造影剤、知能型造影剤、同時診断及び治療のための薬物伝達体及び/又はタンパク質分離用磁性ナノ複合体
本発明は、両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体に関する。特に優れた磁気共鳴映像造影剤(MRI)として用いられ、組織特異的結合成分が結合されていることを特徴とする癌診断知能型造影剤として用いられ、薬物を重合するか、または封入して組織特異的結合成分を同時に結合することによって、同時診断及び治療のための薬物伝達体として用いられるだけでなく、磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用として用いられる水溶性磁性ナノ複合体及びその製造方法に関するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体に関する。特に優れた磁気共鳴映像(MRI)造影剤として用いられ、組織特異的結合成分が結合されていることを特徴とする癌診断知能型造影剤として用いられ、薬物を重合するか、又は封入して同時に組織特異的結合成分を同時に結合することによって同時診断及び治療のための薬物伝達体として用いられるだけでなく、磁性を用いた標的物質分離用として用いられる水溶性磁性ナノ複合体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノ技術は物質を原子、分子水準で調節及び制御する技術であり、新物質、または新素子創出に好適で、その応用分野が電子、材料、通信、機械、医薬、農業、エネルギー、及び環境など非常に多岐にわたる。
【0003】
現在、ナノ技術は多様に発展しており、大きく3つ分野に分類されている。
第一に、ナノ素材で極微細サイズの新しい物質と材料を合成する技術に関するものである。
第二に、ナノ素子でナノサイズの材料を組み合せるか、又は配列して一定の機能を発揮する装置を製造する技術に関するものである。
第三に、ナノ−バイオ技術と呼ばれるナノ技術を生命工学に応用する技術に関するものである。
【0004】
特に、ナノ−バイオ分野の中で、磁性ナノ粒子は、生体物質の分離、磁気共鳴映像診断プローブ、巨大磁気抵抗センサーを含むバイオセンサー、マイクロ流体系センサー、薬物/遺伝子伝達、及び磁性高熱治療などの広い応用範囲にわたって使用されている。
【0005】
具体的に、磁性ナノ粒子は、分子磁気共鳴映像の診断プローブ(造影剤)として用いられる。磁性ナノ粒子は、ナノ粒子周辺の水分子の水素原子のスピン−スピン弛緩時間を短縮させ、磁気共鳴映像信号を増幅させる効果を示し、今まで共鳴映像診断に広く使われている。
【0006】
さらに、磁性ナノ粒子は、巨大磁気−抵抗バイオセンサー(GMR sensor)のプローブ物質として作用できる。磁性ナノ粒子が巨大磁気抵抗バイオセンサー表面にパターンされている生体分子を感知して結合すれば、磁性粒子によって巨大磁気抵抗センサーの電流信号が変わるようになり、これを利用すれば、生体分子を選択的に検出することが可能になる(特許文献1、2、3、4)。
【0007】
また、磁性ナノ粒子は、生体分子の分離にも応用しうる。例えば、特定の生体マーカーを発現する細胞と他の種々細胞が混ざっている時、磁性ナノ粒子が特定の生体マーカーと選択的に結合するようにした後、外部から磁場をかければ、磁場方向に所望の細胞だけを分離することができる(特許文献5、6、7、8)。また、細胞の分離だけでなく、タンパク質、抗原、ペプチド、DNA、RNA、及びウイルスなど様々な生体分子の分離に応用することができる。また、磁性ナノ粒子は、磁性マイクロ流体センサーに応用され、生体分子の分離及び検出することができる。チップ上に、非常に小さなチャネルを作って、その中に磁性ナノ粒子を流すことによって、マイクロ単位の流体系から検出と分離が可能になる。
【0008】
一方、磁性ナノ粒子は薬物または遺伝子の伝達を介した生体治療にも用いられる。磁性ナノ粒子に、化学的な結合または吸着を通じて薬物または遺伝子をロードし、外部磁場を利用して所望の位置に移動させ、特定部位に薬物及び遺伝子の放出を可能にして、選択的な治療効果が得られるようにする(特許文献9)。
【0009】
磁性ナノ粒子を用いた生体治療への応用の他の例として、磁性スピンエネルギーを用いた高熱治療が挙げられる(特許文献10、11)。磁性ナノ粒子は、外部のラジオ周波数の交流電流を流すと、スピンフリッピング(flipping)過程を介して熱が放出される。この時、ナノ粒子周辺の温度が40℃以上になると、細胞が高い熱によって死ぬようになり、疾患細胞を選択的に死滅させることができる。
【0010】
磁性ナノ粒子が前述した用途に利用されるためには、磁気的性質に優れ、生体内、即ち、水溶性環境で安定的に運搬及び分散しなければならなく、生体活性物質と容易に結合しなければならない。このような条件を満足させるために、現在まで様々な技術が開発されてきた。
【0011】
特許文献12には、酸化鉄のような金属を含む常磁性ナノ粒子に関するもので、上記ナノ粒子の表面に組織特異的な結合物質、診断または薬剤学的に活性である物質とカップリングする結合部位を含む無機物質を付着したナノ粒子を開示している。
【0012】
特許文献13は、酸化鉄のような金属を含む常磁性ナノ粒子に関するもので、上記ナノ粒子の表面に特定のカルボン酸を付着し、重力または磁場でナノ粒子が凝集及び沈殿されることを防止する方法を開示している。上記特定のカルボン酸には、マレイン酸、酒石酸、またはグルカル酸などの脂肪族ジカルボン酸、またはクエン酸、シクロヘキサン、またはトリカルボン酸などの脂肪族ポリジカルボン酸が用いられる。
【0013】
特許文献14は、単層(monolayer)で被覆された機能性ナノ粒子に関するもので、上記単層には二官能性(bifunctional)ペプチドが付着され、上記ペプチドにはDNA及びRNAを含む様々なバイオポリマーが結合される。
【0014】
特許文献15はタンパク質鋳型内に磁性ナノ粒子形成工程を含む磁性ナノ粒子の製造方法に関するもので、アポフェリチンに磁性ナノ粒子をカプセル化する方法を開示している。
【0015】
特許文献16は二重ミセル(bi-micellear vesicle)内でマンガン亜鉛酸化物をナノ粒子で形成させる方法に関するものであり、形成された磁性ナノ粒子の熱処理過程を介して向上された性質を示すナノ粒子を記述された。
【0016】
特許文献17は16−メルカプトヘキサデカン酸で覆われた水溶性磁性ナノ粒子の合成と合成された磁性ナノ粒子に相転移剤であるTATペプチドを利用して細胞内磁気的ラベリングで実験マウス内のウイルス及びmRNA検出に関して記述した。
【0017】
特許文献18は澱粉コーティングと任意のポリアルキレンオキシドコーティングを備えた超常磁性鉄酸化物コア粒子を含む粒子とこれを含むMRI造影剤を開示している。
【0018】
しかし、上記方法で製造された水溶性ナノ粒子は、次のような短所を持っている。特許文献12、13、14、15、16、17、18において、開示されたナノ粒子は、主に水溶液で合成されているので、ナノ粒径の調節が難しく、合成されたナノ粒子は不均一な粒径分布度を示す。また、低温で合成されているので、ナノ粒子の結晶性が低いし、非化学量論的化合物(non-stoichiometric compound)が形成される傾向がある。従って、上記方法で製造されたナノ粒子は、水溶液でコロイド安定性が低下し、生体溶融時、凝集、及び高い非選択性結合などを示す問題点を持っている。
【特許文献1】米国特許6,452,763 B1
【特許文献2】米国特許6,940,277 B2
【特許文献3】米国特許6,944,939 B2
【特許文献4】米国公開特許第2003/0133232 A1号
【特許文献5】米国特許4,554,088号
【特許文献6】米国特許5,665,582号
【特許文献7】米国特許5,508,164号
【特許文献8】米国公開特許第2005/0215687 A1号
【特許文献9】米国特許6,855,749号
【特許文献10】米国特許6,530,944 B2
【特許文献11】米国特許5,411,730号
【特許文献12】米国特許6,274,121号
【特許文献13】米国特許6,638,494号
【特許文献14】米国公開特許第2004/58457号
【特許文献15】イギリス特許GB223,127号
【特許文献16】米国公開特許第2003/190,471号
【特許文献17】米国公開特許第2005/130,167号
【特許文献18】大韓民国特許出願第10−1998−0705262号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、本発明の目的は、水溶液で、安定性が高く、生体毒性が少なく、生体の診断及び治療に広範囲に応用することができる磁性ナノ複合体であって、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われていることを特徴とする磁性ナノ複合体を提供することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分(tissue-specific binding substances)と結合されていることを特徴とする知能型磁性ナノ複合体(インテリジェント型磁性ナノ複合体)を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合され、上記疎水性領域に薬剤学的活性成分が結合または封入されていることを特徴とする同時診断及び治療用磁性ナノ複合体を提供することにある。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする磁性ナノ複合体と標的物質を結合し、上記磁性ナノ複合体と標的物質の結合物に磁場を加え、標的物質を分離する方法を提供することにある。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、上記本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法を提供することにある。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、上記本発明に係る磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容可能な担体を含む造影剤組成物、診断用組成物、薬剤学的組成物及びこれを利用する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下、本発明に係る磁性ナノ複合体をより詳細に説明する。
本発明に係る上記磁性ナノ複合体の特徴は、ナノ粒子の表面に両親媒性化合物を付加して両親媒性化合物の疎水性領域がナノ粒子の表面と結合し、両親媒性化合物の親水性領域がナノ複合体の最外郭に分布していることである。ここで、両親媒性化合物の疎水性領域は、水素結合、 ファン・デル・ワールス力 、及び極性引力などの物理的結合によってナノ粒子の表面と結合する。従って、上記疎水性領域は疎水性領域のメトリックス内にナノ粒子を分布させるか、ナノ粒子の表面と結合する役割を果たすだけでなく、必要に応じて疎水性領域のメトリックス内に薬物を物理的に封入するか、疎水性領域の一末端に薬物を化学的に結合させることができる。一方、両親媒性化合物の親水性領域は、ナノ複合体の最外殻に分布して水不溶性のナノ粒子を水溶性媒体中で安定化させ、生体利用率を極大化することができる。
【0026】
さらに、本発明に係る上記磁性ナノ複合体の他の特徴は、磁性ナノ粒子の金属、磁性物質、または磁性合金が有機性表面安定剤と結合することができることである。ここで、上記有機性表面安定剤と金属、磁性物質、または磁性合金の結合は、金属、磁性物質、または磁性合金の前駆物質に、有機性表面安定剤が配位して錯体化合物形成して行われる。上記有機性表面安定剤は、両親媒性化合物の疎水性領域を安定化させる役割を果たす。
【0027】
また、本発明に係る上記磁性ナノ複合体のさらに別の特徴は、上記疎水性領域はその構造内の一部分に一つ以上の疎水活性成分結合領域(R1)を有し、上記親水性領域は、その構造内の一部分に親水活性成分結合領域(R2)を有しうることである。上記親水活性成分結合領域及び疎水活性成分結合領域に、様々な活性成分を付着する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断知能型造影剤、癌診断及び治療を同時に遂行できる薬物伝達体、磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用製剤等の様々な用途で使用でき、これに関する模式図を図1に示した。
【0028】
上記のような本発明に係る上記磁性ナノ複合体は、図2で示されるように、その製造方法によって、一つ以上の磁性ナノ粒子が疎水性領域に分布されたコア及び親水性領域を含有するシェル(殻)を含む磁性ナノ複合体(以下、‘エマルジョン型磁性ナノ複合体’)と一つの磁性ナノ粒子が疎水性領域と結合されたコア及び親水性領域を含有するシェル(殻)を含む磁性ナノ複合体(以下、‘サスペンション型磁性ナノ複合体’)とを含む。
【0029】
上記エマルジョン型及びサスペンション型磁性ナノ複合体の磁性ナノ粒子はいずれも有機性表面安定剤が金属、磁性物質、または磁性合金と配位結合されていることが好ましく、磁性ナノ粒子と両親媒性化合物の疎水性領域が物理的に結合されていることが好ましい。
【0030】
また、上記エマルジョン型ナノ複合体の好ましい直径は、1nm〜500nm、より好ましい直径は25nm〜100nmであり、サスペンション型磁性ナノ複合体の好ましい直径は1nm〜50nm、より好ましい直径は5nm〜30nmである。
【0031】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合されていることが好ましい。
【0032】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合され、上記疎水性領域に薬剤学的活性成分が結合または封入されていることが好ましい。
【0033】
本発明に係る磁性ナノ複合体の“磁性ナノ粒子”とは磁性を有し、直径が1nm〜1000nm、好ましくは2nm〜100nmの粒子であれば特に制限なく用いることができるが、好ましくは金属物質、磁性物質、または磁性合金である。
【0034】
上記金属は特に制限されないが、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択されるのが好ましい。
【0035】
上記磁性物質は、特に制限されないが、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4、及びMxOy(ここで、M及びM’はそれぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Mn、Zn、Gd、またはCrを表し、0<x≦3、0<y≦5)よりなる群から選択されるのが好ましい。
【0036】
また、上記磁性合金は特に制限されないが、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択されるのが好ましい。
【0037】
また、上記金属、磁性物質、または磁性合金は有機性表面安定剤と結合されていることが好ましい。有機性表面安定剤は、本発明のナノ粒子の状態とサイズを安定化させることができる有機機能性分子を意味し、代表的な例は界面活性剤が含まれる。
【0038】
上記界面活性剤は、アルキルトリメチルアンモニウムハライドを含むカチオン界面活性剤;オレイン酸、ラウリン酸、またはドデカン酸のような飽和または不飽和脂肪酸、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、またはトリブチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィンまたはトリアルキルホスフィンオキシド、ドデシルアミン、オレイックアミン(oleicamine)、トリオクチルアミン、またはオクチルアミンのようなアルキルアミン、またはアルキルチオールを含む中性界面活性剤;及びナトリウムアルキルスルフェート、またはナトリウムアルキルホスフェートを含むアニオン界面活性剤が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0039】
特に、ナノ粒子の安定化及び均一な粒径分布を考慮する時、飽和または不飽和脂肪酸及び/又はアルキルアミンを使用することが好ましい。
【0040】
本発明に係る両親媒性化合物は、一つ以上の疎水性領域(P1)と一つ以上の親水性領域(P2)とを有する化合物であれば、特に制限されない。上記両親媒性化合物において、疎水性領域(P1)及び親水性領域(P2)は多数個連結され付着することができる。即ち、本発明に係る両親媒性化合物はP1−P2、P1−P2−P1、P2−P1−P2、P1−(P2−P1)n−P2、P1−(P2−P1)n−P1、P2−(P1−P2)n−P1、またはP2−(P1−P2)n−P2など様々な形態を有することができる。勿論、構造内に疎水性領域または親水性領域が繰返して存在することもできる。
【0041】
本発明に係る両親媒性化合物の疎水性領域は、化合物または高分子で構成され得る。例えば、生体親和的な飽和または不飽和脂肪酸、または疎水性高分子などが用いられる。
【0042】
上記飽和脂肪酸は、特に制限されないが、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、及びドコサン酸よりなる群から選択される一つ以上が用いられる。不飽和脂肪酸も特に制限されないが、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びエルカ酸よりなる群から選択される一つ以上が挙げられる。
【0043】
本発明に係る両親媒性化合物に使用可能な飽和または不飽和脂肪酸を下記表1及び表2に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
一方、本発明に係る両親媒性化合物に使用可能な上記疎水性高分子は、特に制限されないが、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンハイドライド、ポリリンゴ酸またはその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、疎水性ポリアミノ酸及び疎水性ビニル系高分子よりなる群から選択される一つ以上が好ましい。また、上記疎水性高分子は重量平均分子量が100〜100,000が好ましい。重量平均分子量が100未満のとき生体毒性を表し、100,000を超えると応用が難しい。
【0047】
本発明に係る両親媒性化合物の親水性領域は化合物または高分子で構成される。例えば、生体親和性高分子などが用いられる。
【0048】
上記生体親和性高分子は、特に制限されないが、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子よりなる群から選択された一つ以上を含むことが好ましく、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。また、上記生分解性高分子は重量平均分子量が100〜100,000が好ましい。重量平均分子量が100未満のとき生体毒性を表し、100,000を超えると応用が難しい。
【0049】
特に、上記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール(PEG)またはモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が好ましく、特にカルボキシルまたはアミンで置換されたポリエチレングリコールがより好ましい。
【0050】
また、上記疎水性領域(P1)は、その構造内の一部分、好ましくは末端に一つ以上の疎水活性成分結合領域(R1)を有することが好ましく、上記親水性領域(P2)はその構造内の一部分、好ましくは末端に親水活性成分結合領域(R2)を有することが好ましい。
【0051】
上記親水活性成分結合領域(R2)は、例えば、腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質と結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断知能型造影剤(ガン診断用インテリジェント型造影剤)として使用することができる。
【0052】
また、疎水活性成分結合領域(R1)または疎水性領域(P1)に薬物を重合するか、封入して、同時に親水活性成分結合領域(R2)に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断及び治療を同時に遂行することができる薬物伝達体(ドラッグデリバリーシステム)として使用することができる。
【0053】
一方、親水活性成分結合領域(R2)に、機能性細胞、幹細胞または癌細胞などの表面抗原に対する特異な抗体、またはタンパク質を結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用として使用することができる。
【0054】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体の上記親水性領域(P2)は、その構造内の一部分、好ましくは末端に親水活性成分結合領域(R2)を有し、上記親水活性成分結合領域(R2)は組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする。
【0055】
上記親水活性成分は生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択することができる。本発明の明細書で“生体活性成分”とは、下記の“組織特異的結合成分”または“薬剤学的活性成分”と同じ意味であり、これらは相互交換的に使用できる。
【0056】
上記親水活性成分結合領域(R2)は、結合される親水活性成分、即ち、組織特異的結合成分によって任意に変化され得、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−NR4+X−、−スルホネート、−ニトレート、−ホスホネート、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び-アルキル基よりなる群から選択される一つ以上が官能基を含むことが好ましいが、これに制限されない。
【0057】
上記組織特異的結合成分は抗原、抗体、RNA、DNA、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン(neutravidin)、プロテインA、プロテインG、レクチン、セレクチン、放射線同位元素で標識された成分、または腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を含むが、これに制限されない。
【0058】
本発明の上記ナノ複合体は腫瘍と関連した様々な疾患、例えば、胃癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、肝癌、気管支癌、鼻咽腔癌、喉頭癌、膵臓癌、膀胱癌、結腸癌及び子宮頸癌を診断及び/又は治療に利用できる。
【0059】
このような腫瘍細胞は、正常細胞では殆どまたは全く生産されない特定物質を発現及び/又は分泌する。これらは一般的に“腫瘍マーカー(tumor marker)”呼ばれる。そのような腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を上記水溶性ナノ粒子の活性成分結合領域に結合して作ったナノ複合体は、腫瘍診断に有用に利用できる。当業界には、様々な腫瘍マーカーだけでなく、これらと特異的に結合しうる物質が公知されている。
【0060】
また、本発明で腫瘍マーカーは、作用機序によってリガンド、抗原、受容体、及びこれらをコードする核酸に分類される。
【0061】
【表3】
【0062】
腫瘍マーカーがリガンドの場合には、上記リガンドと特異的に結合しうる物質を本発明に係るナノ複合体の活性成分として導入できるが、上記リガンドと特異的に結合しうる受容体または抗体が好適である。本発明で利用可能なリガンド及びこれと特異的に結合しうる受容体の例には、シナプトタグミンのC2とホスファチジルセリン、アネキシンVとホスファチジルセリン、インテグリンとその受容体、VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)とその受容体、アンジオポエチンとTie2受容体、ソマトスタチンとその受容体、血管腸ペプチド(vasointestinal peptide)とその受容体などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0063】
腫瘍マーカーが抗原の場合、上記抗原と特異的に結合しうる物質を本発明に係るナノ複合体の活性成分として導入できるが、上記抗原と特異的に結合しうる抗体が好適である。本発明で利用可能な抗原及びこれと特異的に結合する抗体の例は、癌性胎児性抗原(carcinoembryonic antigen−大腸癌標識抗原)とハーセプチン(Genentech, USA)、HER2/neu抗原(HER2/neuantigen−乳癌標識抗原)とハーセプチン、前立腺特異抗原(prostate-specific membrane antigen−前立腺癌標識抗原)とリツキサン(Rituxan)(IDCE/Genentech, USA)などがある。
【0064】
腫瘍マーカーが“受容体”の代表的な例は、卵巣癌細胞で発現される葉酸受容体がある。上記受容体と特異的に結合しうる物質(葉酸受容体の場合には葉酸)が本発明に係るナノ複合体の活性成分として導入できるが、上記受容体と特異的に結合しうるリガンドまたは抗体が好適である。
【0065】
前述するように、抗体は、本発明において特に好ましい活性成分である。抗体は、特定対象とのみ選択的で安定的に結合する性質を有している。抗体のFc領域にあるリジンの−NH2、システインの−SH、アスパラギン酸及びグルタミン酸の−COOHは、水溶性ナノ複合体の活性成分結合領域官能基と結合するのに有用に利用できるからである。
【0066】
このような抗体は商業的に入手するか、当業界に公知された方法によって製造することができる。一般的に哺乳動物(例、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ、馬または羊)を適切な量の抗原で1回以上免疫化させる。一定時間後、力価が適正水準に至った時、哺乳動物の血清から回収する。回収した抗体は、所望の場合、公知された工程を利用して精製し、使用時まで冷凍緩衝溶液に保管する。このような方法の詳細な事項は当業界によく知られている。
【0067】
一方、上記“核酸”は、前述したリガンド、抗原、受容体またはその一部分をコードするRNA及びDNAを含む。核酸は当業界に知らされた通りに相補的な配列間に塩基対を形成する特徴を有しているため、特定塩基配列を持つ核酸は、上記塩基配列に相補的な塩基配列を持つ核酸を利用して検出することができる。上記酵素、リガンド、抗原、受容体をコードする核酸と相補的な塩基配列を持つ核酸を、本発明に係るナノ複合体の活性成分として用いられる。
【0068】
また、核酸は、5’−及び3’−末端に−NH2、−SH、−COOHなどの官能基があるので、活性成分結合領域の官能基と結合するのに有用に利用できる。
【0069】
このような核酸は、当業界に公知された標準方法により、例えば、自動DNA合成装置(例、バイオサーチ、アプライドバイオシステムズなどから購入できる)を使用して合成することができる。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは文献(Stein et al. Nucl. Acids Res. 1988, vol.16, p.3209)に記述された方法で合成することができる。メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは調節されたガラス重合体担体を使用して製造することができる(Sarin et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1988, vol.85, p.7448)。
【0070】
一方、本発明に係る磁性ナノ複合体の上記疎水性領域(P1)は、その構造内の一部分、好ましくは末端に一つ以上の疎水活性成分結合領域(R1)を有することが好ましい。上記疎水活性成分結合領域(R1)または疎水性領域(P1)に疎水活性成分を結合するか、封入できる。
【0071】
上記疎水活性成分は、生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択されることが好ましい。例えば、疎水活性成分の薬物を結合又は封入し、同時に親水活性成分結合領域(R2)に組織特異的結合成分を結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断及び治療を同時に遂行できる薬物伝達体として用いられる。
【0072】
上記疎水性領域(P1)の疎水活性成分結合領域(R1)は、結合される疎水活性成分の種類によって任意に変化され得、代表的に、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び−アルキル基よりなる群から選択された一つ以上の官能基を含むことが好ましいが、これに制限されない。
【0073】
上記疎水活性成分は、薬剤学的活性成分であれば特に制限されないが、抗癌剤、抗生剤、ホルモン、ホルモン拮抗剤、インターロイキン、インターフェロン、成長因子、腫瘍壊死因子、エンドトキシン、リンホトキシン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、プロテアーゼ阻害剤、アルキルホスホコリン、放射線同位元素で標識された成分、界面活性剤、心血管系薬物、胃腸管系薬物及び神経系薬物よりなる群から選択された一つ以上が好ましい。
【0074】
一方、上記疎水性領域に存在する疎水活性成分、特に抗癌剤は物理的封入、化学的封入、またはこの二つの組み合わせも可能である。エマルジョン方法とサスペンション方法によって磁性ナノ複合体が製造される中に、両親媒性高分子の疎水活性成分と抗癌剤の物理的な結合を介して薬物の封入が達成され得る。また、磁性ナノ複合体を構成する両親媒性高分子の疎水活性成分結合領域と化学的結合が可能な抗癌剤の場合、適当な架橋剤を用いて両親媒性高分子の疎水活性成分結合領域と抗癌剤の結合が可能になり、磁性ナノ複合体に薬物の封入が達成され得る。
【0075】
本発明に係る治療方法で利用できる抗癌剤には、これに制限されないが、エピルビシン、ドセタキセル、ゲムシタビン、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、タクソール、プロカルバジン、シクロホスファミド、ジアクチノマイシン、ダウノルビシン、エトポシド、タモキシフェン、ドキソルビシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、トランスプラチナ(transplatinum)、ビンブラスチン(vinblastin)及びメトトレキサート(methotrexate)などがある。
【0076】
本発明に係る磁性ナノ複合体において、両親媒性化合物は、疎水性領域−親水性領域、または親水性領域−疎水性領域−親水性領域からなることが好ましい。また、親水性及び疎水性領域に、それぞれの活性成分結合領域が含まれる場合、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−親水性領域−親水活性成分結合領域、または親水活性成分結合領域−親水性領域−疎水性領域(−疎水活性成分結合領域)−親水性領域−親水活性成分結合領域からなっていてもよい。特に、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−NH2−親水性領域−親水活性成分結合領域のように上記親水性領域と疎水性領域に−NH2−のような官能基があることが好ましい。上記親水性領域と疎水性領域に存在する−NH2−基は、両親媒性化合物が磁性ナノ粒子の表面に付加される場合、より安定な構造を有することができる。
【0077】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体において、両親媒性化合物の最も好ましい例は、カルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリド共重合体または両末端がカルボキシル基で置換されたポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)共重合体である。
【0078】
また、本発明は、A)ナノ粒子を溶媒で合成する工程;及び B)疎水性領域と親水性領域を有する両親媒性化合物を上記ナノ粒子表面に付加して両親媒性化合物とナノ粒子を結合させる工程;を含む磁性ナノ複合体の製造方法に関するものである。
【0079】
上記本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法は、任意に、C)上記親水性領域に存在する親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程;及び D)疎水性領域に薬剤学的活性成分を結合または封入する工程;を、さらに含むことができる。
【0080】
以下、本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法の各工程をさらに具体的に説明する。
【0081】
上記ナノ粒子を溶媒で合成する工程A)は、ナノ粒子前駆体と表面安定剤を反応させる工程であって、
a)溶媒の存在下に、ナノ粒子前駆体と有機性表面安定剤とを反応させる工程;及び
b)上記反応物を熱分解する工程を含むことが好ましい。
【0082】
上記工程a)は、有機性表面安定剤が含まれた溶媒に、ナノ粒子前駆体を投入してナノ粒子表面に有機性表面安定剤を配位させる工程である。
【0083】
上記工程a)のナノ粒子は、金属、磁性物質、または磁性合金を使用することが好ましく、有機性表面安定剤はアルキルトリメチルアンモニウムハライド、飽和または不飽和脂肪酸、トリアルキルホスフィンオキシド、アルキルアミン、アルキルチオール、ナトリウムアルキルスルフェート、及びナトリウムアルキルホスフェートよりなる群から選択される。上記金属、磁性物質、磁性合金及び有機性表面安定剤の具体的な種類は前述の通りである。
【0084】
上記工程a)のナノ粒子前駆体は、金属と−CO、−NO、−C5H5、アルコキシドまたはその他の公知のリガンドが結合された金属化合物が挙げられる。具体的に、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)、フェロセン、またはマンガンカルボニル(Mn2(CO)10)などの金属カルボニル系の化合物;または鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)3)などの金属アセチルアセトネート系の化合物等の様々な有機金属化合物が挙げられる。また、ナノ粒子前駆体は金属とCl−、またはNO3−などの公知されたアニオンと結合された金属イオンを含む金属塩が挙げられる。具体的に、トリクロロ化鉄(FeCl3)、ジクロロ化鉄(FeCl2)、または硝酸鉄(Fe(NO3)3)などが挙げられる。また、合金ナノ粒子と複合ナノ粒子合成では、前述した2種以上の金属の前駆体の混合物を用いることができる。
【0085】
上記工程a)で使用可能な溶媒は、ナノ粒子表面に有機性表面安定剤が配位錯体化合物の熱分解温度に近接する高沸点を有することが好ましくい。例えば、エーテル系化合物、ヘテロ環化合物、芳香族化合物、スルホキシド化合物、アミド化合物、アルコール、炭化水素及び水で構成される群から選択されるものを使用することができる。
【0086】
具体的に、上記溶媒は、オクチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、またはデシルエーテルのようなエーテル系化合物;ピリジン、またはテトラヒドロフラン(THF)のようなヘテロ環化合物;トルエン、キシレン、メシチレン、またはベンゼンなどの芳香族化合物;ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド化合物;ジメチルホルムアミド(DMF)のようなアミド化合物;オクチルアルコール、またはデカノールのようなアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、またはヘキサデカンのような炭化水素、または水が用いられる。
【0087】
上記工程a)の反応条件は特に制限されなく、金属前駆体及び表面安定剤の種類によって適宜に調節することができる。反応は、室温またはその以下の温度でも発生される。通例的には、約30〜200℃の範囲で加熱及び保持することが好ましい。
【0088】
上記工程b)は、ナノ粒子表面に有機性表面安定剤が配位錯体化合物を熱分解してナノ粒子を成長させる工程である。この時、反応条件によって均一なサイズ及び形状の金属ナノ粒子を形成することができ、熱分解温度も金属前駆体及び表面安定剤の種類によって適宜に調節することができる。好ましくは、約50〜500℃で反応させることが好適である。上記工程b)で製造されたナノ粒子は公知の手段を通じて分離及び精製することができる。
【0089】
本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法において、工程B)は、疎水性領域と親水性領域とを有する両親媒性化合物を上記ナノ粒子表面に付加して両親媒性化合物とナノ粒子を結合する工程である。
【0090】
上記磁性ナノ粒子の表面に両親媒性化合物を付加する方法は、前述するように、エマルジョンによる方法とサスペンションによる方法とに区分され、これに関する模式図を図2に示した。
【0091】
さらに具体的に、上記付加工程B)は、
a)ナノ粒子を有機溶媒に溶解して、油相を製造する工程;
b)両親媒性化合物を水性溶媒に溶解して、水相を製造する工程;
c)上記油相と水相とを混合して、エマルジョンを形成する工程;及び
d)上記エマルジョンから油相を分離する工程;を含むことが好ましく、上記工程a)〜d)を含む方法によって、本発明に係るエマルジョン型磁性ナノ複合体を製造することができる。
【0092】
また、上記付加工程B)は、
e)上記ナノ粒子を両親媒性化合物が溶解された溶液で分散して、懸濁液(サスペンション)を製造する工程;及び
f)上記懸濁液(サスペンション)から溶媒を分離する工程;を含むことが好ましく、上記工程e)及びf)を含む方法によって、本発明に係るサスペンス型磁性ナノ複合体を製造することができる。
【0093】
上記付加工程B)において、上記疎水性領域は、飽和または不飽和脂肪酸、または疎水性高分子が好ましく、上記親水性領域は、生分解性高分子が好ましく、これに対する具体的な種類は前述した通りである。
【0094】
一方、付加工程B)において、両親媒性化合物は、当業界に公知された方法によって製造することができる。例えば、親水性基を構成するジアミンポリエチレングリコール(NH2−PEG−NH2)と疎水性基を構成する生分解性高分子の一種である、ポリラクチド−コ−グリコリドを重合させて製造することができる。
【0095】
また、両親媒性高分子のアミン基で置換された親水活性成分結合領域に、N,N’−ジスクシンイミジルカボネートを用いて、親水活性成分結合領域をスクシンイミジル基で置換が可能である。また、親水性基を構成するカルボキシル/アミンポリエチレングリコール(NH2−PEG−COOH)と疎水性基を構成する生分解性高分子の一種である、ポリラクチド−コ−グリコリドを重合して両親媒性高分子の親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換することができる。また、生分解性両親媒性高分子はラクチドを単量体として用いて開環重合によって製造することができる。ラクチドの重合は、カルボキシル/アミンポリエチレングリコールのアミン基によって開始される。触媒としてはオクタン酸第1スズ(stannous octoate)が用いられる 。重合は窒素大気下で及び100〜180℃の条件で遂行される。この時、初期クロイニシエーターであるカルボキシル/アミンポリエチレングリコールの量と分子量を調節して、共重合体の分子量を調節することができる。
【0096】
また、親水性領域に存在する親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程C)は、
g)架橋剤を用いて親水性領域の一部に親水活性成分結合領域を提供する工程;及び
h)上記親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程;を含むことが好ましい。
【0097】
上記工程g)において、使われる架橋剤は特に制限されないが、1,4−ジイソチオシアナートベンゼン、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,6−ジイソシアナートヘキサン、4−(4−マレイミドフェニル)酪酸N−ヒドロキシスクシニミドエステル、ホスゲン、4−(マレイミド)フェニルイソシアネート、1,6−ヘキサンジアミン、p−ニトロフェニルクロロホルメート、N−ヒドロキシスクシニミド、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール、3−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシニミドエステル、エチレンジアミン、ビス(4−ニトロフェニル)カルボネート、スクシニルクロリド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボイミドヒドロクロリド、N,N’−ジスクシンイミジルカルボネート、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、及び無水コハク酸よりなる群から選択された一つ以上を含むことが好ましい。上記架橋剤は、親水性領域の一部と反応し、前述した−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−NR4+X−、−スルホネート、−ニトレート、−ホスホネート、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、または−アルキル基のような親水活性成分結合領域を提供する。
【0098】
上記工程h)において、上記親水性活性成分結合領域の官能基は、活性成分、即ち、組織特異的結合成分の種類及びその一般式によって変えることができる。
【0099】
本発明に係るナノ複合体の製造方法において、疎水性領域に薬剤学的活性成分を結合又は封入する工程D)は、薬剤学的活性成分を疎水性領域に物理的に封入する工程及び薬剤学的活性成分を疎水性領域と化学的に結合させる工程とに区分される。
【0100】
上記化学的結合工程は、
i)架橋剤を用いて、疎水性領域の一部に疎水活性成分結合領域を提供する工程;及び
j)上記疎水活性成分結合領域と薬剤学的活性成分を結合させる工程;を含むことが好ましい。
【0101】
上記工程i)で使用可能な架橋剤としては、前述した工程g)の架橋剤を制限することなく用いることができる。上記架橋剤は、疎水性領域の一部と反応して前述した−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、または−アルキル基のような疎水活性成分結合領域を提供する。
【0102】
一方、物理的封入工程は、両親媒性化合物とナノ粒子を結合する上記工程B)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に溶解して封入することができる。より具体的に、エマルジョン型ナノ複合体に、薬剤学的活性成分を封入する場合、前述したナノ粒子を有機溶媒に溶解して、油相を製造する工程a)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に有機溶媒に溶解し、水相と混合してエマルジョンを形成した後、油相を分離すれば、疎水性領域に薬剤学的活性成分を物理的に封入することができる。また、サスペンション型ナノ複合体に薬剤学的活性成分を封入する場合、前述したナノ粒子を両親媒性化合物が溶解された溶液で分散させ、懸濁液(サスペンション)を製造する工程e)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に分散させ、懸濁液(サスペンション)を製造した後、溶媒を分離すれば、疎水性領域に薬剤学的活性成分を物理的に封入することができる。
【0103】
上記工程h)及び工程i)の親水または疎水活性成分結合領域と親水または疎水活性成分の結合は、各活性成分の種類及びその一般式によって変わる。その具体例を下記表4に示した。
【0104】
【表4】
【0105】
上記工程A)、B)、C)及びD)により生成された水溶性ナノ複合体は、当業界に公知された方法を利用して分離することができる。一般的に水溶性ナノ複合体は、沈澱物として生成されるため、遠心分離または濾過を利用して分離することが好ましい。
【0106】
また、 本発明は本発明に係る両親媒性化合物を用いた磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む造影剤組成物;組織特異的結合成分と上記磁性ナノ複合体の結合物及び薬剤学的に許容される担体を含む疾患の診断用組成物;及び組織特異的結合成分及び薬剤学的活性成分と上記磁性ナノ複合体の結合物及び薬剤学的に許容される担体を含む同時診断及び治療用薬剤学的組成物に関するものである。
【0107】
本発明に係る上記組成物に使用される担体は、医薬分野で通常使用される担体及びビヒクルを含む。具体的に、イオン交換、アルミナ、アルミニウムステアレート、レシチン、血清タンパク質(例、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例、種々のリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、カリウムソルベート、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物)、水、塩または電解質(例、プロタミンスルフェート、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム及び亜鉛塩)、コロイド状シリカ、マグネシウムトリケイ酸塩、ポリビニルピロリドン、セルロース系基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレングリコールまたはラモリンなどを含むが、これに制限されない。また、本発明の組成物は上記成分の以外に潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、または保存剤などをさらに含んでいてもよい。
【0108】
一形態において、本発明に係る組成物は、非経口投与のための水溶性溶液で製造できる。好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液または物理的に緩衝された食塩水のような緩衝溶液を使用することができる。水溶性注入懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランのように懸濁液の粘度を増加させる基質を添加することができる。
【0109】
本発明の組成物の他の好ましい形態は、水性または油性懸濁液の滅菌注射用製剤の形態である。このような懸濁液は好適な分散剤または湿潤剤(例えば、ツイーン80)及び懸濁化剤を使用して、本分野に公知された技術によって製剤化することができる。また滅菌注射用製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であってもよい。使用可能なビヒクル及び溶媒は、マンニトール、水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液を含む。また、滅菌非揮発性油が通例的に溶媒または懸濁化媒体として使用される。このような目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含み、刺激性の少ない非揮発性油は、そのいずれも使用できる。
【0110】
また、 本発明は本発明に係る造影剤組成物を、生体または試料に投与する工程;及び 上記生体または試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して、映像を収得する工程;を含む造影剤組成物の利用方法に関するものである。
【0111】
また、 本発明は本発明に係る上記診断用組成物を生体または試料に投与する工程;及び 上記生体または試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して、映像を収得する工程;を含む疾患の診断方法に関するものである。
【0112】
また、 本発明は本発明に係る上記薬剤学的組成物を生体または試料に投与する工程;及び 上記生体または試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して、映像を収得する工程;を含む疾患の同時診断及び治療方法に関するものである。
【0113】
上記で使用された用語“試料”とは、診断しようとする対象から分離した組織または細胞を意味する。また、上記造影剤組成物を生体または試料に注入する工程は、医薬分野から通常的に利用される経路を通じて投与でき、非経口投与が好ましく、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または局部経路を通じて投与できる。
【0114】
上記利用方法において、磁性ナノ複合体によって発散される信号は、磁場を利用する各種装備によって感知することができ、特に磁気共鳴映像装置(MRI)が好ましい。
【0115】
磁気共鳴映像装置は強力な磁場内に生体を入れ、特定周波数の電波を照射して生体組織にある水素などの原子核がエネルギーを吸収して、エネルギーが高い状態にした後、上記電波を中断し、上記水素などの原子核エネルギーが放出されるようにし、このエネルギーを信号に変換し、コンピュータで処理して映像化する装置である。磁気または電波は脳によって妨害されないので、固い骨周囲または脳や骨髄の腫瘍に対して、縦断、横断、任意の角度で鮮明な立体的な断層像を得ることができる。特に上記磁気共鳴映像装置はT2スピン−スピン緩和磁気共鳴映像装置が好ましい。
【0116】
本発明は磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする磁性ナノ複合体と標的物質を結合し、上記磁性ナノ複合体と標的物質の結合物に磁場を加えて、標的物質を分離する方法に関するものである。
【0117】
本発明に係る分離方法において、標的物質の好ましい例は、生体分子を意味している。より具体的に細胞、タンパク質、抗原、ペプチド、DNA、RNA、またはウイルスなどを含むが、これらに制限されない。
【0118】
本発明によって形成された磁性ナノ複合体は生体分子の分離、診断、治療などのナノプローブ(probe)及び薬物または遺伝子伝達体(delivery vehicle)等に用いることができる。
【0119】
磁性ナノ複合体を用いた生体診断の一例は、分子磁気共鳴映像診断または磁性緩和センサーが挙げられる。磁性ナノ複合体は、そのサイズが大きくなるにつれてさらに大きなT2造影効果を示す。このような性質を利用すれば生体分子を検出するセンサーとして使用できる。即ち、特定の生体分子が磁性ナノ複合体の凝集を誘導し、それにより、T2磁気共鳴映像効果が増大する。このような差を利用して生体分子を検出する。
【0120】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は巨大磁気−抵抗バイオセンサー(GMRsensor)の診断物質になりうる。磁性ナノ複合体は、既存のマイクロメートル(10−6m)サイズのビーズ( 米国特許6,452,763B1; 米国特許6,940,277B2; 米国特許6,944,939B2; 米国公開特許第 2003/0133232A1)より優れた磁気的特徴、水溶液でのコロイド安定性、低い非選択性結合を示すので、既存巨大磁気抵抗バイオセンサーの検出限界を大きく改善する可能性を持っている。
【0121】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は、磁性マイクロ流体センサーを用いた分離及び検出、薬物または遺伝子の伝達、磁性高温治療法に用いることができる。
【0122】
一方、本発明に係る磁性ナノ複合体は、他の診断プローブと結合され、二重または多重診断プローブとして用いることができる。例えば、水溶性磁性ナノ複合体にT1磁気共鳴映像診断プローブを結合すれば、T2磁気共鳴映像及びT1磁気共鳴映像診断を同時に遂行することができる。光学診断プローブを結合すれば、磁気共鳴映像と光学イメージングを同時に遂行でき、CT診断プローブを結合すれば、磁気共鳴映像とCT診断を同時に遂行することができる。また、放射線同位元素と結合すれば、磁気共鳴映像とPET、SPECT診断を同時に酢効できる。
【0123】
上記T1磁気共鳴映像診断プローブは、Gd化合物、Mn化合物などを含み、光学診断プローブは有機蛍光染料、量子ドット、あるいは染料標識(dye labelled)無機担体(例、SiO2、Al2O3)を含み、CT診断プローブはI(ヨウ素)化合物、金ナノ粒子を含み、放射線同位元素はIn、Tc、Fなどを含む。
【発明の効果】
【0124】
本発明に係る疎水性領域と親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われている磁性ナノ複合体は、高感度磁気共鳴映像造影剤として使用でき、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断知能型造影剤として使用でき、疎水性領域に薬物を重合または封入すると同時に、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断及び治療のための薬物伝達体として使用することができ、機能性細胞、幹細胞または癌細胞などの表面抗原に対する特異な抗体またはタンパク質を結合して磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用製剤として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0125】
以下、実施例を通して本発明をより具体的に説明する。しかし下記実施例は本発明を例示するためのものであり、いかなる意味にも本発明を制限しない。
【0126】
<製造例1>
飽和脂肪酸を用いる高感度磁性ナノ粒子の製造
6nmのマグネタイト(Fe3O4)は、ベンジルエーテル溶媒でドデカン酸(0.6モル)とドデシルアミン(0.6モル)及び鉄トリアセチルアセトネート(Aldrich)を290℃で、30分間、熱分解化学反応して合成した。12nm酸化鉄ナノ粒子は、ドデカン酸(0.2モル)、ドデシルアミン(0.1モル)、上記6nm酸化鉄ナノ粒子(10mg/mL)及び鉄トリアセチルアセトネートを含むベンジルエーテル溶液を、290℃で、30分間加熱して製造した。マンガンフェライト(MnFe2O4)は、上記反応にマンガンIIセチルアセトネートを添加して製造した。製造されたマグネタイト及びマンガンフェライトの透過電子顕微鏡写真をそれぞれ図4の (a)及び(b)に示した。上記マグネタイト及びマンガンフェライトの磁気的特性はVSMを用いて測定しており、これをそれぞれ点線及び実線で表示して図4の (c)に示した。
【0127】
<製造例2>
不飽和脂肪酸を用いる高感度磁性ナノ粒子の製造
6nmのマグネタイト(Fe3O4)は、ベンジルエーテル溶媒でオレイン酸(0.6モル)とオレイルアミン(0.6モル)及び鉄トリアセチルアセトネート(Aldrich)を290℃で、30分間熱分解化学反応して合成した。12nm酸化鉄ナノ粒子は、オレイン酸(0.2モル)、オレイルアミン(0.1モル)、上記6nm酸化鉄ナノ粒子(10mg/mL)及び鉄トリアセチルアセトネートを含むベンジルエーテル溶液を290℃で、30分間加熱して製造した。マンガンフェライト(MnFe2O4)は、上記反応にマンガンIIアセチルアセトネートを添加して製造した。製造されたマグネタイト及びマンガンフェライトの透過電子顕微鏡写真を、それぞれ図5の(a)及び(b)に示した。上記マグネタイト及びマンガンフェライトの磁気的特性はVSMを用いて測定しており、これをそれぞれ点線及び実線で表示して図5の(c)に示した。
【0128】
<製造例3>
生分解性両親媒性高分子モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドの重合
2gのモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG、分子量5000)を減圧下で水分を除去した。触媒として、2.0mgのオクタン酸第1スズを水分が除去されたトルエンに加えた後、100℃で20〜30分間減圧し、反応物に1.15gのD,L−ラクチドと0.93gのグリコリドを加えて、140℃で12時間重合した。生成されたブロック共重合体を、5mLのクロロホルムを加えて溶かした後、過量のジエチルエーテルに少量ずつ滴下し、生成された沈澱物を濾過して、ジエチルエーテルで洗浄した後、50℃で、一日間、減圧、乾燥してモノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドのブロック共重合体を得た(収率72.5%、損失量含む)。
【0129】
上記の方法と同様にして、下記表5に示された各成分を用いて、様々な二重ブロック共重合体を製造した。製造された二重ブロック共重合体等の製造量及び収率は以下の通りである。
【0130】
【表5】
【0131】
製造されたブロック共重合体は、3.6ppm近くでポリエチレングリコールのピークを、4.9ppmと1.6ppm近くでポリラクチド−コ−グリコリドのピークを水素核磁気共鳴(1H−NMR)で確認した。また、製造されたブロック共重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)による相対分子量及び分子量分布を下記表6に示した。
【0132】
【表6】
【0133】
<製造例4>
脂肪酸両親媒性化合物モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸の重合
脂肪酸両親媒性化合物モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸の重合過程を図6に示した。5gの平均分子量が5,000のモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)と0.6gのドデカン酸(DA)を、メチレンクロリド(塩化メチレン)に溶解した後、0.91gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドと0.37グラムの4−ジメチルアミノピリジンを添加して、反応を遂行した。24時間後、生成された副産物は濾過して除去し、冷たい過量のジエチルエーテルを添加した。生成された沈澱物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥してモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸(MPEG−DA)の両親媒性高分子を製造した(収率92.5%)。赤外線分光法(FT−IR)と水素核磁気共鳴(1H−NMR)によって重合体の構造を確認した。これを、それぞれ図7及び8に示した。図7で、(a)はモノメトキシポリエチレングリコール、(b)はドデカン酸、(c)はモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸、そして(d)はモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸を用いた水溶性磁性ナノ複合体の分光スペクトルを示す。図7に示されるように、赤外線分光法でドデカン酸のカルボン酸(−COOH)のピークは1695cm−1で確認された。ドデカン酸とポリエチレングリコールの結合部位であるエステル結合のピークは1734cm−1で確認された。また、図8に示されるように、水素核磁気共鳴(1H−NMR)を用いて、3.62ppmでモノメトキシポリエチレングリコールの−CH2CH2O−ピークを確認し、1.27ppmでドデカン酸のピークを確認した。
【0134】
<製造例5>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成
A.高分子の活性成分を結合して親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成
高分子の活性成分を結合して親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成過程を図9に示した。0.05モルのポリラクチド−コ−グリコリドと0.2モルのN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)と1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をメチレンクロリドに溶解した後、常温で窒素大気下に24時間反応した。反応物はフィルタに通して濾過し、冷たいジエチルエーテルに落とし、沈澱した。この沈澱物はジエチルエーテルで数回洗浄後、真空状態で保管した。
【0135】
上記方法で活性化された高分子を0.01モル採り、8mLのメチレンクロリドに溶解した後、両端末端官能基がアミン基とカルボキシル基で置換されたポリエチレングリコール0.01モルを採り、2mLのメチレンクロリドに溶解して、少しずつ落としながら反応した。反応は常温で、窒素大気下に12時間、行った。反応物は前述の方法を介して洗浄、保管した。合成された高分子の構造は、水素核磁気共鳴(1H−NMR)と赤外線分光(FT−IR)で分析しており、これを図10及び11に示した。
【0136】
B.親水性高分子の活性成分を介した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合
親水性高分子の活性成分を介した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合過程を図12に示した。0.2gの両端末端官能基がアミン基とカルボキシル基で置換されたポリエチレングリコール(分子量3400)を減圧下で水分を除去した。触媒として20mgのオクタン酸第1スズを、水分が除去されたトルエンに加えた後、100℃で20〜30分間、減圧し、反応物に0.119gのD,L−ラクチドを加えて、140℃で12時間重合した。生成されたブロック共重合体を、5mLのクロロホルムを加えて溶かした後、過量のジエチルエーテルに少量ずつ落として生成された沈澱物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、50℃で一日間、減圧乾燥してカルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチドのブロック共重合体を得た(収率87.2%)。
【0137】
<製造例6>
商用界面活性剤の親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された両親媒性高分子の合成
プルロニック(Pluronic)系の非イオン性商用界面活性剤は、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO、親水性−疎水性−親水性)の形態を有する。この界面活性剤の末端ヒドロキシル基(−OH)を抗体などのリガンドを結合しうるカルボキシル基で置換した。30gのプルロニックF−127とカルボキシル基置換基で476.5mgの無水コハク酸、触媒として290.9mgの4−ダイメチルアミノピリジン、331.9μLのトリエチルアミンを溶媒である500mLの1,4−ジオキサンに溶解させ、24時間常温で、反応を遂行した。反応後、凍結乾燥して溶媒を除去し、四塩化炭素を加えた後、フィルタを介して濾過し、反応していない無水コハク酸などを除去した。残りの不純物を除去するために、濾過した反応物を冷たいジエチルエーテルに落とし、沈澱させた。この沈澱物をジエチルエーテルで数回洗浄後、保管した。親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたプルロニックF−127は、赤外線分光法及び核磁気共鳴(1H−NMR)分析を介して確認しており、これをそれぞれ図13及び14に示した。図13で、(a)は親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたプルロニックF−127、(b)はプルロニックF−127及び(c)無水コハク酸のピークを示す。一方、図14で、(a)は本発明の他の製造例に係る親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換される前のプルロニックF−127の核磁気共鳴(1H−NMR)の結果であり、(b)はカルボキシル基で置換されたF−127の核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を示したグラフである。
【0138】
<製造例7>
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成は図15Aに示した過程を介して行われる。0.05モルのポリラクチド−コ−グリコリド、0.4モルのN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)及び1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドをメチレンクロリドに溶解させた後、常温で、窒素大気下で、24時間反応した。反応物はフィルタを介して濾過した後、冷たいジエチルエーテルに落とし沈澱させた。この沈澱物はジエチルエーテルで数回洗浄後、真空状態で保管した。上記方法で活性化された高分子0.01モルを採り、8mLのメチレンクロリドに溶解させた後、両端末端官能基がアミン基で置換されたポリエチレングリコール(分子量3,400)0.05モルを採り、2mLのメチレンクロリドに溶解し、少しずつ落としながら反応させた。反応は常温で、窒素大気下に12時間行った。反応物は前述した方法を介して洗浄、保管した。そして、生分解性両親媒性高分子のアミン基で置換された親水性末端官能基を抗体のアミン基と結合が可能なスクシンイミジル基に変換するためにN,N’−ジスクシンイミジルカボネートを使用した。0.01モルの N,N’−ジスクシンイミジルカボネートを採り、4mLのメチレンクロリドに溶解させた後、0.05モルの親水性部分がアミン基で置換された両親媒性高分子を1mLのメチレンクロリドに溶解して、少しずつ落としながら反応させた。反応は、窒素大気下で4時間行った。ゲル濾過(SephadexG−25)と過程を介して高分子と結合しない N,N’−ジスクシンイミジルカボネートを除去した。
【0139】
<製造例8>
磁性ナノ複合体に薬物を封入するための両親媒性高分子の製造
両親媒性高分子の疎水活性結合領域に抗癌剤の結合は、図15の (b)に示した過程を介して行った。製造例5.Bで製造した親水活性成分結合領域が、カルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子とp−ニトロフェニルクロロホルメート(p-Nitrophenyl chloroformate)を水分が除去されたメチレンクロリドに溶解し、0℃で、ピリジンを加えて、常温で、窒素大気下に3時間反応し、活性化された両親媒性高分子と抗癌剤との結合のために、ドキソルビシン(DOX)が溶解されているジメチルホルムアルデヒドにトリエチルアミンを加えて、常温で、窒素大気下に3時間、反応を行った。反応しないDOXとその他の物質は数回の分離によって除去した。
【0140】
<実施例1>
生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例3で製造した100mgの両親媒性生分解性高分子(モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリド)を20mLの水相の超純水に溶解させ、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を油相の5mLのクロロホルムに溶解させた。上記水相と油相を混合した後、この混合物を300Wの超音波で10分間飽和させた。上記エマルジョンを12時間撹拌し、油相を蒸発し、遠心分離とゲル濾過カラム(Sephacryl S−300)を介して不純物が除去されたエマルジョン型磁性ナノ複合体を製造した。上記生分解性両親媒性高分子モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドを用いるエマルジョン型磁性ナノ複合体の模式図を図3の(a)に示した。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これをそれぞれ図16の(a)及び(b)に示した。
【0141】
<実施例2>
生分解性両親媒性高分子を用いたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子を、製造例3で製造した50mgの両親媒性生分解性高分子モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドが溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱して溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を、30℃で、6時間加熱/撹拌し、懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。上記生分解性両親媒性高分子のモノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドを用いるサスペンション型磁性ナノ複合体の模式図を図3の(b)に示した。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これをそれぞれ図17の(a)及び(b)に示した。
【0142】
<実施例3>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例4で製造した600mgの脂肪酸両親媒性重合体モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸を、20mLの水相の超純水に溶解させ、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を、油相の5mLのクロロホルムに溶解させた。上記水相と油相を混合した後、この混合物を300Wの超音波で10分間飽和させた。上記エマルジョンを6時間撹拌し、油相を蒸発し、遠心分離とゲル濾過カラム(Sephacryl S−300)を介して不純物が除去された高感度磁気共鳴映像用ナノ複合体を製造した。上記脂肪酸両親媒性高分子のモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸を用いるエマルジョン型磁性ナノ複合体の模式図を図3cに示した。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これをそれぞれ、図18の(a)及び(b)に示した。磁気的特性は振動試料磁力計によって超常磁性であることを確認しており、これを図19に示した。実線は磁性ナノ粒子、点線は脂肪酸両親媒性化合物を用いるエマルジョン型磁性ナノ複合体のヒステリシスループを示す。また、赤外線分光法を介して両親媒性重合体モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸と磁性ナノ粒子の存在可否を確認し、これを図7の(d)に示した。
【0143】
<実施例4>
生分解性両親媒性高分子を用いた親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例5.Aで製造した100mgの両親媒性生分解性高分子を、水相の20mLの超純水に溶解し、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子のマグネタイト及びマンガンフェライトをドキソルビシン2mgと共に、油相の5mLのクロロホルムに溶解させた。上記水相と油相を混合した後、この混合物を300Wの超音波で10分間飽和させた。上記エマルジョンを12時間の撹拌し、油相を蒸発し、遠心分離とゲル濾過カラム(Sephacryl S−300)を介して不純物が除去された磁性ナノ複合体を製造した。上記抗癌剤が封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型水相磁性ナノ複合体の模式図を図3の(d)に示した。製造された粒子は動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認し、これを図20に図示した。図20において、(a)はマグネタイト(Fe3O4)が封入されたエマルジョン型磁性ナノ複合体、(b)はマンガンフェライト(MnFe3O4)が封入されたエマルジョン型磁性ナノ複合体、(c)は磁性ナノ複合体の粒径分布度である。また、封入された磁性ナノ粒子の重量比は、熱重量分析方法によって分析し、その結果を図21に示した。磁気的特性はVSMを利用して測定し、これを図22に示した。
【0144】
<実施例5>
生分解性両親媒性高分子を用いた親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子を、製造例5.Bで製造した50mgの両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱し、溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を、30℃で、6時間加熱/撹拌し、懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去した後、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。上記親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体の模式図を図3の(e)に示した。製造された粒子は動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認しており、これを図23の(a)及び(b)に示した。封入された磁性ナノ粒子の重量比は熱重量分析方法によって分析し、その結果を図24に示した。
【0145】
<実施例6>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例6で製造した1gの両親媒性高分子重合体を、40mLの水相の超純水に溶解し、上記製造例1で製造した30mgの磁性ナノ粒子を油相の5mLのヘキサンに溶解した。上記水相と油相を混合させた後、この混合物を190Wの超音波を加えながら、10分間撹拌した。その後、超音波除去状態で30分間撹拌し、さらに10分間、600W超音波を加えて飽和させた。このエマルジョンは、24時間の撹拌を介して油相を蒸発させて高感度磁気共鳴映像用ナノ複合体を製造した。上記親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の模式図を図3の(f)に示した。製造された粒子は動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認しており、これを図25に示した。製造された磁性ナノ複合体は赤外線分光法を介して両親媒性重合体プルロニックF−127と磁性ナノ粒子の存在可否を確認しており、これを図26に示した。
【0146】
<実施例7>
新規な腫瘍特異的知能型磁気共鳴映像用造影剤の製作
上記実施例6で製造した磁性ナノ複合体を用いて、次ぎのような方法によって腫瘍特異的知能型磁気共鳴映像用造影剤を製作した。実施例6で製造した磁性ナノ複合体、治療用抗体であるハーセプチン[ナノ複合体とハーセプチンモル比100:1]、架橋剤であるNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)及びEDC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド(NHS及びEDCモル比1:2)を、2mLのPBSバッファーに混合させた後、約6時間反応させた。反応後、不純物はゲル濾過カラムで除去した。
【0147】
<実施例8>
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が封入され、親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型水相磁性ナノ複合体(図3の(g))の製造のために、油相としてクロロホルムを用いて、ドキソルビシン(DOX)2mgを溶解し、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を分散させた。水相として上記製造例7で製造した100mgの両親媒性生分解性高分子が溶解されている20mLの超純水を使用した。上記2つ相を混合して飽和させた後、この混合物を超音波で10分間乳化させた。このエマルジョンを12時間撹拌し、油相を蒸発し、数回の遠心分離とSephacryl S−300カラムを介して純度の高い水相磁性ナノ複合体を得た。
【0148】
<実施例9>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
A.抗癌剤が物理的にだけ封入されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が物理的にだけ封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体(図3の(h))の製造のために、上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子と2mgのDOXを、製造例5.Bで製造した50mgの両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱し、溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を30℃で、6時間加熱/撹拌し、懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。
【0149】
B.抗癌剤が化学的にだけ封入されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が化学的にだけ封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体(図3の(h))の製造のために、上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子を、製造例8で製造した50mgの抗癌剤が結合された両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱して溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を30℃で、6時間加熱/撹拌して懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。
【0150】
C.抗癌剤が物理的な方法と化学的な方法で封入されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が物理的な方法と化学的な方法で封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体(図3の(h))の製造のために、上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子と2mgのDOXを、製造例5.Bで製造した25mgの両親媒性生分解性高分子と製造例8で製造した25mgの抗癌剤が結合された両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱して溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を30℃で、6時間加熱/撹拌して懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。製造された粒子は、動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認しており、これを図27の(a)及び(b)に示した。封入された磁性ナノ粒子の重量比は熱重量分析方法によって分析し、その結果を図28に示した。
【0151】
<実施例10>
癌の同時診断と治療のためのハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
A.スクシンイミジル基-磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン-磁性ナノ複合体の製造
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は、上記実施例8で製造した3mgの水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.1mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを介して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。
【0152】
B.カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
【0153】
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は、上記実施例4で製造した親水性高分子の末端官能基がカルボキシル基で置換された磁性ナノ複合体を0.5mLのPBS溶液に分散させた。この水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.5mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを介して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。抗体と結合された磁性ナノ複合体の細胞選択性を確認するために、標的細胞と反応しない免疫グロブリン(IgG)を上記方法で磁性ナノ複合体と結合して、IgG−磁性ナノ複合体を製造した。
【0154】
C.カルボキシル基-磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は上記実施例9.Cで製造した親水性高分子の末端官能基がカルボキシル基で置換された磁性ナノ複合体を0.5mLのPBS溶液に分散させた。この水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.5mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを通して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。抗体と結合された磁性ナノ複合体の細胞選択性を確認するために、標的細胞と反応しない免疫グロブリン(IgG)を上記方法で磁性ナノ複合体と結合して、IgG−磁性ナノ複合体を製造した。
【0155】
<実施例11>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型水相磁性ナノ複合体の製造のために、油相としてクロロホルムが用いられ、上記製造例3で製造した100mgの両親媒性生分解性高分子を溶解させ、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を分散させた。磁性ナノ複合体に蛍光性を与えるために、2mgのナイルレッドを油相に追加した。水相として20mLの超純水が使われた。上記2つ相を混合して飽和させた後、この混合物を超音波で10分間乳化させた。上記エマルジョンを12時間撹拌し、油相を蒸発させ、数回の遠心分離とSephacryl S−300カラムを通して純度高い水相磁性ナノ複合体を得た。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これを図29に示した。封入された磁性ナノ粒子の重量比は熱重量分析方法によって分析し、磁気的特性はVSMを利用して測定しており、その結果を図30に示した。
【0156】
<実施例12>
磁場で細胞の分離のためのハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は、上記実施例11で製造した親水性高分子の末端官能基がカルボキシル基で置換された磁性ナノ複合体を0.5mLのPBS溶液に分散させた。上記水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.5mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを通して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。上記抗体が付着された磁性ナノ複合体は外部磁場(Nd−B−Fe磁石、0.35T)に敏感に整列することを図31で確認した。抗体と結合された磁性ナノ複合体の細胞選択性を確認するために、標的細胞と反応しない免疫グロブリン(IgG)を上記方法で磁性ナノ複合体と結合して、IgG−磁性ナノ複合体を製造した。
【0157】
<試験例1>
生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の安定性実験
上記製造例1で製造された有機磁性ナノ粒子を、ヘキサンに溶解した後、水を付加する一方、実施例1で製造された生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体を水に溶解した後、ヘキサンを付加して溶解度変化を分析し、これを図32に示した。図32に示されるように、表面に脂肪酸表面安定剤を有する有機性ナノ粒子(図32の(a))が水溶性ナノ複合体(図32の(b))に転換されたことが確認できた。また、肉眼で観察した時、沈澱または凝集が生じなかったので、上記水溶性酸化鉄ナノ粒子が水溶液でよく分散されることが分かった。
【0158】
<試験例2>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたサスペンション型磁性ナノ複合体の安定性実験
上記製造例1で製造された有機磁性ナノ粒子をヘキサンに溶解した後、水を付加する一方、実施例3で製造された生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体を水に溶解した後、ヘキサンを付加して溶解度変化を分析した。これを図33に示した。図33に示されるように、表面に脂肪酸表面安定剤を有する有機性ナノ粒子(図33の(a)の左側)が水溶性ナノ複合体(図33の(a)の右側)に転換されたことが確認できた。外部磁場(Nd−B−Fe磁石、0.35T)を加えた時、敏感に反応することが確認できた(図33の(b))。また、肉眼で観察した時、沈澱または凝集が発生されなかったので、上記水溶性酸化鉄ナノ粒子が、水溶液でよく分散されることが分かった。
【0159】
実施例3で製造されたナノ複合体の塩(NaCl)濃度とpHによる安定性試験を行った。これを図34に示した。図34の(a)はナノ複合体の0.0〜1.0Mの濃度によるナノ複合体のサイズ変化グラフであり、濃度によるナノ複合体のサイズ変化がほとんどないことが確認された。そして、図34の(b)はナノ複合体のpH5〜pH10の変化によるナノ複合体のサイズ変化グラフであり、pHによるナノ複合体のサイズ変化もほとんどないことが確認された。
【0160】
<試験例3>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の安定性実験
実施例6で製造したナノ複合体のpHによる分散安定性実験を行った結果を図35に示した。図35に示されるように、上記ナノ複合体はpH4〜13の範囲で粒子の凝集が確認されなく、粒径変化もほとんどないことが確認できた。また、塩(NaCl)の濃度による安定性試験を行った。これを図36に示した。図36に示されるように、0.005Mの濃度から1.0Mの濃度による粒子の凝集は確認されなく、粒径変化もほとんどないことが確認できた。
【0161】
<試験例4>
生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例1で製造された水溶性磁性ナノ複合体を0.1、0.05、0.025及び0.125μg/μLの濃度で滴定し、PCRチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを用いており、micro−47コイルを用いた。FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して、冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間6分。図37に示されるように、上記水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0162】
<試験例5>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例3で製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。図38に示されるように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0163】
<試験例6>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例4で製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。図39に示されるように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0164】
<実験例7>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
実施例6で製造した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体が、十分な磁気共鳴映像造影効果を示すのか否かを確認するために、上記水溶性磁性ナノ複合体を1.0、2.0、5.0、10.0、20.0、40.0及び80.0μg/mLの濃度に滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。図40及び41に示されたように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。これは生分解性高分子を利用して製造した水溶性磁性ナノ複合体がナノ造影剤への使用が可能であるということを表す。
【0165】
<試験例8>
磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
A.親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性確認
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例8で製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは次ぎのとおりであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。図42に示されたように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0166】
B.親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例9.Cで製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。図43に示されたように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0167】
<実験例9>
新規な腫瘍特異的磁気共鳴映像用造影剤の細胞結合度及び造影効果の確認
実施例7で製造した不純物が除去された新規知能型磁気共鳴映像用造影剤は、治療用抗体、ハーセプチンと抗原−抗体特異的結合に対して陽性であるNIH3T6.7細胞と陰性であるMDAMB231細胞との結合度の確認を通して知能型造影剤としての可能性を確認した。蛍光染色試薬FITC(Fluorescein isothiocyanate)が付着された第2次抗体を付着し、蛍光活性化セルソーター(Fluorescence Affinity Cell Sorter)を通して分析したし、これを図44に示した。図44において、(a)は本発明に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応しない細胞の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を表し、(b)は知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した抗体陰性細胞(MDAMB231)の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を表し、(c)は知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した抗体陽性細胞(NIH3T6.7)の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を表す。図12に示されるように、陽性であるNIH3T6.7細胞が陰性のMDAMB231細胞に比べて、高い蛍光強度を表し散ることが分かる。これは製造された造影剤が特定腫瘍に特異的結合が可能な知能型造影剤への使用が可能であることを意味する。また抗体に対して陽性のNIH3T6.7細胞の場合、磁気共鳴映像を通してその造影効果があることを確認した、これを図45に示した。
【0168】
<試験例10>
フローサイトメトリー分析を介した腫瘍特異性磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
A.フローサイトメトリー分析を介したスクシンイミジル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞選択性確認
上記実施例10.Aで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の乳癌標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACSを利用した。それぞれの細胞株に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用しており、その結果を図46に示した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体及び対照群ナノ複合体粒子を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株(MDA−MB−231細胞株<<NIH3T6.7細胞株)に処理した後、上記同様にFITC重合二次抗体と反応させ、HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。HER2/neu受容体発現程度が低いMDA−MB−231細胞株の場合は、対照群のナノ複合体を使用した場合より蛍光発現強度が若干増加することを示しており、受容体発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も徐々に増加することを確認することができた。
【0169】
B.フローサイトメトリー分析を介したエマルジョン型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
上記実施例10.Bで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の乳癌標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACSを利用した。それぞれの細胞株に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体及び対照群ナノ複合体粒子を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株(MDA−MB−231、NIH3T6.7細胞株)に処理した後、上記同様にFITC重合二次抗体と反応させ、蛍光発現可否を、FACSを利用して確認し、その結果を図47に示した。HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。
【0170】
C.フローサイトメトリー分析を介したサスペンション型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
上記実施例10.Cで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の乳癌標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACSを利用した。それぞれの細胞株に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体及び対照群ナノ複合体粒子を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株に処理した後、上記同様にFITC重合二次抗体と反応させて蛍光発現可否をFACSを利用して確認し、その結果を図48に示した。HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。
【0171】
<試験例11>
磁気共鳴映像を介した腫瘍特異性磁性ナノ複合体の細胞選択性の確認
A.磁気共鳴映像を解したエマルジョン型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン-磁性ナノ複合体の癌細胞選択性確認
磁気共鳴映像を利用して、上記実施例10.Bで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の抗原特異性を分析するために、それぞれの細胞をPCR用チューブに移した後、遠心分離して細胞を沈殿させた。各細胞株の抗原特異性による磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得て、これを図49に示した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。
【0172】
図49の結果は、図47に示された蛍光発現結果と一致しており、HER2/neu受容体発現程度が徐々に増加することに伴って磁気共鳴映像信号が徐々に灰色から黒色に変わっていくことを確認した。発現程度の低い細胞株の場合、対照群ナノ複合体を使用した場合より若干暗い色に変わることを確認することができ、受容体発現程度が増加することに伴って徐々に黒色に変わっていくことを確認することができた。これは、ハーセプチン−磁性ナノ複合体がHER2/neu受容体を発現する細胞株に選択的に結合することによって、磁気共鳴映像信号が次第に黒色に現われるもので、本発明のハーセプチン−磁性ナノ複合体が生体外乳癌診断に用いることができることを確認することができた。
【0173】
B.磁気共鳴映像を介したサスペンション型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン-磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
磁気共鳴映像を利用して上記実施例10.Cで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の抗原特異性を分析するために、それぞれの細胞をPCR用チューブに移した後、遠心分離して細胞を沈殿した。各細胞株の抗原特異性による磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得て、これを図50に示した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。
【0174】
図50の結果は、図48に示された蛍光発現結果と一致しており、HER2/neu受容体発現程度が次第に増加することに伴って、磁気共鳴映像信号が次第に灰色から黒色に変わっていくことを確認した。発現程度の低い細胞株の場合、対照群ナノ複合体を使用した場合より若干暗い色に変わっていくことを確認することができ、受容体発現程度の増加に伴って、黒色に変わっていくことを確認することができた。これは、ハーセプチン−磁性ナノ複合体がHER2/neu受容体を発現する細胞株に選択的に結合することによって、磁気共鳴映像信号が次第に黒色に現われるもので、本発明のハーセプチン−磁性ナノ複合体が生体外乳癌診断に用いることが確認することができた。
【0175】
<試験例12>
磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
A.スクシンイミジル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
上記実施例10.Aで製造された抗癌剤が封入された水相磁性ナノ複合体に対する薬物放出実験はUVを用いた滴定曲線を作成した後、一定の時間の間隔で試料を抽出し、濃度を測定して行った。その結果を図51に示した。
【0176】
B.カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
上記実施例10.Bで製造された抗癌剤が封入された水相磁性ナノ複合体に対する薬物放出実験はUVを用いた滴定曲線を作成した後、一定の時間の間隔で試料を抽出し、濃度を測定して行った。その結果を図52に示した。
【0177】
C.サスペンション型ハーセプチン−磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
上記実施例10.Cで製造された抗癌剤が封入された水相磁性ナノ複合体に対する薬物放出実験はUVを用いた滴定曲線を作成した後、一定の時間の間隔で試料を抽出し、濃度を測定して行った。その結果を図53に示した。薬物が物理的な方法だけで封入された場合(図53の(b))には、初期放出量が多く、化学的な方法だけで封入された場合(図53の(c))には放出速度が非常に遅かったが、線形的な放出挙動を示した。そして、物理的な方法と化学的な方法を同時に利用して、抗癌剤を封入した場合、線形的であり、相対的に短時間に100%に近い薬物放出挙動を示した(図53の(a))。
【0178】
<試験例13>
フローサイトメトリー分析を介した細胞特異性エマルジョン型磁性ナノ複合体の標的細胞選択性の確認
上記実施例12で製造されたハーセプチン-磁性ナノ複合体の癌細胞標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACS(Flow cytometer, FACScan, Becton Dickinson, SanDiego, CA)を利用した。それぞれの細胞株(MCF−7細胞株<<NIH3T6.7細胞株)に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株に処理した後、蛍光発現可否を、FACSを利用して確認し、その結果を図54に示した。図54に示されるように、HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。またIgG−磁性ナノ複合体の場合、細胞選択性がないことも確認できた。
【0179】
<試験例14>
上記実施例12で製造されたハーセプチン-磁性ナノ複合体を用いた標的細胞の分離可能性を確認するために、4×104個のNIH3T6.7細胞株に、1mg/mLのハーセプチン−磁性ナノ複合体を30分間培養し、反応しない磁性ナノ複合体を分離し、マイクロチューブに挿入し、チューブの片方の壁面に外部磁場(Nd−B−Fe磁石、0.35T)を加えた。磁場を加えた後、数秒以内に磁石のある方向に敏感に動いていることを、蛍光顕微鏡を利用して確認した。その結果を図55に示した。
【0180】
<試験例15>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての細胞毒性実験
上記実施例3で製造された水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性を確認するために、NIH3T6.7細胞を対象とし、ナノ複合体の濃度による細胞毒性分析を行った。これを図34に示した。ナノ複合体の濃度は10−4〜100mg/mLの条件で実験しており、細胞と培養する時間を0〜72時間とし、細胞毒性可否を確認してみた。図56に示されるように、上記磁性ナノ複合体は高濃度でも細胞毒性を確認できなかった。
【0181】
<実験例16>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の細胞毒性実験
実施例6で製造した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の細胞毒性を確認するために、MCF7細胞とSKBR3、及びNIH3T6.7細胞を対象とし、ナノ造影剤の濃度によるMTT分析を行った。これを図57に示した。図57より明らかなように高濃度でも細胞毒性は確認できなかった。
【0182】
<試験例17>
磁性ナノ複合体の細胞毒性実験
製造された磁性ナノ複合体の細胞毒性実験はNIH3T6.7細胞とMDA−MB−231細胞に対して行った。純粋DOX、純粋ハーセプチン、DOXとハーセプチン、ハーセプチン−磁性ナノ粒子、IgG−磁性ナノ複合体、及びハーセプチン−磁性ナノ複合体に対して、細胞成長に妨害となる程度を割合で表して、細胞毒性を確認した。96−ウェルに4×103個の細胞を注入し、同量のハーセプチンとDOXを基準にし、細胞のあるウェルに挿入した。4時間後、残留物質を洗浄し、72時間、さらに成長させて、MTT試薬を通して得た細胞毒性を図58に示した。DOXが封入されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の細胞毒性はハーセプチンとDOXが共に作用した場合より(図26の(i))高く現れて、ナノ粒子を利用してハーセプチンとDOXを細胞と反応させた場合よりも非常に高い細胞毒性を示した。また、ハーセプチンが作用した場合、NIH3T6.7細胞株がMDA−MB−231細胞株より低い生存率を表し、細胞選択成があることを確認した。これらの結果は、上記図2で示されるように、DOXが封入されたハーセプチン−磁性ナノ複合体が癌細胞を選択的に相乗的な治療効果を有する可能性を示す結果といえる。
【0183】
<試験例18>
動物モデルを介した脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体のナノ造影剤としての可能性の確認
ヌードマウスを動物モデルとして、生体内実験を行った。NIH3T6.7細胞を注入して癌細胞を発現させ、10日後、癌細胞のサイズが30mm程度になった時、実施例3で製造されたナノ複合体(80μg Fe+Mn)を注入した。注入前後の磁気共鳴映像を図59に示した。 図59は上記ナノ複合体注入前(a)、注入直後(b)、注入1時間後(c)、注入2時間後(d)、注入5時間後(e)の磁気共鳴映像である。図59に示されるように、肝と癌細胞の映像変化が明らかであり、1時間、2時間、及び5時間が経過した後にも、造影効果が保持されることが確認できた。上記映像を介して時間によるT2値の変化をグラフで描いてみた結果、5時間が過ぎた後にも、注入前とT2値の差が大きく保持されることを確認できた(図59の(f))。
【0184】
<実験例19>
動物モデルを介したナノ造影剤としての可能性の確認
ヌードマウスを動物モデルとして、生体内実験を行った。抗体に対して陽性のNIH3T6.7細胞を注入して癌細胞を発現させ、2日後、癌細胞のサイズが10mm程度になった時、実施例6で製造された造影剤を注入した。注入前後の磁気共鳴映像を図60に示した。図60において、(a)は造影剤注入直前、(b)は注入直後、(c)は注入後2時間後の磁気共鳴映像写真である。図60に示されるように、肝と癌細胞の映像変化が明確であった。また、造影剤注入前から2時間までの時間によるR2値の変化を図61に示した。図61に示されるように、造影剤注入後、T2値で大きな変化があることを確認することができた。
【0185】
<試験例20>
動物モデルを通した磁性ナノ複合体のナノ造影剤としての可能性確認
磁性ナノ複合体が動物モデルで癌細胞を追跡することができるか否かを確認するために、 一グループのヌードマウスの太腿にNIH3T6.7細胞をインプラントした。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156×μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。造影効果は経時的に確認した。実施例10.Bで製造した磁性ナノ複合体投入前(preliminary, Pre)、尾静脈に投入直後(immediately, Immed)、4時間後、12時間後、映像を得て、その結果を図62及び63に示した。注入後12時間が過ぎた後にも、ヌードマウスの太腿で非常に高い造影効果が現れることを確認できた。ハーセプチンが結合されていない、IgG−磁性ナノ複合体の場合、造影効果が落ちることも確認できた。この結果からハーセプチン−磁性ナノ複合体が癌細胞に選択的に標的化されることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明に係る疎水性領域と親水性領域を有する両親媒性化合物で覆われている磁性ナノ複合体は高感度磁気共鳴映像造影剤として使用することができ、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断知能型造影剤でとして使用することができ、疎水性領域に薬物を重合または封入すると同時に、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断及び治療のための薬物伝達体として使われることができ、機能性細胞、幹細胞または癌細胞などの表面抗原に対する特異な抗体またはタンパク質を結合して磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用製剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明に係る磁性ナノ複合体の応用分野を図示した模式図である。
【図2】本発明の一実施例に係る両親媒性高分子を用いた磁性ナノ複合体の製造方法を図示した模式図である。
【図3】本発明の一実施例に係るエマルジョン型またはサスペンション型磁性ナノ複合体の概念図である。
【図4】本発明の一実施例に係る飽和脂肪酸を用いた磁性ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真及び磁気的特性を図示したグラフである。
【図5】本発明の別の実施例に係る不飽和脂肪酸を用いた磁性ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真及び磁気的特性を図示したグラフである。
【図6】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いた磁性ナノ複合体の製造方法を図示した模式図である。
【図7】本発明の一実施例に係る磁性ナノ粒子と磁性ナノ複合体の赤外線分光法(FT−IR)の結果を図示したグラフである。
【図8】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物の水素核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を図示したグラフである。
【図9】本発明の一実施例に係る高分子等の活性成分を結合して親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合過程を図示した模式図である。
【図10】本発明に係る親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子を核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を図示したグラフである。
【図11】本発明に係る親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子を赤外線分光法の結果を図示したグラフである。
【図12】本発明に係る親水性高分子の活性成分を通した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合過程を図示した模式図である。
【図13】本発明の一実施例に係る両親媒性高分子の赤外線分光法(FT−IR)の結果を図示したグラフである。
【図14】本発明の他の製造例に係る両親媒性高分子の核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を図示したグラフである。
【図15A】本発明に係る親水活性成分結合領域で置換された生分解性両親媒性高分子の合成過程である。
【図15B】本発明に係る親水活性成分結合領域で置換された生分解性両親媒性高分子の合成過程である。
【図16】本発明の一実施例に係るナノ粒子及び生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び粒径分布を示すグラフである。
【図17】本発明の一実施例に係るナノ粒子及び生分解性両親媒性高分子を用いたサスペンション型磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び粒径分布を示すグラフである。
【図18】本発明の一実施例に係るナノ粒子及び脂肪酸両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び粒径分布を示すグラフである。
【図19】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体のヒステリシスループの結果を図示したグラフである。
【図20】本発明に係る磁性ナノ粒子がカルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドによって封入された電子顕微鏡写真及びナノ複合体の粒径分布度を図示したグラフである。
【図21】本発明に係るナノ粒子がカルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドによって封入された質量比を図示したグラフである。
【図22】本発明に係るナノ磁性粒子と磁性ナノ複合体のヒステリシスループである。
【図23】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び動的レーザー光散乱法による粒径分布度を図示したグラフである。
【図24】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子の熱重量分析グラフである。
【図25】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の透過電子顕微鏡写真及び動的レーザー光散乱法結果を図示したグラフである。
【図26】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の赤外線分光法の結果を図示したグラフである。
【図27】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び光散乱方法による粒径分布度である。
【図28】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子の熱重量分析グラフである。
【図29】本発明のエマルジョン方法で製造されたMnFe2O4がポリラクチドコ−グリコリド−ポリエチレングリコールによって封入されたナノ複合体の電子顕微鏡写真及び光散乱方法による粒径分布度である。
【図30】本発明に係る熱重力分析方法を通して製造されたMnFe2O4がポリラクチドコ−グリコリド−ポリエチレングリコールによって封入された質量比を求めた結果及びヒステリシスループである。
【図31】本発明に係る蛍光染料が封入された磁性ナノ複合体が外部磁場により整列した写真である。
【図32】本発明の一実施例に係る有機性ナノ粒子の有機溶媒に対する溶解度及び生分解性両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の水溶液に対する溶解度を示したもののである。
【図33】本発明の一実施例に係る有機性ナノ粒子の有機溶媒に対する溶解度及び脂肪酸両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の水溶液に対する溶解度及び外部磁場に反応する様子を示す写真である。
【図34】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の塩濃度及びpHによる安定性試験の結果を図示したグラフである。
【図35】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体のpHによる粒子安定性写真とサイズ変化グラフである。
【図36】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の塩濃度による粒子安定性写真とサイズ変化グラフである。
【図37】本発明の一実施例に係る生分解性両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の濃度による磁気共鳴映像信号(T2)の変化を図示したグラフである。
【図38】本発明の別の実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の濃度による磁気共鳴映像信号(R2)の変化を図示したグラフである。
【図39】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子が分散された溶液の磁気共鳴映像を濃度によって確認した写真及びR2値変化グラフである。
【図40】本発明の一実施例と係る水溶性磁性ナノ複合体の溶液磁気共鳴映像写真である。
【図41】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体のFe濃度による磁気共鳴映像のT2値を図示したグラフである。
【図42】本発明に係る親水性末端基がスクシンイミジル基で置換された磁性ナノ複合体が分散された溶液の磁気共鳴映像を濃度によって確認した写真及び濃度によるT2値変化グラフである。
【図43】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子が分散された溶液の磁気共鳴映像を濃度によって確認した写真及び濃度によるT2値変化グラフである。
【図44】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した細胞の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を示したグラフである。
【図45】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した抗体陽性細胞の磁気共鳴映像写真である。
【図46】本発明に係るハーセプチン−磁性ナノ複合体の細胞特異性を分析した結果である。
【図47】本発明に係るMnFe2O4が封入されているハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞に対する親和性をフローサイトメトリーで確認した図である。
【図48】本発明に係るハーセプチン−磁性ナノ複合体の細胞との結合程度を評価するためにフローサイトメトリー分析で確認した図である。
【図49】本発明の別の実施例に係る製造されたエマルジョン型ハーセプチン−磁性ナノ複合体と標的細胞株(MDA−MB−231、NIH3T6.7細胞株)の反応後、磁気共鳴映像を通して獲得した写真及びT2値の比較グラフである。
【図50】本発明のさらに別の実施例に係る本発明に係るサスペンション型ハーセプチン−磁性ナノ複合体と標的細胞株(MDA−MB−231、NIH3T6.7細胞株)の反応後磁気共鳴映像を通して獲得した写真及びT2値の比較グラフである。
【図51】本発明の一実施例に係るエマルジョン型磁性ナノ複合体の薬物放出挙動グラフである。
【図52】本発明の別の実施例に係るエマルジョン型磁性ナノ複合体の薬物放出挙動グラフである。
【図53】本発明のさらに別の実施例に係るサスペンション型磁性ナノ複合体の薬物放出挙動グラフである。
【図54】本発明に係るMnFe2O4が封入されている磁性ナノ複合体の標的細胞に対する親和性をFACSで確認した図である。
【図55】本発明に係るMnFe2O4が封入されている磁性ナノ複合体が付着された標的細胞が外部磁場により一方の壁面に移動する様子を確認した写真である。
【図56】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性実験結果を図示したグラフである。
【図57】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性実験結果を図示したグラフである。
【図58】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性実験結果を図示したグラフである。
【図59】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体を使用して撮影した動物モデルでの磁気共鳴映像である。
【図60】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体を使用して撮影した動物モデルでの磁気共鳴映像である。
【図61】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤注入時間によるR2値の変化を図示したグラフである。
【図62】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体を使用して撮影した動物モデルでの磁気共鳴映像である。
【図63】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤注入時間によるR2値の変化を図示したグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体に関する。特に優れた磁気共鳴映像(MRI)造影剤として用いられ、組織特異的結合成分が結合されていることを特徴とする癌診断知能型造影剤として用いられ、薬物を重合するか、又は封入して同時に組織特異的結合成分を同時に結合することによって同時診断及び治療のための薬物伝達体として用いられるだけでなく、磁性を用いた標的物質分離用として用いられる水溶性磁性ナノ複合体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナノ技術は物質を原子、分子水準で調節及び制御する技術であり、新物質、または新素子創出に好適で、その応用分野が電子、材料、通信、機械、医薬、農業、エネルギー、及び環境など非常に多岐にわたる。
【0003】
現在、ナノ技術は多様に発展しており、大きく3つ分野に分類されている。
第一に、ナノ素材で極微細サイズの新しい物質と材料を合成する技術に関するものである。
第二に、ナノ素子でナノサイズの材料を組み合せるか、又は配列して一定の機能を発揮する装置を製造する技術に関するものである。
第三に、ナノ−バイオ技術と呼ばれるナノ技術を生命工学に応用する技術に関するものである。
【0004】
特に、ナノ−バイオ分野の中で、磁性ナノ粒子は、生体物質の分離、磁気共鳴映像診断プローブ、巨大磁気抵抗センサーを含むバイオセンサー、マイクロ流体系センサー、薬物/遺伝子伝達、及び磁性高熱治療などの広い応用範囲にわたって使用されている。
【0005】
具体的に、磁性ナノ粒子は、分子磁気共鳴映像の診断プローブ(造影剤)として用いられる。磁性ナノ粒子は、ナノ粒子周辺の水分子の水素原子のスピン−スピン弛緩時間を短縮させ、磁気共鳴映像信号を増幅させる効果を示し、今まで共鳴映像診断に広く使われている。
【0006】
さらに、磁性ナノ粒子は、巨大磁気−抵抗バイオセンサー(GMR sensor)のプローブ物質として作用できる。磁性ナノ粒子が巨大磁気抵抗バイオセンサー表面にパターンされている生体分子を感知して結合すれば、磁性粒子によって巨大磁気抵抗センサーの電流信号が変わるようになり、これを利用すれば、生体分子を選択的に検出することが可能になる(特許文献1、2、3、4)。
【0007】
また、磁性ナノ粒子は、生体分子の分離にも応用しうる。例えば、特定の生体マーカーを発現する細胞と他の種々細胞が混ざっている時、磁性ナノ粒子が特定の生体マーカーと選択的に結合するようにした後、外部から磁場をかければ、磁場方向に所望の細胞だけを分離することができる(特許文献5、6、7、8)。また、細胞の分離だけでなく、タンパク質、抗原、ペプチド、DNA、RNA、及びウイルスなど様々な生体分子の分離に応用することができる。また、磁性ナノ粒子は、磁性マイクロ流体センサーに応用され、生体分子の分離及び検出することができる。チップ上に、非常に小さなチャネルを作って、その中に磁性ナノ粒子を流すことによって、マイクロ単位の流体系から検出と分離が可能になる。
【0008】
一方、磁性ナノ粒子は薬物または遺伝子の伝達を介した生体治療にも用いられる。磁性ナノ粒子に、化学的な結合または吸着を通じて薬物または遺伝子をロードし、外部磁場を利用して所望の位置に移動させ、特定部位に薬物及び遺伝子の放出を可能にして、選択的な治療効果が得られるようにする(特許文献9)。
【0009】
磁性ナノ粒子を用いた生体治療への応用の他の例として、磁性スピンエネルギーを用いた高熱治療が挙げられる(特許文献10、11)。磁性ナノ粒子は、外部のラジオ周波数の交流電流を流すと、スピンフリッピング(flipping)過程を介して熱が放出される。この時、ナノ粒子周辺の温度が40℃以上になると、細胞が高い熱によって死ぬようになり、疾患細胞を選択的に死滅させることができる。
【0010】
磁性ナノ粒子が前述した用途に利用されるためには、磁気的性質に優れ、生体内、即ち、水溶性環境で安定的に運搬及び分散しなければならなく、生体活性物質と容易に結合しなければならない。このような条件を満足させるために、現在まで様々な技術が開発されてきた。
【0011】
特許文献12には、酸化鉄のような金属を含む常磁性ナノ粒子に関するもので、上記ナノ粒子の表面に組織特異的な結合物質、診断または薬剤学的に活性である物質とカップリングする結合部位を含む無機物質を付着したナノ粒子を開示している。
【0012】
特許文献13は、酸化鉄のような金属を含む常磁性ナノ粒子に関するもので、上記ナノ粒子の表面に特定のカルボン酸を付着し、重力または磁場でナノ粒子が凝集及び沈殿されることを防止する方法を開示している。上記特定のカルボン酸には、マレイン酸、酒石酸、またはグルカル酸などの脂肪族ジカルボン酸、またはクエン酸、シクロヘキサン、またはトリカルボン酸などの脂肪族ポリジカルボン酸が用いられる。
【0013】
特許文献14は、単層(monolayer)で被覆された機能性ナノ粒子に関するもので、上記単層には二官能性(bifunctional)ペプチドが付着され、上記ペプチドにはDNA及びRNAを含む様々なバイオポリマーが結合される。
【0014】
特許文献15はタンパク質鋳型内に磁性ナノ粒子形成工程を含む磁性ナノ粒子の製造方法に関するもので、アポフェリチンに磁性ナノ粒子をカプセル化する方法を開示している。
【0015】
特許文献16は二重ミセル(bi-micellear vesicle)内でマンガン亜鉛酸化物をナノ粒子で形成させる方法に関するものであり、形成された磁性ナノ粒子の熱処理過程を介して向上された性質を示すナノ粒子を記述された。
【0016】
特許文献17は16−メルカプトヘキサデカン酸で覆われた水溶性磁性ナノ粒子の合成と合成された磁性ナノ粒子に相転移剤であるTATペプチドを利用して細胞内磁気的ラベリングで実験マウス内のウイルス及びmRNA検出に関して記述した。
【0017】
特許文献18は澱粉コーティングと任意のポリアルキレンオキシドコーティングを備えた超常磁性鉄酸化物コア粒子を含む粒子とこれを含むMRI造影剤を開示している。
【0018】
しかし、上記方法で製造された水溶性ナノ粒子は、次のような短所を持っている。特許文献12、13、14、15、16、17、18において、開示されたナノ粒子は、主に水溶液で合成されているので、ナノ粒径の調節が難しく、合成されたナノ粒子は不均一な粒径分布度を示す。また、低温で合成されているので、ナノ粒子の結晶性が低いし、非化学量論的化合物(non-stoichiometric compound)が形成される傾向がある。従って、上記方法で製造されたナノ粒子は、水溶液でコロイド安定性が低下し、生体溶融時、凝集、及び高い非選択性結合などを示す問題点を持っている。
【特許文献1】米国特許6,452,763 B1
【特許文献2】米国特許6,940,277 B2
【特許文献3】米国特許6,944,939 B2
【特許文献4】米国公開特許第2003/0133232 A1号
【特許文献5】米国特許4,554,088号
【特許文献6】米国特許5,665,582号
【特許文献7】米国特許5,508,164号
【特許文献8】米国公開特許第2005/0215687 A1号
【特許文献9】米国特許6,855,749号
【特許文献10】米国特許6,530,944 B2
【特許文献11】米国特許5,411,730号
【特許文献12】米国特許6,274,121号
【特許文献13】米国特許6,638,494号
【特許文献14】米国公開特許第2004/58457号
【特許文献15】イギリス特許GB223,127号
【特許文献16】米国公開特許第2003/190,471号
【特許文献17】米国公開特許第2005/130,167号
【特許文献18】大韓民国特許出願第10−1998−0705262号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであり、本発明の目的は、水溶液で、安定性が高く、生体毒性が少なく、生体の診断及び治療に広範囲に応用することができる磁性ナノ複合体であって、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われていることを特徴とする磁性ナノ複合体を提供することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分(tissue-specific binding substances)と結合されていることを特徴とする知能型磁性ナノ複合体(インテリジェント型磁性ナノ複合体)を提供することにある。
【0021】
本発明のさらに別の目的は、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合され、上記疎水性領域に薬剤学的活性成分が結合または封入されていることを特徴とする同時診断及び治療用磁性ナノ複合体を提供することにある。
【0022】
本発明のさらに別の目的は、磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする磁性ナノ複合体と標的物質を結合し、上記磁性ナノ複合体と標的物質の結合物に磁場を加え、標的物質を分離する方法を提供することにある。
【0023】
本発明のさらに別の目的は、上記本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法を提供することにある。
【0024】
本発明のさらに別の目的は、上記本発明に係る磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容可能な担体を含む造影剤組成物、診断用組成物、薬剤学的組成物及びこれを利用する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下、本発明に係る磁性ナノ複合体をより詳細に説明する。
本発明に係る上記磁性ナノ複合体の特徴は、ナノ粒子の表面に両親媒性化合物を付加して両親媒性化合物の疎水性領域がナノ粒子の表面と結合し、両親媒性化合物の親水性領域がナノ複合体の最外郭に分布していることである。ここで、両親媒性化合物の疎水性領域は、水素結合、 ファン・デル・ワールス力 、及び極性引力などの物理的結合によってナノ粒子の表面と結合する。従って、上記疎水性領域は疎水性領域のメトリックス内にナノ粒子を分布させるか、ナノ粒子の表面と結合する役割を果たすだけでなく、必要に応じて疎水性領域のメトリックス内に薬物を物理的に封入するか、疎水性領域の一末端に薬物を化学的に結合させることができる。一方、両親媒性化合物の親水性領域は、ナノ複合体の最外殻に分布して水不溶性のナノ粒子を水溶性媒体中で安定化させ、生体利用率を極大化することができる。
【0026】
さらに、本発明に係る上記磁性ナノ複合体の他の特徴は、磁性ナノ粒子の金属、磁性物質、または磁性合金が有機性表面安定剤と結合することができることである。ここで、上記有機性表面安定剤と金属、磁性物質、または磁性合金の結合は、金属、磁性物質、または磁性合金の前駆物質に、有機性表面安定剤が配位して錯体化合物形成して行われる。上記有機性表面安定剤は、両親媒性化合物の疎水性領域を安定化させる役割を果たす。
【0027】
また、本発明に係る上記磁性ナノ複合体のさらに別の特徴は、上記疎水性領域はその構造内の一部分に一つ以上の疎水活性成分結合領域(R1)を有し、上記親水性領域は、その構造内の一部分に親水活性成分結合領域(R2)を有しうることである。上記親水活性成分結合領域及び疎水活性成分結合領域に、様々な活性成分を付着する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断知能型造影剤、癌診断及び治療を同時に遂行できる薬物伝達体、磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用製剤等の様々な用途で使用でき、これに関する模式図を図1に示した。
【0028】
上記のような本発明に係る上記磁性ナノ複合体は、図2で示されるように、その製造方法によって、一つ以上の磁性ナノ粒子が疎水性領域に分布されたコア及び親水性領域を含有するシェル(殻)を含む磁性ナノ複合体(以下、‘エマルジョン型磁性ナノ複合体’)と一つの磁性ナノ粒子が疎水性領域と結合されたコア及び親水性領域を含有するシェル(殻)を含む磁性ナノ複合体(以下、‘サスペンション型磁性ナノ複合体’)とを含む。
【0029】
上記エマルジョン型及びサスペンション型磁性ナノ複合体の磁性ナノ粒子はいずれも有機性表面安定剤が金属、磁性物質、または磁性合金と配位結合されていることが好ましく、磁性ナノ粒子と両親媒性化合物の疎水性領域が物理的に結合されていることが好ましい。
【0030】
また、上記エマルジョン型ナノ複合体の好ましい直径は、1nm〜500nm、より好ましい直径は25nm〜100nmであり、サスペンション型磁性ナノ複合体の好ましい直径は1nm〜50nm、より好ましい直径は5nm〜30nmである。
【0031】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合されていることが好ましい。
【0032】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合され、上記疎水性領域に薬剤学的活性成分が結合または封入されていることが好ましい。
【0033】
本発明に係る磁性ナノ複合体の“磁性ナノ粒子”とは磁性を有し、直径が1nm〜1000nm、好ましくは2nm〜100nmの粒子であれば特に制限なく用いることができるが、好ましくは金属物質、磁性物質、または磁性合金である。
【0034】
上記金属は特に制限されないが、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択されるのが好ましい。
【0035】
上記磁性物質は、特に制限されないが、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4、及びMxOy(ここで、M及びM’はそれぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Mn、Zn、Gd、またはCrを表し、0<x≦3、0<y≦5)よりなる群から選択されるのが好ましい。
【0036】
また、上記磁性合金は特に制限されないが、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択されるのが好ましい。
【0037】
また、上記金属、磁性物質、または磁性合金は有機性表面安定剤と結合されていることが好ましい。有機性表面安定剤は、本発明のナノ粒子の状態とサイズを安定化させることができる有機機能性分子を意味し、代表的な例は界面活性剤が含まれる。
【0038】
上記界面活性剤は、アルキルトリメチルアンモニウムハライドを含むカチオン界面活性剤;オレイン酸、ラウリン酸、またはドデカン酸のような飽和または不飽和脂肪酸、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、またはトリブチルホスフィンのようなトリアルキルホスフィンまたはトリアルキルホスフィンオキシド、ドデシルアミン、オレイックアミン(oleicamine)、トリオクチルアミン、またはオクチルアミンのようなアルキルアミン、またはアルキルチオールを含む中性界面活性剤;及びナトリウムアルキルスルフェート、またはナトリウムアルキルホスフェートを含むアニオン界面活性剤が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0039】
特に、ナノ粒子の安定化及び均一な粒径分布を考慮する時、飽和または不飽和脂肪酸及び/又はアルキルアミンを使用することが好ましい。
【0040】
本発明に係る両親媒性化合物は、一つ以上の疎水性領域(P1)と一つ以上の親水性領域(P2)とを有する化合物であれば、特に制限されない。上記両親媒性化合物において、疎水性領域(P1)及び親水性領域(P2)は多数個連結され付着することができる。即ち、本発明に係る両親媒性化合物はP1−P2、P1−P2−P1、P2−P1−P2、P1−(P2−P1)n−P2、P1−(P2−P1)n−P1、P2−(P1−P2)n−P1、またはP2−(P1−P2)n−P2など様々な形態を有することができる。勿論、構造内に疎水性領域または親水性領域が繰返して存在することもできる。
【0041】
本発明に係る両親媒性化合物の疎水性領域は、化合物または高分子で構成され得る。例えば、生体親和的な飽和または不飽和脂肪酸、または疎水性高分子などが用いられる。
【0042】
上記飽和脂肪酸は、特に制限されないが、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、及びドコサン酸よりなる群から選択される一つ以上が用いられる。不飽和脂肪酸も特に制限されないが、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びエルカ酸よりなる群から選択される一つ以上が挙げられる。
【0043】
本発明に係る両親媒性化合物に使用可能な飽和または不飽和脂肪酸を下記表1及び表2に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
一方、本発明に係る両親媒性化合物に使用可能な上記疎水性高分子は、特に制限されないが、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンハイドライド、ポリリンゴ酸またはその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロキシブチレート、ポリカーボネート、ポリオルトエステル、疎水性ポリアミノ酸及び疎水性ビニル系高分子よりなる群から選択される一つ以上が好ましい。また、上記疎水性高分子は重量平均分子量が100〜100,000が好ましい。重量平均分子量が100未満のとき生体毒性を表し、100,000を超えると応用が難しい。
【0047】
本発明に係る両親媒性化合物の親水性領域は化合物または高分子で構成される。例えば、生体親和性高分子などが用いられる。
【0048】
上記生体親和性高分子は、特に制限されないが、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子よりなる群から選択された一つ以上を含むことが好ましく、ポリエチレングリコールがさらに好ましい。また、上記生分解性高分子は重量平均分子量が100〜100,000が好ましい。重量平均分子量が100未満のとき生体毒性を表し、100,000を超えると応用が難しい。
【0049】
特に、上記ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール(PEG)またはモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が好ましく、特にカルボキシルまたはアミンで置換されたポリエチレングリコールがより好ましい。
【0050】
また、上記疎水性領域(P1)は、その構造内の一部分、好ましくは末端に一つ以上の疎水活性成分結合領域(R1)を有することが好ましく、上記親水性領域(P2)はその構造内の一部分、好ましくは末端に親水活性成分結合領域(R2)を有することが好ましい。
【0051】
上記親水活性成分結合領域(R2)は、例えば、腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質と結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断知能型造影剤(ガン診断用インテリジェント型造影剤)として使用することができる。
【0052】
また、疎水活性成分結合領域(R1)または疎水性領域(P1)に薬物を重合するか、封入して、同時に親水活性成分結合領域(R2)に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断及び治療を同時に遂行することができる薬物伝達体(ドラッグデリバリーシステム)として使用することができる。
【0053】
一方、親水活性成分結合領域(R2)に、機能性細胞、幹細胞または癌細胞などの表面抗原に対する特異な抗体、またはタンパク質を結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用として使用することができる。
【0054】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体の上記親水性領域(P2)は、その構造内の一部分、好ましくは末端に親水活性成分結合領域(R2)を有し、上記親水活性成分結合領域(R2)は組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする。
【0055】
上記親水活性成分は生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択することができる。本発明の明細書で“生体活性成分”とは、下記の“組織特異的結合成分”または“薬剤学的活性成分”と同じ意味であり、これらは相互交換的に使用できる。
【0056】
上記親水活性成分結合領域(R2)は、結合される親水活性成分、即ち、組織特異的結合成分によって任意に変化され得、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−NR4+X−、−スルホネート、−ニトレート、−ホスホネート、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び-アルキル基よりなる群から選択される一つ以上が官能基を含むことが好ましいが、これに制限されない。
【0057】
上記組織特異的結合成分は抗原、抗体、RNA、DNA、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン(neutravidin)、プロテインA、プロテインG、レクチン、セレクチン、放射線同位元素で標識された成分、または腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を含むが、これに制限されない。
【0058】
本発明の上記ナノ複合体は腫瘍と関連した様々な疾患、例えば、胃癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、肝癌、気管支癌、鼻咽腔癌、喉頭癌、膵臓癌、膀胱癌、結腸癌及び子宮頸癌を診断及び/又は治療に利用できる。
【0059】
このような腫瘍細胞は、正常細胞では殆どまたは全く生産されない特定物質を発現及び/又は分泌する。これらは一般的に“腫瘍マーカー(tumor marker)”呼ばれる。そのような腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を上記水溶性ナノ粒子の活性成分結合領域に結合して作ったナノ複合体は、腫瘍診断に有用に利用できる。当業界には、様々な腫瘍マーカーだけでなく、これらと特異的に結合しうる物質が公知されている。
【0060】
また、本発明で腫瘍マーカーは、作用機序によってリガンド、抗原、受容体、及びこれらをコードする核酸に分類される。
【0061】
【表3】
【0062】
腫瘍マーカーがリガンドの場合には、上記リガンドと特異的に結合しうる物質を本発明に係るナノ複合体の活性成分として導入できるが、上記リガンドと特異的に結合しうる受容体または抗体が好適である。本発明で利用可能なリガンド及びこれと特異的に結合しうる受容体の例には、シナプトタグミンのC2とホスファチジルセリン、アネキシンVとホスファチジルセリン、インテグリンとその受容体、VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)とその受容体、アンジオポエチンとTie2受容体、ソマトスタチンとその受容体、血管腸ペプチド(vasointestinal peptide)とその受容体などが挙げられるが、これに制限されるものではない。
【0063】
腫瘍マーカーが抗原の場合、上記抗原と特異的に結合しうる物質を本発明に係るナノ複合体の活性成分として導入できるが、上記抗原と特異的に結合しうる抗体が好適である。本発明で利用可能な抗原及びこれと特異的に結合する抗体の例は、癌性胎児性抗原(carcinoembryonic antigen−大腸癌標識抗原)とハーセプチン(Genentech, USA)、HER2/neu抗原(HER2/neuantigen−乳癌標識抗原)とハーセプチン、前立腺特異抗原(prostate-specific membrane antigen−前立腺癌標識抗原)とリツキサン(Rituxan)(IDCE/Genentech, USA)などがある。
【0064】
腫瘍マーカーが“受容体”の代表的な例は、卵巣癌細胞で発現される葉酸受容体がある。上記受容体と特異的に結合しうる物質(葉酸受容体の場合には葉酸)が本発明に係るナノ複合体の活性成分として導入できるが、上記受容体と特異的に結合しうるリガンドまたは抗体が好適である。
【0065】
前述するように、抗体は、本発明において特に好ましい活性成分である。抗体は、特定対象とのみ選択的で安定的に結合する性質を有している。抗体のFc領域にあるリジンの−NH2、システインの−SH、アスパラギン酸及びグルタミン酸の−COOHは、水溶性ナノ複合体の活性成分結合領域官能基と結合するのに有用に利用できるからである。
【0066】
このような抗体は商業的に入手するか、当業界に公知された方法によって製造することができる。一般的に哺乳動物(例、マウス、ラット、ヤギ、ウサギ、馬または羊)を適切な量の抗原で1回以上免疫化させる。一定時間後、力価が適正水準に至った時、哺乳動物の血清から回収する。回収した抗体は、所望の場合、公知された工程を利用して精製し、使用時まで冷凍緩衝溶液に保管する。このような方法の詳細な事項は当業界によく知られている。
【0067】
一方、上記“核酸”は、前述したリガンド、抗原、受容体またはその一部分をコードするRNA及びDNAを含む。核酸は当業界に知らされた通りに相補的な配列間に塩基対を形成する特徴を有しているため、特定塩基配列を持つ核酸は、上記塩基配列に相補的な塩基配列を持つ核酸を利用して検出することができる。上記酵素、リガンド、抗原、受容体をコードする核酸と相補的な塩基配列を持つ核酸を、本発明に係るナノ複合体の活性成分として用いられる。
【0068】
また、核酸は、5’−及び3’−末端に−NH2、−SH、−COOHなどの官能基があるので、活性成分結合領域の官能基と結合するのに有用に利用できる。
【0069】
このような核酸は、当業界に公知された標準方法により、例えば、自動DNA合成装置(例、バイオサーチ、アプライドバイオシステムズなどから購入できる)を使用して合成することができる。例として、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドは文献(Stein et al. Nucl. Acids Res. 1988, vol.16, p.3209)に記述された方法で合成することができる。メチルホスホネートオリゴヌクレオチドは調節されたガラス重合体担体を使用して製造することができる(Sarin et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 1988, vol.85, p.7448)。
【0070】
一方、本発明に係る磁性ナノ複合体の上記疎水性領域(P1)は、その構造内の一部分、好ましくは末端に一つ以上の疎水活性成分結合領域(R1)を有することが好ましい。上記疎水活性成分結合領域(R1)または疎水性領域(P1)に疎水活性成分を結合するか、封入できる。
【0071】
上記疎水活性成分は、生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択されることが好ましい。例えば、疎水活性成分の薬物を結合又は封入し、同時に親水活性成分結合領域(R2)に組織特異的結合成分を結合する場合、本発明に係る磁性ナノ複合体は癌診断及び治療を同時に遂行できる薬物伝達体として用いられる。
【0072】
上記疎水性領域(P1)の疎水活性成分結合領域(R1)は、結合される疎水活性成分の種類によって任意に変化され得、代表的に、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び−アルキル基よりなる群から選択された一つ以上の官能基を含むことが好ましいが、これに制限されない。
【0073】
上記疎水活性成分は、薬剤学的活性成分であれば特に制限されないが、抗癌剤、抗生剤、ホルモン、ホルモン拮抗剤、インターロイキン、インターフェロン、成長因子、腫瘍壊死因子、エンドトキシン、リンホトキシン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、プロテアーゼ阻害剤、アルキルホスホコリン、放射線同位元素で標識された成分、界面活性剤、心血管系薬物、胃腸管系薬物及び神経系薬物よりなる群から選択された一つ以上が好ましい。
【0074】
一方、上記疎水性領域に存在する疎水活性成分、特に抗癌剤は物理的封入、化学的封入、またはこの二つの組み合わせも可能である。エマルジョン方法とサスペンション方法によって磁性ナノ複合体が製造される中に、両親媒性高分子の疎水活性成分と抗癌剤の物理的な結合を介して薬物の封入が達成され得る。また、磁性ナノ複合体を構成する両親媒性高分子の疎水活性成分結合領域と化学的結合が可能な抗癌剤の場合、適当な架橋剤を用いて両親媒性高分子の疎水活性成分結合領域と抗癌剤の結合が可能になり、磁性ナノ複合体に薬物の封入が達成され得る。
【0075】
本発明に係る治療方法で利用できる抗癌剤には、これに制限されないが、エピルビシン、ドセタキセル、ゲムシタビン、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、タクソール、プロカルバジン、シクロホスファミド、ジアクチノマイシン、ダウノルビシン、エトポシド、タモキシフェン、ドキソルビシン、マイトマイシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、トランスプラチナ(transplatinum)、ビンブラスチン(vinblastin)及びメトトレキサート(methotrexate)などがある。
【0076】
本発明に係る磁性ナノ複合体において、両親媒性化合物は、疎水性領域−親水性領域、または親水性領域−疎水性領域−親水性領域からなることが好ましい。また、親水性及び疎水性領域に、それぞれの活性成分結合領域が含まれる場合、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−親水性領域−親水活性成分結合領域、または親水活性成分結合領域−親水性領域−疎水性領域(−疎水活性成分結合領域)−親水性領域−親水活性成分結合領域からなっていてもよい。特に、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−NH2−親水性領域−親水活性成分結合領域のように上記親水性領域と疎水性領域に−NH2−のような官能基があることが好ましい。上記親水性領域と疎水性領域に存在する−NH2−基は、両親媒性化合物が磁性ナノ粒子の表面に付加される場合、より安定な構造を有することができる。
【0077】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体において、両親媒性化合物の最も好ましい例は、カルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリド共重合体または両末端がカルボキシル基で置換されたポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)共重合体である。
【0078】
また、本発明は、A)ナノ粒子を溶媒で合成する工程;及び B)疎水性領域と親水性領域を有する両親媒性化合物を上記ナノ粒子表面に付加して両親媒性化合物とナノ粒子を結合させる工程;を含む磁性ナノ複合体の製造方法に関するものである。
【0079】
上記本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法は、任意に、C)上記親水性領域に存在する親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程;及び D)疎水性領域に薬剤学的活性成分を結合または封入する工程;を、さらに含むことができる。
【0080】
以下、本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法の各工程をさらに具体的に説明する。
【0081】
上記ナノ粒子を溶媒で合成する工程A)は、ナノ粒子前駆体と表面安定剤を反応させる工程であって、
a)溶媒の存在下に、ナノ粒子前駆体と有機性表面安定剤とを反応させる工程;及び
b)上記反応物を熱分解する工程を含むことが好ましい。
【0082】
上記工程a)は、有機性表面安定剤が含まれた溶媒に、ナノ粒子前駆体を投入してナノ粒子表面に有機性表面安定剤を配位させる工程である。
【0083】
上記工程a)のナノ粒子は、金属、磁性物質、または磁性合金を使用することが好ましく、有機性表面安定剤はアルキルトリメチルアンモニウムハライド、飽和または不飽和脂肪酸、トリアルキルホスフィンオキシド、アルキルアミン、アルキルチオール、ナトリウムアルキルスルフェート、及びナトリウムアルキルホスフェートよりなる群から選択される。上記金属、磁性物質、磁性合金及び有機性表面安定剤の具体的な種類は前述の通りである。
【0084】
上記工程a)のナノ粒子前駆体は、金属と−CO、−NO、−C5H5、アルコキシドまたはその他の公知のリガンドが結合された金属化合物が挙げられる。具体的に、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)、フェロセン、またはマンガンカルボニル(Mn2(CO)10)などの金属カルボニル系の化合物;または鉄アセチルアセトネート(Fe(acac)3)などの金属アセチルアセトネート系の化合物等の様々な有機金属化合物が挙げられる。また、ナノ粒子前駆体は金属とCl−、またはNO3−などの公知されたアニオンと結合された金属イオンを含む金属塩が挙げられる。具体的に、トリクロロ化鉄(FeCl3)、ジクロロ化鉄(FeCl2)、または硝酸鉄(Fe(NO3)3)などが挙げられる。また、合金ナノ粒子と複合ナノ粒子合成では、前述した2種以上の金属の前駆体の混合物を用いることができる。
【0085】
上記工程a)で使用可能な溶媒は、ナノ粒子表面に有機性表面安定剤が配位錯体化合物の熱分解温度に近接する高沸点を有することが好ましくい。例えば、エーテル系化合物、ヘテロ環化合物、芳香族化合物、スルホキシド化合物、アミド化合物、アルコール、炭化水素及び水で構成される群から選択されるものを使用することができる。
【0086】
具体的に、上記溶媒は、オクチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、またはデシルエーテルのようなエーテル系化合物;ピリジン、またはテトラヒドロフラン(THF)のようなヘテロ環化合物;トルエン、キシレン、メシチレン、またはベンゼンなどの芳香族化合物;ジメチルスルホキシド(DMSO)のようなスルホキシド化合物;ジメチルホルムアミド(DMF)のようなアミド化合物;オクチルアルコール、またはデカノールのようなアルコール;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、またはヘキサデカンのような炭化水素、または水が用いられる。
【0087】
上記工程a)の反応条件は特に制限されなく、金属前駆体及び表面安定剤の種類によって適宜に調節することができる。反応は、室温またはその以下の温度でも発生される。通例的には、約30〜200℃の範囲で加熱及び保持することが好ましい。
【0088】
上記工程b)は、ナノ粒子表面に有機性表面安定剤が配位錯体化合物を熱分解してナノ粒子を成長させる工程である。この時、反応条件によって均一なサイズ及び形状の金属ナノ粒子を形成することができ、熱分解温度も金属前駆体及び表面安定剤の種類によって適宜に調節することができる。好ましくは、約50〜500℃で反応させることが好適である。上記工程b)で製造されたナノ粒子は公知の手段を通じて分離及び精製することができる。
【0089】
本発明に係る磁性ナノ複合体の製造方法において、工程B)は、疎水性領域と親水性領域とを有する両親媒性化合物を上記ナノ粒子表面に付加して両親媒性化合物とナノ粒子を結合する工程である。
【0090】
上記磁性ナノ粒子の表面に両親媒性化合物を付加する方法は、前述するように、エマルジョンによる方法とサスペンションによる方法とに区分され、これに関する模式図を図2に示した。
【0091】
さらに具体的に、上記付加工程B)は、
a)ナノ粒子を有機溶媒に溶解して、油相を製造する工程;
b)両親媒性化合物を水性溶媒に溶解して、水相を製造する工程;
c)上記油相と水相とを混合して、エマルジョンを形成する工程;及び
d)上記エマルジョンから油相を分離する工程;を含むことが好ましく、上記工程a)〜d)を含む方法によって、本発明に係るエマルジョン型磁性ナノ複合体を製造することができる。
【0092】
また、上記付加工程B)は、
e)上記ナノ粒子を両親媒性化合物が溶解された溶液で分散して、懸濁液(サスペンション)を製造する工程;及び
f)上記懸濁液(サスペンション)から溶媒を分離する工程;を含むことが好ましく、上記工程e)及びf)を含む方法によって、本発明に係るサスペンス型磁性ナノ複合体を製造することができる。
【0093】
上記付加工程B)において、上記疎水性領域は、飽和または不飽和脂肪酸、または疎水性高分子が好ましく、上記親水性領域は、生分解性高分子が好ましく、これに対する具体的な種類は前述した通りである。
【0094】
一方、付加工程B)において、両親媒性化合物は、当業界に公知された方法によって製造することができる。例えば、親水性基を構成するジアミンポリエチレングリコール(NH2−PEG−NH2)と疎水性基を構成する生分解性高分子の一種である、ポリラクチド−コ−グリコリドを重合させて製造することができる。
【0095】
また、両親媒性高分子のアミン基で置換された親水活性成分結合領域に、N,N’−ジスクシンイミジルカボネートを用いて、親水活性成分結合領域をスクシンイミジル基で置換が可能である。また、親水性基を構成するカルボキシル/アミンポリエチレングリコール(NH2−PEG−COOH)と疎水性基を構成する生分解性高分子の一種である、ポリラクチド−コ−グリコリドを重合して両親媒性高分子の親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換することができる。また、生分解性両親媒性高分子はラクチドを単量体として用いて開環重合によって製造することができる。ラクチドの重合は、カルボキシル/アミンポリエチレングリコールのアミン基によって開始される。触媒としてはオクタン酸第1スズ(stannous octoate)が用いられる 。重合は窒素大気下で及び100〜180℃の条件で遂行される。この時、初期クロイニシエーターであるカルボキシル/アミンポリエチレングリコールの量と分子量を調節して、共重合体の分子量を調節することができる。
【0096】
また、親水性領域に存在する親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程C)は、
g)架橋剤を用いて親水性領域の一部に親水活性成分結合領域を提供する工程;及び
h)上記親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程;を含むことが好ましい。
【0097】
上記工程g)において、使われる架橋剤は特に制限されないが、1,4−ジイソチオシアナートベンゼン、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,6−ジイソシアナートヘキサン、4−(4−マレイミドフェニル)酪酸N−ヒドロキシスクシニミドエステル、ホスゲン、4−(マレイミド)フェニルイソシアネート、1,6−ヘキサンジアミン、p−ニトロフェニルクロロホルメート、N−ヒドロキシスクシニミド、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’−カルボニルジイミダゾール、3−マレイミド安息香酸N−ヒドロキシスクシニミドエステル、エチレンジアミン、ビス(4−ニトロフェニル)カルボネート、スクシニルクロリド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボイミドヒドロクロリド、N,N’−ジスクシンイミジルカルボネート、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート、及び無水コハク酸よりなる群から選択された一つ以上を含むことが好ましい。上記架橋剤は、親水性領域の一部と反応し、前述した−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−NR4+X−、−スルホネート、−ニトレート、−ホスホネート、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、または−アルキル基のような親水活性成分結合領域を提供する。
【0098】
上記工程h)において、上記親水性活性成分結合領域の官能基は、活性成分、即ち、組織特異的結合成分の種類及びその一般式によって変えることができる。
【0099】
本発明に係るナノ複合体の製造方法において、疎水性領域に薬剤学的活性成分を結合又は封入する工程D)は、薬剤学的活性成分を疎水性領域に物理的に封入する工程及び薬剤学的活性成分を疎水性領域と化学的に結合させる工程とに区分される。
【0100】
上記化学的結合工程は、
i)架橋剤を用いて、疎水性領域の一部に疎水活性成分結合領域を提供する工程;及び
j)上記疎水活性成分結合領域と薬剤学的活性成分を結合させる工程;を含むことが好ましい。
【0101】
上記工程i)で使用可能な架橋剤としては、前述した工程g)の架橋剤を制限することなく用いることができる。上記架橋剤は、疎水性領域の一部と反応して前述した−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、または−アルキル基のような疎水活性成分結合領域を提供する。
【0102】
一方、物理的封入工程は、両親媒性化合物とナノ粒子を結合する上記工程B)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に溶解して封入することができる。より具体的に、エマルジョン型ナノ複合体に、薬剤学的活性成分を封入する場合、前述したナノ粒子を有機溶媒に溶解して、油相を製造する工程a)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に有機溶媒に溶解し、水相と混合してエマルジョンを形成した後、油相を分離すれば、疎水性領域に薬剤学的活性成分を物理的に封入することができる。また、サスペンション型ナノ複合体に薬剤学的活性成分を封入する場合、前述したナノ粒子を両親媒性化合物が溶解された溶液で分散させ、懸濁液(サスペンション)を製造する工程e)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に分散させ、懸濁液(サスペンション)を製造した後、溶媒を分離すれば、疎水性領域に薬剤学的活性成分を物理的に封入することができる。
【0103】
上記工程h)及び工程i)の親水または疎水活性成分結合領域と親水または疎水活性成分の結合は、各活性成分の種類及びその一般式によって変わる。その具体例を下記表4に示した。
【0104】
【表4】
【0105】
上記工程A)、B)、C)及びD)により生成された水溶性ナノ複合体は、当業界に公知された方法を利用して分離することができる。一般的に水溶性ナノ複合体は、沈澱物として生成されるため、遠心分離または濾過を利用して分離することが好ましい。
【0106】
また、 本発明は本発明に係る両親媒性化合物を用いた磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む造影剤組成物;組織特異的結合成分と上記磁性ナノ複合体の結合物及び薬剤学的に許容される担体を含む疾患の診断用組成物;及び組織特異的結合成分及び薬剤学的活性成分と上記磁性ナノ複合体の結合物及び薬剤学的に許容される担体を含む同時診断及び治療用薬剤学的組成物に関するものである。
【0107】
本発明に係る上記組成物に使用される担体は、医薬分野で通常使用される担体及びビヒクルを含む。具体的に、イオン交換、アルミナ、アルミニウムステアレート、レシチン、血清タンパク質(例、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例、種々のリン酸塩、グリシン、ソルビン酸、カリウムソルベート、飽和植物性脂肪酸の部分的なグリセリド混合物)、水、塩または電解質(例、プロタミンスルフェート、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム及び亜鉛塩)、コロイド状シリカ、マグネシウムトリケイ酸塩、ポリビニルピロリドン、セルロース系基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレングリコールまたはラモリンなどを含むが、これに制限されない。また、本発明の組成物は上記成分の以外に潤滑剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、または保存剤などをさらに含んでいてもよい。
【0108】
一形態において、本発明に係る組成物は、非経口投与のための水溶性溶液で製造できる。好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液または物理的に緩衝された食塩水のような緩衝溶液を使用することができる。水溶性注入懸濁液は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランのように懸濁液の粘度を増加させる基質を添加することができる。
【0109】
本発明の組成物の他の好ましい形態は、水性または油性懸濁液の滅菌注射用製剤の形態である。このような懸濁液は好適な分散剤または湿潤剤(例えば、ツイーン80)及び懸濁化剤を使用して、本分野に公知された技術によって製剤化することができる。また滅菌注射用製剤は、無毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌注射溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であってもよい。使用可能なビヒクル及び溶媒は、マンニトール、水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液を含む。また、滅菌非揮発性油が通例的に溶媒または懸濁化媒体として使用される。このような目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含み、刺激性の少ない非揮発性油は、そのいずれも使用できる。
【0110】
また、 本発明は本発明に係る造影剤組成物を、生体または試料に投与する工程;及び 上記生体または試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して、映像を収得する工程;を含む造影剤組成物の利用方法に関するものである。
【0111】
また、 本発明は本発明に係る上記診断用組成物を生体または試料に投与する工程;及び 上記生体または試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して、映像を収得する工程;を含む疾患の診断方法に関するものである。
【0112】
また、 本発明は本発明に係る上記薬剤学的組成物を生体または試料に投与する工程;及び 上記生体または試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して、映像を収得する工程;を含む疾患の同時診断及び治療方法に関するものである。
【0113】
上記で使用された用語“試料”とは、診断しようとする対象から分離した組織または細胞を意味する。また、上記造影剤組成物を生体または試料に注入する工程は、医薬分野から通常的に利用される経路を通じて投与でき、非経口投与が好ましく、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下または局部経路を通じて投与できる。
【0114】
上記利用方法において、磁性ナノ複合体によって発散される信号は、磁場を利用する各種装備によって感知することができ、特に磁気共鳴映像装置(MRI)が好ましい。
【0115】
磁気共鳴映像装置は強力な磁場内に生体を入れ、特定周波数の電波を照射して生体組織にある水素などの原子核がエネルギーを吸収して、エネルギーが高い状態にした後、上記電波を中断し、上記水素などの原子核エネルギーが放出されるようにし、このエネルギーを信号に変換し、コンピュータで処理して映像化する装置である。磁気または電波は脳によって妨害されないので、固い骨周囲または脳や骨髄の腫瘍に対して、縦断、横断、任意の角度で鮮明な立体的な断層像を得ることができる。特に上記磁気共鳴映像装置はT2スピン−スピン緩和磁気共鳴映像装置が好ましい。
【0116】
本発明は磁性ナノ粒子が一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする磁性ナノ複合体と標的物質を結合し、上記磁性ナノ複合体と標的物質の結合物に磁場を加えて、標的物質を分離する方法に関するものである。
【0117】
本発明に係る分離方法において、標的物質の好ましい例は、生体分子を意味している。より具体的に細胞、タンパク質、抗原、ペプチド、DNA、RNA、またはウイルスなどを含むが、これらに制限されない。
【0118】
本発明によって形成された磁性ナノ複合体は生体分子の分離、診断、治療などのナノプローブ(probe)及び薬物または遺伝子伝達体(delivery vehicle)等に用いることができる。
【0119】
磁性ナノ複合体を用いた生体診断の一例は、分子磁気共鳴映像診断または磁性緩和センサーが挙げられる。磁性ナノ複合体は、そのサイズが大きくなるにつれてさらに大きなT2造影効果を示す。このような性質を利用すれば生体分子を検出するセンサーとして使用できる。即ち、特定の生体分子が磁性ナノ複合体の凝集を誘導し、それにより、T2磁気共鳴映像効果が増大する。このような差を利用して生体分子を検出する。
【0120】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は巨大磁気−抵抗バイオセンサー(GMRsensor)の診断物質になりうる。磁性ナノ複合体は、既存のマイクロメートル(10−6m)サイズのビーズ( 米国特許6,452,763B1; 米国特許6,940,277B2; 米国特許6,944,939B2; 米国公開特許第 2003/0133232A1)より優れた磁気的特徴、水溶液でのコロイド安定性、低い非選択性結合を示すので、既存巨大磁気抵抗バイオセンサーの検出限界を大きく改善する可能性を持っている。
【0121】
また、本発明に係る磁性ナノ複合体は、磁性マイクロ流体センサーを用いた分離及び検出、薬物または遺伝子の伝達、磁性高温治療法に用いることができる。
【0122】
一方、本発明に係る磁性ナノ複合体は、他の診断プローブと結合され、二重または多重診断プローブとして用いることができる。例えば、水溶性磁性ナノ複合体にT1磁気共鳴映像診断プローブを結合すれば、T2磁気共鳴映像及びT1磁気共鳴映像診断を同時に遂行することができる。光学診断プローブを結合すれば、磁気共鳴映像と光学イメージングを同時に遂行でき、CT診断プローブを結合すれば、磁気共鳴映像とCT診断を同時に遂行することができる。また、放射線同位元素と結合すれば、磁気共鳴映像とPET、SPECT診断を同時に酢効できる。
【0123】
上記T1磁気共鳴映像診断プローブは、Gd化合物、Mn化合物などを含み、光学診断プローブは有機蛍光染料、量子ドット、あるいは染料標識(dye labelled)無機担体(例、SiO2、Al2O3)を含み、CT診断プローブはI(ヨウ素)化合物、金ナノ粒子を含み、放射線同位元素はIn、Tc、Fなどを含む。
【発明の効果】
【0124】
本発明に係る疎水性領域と親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われている磁性ナノ複合体は、高感度磁気共鳴映像造影剤として使用でき、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断知能型造影剤として使用でき、疎水性領域に薬物を重合または封入すると同時に、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断及び治療のための薬物伝達体として使用することができ、機能性細胞、幹細胞または癌細胞などの表面抗原に対する特異な抗体またはタンパク質を結合して磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用製剤として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0125】
以下、実施例を通して本発明をより具体的に説明する。しかし下記実施例は本発明を例示するためのものであり、いかなる意味にも本発明を制限しない。
【0126】
<製造例1>
飽和脂肪酸を用いる高感度磁性ナノ粒子の製造
6nmのマグネタイト(Fe3O4)は、ベンジルエーテル溶媒でドデカン酸(0.6モル)とドデシルアミン(0.6モル)及び鉄トリアセチルアセトネート(Aldrich)を290℃で、30分間、熱分解化学反応して合成した。12nm酸化鉄ナノ粒子は、ドデカン酸(0.2モル)、ドデシルアミン(0.1モル)、上記6nm酸化鉄ナノ粒子(10mg/mL)及び鉄トリアセチルアセトネートを含むベンジルエーテル溶液を、290℃で、30分間加熱して製造した。マンガンフェライト(MnFe2O4)は、上記反応にマンガンIIセチルアセトネートを添加して製造した。製造されたマグネタイト及びマンガンフェライトの透過電子顕微鏡写真をそれぞれ図4の (a)及び(b)に示した。上記マグネタイト及びマンガンフェライトの磁気的特性はVSMを用いて測定しており、これをそれぞれ点線及び実線で表示して図4の (c)に示した。
【0127】
<製造例2>
不飽和脂肪酸を用いる高感度磁性ナノ粒子の製造
6nmのマグネタイト(Fe3O4)は、ベンジルエーテル溶媒でオレイン酸(0.6モル)とオレイルアミン(0.6モル)及び鉄トリアセチルアセトネート(Aldrich)を290℃で、30分間熱分解化学反応して合成した。12nm酸化鉄ナノ粒子は、オレイン酸(0.2モル)、オレイルアミン(0.1モル)、上記6nm酸化鉄ナノ粒子(10mg/mL)及び鉄トリアセチルアセトネートを含むベンジルエーテル溶液を290℃で、30分間加熱して製造した。マンガンフェライト(MnFe2O4)は、上記反応にマンガンIIアセチルアセトネートを添加して製造した。製造されたマグネタイト及びマンガンフェライトの透過電子顕微鏡写真を、それぞれ図5の(a)及び(b)に示した。上記マグネタイト及びマンガンフェライトの磁気的特性はVSMを用いて測定しており、これをそれぞれ点線及び実線で表示して図5の(c)に示した。
【0128】
<製造例3>
生分解性両親媒性高分子モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドの重合
2gのモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG、分子量5000)を減圧下で水分を除去した。触媒として、2.0mgのオクタン酸第1スズを水分が除去されたトルエンに加えた後、100℃で20〜30分間減圧し、反応物に1.15gのD,L−ラクチドと0.93gのグリコリドを加えて、140℃で12時間重合した。生成されたブロック共重合体を、5mLのクロロホルムを加えて溶かした後、過量のジエチルエーテルに少量ずつ滴下し、生成された沈澱物を濾過して、ジエチルエーテルで洗浄した後、50℃で、一日間、減圧、乾燥してモノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドのブロック共重合体を得た(収率72.5%、損失量含む)。
【0129】
上記の方法と同様にして、下記表5に示された各成分を用いて、様々な二重ブロック共重合体を製造した。製造された二重ブロック共重合体等の製造量及び収率は以下の通りである。
【0130】
【表5】
【0131】
製造されたブロック共重合体は、3.6ppm近くでポリエチレングリコールのピークを、4.9ppmと1.6ppm近くでポリラクチド−コ−グリコリドのピークを水素核磁気共鳴(1H−NMR)で確認した。また、製造されたブロック共重合体のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)による相対分子量及び分子量分布を下記表6に示した。
【0132】
【表6】
【0133】
<製造例4>
脂肪酸両親媒性化合物モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸の重合
脂肪酸両親媒性化合物モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸の重合過程を図6に示した。5gの平均分子量が5,000のモノメトキシポリエチレングリコール(MPEG)と0.6gのドデカン酸(DA)を、メチレンクロリド(塩化メチレン)に溶解した後、0.91gの1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドと0.37グラムの4−ジメチルアミノピリジンを添加して、反応を遂行した。24時間後、生成された副産物は濾過して除去し、冷たい過量のジエチルエーテルを添加した。生成された沈澱物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥してモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸(MPEG−DA)の両親媒性高分子を製造した(収率92.5%)。赤外線分光法(FT−IR)と水素核磁気共鳴(1H−NMR)によって重合体の構造を確認した。これを、それぞれ図7及び8に示した。図7で、(a)はモノメトキシポリエチレングリコール、(b)はドデカン酸、(c)はモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸、そして(d)はモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸を用いた水溶性磁性ナノ複合体の分光スペクトルを示す。図7に示されるように、赤外線分光法でドデカン酸のカルボン酸(−COOH)のピークは1695cm−1で確認された。ドデカン酸とポリエチレングリコールの結合部位であるエステル結合のピークは1734cm−1で確認された。また、図8に示されるように、水素核磁気共鳴(1H−NMR)を用いて、3.62ppmでモノメトキシポリエチレングリコールの−CH2CH2O−ピークを確認し、1.27ppmでドデカン酸のピークを確認した。
【0134】
<製造例5>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成
A.高分子の活性成分を結合して親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成
高分子の活性成分を結合して親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成過程を図9に示した。0.05モルのポリラクチド−コ−グリコリドと0.2モルのN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)と1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をメチレンクロリドに溶解した後、常温で窒素大気下に24時間反応した。反応物はフィルタに通して濾過し、冷たいジエチルエーテルに落とし、沈澱した。この沈澱物はジエチルエーテルで数回洗浄後、真空状態で保管した。
【0135】
上記方法で活性化された高分子を0.01モル採り、8mLのメチレンクロリドに溶解した後、両端末端官能基がアミン基とカルボキシル基で置換されたポリエチレングリコール0.01モルを採り、2mLのメチレンクロリドに溶解して、少しずつ落としながら反応した。反応は常温で、窒素大気下に12時間、行った。反応物は前述の方法を介して洗浄、保管した。合成された高分子の構造は、水素核磁気共鳴(1H−NMR)と赤外線分光(FT−IR)で分析しており、これを図10及び11に示した。
【0136】
B.親水性高分子の活性成分を介した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合
親水性高分子の活性成分を介した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合過程を図12に示した。0.2gの両端末端官能基がアミン基とカルボキシル基で置換されたポリエチレングリコール(分子量3400)を減圧下で水分を除去した。触媒として20mgのオクタン酸第1スズを、水分が除去されたトルエンに加えた後、100℃で20〜30分間、減圧し、反応物に0.119gのD,L−ラクチドを加えて、140℃で12時間重合した。生成されたブロック共重合体を、5mLのクロロホルムを加えて溶かした後、過量のジエチルエーテルに少量ずつ落として生成された沈澱物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、50℃で一日間、減圧乾燥してカルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチドのブロック共重合体を得た(収率87.2%)。
【0137】
<製造例6>
商用界面活性剤の親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された両親媒性高分子の合成
プルロニック(Pluronic)系の非イオン性商用界面活性剤は、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PEO−PPO−PEO、親水性−疎水性−親水性)の形態を有する。この界面活性剤の末端ヒドロキシル基(−OH)を抗体などのリガンドを結合しうるカルボキシル基で置換した。30gのプルロニックF−127とカルボキシル基置換基で476.5mgの無水コハク酸、触媒として290.9mgの4−ダイメチルアミノピリジン、331.9μLのトリエチルアミンを溶媒である500mLの1,4−ジオキサンに溶解させ、24時間常温で、反応を遂行した。反応後、凍結乾燥して溶媒を除去し、四塩化炭素を加えた後、フィルタを介して濾過し、反応していない無水コハク酸などを除去した。残りの不純物を除去するために、濾過した反応物を冷たいジエチルエーテルに落とし、沈澱させた。この沈澱物をジエチルエーテルで数回洗浄後、保管した。親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたプルロニックF−127は、赤外線分光法及び核磁気共鳴(1H−NMR)分析を介して確認しており、これをそれぞれ図13及び14に示した。図13で、(a)は親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたプルロニックF−127、(b)はプルロニックF−127及び(c)無水コハク酸のピークを示す。一方、図14で、(a)は本発明の他の製造例に係る親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換される前のプルロニックF−127の核磁気共鳴(1H−NMR)の結果であり、(b)はカルボキシル基で置換されたF−127の核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を示したグラフである。
【0138】
<製造例7>
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換された生分解性両親媒性高分子の合成は図15Aに示した過程を介して行われる。0.05モルのポリラクチド−コ−グリコリド、0.4モルのN−ヒドロキシスクシニミド(NHS)及び1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミドをメチレンクロリドに溶解させた後、常温で、窒素大気下で、24時間反応した。反応物はフィルタを介して濾過した後、冷たいジエチルエーテルに落とし沈澱させた。この沈澱物はジエチルエーテルで数回洗浄後、真空状態で保管した。上記方法で活性化された高分子0.01モルを採り、8mLのメチレンクロリドに溶解させた後、両端末端官能基がアミン基で置換されたポリエチレングリコール(分子量3,400)0.05モルを採り、2mLのメチレンクロリドに溶解し、少しずつ落としながら反応させた。反応は常温で、窒素大気下に12時間行った。反応物は前述した方法を介して洗浄、保管した。そして、生分解性両親媒性高分子のアミン基で置換された親水性末端官能基を抗体のアミン基と結合が可能なスクシンイミジル基に変換するためにN,N’−ジスクシンイミジルカボネートを使用した。0.01モルの N,N’−ジスクシンイミジルカボネートを採り、4mLのメチレンクロリドに溶解させた後、0.05モルの親水性部分がアミン基で置換された両親媒性高分子を1mLのメチレンクロリドに溶解して、少しずつ落としながら反応させた。反応は、窒素大気下で4時間行った。ゲル濾過(SephadexG−25)と過程を介して高分子と結合しない N,N’−ジスクシンイミジルカボネートを除去した。
【0139】
<製造例8>
磁性ナノ複合体に薬物を封入するための両親媒性高分子の製造
両親媒性高分子の疎水活性結合領域に抗癌剤の結合は、図15の (b)に示した過程を介して行った。製造例5.Bで製造した親水活性成分結合領域が、カルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子とp−ニトロフェニルクロロホルメート(p-Nitrophenyl chloroformate)を水分が除去されたメチレンクロリドに溶解し、0℃で、ピリジンを加えて、常温で、窒素大気下に3時間反応し、活性化された両親媒性高分子と抗癌剤との結合のために、ドキソルビシン(DOX)が溶解されているジメチルホルムアルデヒドにトリエチルアミンを加えて、常温で、窒素大気下に3時間、反応を行った。反応しないDOXとその他の物質は数回の分離によって除去した。
【0140】
<実施例1>
生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例3で製造した100mgの両親媒性生分解性高分子(モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリド)を20mLの水相の超純水に溶解させ、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を油相の5mLのクロロホルムに溶解させた。上記水相と油相を混合した後、この混合物を300Wの超音波で10分間飽和させた。上記エマルジョンを12時間撹拌し、油相を蒸発し、遠心分離とゲル濾過カラム(Sephacryl S−300)を介して不純物が除去されたエマルジョン型磁性ナノ複合体を製造した。上記生分解性両親媒性高分子モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドを用いるエマルジョン型磁性ナノ複合体の模式図を図3の(a)に示した。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これをそれぞれ図16の(a)及び(b)に示した。
【0141】
<実施例2>
生分解性両親媒性高分子を用いたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子を、製造例3で製造した50mgの両親媒性生分解性高分子モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドが溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱して溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を、30℃で、6時間加熱/撹拌し、懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。上記生分解性両親媒性高分子のモノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドを用いるサスペンション型磁性ナノ複合体の模式図を図3の(b)に示した。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これをそれぞれ図17の(a)及び(b)に示した。
【0142】
<実施例3>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例4で製造した600mgの脂肪酸両親媒性重合体モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸を、20mLの水相の超純水に溶解させ、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を、油相の5mLのクロロホルムに溶解させた。上記水相と油相を混合した後、この混合物を300Wの超音波で10分間飽和させた。上記エマルジョンを6時間撹拌し、油相を蒸発し、遠心分離とゲル濾過カラム(Sephacryl S−300)を介して不純物が除去された高感度磁気共鳴映像用ナノ複合体を製造した。上記脂肪酸両親媒性高分子のモノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸を用いるエマルジョン型磁性ナノ複合体の模式図を図3cに示した。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これをそれぞれ、図18の(a)及び(b)に示した。磁気的特性は振動試料磁力計によって超常磁性であることを確認しており、これを図19に示した。実線は磁性ナノ粒子、点線は脂肪酸両親媒性化合物を用いるエマルジョン型磁性ナノ複合体のヒステリシスループを示す。また、赤外線分光法を介して両親媒性重合体モノメトキシポリエチレングリコール−ドデカン酸と磁性ナノ粒子の存在可否を確認し、これを図7の(d)に示した。
【0143】
<実施例4>
生分解性両親媒性高分子を用いた親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例5.Aで製造した100mgの両親媒性生分解性高分子を、水相の20mLの超純水に溶解し、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子のマグネタイト及びマンガンフェライトをドキソルビシン2mgと共に、油相の5mLのクロロホルムに溶解させた。上記水相と油相を混合した後、この混合物を300Wの超音波で10分間飽和させた。上記エマルジョンを12時間の撹拌し、油相を蒸発し、遠心分離とゲル濾過カラム(Sephacryl S−300)を介して不純物が除去された磁性ナノ複合体を製造した。上記抗癌剤が封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型水相磁性ナノ複合体の模式図を図3の(d)に示した。製造された粒子は動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認し、これを図20に図示した。図20において、(a)はマグネタイト(Fe3O4)が封入されたエマルジョン型磁性ナノ複合体、(b)はマンガンフェライト(MnFe3O4)が封入されたエマルジョン型磁性ナノ複合体、(c)は磁性ナノ複合体の粒径分布度である。また、封入された磁性ナノ粒子の重量比は、熱重量分析方法によって分析し、その結果を図21に示した。磁気的特性はVSMを利用して測定し、これを図22に示した。
【0144】
<実施例5>
生分解性両親媒性高分子を用いた親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子を、製造例5.Bで製造した50mgの両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱し、溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を、30℃で、6時間加熱/撹拌し、懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去した後、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。上記親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体の模式図を図3の(e)に示した。製造された粒子は動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認しており、これを図23の(a)及び(b)に示した。封入された磁性ナノ粒子の重量比は熱重量分析方法によって分析し、その結果を図24に示した。
【0145】
<実施例6>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
上記製造例6で製造した1gの両親媒性高分子重合体を、40mLの水相の超純水に溶解し、上記製造例1で製造した30mgの磁性ナノ粒子を油相の5mLのヘキサンに溶解した。上記水相と油相を混合させた後、この混合物を190Wの超音波を加えながら、10分間撹拌した。その後、超音波除去状態で30分間撹拌し、さらに10分間、600W超音波を加えて飽和させた。このエマルジョンは、24時間の撹拌を介して油相を蒸発させて高感度磁気共鳴映像用ナノ複合体を製造した。上記親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の模式図を図3の(f)に示した。製造された粒子は動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認しており、これを図25に示した。製造された磁性ナノ複合体は赤外線分光法を介して両親媒性重合体プルロニックF−127と磁性ナノ粒子の存在可否を確認しており、これを図26に示した。
【0146】
<実施例7>
新規な腫瘍特異的知能型磁気共鳴映像用造影剤の製作
上記実施例6で製造した磁性ナノ複合体を用いて、次ぎのような方法によって腫瘍特異的知能型磁気共鳴映像用造影剤を製作した。実施例6で製造した磁性ナノ複合体、治療用抗体であるハーセプチン[ナノ複合体とハーセプチンモル比100:1]、架橋剤であるNHS(N−ヒドロキシスクシンイミド)及びEDC(N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド(NHS及びEDCモル比1:2)を、2mLのPBSバッファーに混合させた後、約6時間反応させた。反応後、不純物はゲル濾過カラムで除去した。
【0147】
<実施例8>
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が封入され、親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型水相磁性ナノ複合体(図3の(g))の製造のために、油相としてクロロホルムを用いて、ドキソルビシン(DOX)2mgを溶解し、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を分散させた。水相として上記製造例7で製造した100mgの両親媒性生分解性高分子が溶解されている20mLの超純水を使用した。上記2つ相を混合して飽和させた後、この混合物を超音波で10分間乳化させた。このエマルジョンを12時間撹拌し、油相を蒸発し、数回の遠心分離とSephacryl S−300カラムを介して純度の高い水相磁性ナノ複合体を得た。
【0148】
<実施例9>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
A.抗癌剤が物理的にだけ封入されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が物理的にだけ封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体(図3の(h))の製造のために、上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子と2mgのDOXを、製造例5.Bで製造した50mgの両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱し、溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を30℃で、6時間加熱/撹拌し、懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。
【0149】
B.抗癌剤が化学的にだけ封入されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が化学的にだけ封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体(図3の(h))の製造のために、上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子を、製造例8で製造した50mgの抗癌剤が結合された両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱して溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を30℃で、6時間加熱/撹拌して懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。
【0150】
C.抗癌剤が物理的な方法と化学的な方法で封入されたサスペンション型磁性ナノ複合体の製造
抗癌剤が物理的な方法と化学的な方法で封入され、親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水相磁性ナノ複合体(図3の(h))の製造のために、上記製造例1で製造した3mgの磁性ナノ粒子と2mgのDOXを、製造例5.Bで製造した25mgの両親媒性生分解性高分子と製造例8で製造した25mgの抗癌剤が結合された両親媒性生分解性高分子が溶解されているクロロホルムに分散させた。分散液を撹拌しながら、40℃に加熱して溶媒を蒸発させ、0.5mLのリン酸緩衝溶液(PBS)溶液に再分散させた。上記溶液を30℃で、6時間加熱/撹拌して懸濁液を完成した。遠心分離を介して磁性粒子を含まないミセルを除去し、0.5mLのPBS溶液に再分散させた。製造された粒子は、動的レーザー光散乱法と透過電子顕微鏡を用いて確認しており、これを図27の(a)及び(b)に示した。封入された磁性ナノ粒子の重量比は熱重量分析方法によって分析し、その結果を図28に示した。
【0151】
<実施例10>
癌の同時診断と治療のためのハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
A.スクシンイミジル基-磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン-磁性ナノ複合体の製造
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は、上記実施例8で製造した3mgの水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.1mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを介して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。
【0152】
B.カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
【0153】
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は、上記実施例4で製造した親水性高分子の末端官能基がカルボキシル基で置換された磁性ナノ複合体を0.5mLのPBS溶液に分散させた。この水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.5mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを介して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。抗体と結合された磁性ナノ複合体の細胞選択性を確認するために、標的細胞と反応しない免疫グロブリン(IgG)を上記方法で磁性ナノ複合体と結合して、IgG−磁性ナノ複合体を製造した。
【0154】
C.カルボキシル基-磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は上記実施例9.Cで製造した親水性高分子の末端官能基がカルボキシル基で置換された磁性ナノ複合体を0.5mLのPBS溶液に分散させた。この水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.5mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを通して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。抗体と結合された磁性ナノ複合体の細胞選択性を確認するために、標的細胞と反応しない免疫グロブリン(IgG)を上記方法で磁性ナノ複合体と結合して、IgG−磁性ナノ複合体を製造した。
【0155】
<実施例11>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の製造
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型水相磁性ナノ複合体の製造のために、油相としてクロロホルムが用いられ、上記製造例3で製造した100mgの両親媒性生分解性高分子を溶解させ、製造例1で製造した20mgの磁性ナノ粒子を分散させた。磁性ナノ複合体に蛍光性を与えるために、2mgのナイルレッドを油相に追加した。水相として20mLの超純水が使われた。上記2つ相を混合して飽和させた後、この混合物を超音波で10分間乳化させた。上記エマルジョンを12時間撹拌し、油相を蒸発させ、数回の遠心分離とSephacryl S−300カラムを通して純度高い水相磁性ナノ複合体を得た。製造された粒子は透過電子顕微鏡と動的レーザー光散乱法を用いて確認しており、これを図29に示した。封入された磁性ナノ粒子の重量比は熱重量分析方法によって分析し、磁気的特性はVSMを利用して測定しており、その結果を図30に示した。
【0156】
<実施例12>
磁場で細胞の分離のためのハーセプチン−磁性ナノ複合体の製造
ハーセプチン−磁性ナノ複合体は、上記実施例11で製造した親水性高分子の末端官能基がカルボキシル基で置換された磁性ナノ複合体を0.5mLのPBS溶液に分散させた。上記水相磁性ナノ複合体をpH7.4のリン酸緩衝溶液に分散させた後、ハーセプチン0.5mgを添加し、常温で4時間反応させた。反応が終わった後、Sephacryl S−300カラムを通して反応しないハーセプチンと水相磁性ナノ複合体を除去して、ハーセプチン−磁性ナノ複合体を製造した。上記抗体が付着された磁性ナノ複合体は外部磁場(Nd−B−Fe磁石、0.35T)に敏感に整列することを図31で確認した。抗体と結合された磁性ナノ複合体の細胞選択性を確認するために、標的細胞と反応しない免疫グロブリン(IgG)を上記方法で磁性ナノ複合体と結合して、IgG−磁性ナノ複合体を製造した。
【0157】
<試験例1>
生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の安定性実験
上記製造例1で製造された有機磁性ナノ粒子を、ヘキサンに溶解した後、水を付加する一方、実施例1で製造された生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体を水に溶解した後、ヘキサンを付加して溶解度変化を分析し、これを図32に示した。図32に示されるように、表面に脂肪酸表面安定剤を有する有機性ナノ粒子(図32の(a))が水溶性ナノ複合体(図32の(b))に転換されたことが確認できた。また、肉眼で観察した時、沈澱または凝集が生じなかったので、上記水溶性酸化鉄ナノ粒子が水溶液でよく分散されることが分かった。
【0158】
<試験例2>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたサスペンション型磁性ナノ複合体の安定性実験
上記製造例1で製造された有機磁性ナノ粒子をヘキサンに溶解した後、水を付加する一方、実施例3で製造された生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体を水に溶解した後、ヘキサンを付加して溶解度変化を分析した。これを図33に示した。図33に示されるように、表面に脂肪酸表面安定剤を有する有機性ナノ粒子(図33の(a)の左側)が水溶性ナノ複合体(図33の(a)の右側)に転換されたことが確認できた。外部磁場(Nd−B−Fe磁石、0.35T)を加えた時、敏感に反応することが確認できた(図33の(b))。また、肉眼で観察した時、沈澱または凝集が発生されなかったので、上記水溶性酸化鉄ナノ粒子が、水溶液でよく分散されることが分かった。
【0159】
実施例3で製造されたナノ複合体の塩(NaCl)濃度とpHによる安定性試験を行った。これを図34に示した。図34の(a)はナノ複合体の0.0〜1.0Mの濃度によるナノ複合体のサイズ変化グラフであり、濃度によるナノ複合体のサイズ変化がほとんどないことが確認された。そして、図34の(b)はナノ複合体のpH5〜pH10の変化によるナノ複合体のサイズ変化グラフであり、pHによるナノ複合体のサイズ変化もほとんどないことが確認された。
【0160】
<試験例3>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の安定性実験
実施例6で製造したナノ複合体のpHによる分散安定性実験を行った結果を図35に示した。図35に示されるように、上記ナノ複合体はpH4〜13の範囲で粒子の凝集が確認されなく、粒径変化もほとんどないことが確認できた。また、塩(NaCl)の濃度による安定性試験を行った。これを図36に示した。図36に示されるように、0.005Mの濃度から1.0Mの濃度による粒子の凝集は確認されなく、粒径変化もほとんどないことが確認できた。
【0161】
<試験例4>
生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例1で製造された水溶性磁性ナノ複合体を0.1、0.05、0.025及び0.125μg/μLの濃度で滴定し、PCRチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを用いており、micro−47コイルを用いた。FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して、冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間6分。図37に示されるように、上記水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0162】
<試験例5>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例3で製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。図38に示されるように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0163】
<試験例6>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたエマルジョン型水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例4で製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。図39に示されるように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0164】
<実験例7>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
実施例6で製造した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体が、十分な磁気共鳴映像造影効果を示すのか否かを確認するために、上記水溶性磁性ナノ複合体を1.0、2.0、5.0、10.0、20.0、40.0及び80.0μg/mLの濃度に滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。図40及び41に示されたように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。これは生分解性高分子を利用して製造した水溶性磁性ナノ複合体がナノ造影剤への使用が可能であるということを表す。
【0165】
<試験例8>
磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
A.親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性確認
親水活性成分結合領域がスクシンイミジル基で置換されたエマルジョン型水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例8で製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは次ぎのとおりであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。図42に示されたように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0166】
B.親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型磁性ナノ複合体の造影剤としての可能性の確認
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換されたサスペンション型水溶性磁性ナノ複合体の磁気共鳴映像造影効果を確認するために、上記実施例9.Cで製造された水溶性磁性ナノ複合体を滴定し、マイクロチューブに注入した。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。図43に示されたように、水溶性磁性ナノ複合体の濃度が高くなるほど磁気共鳴映像信号が増幅されることを確認できた。
【0167】
<実験例9>
新規な腫瘍特異的磁気共鳴映像用造影剤の細胞結合度及び造影効果の確認
実施例7で製造した不純物が除去された新規知能型磁気共鳴映像用造影剤は、治療用抗体、ハーセプチンと抗原−抗体特異的結合に対して陽性であるNIH3T6.7細胞と陰性であるMDAMB231細胞との結合度の確認を通して知能型造影剤としての可能性を確認した。蛍光染色試薬FITC(Fluorescein isothiocyanate)が付着された第2次抗体を付着し、蛍光活性化セルソーター(Fluorescence Affinity Cell Sorter)を通して分析したし、これを図44に示した。図44において、(a)は本発明に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応しない細胞の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を表し、(b)は知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した抗体陰性細胞(MDAMB231)の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を表し、(c)は知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した抗体陽性細胞(NIH3T6.7)の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を表す。図12に示されるように、陽性であるNIH3T6.7細胞が陰性のMDAMB231細胞に比べて、高い蛍光強度を表し散ることが分かる。これは製造された造影剤が特定腫瘍に特異的結合が可能な知能型造影剤への使用が可能であることを意味する。また抗体に対して陽性のNIH3T6.7細胞の場合、磁気共鳴映像を通してその造影効果があることを確認した、これを図45に示した。
【0168】
<試験例10>
フローサイトメトリー分析を介した腫瘍特異性磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
A.フローサイトメトリー分析を介したスクシンイミジル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞選択性確認
上記実施例10.Aで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の乳癌標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACSを利用した。それぞれの細胞株に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用しており、その結果を図46に示した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体及び対照群ナノ複合体粒子を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株(MDA−MB−231細胞株<<NIH3T6.7細胞株)に処理した後、上記同様にFITC重合二次抗体と反応させ、HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。HER2/neu受容体発現程度が低いMDA−MB−231細胞株の場合は、対照群のナノ複合体を使用した場合より蛍光発現強度が若干増加することを示しており、受容体発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も徐々に増加することを確認することができた。
【0169】
B.フローサイトメトリー分析を介したエマルジョン型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
上記実施例10.Bで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の乳癌標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACSを利用した。それぞれの細胞株に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体及び対照群ナノ複合体粒子を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株(MDA−MB−231、NIH3T6.7細胞株)に処理した後、上記同様にFITC重合二次抗体と反応させ、蛍光発現可否を、FACSを利用して確認し、その結果を図47に示した。HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。
【0170】
C.フローサイトメトリー分析を介したサスペンション型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
上記実施例10.Cで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の乳癌標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACSを利用した。それぞれの細胞株に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体及び対照群ナノ複合体粒子を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株に処理した後、上記同様にFITC重合二次抗体と反応させて蛍光発現可否をFACSを利用して確認し、その結果を図48に示した。HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。
【0171】
<試験例11>
磁気共鳴映像を介した腫瘍特異性磁性ナノ複合体の細胞選択性の確認
A.磁気共鳴映像を解したエマルジョン型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン-磁性ナノ複合体の癌細胞選択性確認
磁気共鳴映像を利用して、上記実施例10.Bで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の抗原特異性を分析するために、それぞれの細胞をPCR用チューブに移した後、遠心分離して細胞を沈殿させた。各細胞株の抗原特異性による磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得て、これを図49に示した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。
【0172】
図49の結果は、図47に示された蛍光発現結果と一致しており、HER2/neu受容体発現程度が徐々に増加することに伴って磁気共鳴映像信号が徐々に灰色から黒色に変わっていくことを確認した。発現程度の低い細胞株の場合、対照群ナノ複合体を使用した場合より若干暗い色に変わることを確認することができ、受容体発現程度が増加することに伴って徐々に黒色に変わっていくことを確認することができた。これは、ハーセプチン−磁性ナノ複合体がHER2/neu受容体を発現する細胞株に選択的に結合することによって、磁気共鳴映像信号が次第に黒色に現われるもので、本発明のハーセプチン−磁性ナノ複合体が生体外乳癌診断に用いることができることを確認することができた。
【0173】
B.磁気共鳴映像を介したサスペンション型カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン-磁性ナノ複合体の癌細胞選択性の確認
磁気共鳴映像を利用して上記実施例10.Cで製造されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の抗原特異性を分析するために、それぞれの細胞をPCR用チューブに移した後、遠心分離して細胞を沈殿した。各細胞株の抗原特異性による磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得て、これを図50に示した。具体的なパラメーターは以下の通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。抗原特異性に対する磁気共鳴映像造影効果の定量的評価のために、T2マッピングを遂行した。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156μm、薄板膜厚0.6mm、TR=4000ms、TE=20、40、60、80、100、120、140、160ms、映像励起回数 2、映像獲得時間 4分。
【0174】
図50の結果は、図48に示された蛍光発現結果と一致しており、HER2/neu受容体発現程度が次第に増加することに伴って、磁気共鳴映像信号が次第に灰色から黒色に変わっていくことを確認した。発現程度の低い細胞株の場合、対照群ナノ複合体を使用した場合より若干暗い色に変わっていくことを確認することができ、受容体発現程度の増加に伴って、黒色に変わっていくことを確認することができた。これは、ハーセプチン−磁性ナノ複合体がHER2/neu受容体を発現する細胞株に選択的に結合することによって、磁気共鳴映像信号が次第に黒色に現われるもので、本発明のハーセプチン−磁性ナノ複合体が生体外乳癌診断に用いることが確認することができた。
【0175】
<試験例12>
磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
A.スクシンイミジル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
上記実施例10.Aで製造された抗癌剤が封入された水相磁性ナノ複合体に対する薬物放出実験はUVを用いた滴定曲線を作成した後、一定の時間の間隔で試料を抽出し、濃度を測定して行った。その結果を図51に示した。
【0176】
B.カルボキシル基−磁性ナノ複合体を用いたハーセプチン−磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
上記実施例10.Bで製造された抗癌剤が封入された水相磁性ナノ複合体に対する薬物放出実験はUVを用いた滴定曲線を作成した後、一定の時間の間隔で試料を抽出し、濃度を測定して行った。その結果を図52に示した。
【0177】
C.サスペンション型ハーセプチン−磁性ナノ複合体の薬物放出挙動分析
上記実施例10.Cで製造された抗癌剤が封入された水相磁性ナノ複合体に対する薬物放出実験はUVを用いた滴定曲線を作成した後、一定の時間の間隔で試料を抽出し、濃度を測定して行った。その結果を図53に示した。薬物が物理的な方法だけで封入された場合(図53の(b))には、初期放出量が多く、化学的な方法だけで封入された場合(図53の(c))には放出速度が非常に遅かったが、線形的な放出挙動を示した。そして、物理的な方法と化学的な方法を同時に利用して、抗癌剤を封入した場合、線形的であり、相対的に短時間に100%に近い薬物放出挙動を示した(図53の(a))。
【0178】
<試験例13>
フローサイトメトリー分析を介した細胞特異性エマルジョン型磁性ナノ複合体の標的細胞選択性の確認
上記実施例12で製造されたハーセプチン-磁性ナノ複合体の癌細胞標識抗原に対する結合特異性及び効率を分析するために、FACS(Flow cytometer, FACScan, Becton Dickinson, SanDiego, CA)を利用した。それぞれの細胞株(MCF−7細胞株<<NIH3T6.7細胞株)に対して、一万回のイベントを測定した。蛍光指標は蛍光強度分布の平均値と中間値範囲を利用した。ハーセプチン−磁性ナノ複合体を、それぞれHER2/neu受容体を発現する細胞株に処理した後、蛍光発現可否を、FACSを利用して確認し、その結果を図54に示した。図54に示されるように、HER2/neu受容体の発現程度の増加に伴って蛍光発現強度も増加することを確認することができた。またIgG−磁性ナノ複合体の場合、細胞選択性がないことも確認できた。
【0179】
<試験例14>
上記実施例12で製造されたハーセプチン-磁性ナノ複合体を用いた標的細胞の分離可能性を確認するために、4×104個のNIH3T6.7細胞株に、1mg/mLのハーセプチン−磁性ナノ複合体を30分間培養し、反応しない磁性ナノ複合体を分離し、マイクロチューブに挿入し、チューブの片方の壁面に外部磁場(Nd−B−Fe磁石、0.35T)を加えた。磁場を加えた後、数秒以内に磁石のある方向に敏感に動いていることを、蛍光顕微鏡を利用して確認した。その結果を図55に示した。
【0180】
<試験例15>
脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の造影剤としての細胞毒性実験
上記実施例3で製造された水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性を確認するために、NIH3T6.7細胞を対象とし、ナノ複合体の濃度による細胞毒性分析を行った。これを図34に示した。ナノ複合体の濃度は10−4〜100mg/mLの条件で実験しており、細胞と培養する時間を0〜72時間とし、細胞毒性可否を確認してみた。図56に示されるように、上記磁性ナノ複合体は高濃度でも細胞毒性を確認できなかった。
【0181】
<実験例16>
親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の細胞毒性実験
実施例6で製造した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された商用界面活性剤を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の細胞毒性を確認するために、MCF7細胞とSKBR3、及びNIH3T6.7細胞を対象とし、ナノ造影剤の濃度によるMTT分析を行った。これを図57に示した。図57より明らかなように高濃度でも細胞毒性は確認できなかった。
【0182】
<試験例17>
磁性ナノ複合体の細胞毒性実験
製造された磁性ナノ複合体の細胞毒性実験はNIH3T6.7細胞とMDA−MB−231細胞に対して行った。純粋DOX、純粋ハーセプチン、DOXとハーセプチン、ハーセプチン−磁性ナノ粒子、IgG−磁性ナノ複合体、及びハーセプチン−磁性ナノ複合体に対して、細胞成長に妨害となる程度を割合で表して、細胞毒性を確認した。96−ウェルに4×103個の細胞を注入し、同量のハーセプチンとDOXを基準にし、細胞のあるウェルに挿入した。4時間後、残留物質を洗浄し、72時間、さらに成長させて、MTT試薬を通して得た細胞毒性を図58に示した。DOXが封入されたハーセプチン−磁性ナノ複合体の細胞毒性はハーセプチンとDOXが共に作用した場合より(図26の(i))高く現れて、ナノ粒子を利用してハーセプチンとDOXを細胞と反応させた場合よりも非常に高い細胞毒性を示した。また、ハーセプチンが作用した場合、NIH3T6.7細胞株がMDA−MB−231細胞株より低い生存率を表し、細胞選択成があることを確認した。これらの結果は、上記図2で示されるように、DOXが封入されたハーセプチン−磁性ナノ複合体が癌細胞を選択的に相乗的な治療効果を有する可能性を示す結果といえる。
【0183】
<試験例18>
動物モデルを介した脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体のナノ造影剤としての可能性の確認
ヌードマウスを動物モデルとして、生体内実験を行った。NIH3T6.7細胞を注入して癌細胞を発現させ、10日後、癌細胞のサイズが30mm程度になった時、実施例3で製造されたナノ複合体(80μg Fe+Mn)を注入した。注入前後の磁気共鳴映像を図59に示した。 図59は上記ナノ複合体注入前(a)、注入直後(b)、注入1時間後(c)、注入2時間後(d)、注入5時間後(e)の磁気共鳴映像である。図59に示されるように、肝と癌細胞の映像変化が明らかであり、1時間、2時間、及び5時間が経過した後にも、造影効果が保持されることが確認できた。上記映像を介して時間によるT2値の変化をグラフで描いてみた結果、5時間が過ぎた後にも、注入前とT2値の差が大きく保持されることを確認できた(図59の(f))。
【0184】
<実験例19>
動物モデルを介したナノ造影剤としての可能性の確認
ヌードマウスを動物モデルとして、生体内実験を行った。抗体に対して陽性のNIH3T6.7細胞を注入して癌細胞を発現させ、2日後、癌細胞のサイズが10mm程度になった時、実施例6で製造された造影剤を注入した。注入前後の磁気共鳴映像を図60に示した。図60において、(a)は造影剤注入直前、(b)は注入直後、(c)は注入後2時間後の磁気共鳴映像写真である。図60に示されるように、肝と癌細胞の映像変化が明確であった。また、造影剤注入前から2時間までの時間によるR2値の変化を図61に示した。図61に示されるように、造影剤注入後、T2値で大きな変化があることを確認することができた。
【0185】
<試験例20>
動物モデルを通した磁性ナノ複合体のナノ造影剤としての可能性確認
磁性ナノ複合体が動物モデルで癌細胞を追跡することができるか否かを確認するために、 一グループのヌードマウスの太腿にNIH3T6.7細胞をインプラントした。磁気共鳴映像の造影効果を見るために、1.5T(Intera; Philips Medical Systems, Best, The Netherlands)システムを使用し、micro−47コイルを利用した。 FFE(Fast Field Echo)パルスシーケンスを有して冠状面の映像を得た。具体的なパラメーターは次ぎの通りであった:解像度156×156×μm、薄板膜厚0.6mm、TE=20ms、TR=400ms、映像励起回数 1、映像獲得時間 6分。造影効果は経時的に確認した。実施例10.Bで製造した磁性ナノ複合体投入前(preliminary, Pre)、尾静脈に投入直後(immediately, Immed)、4時間後、12時間後、映像を得て、その結果を図62及び63に示した。注入後12時間が過ぎた後にも、ヌードマウスの太腿で非常に高い造影効果が現れることを確認できた。ハーセプチンが結合されていない、IgG−磁性ナノ複合体の場合、造影効果が落ちることも確認できた。この結果からハーセプチン−磁性ナノ複合体が癌細胞に選択的に標的化されることを確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本発明に係る疎水性領域と親水性領域を有する両親媒性化合物で覆われている磁性ナノ複合体は高感度磁気共鳴映像造影剤として使用することができ、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断知能型造影剤でとして使用することができ、疎水性領域に薬物を重合または封入すると同時に、親水性領域に腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合して癌診断及び治療のための薬物伝達体として使われることができ、機能性細胞、幹細胞または癌細胞などの表面抗原に対する特異な抗体またはタンパク質を結合して磁性を用いた細胞及びタンパク質分離用製剤として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明に係る磁性ナノ複合体の応用分野を図示した模式図である。
【図2】本発明の一実施例に係る両親媒性高分子を用いた磁性ナノ複合体の製造方法を図示した模式図である。
【図3】本発明の一実施例に係るエマルジョン型またはサスペンション型磁性ナノ複合体の概念図である。
【図4】本発明の一実施例に係る飽和脂肪酸を用いた磁性ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真及び磁気的特性を図示したグラフである。
【図5】本発明の別の実施例に係る不飽和脂肪酸を用いた磁性ナノ粒子の透過電子顕微鏡写真及び磁気的特性を図示したグラフである。
【図6】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いた磁性ナノ複合体の製造方法を図示した模式図である。
【図7】本発明の一実施例に係る磁性ナノ粒子と磁性ナノ複合体の赤外線分光法(FT−IR)の結果を図示したグラフである。
【図8】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物の水素核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を図示したグラフである。
【図9】本発明の一実施例に係る高分子等の活性成分を結合して親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合過程を図示した模式図である。
【図10】本発明に係る親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子を核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を図示したグラフである。
【図11】本発明に係る親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子を赤外線分光法の結果を図示したグラフである。
【図12】本発明に係る親水性高分子の活性成分を通した親水活性成分結合領域がカルボキシル基で置換された生分解性両親媒性高分子の重合過程を図示した模式図である。
【図13】本発明の一実施例に係る両親媒性高分子の赤外線分光法(FT−IR)の結果を図示したグラフである。
【図14】本発明の他の製造例に係る両親媒性高分子の核磁気共鳴(1H−NMR)の結果を図示したグラフである。
【図15A】本発明に係る親水活性成分結合領域で置換された生分解性両親媒性高分子の合成過程である。
【図15B】本発明に係る親水活性成分結合領域で置換された生分解性両親媒性高分子の合成過程である。
【図16】本発明の一実施例に係るナノ粒子及び生分解性両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び粒径分布を示すグラフである。
【図17】本発明の一実施例に係るナノ粒子及び生分解性両親媒性高分子を用いたサスペンション型磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び粒径分布を示すグラフである。
【図18】本発明の一実施例に係るナノ粒子及び脂肪酸両親媒性高分子を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び粒径分布を示すグラフである。
【図19】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いたエマルジョン型磁性ナノ複合体のヒステリシスループの結果を図示したグラフである。
【図20】本発明に係る磁性ナノ粒子がカルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドによって封入された電子顕微鏡写真及びナノ複合体の粒径分布度を図示したグラフである。
【図21】本発明に係るナノ粒子がカルボキシルポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリドによって封入された質量比を図示したグラフである。
【図22】本発明に係るナノ磁性粒子と磁性ナノ複合体のヒステリシスループである。
【図23】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び動的レーザー光散乱法による粒径分布度を図示したグラフである。
【図24】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子の熱重量分析グラフである。
【図25】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の透過電子顕微鏡写真及び動的レーザー光散乱法結果を図示したグラフである。
【図26】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の赤外線分光法の結果を図示したグラフである。
【図27】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ複合体の電子顕微鏡写真及び光散乱方法による粒径分布度である。
【図28】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子の熱重量分析グラフである。
【図29】本発明のエマルジョン方法で製造されたMnFe2O4がポリラクチドコ−グリコリド−ポリエチレングリコールによって封入されたナノ複合体の電子顕微鏡写真及び光散乱方法による粒径分布度である。
【図30】本発明に係る熱重力分析方法を通して製造されたMnFe2O4がポリラクチドコ−グリコリド−ポリエチレングリコールによって封入された質量比を求めた結果及びヒステリシスループである。
【図31】本発明に係る蛍光染料が封入された磁性ナノ複合体が外部磁場により整列した写真である。
【図32】本発明の一実施例に係る有機性ナノ粒子の有機溶媒に対する溶解度及び生分解性両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の水溶液に対する溶解度を示したもののである。
【図33】本発明の一実施例に係る有機性ナノ粒子の有機溶媒に対する溶解度及び脂肪酸両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の水溶液に対する溶解度及び外部磁場に反応する様子を示す写真である。
【図34】本発明の一実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の塩濃度及びpHによる安定性試験の結果を図示したグラフである。
【図35】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体のpHによる粒子安定性写真とサイズ変化グラフである。
【図36】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の塩濃度による粒子安定性写真とサイズ変化グラフである。
【図37】本発明の一実施例に係る生分解性両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の濃度による磁気共鳴映像信号(T2)の変化を図示したグラフである。
【図38】本発明の別の実施例に係る脂肪酸両親媒性化合物を用いた水溶性磁性ナノ複合体の濃度による磁気共鳴映像信号(R2)の変化を図示したグラフである。
【図39】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子が分散された溶液の磁気共鳴映像を濃度によって確認した写真及びR2値変化グラフである。
【図40】本発明の一実施例と係る水溶性磁性ナノ複合体の溶液磁気共鳴映像写真である。
【図41】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体のFe濃度による磁気共鳴映像のT2値を図示したグラフである。
【図42】本発明に係る親水性末端基がスクシンイミジル基で置換された磁性ナノ複合体が分散された溶液の磁気共鳴映像を濃度によって確認した写真及び濃度によるT2値変化グラフである。
【図43】本発明に係るサスペンション方法で製造された磁性ナノ粒子が分散された溶液の磁気共鳴映像を濃度によって確認した写真及び濃度によるT2値変化グラフである。
【図44】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した細胞の蛍光活性化セルソーター(FACS)蛍光強度を示したグラフである。
【図45】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤と反応した抗体陽性細胞の磁気共鳴映像写真である。
【図46】本発明に係るハーセプチン−磁性ナノ複合体の細胞特異性を分析した結果である。
【図47】本発明に係るMnFe2O4が封入されているハーセプチン−磁性ナノ複合体の癌細胞に対する親和性をフローサイトメトリーで確認した図である。
【図48】本発明に係るハーセプチン−磁性ナノ複合体の細胞との結合程度を評価するためにフローサイトメトリー分析で確認した図である。
【図49】本発明の別の実施例に係る製造されたエマルジョン型ハーセプチン−磁性ナノ複合体と標的細胞株(MDA−MB−231、NIH3T6.7細胞株)の反応後、磁気共鳴映像を通して獲得した写真及びT2値の比較グラフである。
【図50】本発明のさらに別の実施例に係る本発明に係るサスペンション型ハーセプチン−磁性ナノ複合体と標的細胞株(MDA−MB−231、NIH3T6.7細胞株)の反応後磁気共鳴映像を通して獲得した写真及びT2値の比較グラフである。
【図51】本発明の一実施例に係るエマルジョン型磁性ナノ複合体の薬物放出挙動グラフである。
【図52】本発明の別の実施例に係るエマルジョン型磁性ナノ複合体の薬物放出挙動グラフである。
【図53】本発明のさらに別の実施例に係るサスペンション型磁性ナノ複合体の薬物放出挙動グラフである。
【図54】本発明に係るMnFe2O4が封入されている磁性ナノ複合体の標的細胞に対する親和性をFACSで確認した図である。
【図55】本発明に係るMnFe2O4が封入されている磁性ナノ複合体が付着された標的細胞が外部磁場により一方の壁面に移動する様子を確認した写真である。
【図56】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性実験結果を図示したグラフである。
【図57】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性実験結果を図示したグラフである。
【図58】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体の細胞毒性実験結果を図示したグラフである。
【図59】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体を使用して撮影した動物モデルでの磁気共鳴映像である。
【図60】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体を使用して撮影した動物モデルでの磁気共鳴映像である。
【図61】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤注入時間によるR2値の変化を図示したグラフである。
【図62】本発明の一実施例に係る水溶性磁性ナノ複合体を使用して撮影した動物モデルでの磁気共鳴映像である。
【図63】本発明の一実施例に係る知能型磁気共鳴映像用造影剤注入時間によるR2値の変化を図示したグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われていることを特徴とする磁性ナノ複合体。
【請求項2】
ナノ複合体は、一つ以上の磁性ナノ粒子が疎水性領域に分布されたコア及び親水性領域を含有するシェルを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項3】
ナノ複合体は、一つの磁性ナノ粒子が疎水性領域と結合されたコア及び親水性領域を含有するシェルを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項4】
磁性ナノ粒子は、直径が1nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項5】
磁性ナノ複合体は、直径が1nm〜500nmであることを特徴とする請求項2に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項6】
磁性ナノ複合体は、直径が1nm〜50nmであることを特徴とする請求項3に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項7】
磁性ナノ粒子は金属、磁性物質、又は磁性合金であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項8】
金属は、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項9】
磁性物質は、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4、及びMxOy(ここで、M及びM’はそれぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Mn、Zn、Gd、又はCrを表し、0<x≦3、0<y≦5)よりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項10】
磁性合金は、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項11】
金属、磁性物質、又は磁性合金は、有機性表面安定剤と結合されていることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項12】
有機性表面安定剤は、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、飽和又は不飽和脂肪酸、トリアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィンオキシド、アルキルアミン、アルキルチオール、ナトリウムアルキルスルフェート、及びナトリウムアルキルホスフェートよりなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項13】
有機性表面安定剤は、飽和又は不飽和脂肪酸及びアルキルアミンよりなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項12に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項14】
疎水性領域は、飽和又は不飽和脂肪酸、又は疎水性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項15】
飽和脂肪酸は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、及びドコサン酸よりなる群から選択されるのを特徴とする請求項14に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項16】
不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びエルカ酸よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項17】
疎水性高分子は、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンハイドライド、ポリリンゴ酸又はその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート及びポリオルトエステル、疎水性ポリアミノ酸及び疎水性ビニル系高分子よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項18】
疎水性高分子は、重量平均分子量が100〜100,000であることを特徴とする請求項17に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項19】
親水性領域は、生分解性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項20】
生分解性高分子は、ポリアルキレングリコール(PEG)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子よりなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項21】
生分解性高分子は、重量平均分子量が100〜100,000であることを特徴とする請求項19に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項22】
ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項20に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項23】
ポリエチレングリコールは、モノメトキシポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項22に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項24】
親水性領域は、構造内に一つ以上の親水活性成分結合領域を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項25】
親水活性成分は、生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項26】
親水活性成分結合領域(R2)は、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−NR4+X−、−スルホネート、−ニトレート、−ホスホネート、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び−アルキル基よりなる群から選択される一つ以上が官能基を含むことを特徴とする請求項24に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項27】
磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が、組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項28】
上記組織特異的結合成分は、抗原、抗体、RNA、DNA、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、プロテインA、プロテインG、レクチン、セレクチン、放射線同位元素で標識された成分、及び腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質よりなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項29】
上記腫瘍マーカーは、リガンド、抗原、受容体、及びこれらをコードする核酸よりなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項30】
上記腫瘍マーカーは、シナプトタグミンIのC2、アネキシンV、インテグリン、VEGF、アンジオポエチン1、アンジオポエチン2、ソマトスタチン、血管腸ペプチド、癌性胎児性抗原、HER2/neu抗原、前立腺特異抗原及び葉酸受容体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項29に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項31】
上記腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質は、ホスファチジルセリン、VEGFR、インテグリン受容体、Tie2受容体、ソマトスタチン受容体、血管腸ペプチド受容体、ハーセプチン、リツキサン(Rituxan)及び葉酸よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項27に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項32】
疎水性領域は、構造内に一つ以上の疎水活性成分結合領域を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項33】
疎水活性成分は、生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項34】
疎水活性成分結合領域は、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び−アルキル基よりなる群から選択された一つ以上の官能基を含むことを特徴とする請求項32に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項35】
磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われ、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合物質と結合され、上記疎水性領域に薬剤学的活性成分が結合又は封入されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項36】
上記薬剤学的活性成分は、抗癌剤、抗生剤、ホルモン、ホルモン拮抗剤、インターロイキン、インターフェロン、成長因子、腫瘍壊死因子、エンドトキシン、リンホトキシン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、プロテアーゼ阻害剤、アルキルホスホコリン、放射線同位元素で標識された成分、界面活性剤、心血管系薬物、胃腸管系薬物及び神経系薬物よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項35に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項37】
抗癌剤は、エピルビシン(Epirubicin)、ドセタキセル(Docetaxel)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、パクリタキセル(Paclitaxel)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、タクソール(taxol)、プロカルバジン(procarbazine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ジアクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、エトポシド(etoposide)、タモキシフェン(tamoxifen)、ドキソルビシン(doxorubicin)、マイトマイシン(mitomycin)、ブレオマイシン(bleomycin)、プリコマイシン(plicomycin)、トランスプラチナ(transplatinum)、ビンブラスチン(vinblastin)及びメトトレキサート(methotrexate)よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項36に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項38】
両親媒性化合物は、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−親水性領域−親水活性成分結合領域からなることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項39】
両親媒性化合物は、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−NH2−親水性領域−親水活性成分結合領域からなることを特徴とする請求項38に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項40】
両親媒性化合物は、モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリド共重合体、又はモノメトキシポリエチレングリコール−ラウリン酸共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項41】
A)ナノ粒子を溶媒で合成する工程;及び
B)疎水性領域と親水性領域とを有する両親媒性化合物を、上記ナノ粒子表面に付加して両親媒性化合物とナノ粒子とを結合させる工程;を含む磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項42】
C)上記親水性領域に存在する親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程;
を、さらに含む請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項43】
D)疎水性領域に、薬剤学的活性成分を結合するか、封入する工程;を、さらに含む請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項44】
ナノ粒子を溶媒で合成する工程A)は、
a)溶媒の存在下に、ナノ粒子前駆体と有機性表面安定剤を反応させる工程;及び
b)上記反応物を熱分解する工程;を含むことを特徴とする請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項45】
溶媒は、エーテル系化合物、ヘテロ環化合物、芳香族化合物、スルホキシド化合物、アミド化合物、アルコール、炭化水素及び水よりなる群から選択されることを特徴とする請求項44に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項46】
溶媒は、オクチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、デシルエーテル、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、オクチルアルコール、デカノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、又は水であることを特徴とする請求項45に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項47】
工程B)は、
a)ナノ粒子を有機溶媒に溶解して油相を製造する工程;
b)両親媒性化合物を水性溶媒に溶解して水相を製造する工程;
c)上記油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程;及び
d)上記エマルジョンから油相を分離する工程;
を含むことを特徴とする請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項48】
工程B)は、
e)上記ナノ粒子を両親媒性化合物が溶解された溶液で分散して懸濁液を製造する工程;及び
f)上記懸濁液から溶媒を分離する工程;
を含むことを特徴とする請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項49】
工程C)は
g)架橋剤を用いて親水性領域の一部に親水活性成分結合領域を提供する工程;及び
h)上記親水活性成分結合領域と組織特異的結合成分を結合する工程;
を含むことを特徴とする請求項42に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項50】
工程D)は、
i)架橋剤を用いて疎水性領域の一部に疎水活性成分結合領域を提供する工程;及び
j)上記疎水活性成分結合領域と薬剤学的活性成分とを結合させる工程;
を含むことを特徴とする請求項43に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項51】
工程D)は、両親媒性化合物とナノ粒子とを結合する上記工程B)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に溶解して封入することを特徴とする請求項43に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項52】
請求項1〜26のいずれかに記載の磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む造影剤組成物。
【請求項53】
請求項27〜31のいずれかに記載の磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む診断用組成物。
【請求項54】
請求項35〜37のいずれかに記載の磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む同時診断及び治療用薬剤学的組成物。
【請求項55】
請求項52に記載の造影剤組成物を生体又は試料に投与する工程;及び
上記生体又は試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して映像を収得する工程;
を含む造影剤組成物の利用方法。
【請求項56】
請求項53に記載の診断用組成物を生体又は試料に投与する工程;及び
上記生体又は試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して映像を収得する工程;
を含む疾患の診断方法。
【請求項57】
請求項54に記載の薬剤学的組成物を生体又は試料に投与する工程;及び
上記生体又は試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して映像を収得する工程;
を含む疾患の同時診断及び治療方法。
【請求項58】
造影剤組成物を生体又は試料に投与する工程は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下又は局部投与することを特徴とする請求項52に記載の利用方法。
【請求項59】
上記信号を感知する工程で、磁気共鳴映像装置を利用することを特徴とする請求項52に記載の利用方法。
【請求項60】
上記磁気共鳴映像装置は、T2スピン−スピン緩和磁気共鳴映像装置であることを特徴とする請求項59に記載の利用方法。
【請求項1】
磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われていることを特徴とする磁性ナノ複合体。
【請求項2】
ナノ複合体は、一つ以上の磁性ナノ粒子が疎水性領域に分布されたコア及び親水性領域を含有するシェルを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項3】
ナノ複合体は、一つの磁性ナノ粒子が疎水性領域と結合されたコア及び親水性領域を含有するシェルを含むことを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項4】
磁性ナノ粒子は、直径が1nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項5】
磁性ナノ複合体は、直径が1nm〜500nmであることを特徴とする請求項2に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項6】
磁性ナノ複合体は、直径が1nm〜50nmであることを特徴とする請求項3に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項7】
磁性ナノ粒子は金属、磁性物質、又は磁性合金であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項8】
金属は、Pt、Pd、Ag、Cu及びAuよりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項9】
磁性物質は、Co、Mn、Fe、Ni、Gd、Mo、MM’2O4、及びMxOy(ここで、M及びM’はそれぞれ独立して、Co、Fe、Ni、Mn、Zn、Gd、又はCrを表し、0<x≦3、0<y≦5)よりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項10】
磁性合金は、CoCu、CoPt、FePt、CoSm、NiFe及びNiFeCoよりなる群から選択されることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項11】
金属、磁性物質、又は磁性合金は、有機性表面安定剤と結合されていることを特徴とする請求項7に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項12】
有機性表面安定剤は、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、飽和又は不飽和脂肪酸、トリアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィンオキシド、アルキルアミン、アルキルチオール、ナトリウムアルキルスルフェート、及びナトリウムアルキルホスフェートよりなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項11に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項13】
有機性表面安定剤は、飽和又は不飽和脂肪酸及びアルキルアミンよりなる群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項12に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項14】
疎水性領域は、飽和又は不飽和脂肪酸、又は疎水性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項15】
飽和脂肪酸は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸、及びドコサン酸よりなる群から選択されるのを特徴とする請求項14に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項16】
不飽和脂肪酸は、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、及びエルカ酸よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項17】
疎水性高分子は、ポリホスファゼン、ポリラクチド、ポリラクチド−コ−グリコリド、ポリカプロラクトン、ポリアンハイドライド、ポリリンゴ酸又はその誘導体、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリヒドロオキシブチレート、ポリカーボネート及びポリオルトエステル、疎水性ポリアミノ酸及び疎水性ビニル系高分子よりなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項18】
疎水性高分子は、重量平均分子量が100〜100,000であることを特徴とする請求項17に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項19】
親水性領域は、生分解性高分子であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項20】
生分解性高分子は、ポリアルキレングリコール(PEG)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリビニルピロリドン(PVP)、親水性ポリアミノ酸及び親水性ビニル系高分子よりなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項21】
生分解性高分子は、重量平均分子量が100〜100,000であることを特徴とする請求項19に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項22】
ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項20に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項23】
ポリエチレングリコールは、モノメトキシポリエチレングリコールであることを特徴とする請求項22に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項24】
親水性領域は、構造内に一つ以上の親水活性成分結合領域を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項25】
親水活性成分は、生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項26】
親水活性成分結合領域(R2)は、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−NR4+X−、−スルホネート、−ニトレート、−ホスホネート、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び−アルキル基よりなる群から選択される一つ以上が官能基を含むことを特徴とする請求項24に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項27】
磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われており、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が、組織特異的結合成分と結合されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項28】
上記組織特異的結合成分は、抗原、抗体、RNA、DNA、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、プロテインA、プロテインG、レクチン、セレクチン、放射線同位元素で標識された成分、及び腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質よりなる群から選択されることを特徴とする請求項27に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項29】
上記腫瘍マーカーは、リガンド、抗原、受容体、及びこれらをコードする核酸よりなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項30】
上記腫瘍マーカーは、シナプトタグミンIのC2、アネキシンV、インテグリン、VEGF、アンジオポエチン1、アンジオポエチン2、ソマトスタチン、血管腸ペプチド、癌性胎児性抗原、HER2/neu抗原、前立腺特異抗原及び葉酸受容体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項29に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項31】
上記腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質は、ホスファチジルセリン、VEGFR、インテグリン受容体、Tie2受容体、ソマトスタチン受容体、血管腸ペプチド受容体、ハーセプチン、リツキサン(Rituxan)及び葉酸よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項27に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項32】
疎水性領域は、構造内に一つ以上の疎水活性成分結合領域を有することを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項33】
疎水活性成分は、生体活性成分、高分子、及び無機担体よりなる群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項34】
疎水活性成分結合領域は、−COOH、−CHO、−NH2、−SH、−CONH2、−PO3H、−PO4H、−SO3H、−SO4H、−OH、−スクシンイミジル基、−マレイミド基、及び−アルキル基よりなる群から選択された一つ以上の官能基を含むことを特徴とする請求項32に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項35】
磁性ナノ粒子が、一つ以上の疎水性領域と一つ以上の親水性領域とを有する両親媒性化合物で覆われ、上記親水性領域に存在する一つ以上の親水活性成分結合領域が組織特異的結合物質と結合され、上記疎水性領域に薬剤学的活性成分が結合又は封入されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項36】
上記薬剤学的活性成分は、抗癌剤、抗生剤、ホルモン、ホルモン拮抗剤、インターロイキン、インターフェロン、成長因子、腫瘍壊死因子、エンドトキシン、リンホトキシン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化因子、プロテアーゼ阻害剤、アルキルホスホコリン、放射線同位元素で標識された成分、界面活性剤、心血管系薬物、胃腸管系薬物及び神経系薬物よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項35に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項37】
抗癌剤は、エピルビシン(Epirubicin)、ドセタキセル(Docetaxel)、ゲムシタビン(Gemcitabine)、パクリタキセル(Paclitaxel)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、タクソール(taxol)、プロカルバジン(procarbazine)、シクロホスファミド(cyclophosphamide)、ジアクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、エトポシド(etoposide)、タモキシフェン(tamoxifen)、ドキソルビシン(doxorubicin)、マイトマイシン(mitomycin)、ブレオマイシン(bleomycin)、プリコマイシン(plicomycin)、トランスプラチナ(transplatinum)、ビンブラスチン(vinblastin)及びメトトレキサート(methotrexate)よりなる群から選択された一つ以上であることを特徴とする請求項36に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項38】
両親媒性化合物は、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−親水性領域−親水活性成分結合領域からなることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項39】
両親媒性化合物は、疎水活性成分結合領域−疎水性領域−NH2−親水性領域−親水活性成分結合領域からなることを特徴とする請求項38に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項40】
両親媒性化合物は、モノメトキシポリエチレングリコール−ポリラクチド−コ−グリコリド共重合体、又はモノメトキシポリエチレングリコール−ラウリン酸共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の磁性ナノ複合体。
【請求項41】
A)ナノ粒子を溶媒で合成する工程;及び
B)疎水性領域と親水性領域とを有する両親媒性化合物を、上記ナノ粒子表面に付加して両親媒性化合物とナノ粒子とを結合させる工程;を含む磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項42】
C)上記親水性領域に存在する親水活性成分結合領域と腫瘍マーカーと特異的に結合しうる物質を結合させる工程;
を、さらに含む請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項43】
D)疎水性領域に、薬剤学的活性成分を結合するか、封入する工程;を、さらに含む請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項44】
ナノ粒子を溶媒で合成する工程A)は、
a)溶媒の存在下に、ナノ粒子前駆体と有機性表面安定剤を反応させる工程;及び
b)上記反応物を熱分解する工程;を含むことを特徴とする請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項45】
溶媒は、エーテル系化合物、ヘテロ環化合物、芳香族化合物、スルホキシド化合物、アミド化合物、アルコール、炭化水素及び水よりなる群から選択されることを特徴とする請求項44に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項46】
溶媒は、オクチルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、デシルエーテル、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、オクチルアルコール、デカノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、又は水であることを特徴とする請求項45に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項47】
工程B)は、
a)ナノ粒子を有機溶媒に溶解して油相を製造する工程;
b)両親媒性化合物を水性溶媒に溶解して水相を製造する工程;
c)上記油相と水相とを混合してエマルジョンを形成する工程;及び
d)上記エマルジョンから油相を分離する工程;
を含むことを特徴とする請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項48】
工程B)は、
e)上記ナノ粒子を両親媒性化合物が溶解された溶液で分散して懸濁液を製造する工程;及び
f)上記懸濁液から溶媒を分離する工程;
を含むことを特徴とする請求項41に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項49】
工程C)は
g)架橋剤を用いて親水性領域の一部に親水活性成分結合領域を提供する工程;及び
h)上記親水活性成分結合領域と組織特異的結合成分を結合する工程;
を含むことを特徴とする請求項42に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項50】
工程D)は、
i)架橋剤を用いて疎水性領域の一部に疎水活性成分結合領域を提供する工程;及び
j)上記疎水活性成分結合領域と薬剤学的活性成分とを結合させる工程;
を含むことを特徴とする請求項43に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項51】
工程D)は、両親媒性化合物とナノ粒子とを結合する上記工程B)で、薬剤学的活性成分をナノ粒子と共に溶解して封入することを特徴とする請求項43に記載の磁性ナノ複合体の製造方法。
【請求項52】
請求項1〜26のいずれかに記載の磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む造影剤組成物。
【請求項53】
請求項27〜31のいずれかに記載の磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む診断用組成物。
【請求項54】
請求項35〜37のいずれかに記載の磁性ナノ複合体及び薬剤学的に許容される担体を含む同時診断及び治療用薬剤学的組成物。
【請求項55】
請求項52に記載の造影剤組成物を生体又は試料に投与する工程;及び
上記生体又は試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して映像を収得する工程;
を含む造影剤組成物の利用方法。
【請求項56】
請求項53に記載の診断用組成物を生体又は試料に投与する工程;及び
上記生体又は試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して映像を収得する工程;
を含む疾患の診断方法。
【請求項57】
請求項54に記載の薬剤学的組成物を生体又は試料に投与する工程;及び
上記生体又は試料から磁性ナノ複合体によって発散される信号を感知して映像を収得する工程;
を含む疾患の同時診断及び治療方法。
【請求項58】
造影剤組成物を生体又は試料に投与する工程は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下又は局部投与することを特徴とする請求項52に記載の利用方法。
【請求項59】
上記信号を感知する工程で、磁気共鳴映像装置を利用することを特徴とする請求項52に記載の利用方法。
【請求項60】
上記磁気共鳴映像装置は、T2スピン−スピン緩和磁気共鳴映像装置であることを特徴とする請求項59に記載の利用方法。
【図2】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図19】
【図21】
【図22】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図30】
【図34】
【図41】
【図47】
【図51】
【図52】
【図53】
【図56】
【図57】
【図58】
【図61】
【図63】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図23】
【図25】
【図29】
【図31】
【図32】
【図33】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図48】
【図49】
【図50】
【図54】
【図55】
【図59】
【図60】
【図62】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図19】
【図21】
【図22】
【図24】
【図26】
【図27】
【図28】
【図30】
【図34】
【図41】
【図47】
【図51】
【図52】
【図53】
【図56】
【図57】
【図58】
【図61】
【図63】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図9】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
【図23】
【図25】
【図29】
【図31】
【図32】
【図33】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図48】
【図49】
【図50】
【図54】
【図55】
【図59】
【図60】
【図62】
【公表番号】特表2009−531296(P2009−531296A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556255(P2008−556255)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000961
【国際公開番号】WO2007/097593
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508256466)エイティージェン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【国際出願番号】PCT/KR2007/000961
【国際公開番号】WO2007/097593
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508256466)エイティージェン カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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