説明

通電機器

【課題】取付面に取り付けられる通電機器が小型化、薄型化されても容易に取付面へ取り付け可能とすることを目的とする。
【解決手段】通電機器は、ナット20が通る大きさの大孔と大孔に連通しナット20が通らない大きさの小孔とが設けられた器具本体3を備える。取付面に固定された取付金具9のねじ19を、その先端に取り付けられたナット20が大孔を通り抜けるまで大孔に挿入し、器具本体3がスライドされてネジ19が小孔を貫通した状態にする。さらにナット20を締めあげて、器具本体3をナット20と取付金具9との間に挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、天井等の取付面に取り付けられ、電力により動作する通電機器に関する。
【背景技術】
【0002】
天井等に取り付けられる誘導灯において、電源線を装置内へ引き込む電源線引込孔を取付面の中央に有し、電源線引込孔の両側にねじを通す取付孔を有する誘導灯がある。この誘導灯は、取付孔にねじを通して天井へねじ止めすることにより、天井へ取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−351419号公報
【特許文献2】特開平8−167314号公報
【特許文献3】特開平7−73721号公報
【特許文献4】特開2000−156116号公報
【特許文献5】特開2001−351419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築物において、誘導灯は消防法にて規定された場所に設置することが義務付けられている。一方、建築設計の視点からは、誘導灯は極力設置しないことが望まれる。そのため、誘導灯の小型化、薄型化が要求されている。
従来の誘導灯の構成では、小型化、薄型化が進んでしまうと天井等の取付面への取り付けが困難となり、ある程度以上の小型化、薄型化ができない。つまり、取付面へ小型化、薄型化された誘導灯を取り付ける場合には、内蔵する部品とねじ挿入孔とのクリアランスが少なく、ねじを回すことが困難である。特に、天井等の取付面への取り付けの際は、片方の手で誘導灯を取付面へ押し当てながら、もう片方の手でねじを回す必要があり、クリアランスの少ない状態での作業は非常に困難である。
また、誘導灯に限らず、天井等に取り付けられる他の電子機器等であっても、建築設計の視点からは、極力目立たないようにすることが望まれる場合がある。天井等に取り付けられる他の電子機器等であっても、誘導灯と同様に、小型化、薄型化が進んでしまうと天井等の取付面への取り付けが困難となり、ある程度以上の小型化、薄型化ができない。
本発明は、例えば、誘導灯や取付面に取り付けられるその他の電子機器が小型化、薄型化されても容易に取付面へ取り付け可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る通電機器は、
ナットが取り付けられたネジと、挿入片とを有し、取付面に取り付けられる取付金具であって、上記取付面に取り付けられた場合に、上記ネジと上記挿入片とが上記取付面から同方向へ突出する取付金具と、
上記取付金具に取り付けられる長方形の取付部であって、上記ナットが通る大きさの大孔と上記大孔に連通し上記ナットが通らない大きさの小孔とが上記長方形の長手方向に並んだ取付孔と、挿入溝とが設けられた取付部を有する器具本体と、
を備え、
上記ナットが上記大孔を通り抜けるまで上記ネジが上記大孔に挿入され、上記器具本体が上記長手方向にスライドされて上記ネジが上記小孔を貫通した状態にされ、さらに上記ナットが締めあげられて、上記取付部が上記ナットと上記取付金具との間に挟持され、上記ナットが締めあげられた場合に上記挿入片が挿入溝に挿入されて上記スライドが制限される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る通電機器によれば、ナットが大孔を通り抜けるまでネジが大孔に挿入され、取付部が長手方向にスライドされてネジが小孔を貫通した状態にされる。この状態では、作業者が手を離しても通電機器が取付面から落下することがない。そして、ナットが締めあげられて、取付部がナットと取付金具との間に挟持され、通電機器が取付面に固定されると、挿入片が挿入溝に挿入されて長手方向へのスライドが制限される。そのため、通電機器が何らかの力によりスライドして取付面から落下してしまうことがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】分解表示した表示装置100を示す分解斜視図。
【図2】取付部10の構造を示す図。
【図3】取付面と取付金具9と取付部10との断面図。
【図4】取付部10の構造の他の例を示す図。
【図5】取付面と取付部10との断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、表示装置100を示す分解斜視図である。ここでは、通電機器の一例である表示装置100について説明する。
表示装置100は、天井等の取付面に取り付けられ、所定の情報を表示する機器である。表示装置100は、枠部1と情報表示部2とを有する器具本体3と、ランプホルダユニット4と、点灯制御部5と、バッテリー6と、取付部7と、端子台8と、取付金具9とを備える。
【0009】
枠部1は、表示装置100の筐体となる部分である。枠部1には、情報表示部2が取り付けられる。図1では、枠部1は、底面と側面とを有する四角形のお盆状に構成されている。
情報表示部2は、所定の情報を表示する。所定の情報とは、例えば、避難誘導を示す図柄等である。所定の情報は、避難誘導を示す図柄に限られず、案内情報、警告情報等いかなる情報であっても構わない。情報表示部2は、図1では、お盆状に構成された枠部1の開口部を塞ぐように取り付けられる。
器具本体3は、枠部1と情報表示部2とを備える箱型のケースである。器具本体3は、内部に点灯制御部5、バッテリー6、取付部7、端子台8等の機器を収納する。
ランプホルダユニット4は、光源となるランプを保持する。ランプの光が情報表示部2へ入射するように、ランプホルダユニット4は枠部1又は情報表示部2に取り付けられる。つまり、情報表示部2は、ランプホルダユニット4に保持されたランプの光によって照らされる。そのため、情報表示部2が表示した情報は、暗い部屋の中等であっても識別可能となる。図1では、ランプホルダユニット4は、器具本体3の外側に取り付けられているが、器具本体3の内側に取り付けられても構わない。
点灯制御部5は、ランプホルダユニット4が保持するランプの点灯状態を制御する。点灯制御部5は、通常時には商用電源からの電力によりランプを点灯させ、商用電源から電力が供給されない非常時には非常時電源からの電力によりランプを点灯させる。
バッテリー6は、非常時電源である。バッテリー6は、点灯制御部5により制御され、非常時にランプを点灯させる電力を供給する。バッテリー6を備えず、表示装置100を取り付ける施設等に設けられた非常用電源設備を非常時電源としても構わない。
取付部7は、所定の機器を取り付けることができる。取付部7は、器具本体3に取り付けられる。
端子台8は、商用電源等と接続された電源線と接続される。端子台8を介して、点灯制御部5等へ電力が供給される。
取付金具9は、天井等の取付面に取り付けられるとともに、枠部1の取付部10に取り付けられる。取付金具9は、まず、ねじ等の取付部材を取付金具9の金具取付孔11に通し取付面に固定することで、取付面に固定される。そして、取付面に固定された取付金具9に枠部1の取付部10を固定することにより、表示装置100が取付面に固定される。
【0010】
次に、枠部1の取付部10の構造と、取付金具9に枠部1の取付部10を固定する方法とを説明する。
まず、取付部10の構造について説明する。図2は、この実施の形態に係る取付部10の構造を示す平面図である。
取付部10は、電源線引込孔13と、取付孔14と、ダルマ孔15と、取付孔16とを備える。
電源線引込孔13は、取付面から出ている電源線を枠部1の内部へ引き込むための孔である。電源線引込孔13は、取付孔14よりも径が大きい。
取付孔14は、ねじ等の取付部材を通す孔である。取付孔14は、電源線引込孔13と開口部の一部が連続する。
ダルマ孔15は、径の大きい大孔15−1と、径の小さい小孔15−2とを備え、大孔15−1と小孔15−2とは、隣接して開口部の一部が連続する。
取付孔16は、側面視L字状の補強板21を取り付けるための孔である。ここで、補強板21とは、器具本体3の取付面(取付部10と底面)を補強するためのものであり、器具本体3の内側に取付部10と底面とに跨って取り付けられる器具である。
また、電源線引込孔13と取付孔14との開口部が連続する部分には、広開部17と、配線保護壁18とが設けられる。
広開部17は、電源線引込孔13よりも径の小さい孔であって、取付孔14よりも径の大きい孔である。広開部17は、電源線引込孔13側から取付孔14側へ向かって徐々に開口部の径が狭まっている。
配線保護壁18は、電源線引込孔13と広開部17との開口部が連続する部分の幅を狭めるように設けられた部材である。配線保護壁18は、枠部1と一体的に樹脂等で形成して、電源線を保護する。
なお、配線保護壁18は、枠部1と一体的に形成することなく別体としてもよく、この場合、例えばゴムなどの弾性体で形成してもよい。
さらに、取付部10の厚さ方向(図2のD方向)の両端部には挿入溝23が設けられている。挿入溝23は、取付金具9に取付部10が密着した場合に、取付金具9の挿入片22が挿入される孔である。ここで、取付金具9の挿入片22とは、取付金具9の端部を略垂直に折り曲げた部分である。
【0011】
次に、取付金具9に枠部1の取付部10を固定する方法について説明する。図3は、取付面と、取付金具9と、取付部10との断面図である。図3の取付金具9は、図1のA−A’断面図であり、図3の取付部10は、図1のB−B’断面図である。なお、図3は取付金具9に枠部1の取付部10を固定する方法について説明するための図であるため、リブ24等の記載を省略し簡略化している。
(1)まず前提として、取付金具9を取付面に固定する。取付金具9の金具取付孔11bと金具取付孔11cとにねじ等の取付部材を通して取付面に固定することにより、取付金具9を取付面に固定する。この際、取付面から出ている電源線を取付金具9の金具電源線引込孔12へ通しておく。
(2)取付金具9の金具電源線引込孔12を通った電源線を電源線引込孔13から枠部1の内部へ引き込む。
(3)取付金具9に取り付けられた2つのねじ19(取付部材)を広開部17(あるいは電源線引込孔13)とダルマ孔15の大孔15−1とへそれぞれ嵌入する。なお、取付金具9に取り付けられたねじ19にはナット20(頭部)が取り付けられている。このナット20が広開部17(あるいは電源線引込孔13)と大孔15−1とを貫通して、ねじ19を広開部17(あるいは電源線引込孔13)と大孔15−1とへ嵌入する。ここで、ナット20は取付孔14と小孔15−2とよりも径が大きく、かつ、広開部17と大孔15−1とよりも径が小さい。一方、ねじ19(胴部)は、取付孔14と小孔15−2とよりも径が小さい。
なお、ねじ19を広開部17ではなく電源線引込孔13へ必ず嵌入するのであれば、ナット20は広開部17よりも径が大きく、電源線引込孔13よりも径が小さいとしても構わない。
(4)枠部1を取付面の面方向へスライドさせて、広開部17(あるいは電源線引込孔13)と大孔15−1とに嵌入された2つのねじ19それぞれを取付孔14と小孔15−2とへ移動させる。そして、2つのねじ19をそれぞれ取付孔14と小孔15−2とに嵌合させることにより、取付部10を取付金具9に固定する。つまり、取付面の面と平行に、広開部17から見て取付孔14とは逆の方向(図2のC方向)へ枠部1をスライドさせて、2つのねじ19をそれぞれ取付孔14と小孔15−2とに移動させる。そして、ねじ19(胴部)が取付孔14と小孔15−2を貫通した状態であり、ねじ19に取り付けられたナット20が取付孔14と小孔15−2との背面に引っ掛かった状態とする。この状態であれば、作業員が表示装置100から手を離しても、表示装置100が取付面から落ちることはない。
(5)ナット20を締め上げ、ナット20と取付金具9との間に取付部10を挟みこむ。また、ナット20を締め上げることにより、取付金具9の挿入片22が取付部10の挿入溝23へ挿入される。これにより、枠部1がスライドして取付孔14と小孔15−2とに嵌合した2つのねじ19が外れることを防止でき、確実に取付部10が取付金具9に固定される。つまり、取付金具9に枠部1が確実に固定される。その結果、表示装置100は、取付面に固定される。
なお、(4)で、ねじ19は、広開部17あるいは電源線引込孔13へ嵌入するとしたが、配線保護壁18がゴム等の弾性体であれば、広開部17と電源線引込孔13とに跨って嵌入するとしても構わない。
【0012】
ここで、広開部17は、(4)で電源線引込孔13にねじ19が嵌入された場合、ねじ19を取付孔14へ移動し易くする役割も果たす。つまり、電源線引込孔13と取付孔14との孔の径の大きさには少なくとも電源線分の差があり、電源線引込孔13から取付孔14へねじ19を容易に移動できないことが考えられる。そこで、電源線引込孔13よりも小さい径の孔であって、取付孔14よりも大きい径の孔である広開部17を電源線引込孔13と取付孔14との間に設けることにより、電源線引込孔13から取付孔14へねじ19を容易に移動可能にする。特に、広開部17は、電源線引込孔13側から取付孔14側へ向かって徐々に幅が狭く(孔の径が小さく)なっている。そのため、特に、電源線引込孔13から取付孔14へねじ19を容易に移動させることができる。
また、上述したように、電源線引込孔13にねじ19を嵌入する場合には、電源線引込孔13と取付孔14との孔の径の大きさには少なくとも電源線分の差が必要である。これは、取付孔14は、ねじ19と嵌合する大きさの孔であるのに対して、電源線引込孔13は、電源線を引き込むとともに、ねじ19が挿入される孔であるためである。つまり、電源線引込孔13にねじ19を嵌入する場合、電源線引込孔13の径は、少なくとも電源線の径とねじ19のナット20の径との和以上である。
【0013】
配線保護壁18は、(4)で取付孔14へねじ19を移動させる際、ねじ19とともに電源線までも電源線引込孔13から取付孔14へ移動することや、表示装置100を取付面に固定した後に電源線が電源線引込孔13から取付孔14へ移動することを防止するための部材である。ねじ19、補強板21、取付金具9等は、金属等の硬い物質であることが考えられる。そのため、配線保護壁18は、電源線が電源線引込孔13から取付孔14へ移動して、ねじ19と取付孔14や広開部17等の孔の淵との間に挟まれ、傷ついてしまうことや、取付部10が取付金具9に固定された後、取付金具9の金具電源線引込孔12のエッジにより傷つけられることを防止する。なお、電源線引込孔13の周囲には、配線保護壁18が設けられた部分を除きリブ24が立っている。取付部10が取付金具9に取り付けられると、取付金具9の金具電源線引込孔12の内側にリブ24が挿入される。つまり、電源線引込孔13のうち、配線保護壁18により電源線が保護されていない部分については、電源線が金具電源線引込孔12のエッジにより傷つけられることをリブ24により防止している。2つの配線保護壁18の間隔は、ねじ19の幅より広く、電源線の径よりも狭いのでねじ19が電源線引込孔13と広開部17を移動する妨げとならない。一方で、配線保護壁18は、電源線により押されても折れ曲がることのない程度の強度または弾性を有しており、電源線の移動を防止することができる。また、配線保護壁18は、樹脂やゴム等であるため、電源線と接触しても電源線を傷つけることはない。
【0014】
以上のように、この実施の形態に係る通電機器は、ダルマ孔を設けることにより取付面への取り付け作業を容易にしただけでなく、ダルマ孔の径の大きい方の孔と電源線引込孔13とを共用あるいは連続にすることで、器具本体3に開ける孔の数あるいは面積を減らすことができる。これにより、小型化、薄型化することができる。
【0015】
実施の形態2.
この実施の形態では、取付部10の構造の他の例について説明する。
図4は、取付部10の構造の他の例を示す図である。ここでは、取付部10の構造のみを示すが、取付部10の構造が変われば、合わせて取付金具9の構造も変わる。
【0016】
(a)に示す取付部10の取付孔14は、電源線引込孔13と取付孔16とが隣接し、開口が連続しており、その間に広開部17や配線保護壁18は設けられていない。また、(a)に示す取付部10の取付孔14は、長円形に形成されている。長円形に形成された取付孔14の奥までねじ19を嵌合させることにより、取付部10を取付金具9に仮止めすることができ、さらに、ナット20を増し締めすることで取付部10を取付金具9に固定することができる。
(b)に示す取付部10は、(a)に示す取付部10に広開部17が設けられている。。広開部17が設けられていることにより、ねじ19が電源線引込孔13へ嵌入された場合でも、ねじ19を取付孔14へ容易にスライドさせることができる。
(c)に示す取付部10は、(b)に示す取付部10に配線保護壁18を設けたものである。配線保護壁18により、電源線引込孔13に挿入された電源線が金具電源線引込孔12のエッジやねじ19等により傷つくことを防止できる。
(d)に示す取付部10は、(c)に示す配線保護壁18の他の実施例である。(d)に示すように、配線保護壁18を電源線引込孔13と広開部17との間を塞ぐように設けても構わない。このようにすることで、電源線が取付孔14へ移動することを確実に防止できる。また、この場合には、取付時にねじ19を必ず広開部17へ嵌入する必要がある。しかし、配線保護壁18をゴム等の弾性体とすることで、ねじ19を広開部17へ嵌入する際、配線保護壁18へねじ19を押し当てて配線保護壁18を変形させながら嵌入することができ、広開部17への嵌入が容易に行える。
なお、(a)〜(d)に示す取付部10は、表示装置100を薄型化した場合に配線スペースを広く取ることを可能にするため、電源線引込孔13の形状を長円形としたものであるが、長方形や円形としても構わない。
【0017】
以上のように、取付部10は様々な構成とすることができる。取付部10をいずれの構成とした場合であっても、通電機器は、ねじ等の取付部材を用いることなく取付面へ固定することが可能である。そのため、小型化、薄型化された場合であっても容易に取付面へ取り付けすることができる。
【0018】
なお、上記説明においては、取付金具9を介して表示装置100を取付面へ固定するとした。しかし、取付金具9を用いず、直接枠部1の取付部10を取付面へ固定してもよい。
図5に基づき、直接枠部1の取付部10を取付面へ固定する方法について説明する。図5は、取付面と、取付部10との断面図である。図5の取付部10は、図1のB−B’断面図である。
図5に示すように、ねじ19を取付金具9ではなく、取付面に固定しておく。この際、ねじ19の頭19−1(頭部)を取付面から少し離した状態で、取付面に固定する。そして、取付面に固定されたねじ19に取付部10を固定することにより、表示装置100を取付面に固定することができる。
表示装置100を取付金具9を介して取付面へ固定する場合、取付金具9に固定したねじ19にナット20を取り付ける必要があった。これは、取付部10の取付孔14と小孔15−1との背面にナット20引っ掛けることにより、取付部10を取付金具9に取り付けたためである。しかし、直接枠部1の取付部10を取付面へ固定する場合、ねじ19にはナット20を取り付けておく必要はない。これは、ねじ19を取付面に固定する場合、ねじ19の胴部19−2を取付面へねじ込んで固定し、ねじ19の頭19−1が取付面から少し離した(飛び出した)状態とすることができるためである。つまり、ねじ19の頭がナット20の役割を果たすことができるためである。
【0019】
上記説明では、ねじを取付部材の一例として用い説明した。しかし、取付部材は、ねじに限られるものではなく、釘等であっても構わない。また、表示装置100を取付金具9を介して取付面へ固定する場合に用いたねじ19とナット20の代わりに、先端がフック状になった部材を取付金具9に固定するとしても構わない。
【0020】
また、上記説明では、誘導灯を通電機器の一例として説明したが、その他の照明器具や、照明器具以外の時計や音響機器等の通電機器であっても構わない。つまり、器具本体3には、情報表示部2が備えられることに限定されるものではなく、また、ランプホルダユニット4等が取り付けられることに限定されるものでもない。つまり、器具本体3には、時計やスピーカー等の機器が取り付けられるとしても構わない。
【0021】
また、金具取付孔11、金具電源線引込孔12、電源線引込孔13、取付孔14、ダルマ孔15、取付孔16は、ノックアウトであっても構わない。
【0022】
つまり、上記実施の形態に係る通電機器は、取付面に取り付けられる通電機器であり、
取付孔と、上記取付孔と隣接して開口部の一部が連続するとともに上記取付孔よりも径が大きい孔であって電源線を引き込むための電源線引込孔とが設けられた器具本体と、
上記器具本体に取り付けられる通電部品とを備え、
上記取付面に固定された取付部材を上記電源線引込孔に嵌入して上記器具本体を上記取付面の面方向へスライドさせることにより、上記取付孔に上記取付部材を嵌合して上記器具本体が上記取付面に固定される
ことを特徴とする。
【0023】
上記通電機器は、さらに、
取付面に固定され、上記取付部材を取り付ける取付金具を備え、
上記取付金具に取り付けられた取付部材を上記電源線引込孔に嵌入して上記器具本体を上記取付面の面方向へスライドさせることにより、上記取付孔に上記取付部材を嵌合して上記器具本体が上記取付面に固定される
ことを特徴とする。
【0024】
上記器具本体は、複数の取付孔と、上記複数の取付孔の少なくとも1つと隣接して開口部の一部が連続した電源線引込孔とが設けられ、
上記取付面に固定された取付部材を上記電源線引込孔に嵌入して上記器具本体を上記取付面の面方向へスライドさせることにより、上記取付孔に上記取付部材を嵌合するとともに、上記電源線引込孔と連続していない取付孔に所定の固定部材を通して上記所定の固定部材を上記取付面に固定することにより、上記器具本体が上記取付面に固定される
ことを特徴とする。
【0025】
上記器具本体は、さらに、大孔と小孔とが隣接して開口部の一部が連続したダルマ孔が設けられ、上記取付面に固定された第1の取付部材を上記電源線引込孔と嵌入するとともに、上記取付面に固定された第2の取付部材を上記ダルマ孔の大孔に嵌入して上記器具本体を上記取付面の面方向へスライドさせることにより、上記取付孔に上記第1の取付部材を嵌合するとともに、上記ダルマ孔の小孔に上記第2の取付部材を嵌合して上記器具本体が上記取付面に固定される
ことを特徴とする。
【0026】
上記器具本体は、長円形の取付孔と、上記長円形の取付孔と隣接して開口部の一部が連続した電源線引込孔とが設けられた
ことを特徴とするとする。
【0027】
上記器具本体は、取付孔と、上記取付孔と隣接して開口部の一部が連続した円形又は長円形の電源線引込孔とが設けられた
ことを特徴とする。
【0028】
上記通電機器は、さらに、
上記取付孔と上記電源線引込孔との境界部分に、上記電源線引込孔から引き込まれた電源線を保護するための配線保護壁
を備えることを特徴とする。
【0029】
上記取付部材は、
上記取付孔よりも径が小さい胴部と、
上記取付孔よりも径が大きく、かつ、上記電源線引込孔よりも径が小さい頭部とを有し、
頭部、胴部の順に上記取付部材を上記電源線引込孔へ嵌入して、上記器具本体を上記取付面の面方向へスライドさせることにより、取付孔を貫通させ、頭部を取付孔の背面に引っ掛ける
を備えることを特徴とする。
【0030】
上記通電機器であって、
上記通電部品は、
避難誘導を示す図柄が表示された情報表示部と、
上記情報表示部に光を入射する光源と、
上記光源の点灯制御をする点灯制御部と
を有することを特徴とする。
【符号の説明】
【0031】
1 枠部、2 情報表示部、3 器具本体、4 ランプホルダユニット、5 点灯制御部、6 バッテリー、7 取付部、8 端子台、9 取付金具、10 取付部、11 金具取付孔、12 金具電源線引込孔、13 電源線引込孔、14,16 取付孔、15 ダルマ孔、17 広開部、18 配線保護壁、19 ねじ、20 ナット、21 補強板、22 挿入片、23 挿入溝、24 リブ、100 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナットが取り付けられたネジと、挿入片とを有し、取付面に取り付けられる取付金具であって、上記取付面に取り付けられた場合に、上記ネジと上記挿入片とが上記取付面から同方向へ突出する取付金具と、
上記取付金具に取り付けられる長方形の取付部であって、上記ナットが通る大きさの大孔と上記大孔に連通し上記ナットが通らない大きさの小孔とが上記長方形の長手方向に並んだ取付孔と、挿入溝とが設けられた取付部を有する器具本体と、
を備え、
上記ナットが上記大孔を通り抜けるまで上記ネジが上記大孔に挿入され、上記器具本体が上記長手方向にスライドされて上記ネジが上記小孔を貫通した状態にされ、さらに上記ナットが締めあげられて、上記取付部が上記ナットと上記取付金具との間に挟持され、上記ナットが締めあげられた場合に上記挿入片が挿入溝に挿入されて上記スライドが制限される
ことを特徴とする通電機器。
【請求項2】
ナットが取り付けられたネジを有し、取付面に取り付けられる取付金具であって、上記取付面に取り付けられた場合に、上記ネジが上記取付面から突出する取付金具と、
電源線が挿入される電源線引込孔と、上記電源線引込孔と連通した取付孔であって、上記電源線引込孔との連通部分の幅が上記電源線の径よりも小さい取付孔とが設けられた取付部を有する器具本体と、
上記器具本体に取り付けられ、上記電源線が接続される通電部品と
を備え、
上記電源線が上記電源線引込孔に引き込まれた状態で、上記ナットが上記電源線引込孔を通り抜けるまで上記ネジが上記電源線引込孔に挿入され、上記器具本体が上記取付面の面方向へスライドされて上記ネジが上記取付孔を貫通した状態にされ、さらに上記ナットが締めあげられて、上記取付部が上記ナットと上記取付金具との間に挟持される
ことを特徴とする通電機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−160480(P2012−160480A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−120427(P2012−120427)
【出願日】平成24年5月28日(2012.5.28)
【分割の表示】特願2007−270919(P2007−270919)の分割
【原出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】