説明

通話を間接的に確立する方法とシステム

【課題】本発明は、間接的に通話を確立するための方法およびシステム・アーキテクチャを提示する。
【解決手段】着信履歴機能をトリガして、移動局と第二者との間の通話を確立するように、移動局に関連付けられている移動通信交換局に要求することにより、通話を間接的に確立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接的に通話を確立するための方法およびシステム・アーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0002】
移動局との無線通話を直接確立するのは、状況によっては、困難であったり、実現不可能であったりする場合がある。例えば、無線緊急通話をついうっかり切ってしまった(unintentional release:意図的でない解放)ときに移動局に直接コールバックできないパブリック・サービス・アンサリング・ポイント(Public Service Answering Poing:PSAP)スイッチもある。さらに、多くの無線通話は、離れた場所に置かれているサービス・プロバイダが取り扱うには難しい位置固有の問題に関係する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、間接的に通話を確立するための方法およびシステム・アーキテクチャを提示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、一方の着信履歴機能(call register)はパブリック・サービス・アンサリング・ポイント(PSAP)スイッチに関連付けられており、他の着信履歴機能は移動通信交換局(Mobile Switching Center:MSC)に関連付けられている。PSAPスイッチに関連付けられている着信履歴機能は、PSAPスイッチと通信するほかに、MSCに関連付けられている着信履歴機能とも通信する。同様に、MSCに関連付けられている着信履歴機能は、MSCおよびPSAPスイッチに関連付けられている着信履歴機能と通信する。この実施形態では、PSAPスイッチは、MSCに、PSAPスイッチと要求で識別された移動局との間の緊急通話を確立するよう要求することができるが、それには、その要求をPSAPスイッチに関連付けられている着信履歴機能に送信する。PSAPスイッチに関連付けられている着信履歴機能は、MSCに関連付けられている着信履歴機能への要求の経路を指定し、MSCに関連付けられている着信履歴機能は、MSCに要求を発行し、MSCが識別された移動局に対して発呼し、移動局をPSAPスイッチに接続できるようにする。
【0005】
本発明の他の実施形態では、第二者サービス・プロバイダ(second party service provider)は移動局とPSAPまたは二次応答サービスとの間の通話の確立を間接的に要求することができる。例えば、第二者サービス・プロバイダは、非公開車両報告サービス(private vehicular reporting service)を提供するテレマティックス・サービス・プロバイダ(Telematics Service Provider:TSP)とすることができ、この場合、移動局は車両内のテレマティックス・ユニットであり、二次応答サービスはレッカー車サービスとすることができる。
【0006】
この実施形態では、一方の着信履歴機能は、第二者サービス・プロバイダに関連付けられており、他方の着信履歴機能は、移動通信交換局(MSC)に関連付けられている。第二者サービス・プロバイダに関連付けられている着信履歴機能は、第二者サービス・プロバイダと通信するほかに、MSCに関連付けられている着信履歴機能とも通信する。同様に、MSCに関連付けられている着信履歴機能は、MSCおよび第二者サービス・プロバイダに関連付けられている着信履歴機能と通信する。この実施形態では、第二者サービス・プロバイダは、移動局からの呼への応答として、MSCに、他のパーティ(例えば、PSAPまたは二次応答サービス)と既存の通話との接続を要求することができ、それには、その要求を第二者サービス・プロバイダに関連付けられている着信履歴機能に送る。第二者サービス・プロバイダに関連付けられている着信履歴機能は、要求をMSCに関連付けられている着信履歴機能に送り、MSCに関連付けられている着信履歴機能はMSCに要求を発行し、MSCは追加パーティを通話に接続する。あるいは、移動局と追加パーティとの間に別の通話を確立することもできる。さらに、この実施形態では、追加パーティを移動局に接続する際に、移動局のジオロケーション情報を取得して、追加パーティに供給することかできる。
【0007】
本発明は、後述の詳細な説明および例示のみを目的として掲載した付属の図面を参照することでより完全に理解することができ、また類似の参照番号は様々な図面の対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態が採用されているシステム・アーキテクチャ例の図である。
【図2A】本発明による間接的コールバック方法のオペレーションの例を示す通信の流れ図である。
【図2B】本発明による間接的コールバック方法のオペレーションの例を示す通信の流れ図である。
【図3】本発明の第2の実施形態が採用されているシステム・アーキテクチャ例の図である。
【図4】テレマティックス・ユニットの登録例を示す通信の流れ図である。
【図5】本発明による間接呼方法のオペレーション例を示す通信の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
無線緊急通話の取扱いで必要なのは、パブリック・セーフティ・アンサリング・ポイント(PSAP)コール・センターで緊急通話に応答するエージェントが、緊急通話者にコールバックできることである。理由の1つは、無線通話が中断した場合に、緊急報告を完結させるためにその呼を復旧する必要があるかもしれないということである。発呼者は、PSAPに再び電話を掛けることができなかったり、あるいは他のPSAPのドメイン内に移動してしまった可能性がある。コールバックが必要なもう1つの理由は、PSAPエージェントがいたずら電話をふるい落とすために緊急通話の発信源を確認することである。
【0010】
現在、多くのPSAPでは、コールバックは、インバウンド・トランク(inbound trunks)上の「フラッシュ・バック」を通じて固定電話で接続している発呼者に対し行われる。これは、少なくとも2つの理由から、無線でのコールバックには実行できない。第1に、発呼者が新しい受け持ちシステムに引き渡されている間に、通話は中断してしまっている可能性がある。第2に、発呼者が、呼の中断後、同じ受け持ちシステム内にある場合であっても、PSAPがフラッシュ・バックできる前に、無線トラフィック・チャネルは失われるということである。フラッシュ・バックは、MSCに到達できるが、MSCには、呼を完了させるトラフィック・チャネルも、さらには移動局を呼び出し、トラフィック・チャネルを再確立するために必要な識別子さえもない。
【0011】
図1は、PSAPが無線緊急通話者にコールバックする方法を使用するためのシステム・アーキテクチャ例を示している。図に示されているように、移動通信交換局(MSC)14は、基地局12を介して移動局10から緊急通話を受け取り、PSAPスイッチ16、周知の緊急サービス・ネットワーク18、およびインターフェースAiを介してその緊急通話をPSAPコール・センター20に配信する。移動局10は、携帯電話、PDAなどの周知の無線ユニットのどのような種類のものでもよい。コールバックは、周知のSS7ネットワーク22のAixインターフェースを介して、PSAPスイッチ16により直接MSC14にかけることができる。
【0012】
このアーキテクチャは、さらに、PSAPスイッチ16に関連付けられたPSAP緊急通話着信履歴(Emergency Call Resister:ECR)24およびMSC14に関連付けられている受け持ちシステム緊急通話着信履歴(Serving System −Emergency Call Resister:SS−ECR)26を含む。PSAP−ECR24およびSS−ECR26は、個々の緊急通話およびその発信源を識別する類似の情報を格納する随伴データベースである。それらのデータは互いに調整しあい、新しい呼識別データはSS7ネットワーク22のインターフェースEyを介して一方から他方へ追加される。呼識別情報は、Exインターフェースを介して、MSC14により、SS−ECR26に供給される。SS−ECR26は、Eyインターフェースを介して呼情報をPSAP−ECR24に伝達する。PSAPスイッチ16は、Ezインターフェースを介して呼情報をPSAP−ECR24に伝達し、PSAPスイッチ16は、Eaインターフェースを介して情報をPSAPコール・センター20に伝達する。さらに、PSAP−ECR24は、別のインターフェースEbを介して呼情報を直接、法執行データベース(law enforcement database)に伝達する。PSAP−ECR24およびSS−ECR26は、以下でより詳しく説明する。
【0013】
PSAPコール・センター20が移動局10から緊急通話を受信すると、SS7/ISUPを通じて呼セットアップ・メッセージとともにAiインターフェースを介して、または呼データも格納される場合にSS−ECR26とPSAP−ECR24との間のEyインターフェースを介してコールバック電話番号が通知される。何らかの理由により、緊急通話が中断した場合、PSAPコール・センター20は、発信呼設備、機器、およびプロシージャが存在すれば、Aixインターフェースを通じて直接コールバックを開始することができる。あるいは、本発明のこの実施形態では、PSAPスイッチ16によりEyインターフェースを介しPSAP−ECR24とSS−ECR26との間で発信されたメッセージを通じてMSC経由コールバック(call-back-through MSC)を要求する。
【0014】
次にこの間接的形式のコールバックについて、図2Aおよび2Bを参照して詳しく説明する。図2A〜2Bは、本発明による間接的コールバック方法のオペレーションの例を示す通信の流れ図である。図2Aに示されているように、移動局10が、例えば、北米では9−1−1をダイヤルすることにより緊急通話を発呼した場合、発呼メッセージは、ダイヤルした番号(つまり、911)、移動局10の移動体装置識別子(Mobile Equipment IDentifier:MEID)、および移動局10のページング識別子(PaGing IDentifier:PGID)を示す。
【0015】
PGIDは、呼などの何らかのサービスが移動局に配信されるときに、移動局を呼び出すために規格で使用されている多くの識別のうちのどれか1つである。ANSI−41では、PGIDは、移動局ユーザが役務契約を結んでいるサービス・プロバイダによって移動局にプログラムされた10桁の移動識別番号(Mobile Identification Number:MIN)または15桁の国際移動加入者識別子(International Mobile Subscriber Identifier:IMSI)のいずれかである。デフォルト移動局識別(default Moble Station IDentify:dMSID)も、メーカー側でCDMA移動局にプログラムすることができ、またサービス・プロバイダ側で無線アクティブ化に関して移動局を呼び出すために使用できる。ANSI−41ではさらに、移動局識別(Mobile Station IDentification:MSID)という表現を使用して、MINまたはIMSIのいずれかをまとめて表す。したがって、PGIDは、MSIDでもよい。GSMでは、PGIDはIMSI、受け持ちシステムにより割り当てられ、IMSIに関連付けられている一時移動局識別(Temporary Mobile Station Identification:TMSI)、または場合によっては、IMSIもTMSIも使用できなければ、国際移動体装置識別(International Mobile Equipment Identity:IMEI)とすることができる。
【0016】
各移動局は、メーカーにより符号化され電話機内に埋め込まれている一意的な移動体装置識別番号(MEID)を含む。MEIDは、例えば、ANSI/TIA/EIA−41システムで使用されているような電子シリアル番号(Electronic Serial Number:ESN)またはGSMシステムで使用されている国際移動体装置識別番号(IMEI)とすることができる。
【0017】
図2Aに示されているように、緊急通話に対する応答として、MSC14は、特に移動局のMEIDをPGIDにマッピングするテーブルを含む発呼記録をSS−ECR26内に作成する。MSC14はさらに、初期アドレス・メッセージ(Initial Address Message:IAM)をPSAPスイッチ16に送信する。初期アドレス・メッセージを使用して、PSAPコール・センター20と移動局10との間の通話を確立する。図に示されているように、IAMは被呼者番号(Called Party Number:CdPN)および発呼者番号(Calling Party Number:CgPN)を含む。被呼者番号は、移動局によってダイヤルされる緊急電話番号(例えば、911)である。しかし、発呼者番号は、MSC14に割り当てられた一意的な経路選択可能なコールバック番号である。これ以降、この番号を、「地域公共安全電話番号(Local Public Safety Number)」またはLPNと呼ぶ。LPNは、ワイヤレス・ナンバー・ポータビリティ(Wireless Nubmber Portability:WNP)または1000番号単位番号プーリング(Thousands Block Number Pooling:TBNP)を実装するためにそれぞれのローカル・スイッチに割り当てられている市内交換番号(Local Routing Number:LRN)と類似のものであると考えられる。しかし、LPNに対してはその番号を所有するスイッチへの経路のみ選択でき、各スイッチのLPNは一意であり、ポーティング可能ではない。図2Aにさらに示されているように、MSC14は、ISUP一般アドレス・パラメータ(General Address Parameter:GAP)で、PSAPスイッチ16に移動局のMEIDを供給する。
【0018】
PSAPスイッチ16および/またはSS−ECR26は、特に、移動局10のMEIDをMSC14のLPNにマッピングするテーブルを含むPSAP−ECR24に発呼記録を作成する。
【0019】
PSAPコール・センター20が移動局10をコールバックする必要のあるイベントが発生した場合、例えば、図2Aに示されているような緊急通話がうっかり切れた(unintentional release)場合、PSAPコール・センター20から間接的コールバックを要求することができる。間接的コールバック要求に対する応答として、PSAPスイッチ16は、MSC経由コールバック(CBthruMSC)要求をPSAP−ECR24に送信する。CBthruMSC要求は、PSAPスイッチ16の経路選択または電話帳記載の電話番号(DN)およびコールバックする移動局10のMEIDを含む。
【0020】
CBthruMSC要求で受信したMEIDを使用して、PSAP−ECR24は、関連するMSC14のLPNを判別する。PSAP−ECR24は、LPNを使用して、LPNをSS−ECRアドレス(例えば、SS7ネットワーク内のポイント・コード)にマッピングする格納されているルックアップ・テーブルにアクセスする。PSAP−ECR24は、このルックアップ・テーブルから、SS−ECR26のアドレスにアクセスし、Eyインターフェースを介してCBthruMSC要求をSS−ECR26に送信する。別法として、PSAP−ECR24は、LPNがグローバル・タイトルである周知のSS7グローバル・タイトル変換を使用してCBthruMSC要求のSS−ECR26への経路を指定することができる。
【0021】
SS−ECR26がCBthruMSC要求を受信すると、SS−ECR26は要求の中のMEIDを使用して、格納されているマッピング・テーブルにある移動局10のPGIDにアクセスする。SS−ECR26はPGIDをCBthruMSC要求に追加し、その要求をMSC14に送信する。MSC14は、CBthruMSC要求を緊急コールバックと認識して、PGIDを使用して移動局10を呼び出す。
【0022】
移動局10が応答すると、MSC14は移動局10とのトラフィック・チャネルをセットアップする。MSC14はさらに、IAMをPSAPスイッチ16に送信する。PSAPスイッチ16がアドレス完了メッセージ(Address Complete Message:ACM)を送信して応答すると、MSC14は着信呼があると移動局10に通知し、移動局10はそれに応答することができる。
【0023】
上述のように、本発明のこの実施形態による方法およびアーキテクチャを使用すると、PSAPコール・センターは移動局を間接的にコールバックすることができる。
【0024】
無線緊急データ・メッセージまたは呼を第二者サービス・プロバイダ宛てとして開始できる。例えば、非公開車両緊急報告サービスを提供するテレマティックス・サービス・プロバイダ(TSP)がある。第二者サービス・プロバイダは、緊急メッセージをふるいにかけ、火災または人身事故など真の緊急事態であれば、パブリック・サービス・アンサリング・ポイント(PSAP)を通じて、またはそれよりも軽い緊急事態の場合には二次応答サービス(例えば、救急車ではなくレッカー車手配)を通じて適切な応答を行う。真の緊急事態に対する応答では、本来の緊急通話者に代わって第二者サービス・プロバイダがE911通話などの無線緊急電話をかける必要がある。しかし、第二者サービス・プロバイダに対するコール・センターは、緊急事態の発生地からかなり距離のある場所にある場合がある(例えば、山野を横断)。E911通話は、地域受け持ちMSCにより最寄りのPSAPに経路指定されるので(元々の受け持ちMSCに知られている無線E911ジオロケーション情報に基づいて)、第二者サービス・プロバイダは緊急通話発呼者に代わってその地域MSCを通じてE911呼を発信することを望む。第二者サービス・プロバイダはさらに、PSAPに情報を転送しやすくするために追加パーティとしてPSAPへの呼を続けたい場合もある。
【0025】
本発明の第2の実施形態は、第二者サービス・プロバイダによって開始された間接呼を実現することを対象とする。以下の説明から明らかなように、第二者サービス・プロバイダは、非公開車両緊急報告サービス、他のPSAPなどであってもよい。しかし、説明例を提供することを目的として、第二者サービス・プロバイダがテレマティックス・サービス・プロバイダ(TSP)である場合について説明する。
【0026】
図3は、この第2の実施形態のシステム・アーキテクチャ例を示している。図に示されているように、図3のシステム・アーキテクチャは、移動局10がテレマティックス・ユニット(TU)32で置き換えられており、また第二者サービス・プロバイダ、この場合は、TSPコール・センター27、TSPスイッチ28、および関連するECR30が追加されていることを除き、図1のシステム・アーキテクチャと同じである。周知のように、テレマティックス・ユニット32は、移動局に関連付けられた1つのセンサまたはセンサ群を備え、これにより、移動局は、1つまたは複数のイベントが感知されたときにTSPコール・センター27に連絡することができる。さらに、テレマティックス・ユニット32は、車両運転者がTSPコール・センター27との連絡をトリガするために押す呼出ボタンも備えることができる。
【0027】
TSPスイッチ28は、SS7ネットワークのAixインターフェースを介してMSC14と通信し、TSP−ECR30は、SS7ネットワークのインターフェースEdを介してSS−ECR24と通信する。
【0028】
移動局の場合と同様、テレマティックス・ユニットは、ローカル無線サービス・プロバイダに、テレマティックス・ユニットがローカル無線サービス・プロバイダの送受信エリア内に存在することを通知する登録オペレーションを実行する。図4は、この登録プロセスの通信の流れを示す図である。
【0029】
図に示されているように、TU32はMSC14で受信された登録メッセージを送信する。登録メッセージは、とりわけ、TU32のMEIDを含む。MSC14は、TU32がその送受信エリア内にあると判断し、周知の方法で、その登録をMSC14に関連付けられているビジター位置登録(Visitor Location Register:VLR)に通知する。VLRでは、周知の方法でTU32をTSPのホーム位置登録(Home Location Register:HLR)に登録する。TSP−HLRは、TU32を認可し、TU32がテレマティックス・ユニットであることを示す情報を含むTU32上のプロファイル情報をVLRに供給する。この情報は、TSP−HLRからVLRに送信されたメッセージでセットされているフラグの形式をとることができる。VLRは、その後、このプロファイル情報および、TU32がテレマティックス・ユニットであることを示す情報をMSC14に伝達する。このようにして、MSC14は、どの移動局がテレマティックス・ユニットであるかに関する情報を受け取る。例示的な一実施形態では、MSC14は、登録されている移動局に対するMEIDのテーブルを保持し、TU32のMEIDに関連付けられたフラグをセットし、TU32がテレマティックス・ユニットであることを示す。
【0030】
図5は、本発明のこの実施形態による間接呼方法のオペレーション例を示す通信の流れ図である。図に示されているように、TU32が発呼した場合、発呼メッセージは、ダイヤルされた番号(つまり、TSPコール・センター27の電話番号)、TU32の移動体装置識別番号(MEID)、およびTU32のページング識別番号(PGID)を示す。
【0031】
TU32のMEIDから、MSC14はTU32をテレマティックス・ユニットと識別する。TU32がテレマティックス・ユニットとして識別された場合、MSC14は、特にTU32などの移動局のMEIDをPGIDにマッピングするテーブルを含む発呼記録をSS−ECR26内に作成する。MSC14はさらに、初期アドレス・メッセージ(IAM)をTSPスイッチ28に送信する。初期アドレス・メッセージを使用して、TSPコール・センター27とTU32との間の通話を確立する。図に示されているように、IAMは被呼者番号(CdPN)および発呼者番号(CgPN)を含む。被呼者番号は、TSPスイッチ28の番号である。発呼者番号は、MSC14に割り当てられたLPNである。MSC14は、さらに、ISUP一般アドレス・パラメータ(GAP)で、TSPスイッチ28にTU32のMEIDを供給する。TSPスイッチ28は、特に、移動局のMEIDを関連するMSCのLPNにマッピングするテーブルを含むTSP−ECR30に発呼記録を作成する。
【0032】
このプロセスにより、TU32とTSPコール・センター27との間の通話が確立される。通話中に伝達された情報に応じて、TSPコール・センター27は、火災または人身事故など真の緊急事態であればPSAPとの通話の接続、またはそれよりも軽い緊急事態の場合には二次応答サービス(例えば、レッカー車手配)との通話の接続などの適切な応答を決定することができる。TSPコール・センター27は、MSC経由発呼要求をTSP−ECR30に送信するようTSPスイッチ28に指令する。MSC経由発呼要求は、MSC14のLPN、TU32のMEID、およびサービス・コードを含む。サービス・コードは、TSPコール・センター27により判別されたようにTU32で必要なサービスの種類を示す。例えば、サービス・コードは、PSAPとの通話の接続を必要とする緊急事態を示したり、またはレッカー車手配などの二次応答サービスを示すことができる。
【0033】
TSP−ECR30は、要求のLPNを使用して、LPNをSS−ECRアドレス(例えば、SS7ネットワーク内のポイント・コード)にマッピングする格納されているルックアップ・テーブルにアクセスする。TSP−ECR30は、このルックアップ・テーブルから、SS−ECR26のアドレスにアクセスし、Edインターフェースを介してMSC経由発呼要求をSS−ECR26に送信する。別法として、TSP−ECR30は、LPNがグローバル・タイトルである周知のSS7グローバル・タイトル変換を使用してMSC経由発呼要求をSS−ECR26に送信することができる。TSP−ECR30によって送信されるMSC経由発呼要求には、移動局のMEIDおよびサービス・コードが含まれる。
【0034】
SS−ECR26がMSC経由発呼要求を受信すると、SS−ECR26は要求の中のMEIDを使用して、格納されているマッピング・テーブルにあるPGIDにアクセスする。次に、SS−ECR26は、MSC経由発呼要求をMSC14に送信する。MSC経由発呼要求は、PGIDおよびサービス・コードを含む。MSC14は、サービス・コードに基づいて被呼者番号を判別する。例えば、サービス・コードが緊急事態を示している場合、MSC14は911を被呼者番号であると判断する。
【0035】
MSC経由緊急発呼要求を受信したことに対する応答として、MSC14は、さらに、ジオロケーション情報(例えば、TU32の経度および緯度)の生成などを含むJ−STD−36Aなどのプロシージャを呼び出す。
【0036】
サービス・コードが非緊急事態を示している場合(例えば、牽引などの二次応答サービス)、MSC14は、ジオロケーション・プロシージャ(例えば、J−STD−36Aに相当する商用プロシージャ)を呼び出す。MSC14は、ジオロケーションの情報を使用し、TU32の位置に対応するサービス・データベース(例えば、レッカー車サービス・データベース)にアクセスし、被呼者番号としてそれらの番号のうちの1つにアクセスする。
【0037】
これが取得されたら、MSC14は、例えば、図5に示されているようなPSAPスイッチまたは二次応答サービスに発呼する。発呼は、カンファレンス・ブリッジ(conference bridge)を使用する三方の呼のうちの3番目の呼として行われ、第2の呼はTU32からTSPコール・センター27への元々の呼である。この発呼に使用されるIAMは、上で判別したような被呼者番号および起呼者番号としてのLPNを含む。IAMは、さらに、GAP内のTU32のMEID、ジオロケーション情報(例えば、経度および緯度)、および特に呼出が緊急通話の場合に追加ジオロケーション情報を含む。図に示されているように、呼が緊急通話の場合、追加ジオロケーション情報は、一般的な桁パラメータ(GDP)で送信することができる。ここで、GDPは、ローカルPSAPに対する周知の緊急サービス経路選択数字(Emergency Service Routing Digits)を得るために使用される周知の緊急サービス経路選択キー(Emergency Service Routing Key:ESRK)またはESRDそれ自体とすることができる。ESRDは、ローカルPSAPの経路選択番号である。
【0038】
本発明のこの実施形態では、TSPなどの第二者サービス・プロバイダは、移動局と第二者サービス・プロバイダとの間で通話している移動局(例えば、TU)のローカルにあるPSAPまたは二次応答サービスを実際に含むことができる。第二者サービス・プロバイダは、上記の例に限られず、多数の他の種類のサービス・プロバイダも含むことができることは理解されるであろう。例えば、第二者サービス・プロバイダは、緊急通話で他のエリアを受け持つ他のPSAPを含めることを望むPSAPであってよい。これにより、移動体の緊急事態(例えば、動いている列車またはトラックの緊急事態)または広範囲に広がる緊急事態(例えば、化学薬品または原子力の事故)の扱いを調整することができる。
【0039】
以上のように本発明を説明してきたが、様々点で本発明を変更できることは明白であろう。このような変更は、本発明の精神と範囲から逸脱したものとみなされず、このようなすべての修正は特許請求の範囲内に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局(10)との緊急コールバックを実行する方法であって、
移動通信交換局に対応付けられた着信履歴機能(コールレジスタ)で、前記移動通信交換局に対応付けられた前記着信履歴機能(コールレジスタ)とパブリック・サービス・アンサリング・ポイント(PSAP)スイッチ(16)との間の直接のインターフェイスを介して前記PSAPスイッチに対応付けられた着信履歴機能(コールレジスタ)からコールバックリクエストを受信する処理と、
前記コールバックリクエストに応答して、前記移動通信交換局(14)が前記移動局(10)と第二者との間で通話を確立する要求を前記移動通信交換局に送信する処理と、を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第二者がパブリック・サービス・アンサリング・ポイント(PSAP)のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二者が二次応答サービスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
送信する処理が、前記要求とともに前記移動局のページング識別子を送信する処理を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
送信する処理が、前記要求とともに前記移動局の移動体装置識別子及び前記第二者の交換番号を送信する処理を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
送信する処理が、前記第二者によって供給される所望のサービスを示すサービス・コードを送信する処理を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
当事者を前記移動局との既存の通話に加える処理と、
前記移動局と前記第二者との間の前記既存の通話に前記要求において識別されたサービスに対応付けられた第三者を加えるために前記移動通信交換局に対する要求を送信する処理とを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第二者に対応付けられた着信履歴機能(コールレジスタ)が、前記第二者によって受信される信号に応答して前記移動通信交換局に対応付けられた前記着信履歴機能(コールレジスタ)に前記要求を送信することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記移動通信交換局に対応付けられた前記着信履歴機能(コールレジスタ)が、前記第二者に対応付けられた着信履歴機能(コールレジスタ)から受信された信号に応答して、前記移動通信交換局に前記要求を送信することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第二者がテレマティックス・サービス・プロバイダであることを特徴とする請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−48463(P2013−48463A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230407(P2012−230407)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2004−206641(P2004−206641)の分割
【原出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(596092698)アルカテル−ルーセント ユーエスエー インコーポレーテッド (965)
【Fターム(参考)】