説明

造影剤容器ホルダ及びシリンジに注入する方法

【課題】患者に流体を注入するための注射装置を提供すること。
【解決手段】シリンジへの注入は、シリンジに注入する前に、注入チューブから空気を排出する注入シーケンスを使用することにより高速で実行することができる。同様な方法が、新しい造影剤容器への注入を再開する前に、注入チューブから全ての空気を確実に排出する注入シーケンスの最中に、造影剤容器を交換する際に使用される。また、注射器ヘッドに付加され、シリンジチップの近傍の容器を保持する造影剤容器ホルダを含めることにより、注入シーケンスは、シーケンスの最中にオペレータが造影剤容器を保持する必要なく実行可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者に流体(fluid)を注入するための注射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの医療現場では、医薬液が診断又は治療の際、患者に注射される。一例では、光学的画像、核医学、コンピュータ断層撮影、血管造影法、磁気共鳴又は超音波画像診断等の画像診断、あるいは、電動式自動注射装置を使用する治療への応用を実行するために患者に造影剤を注入する。
【0003】
一般に、このような用途に適した注射装置には、相対的に大容量のシリンジを使用し、相対的に大きな流速及び注入圧を生成できなければならない。このため、そのような用途向けの注射装置は、通常、電動化され、大きくて重量の大きな注射装置用モータ及び駆動部品を備える。
【0004】
容易に使用するため、モータ及び駆動部品は、一般に、注射装置の頭部に収容され、床、壁あるいは天井に設けたアームによって支持される。
【0005】
一般に、注射器ヘッドは、回転自在にアームに支持されているので、シリンジへの流体の注入を容易にするために、ヘッドは(シリンジの先端をシリンジの残りの部分の上方にした状態で)上方に向かって傾斜させてもよいし、注射するために、(シリンジの先端をシリンジの残りの部分の下方にした状態で)下方へと傾斜させてもよい。このようにヘッドを傾斜させることにより、注入中、シリンジから空気が効果的に除去され、注射プロセスで、患者に空気が注射される可能性が削減される。それにも拘わらず、誤って患者に空気が注射される可能性に、深刻な安全性の懸念が残る。
【0006】
上述の注射装置用ヘッドに加えて、多くの注射装置は、注射装置を制御するための別体の制御装置を備える。一般に、制御装置は、自動化された、注射装置のプログラム制御のために使用可能なプログラム回路を備える。この結果、注射装置の操作が、スキャナや撮像装置等の他の機器の操作を予想して同期させることが可能である。
【0007】
注射装置システムによって実行される1つの特別な操作ルーチンは、シリンジに造影剤を注入することである。この電動式注射装置のための注入順序は、一般に、オペレータが両手を使用することを必要とされる。一方の手で造影剤容器を注射装置に非常に接近させて保持し、他方の手で、シリンジに注入するために、プランジャを引っ張るようにして注射装置をコントロールして操作する。予め決められた容量で自動注入可能な注射装置でさえ、オペレータは、自動注入シーケンスの開始初期に、両手を使用することが必要とされる。
【0008】
この結果、オペレータが、シリンジへの注入操作を終了するまでの間、他の動作を実行するための少なくとも片手を利用可能としておくために、電動式注射装置でのシリンジシーケンスを簡略化する必要がある。
【0009】
時折、シリンジに注入する際、注入シーケンスが、あまりに速く行われると、造影剤に空気が混入し、あまりにゆっくりと行われると、完了するのに長時間かかるという点で問題になり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、造影剤と注入チューブ内での空気の存在可能性とに基づく、注入中、造影剤に空気が混入することを回避するような造影剤の最大注入速度がある。この速度が注射装置にプログラムされて自動的に使用できるとき、オペレータは、通常、造影剤に空気が混入する可能性をさらに抑制するためにシリンジへの注入を監視する。造影剤をシリンジに注入する速度を、注入チューブ内に空気が存在するときに達成可能な最大注入速度よりも速くすることを可能とする注入シーケンスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これら上述の必要なこと、及び、従来の注射システムの他の問題は、シリンジに手を使用することなく注入可能とする本発明の実施形態、及び、注入の最中に造影剤に空気が混入することなく注入シーケンスを実行する実施形態によって解決される。
【0012】
本発明の一実施形態は、注射器ヘッドと、注射器ヘッドに連結される造影剤容器ホルダとを備えた造影剤注射システムに関するものであり、前記造影剤容器ホルダは、注射器ヘッドが略垂直に方向付けされるとき、造影剤容器を略固定位置に保持するように形成したものである。
【0013】
本発明の他の実施態様は、シリンジに連結する注入チューブに造影剤を注入する造影剤注射システムでの注入シーケンスを実行するための方法に関するものである。この実施形態では、注入チューブからほぼ全ての空気が排出され、シリンジには造影剤に空気が混入することを阻止する第1速度で注入され、前記第1速度は注入チューブから予め空気を排出する場合の最大注入速度である第2速度よりも速くなっている。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態は、シリンジ注入シーケンスの最中に、造影剤容器を交換するための方法に関するものである。この実施形態では、シリンジのシリンジ注入シーケンスは、第1造影剤容器がほぼ空になると停止され、第1造影剤容器は第2造影剤容器に交換される。次に、シリンジと第2造影剤容器との間に接続された注入チューブからほぼ全ての空気が排出された後、第2造影剤容器からシリンジへの注入が、造影剤に空気が混入することを阻止する第1速度で再開され、前記第1速度が予め空気が注入チューブから排出されない場合の最大速度である第2速度よりも速くなっている。
(項目1)
注射器ヘッド、及び、上記注射器ヘッドに連結される造影剤容器ホルダを備え、上記造影剤容器ホルダは、上記注射器ヘッドが略垂直方向に方向付けされている間、略固定位置で造影剤容器を保持するように形成される造影剤注射システム。
(項目2)
上記造影剤容器ホルダは、さらに、上記注射器ヘッドに連結される第1端と、第2端を有する支持アーム、及び、上記第2端に連結される固定部を備え、上記固定部は、略水平面及び略垂直面での造影剤容器の動きを阻止するように形成される項目1に記載の造影剤注射システム。
(項目3)
上記支持アームは注射器ヘッドに一体化される項目2に記載の造影剤注射システム。
(項目4)
上記第1端は注射器ヘッドに取り外し可能に連結される項目2に記載の造影剤注射システム。
(項目5)
上記支持アームは、さらに、上記第1端に機械的に連結される制御部を備え、上記制御部は、第1端が注射器ヘッドから離脱するのを防止する第1位置と、第2端が注射器ヘッドから離脱するのを可能とする第2位置とに位置決めされる項目3に記載の造影剤注射システム。
(項目6)
さらに、上記注射器ヘッドに連結されるシリンジ、造影剤容器、上記シリンジを上記造影剤容器に接続する注入チューブを備え、上記造影剤容器ホルダは、さらに、シリンジに造影剤容器から造影剤を注入するように操作される間、造影剤容器を保持するように形成される項目1に記載の造影剤注射システム。
(項目7)
上記略固定位置は、注射器ヘッドに向かって傾斜するように造影剤容器を方向付ける項目1に記載の造影剤注射システム。
(項目8)
上記造影剤容器ホルダに対して造影剤容器を挿入又は取り外しすることにより片手のみを使用して注射システムの操作を完了可能である項目1に記載の造影剤注射システム。
(項目9)
上記注入チューブからほぼ全ての空気を排出するステップと、造影剤に空気が混入することを阻止する第1速度でシリンジに注入するステップとを備え、上記第1速度は、空気が注入チューブから予め排出されない場合の最大注入速度である第2速度よりも速いことを特徴とする、
シリンジを造影剤に連結する注入チューブを有する造影剤注射システムで注入シーケンスを行うための方法。
(項目10)
上記排出ステップは、造影剤の第1量をシリンジの内部に取り込み、上記第1量をシリンジ及び注入チューブの外部に排出するステップを含む項目9に記載の方法。
(項目11)
上記排出ステップはシリンジからほぼ全ての空気を排出するステップを含む項目9に記載の方法。
(項目12)
第1造影剤容器がほぼ空となれば、シリンジのシリンジ注入シーケンスを停止するステップと、第1造影剤容器を第2造影剤容器と交換するステップと、シリンジと第2造影剤容器との間に連結された注入チューブからほぼ全ての空気を排出するステップと、造影剤に空気が混入することを阻止する第1速度で第2造影剤容器からシリンジへの注入を再開するステップとを備え、上記第1速度は空気が注入チューブから予め排出されない場合の最大注入速度である第2速度よりも速い、シリンジ注入シーケンスの最中に、造影剤容器を交換するための方法。
(項目13)
上記排出ステップは、さらに、シリンジ内の造影剤の一部を、注入チューブを介して第2造影剤容器に排出するステップを含む項目12に記載の方法。
(項目14)
上記排出ステップは、さらに、シリンジからほぼ全ての空気を排出するステップを含む項目12に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】シリンジ、圧力ジャケット、ヒータブランケット、及び空気検出モジュールを除去した状態で、パワーヘッド、制御装置、及び、(カバーの下に)パワーパックを備えた本発明の原理に関する注射装置の斜視図を示す。
【図2】圧力ジャケット、シリンジ、及び、ヒータブランケットが搭載された状態で、パワーヘッドディスプレイ、手動操作制御部、及び、支持アームをより詳細に示す図1の注射装置のパワーヘッドの斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る造影剤容器ホルダを示す。
【図4】本発明の他の実施形態に係る造影剤容器ホルダを示す。
【図5】本発明の他の実施形態に係る造影剤容器ホルダを示す。
【図6】本発明のさらに他の実施形態に係る造影剤容器ホルダを示す。
【図7】注射システムを使用するシリンジに注入するための方法例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、本発明に係る注射装置20は、パワーヘッド22,制御装置24、及び、(カバーの内部に搭載される)パワーパック26等の種々の機能部品を備える。シリンジ36(図2)は、パワーヘッド22の表面プレート28において注射装置20に装着される。種々の注射制御部が、例えば、CT、血管造影法、あるいは、他の処置に使用する造影剤をシリンジに注入するために使用される。造影剤は、オペレータにより、あるいは、プログラム制御の下、検査のために患者に注射される。
【0017】
注射装置のパワーヘッド22は、内部の駆動モータの動作を制御するために使用される、手動操作される動作制御レバー29と、流動状態や注射装置の操作パラメータをオペレータに示すためのディスプレイ30とを備える。制御装置24は、注射装置20を遠隔制御操作するためにオペレータが使用でき、又、注射装置20によって自動注射するための、後にオペレータによって注射の開始を自動化可能なプログラムを入力して記憶させるのに使用できるタッチスクリーンディスプレイ32を備える。
【0018】
パワーヘッド22及び制御装置24は、ケーブル(図示せず)を介してパワーパック26に接続されている。パワーパック26は、注射装置のための電源と、制御装置24及びパワーヘッド22間の通信のためのインターフェース回路とを備え、さらには、例えば、画像システムのX線照射に同期させるために注射装置20の操作を可能とする、遠隔制御装置、遠隔ハンド又はフット制御スイッチ、あるいは、他の相手先商標製品製造(OEM)の遠隔制御装置等の遠隔ユニットへの接続を可能とする注射装置の接続を許容する回路を備える。
【0019】
パワーヘッド22、制御装置24,及び、パワーパック26は、検査する患者の近くで、パワーヘッド22の位置決めを容易にするためにキャリッジ34に搭載され、キャリッジ34はパワーヘッド22を支持する支持アーム35を備えている。また、他の装置として、パワーヘッド22を、天井、床、あるいは、壁面に設けた支持アームによって支持するならば、例えば、制御装置24及びパワーパック26を、テーブル上に配置してよいのか、あるいは、検査室の電子機器用ラックに載置してよいのかを十分に検討する必要がある。
【0020】
図2において、処置する際、シリンジ36及び圧力ジャケット38がパワーヘッド22に設けられるので、パワーヘッド22の内部のモータは電圧を印加されることにより、シリンジ36の胴部内で、吐出先端40に向かって、あるいは、吐出先端40からプランジャ37を移動させ、シリンジ36から流体を噴出させ、あるいは、シリンジ内に流を注入する。圧力ジャケット38は、高い注射圧での破損からシリンジ36を保護するために、シリンジ36の外壁を支持する。
【0021】
シリンジ36及び圧力ジャケット38は、オペレータが、プランジャ37の流動位置や、プランジャ37と吐出先端40の間に於けるシリンジ内の全ての流体又は空気を視認できるような透光性を有するプラスチック材料で形成されている。この結果、上述のように、オペレータは、パワーヘッド22を上方に傾け、視覚で注入プロセスを確認しながら、流体源からシリンジ36に注入し、患者に延びるチューブに注射装置を接続し、シリンジ内の流体のレベルを視覚で確認しながら、チューブおよびシリンジから空気を排出し、一旦空気を排出した後、注射装置を下方に傾け、患者への流体の注射へと移行する。
【0022】
この注入プロセス、そして患者への注射中に行われる他の処置を容易にするため、パワーヘッド22は、回転レバー29の形式である、手動操作される動作制御部を備える。特に、レバー29は、パワーヘッド22の内部の回転軸を回転可能である。手動操作制御レバー29は図2に示される定位置に配置され、パワーヘッド22によってプランジャ動作が引き起こされることはない。しかしながら、手動操作制御レバー29がシリンジ36に向かって回転されれば、パワーヘッド22によって順方向のプランジャ動作が生成され、シリンジ36から流体又は気体が排出される。あるいは、手動操作制御レバー29がシリンジ36から離れるように回転されれば、パワーヘッド22によって反対方向のプランジャ動作が生成され、シリンジ36に流体または空気が注入される。
【0023】
患者に注射される流体がほぼ体温に維持されていることを確認するために、ヒータブランケット42が圧力ジャケット38の外壁に隣接して取り付けられる。ヒータブランケット42は、シリンジ36内の流体温度を調整するために発熱するヒータを備える。ヒータブランケット42は表面プレート28から延びるポスト44に装着され、圧力ジャケット38に熱を伝える。
【0024】
パワーヘッド22の後端は、パワーヘッドの状態を示す(光散乱カバーによって覆われた)インジケータランプ46である。
【0025】
さらに、例えば図1及び図2に示される注射システムの操作を制御するハードウェア及びソフトウェアの詳細例が、全て本発明の譲受人に譲受され、参考として組み込まれた米国特許第5,868,710号公報で理解可能である。
容器ホルダ
注射システムを使用して行われる一般的なある特定の処置ルーチンは、シリンジ36に造影剤を注入することである。この電動式注射装置のための注入シーケンスは、通常、オペレータによって両手を使用することが必要とされる。一方の手で、注射装置に非常に接近させて造影剤容器を保持しながら、シリンジに注入するために、他方の手で注射装置制御部を操作してプランジャを引っ張る。予め設定された容量に自動注入可能な注射装置を備えていたとしても、自動注入シーケンスを開始する際、オペレータは両手を使用する必要がある。
【0026】
また、オペレータは、シリンジに注入する際、他の動作を行えるように、少なくとも一方の手を利用可能とするため、電動式注射装置でのシリンジシーケンスを簡略化する必要性がある。
【0027】
特に、この必要性と取り組むための回答例は、注射器ヘッド22の一部に取り付けられ、シリンジに注入するのに適切な方向に固定される造影剤容器ホルダを利用することである。
【0028】
この容器ホルダのための材料は、一般的な造影剤容器の重量を支持するのに十分な剛性を有する種々の適当な材料のいずれであってもよい。好ましい材料は、プラスチック、ステンレス、アルミニウム、及び、セラミックを含む。また、これらの材料は、種々の方法でホルダを清掃しやすくするために、湿度、化学薬品及び温度に対する十分な耐性がある。また、ホルダの材料は、理由もなく造影剤容器を損傷させることはなく、種々の過酷な多数の衝突を受けるような環境ですら機能するものである。
【0029】
造影剤容器ホルダのための特別なデザインの例が図3に示されているが、当業者であれば、本発明の範囲内において予想可能な他の機能的に同等なデザインが含まれる。
【0030】
容器ホルダは、ハウジングの一部44に連結され、造影剤容器504を保持するために付加された置場502、506を有しているので、注入チューブ510を容易に造影剤容器へと導くことができる。特に、図3では、下方アーム506が下方から容器504を支持する際に、造影剤容器504の周囲に巻き付けられる、上方に湾曲するアーム502を有する2ピースの容器ホルダを示す。2つのアーム502及び506は、注射器ヘッド22に向かって傾斜する容器504を保持するように連結される。
【0031】
ホルダ502、506の一例は、片手のみを使用して造影剤容器504の固定及び除去を容易にするオープンデザインであることを特徴とする。勿論、オペレータが容器504を挿入して取り除くのに両手を使用することもできるが、その必要はない。片手操作は、オペレータが注入シーケンス中に容器を取り替えなければならないときに特に有効である。
【0032】
ホルダ502、506の他の特徴は、容器504がシリンジチップ508に接近して配置されるので、注入チューブ510をシリンジ36から容器504の基部に接続することが可能である点である。一般に、注入チューブは8インチの長さであるが、必要ならば、他の長さとしてもよい。
【0033】
しかし、造影剤容器ホルダ502、506の他の特徴は、注入シーケンスを行うために注射器ヘッド22を適正に方向付けする際、注入チューブ510に向かって容器504を傾斜させる点である。前述の組み込まれた米国特許第5,868,710号公報には、注入中に、注射器ヘッドを適切に方向付けするためのシステムの一例が詳述されている。
【0034】
傾斜角の範囲がホルダ502、506に対して利用できるが、造影剤が漏洩するほどに注射器ヘッド22に向けて容器を傾斜させることはできず、そして、注入チューブ510が容器504の底部に到達することを防止するほどに傾斜が僅かであることもできない。注入チューブ510が容器504の底部に到達することができない場合、造影剤が容器504から完全に除去されることもない。
【0035】
図3は、ヒータジャケット44を装着された容器ホルダ502、506の一例を示しているに過ぎず、容器ホルダ502、506は多くの方法で注射器ヘッド22に連結可能である。例えば、ホルダは、注射器ヘッドのハウジングの下方側、あるいは、表面プレートにさえ設けたり、保持したりすることができる。また、ホルダは、ヒータブランケットを保持するポストに取り付けることもできる。その場合、容器ホルダは、ヒータブランケットが取り付けられるのと同様な方法で注射装置に取り付けられる。特に、僅かに干渉する取付けにより、ホルダは簡易取付用の取付ポストに係止でき、清掃のための移動に工具を必要とすることなく、又、容器を必要としない注射装置の他の操作シーケンスを可能とする。また、ホルダは、注射器ヘッドに半永久的に固定されるようにしてヒンジ結合可能であり、他の操作シーケンスあるいは注射装置の保管の邪魔とならないように折り畳むことも可能である。また、注射装置に容器ホルダを装着することにより、困難で時間を浪費する仕事でオペレータをさらに悩ますことが無いように、工具を使用することなく自由に着脱できるようにすべきである。
【0036】
図4は、他の実施形態を示し、そこでは容器504はケージ602に保持されている。ケージはヒンジ606(この斜視図では一方のヒンジのみが視認可能)を介して支持アーム604に連結されている。具体例としてのヒンジ606は、支持アーム604の一部に回転自在に設けられる突出部で構成できる。注射装置が注入のために支持アームを方向付けするために回転されるので、ヒンジ606は、容器504が注射器ヘッド22に対して適切に方向付けされることを確実にする。
【0037】
支持アーム604は注射装置あるいはその表面プレートの開口610に適合可能である。支持アーム604を固定するため、ロックノブ608が使用でき、それは、固定する際、開口610に支持アーム604を摩擦係合する。
【0038】
図5は、造影剤容器を保持するための代替可能なクランプを示す。
【0039】
この実施形態では、ホルダは、周囲に係合する2つの半剛体のアーム702、例えば、注射器ヘッド22の圧力スリーブを備える。また、ホルダは、アーム702に一体的に形成された、さもなければ、アーム702に取り付けられた、バスケット部704を備える。ノブ706を締め付けることにより、アーム702は内方に曲がり、注入シーケンスの間、圧力スリーブを強固に保持する。
【0040】
図6は、他のタイプの取り外し可能な容器ホルダを示す。このホルダは、注射器ヘッドのハウジング22に付加されたブラケット802を利用する。また、このブランケット802は、製造時、ハウジングに一体的に形成可能である。ホルダは、造影剤容器504を保持するために円形開口808に移動するアーム部804を備える。フランジ806は、容器が落下することを防止するために円形開口808の下方に配置される。フランジ806は、(図示するように)環状又は直線状でよく、開口808を完全に横切ることができるか、あるいは、通路の一部に到達できるだけでもよい。
【0041】
上述の容器ホルダの実施形態は、当業者が容易に理解する多数の特徴を機能的に同様な多数の方法で実行することができることを示している。したがって、これらの実施形態は例示として提示されるものであり、示される特別な形態にのみに本発明を限定することを意図するものではない。
注入シーケンス
時折、シリンジに注入する際、注入シーケンスは、それがあまりに速く行われると、造影剤に空気が混入し、又、それがあまりに遅く行われると、シーケンスが完了するのに不当に時間がかかり過ぎるという問題が発生し得る。
【0042】
シリンジに注入する際、オペレータは、造影剤に空気が混入することを回避するように最大注入速度で注入を行うようにしている。この速度は、造影剤、その粘性、及び、注入チューブ内での空気の存在に、部分的に依存する。この速度が注射装置でプログラムでき、自動的に使用される場合、通常、オペレータは、造影剤での空気の存在可能性をさらに抑制するため、シリンジ注入を監視する。造影剤をシリンジに注入する速度を、注入チューブ内に空気が存在するときに達成可能な最大注入速度よりも速くすることを可能とする注入シーケンスが必要である。
【0043】
自動注入シーケンスの一例を図7のフローチャートに示す。勿論、ユーザは、本発明の範囲から逸脱することなく、同様に、手動注入シーケンスを行うこともできる。自動注入シーケンスの最初のステップ、すなわちステップ902は所望の注入量に注入することである。一旦、この値が注入されれば、ユーザはステップ904で自動注入シーケンスを開始させることができる。それに応じて、注射システムは、ステップ906で、シリンジをほぼ上方に向けた状態で、シリンジ内に少量の造影剤をゆっくりと引き込む。注射器ヘッドは、ヘッドの反対側の端部の上方に位置するシリンジを保持し、垂直から45°以下に傾斜させるために方向付けされ、ほぼ上方に位置させるべきであると考えられるが、傾斜角度は20°以下であるのが好ましい。少量の造影剤は、空気が混入しないようにするため、十分にゆっくりとした速度でシリンジ内に注入され、注入シーケンスを行うオペレータによって視認されるのに十分な量、一般には、少なくとも20mlである。
【0044】
一旦、少量の造影剤がシリンジ内に注入されれば、ステップ908で、注射システムは自動的に(あるいはオペレータの手動操作により)注射ラム(injectorram)の方向を反転させる。この結果、造影剤はシリンジから排出される。特に、ラムは、シリンジ内の流体の少なくとも一部が注入チューブを介して流動し、造影剤容器に再度入るように操作される。したがって、全ての空気が注入チューブ及びシリンジから排出される。
【0045】
ステップ910において、シリンジ及び注入チューブ内に空気がない状態で、注射システムはラムを駆動でき、空気が混入することに起因する気泡が発生するリスクが軽減された、プログラムされた容量が引き込まれる。造影剤が引き込まれる速度は、ステップ908で、空気が注入チューブ及びシリンジから予め排出されていない場合よりも速い。
【0046】
同様な技術を、容器内に残留する造影剤がシリンジに正確に注入されるのに必要とされる容量を供給するのに不十分であれば、ボトルを交換するために使用することができる。この技術は、図7のフローチャートのステップ912〜920に示されている。この技術自体は、注入シーケンスの間、造影剤容器を交換する方法としても使用され、図7に示すように、自動注入シーケンスの一部を構成することができる。
【0047】
注入時、ステップ912で、造影剤容器は空となってもよく、容器から最終量を排出する際、注入チューブ内に空気が流入してもよい。
【0048】
容器が空となれば、オペレータは、ステップ916で、注射システムの操作手段を使用して注入シーケンスを中止できる。オペレータが注入シーケンスを中止した結果、ラムが停止するので、空の容器は、ステップ918で、造影剤を有する新しい容器と交換することができる。
【0049】
続いて、注入シーケンスは、ステップ920で、オペレータによって再スタートできる。再スタートでは、ラムは自動的に注入チューブ及びシリンジの外部に空気を押し出すように反対方向に操作される。ステップ908で、システムから全ての空気を排除することが、シリンジから造影剤を新しい容器に再注入するまでに、この方向にラムを操作することによって確実なものとなる。一旦、全ての空気が排除されれば、ステップ910で、ラムの方向は、シリンジに注入するために造影剤を引き込むように反転可能である。造影剤を引き込むことができる速度は、空気が排除されていない場合よりも速い。ステップ914で、利用可能な新しい造影剤容器によりシリンジの注入が完了する。
【0050】
図7のフローチャートの説明には多くのステップでのオペレータの相互作用を含むが、これらのプロセスはオペレータが介入することなくステップを実行する注射システムの適切なプログラムによって自動化することができる。このように、注射システムをプログラムするため、シリンジと造影剤容器の間で使用される注入チューブの容積が仮定される。この容積を知ることにより、自動ルーチンは、少量がシリンジに到達するために十分な造影剤を引き込み、そして、造影剤を排出するのに十分な時間および速度でラムを反転させて、シリンジ及び注入チューブの双方から全ての空気が適切に排除されることを確実にすることが可能になる。
【0051】
また、図7のルーチンは、オペレータが造影剤容器を交換し、注入シーケンスを続行あるいは再開するために注射システムを指示すれば、注射装置はラムの方向と速度を制御することにより、自動的に十分な造影剤を排出し、注入チューブから空気を確実に除去し、より速い速度で造影剤をさらに引き込むためにラムを自動的に反転させる。
【0052】
本発明は種々の説明によって示されており、これらの実施形態は考え得る限り詳細に記載されてはいるが、そのような説明によって発明の範囲が制限されることは、本願の意図するところではない。当業者によってさらなる利点や変形が容易に行われることは明らかである。したがって、本発明の上位概念は、特別な説明、代表的なシステム、装置、方法、及び、図示及び記載された例によって制限されることはない。また、出願人の通常の発明概念の範囲から逸脱することなく、そのような説明から離れた解釈が可能である。
【符号の説明】
【0053】
20…注射装置
22…パワーヘッド
24…制御装置
26…パワーパック
28…表面プレート
29…駆動制御レバー
30…ディスプレイ
34…キャリッジ
35…支持アーム
36…シリンジ
37…プランジャ
38…圧力ジャケット
40…吐出先端
42…ヒータブラケット
44…ポスト
46…インジケータランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1造影剤容器がほぼ空となれば、シリンジのシリンジ注入シーケンスを停止するステップと、第1造影剤容器を第2造影剤容器と交換するステップと、シリンジと第2造影剤容器との間に連結された注入チューブからほぼ全ての空気を排出するステップと、その後、造影剤に空気が混入することを阻止する第1速度で第2造影剤容器からシリンジへの注入を再開するステップとを備え、前記第1速度は空気が注入チューブから予め排出されない場合の最大注入速度である第2速度よりも速い、シリンジ注入シーケンスの最中に、造影剤容器を交換するための方法。
【請求項2】
前記排出ステップは、さらに、シリンジ内の造影剤の一部を、注入チューブから第2造影剤容器へと排出するステップを含む請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記排出ステップは、さらに、シリンジからほぼ全ての空気を排出するステップを含む請求項に記載の方法。
【請求項4】
明細書または図面に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−10037(P2013−10037A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−229976(P2012−229976)
【出願日】平成24年10月17日(2012.10.17)
【分割の表示】特願2010−274142(P2010−274142)の分割
【原出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(595181003)マリンクロッド インコーポレイテッド (203)
【Fターム(参考)】