説明

通話録音再生方法及び通話録音装置

【目的】トラブル等に迅速に対応可能とする通話録音再生方法及び通話録音装置を提供する。
【構成】本発明は、再生要求に対応する音声データが現在時点で通話中の音声データである場合に、当該音声データのうちで記録された音声データに対して話速高速化処理を施しつつ当該記録された音声データを再生し、当該音声データの再生時点が当該音声データの現在時点に追いついたか否かを判定する。当該再生時点が当該現在時点に追いついたと判定した場合に、当該現在時点以後の音声データを継続して再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコールセンタシステムにおいて顧客とオペレータとの間で交わされる通話の内容を音声データとして記録し、これをリアルタイム若しくは後に随時再生する通話録音再生方法及び通話録音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コールセンタシステムにおける顧客対応業務としては、顧客に対する販売促進や顧客からの注文受付業務がある。かかる業務のおいては、しばしば顧客からの商品クレーム等の苦情や契約違反等のトラブルが発生する。そこで、コールセンタシステムにおいては、顧客との通話内容を音声データとして記録することで後日の紛争に備えることが行われる。さらには、現にトラブルに有る顧客との通話を、オペレータ業務を監督する者、すなわちスーパバイザが同時モニタリングを行うことによって、トラブルを把握すると共に場合によっては通話を交代する等の適切な処置を可能とすることが求められている。
【0003】
同時モニタリングを可能とする技術としては幾つかの技術が知られている。例えば、特許文献1は、追っかけ再生技術を用いることよって通話録音と並行した同時モニタリングを可能とする技術を開示している(特許文献1の段落[0044]〜[0056]及び図10参照)。また、非特許文献1は、ストリーミング再生技術を用いることによって通話録音と並行した同時モニタリングを可能とする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−301135号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】NVR−5000カタログ、http://www.sophia-systems.co.jp/nvr/img/NVR_cata5-a3-300.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように従来技術によれば、スーパバイザ等が通話録音の内容をリアルタイムにモニタリングすることができる。しかしながら、かかる運用はあくまでも録音の再生にすぎない。例えば、通話録音が開始されてから3分後に再生を開始したら、いつまでたっても3分遅れでしか通話内容を確認できないことになる。すなわち、現にトラブルが発生したとしてもスーパバイザの対応は常に遅れることになる。本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、トラブル等に迅速に対応可能とする通話録音再生方法及び通話録音装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による通話録音再生方法は、複数の通話端末と、前記通話端末と外部通話端末との間で送受信される音声データを通話毎に記録すると共に、再生要求に応じて前記音声データを再生する通話録音装置と、を含むコールセンタシステムにおける通話録音再生方法であって、前記再生要求に対応する音声データが現在時点で通話中の音声データである場合に、当該音声データのうちで記録された音声データに対して話速高速化処理を施しつつ当該記録された音声データを再生する高速化再生ステップと、当該音声データの再生時点が当該音声データの現在時点に追いついたか否かを判定する再生時点判定ステップと、
当該再生時点が当該現在時点に追いついたと判定した場合に、当該現在時点以後の音声データを継続して再生する継続再生ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明による通話録音装置は、通話端末と外部通話端末との間で送受信される音声データを通話毎に記録すると共に、再生要求に応じて前記音声データを再生する通話録音装置であって、前記再生要求に対応する音声データが現在時点で通話中の音声データである場合に、当該音声データのうちで記録された音声データに対して話速高速化処理を施しつつ当該記録された音声データを再生する高速化再生手段と、当該音声データの再生時点が当該音声データの現在時点に追いついたか否かを判定する再生時点判定手段と、当該再生時点が当該現在時点に追いついたと判定した場合に、当該現在時点以後の音声データを継続して再生する継続再生手段と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明による通話録音再生方法及び通話録音装置によれば、コールセンタシステムにおいて、通話を常に録音しておき、管理者がモニタリングする際に録音しておいた通話を高速再生し、再生が追いついたならばリアルタイムモニタリングに移行することによって、通話内容を確認してからリアルタイムモニタリングを行うことができ、トラブル等に迅速に対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施例を示し、コールセンタシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】記録される音声データの構成を示すフォーマット図である。
【図3】コールセンタシステムにおける全体の処理手順を示すシーケンス図である。
【図4】第1の実施例における音声記録装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施例を示し、コールセンタシステムの構成を示すブロック図である。
【図6】感情検出部の動作原理を説明する説明図である。
【図7】第2の実施例における音声記録装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施例>
図1は、第1の実施例を示し、本発明によるコールセンタシステムの構成を示している。ここで、複数の顧客電話機が公衆電話網102を介してコールセンタシステム103に接続されている。本図では、説明の容易性のために1つの顧客電話機101のみが示されている。公衆電話網102は、在来の公衆電話網であってもVoIP技術を用いた公衆IP電話網であってもよい。コールセンタシステム103は、公衆電話網102に接続された少なくとも1つのゲートウェイ装置104と、少なくとも1つの呼制御装置106と、少なくとも1つの通話録音装置107とを含み、これら各装置はセンタ内通信網105を介して相互に接続されている。ゲートウェイ装置104は、外部の公衆電話網102との間で音声データや呼制御データを中継する処理を行う。呼制御装置106は、公衆電話網102との間で呼制御を行って外部の顧客電話機101から到来する呼の振り分け処理を行うと共に、コールセンタシステム103全体の制御を行う。センタ内通信網105は、コールセンタシステム103内の各装置間において音声データや制御コマンドを伝達する。センタ内通信網105と各装置間の接続形態は多様な形態が想定されるが、本図の例は最も単純な形態を示している。
【0013】
センタ内通信網105には、複数のオペレータ通話端末108、複数のオペレータ端末109、少なくとも1つの管理者再生端末110、並びに少なくとも1つの管理者端末111が備えられている。オペレータ通話端末108及び管理者再生端末110の各々は通常の電話機やIP電話機であってもよい。オペレータ端末109及び管理者端末111の各々は通常パーソナルコンピュータであってもよい。センタ内通信網105は、構内通信網である必然性はなく、各端末の設置場所に依存して複数地域にまたがる広域通信網であってもよい。
【0014】
コールセンタには通常複数のオペレータが勤務するが、1人のオペレータは、オペレータ通話端末108を用いて呼制御装置106によって振り分けられた呼の通話を行うと共に、オペレータ端末109を用いて当該通話に関連する情報処理を行う。また、コールセンタには、通常、オペレータの業務を管理する管理者が存在する。管理者は、管理者再生端末110と管理者端末111を使って業務を行う。管理者再生端末110は、通話済又は通話中の音声データの内容を聞くすなわちモニタリングするための装置であり、通常のパーソナルコンピュータによっても実現され得るし、オペレータ通話端末108と同等の機器となる場合もあり得る。管理者端末111は、通常パーソナルコンピュータでもよく、管理者はこれを使って管理業務に関連する情報処理を行う。管理者端末111は指示装置119を備える。指示装置119は、音声データの再生やモニタリングの指示コマンドを通話録音装置107に向けて送信する装置である。例えば、ある通話中のオペレータの音声データを現在の1分前から再生するといった指示コマンドを再生処理部114に送ることができる。指示装置119は、通常のキーボード等の入出力装置であっても、録音再生技術分野において周知の専用装置であってもよい。
【0015】
通話録音装置107は、オペレータ通話端末108による通話毎に当該通話の音声データを記録する装置である。通話録音装置107には、録音処理部112と、音声データ蓄積部113と、再生処理部114とが備えられている。
【0016】
録音処理部112は、センタ内通信網105上の音声データを検知して、当該音声データに対する取得処理を行い、これを音声データ蓄積部113に記録する。音声データ蓄積部113には、通話済音声データ115及び通話中音声データ116が記録される。通話済音声データ115とは、既に通話録音が完了した音声データである。一方、通話中音声データ116とは、録音処理部112によって録音処理が実行されている最中の音声データであり、通話に並行して随時書き込みが行われるデータである。通話中音声データ116は、通話の終了とともに書き込みが完了し、以後、通話済音声データ115として扱われる。録音処理部112は、また、音声データを音声データ蓄積部113に記録する際に、後の読出し時の検索用に時刻タグを音声データに付与して記録してもよい。時刻タグは、録音時の日付及び時刻情報からなり、例えば1分間隔等の所定間隔で間欠的に音声データに付与される。
【0017】
録音処理部112は、また、一時保存メモリ117を備える。記録されるべき音声データは、通話中音声データ116として音声データ蓄積部113に書き込まれると同時に、一時保存メモリ117へも書き込まれる。一時保存メモリ117は、時間にして数秒分の容量しかないバッファリング用メモリであり、新しいデータが書き込まれる時に、最も古いデータが消去される。一時保存メモリ117は、通話中の音声データに対するリアルタイムモニタリングに先立って録音済の音声データを最初から再生して高速化追っかけ再生を行う場合に、当該音声データの再生時点が当該音声データの現在時点に追いついたか否かを判定するために備えられている。すなわち、書き込まれた通話中音声データ116の再生が終了し、一時保存メモリ117に書き込まれた音声データを再生できるようになった場合に、再生時点が現在時点に追いついたと判定される(後述する図4のステップS202の説明参照)。
【0018】
再生処理部114は、管理者再生端末110からの再生要求コマンドに応じて、音声データ蓄積部113から音声データを読み取り、読み取った音声データを管理者再生端末110へ送信する。管理者再生端末110は、送信された音声データを再生し、管理者による音声モニタリングを実現する。また、再生処理部114は、音声データ加工部118を備え、音声データ加工部118は、読み取った音声データに対して話速変換処理を施すことによって、当該音声データをより短時間で再生可能な高速化された音声データに変換する。例えば、60秒間にわたる音声データが45秒間で再生可能な音声データに変換される。話速変換処理として、例えば、音声データにおける無音区間を特定し、かかる無音区間を取り除くことによって音の高低を変えることなく話速を高速化するアルゴリズムがある。話速変換処理のアルゴリズムは、これに限定されず、多様な異なるアルゴリズムが用いられてもよい。
【0019】
図2は、記録される音声データの構成を示している。音声データは、複数のフレームが連続するビットストリームを形成している。1つのフレームは、同期用の所定ビット列である同期ワードと、ヘッダ部と、可変長のビット列からなる音声データ部とから構成される。ヘッダ部は、当該音声データの属性データからなり、例えば、PCM又はMP3等の符号化方式識別と、サンプリングレートと、ビット速度と、フレーム長とを含み、さらには検索用の時刻タグやインデックスタグを含んでもよい。音声データ部は、PCM形式やMP3等の音声圧縮形式によって表される音声情報のビット例である。
【0020】
尚、上記の如きストリーム状の音声データは、通話単位にまとめられて1つのファイルとして蓄積される。当該ファイルは、通常のファイルと同様にファイル名、作成日時等の管理情報が付与されて管理され得る。
【0021】
図3は、コールセンタシステムにおける全体の処理手順を示している。まず、顧客電話機101から公衆電話網102へ発信を行う(ステップS101)。公衆電話網102からゲートウェイ装置104へ着信が通知され(ステップS102)、その通知は、呼制御装置106まで通知される(ステップS103)。呼制御装置106は、着信を受けるべきオペレータを選択して、そのオペレータが使用するオペレータ端末109とオペレータ通話端末108に各々通知する(ステップS104及びS105)。オペレータが応答操作を行うと、顧客電話機101とオペレータ通話端末108との通話が開始される(ステップS106)。
【0022】
通話が開始されると、通話録音装置107は、通話中の音声データを検知し、音声データ蓄積部113への音声データの記録を開始する(ステップS107)。オペレータの通話中に管理者がその通話をモニタリングしたいと考えた時、管理者は管理者端末111の指示装置119を操作する。指示装置119はモニタ要求コマンドを通話録音装置107に向けて送信する(ステップS108)。当該モニタ要求コマンドは、通話の内容を確認したい時点、例えば今から1分前などの指定を伴ってもよい。
【0023】
通話録音装置107は、当該モニタ要求コマンドに応じて、現在時点以前の最初の時点から又は指定時点から音声データを読み出して、これを管理者再生端末110に送信する(ステップS109)。これにより、管理者は当該通話の内容をモニタリングすることができる。再生を開始する位置すなわち再生時点は、当該の通話の最初の時点であっても指定された時点でもよい。
【0024】
図4は、第1の実施例における音声記録装置の処理手順を示している。かかる処理手順は、図3に示されたステップS108及びS109における通話録音装置107の動作をより詳細な処理手順として示している。以下、かかる処理手順について図1に示された要素を適宜参照して説明する。
【0025】
先ず、通話録音装置107の再生処理部114は、モニタ要求コマンドを受けてモニタリングを開始する(ステップS201)。この時、指示装置119の操作によって指定された再生時点を当該通話の開始時点に初期化する。
【0026】
モニタリングの開始に応じて、再生処理部114は、現在の再生時点が一時保存メモリ117内の音声データに到達しているか否かを判定する(ステップS202)。すなわち、前述したように、一時保存メモリ117は、追っかけ再生を行いつつ、再生時点が当該音声データの現在時点に追いついたか否かを判定するために備えられている。従って、現在の再生時点が一時保存メモリ117内の音声データに到達していれば、再生時点が現在時点に追いついたと判定される。
【0027】
ステップS202において、現在の再生時点が一時保存メモリ117内の音声データに到達していないと判定された場合、再生処理部114は、音声データ蓄積部113に既に書き込まれている通話中音声データ116から音声データを取得する(ステップS203)。次いで、再生処理部114の音声データ加工部118が、当該音声データに対して再生速度を高速化する話速変換処理、例えば1.5倍速となるような話速変換処理を施す(ステップS204)。次いでステップS206に進む。
【0028】
一方、ステップS202において、現在の再生時点が既に一時保存メモリ117内の音声データにまで到達していると判定した場合、再生処理部114は、一時保存メモリ117から音声データを取得する(ステップS205)。次いで、再生処理部114は、取得された又は話速変換処理が施された音声データを管理者再生端末110に送信し、送信したデータの分だけ再生時点を進める(ステップS206)。管理者再生端末110は、送信された音声データを順次再生する。
【0029】
再生処理部114は、音声データの管理者再生端末110への送信毎に、通話が継続しているか或いはモニタ停止コマンドがあるか否かを判定する(ステップS207)。通話が継続し且つモニタ停止コマンドがない場合には、ステップS202に戻って処理を継続する。それ以外の場合にはモニタリングを終了する(ステップS208)。
【0030】
以上の第1の実施例において、コールセンタの管理者は、通話録音中にもその通話内容がモニタリング可能となるだけでなく、聞き逃した前の部分を等速以上の速度で再生できるようになっている。すなわち、モニタリングの再生時点が現在時点に追い付いたならば、リアルタイムのモニタリングに処理を切り替えている。これにより、通話モニタリング運用の幅を広げることができる。例えば、管理者は、オペレータからの通告やオペレータの挙動等の様々な要因によって、オペレータの通話内容がトラブルになりそうだと判断した場合に、これまでの通話内容を確認してから継続してモニタリングを行うことができるようになる。
【0031】
尚、第1の実施例では、現在時点より前の部分を等速以上の速度で再生できる仕組みが説明されたが、かかる仕組みをそのまま流用して録音済の音声データの速度を変えて再生する機能にすることも可能である。また、一時保存メモリを用いることによって追いつき判定を行う形態が説明されたが、本発明は必ずしも一時保存メモリを用いることなく、追いついた時点で通話中音声データをそのままリアルタイムに再生するようにしてもよい。一時保存メモリを用いる形態は、追いついた時点におけるノイズ発生や断音を防ぐ作用がある。
【0032】
<第2の実施例>
図5は、第2の実施例を示し、コールセンタシステムの構成を示している。ここで、コールセンタシステム103は、第1の実施例と同様の環境下にあって、且つ基本的に同様の構成を有している(図1参照)。但し、第2の実施例においては、通話録音装置107に含まれる録音処理部112は感情検出部120を備えている。
【0033】
感情検出部120は、録音中の音声から話者の感情変化を検出し、大きな変化があった場合にその部分の音声データを特異音声データとして検出する機能を備える。録音処理部112は、かかる特異音声データの検出に応じて当該特異音声データにインデックスタグを付与して音声データ蓄積部113に記録する。インデックスタグは、音声データのヘッダ部内に書き込まれる(図2参照)。インデックスタグの内容としては、音声データフレーム内のヘッダ部において一意に識別可能な文字列やビット列が用いられ得る。インデックスタグの付与頻度は、特異音声データを構成する全ての音声データフレームに対して行われる必然性はなく、検索効率の観点から適切な頻度で付与されてもよい。
【0034】
話者の感情変化を検出する方式としては周知の技術が用いられ得る。コールセンタにおいては、苦情等における顧客の怒りの感情が問題となる。人の感情変化は、音量や音質の両方に現れるが、特に怒りの感情の場合は音量が平常時に比べて高くなる傾向が認められている。そこで、本実施例における感情検出部120は、音量の基準値Aを設定して、音量が一時的又は所定期間Bに亘って当該基準値を超えた場合に当該音声データが特異音声データであると検出する(図6参照)。もちろん、怒りに起因する感情変化を検出する対象としては、音量に限らず話者のピッチ(周波数)の変動を検知する方法や話す言葉の速度すなわち話速の変動を検知する等の多様な指標が用いられてもよい。
【0035】
図7は、第2の実施例における音声記録装置の処理手順を示している。当該処理手順は、通話録音装置107に含まれる録音処理部112と、音声データ蓄積部113と、再生処理部114とが連携することによって実行される。
【0036】
通話が開始されると、録音処理部112は、通話中の音声データを検知して、これを取り込む(ステップS301)。次いで、録音処理部112は、その感情検出部120を用いて、当該音声データに特異音声データがあるか否かを判定する(ステップS302)。もし特異音声データがある場合には、当該音声データにインデックスタグを付与して音声データ蓄積部113に記憶する(ステップS303)。一方、もし特異音声データがない場合には、当該音声データをそのまま音声データ蓄積部113に記憶する(ステップS304)。次いで、録音処理部112は、通話が継続しているか否かを判定する(ステップS305)。もし、通話が継続している場合には、ステップS301に戻り音声データの検知及び取り込みを継続する。通話が継続していない場合には当該通話のための録音を終了する。
【0037】
一方、再生処理部114は、常に管理者端末からのモニタ要求を受け付けている(ステップS306)。管理者端末からのモニタ要求があった場合には、再生処理部114は、当該モニタ要求がインデックスタグを指定して音声データの早送りを要求しているか否かを判定する(ステップS307)。ここでインデックスタグの指定は、音声データの最初にあるインデックスを指定してもよいし、何番目等の特定のインデックスタグの指定を可能としてもよい。
【0038】
もし、インデックスタグの指定がある場合には、再生処理部114は、音声データの再生時点を指定時点、すなわち当該インデックスタグの存在する時点に設定する(ステップS308)。次いで、再生処理部114は、指定された再生時点又は最初から当該音声データを音声データ蓄積部113から読み出して(ステップS309)、これを管理者再生端末110に送信し、音声データの再生を行う(ステップS310)。音声データの再生は、通常、第1の実施例において説明したように話速変換されて高速度に再生され得る。もちろん通常の速度によって再生するようにしてもよい。
【0039】
さらに、再生処理部114は、モニタ要求の変更があるか否かを判定してもよい(ステップS311)。モニタ要求の変更がある場合には、再生処理部114は、ステップS306に戻りモニタ要求の変更を受け付ける。モニタ要求の変更を受け付け可能とすることにより、指定インデックスタグの時点をさらに変更することが可能となり、より所望の時点にて再生が可能となる。
【0040】
尚、以上の処理手順は、特異音声データに対応するインデックスタグを指定する形態が説明されたが、インデックスタグを指定する形態に代えて、録音時刻に対応する時刻タグを単純に指定する形態であってもよい。
【0041】
以上のように第2の実施例において、管理者は、聞き逃した前の部分を等速以上の速度で再生できるのみならず、前の部分でインデックスが付与された特異な音声データの時点から等速以上の速度で再生できる。特異な音声データとは、話者が感情的になって声高になるような感情の起伏が認められる部分であり、顧客とオペレータとの間でトラブルが発生してどちらかが感情的になった部分である。これにより、管理者はより迅速にトラブルの原因を突き止めることが可能となり、管理業務の効率化をより図ることができる。
【符号の説明】
【0042】
101 顧客電話機
102 公衆電話網
103 コールセンタシステム
104 ゲートウェイ装置
105 センタ内通信網
106 呼制御装置
107 通話録音装置
108 オペレータ通話端末
109 オペレータ端末
110 管理者再生端末
111 管理者端末
112 録音処理部
113 音声データ蓄積部
114 再生処理部
115 通話済音声データ
116 通話中音声データ
117 一時保存メモリ
118 音声データ加工部
119 指示装置
120 感情検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通話端末と、前記通話端末と外部通話端末との間で送受信される音声データを通話毎に記録すると共に、再生要求に応じて前記音声データを再生する通話録音装置と、を含むコールセンタシステムにおける通話録音再生方法であって、
前記再生要求に対応する音声データが現在時点で通話中の音声データである場合に、当該音声データのうちで記録された音声データに対して話速高速化処理を施しつつ当該記録された音声データを再生する高速化再生ステップと、
当該音声データの再生時点が当該音声データの現在時点に追いついたか否かを判定する再生時点判定ステップと、
当該再生時点が当該現在時点に追いついたと判定した場合に、当該現在時点以後の音声データを継続して再生する継続再生ステップと、
を含むことを特徴とする通話録音再生方法。
【請求項2】
前記音声データを記録する際に、当該音声データに記録時刻を表す時刻タグを間欠的に付与する時刻タグ付与ステップを含み、前記高速化再生ステップは、前記再生要求に含まれる指定時刻に対応する時刻タグが付与された音声データから再生することを特徴とする請求項1記載の通話録音再生方法。
【請求項3】
前記音声データを記録する際に、当該音声データに検索標識であるインデックスタグを付与するイッデックスタグ付与ステップを含み、前記高速化再生ステップは、前記再生要求に含まれる指定インデックスタグに対応するインデックスタグが付与された音声データから再生することを特徴とする請求項1記載の通話録音再生方法。
【請求項4】
前記インデックス付与ステップは、当該音声データから特異音声データを抽出し、当該特異音声データに前記インデックスタグを付与し、前記特異音声データは、音声音量が所定基準値を超えた音声データであることを特徴とする請求項3記載の通話録音再生方法。
【請求項5】
通話端末と外部通話端末との間で送受信される音声データを通話毎に記録すると共に、再生要求に応じて前記音声データを再生する通話録音装置であって、
前記再生要求に対応する音声データが現在時点で通話中の音声データである場合に、当該音声データのうちで記録された音声データに対して話速高速化処理を施しつつ当該記録された音声データを再生する高速化再生手段と、
当該音声データの再生時点が当該音声データの現在時点に追いついたか否かを判定する再生時点判定手段と、
当該再生時点が当該現在時点に追いついたと判定した場合に、当該現在時点以後の音声データを継続して再生する継続再生手段と、
を含むことを特徴とする通話録音装置。
【請求項6】
前記音声データを記録する際に、当該音声データに記録時刻を表す時刻タグを間欠的に付与する時刻タグ付与手段を含み、前記高速化再生手段は、前記再生要求に含まれる指定時刻に対応する時刻タグが付与された音声データから再生することを特徴とする請求項5記載の通話録音装置。
【請求項7】
前記音声データを記録する際に、当該音声データに検索標識であるインデックスタグを付与するイッデックスタグ付与手段を含み、前記高速化再生手段は、前記再生要求に含まれる指定インデックスタグに対応するインデックスタグが付与された音声データから再生することを特徴とする請求項5記載の通話録音装置。
【請求項8】
前記インデックス付与手段は、当該音声データから特異音声データを抽出し、当該特異音声データに前記インデックスタグを付与し、前記特異音声データは、音声音量が所定基準値を超えた音声データであることを特徴とする請求項7記載の通話録音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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