説明

通紙制御装置及びシリンダドライヤロールの運転方法

【課題】ドレイン負荷の急激な変動によって生じるシリンダドライヤロールの回転速度の変動を抑制する。
【解決手段】ドレイン9が溜まっていない状態でシリンダドライヤロール7を通紙速度で運転し、そのときの速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値を取得する。また、ドレイン9が溜まっている状態で運転し、そのときの速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値をシリンダドライヤロール7の回転角度毎に取得する。取得した2種類のトルク指令値をシリンダドライヤロール7の回転角度毎に比較し、その比較結果に基づいてシリンダドライヤロール7の回転角度毎に補正トルクを算出する。シリンダドライヤロール7の本運転時には、こうして算出される補正トルクによってトルク指令値を補正し、補正後のトルク指令値に従って電動機3への供給電力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、通紙制御装置、特にオフマシンコータ用シリンダドライヤロールの通紙制御装置と、そのようなシリンダドライヤロールの運転方法とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフマシンコータ用シリンダドライヤロールには、その回転速度、すなわち、通紙速度を制御するための通紙制御装置が備えられている。そのような通紙制御装置にて従来採用されている構造をブロック図で示したものが図2である。図2において、シリンダドライヤロール107の駆動は交流電動機106によって行われる。交流電動機106は交流可変速装置105から電力の供給を受けて回転する。交流電動機106の回転速度、すなわち、シリンダドライヤロール107の回転速度の設定は通紙速度設定器101において行われる。シリンダドライヤロール107を設定された回転速度で回転させるため、従来の通紙制御装置では速度フィードバック制御が行われている。そして、速度フィードバック制御を実施するためのシステムとして、従来の通紙制御装置には、速度コントローラ102、トルクコントローラ103、PWM型ベクトルコントローラ104、回転検出センサー108及び速度変換器112が備えられている。
【0003】
従来の通紙制御装置における速度フィードバック制御は次のようにして行われる。シリンダドライヤロール107の運転時、交流電動機106の回転数に応じた信号が交流電動機106に取り付けられた回転検出センサー108から発せられる。その信号は速度変換器112によってシリンダドライヤロール107の回転速度に変換される。速度コントローラ102には通紙速度の設定値と回転速度の計測値との差分が入力される。速度コントローラ102は、入力された差分信号に基づいて交流電動機106の回転速度をコントロールするためのトルク指令値を生成する。トルク指令値は速度コントローラ102からトルクコントローラ103へ出力される。トルクコントローラ103は、交流電動機106が指令どおりにトルクを出力するようにPWM型ベクトルコントローラ104を介して交流可変速装置105に制御信号を出力する。交流可変速装置105は、PWM型ベクトルコントローラ104から入力された制御信号に従って交流電動機106に供給する電力を変化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような速度フィードバック制御によれば、平均的にはシリンダドライヤロール107の回転速度を設定値に一致させることができる。しかし、交流電動機106がシリンダドライヤロール107を駆動する際の負荷に急激な変動が生じているような状況では、シリンダドライヤロール107の回転速度を設定値に一致させることは困難となる。そのような駆動負荷の変動は、シリンダドライヤロール107の内部にドレイン(蒸気の凝結水)109が溜まることによって生じる。
【0005】
図2に示すように、シリンダドライヤロール107を通紙速度で矢印110の方向に低速回転させた場合、シリンダドライヤロール107の内部に溜まっているドレイン109はシリンダドライヤロール107の回転方向に持ち上げられ、ある回転角度に達した時点で矢印111に示すようにシリンダドライヤロール107の下部へ流れ落ちる。シリンダドライヤロール107を低速回転している間、シリンダドライヤロール107の内部ではこのようなドレイン109の移動現象が繰り返し起きることになる。この移動現象は、シリンダドライヤロール107を駆動する交流電動機106にとっては急激な負荷の増加、減少となり、結果、シリンダドライヤロール107の回転速度の変動を招くことになる。
【0006】
シリンダドライヤロール107の回転速度の変動は、オフマシンコータの通紙作業にとって障害となる。したがって、そのような変動は除去するか可能な限り抑制する必要がある。しかしながら、従来の通紙制御装置では、上述のような速度フィードバック制御しか行われていなかったため、シリンダドライヤロール107の内部に溜まっているドレイン109による負荷(ドレイン負荷)の急激な変動による回転速度の変動を除去或いは抑制することは困難であった。
【0007】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ドレイン負荷の急激な増加減少変動によって生じるシリンダドライヤロールの回転速度の変動を抑制することのできる通紙制御装置を提供することを目的とする。また、シリンダドライヤロールの回転速度の変動を除去或いは抑制することのできるシリンダドライヤロールの運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の発明である通紙制御装置は、シリンダドライヤロールの回転速度の設定値と速度フィードバック値との差に基づいて前記シリンダドライヤロールを駆動する電動機へのトルク指令値を生成し、そのトルク指令値に従って前記電動機に供給する電力を制御する通紙制御装置において、内部にドレインが溜まっていない状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転したときに生成されたトルク指令値を記憶した第1の記憶手段と、内部にドレインが溜まっている状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転したときに生成されたトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に記憶した第2の記憶手段と、前記第1及び第2の記憶手段のそれぞれに記憶されたトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に比較し、その比較結果に基づいてトルク指令値に与える補正値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に算出する演算手段と、前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する場合に、前記演算手段で算出された補正値によってトルク指令値を補正するトルク指令値補正手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の第2の発明である通紙制御装置は、シリンダドライヤロールの回転速度の設定値と速度フィードバック値との差に基づいて前記シリンダドライヤロールを駆動する電動機へのトルク指令値を生成し、そのトルク指令値に従って前記電動機に供給する電力を制御する通紙制御装置において、内部にドレインが溜まることで前記シリンダドライヤロールの回転速度に生じる変動をキャンセルするためのトルク指令値の補正値を、予め記憶されているデータを用いて前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に生成する補正値生成手段と、前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する場合に、前記補正値生成手段で生成された補正値によってトルク指令値を補正するトルク指令値補正手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の第3の発明であるシリンダドライヤロールの運転方法は、電動機によって駆動されるシリンダドライヤロールであって、回転速度の設定値と速度フィードバック値との差に基づいて生成されるトルク指令値によって前記電動機に供給する電力の制御が行われるシリンダドライヤロールの運転方法において、内部にドレインが溜まっていない状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転し、そのときの速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値を取得する第1の準備工程と、内部にドレインが溜まっている状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転し、そのときの速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に取得する第2の準備工程と、前記第1及び第2の準備工程で取得されたトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に比較し、その比較結果に基づいてトルク指令値に与える補正値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に算出する演算工程とを実施し、前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する場合には、前記演算工程での演算により得られた補正値によって前記シリンダドライヤロールの回転角度毎にトルク指令値の補正を行うことを特徴としている。
【0011】
前記のシリンダドライヤロールの運転方法において、前記演算工程は、前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する際に、前記シリンダドライヤロールの実際の回転角度を参照しながらリアルタイムで実施されることが好ましい。ただし、前記演算工程が予め実施され、その演算結果を記憶したものが前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する際に用いられるようにすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、内部にドレインが溜まることでシリンダドライヤロールの回転速度に生じる変動をキャンセルするための補正値がシリンダドライヤロールの時々刻々の回転角度をキーとして求められ、その補正値を用いて速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値が補正される。この補正されたトルク指令値に従って電動機に供給する電力が制御されることで、電動機が発生するトルクはドレイン負荷の急激な増加減少変動に対応したものとなり、結果、ドレイン負荷の急激な増加減少変動にともなう回転速度の変動は除去されるか大幅に抑制されることになる。したがって、本発明によれば、通紙速度の安定化によって通紙作業の効率改善に大きな効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態の通紙制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】オフマシンコータ用シリンダドライヤロールに適用される従来の通紙制御装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の実施の形態の通紙制御装置の構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態としての通紙制御装置は、オフマシンコータ用のシリンダドライヤロール7に適用される。図1において、シリンダドライヤロール7の駆動は交流電動機6によって行われる。交流電動機6は交流可変速装置5から電力の供給を受けて回転する。交流電動機6の回転速度、すなわち、シリンダドライヤロール7の回転速度の設定は通紙速度設定器1において行われる。シリンダドライヤロール7を設定された回転速度で回転させるため、本実施の形態の通紙制御装置は、従来の速度フィードバック制御を行うシステムに加え、ドレイン9による負荷の急激な増加減少変動によるシリンダドライヤロール7の回転変動をフィードフォワード制御によってキャンセルするシステムを備えている。
【0015】
まず、速度フィードバック制御を行うシステムは、従来と同様、速度コントローラ2、トルクコントローラ3、PWM型ベクトルコントローラ4、回転検出センサー8及び速度変換器12によって構成されている。シリンダドライヤロール7の運転時、交流電動機6の回転数に応じた信号が交流電動機6に取り付けられた回転検出センサー8から発せられ、その信号は速度変換器12によってシリンダドライヤロール7の回転速度に変換される。速度コントローラ2には通紙速度の設定値と回転速度の計測値との差分が入力される。速度コントローラ2は、入力された差分信号に基づいて交流電動機6の回転速度をコントロールするためのトルク指令値を生成し、それをトルクコントローラ3へ出力する。トルクコントローラ3は、交流電動機6が指令どおりにトルクを出力するようにPWM型ベクトルコントローラ4を介して交流可変速装置5に制御信号を出力する。交流可変速装置5は、PWM型ベクトルコントローラ4から入力された制御信号に従って交流電動機6に供給する電力を変化させる。
【0016】
本実施の形態の通紙制御装置は、さらに、比較基準トルク指令値記憶部13、速度変動時トルク指令値記憶部14、回転角度変換器15及び速度変動抑制補正トルク演算部16を備えている。これらの装置からなるシステムでは、事前に取得されたシリンダドライヤロール7の運転データを用いてフィードフォワード制御を行う。詳しくは、比較基準トルク指令値記憶部13と速度変動時トルク指令値記憶部14のそれぞれにデータが記憶されている。シリンダドライヤロール7の通紙速度での本運転時には、これらに記憶されたデータに基づいてシリンダドライヤロール7の回転角度毎に補正トルクが算出される。補正トルクは、速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値を補正するための補正値である。この補正トルクの演算は速度変動抑制補正トルク演算部16にて行われる。また、補正トルクの演算はシリンダドライヤロール7の回転角度毎(例えば1度単位)に行われる。ドレイン負荷は、シリンダドライヤロール7の回転に伴うドレイン9の移動現象によって、シリンダドライヤロール7の回転角度に応じて変化するためである。なお、シリンダドライヤロール7の回転角度は回転角度変換器15によって取得される。回転角度変換器15は回転検出センサー8から発せられた信号をシリンダドライヤロール7の回転角度に変換する。その際、回転角度変換器15は、シリンダドライヤロール7の停止状態での回転角度を零度とし、シリンダドライヤロール7が回転を始めると一回転で計測値を360度とし、さらに回転が続けば新たに零度から計測を開始するようになっている。
【0017】
次に、本実施の形態の通紙制御装置にて行われるフィードフォワード制御の手順について、具体的に、時間的に順を追って説明する。まず、前述の運転データを取得するため、シリンダドライヤロール7の準備運転(データ取りのための試験運転)が行われる。この準備運転は、次の2つのモードにて行なわれる。第1のモード(第1の準備工程)では、内部にドレイン9が溜まっていない状態、すなわち、ドレイン負荷の変動がない状態にてシリンダドライヤロール7を通紙速度で運転する。そして、その時の速度コントローラ2のトルク指令値を回転角度変換器15から入力されたシリンダドライヤロール7の回転角度を用いて零度から360度までの回転角度毎に計測し、第1の記憶手段としての比較基準トルク指令値記憶部13に記憶していく。
【0018】
一方、第2のモード(第2の準備工程)では、内部にドレイン9が溜まっている状態、すなわち、ドレイン負荷の急激な増加減少変動が生じる状態にてシリンダドライヤロール7を通紙速度で運転する。そして、その時の速度コントローラ2のトルク指令値を回転角度変換器15から入力されたシリンダドライヤロール7の回転角度を用いて零度から360度までの回転角度毎に計測し、第2の記憶手段としての速度変動時トルク指令値記憶部14に記憶していく。ここで記憶されたデータ、すなわち、回転角度毎のトルク指令値には、ドレイン負荷の変動によって生じたシリンダドライヤロール7の回転速度の変動が反映されている。
【0019】
以上の準備運転によって取得されたデータは、シリンダドライヤロール7を通紙速度で本運転(実際に通紙しての運転)する際に、補正トルクの演算に用いられる。通紙速度での本運転時、速度変動抑制補正トルク演算部16には、比較基準トルク指令値記憶部13から比較基準となるデータ(比較基準トルク指令データ)が入力されるとともに、速度変動時トルク指令値記憶部14からはドレイン負荷の影響が反映されたデータ(速度変動時トルク指令データ)が入力される。また、回転角度変換器15から速度変動抑制補正トルク演算部16には、時々刻々のシリンダドライヤロール7の回転角度が入力される。速度変動時トルク指令値記憶部14は、シリンダドライヤロール7の時々刻々の回転角度をキーにして、比較基準トルク指令データと速度変動時トルク指令データとからキーとなる回転角度に対応したトルク指令値をそれぞれ読み出す。そして、読み出した2つのトルク指令値を比較し、その比較結果に基づいてシリンダドライヤロール7の回転速度に生じる変動をキャンセルするために必要な補正トルクを算出する。
【0020】
以上のようにしてシリンダドライヤロール7の回転角度毎に算出される補正トルクは、速度コントローラ2のトルク指令値にその補正値として加算される。こうして補正されたトルク指令値に従って交流電動機6に供給される電力が制御されることで、交流電動機6が発生するトルクはドレイン負荷の急激な増加減少変動に対応したものとなり、結果、ドレイン負荷の急激な増加減少変動にともなうシリンダドライヤロール7の回転速度の変動は除去されるか大幅に抑制されることになる。したがって、本実施の形態の通紙制御装置によれば、通紙速度の安定化によって通紙作業の効率改善に大きな効果を得られる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば次のように変形して実施してもよい。
【0022】
上述の実施の形態では、シリンダドライヤロール7を本運転する際、比較基準トルク指令データと速度変動時トルク指令データと用いてリアルタイムで回転角度毎の補正トルクを算出している。しかし、回転角度毎の補正トルクの計算は予め準備段階において実施しておき、その計算結果をデータとして通紙制御装置に記憶しておくのでもよい。その場合は、回転角度変換器15から入力される時々刻々の回転角度をキーにして、記憶データから回転角度に対応した補正トルクが読み出されることになる。
【0023】
また、上述の実施の形態では、比較基準トルク指令データと速度変動時トルク指令データの双方において回転角度毎にトルク指令値を記憶しているが、比較基準トルク指令データに関しては回転角度毎ではなく1つの代表値のみを記憶するのでもよい。ドレイン負荷の変動がない状態ではシリンダドライヤロール7の回転速度に変動は無く、トルク指令値も一定であるとみなすことができるからである。
【0024】
上述の実施の形態において、比較基準トルク指令データ及び速度変動時トルク指令データの更新を定期的に或いは不定期に行なうようにしてもよい。データの更新(再取得)は、前述の準備工程を再び実施することで行なうことができる。更新を不定期に行なうのであれば、例えば、シリンダドライヤロール7の回転速度に許容値を超える振動が生じるようになった時点で、データ(少なくとも速度変動時トルク指令データ)の更新を行なうようにすればよい。そのようにすることで、装置の経時変化や運転環境の変化にデータを対応させることが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
1:通紙速度設定器
2:速度コントローラ
3:トルクコントローラ
4:PWM型ベクトルコントローラ
5:交流可変速装置
6:交流電動機
7:シリンダドライヤロール
8:回転検出センサー
9:ドレイン(蒸気の凝結水)
10:シリンダドライヤロールの回転方向
11:ドレインの移動方向
12:速度変換器
13:比較基準トルク指令値記憶部
14:速度変動時トルク指令値記憶部
15:回転角度変換器
16:速度変動抑制補正トルク演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダドライヤロールの回転速度の設定値と速度フィードバック値との差に基づいて前記シリンダドライヤロールを駆動する電動機へのトルク指令値を生成し、そのトルク指令値に従って前記電動機に供給する電力を制御する通紙制御装置において、
内部にドレインが溜まっていない状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転したときに生成されたトルク指令値を記憶した第1の記憶手段と、
内部にドレインが溜まっている状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転したときに生成されたトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に記憶した第2の記憶手段と、
前記第1及び第2の記憶手段のそれぞれに記憶されたトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に比較し、その比較結果に基づいてトルク指令値に与える補正値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に算出する演算手段と、
前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する場合に、前記演算手段で算出された補正値によってトルク指令値を補正するトルク指令値補正手段と、
を備えたことを特徴とする通紙制御装置。
【請求項2】
シリンダドライヤロールの回転速度の設定値と速度フィードバック値との差に基づいて前記シリンダドライヤロールを駆動する電動機へのトルク指令値を生成し、そのトルク指令値に従って前記電動機に供給する電力を制御する通紙制御装置において、
内部にドレインが溜まることで前記シリンダドライヤロールの回転速度に生じる変動をキャンセルするためのトルク指令値の補正値を、予め記憶されているデータを用いて前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に生成する補正値生成手段と、
前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する場合に、前記補正値生成手段で生成された補正値によってトルク指令値を補正するトルク指令値補正手段と、
を備えたことを特徴とする通紙制御装置。
【請求項3】
電動機によって駆動されるシリンダドライヤロールであって、回転速度の設定値と速度フィードバック値との差に基づいて生成されるトルク指令値によって前記電動機に供給する電力の制御が行われるシリンダドライヤロールの運転方法において、
内部にドレインが溜まっていない状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転し、そのときの速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値を取得する第1の準備工程と、
内部にドレインが溜まっている状態で前記シリンダドライヤロールを通紙速度で準備運転し、そのときの速度フィードバック制御によって生成されるトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に取得する第2の準備工程と、
前記第1及び第2の準備工程で取得されたトルク指令値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に比較し、その比較結果に基づいてトルク指令値に与える補正値を前記シリンダドライヤロールの回転角度毎に算出する演算工程とを実施し、
前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する場合には、前記演算工程での演算により得られた補正値によって前記シリンダドライヤロールの回転角度毎にトルク指令値の補正を行うことを特徴とするシリンダドライヤロールの運転方法。
【請求項4】
前記演算工程は、前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する際に、前記シリンダドライヤロールの実際の回転角度を参照しながらリアルタイムで実施されることを特徴とする請求項3記載のシリンダドライヤロールの運転方法。
【請求項5】
前記演算工程は予め実施され、その演算結果を記憶したものが前記シリンダドライヤロールを通紙速度で本運転する際に用いられることを特徴とする請求項3記載のシリンダドライヤロールの運転方法。

【図1】
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【図2】
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