判断できる。通知装置は、端末装置において第一通知パケットに格納された二以上の状態情報をまとめて認識できると判断した場合に、二以上の状態情報をまとめて端末装置に通知する。これによって通知装置は、要求パケットを送信した端末装置が認識可能な態様で、状態情報を端末装置に対して通知することができる。また端末装置は、二以上の他の端末装置の状態情報を要求する要求パケットを送信することによって、二以上の状態情報を同時に取得することができる。これによって、状態情報を取得するために必要な通信を抑制できるので、通信のトラフィックが増大することを防止できる。
【0015】
本発明の第三態様に係る端末装置は、一又は二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットを、前記通知装置に対して送信する端末送信手段と、前記端末送信手段によって二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットが送信された場合に、前記通知装置から送信される前記第一通知パケットであって、前記端末送信手段によって送信された前記要求パケットによって要求された二つ以上の前記他の端末装置の前記状態情報が格納された前記第一通知パケットを受信する端末受信手段とを備えている。
【0016】
第三態様によれば、端末装置は、二以上の他の端末装置の状態情報を要求する要求パケットを送信することによって、二以上の状態情報を同時に取得することができる。これによって、状態情報を取得するために必要な通信を抑制できるので、通信のトラフィックが増大することを防止できる。
【0017】
本発明の第四態様に係る通信方法は、ネットワークを介して接続した端末装置から送信された、他の前記端末装置及び前記端末装置のユーザの状態を示す前記状態情報を要求する要求パケットを受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、前記端末装置を識別する識別情報と前記状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段を参照し、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップによって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信ステップとを備えている。
【0018】
第四態様によれば、二以上の他の端末装置の状態情報を要求する要求パケットを受信した場合に、対応する二以上の状態情報を取得し、要求パケットを送信した端末装置に対して通知する。通知装置は、要求パケットによって要求されている状態情報の数に基づいて、二以上の状態情報をまとめて通知するか否かを判断できる。通知装置は、端末装置において第一通知パケットに格納された二以上の状態情報をまとめて認識できると判断した場合に、二以上の状態情報をまとめて端末装置に通知する。これによって通知装置は、要求パケットを送信した端末装置が認識可能な態様で、状態情報を端末装置に対して通知することができる。
【0019】
本発明の第五態様に係る通信プログラムは、ネットワークを介して接続した端末装置から送信された、他の前記端末装置及び前記他の端末装置のユーザの状態を示す前記状態情報を要求する要求パケットを受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断ステップと、前記第一判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、前記端末装置を識別する識別情報と前記状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段を参照し、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断ステップと、前記第二判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得ステップと、前記第一取得ステップによって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信ステップとをコンピュータに実行させる。
【0020】
第五態様によれば、二以上の他の端末装置の状態情報を要求する要求パケットを受信した場合に、対応する二以上の状態情報を取得し、要求パケットを送信した端末装置に対して通知する。通知装置は、要求パケットによって要求されている状態情報の数に基づいて、二以上の状態情報をまとめて通知するか否かを判断できる。通知装置は、端末装置において第一通知パケットに格納された二以上の状態情報をまとめて認識できると判断した場合に、二以上の状態情報をまとめて端末装置に通知する。これによって通知装置は、要求パケットを送信した端末装置が認識可能な態様で、状態情報を端末装置に対して通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】通信システム1の概要、並びに、通知装置10及び端末装置14の電気的構成を示す図である。
【図2】通信シーケンスを示す図である。
【図3】第一テーブル241を示す図である。
【図4】第二テーブル242を示す図である。
【図5】通知メイン処理を示すフローチャートである。
【図6】端末メイン処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0023】
図1を参照し、通信システム1について説明する。通信システム1は、通知装置10、端末装置11、12、及び13(以下、これらを区別しない場合、「端末装置14」と呼ぶ。)を備えている。通知装置10及び端末装置14は、ネットワーク3に接続している。通知装置10及び端末装置14は、ネットワーク3を介して通信を行うことができる。なお、通信装置14に付された符号(11、12、及び13)は、其々の通信装置14のIDも示しているものとする。
【0024】
通知装置10は、SIP(Session Initiation Protocol)に基づいてプレゼンスサービスを提供するプレゼンスサーバである。端末装置14は、周知のPCである。プレゼンスサービスでは、端末装置14の状態、及び、端末装置14を使用するユーザの状態を示す状態情報が、通知装置10から端末装置14に対して通知される。端末装置14では、通知装置10から取得された状態情報をユーザに通知するための画像が、出力部36(ディスプレイ)から出力される。端末装置14のユーザは、他の端末装置14及び他の端末装置14を使用するユーザの状態(「ログイン」「ログアウト」「退席中」など)を認識することができる。
【0025】
通知装置10の電気的構成について説明する。通知装置10は、通知装置10の制御を司るCPU21を備えている。CPU21は、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、通信部25、及びドライブ装置26と電気的に接続している。ROM22には、ブートプログラムやBIOS、OS等が記憶される。RAM23には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD24には、CPU21の制御プログラムが記憶される。またHDD24には、第一テーブル及び第二テーブルが記憶される。第一テーブルは、プレゼンティティのIDと状態情報とを対応付けて管理するためのテーブルである。第二テーブルは、ウォッチャのIDとプレゼンティティのIDとを管理するためのテーブルである。第一テーブル及び第二テーブルの詳細は後述する。通信部25は、ネットワーク3を介して端末装置14と通信を行う場合のタイミング制御を行う。ドライブ装置26は、記憶媒体261に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、通知装置10のセットアップ時、記憶媒体261に記憶された制御プログラムはドライブ装置26によって読み出され、HDD24に記憶される。
【0026】
端末装置14の電気的構成について説明する。端末装置14は、端末装置14の制御を司るCPU31を備えている。CPU31は、ROM32、RAM33、HDD34、入力部35、出力部36、通信部37、及びドライブ装置38と電気的に接続している。ROM32には、ブートプログラムやBIOS、OS等が記憶される。RAM33には、タイマやカウンタ、一時的なデータが記憶される。HDD34には、CPU31の制御プログラムが記憶される。入力部35は、ユーザからの入力を受け付けるキーボードやマウスである。出力部36は、所望の画像を表示させるディスプレイである。通信部37は、ネットワーク3を介して通知装置10と通信を行う場合のタイミング制御を行う。ドライブ装置38は、記憶媒体381に記憶された情報を読み出すことができる。例えば、端末装置14のセットアップ時、記憶媒体381に記憶された制御プログラムはドライブ装置38によって読み出され、HDD34に記憶される。
【0027】
端末装置14が通知装置10から状態情報を取得する場合に実行される通信の方法について、図2を参照して説明する。本実施形態では、端末装置11と端末装置12とでは、通知装置10から状態情報を取得する場合に実行される通信の方法が異なる。端末装置11は、一のプレゼンティティを指定し、対応する状態情報を通知装置10に対して要求する。通知装置10は、指定された一のプレゼンティティに対応する一の状態情報を、ウォッチャである端末装置11に対して通知する。従って、端末装置11が複数のプレゼンティティに対応する状態情報を取得したい場合、端末装置11は、プレゼンティティの数分、通知装置10との通信を繰り返す必要がある。なおこの方法は、SIPに基づいて通常行われる状態情報の取得方法に基づいている。
【0028】
図2に示すように、端末装置11は、はじめに、登録を要求するパケット(以下「REGISTER」という。)を通知装置10に対して送信する。通知装置10は、REGISTERを受信する(S11)。通知装置10は、REGISTERを送信した端末装置11のIDを、HDD24に記憶された第一テーブル(詳細後述)に格納することによって、端末装置11を登録する。続いて端末装置11は、端末装置11に対応する状態情報を通知するためのパケット(以下「PUBLISH」という。)を、通知装置10に対して送信する。PUBLISHには、状態情報「ログイン」が格納されている。通知装置10は、PUBLISHを受信する(S13)。通知装置10は、受信したPUBLISHに格納された状態情報「ログイン」を取得し、第一テーブル(詳細後述)に格納する。通知装置10は、端末装置11に対して肯定的な応答信号(以下「200 OK」という。)を送信する。端末装置11は200 OKを受信する(S15)。
【0029】
図3を参照し、第一テーブルの一例である、第一テーブル241について説明する。第一テーブル241には、プレゼンティティID、及び、状態情報が格納されている。通知装置10は、REGISTERを受信した場合(S11、図2参照)、REGISTERを送信した端末装置11のIDを特定し、プレゼンティティIDとして第一テーブル241に格納する。また通知装置10は、PUBLISHを受信した場合(S13、図2参照)、PUBLISHに格納されている状態情報「ログイン」を、PUBLISHを送信した端末装置11のIDに対応付けて第一テーブル241に格納する。なお、通知装置10に対しては、端末装置12、13からも同様にREGISTER及びPUBLISHが送信されているものとする。従って第一テーブル241には、「プレゼンティティID:12、状態情報:ログイン」「プレゼンティティID:13、状態情報:ログアウト」が格納されている。
【0030】
図2において、端末装置11のユーザが、端末装置12及び13に対応する状態情報の取得を所望しているとする。端末装置11は、状態情報の要求を行うパケット(以下「SUBSCRIBE」という。)に、プレゼンティティに相当する端末装置12、13のうち一方(端末装置12)のIDを格納する。端末装置11は、プレゼンティティのID(以下「プレゼンティティID」という。)「12」が格納されたSUBSCRIBEを、通知装置10に対して送信する。通知装置10は、SUBSCRIBEを受信する(S17)。通知装置10は、SUBSCRIBEを送信した端末装置11のID「11」、及び、SUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティID「12」を、HDD24に記憶された第二テーブル(詳細後述)に格納する。通知装置10は、端末装置11に対して200 OKを送信する。端末装置11は200 OKを受信する(S19)。
【0031】
図4を参照し、HDD24に記憶された第二テーブルの一例である第二テーブル242について説明する。第二テーブル242には、ウォッチャIDとプレゼンティティIDとが格納されている。通知装置10は、SUBSCRIBEを受信した場合(S17、図2参照)、SUBSCRIBEを送信した端末装置11のID「11」を、ウォッチャIDとして第二テーブル242に格納する。また通知装置10は、受信したSUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティID「12」を取得し、ウォッチャIDに対応付けて第二テーブル242に格納する。
【0032】
図2において、通知装置10は、端末装置11に対して200 OKを送信した後、S17で受信したSUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティID「12」に対応する状態情報を、第一テーブルから取得する。図3の第一テーブル241では、プレゼンティティID「12」に状態情報「ログイン」が対応付けられているので、通知装置10は、「ログイン」を状態情報として取得する。通知装置10は、取得した状態情報「ログイン」とプレゼンティティID「12」とを対応付け、状態情報の通知を行うパケット(以下「NOTIFY」という。)に格納する。通知装置10は、端末装置11に対してNOTIFYを送信する。端末装置11は、NOTIFYを受信する(S21)。これによって端末装置11は、S17でSUBSCRIBEによって要求した端末装置12に対応する状態情報「ログイン」を取得する。端末装置11は、通知装置10に対して200 OKを送信し、通知装置10は200 OKを受信する(S23)。
【0033】
続いて端末装置11は、状態情報を所望する端末装置12及び13のうち、他方のプレゼンティティである端末装置13に対応する状態情報を取得するために、通知装置10に対してSUBSCRIBEを送信する。SUBSCRIBEには、プレゼンティティID「13」が格納される。通知装置10はSUBSCRIBEを受信する(S25)。通知装置10は、SUBSCRIBEを送信した端末装置11のID「11」を、ウォッチャIDとして第二テーブルに格納する。また通知装置10は、SUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティID「13」を第二テーブルに格納する。なお図4の第二テーブル242のように、既に同一のウォッチャID「11」が格納されている場合には、プレゼンティティID「13」は既存のプレゼンティティID「12」に追加して対応付けられ、格納される。通知装置10は、端末装置11に対して200 OKを送信し、端末装置11は200 OKを受信する(S27)。
【0034】
通知装置10は、S25で受信したSUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティID「13」に対応する状態情報を、第一テーブルから取得する。図3の第一テーブル241では、プレゼンティティID「13」に状態情報「ログアウト」が対応付けられているので、通知装置10は、「ログアウト」を状態情報として取得する。通知装置10は、プレゼンティティID「13」及び状態情報「ログアウト」が対応付けて格納されたNOTIFYを、端末装置11に対して送信する。端末装置11はNOTIFYを受信する(S29)。これによって端末装置11は、S25でSUBSCRIBEによって要求した端末装置13に対応する状態情報「ログアウト」を取得する。端末装置11は、通知装置10に対して200 OKを送信し、通知装置10は200 OKを受信する(S31)。以上のようにして通知装置10は、端末装置11からの要求に応じ、状態情報を端末装置11に対して通知する。
【0035】
一方、端末装置12は、端末装置11とは異なり、二以上のプレゼンティティのIDを一つのSUBSCRIBEに格納して送信することで、対応する二以上の状態情報を通知装置10に対して一度に要求できる。通知装置10は、一つのSUBSCRIBEによって二以上の状態情報が要求された場合、要求された二以上の状態情報を200 OKに格納し、端末装置12に対して送信する。これによって通知装置10は、端末装置12に対して複数の状態情報を同時に通知できる。通知装置10は、状態情報を端末装置12に対して通知する場合に必要となる通信を抑制することで、トラフィックの増大を防止している。
【0036】
図2に示すように、端末装置12から送信されるREGISTERによって、端末装置12は通知装置10に登録される(S33)。端末装置12のID「12」は、プレゼンティティIDとして第一テーブルに格納される。続いて端末装置12から送信されるPUBLISH(ログイン)によって、端末装置12に対応する状態情報が通知装置10に通知される(S35)。状態情報「ログイン」が、プレゼンティティID「12」に対応付けられて第一テーブルに格納される。通知装置10から端末装置12に対して、200 OKが送信される(S37)。以上の処理は、前述したS11、S13、及びS15と同じである。
【0037】
端末装置12のユーザが、端末装置11及び13に対応する状態情報の取得を所望しているとする。端末装置12は、端末装置11のID「11」及び端末装置13のID「13」を、プレゼンティティIDとしてSUBSCRIBEに格納する。端末装置12は、プレゼンティティIDが格納されたSUBSCRIBEを、通知装置10に対して送信する。通知装置10はSUBSCRIBEを受信する(S39)。通知装置10は、受信したSUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティID「11」に対応する状態情報と、プレゼンティティID「13」に対応する状態情報を、第一テーブルから取得する。図3の第一テーブル241では、プレゼンティティID「11」に状態情報「ログイン」が対応付けられ、プレゼンティティID「13」に状態情報「ログアウト」が対応付けられているので、通知装置10は、状態情報「ログイン」「ログアウト」を其々取得する。通知装置10は、取得した状態情報とプレゼンティティIDとを対応付けて200 OKに格納し、端末装置12に対して送信する。端末装置12は200 OKを受信する(S41)。これによって端末装置12は、S39において送信されたSUBSCRIBEに対する応答確認を行うと同時に、S39でSUBSCRIBEによって要求した端末装置11に対応する状態情報「ログイン」と、端末装置13に対応する状態情報「ログアウト」とを一度に取得できる。
【0038】
端末装置13から通知装置10に対してPUBLISH(ログイン)が送信されたとする(S43)。第一テーブルのうち、プレゼンティティID「13」に対応する状態情報は、「ログイン」に更新される。このような場合、通知装置10では、更新された状態情報を他の端末装置14に通知するために、以下の通信が実行される。
【0039】
通知装置10は、第二テーブルを参照する。通知装置は、PUBLISH(ログイン)を送信した端末装置13のID「13」が、プレゼンティティIDとして第二テーブルに格納されている場合、対応するウォッチャIDにて特定される端末装置14に対して、更新された状態情報を通知する。図4の第二テーブル242では、プレゼンティティID「13」にはウォッチャID「11」及び「12」が対応付けられている。従って通知装置10は、端末装置11に対して、端末装置13に対応する状態情報「ログイン」が格納されたNOTIFYを送信する(S45)。また通知装置10は、端末装置12に対して、端末装置13に対応する状態情報「ログイン」が格納されたNOTIFYを送信する(S47)。以上のように、通知装置10は、端末装置14に対して一旦通知された状態情報が更新された場合、更新後の状態情報を、端末装置14に対して再度通知することができる。
【0040】
以上のように、通知装置10は、SUBSCRIBEによって要求されている状態情報の数に基づいて、二以上の状態情報をまとめて通知するか否かを判断している。これによって通知装置10は、SUBSCRIBEを送信した端末装置14が認識可能な態様で、状態情報を端末装置14に対して通知することができる。また、通常のSIPに基づいたプレゼンスサービスでは、端末装置11にて実行される通信(S11〜S31)で示されるように、多くの通信手順が必要となる。これに対して、通知装置10は、状況に応じて、肯定的な応答パケットである200 OKに状態情報を格納し、端末装置14に対して通知できる。これによって通知装置10は、プレゼンスサービスに必要な通信量を抑制できる。
【0041】
例えば端末装置11では、SIPに基づいて通常行われる通信方法に基づいてのみ状態情報が取得されるので、複数の状態情報が格納されたメッセージを受信しても、複数の状態情報をメッセージから取得することができない。さらに端末装置11は、200 OKから状態情報を取得することができない。従って通知装置10は、端末装置11に対しては、SIPに基づいて通常行われる通信方法に基づき、NOTIFYに一の状態情報を格納して通知する。一方で端末装置12は、複数の状態情報が格納された200 OKから状態情報を取得することができるので、通知装置10は、複数の状態情報が格納された200 OKを使用し、状態情報を通知する。このように通知装置10は、状態情報を取得するための通信方法が異なる複数の端末装置14がネットワーク3に併存している場合であっても、端末装置14毎に最適な通信方法を選択し、状態情報を通知することができる。
【0042】
図5を参照し、通知装置10のCPU21において実行される通知メイン処理について説明する。通知メイン処理は、CPU21に電源が投入された場合において、CPU21において起動され実行される。
【0043】
端末装置14からSUBSCRIBEを受信したかが判断される(S51)。端末装置14からSUBSCRIBEを受信した場合(S51:YES)、SUBSCRIBEを送信した端末装置14のIDが、ウォッチャIDとして第二テーブルに格納される。また、SUBSCRIBEに格納されているプレゼンティティIDが、ウォッチャIDに対応付けられて第二テーブルに格納される(S53)。
【0044】
SUBSCRIBEに二以上のプレゼンティティIDが格納されているかが判断される(S63)。SUBSCRIBEに格納されているプレゼンティティIDが一つである場合(S63:NO)、SUBSCRIBEを送信した端末装置14は、複数の状態情報が格納されたメッセージを受信しても、このメッセージから状態情報を取得することができない可能性がある。この場合、SUBSCRIBEを送信した端末装置14に対して200 OKが送信される(S81)。S51で受信したSUBSCRIBEに格納されていたプレゼンティティIDが取得される。第一テーブルが参照される。取得されたプレゼンティティIDに対応する状態情報が取得される(S83)。取得された状態情報とプレゼンティティIDとが格納されたNOTIFYが作成される(S85)。作成されたNOTIFYは、SUBSCRIBEを送信した端末装置14に対して送信される(S87)。処理はS51に戻る。このように通知装置10は、端末装置14において複数の状態情報が格納されたメッセージを処理することができない可能性があると判断した場合、一の状態情報が格納されたメッセージ(NOTIFY)を端末装置14に対して送信する。これによって端末装置14は、確実に状態情報を取得できる。
【0045】
一方、S51で受信したSUBSCRIBEに、二以上のプレゼンティティIDが格納されていた場合(S63:YES)、SUBSCRIBEを送信した端末装置14において、複数の状態情報が格納されたメッセージから状態情報を取得することができると判断される。SUBSCRIBEに格納されていたプレゼンティティIDは、RAM23に記憶される。RAM23に記憶された二以上のプレゼンティティIDが、第一テーブルに全て格納されているかが判断される(S65)。RAM23に記憶された二以上のプレゼンティティIDが第一テーブルに全て格納されている場合(S65:YES)、プレゼンティティIDに対応する状態情報を、SUBSCRIBEを送信した端末装置14に対して通知するための処理が、以下のようにして実行される。
【0046】
RAM23に記憶した二以上のプレゼンティティIDが、一つずつ選択される。第一テーブルが参照される。選択されたプレゼンティティIDに対応する状態情報が取得される(S67)。取得された状態情報のデータサイズの合計が、所定値より大きいかが判断される(S69)。所定値は、例えば、ネットワーク3に介在するルータやサーバにおいて転送し得る最大のデータサイズに基づいて決定される。データサイズの合計が所定値以下である場合(S71:NO)、処理はS67に戻る。選択されていないプレゼンティティIDがRAM23から順番に選択され、対応する状態情報が取得されて(S67)、処理が繰り返される。
【0047】
状態情報のデータサイズの合計が所定値より大きくなった場合(S69:YES)、データサイズの合計が所定値以下となるように、状態情報が一つ取り除かれる。取り除かれた状態情報に対応するプレゼンティティIDは、RAM23に戻される。データサイズの合計が所定値以下となるように調整された状態情報と、対応するプレゼンティティIDが200 OKに格納され、200 OKが作成される(S71)。作成された200 OKは、SUBSCRIBEを送信した端末装置14に対して送信される(S73)。RAM23に、選択されていないプレゼンティティIDが残っているかが判断される(S75)。選択されていないプレゼンティティIDがRAM23に残っている場合(S75:YES)、処理はS67に戻る。残りのプレゼンティティID及び対応する状態情報を200 OKに格納して送信するために、処理が繰り返される。一方、RAM23に記憶されたプレゼンティティIDが全て選択された場合(S75:NO)、処理はS51に戻る。
【0048】
以上のように、通知装置10は、SUBSCRIBEによって要求されている状態情報の数が二以上である場合に、二以上の状態情報をまとめて通知できると判断し、状態情報を端末装置14に対して通知している。また通知装置10は、状態情報のデータサイズの合計が所定値以下となるように分割し、200 OKに格納して端末装置14に送信する。これによって、ネットワーク3に介在するルータやサーバ等が200 OKを分割することを回避できる。従って、ルータやサーバでの処理負荷を軽減できるので、200 OKは確実にルータやサーバによって転送され、端末装置14に到達する。端末装置14は、通知装置10から送信された200 OKを確実に受信し、状態情報を取得できる。
【0049】
なお上述では、状態情報のデータサイズの合計が所定値より大きいかを判断しているが、例えば、状態情報のデータサイズと、対応するプレゼンティティIDのデータサイズとの合計が、所定値より大きいかを判断してもよい。また、状態情報の合計数が所定値より大きいであるかを判断してもよい。
【0050】
S65で、RAM23に格納された二以上のプレゼンティティIDのうち、第一テーブルに格納されていないプレゼンティティIDがある場合(S65:NO)、対応する状態情報を全て取得できないことになる。この場合、状態情報を取得できない旨を通知するパケット(以下「481」という。)に、第一テーブルに格納されていないプレゼンティティIDが格納されることで、481が作成される(S77)。作成された481は、SUBSCRIBEを送信した端末装置14に対して送信される(S79)。処理はS51に戻る。
【0051】
このように通知装置10は、SUBSCRIBEによって指定されたプレゼンティティIDに対応する状態情報の全てを特定できない場合、状態情報が取得できない旨を、該当するIDとともに端末装置14に対して通知することができる。これによって端末装置14は、通知装置10が管理するネットワーク3やサービスの範囲内に、所望する端末装置14が存在していないことを認識できる。例えば、通知装置10がテレビ会議に参加している端末装置14の状態情報を管理している場合、481を受信した端末装置14は、所望する端末装置14のうちいずれかがテレビ会議に参加していないことを認識することができる。
【0052】
S51で、端末装置14からSUBSCRIBEを受信していない場合(S51:NO)、端末装置14からPUBLISHを受信したかが判断される(S55)。端末装置14からPUBLISHを受信した場合(S55:YES)、PUBLISHに格納されている状態情報が、PUBLISHを送信した端末装置14のIDに対応付けられて第一テーブルに格納される(S57)。なお、PUBLISHを送信した端末装置14のIDに、既に状態情報が対応付けられている場合、状態情報は更新される。
【0053】
第二テーブルに、PUBLISHを送信した端末装置14のIDがプレゼンティティIDとして格納されているかが判断される(S59)。PUBLISHを送信した端末装置14のIDがプレゼンティティIDとして第二テーブルに格納されている場合(S59:YES)、PUBLISHに格納されていた状態情報を、端末装置14に対して通知する必要がある。処理はS83に進む。PUBLISHを送信した端末装置14のIDに対応する状態情報が、第一テーブルから取得される(S83)。取得された状態情報が格納されたNOTIFYが作成される(S85)。第二テーブルのうち、PUBLISHを送信した端末装置14のIDと一致するプレゼンティティIDに対応するウォッチャIDが特定される。特定されたウォッチャIDの端末装置14に対して、NOTIFYが送信される(S87)。処理はS51に戻る。以上のようにして通知装置10は、状態情報が更新された場合に、更新後の状態情報を端末装置14に通知することができる。
【0054】
S55で、端末装置14からPUBLISHを受信していない場合(S55:NO)、状態情報の通知を終了する指示が、通知装置10のユーザによって入力されたかが判断される(S61)。状態情報の通知を終了する指示が入力された場合(S61:YES)、通知メイン処理は終了する。状態情報の通知を終了する指示が入力されていない場合(S61:NO)、処理はS51に戻る。
【0055】
以上説明したように、通知装置10は、二以上の端末装置14の状態情報を要求するSUBSCRIBEを受信した場合、対応する二以上の状態情報が格納された200 OKによって、状態情報を端末装置14に対して通知する。一方通知装置10は、一の状態情報を要求するSUBSCRIBEを受信した場合には、SIPによる通常の通信方法に基づき、一の状態情報が格納されたNOTIFYによって、状態情報を端末装置14に対して通知する。これによって通知装置10は、SUBSCRIBEを送信した端末装置14が認識可能な態様で、状態情報を端末装置14に対して通知することができる。
【0056】
図6を参照し、端末装置12のCPU31において実行される端末メイン処理について説明する。通知メイン処理は、CPU31に電源が投入された場合において、CPU31において起動され実行される。なお端末装置11のCPU31では、SIPに基づいて通常行われる方法に基づき、状態情報を一つずつ取得する周知の通信処理が実行される。従って以下では、二以上の状態情報を一度に取得できる端末装置12のCPU31において実行される処理のみ説明し、端末装置11のCPU31において実行される処理については説明を省略している。
【0057】
端末装置12のユーザによって、状態情報を取得する指示がプレゼンティティIDとともに入力されたかが判断される(S91)。状態情報を取得する指示が入力された場合(S91:YES)、同時に入力されたプレゼンティティIDが取得され、RAM33に記憶される。RAM33に記憶されたプレゼンティティIDが、一つずつ取得される(S105)。取得されたプレゼンティティIDのデータサイズの合計が、所定値より大きいかが判断される(S107)。所定値は、例えば、ネットワーク3に介在するルータやサーバにおいて転送し得る最大のデータサイズに基づいて決定される。データサイズの合計が所定値以下である場合(S107:NO)、処理はS105に戻る。選択されていないプレゼンティティIDがRAM33から順番に取得され、処理が繰り返される。
【0058】
プレゼンティティIDのデータサイズの合計が所定値より大きくなった場合(S107:YES)、データサイズの合計が所定値以下となるように、プレゼンティティIDが一つ取り除かれる。取り除かれたプレゼンティティIDは、RAM33に戻される。データサイズの合計が所定値以下となるように調整されたプレゼンティティIDがSUBSCRIBEに格納され、SUBSCRIBEが作成される(S109)。作成されたSUBSCRIBEは、通知装置10に対して送信される(S111)。RAM33に、選択されていないプレゼンティティIDが残っているかが判断される(S113)。選択されていないプレゼンティティIDがRAM33に残っている場合(S113:YES)、処理はS105に戻る。残りのプレゼンティティIDをSUBSCRIBEに格納して送信するために、処理が繰り返される。一方、RAM33に記憶されたプレゼンティティIDが全て選択された場合(S113:NO)、処理はS91に戻る。
【0059】
このように端末装置12は、プレゼンティティIDのデータサイズの合計が所定値以下となるように分割し、SUBSCRIBEに格納して通知装置10に送信する。これによって、ネットワーク3に介在するルータやサーバ等がSUBSCRIBEを分割することを回避できる。従って、ルータやサーバでの処理負荷を軽減できるので、SUBSCRIBEは確実にルータやサーバによって転送され、通知装置10に到達する。端末装置12は、通知装置10から確実に送信される200 OKを受信し、状態情報を取得できる。
【0060】
S91で、ユーザが指示を入力していない場合(S91:NO)、通知装置10から送信されるNOTIFYを受信したかが判断される(S93)。NOTIFYを受信した場合(S93:YES)、NOTIFYに格納されている一つの状態情報が取得される(S95)。取得された状態情報を示す画像が、出力部36から出力される(S96)。処理はS91に戻る。
【0061】
S93で、NOTIFYを受信していない場合(S93:NO)、通知装置10から送信される200 OKを受信したかが判断される(S97)。200 OKを受信した場合(S97:YES)、200 OKに状態情報が格納されているかが判断される(S99)。なお200 OKには、二以上のプレゼンティティIDが格納されたSUBSCRIBEに応じて通知装置10から返信される状態情報が格納されるので、常に二以上の状態情報が格納されていることになる。200 OKに状態情報が格納されている場合(S99:YES)、200 OKに格納されている二以上の状態情報が取得される(S95)。取得された状態情報を示す画像が出力部36から出力され(S96)、処理はS91に戻る。一方、受信した200 OKに状態情報が格納されていない場合(S99:NO)、処理はS91に戻る。
【0062】
以上のように端末装置12は、二以上の状態情報を一度に取得することができ、且つ、肯定的な応答パケットである200 OKに格納された状態情報を取得できるので、状態情報を取得するために必要な通信を抑制でき、ネットワーク3のトラフィックが増大することを防止できる。
【0063】
S97で、200 OKを受信していない場合(S97:NO)、通知装置10から送信される481を受信したかが判断される(S101)。481を受信していない場合(S101:NO)、処理はS91に戻る。481を受信した場合(S101:YES)、481に格納されているプレゼンティティIDが取得される。S91でユーザによって入力され、RAM33に記憶されたプレゼンティティIDから、取得されたプレゼンティティIDが削除される(S103)。この状態でRAM33に残っているプレゼンティティIDは、通知装置10において状態情報を特定することが可能な端末装置14のIDということになる。処理はS105に進む。RAM33に記憶されたプレゼンティティIDが、一つずつ取得され(S105)、データサイズの合計が所定値以下となるように調整される。調整されたプレゼンティティIDがSUBSCRIBEに格納され、SUBSCRIBEが作成される(S109)。作成されたSUBSCRIBEは、通知装置10に対して送信される(S111)。なお、SUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティIDは、全て通知装置10において状態情報の特定が可能のIDであるので、端末装置12は、プレゼンティティIDに対応する状態情報を確実に取得できる。
【0064】
以上説明したように、端末装置12は、所望するプレゼンティティが二以上ある場合、共通のSUBSCRIBEによって状態情報を通知装置10に対して要求することができる。また端末装置12は、200 OKに格納された複数の状態情報を認識できる。これによって、状態情報を取得するために必要な通信を抑制できるので、ネットワーク3のトラフィックが増大することを防止できる。
【0065】
なお本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。上述では、通知装置10において受信されたSUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティIDの全てが、第一テーブルに格納されていない場合、格納されていないプレゼンティティIDを格納した481を端末装置14に対して送信していた。本発明はこれに限定されない。通知装置10は、SUBSCRIBEに格納されたプレゼンティティIDから、第一テーブルに記憶されているプレゼンティティIDを抽出してもよい。そして、対応する状態情報を第一テーブルから取得して200 OKに格納し、SUBSCRIBEを送信した端末装置14に対して200 OKを送信してもよい。これらの処理は、図5におけるS65、S77、及びS79の処理を削除した通知メイン処理によって実行可能である。即ち、SUBSCRIBEが受信された場合(S51:YES)であって、二以上のプレゼンティティIDがSUBSCRIBEに格納されていた場合(S63:YES)、二以上のプレゼンティティIDはRAM23に記憶される。S67では、RAM23に記憶されたプレゼンティティIDのうち、対応する状態情報が第一テーブルに格納されているプレゼンティティIDが取得される(S67)。そして、データサイズの合計が所定値以下となるようにプレゼンティティIDが調整されて200 OKに格納され(S71)、200 OKは端末装置14に対して送信される(S73)。このように通知装置10は、SUBSCRIBEにて要求された状態情報の全てを第一テーブルから取得できない場合、取得可能な状態情報のみを取得して端末装置14に通知できる。これによって端末装置14は、通知装置10において取得可能な状態情報を短時間で取得できる。端末装置14は、通知装置10において取得可能な状態情報を把握して再度要求する通信が不要となるので、ネットワーク3のトラフィックを抑制できる。
【0066】
上述の実施形態では、通知装置10が端末装置14からSUBSCRIBEを直接受信し、対応する状態情報を端末装置14に対して通知していた。本発明はこれに限定されない。ネットワーク3に接続するSIPサーバが、端末装置14からSUBSCRIBEを受信してもよい。SIPサーバは、状態情報を取得するために、通知装置10に問い合わせてもよい。通知装置10は、SIPサーバからの問い合わせに応じ、対応する状態情報をSIPサーバに通知してもよい。上述では、通知装置10は二以上の状態情報を200 OKに格納し、端末装置14に対して送信していたが、例えばNOTIFYに二以上の状態情報を格納し、端末装置14に対して通知してもよい。
【0067】
なお、第一テーブルを記憶する図1のHDD24が本発明の「記憶手段」に相当する。図5のS51の処理を行うCPU21が本発明の「受信手段」に相当し、S63の処理を行うCPU21が本発明の「第一判断手段」に相当し、S65の処理を行うCPU21が本発明の「第二判断手段」に相当し、S67の処理を行うCPU21が本発明の「第一取得手段」に相当し、S73の処理を行うCPU21が本発明の「第一送信手段」に相当し、S79の処理を行うCPU21が本発明の「第二送信手段」に相当し、S83の処理を行うCPU21が本発明の「第二取得手段」に相当し、S87の処理を行うCPU21が本発明の「第三送信手段」に相当する。図5のS51が本発明の「受信ステップ」に相当し、S63の処理が本発明の「第一判断ステップ」に相当し、S65の処理が本発明の「第二判断ステップ」に相当し、S67の処理が本発明の「第一取得ステップ」に相当し、S73の処理が本発明の「第一送信ステップ」に相当し、S79の処理が本発明の「第二送信ステップ」に相当し、S83の処理が本発明の「第二取得ステップ」に相当し、S87の処理が本発明の「第三送信ステップ」に相当する。図6のS111の処理を行うCPU31が本発明の「端末送信手段」に相当し、S97の処理を行うCPU31が本発明の「端末受信手段」に相当する。
【符号の説明】
【0068】
1 通信システム
10 通知装置
11、12、13、14 端末装置
21 CPU
24 HDD
241 第一テーブル
242 第二テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して接続した端末装置を識別する識別情報と、前記端末装置及び前記端末装置のユーザの状態を示す状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段と、
前記端末装置から送信された、他の前記端末装置の前記状態情報を要求する要求パケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断手段と、
前記第一判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断手段と、
前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段によって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信手段と
を備えたことを特徴とする通知装置。
【請求項2】
前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報のうち少なくとも一が前記記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、前記状態情報が取得できない旨を通知する第二通知パケットを、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して送信する第二送信手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の通知装置。
【請求項3】
前記第一送信手段は、
前記第一通知パケットに格納する前記状態情報のデータサイズが所定値より大きくなった場合に、前記状態情報のデータサイズが前記所定値以下となるように分割して前記第一通知パケットに格納し、前記第一通知パケットを送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通知装置。
【請求項4】
前記第一取得手段は、
前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報のうち少なくとも一が前記記憶手段に記憶されていないと判断された場合に、二以上の前記端末装置の前記識別情報のうち、前記記憶手段に記憶されている前記識別情報に対応する前記状態情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の通知装置。
【請求項5】
前記第一判断手段によって、一の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、一の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する一の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第二取得手段と、
前記第二取得手段によって取得された一の前記状態情報を第三通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第三通知パケットを送信する第三送信手段と
を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通知装置。
【請求項6】
ネットワークに接続した端末装置、及び、前記端末装置及び前記端末装置のユーザの状態を示す状態情報を前記端末装置に対して通知する通知装置を備えた通知システムであって、
前記通知装置は、
前記端末装置を識別する識別情報と前記状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段と、
前記端末装置から送信された、他の前記端末装置の前記状態情報を要求する要求パケットを受信する第一受信手段と、
前記第一受信手段によって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断手段と、
前記第一判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断手段と、
前記第二判断手段によって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得手段と、
前記第一取得手段によって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信手段と
を備え、
前記端末装置は、
一又は二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットを、前記通知装置に対して送信する端末送信手段と、
前記端末送信手段によって二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットが送信された場合に、前記通知装置から送信される前記第一通知パケットを受信する端末受信手段と
を備えたことを特徴とする通知システム。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の前記通知装置に対して前記要求パケットを送信する前記端末装置であって、
一又は二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットを、前記通知装置に対して送信する端末送信手段と、
前記端末送信手段によって二以上の前記他の端末装置の前記状態情報を要求する前記要求パケットが送信された場合に、前記通知装置から送信される前記第一通知パケットであって、前記端末送信手段によって送信された前記要求パケットによって要求された二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が格納された前記第一通知パケットを受信する端末受信手段と
を備えたことを特徴とする端末装置。
【請求項8】
ネットワークを介して接続した端末装置から送信された、他の前記端末装置及び前記他の端末装置のユーザの状態を示す前記状態情報を要求する要求パケットを受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、前記端末装置を識別する識別情報と前記状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段を参照し、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップによって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信ステップと
を備えたことを特徴とする通知方法。
【請求項9】
ネットワークを介して接続した端末装置から送信された、他の前記端末装置及び前記端末装置のユーザの状態を示す前記状態情報を要求する要求パケットを受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信された前記要求パケットによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されているかを判断する第一判断ステップと、
前記第一判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記状態情報が要求されていると判断された場合に、前記端末装置を識別する識別情報と前記状態情報とが対応付けられて記憶された記憶手段を参照し、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が前記記憶手段に全て記憶されているかを判断する第二判断ステップと、
前記第二判断ステップによって、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報が全て前記記憶手段に記憶されていると判断された場合に、二以上の前記他の端末装置の前記識別情報に対応する二以上の前記状態情報を、前記記憶手段から取得する第一取得ステップと、
前記第一取得ステップによって取得された二以上の前記状態情報を第一通知パケットに格納し、前記要求パケットを送信した前記端末装置に対して前記第一通知パケットを送信する第一送信ステップと
をコンピュータに実行させるための通知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−83924(P2012−83924A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229100(P2010−229100)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】