説明

造影剤

本発明は、プロテオグリカンに対して親和性を有する新規化合物及びかかる化合物を含む医薬品組成物を提供する。かかる化合物は、正に帯電した部分に結合したアミノ酸系のコア単位を含んでいる。かかる化合物はさらにインビボイメージングで検出可能な1以上のイメージング部分を含んでいるので、ヘパラン硫酸プロテオグリカンのようなプロテオグリカンのイメージングのための診断用造影剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテオグリカンに対して親和性を有する1群の化合物及びかかる化合物を含む医薬品組成物に関する。さらに詳しくは、これらの化合物はかかるプロテオグリカンを標的化する造影剤として使用できる。
【0002】
本発明はさらに、上述したような医薬品組成物の、診断イメージングにおける造影剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテオグリカンは体内に分布する巨大分子である。プロテオグリカンは細胞内、細胞表面上及び細胞外マトリックス中に見出すことができる。プロテオグリカンは、高度にグリコシル化された特殊な種類の糖タンパク質を表す。これらは、1以上の共有結合したグリコサミノグリカン鎖を有するコアタンパク質からなっている。これらのグリコサミノグリカン(GAG)鎖は、硫酸基及びウロン酸基の存在のために生理的条件下で負に帯電した長い線状炭水化物ポリマーである。
【0004】
ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は1群のプロテオグリカンである。これらは、コアタンパク質に結合したD−グルクロン酸(GlcUA)及びN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)の繰返し二糖(GAG)を含んでいる。個々のGAGのサイズは100kDaに達成することがある。GAGは、多くの糖残基上に硫酸基又はカルボキシル基或いはその両方が存在するため高度に負に帯電しており、結果としてHSPG全体が負に帯電している。
【0005】
グリコサミノグリカン(GAG)又はムコ多糖は、繰返し二糖単位からなる長い枝なしの多糖である。この単位はN−アセチルヘキソサミン及びヘキソース又はヘキスロン酸からなり、そのいずれか一方又は両方が硫酸化されていることがある。グリコサミノグリカン族のメンバーは、それが含有するヘキソサミン、ヘキソース又はヘキスロン酸単位の種類(例えば、グルクロン酸、イズロン酸、ガラクトース、ガラクトサミン、グルコサミン)が異なっている。これらはまた、グリコシド結合の幾何学的形状も異なっている。このような部類の炭水化物は、脊椎動物及び様々な下等動物の生命にとって必須又は重要である。
【0006】
GAGは、結合組織の重要な成分を形成している。
【0007】
プロテオグリカンのアップレギュレーションは、アルツハイマー病、大動脈瘤、アテローム性動脈硬化症、肝線維症、微小血管内皮腫及び癌(例えば、乳癌、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌及びウィルムス腫瘍)のような各種の疾患及び状態に関連している。
【0008】
以下の出版物によって例示されるように、いくつかの研究グループがインビボでのプロテオグリカン同定のための製品及び方法を発見することに活動してきた。
【0009】
国際公開第00/23109号(カリフォルニア大学評議員会)には、レポーター分子に結合されかつグリピカン(glypican)−1及びシンデカン(syndecan)−1に結合する結合分子(特に抗体)を含んでなるヒトの癌用の診断剤が提唱されている。
【0010】
米国特許出願公開第2002/0122806号(Chinnaiyanら)には、蛍光性又は化学発光性ポリペプチド及びコンドロイチン硫酸プロテオグリカン結合ポリペプチドを含んでなるキメラ分子(例えば、組換えポリペプチド)及び医薬品粗生成物並びに診断イメージングでのその使用が提唱されている。
【0011】
国際公開第88/03413号(New England Deaconess Hospital)は、放射性核種又は磁気共鳴イメージング成分で標識された、血管系の異常に関連する標的探索用の生物学的活性分子を記載している。生物学的活性分子は例えばコンドロイチン硫酸プロテオグリカンに対して親和性を有しており、抗体は好ましくはモノクローナル抗体である。
【0012】
国際公開第91/16919号(New England Deaconess Hospital)は、プロテオグリカンであり得る血管壁成分に対して親和性を有する血管関連タンパク質から導かれ、かつ検出可能な標識で標識できるペプチドに関する。
【0013】
米国特許第6991778号(Nitrosci)には、関節中に存在する軟骨のプロテオグリカンの可視化のために水溶性の正に帯電したニトロキシル官能化デンドリマーを用いて関節のイメージングを増強させるMRイメージング方法が提唱されている。
【0014】
プロテオグリカン、特にHSPGは、上述したような各種疾患の診断のための魅力的なマーカーである。HSPGの効率的な標的化及びイメージングのためには、標的構造に対して高い親和性を有する化学的に頑強で安定なベクターが要求される。これらの条件は本発明の化合物によって満たされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第02/00265号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願公開第0512844号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/090924号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】ZHANG ET AL: "Multiple-Peptide Conjugates for Binding ss-Amyloid Plaques of Alzheimer's Disease", BIOCONJUGSTE CHEMISTRY, vol.14, 2003, pages 86-92
【非特許文献2】MAGZOUB M ET AL:"CELL-PENETRATING PEPTIDES:SMALL FROM INCEPTION TO APPLICATION", QUARTERLY REVIEWS OF BIOPHYSICS, vol.37, no.2, 2004, pages 147-195
【非特許文献3】SANDGREN STAFFAN ET AL:"Nuclear targeting of macromolecular polyanions by an HIV-Tat derived peptide.Role for cell-surface proteoglycans", THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, vol.277, no.41, 2002, pages 38877-38883
【非特許文献4】MARTY C ET AL:"ENHANCED HEPARAN SULFATE PROTEOGLYCAN-MEDIATED UPTAKE OF CELL-PENETRATING PEPTIDE-MODIFIED LIPOSOMES", CMLS CELLULAR AND MOLECULAR LIFE SCIENCES, vol.61, no.14, 2004, pages 1785-1794
【非特許文献5】FOGED CAMILLA ET AL:"Cell-penetrating peptides for drug delivery across membrane barriers", EXPERT OPINION ON DRUG DELIVERY, vol.5, no.1, 2008, pages 105-117
【非特許文献6】COCKMAN ET AL:"Quantitative imaging of proteoglycan in cartilage using a gadolinium probe and microCT", OSTEOARTHRITIS AND CARTILAGE, vol.14, no.3, 2006, pages 210-214
【発明の概要】
【0017】
本発明は、プロテオグリカンに対して親和性を有する新規化合物及びかかる化合物を含む医薬品組成物を提供する。かかる化合物は、正に帯電した部分に結合したコア単位を含んでいる。かかる化合物はさらにインビボイメージングで検出可能な1以上のイメージング部分を含んでいるので、プロテオグリカンのイメージングのための診断用造影剤として有用であり、したがって変性疾患、心臓血管疾患及び癌のような医学的状態の診断において有用である。
【0018】
本発明の化合物を含んでなる医薬品組成物、その使用及びイメージング方法も、本発明の一部をなしている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の実施形態では、本発明は、プロテオグリカンに対して親和性を有する次の式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩を提供する。
R−S−C−(L−P) (I)
式中、
Cは、L単位に結合しているとともに、Sが存在する場合にはS単位に結合し、Sが存在しない場合にはR部分に結合したコア単位であって、アミノ酸残基を含むコア単位を表し、
Lは同一又は異なるもので、二官能性リンカー単位を表し、
Pは同一又は異なるもので、正に帯電したペプチド単位を表し、
Sはスペーサー単位を表し、
Rはイメージング部分を表し、
pは0又は1の整数を表し、
nは1〜16の整数を表す。
【0020】
本発明の様々な態様は、添付の特許請求の範囲中にさらに詳しく記載されている。
【0021】
Cは、L単位に結合しているとともに、Sが存在する場合にはS単位に結合し、Sが存在しない場合にはR部分に結合したコア単位であって、天然及び非天然アミノ酸のアミノ酸残基並びに任意にはアミンを含むコア単位を表す。アミノ酸はD−又はL−アミノ酸であり、好ましくはD−アミノ酸である。アミノ酸であるリシン、オルニチン及びジアミノプロピオン酸並びに次の式のアミンのようなアミンが好ましい。
【0022】
【化1】

アミン基は、アミノ酸連鎖上にグラフトするのが好ましい。好ましくは、Cは2〜16のアミノ酸残基を含み、最も好ましくは2〜8のアミノ酸残基を含む。
【0023】
さらに一段と好ましくは、単位Cはリシン残基を含み、任意には単位L及び単位S又は部分Rに対する部位特異的コンジュゲーションを容易にする官能基を含む他のアミノ酸のような追加の単位も含む。かかる官能基の例には、NH、OH、SH、ONH、NHNHがある。
【0024】
特に好ましい実施形態では、単位Cは2〜4のアミノ酸残基を含む。アミノ酸残基は、最も好ましくはリシン残基であり、その遊離C末端カルボキシル残基はアミド残基の形成によって官能化することができる。
【0025】
好ましいC単位の例には、
lys−lys−NH
lys−lys(lys)−lys−NH
がある。
【0026】
コア単位Cはまた、式(I)の化合物の生体分布を調整する単位を含むことができる。かかる単位はバイオモディファイアー単位といわれる。即ち、例えばエーテルの導入は、血漿タンパク質の結合を最小にするために役立つ。バイオモディファイアー単位はまた、ポリエチレングリコール(PEG)構成単位又は1〜10のアミノ酸残基のペプチド鎖或いはこれらの組合せからなることができ、インビボで式(I)の化合物の薬物動態及び血中クリアランス速度を調整するために機能する。かかるバイオモディファイアー単位の存在は、バックグラウンド組織(例えば、筋肉又は肝臓)及び/又は血液からのイメージング剤のクリアランスを加速又は減速し、それによりバックグラウンド妨害を少なくして一層良好な診断画像を与える。血中滞留時間を増加させるために使用した場合、これは化合物が罹患部位で標的成分と相互作用する確率を最大にするために有益である。バイオモディファイアー単位はまた、特定の排出経路(例えば、肝臓経由ではなく腎臓経由の排出)を有利にするためにも使用できる。
【0027】
上述の通り、Lは同一又は異なるもので、P単位をC単位に結合する二官能性リンカー単位を表し、好ましくはLは中性であるか又は負に帯電している。PEGリンカー単位が好ましい。C及びP単位への結合を容易にするため、PEG単位は末端基の位置で官能化することができる。かかる官能化の例には、カルボキシル化及びアミド化がある。
【0028】
LがPEG単位からなる場合、それは単分散PEG様構造体である次の式(II)の17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸のオリゴマー化から導かれる単位からなることが好ましい。
【0029】
【化2】

式中、qは1〜10の整数に等しく、これはアミノ酸のカルボキシ基又はアミノ基に結合している。
【0030】
次の式の単位L(「PEG12」という)も好ましい。
【0031】
【化3】

単位Pの各々は上述したように同一又は異なるもので、20以下のアミノ酸、好ましくは2〜16のアミノ酸を含んでいる。アミノ酸はD−又はL−アミノ酸である。
【0032】
単位Pの各々は全体として正に帯電している。かくして、Pは生理的pHで正に帯電した1以上のアミノ酸、好ましくは2以上のアミノ酸(常用又は非常用アミノ酸)からなる。P単位が生理的pHで全体として正の電荷を維持する限り、Pは生理的pHで中性のアミノ酸及び任意には1又は2の負に帯電したアミノ酸を含み得る。特に好ましいアミノ酸はアミノ酸模倣体も包含する。好ましい実施形態では、Pはアルギニン、アルギニン模倣体、リシン、グリシン、プロリン、オルニチン及びヒスチジンからなる群から選択される1以上のアミノ酸を含むが、その他各種のアミノ酸を使用できること並びにレセプター部位の親和性及びインビボでの結合部位のpHに応じてアミノ酸配列を変化できることは当業者にとって自明であろう。
【0033】
別の好ましい実施形態では、各々の単位Pは2以上の正電荷、さらに好ましくは3以上の正電荷、最も好ましくは4以上の正電荷を有する。全体として、式(I)の化合物は8以上の正電荷、好ましくは8〜32の正電荷を有するべきである。
【0034】
最も好ましくは、Pはグアニジン基又はグアニジン誘導基を含む1以上のアミノ酸を含んでいる。グアニジンは式(NH)C=NHを有し、中性pHではグアニジニウムイオンの形態で正に帯電している。かかるグアニジン基又はグアニジン誘導基を含むアミノ酸の例は、アルギニン、及びnorArg、Phe(4−グアニジン)、ホモアルギニン及びtransPro(4−アルギニン)のようなアルギニン模倣体である。他の正に帯電した非常用アミノ酸も使用できる。ペプチド単位PのN末端は、任意に封鎖することができる。
【0035】
単位Sは、単位Cをイメージング部分Rから遠ざけるスペーサーである。これは、イメージング部分が比較的バルキーである場合、例えばそれが金属錯体又は放射性ヨウ素原子を含む結果として式(I)の化合物の結合がイメージング部分によって損なわれる場合に特に重要である。これは、例えばアルキル鎖を含むことにより、イメージング部分が活性部位から離れて位置する自由を与えるような柔軟性を組み合わせることで達成できる。単位Sは、単位Lと同一又は類似のものであってよい。即ち、それはPEG単位であってよい。
【0036】
イメージング部分Rは、哺乳動物体の外部から検出できるか、或いはインビボで使用するために設計された検出器(例えば、内視鏡のような血管内放射線検出器又は光学検出器)又は手術中の使用のために設計された放射線検出器の使用によって検出できる「イメージング成分」を含んでいる。
【0037】
好ましいイメージング成分は、式(I)の化合物のインビボ投与後、外部から非侵襲的に検出できるものである。好ましくは、RはMR、SPECT、PET、光学イメージングモダリティ又はX線イメージングモダリティでイメージング可能なイメージング成分を含んでいる。最も好ましいのは放射性イメージング成分、とりわけ放射性金属イオン、γ放出型放射性ハロゲン及び陽電子放出型放射性非金属であり、特にSPECT又はPETを用いるイメージングに適したものである。また、光学イメージング用の染料からなるイメージング成分も特に好ましい。
【0038】
イメージング部分は、式(I)のS又はC単位に直接結合したイメージング成分(例えば、ハロゲン原子又は染料のような非金属の化学成分)自体からなり得る。イメージング成分が金属化合物(例えば、金属イオン)である場合、イメージング成分はS又はCに結合したイメージング部分(例えば、錯化剤)の一部である。このような状況では、イメージング部分Rはイメージング成分を含んでいる。
【0039】
イメージング成分は、好ましくは以下のものから選択される。
(i)放射性金属イオン、
(ii)常磁性金属イオン、
(iii)γ放出型放射性ハロゲン、
(iv)陽電子放出型放射性非金属、
(v)過分極NMR活性核、
(vi)インビボ光学イメージングに適したレポーター、
(vii)血管内検出に適したβ放射体。
【0040】
イメージング成分が放射性金属イオン(即ち、放射性金属)である場合、放射性金属という用語は、放射性の遷移元素及びランタニド及びアクチニド並びに金属主族元素を包含する。半金属であるヒ素、セレン及びテルルは除外される。好適な放射性金属は、64Cu、48V、52Fe、55Co、94mTc又は68Gaのような陽電子放射体、或いは99mTc、111In、113mIn又は67Gaのようなγ放射体であり得る。好ましい放射性金属は99mTc、64Cu、68Ga及び111Inである。最も好ましい放射性金属はγ放射体、特に99mTcである。
【0041】
イメージング成分が常磁性金属イオンである場合、好適なかかる金属イオンには、Gd(III)、Mn(II)、Cu(II)、Cr(III)、Fe(III)、Co(II)、Er(II)、Ni(II)、Eu(III)及びDy(III)がある。好ましい常磁性金属イオンはGd(III)、Mn(II)及びFe(III)であり、Gd(III)が特に好ましい。
【0042】
イメージング成分がγ放出型放射性ハロゲンである場合、放射性ハロゲンは好適には123I、131I及び77Brから選択される。好ましいγ放出型放射性ハロゲンは123Iである。
【0043】
イメージング成分が陽電子放出型放射性非金属である場合、好適なかかる陽電子放射体には、11C、13N、15O、17F、18F、75Br、76Br及び124Iがある。好ましい陽電子放出型放射性非金属は11C、13N、18F及び124Iであり、特に好ましくは11C及び18Fであり、最も好ましくは18Fである。
【0044】
イメージング成分が過分極NMR活性核である場合、かかるNMR活性核は非ゼロ核スピンを有し、13C、15N、19F、29Si及び31Pを包含する。これらのうち、13Cが好ましい。「過分極」という用語は、NMR活性核の分極度がその平衡分極を超えて増強されていることを意味する。(12Cに対する)13Cの天然存在度は約1%であり、好適な13C−標識化合物は過分極前に好適には5%以上、好ましくは50%以上、最も好ましくは90%以上の存在度に富化される。
【0045】
イメージング成分がインビボ光学イメージングに適したレポーターである場合、レポーターは光学イメージング手続きで直接又は間接に検出できる任意の成分である。レポーターは、光散乱剤(例えば、着色又は無着色粒子)、吸光剤又は発光剤であり得る。さらに好ましくは、レポーターは発色団又は蛍光化合物のような染料である。染料は、紫外域ないし近赤外域の波長をもった電磁スペクトル中の光と相互作用する任意の染料であり得る。最も好ましくは、レポーターは蛍光特性を有する。
【0046】
好ましい有機発色性及び発蛍光性レポーターには、広範な非局在化電子系を有する群、例えばシアニン類、メロシアニン類、インドシアニン類、フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、トリフェニルメチン類、ポルフィリン類、ピリリウム染料、チアピリリウム染料、スクアリリウム染料、クロコニウム染料、アズレニウム染料、インドアニリン類、ベンゾフェノキサジニウム染料、ベンゾチアフェノチアジニウム染料、アントラキノン類、ナフトキノン類、インダスレン類、フタロイルアクリドン類、トリスフェノキノン類、アゾ染料、分子内及び分子間電荷移動染料及び染料錯体、トロポン類、テトラジン類、ビス(ジチオレン)錯体、ビス(ベンゼン−ジチオレート)錯体、インドアニリン染料、ビス(S,O−ジチオレン)錯体がある。緑色蛍光タンパク質(GFP)及び異なる吸収/発光特性を有するGFPの変種のような蛍光タンパク質も有用である。特定の状況においてはある種の希土類金属(例えば、ユウロピウム、サマリウム、テルビウム又はジスプロシウム)の錯体が使用され、蛍光ナノ結晶(量子ドット)についても同様である。
【0047】
使用できる発色団の具体例には、フルオレセイン、スルホローダミン101(Texas Red)、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン19、インドシアニングリーン、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy**、Cy7、Marina Blue、Pacific Blue、Oregon Green 88、Oregon Green 514、テトラメチルローダミン、Alexa Fluor 350、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750及びこれらの誘導体がある。
【0048】
特に好ましいのは、400nmないし3μm、特に600〜1300nmの可視域又は近赤外域に吸収極大を有する染料である。光学イメージングモダリティ及び測定技法には、特に限定されないが、ルミネセンスイメージング、内視鏡検査、蛍光内視鏡検査、光学コヒーレンス断層撮影、透過率イメージング、時間分解透過率イメージング、共焦点イメージング、非線形顕微鏡検査、光音響イメージング、音響光学イメージング、スペクトル分析、反射スペクトル分析、干渉分析、コヒーレンス干渉分析、拡散光学断層撮影及び蛍光媒介拡散光学断層撮影(連続波、時間ドメイン及び周波数ドメインシステム)、並びに光の散乱、吸光、偏光、ルミネセンス、蛍光寿命、量子収率及び消光の測定がある。
【0049】
イメージング成分が例えば血管内検出に適したβ放射体である場合、かかるβ放射体には、放射性金属である67Cu、89Sr、90Y、153Sm、186Re、188Re及び192Ir、並びに非金属である32P、33P、38S、38Cl、39Cl、82Br及び83Brがある。
【0050】
イメージング成分が金属イオンからなる場合、金属イオンは金属錯体として存在する。「金属錯体」という用語は、金属イオンと1以上のリガンドとの配位錯体を意味する。金属錯体は動力学的に安定であり、したがってキレート交換に耐えること(即ち、金属配位座に関して他の潜在的に競合するリガンドとのリガンド交換を受けにくいこと)が極めて好ましい。
【0051】
キレート交換に耐える金属錯体を形成するために本発明で使用するのに適したリガンドには、2〜6(好ましくは2〜4)の金属ドナー原子が(金属ドナー原子を結合する炭素原子又は非配位ヘテロ原子の非配位主鎖を有することで)五員又は六員のキレート環を生じるように配列されたキレート剤、或いは金属イオンと強く結合するドナー原子を含む単座リガンド(例えば、イソニトリル、ホスフィン、チオール又はジアゼニド)がある。キレート剤の一部として金属とよく結合するドナー原子種の例は、アミン、チオール、アミド、オキシム及びホスフィンである。ホスフィンは非常に強い金属錯体を形成するので、単座又は二座のホスフィンでも好適な金属錯体を形成する。イソニトリル及びジアゼニドの直線形状はキレート剤中に組み込みにくいものであり、したがって通例は単座リガンドとして使用される。好適なイソニトリルの例には、tert−ブチルイソニトリルのような単純アルキルイソニトリル、及びmibi(即ち、1−イソシアノ−2−メトキシ−2−メチルプロパン)のようなエーテル置換イソニトリルがある。好適なホスフィンの例には、テトロフォスミン(Tetrofosmin)、及びトリス(3−メトキシプロピル)ホスフィンのような単座ホスフィンがある。好適なジアゼニドの例には、HYNIC系列のリガンド(即ち、ヒドラジン置換ピリジン又はニコチンアミド)がある。
【0052】
好ましいリガンドは、キレート剤並びに動力学的に安定な金属錯体を形成する単座リガンド(例えば、ホスフィン、イソニトリル及びジアゼニド)である。最も好ましいリガンドは、上記に定義したようなキレート剤である。
【0053】
キレート交換に耐える金属錯体を形成するテクネチウム用の好適なキレート剤の例には、特に限定されないが、以下のものがある。
【0054】
(i)次の式(III)のジアミンジオキシム。
【0055】
【化4】

式中、E〜Eは各々独立にR'基であり、各R'はH或いはC1−10アルキル、C3−10アルキルアリール、C2−10アルコキシアルキル、C1−10ヒドロキシアルキル、C1−10フルオロアルキル、C2−10カルボキシアルキル又はC1−10アミノアルキルであり、或いは2以上のR'基がそれらに結合した原子と共に炭素環式又は複素環式の飽和又は不飽和環を形成し、R'基の1以上は枝分れ単位にコンジュゲートされており、Qは式−(J)−(式中、fは3、4又は5であり、各Jは−(J)−が−O−又は−NR'−である最大1つのJ基を含むことを条件にして独立に−O−、−NR'−又は−C(R')−である。)の橋かけ基である。
【0056】
好ましいQ基は以下の通りである。
Q=−(CH)(CHR')(CH)−(即ち、プロピレンアミンオキシム又はPnAO誘導体)、
Q=−(CH(CHR')(CH−(即ち、ペンチレンアミンオキシム又はPentAO誘導体)、
Q=−(CHNR(CH−。
【0057】
〜Eは、好ましくはC1−3アルキル、アルキルアリール、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、フルオロアルキル、カルボキシアルキル及びアミノアルキルから選択される。最も好ましくは、各E〜E基はCH−である。
【0058】
枝分れ単位は、好ましくはE又はEのR'基或いはQ基のR'基にコンジュゲートされている。最も好ましくは、枝分れ単位はQ基のR'基にコンジュゲートされている。枝分れ単位がQ基のR'基にコンジュゲートされている場合、R'基は好ましくはブリッジヘッドの位置にある。その場合、Qは、好ましくは−(CH)(CHR)(CH)−、−(CH(CHR')(CH−又は−(CHNR'(CH−であり、最も好ましくは−(CH)(CHR)(CH−である。
【0059】
特に好ましい二官能性ジアミンジオキシムキレーターは次の式を有する。
【0060】
(i)
【0061】
【化5】

式中、単位C又はSの一方はブリッジヘッドの−CHCHNH基を介してコンジュゲートされる。
【0062】
さらに他の好ましいキレーターには、以下のものがある。
【0063】
(ii)MAG(メルカプトアセチルトリグリシン)のようなチオールトリアミドドナーセット又はPicaのようなジアミドピリジンチオールドナーセットを有するNSリガンド及び関連するリガンド。
【0064】
(iii)BAT又はECD(即ち、エチルシステイネート二量体)のようなジアミンジチオールドナーセット或いはMAMAのようなアミドアミンジチオールドナーセットを有するNリガンド。
【0065】
(iv)シクラム、モノオキソシクラム又はジオキソシクラムのようなテトラアミン、アミドトリアミン又はジアミドジアミンドナーセットを有する開鎖又は大環状リガンドであるNリガンド。
【0066】
(v)ジアミンジフェノールドナーセットを有するNリガンド。
【0067】
上述のリガンドはテクネチウム(例えば、94mTc又は99mTc)を錯体化するために特に適しており、Jurissonら[Chem.Rev.,99,2205−2218(1999)]によって一層詳しく記載されている。かかるリガンドは、銅(64Cu又は67Cu)、バナジウム(例えば、48V)、鉄(例えば、52Fe)或いはコバルト(例えば、55Co)のような他の金属に対しても有用である。他の好適なリガンドはSandozの国際公開第91/01144号に記載されており、その中にはインジウム、イットリウム及びガドリニウムに対して特に好適なリガンド(特に大環状アミノカルボキシレート及びアミノホスフィン酸リガンド)が含まれる。ガドリニウムの非イオン性(即ち、中性)金属錯体を形成するリガンドも知られており、米国特許第4,885,363号に記載されている。放射性金属イオンがテクネチウムである場合、リガンドは好ましくは四座のキレート剤である。テクネチウム用の好ましいキレート剤は、ジアミンジオキシム或いは上述のようなN又はNSドナーセットを有するものである。
【0068】
単位Pは、結合が血中において容易に代謝を受けないようにして金属錯体に結合していることが好ましい。それは、標識化合物が所望のインビボ標的部位に到達する前に、かかる代謝が金属錯体の離脱をもたらすからである。したがって、単位Pは容易に代謝されない結合Sを介して金属錯体に共有結合すればよい。
【0069】
イメージング成分が放射性ハロゲン(例えば、ヨウ素)である場合、枝分れ単位は好適には、(放射性ヨウ素交換を可能にするための)アリールヨージド又はブロミドのような非放射性ハロゲン原子、有機金属前駆体化合物(例えば、トリアルキルスズ又はトリアルキルシリル)、或いはトリアゼンのような有機前駆体又は求核置換のための良好な脱離基(例えば、ヨードニウム塩)を含むように選択される。(HI及びOFFを含む)放射性ハロゲンを導入する方法は、Bolton[J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)]によって記載されている。放射性ハロゲン(特にヨウ素)を結合できる好適なアリール基の例を以下に示す。
【0070】
【化6】

これらの基はいずれも、芳香環上への容易な放射性ヨウ素置換を可能にする置換基を含んでいる。放射性ヨウ素を含む代わりの置換基は、放射性ハロゲン交換による直接ヨウ素化で合成できる。イメージング剤がヨウ素の放射性同位体である場合、飽和脂肪族系に結合したヨウ素原子はインビボでの代謝を受けやすく、したがって放射性ヨウ素の損失を招きやすいことが知られているので、放射性ヨウ素原子は好ましくはベンゼン環のような芳香環への直接共有結合によって結合される。
【0071】
イメージング部分がフッ素の放射性同位体(例えば、18F)を含む場合、放射性ハロゲン化は、18F−フッ化物と良好な脱離基を有する適当な前駆体(例えば、アルキルブロミド、アルキルメシレート又はアルキルトシレート)との反応を用いる直接標識によって実施できる。18Fはまた、18F(CHOMs(式中、Msはメシレートである)のようなアルキル化剤でアミン前駆体をアルキル化してN−(CH18Fを得るか、或いはF(CHOMs又は18F(CHBrでヒドロキシル基をO−アルキル化することによっても導入できる。18Fはまた、18F(CHOH反応体でN−ハロアセチル基をアルキル化して−NH(CO)CHO(CH18F誘導体を得ることによっても導入できる。アリール系に関しては、アリールジアゾニウム塩、アリールニトロ化合物又はアリール第四級アンモニウム塩からの18F−フッ化物求核置換が、アリール−18F誘導体への好適な経路である。
【0072】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩において、
コア単位Cが、アミノ酸であるリシン、オルニチン及びジアミノプロピオン酸並びにアミンを含み、
リンカーLが同一のものであって、PEG結合単位からなり、
単位Pが同一のものであって、2〜8の正電荷及び20以下のアミノ酸を含み、
Sが存在するか又は存在せず、存在する場合にはアルキル鎖又はPEG単位からなり、
Rが以下のイメージング成分(i)〜(vii)の1つを含み、
(i)放射性金属イオン、
(ii)常磁性金属イオン、
(iii)γ放出型放射性ハロゲン、
(iv)陽電子放出型放射性非金属、
(v)過分極NMR活性核、
(vi)インビボ光学イメージングに適したレポーター、
(vii)血管内検出に適したβ放射体、
pが0又は1の整数を表し、
nが1〜4の整数を表す
ものが提供される。
【0073】
一般式(I)の化合物は、当業者にとって公知であるいくつかの合成経路により、商業的に入手可能な出発原料から合成できる。単位C及びPは公知の化学合成方法を用いて合成できる。自動ペプチド合成機を用いるメリフィールドの固相法(J.Am.Chem.Soc.,85:2149(1964))が特に有用である。合成戦略のための標準手順は、E.Atherton & R.C.Sheppard,“Solid phase peptide sysnthesis:a practical approach”,1989,IRL press,Oxfordに記載されている。
【0074】
固相技法によるペプチドの合成は、任意にはリンカー単位を介して固相支持体に結合される保護アミノ酸を順次に付加することに基づいている。常用される一方法では、α−アミノ基を酸不安定基又は塩基不安定基で適宜に保護する。第1のアミノ酸残基の付加及びカップリング後、α−アミノ保護基を除去する。追加の保護アミノ酸誘導体又はペプチドフラグメントを順次に付加することで鎖を伸長する。
【0075】
次の式(Ia)の化合物は、全自動合成方法を用いてアセンブルできる。
−C−(L−P)
式(Ia)
式中、S、p、C、L、P及びnは上記の意味を有し、該化合物は非ペプチドリンカー単位、S(存在する場合)及びPを含んでいる。追加の段階では、通常の合成方法によってイメージング部分RをS又はC単位にカップリングする。上述の通り、非金属イメージング成分はC単位に直接カップリングすることができ、或いはそれを担体(例えば、ヨウ素元素に関してはアリール基)に結合できる。イメージング成分が金属イオンである場合、適当な錯化剤をS又はC単位にカップリングし、塩又は酸化物の形態の金属イオンを現行の技術で知られる手順(例えば、国際公開第03/006070号)に従って錯化剤を担持する化合物に付加する。
【0076】
本発明に係る化合物の製造は、構成単位及び段階合成に準拠し得る。コアCを第1の構成単位として使用するが、前記コアはL及びS又はRの結合を可能にする反応基で置換されている。L又はその前駆体を置換された第1の構成単位と反応させることで、コアC及びLからなる第2の構成単位を形成する。この反応のため、Lは、第1の構成単位の反応基と反応して前記第1の構成単位へのLの結合をもたらすることができる反応基を含んでいる。次の段階では、P又はその前駆体を第2の構成単位に結合することで、コアC、L及びPからなる第3の構成単位を形成する。存在する場合、S又はその前駆体を第3の構成単位に結合することで、S、コアC、L及びPからなる第4の構成単位を形成する。Sが存在するか否かに応じ、R又はその前駆体を第3又は第4の構成単位に結合する。
【0077】
かくして、本発明に係る化合物の製造方法は以下の段階を含んでなる。
a)L及びS又はRの結合を可能にする反応基で置換されたコア単位Cを第1の構成単位として使用する段階、
b)L又はその前駆体を前記第1の構成単位と反応させて、コアC及びLからなる第2の構成単位を形成する段階、
c)P又はその前駆体を前記第2の構成単位と反応させて、コアC、L及びPからなる第3の構成単位を形成する段階、
d)任意にはS又はその前駆体を前記第3の構成単位と反応させて、S、コアC、L及びPからなる第4の構成単位を形成する段階、並びに
e)R又はその前駆体を前記第3又は第4の構成単位と反応させる段階。
【0078】
本発明の式(I)の化合物は、プロテオグリカンに対して親和性を有している。プロテオグリカングループの例は、シンデカン−1及びGPC1(膵臓癌でアップレギュレートされるもの)、シンデカン−2(結腸癌でアップレギュレートされるもの)並びにシンデカン−4(肝細胞癌でアップレギュレートされるもの)がある。本発明の好ましい化合物はHSPGに対して親和性を有しており、HSPGのグルコサミノグリカン(GAG)の負電荷と相互作用することでこれらを標的化する。式(I)の化合物の構造化ペプチド配列Pは、GAGの繰返し棒状構造と整合して交差結合標的化効果を生じる。ペプチド構造Pは、1本のGAG鎖の複数の領域と結合するか、或いは複数のGAG鎖と交差結合することができる。これにより、ただ1つの正電荷をもったペプチド鎖を有する化合物より高い結合親和性が得られる。
【0079】
イメージング部分は、化合物をインビボで哺乳動物体に投与した後に検出することができる。投与のためには、式(I)の化合物は、インビボ注射に適した無菌組成物として、或いは経口投与のため又は直腸及び子宮のような生体ダクトへの投与に適した組成物として処方される。
【0080】
第2の態様では、本発明は、上述したような化合物を哺乳動物への投与に適した形態で生体適合性キャリヤーと共に含んでなる医薬品組成物を提供する。「生体適合性キャリヤー」は、毒性又は過度の不快感なしに哺乳動物体に投与できる生理学的に許容される形態の組成物を与えるようにして化合物を懸濁又は溶解し得る流体(特に液体)である。生体適合性キャリヤーは、好適には、無菌の無発熱原性注射用水、(有利には注射用の最終生成物が等張性又は非低張性になるように平衡させ得る)食塩水のような水溶液、或いは1種以上の張度調整物質(例えば、生体適合性対イオンを有する血漿陽イオンの塩)、糖(例えば、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(例えば、ソルビトール又はマンニトール)、グリコール(例えば、グリセロール)又は他の非イオン性ポリオール物質(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなど)の水溶液のような注射可能なキャリヤー液体である。
【0081】
本発明はさらに、診断イメージング方法での医薬品組成物の使用を提供する。かかる方法は、ヒト又はヒト以外の動物の身体に医薬品組成物を投与する段階を含んでいる。身体を診断装置で検査し、検査からデータをコンパイルする。データを用いて画像を生み出し、かつ診断に到達することを容易にするために必要であれば、データをさらに処理できる。データは、上述したようなプロテオグリカンのアップレギュレーションに関連する疾患及び状態の可視化及び同定のために使用できる。組成物は、無菌組成物の注射又は輸液によって投与でき、或いは経口投与のため又は直腸及び子宮のような生体ダクトへの投与に適した組成物として投与できる。
【0082】
さらに別の態様では、本発明はまた、ヒト又はヒト以外の動物の身体の診断イメージング方法であって、上述の医薬品組成物を予め投与したヒト又はヒト以外の動物の身体のイメージングを行うことを含んでなる方法を提供する。この実施形態では、医薬品組成物はイメージング方法又はイメージング処理において使用される。この場合、「予め投与した」という用語は、医療資格者が組成物を患者に投与することを要求する任意の段階が既に実施されていることを意味する。
【0083】
さらに別の態様では、本発明は、ヒト又は動物の身体の画像を生成する方法であって、開示されたような化合物又はかかる化合物を含む医薬品組成物をヒト又はヒト以外の動物の身体に投与する段階、及び前記化合物が分布した前記身体の少なくとも一部の画像を生成する段階を含んでなる方法を提供する。
【実施例】
【0084】
以下の略語を使用する。
Ac: アセチル
Arg: アルギニン
Boc: tert−ブトキシカルボニル
Dde: 1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシ−1−リデン)エチル
DMF: ジメチルホルムアミド
Fmoc: 9−フルオレニルメトキシカルボニル
Glu: グルタミン酸
Gly: グリシン
HATU: N−[(ジメチルホルムアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ−[4,5b]ピリジン−1−イルメチレン]−N−メチルメタナミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド
HBTU: 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOAt: 1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
HPLC: 高速液体クロマトグラフィー
Lys: リシン
NMM: N−メチルモルホリン
Ot−Bu: tert−ブトキシド
Pbf: 2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン5−スルホニル
PEG: ポリエチレングリコール
PEG4: 17−アミノ−5−オキソ−6−アザ−3,9,12,15−テトラオキサヘプタデカン酸
PEG12: 39−アミノ−4,7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37−ドデカオキサプロピオン酸
PyAOP: (7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
Pro: プロリン
TFA: トリフルオロ酢酸
TIS: トリイソプロピルシラン
Rink Amide(商標):ポリスチレン系樹脂
実施例1〜8は、pがゼロに等しい場合の式(Ia)の化合物に相当する式C−(L−P)の中間体の製造を例示している。実施例9〜13は、式(I)の化合物を例示している。
【0085】
実施例1
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys−NHの合成
【0086】
【化7】

Rink Amide MBHA樹脂(Novabiochem社、0.58mmole/g、スケール=0.10mmole=0.172g)から出発して、Fmoc−D−Lys(Boc)−OH、Fmoc−D−Lys(Dde)−OH及びFmoc PEG12のアセンブリを手作業で行った。ペプチドの合成中におけるFmoc基の除去はジメチルホルムアミド(Rathburn社)中20%ピペリジン(Fluka社)を用いて行い、Dde保護基はDMF中2%ヒドラジン(Aldrich社)を用いて除去した。Fmoc−D−Lys(Boc)−OH(Novabiochem社、141mg、0.3mmole)をHATU(Applied Biosystems社、114mg、0.3mmole)及びDMF中の4−メチルモルホリン(Fluka社、66μL、0.6mmole)で予備活性化した後、樹脂にカップリングした。次のアミノ酸のカップリングは、Fmoc−D−Lys(Dde)−OH(Novabiochem社、266.3mg、0.5mmole)、HATU(Applied Biosystems社、190mg、0.5mmole)及びDMF中の4−メチルモルホリン(Fluka社、110μL、1.0mmole)並びに39−(Fmoc−アミノ)−4,7,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37−ドデカオキサプロピオン酸(Polypure社、336mg、0.4mmole)、HATU(Applied Biosystems社、152mg、0.4mmole)及びDMF中の4−メチルモルホリン(Fluka社、88μL、0.8mmole)を用いて同様に実施した。
【0087】
残りのアミノ酸配列(D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−Gly−D−Arg(Pbf))のアセンブリは、Applied Biosystems社からの1mmoleアミノ酸カートリッジを使用しながら全自動合成機(ABI 433A)を用いて行った。カップリングに先立ち、HBTU(Applied Biosystems社)を用いてアミノ酸を予備活性化した。DMF中で無水酢酸(Merck社、10eq)及び4−メチルモルホリン(Fluka社、20eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で6時間実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:60分で10〜25%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物を精製した。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜25%B;流量:1.0ml/分;保持時間:11.8分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1050.7[M−3H]のm/z値を得た。
【0088】
実施例2
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−Gly−D−Glu−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Glu−Gly−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys−NHの合成
【0089】
【化8】

NovaPEG Rink Amide樹脂(Novabiochem社、0.62mmole/g、スケール=0.05mmole=0.081g)を使用しながら、全自動合成機(Liberty CEMマイクロ波ペプチド合成機)を用いてアミノ酸配列D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−Gly−D−Glu(Ot−Bu)−PEG12−D−Lys(−PEG12−D−Glu(Ot−Bu)−Gly−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Lys(Boc)のアセンブリを行った。カップリングに先立ち、HBTU(Applied Biosystems社)を用いてアミノ酸(Iris Biotech社及びNovabiochem社)を予備活性化した。ジメチルホルムアミド(Rathburn社)中で無水酢酸(Merck社、10eq)及び4−メチルモルホリン(Fluka社、20eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で一晩実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で00〜30%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物の半分を精製することで13.1mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜45%B;流量:1.0ml/分;保持時間:8.8分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1761.8[M−2H]のm/z値を得た。
【0090】
実施例3
Ac−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−PEG4−D−Lys(PEG4−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−Ac)−D−Lys−NHの合成
【0091】
【化9】

NovaPEG Rink Amide樹脂(Novabiochem社、0.62mmole/g、スケール=0.05mmole=0.081g)を使用しながら、全自動合成機(Liberty CEMマイクロ波ペプチド合成機)を用いてアミノ酸配列(D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−PEG4−D−Lys(PEG4−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf))−D−Lys(Boc)のアセンブリを行った。カップリングに先立ち、HBTU(Applied Biosystems社)を用いてアミノ酸(Iris Biotech社及びNovabiochem社)を予備活性化した。ジメチルホルムアミド(Rathburn社)中で無水酢酸(Merck社、10eq)及び4−メチルモルホリン(Fluka社、20eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で一晩実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜30%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物の半分を精製することで21.8mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜25%B;流量:1.0ml/分;保持時間:9.6分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1824.4[M−2H+3TFA]のm/z値を得た。
【0092】
実施例4
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−k(Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac))−D−Lys−NHの合成
【0093】
【化10】

NovaPEG Rink Amide樹脂(Novabiochem社、0.62mmole/g、スケール=0.025mmole=0.040g)を使用しながら、全自動合成機(Liberty CEMマイクロ波ペプチド合成機)を用いてアミノ酸配列(D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf))−D−Lys(D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)))−D−Lys(Boc)のアセンブリを行った。カップリングに先立ち、HBTU(Applied Biosystems社)を用いてアミノ酸(Iris Biotech社及びNovabiochem社)を予備活性化した。ジメチルホルムアミド(Rathburn社)中で無水酢酸(Merck社、10eq)及び4−メチルモルホリン(Fluka社、20eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で一晩実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で00〜30%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物の1/4を精製することで2.8mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜40%B;流量:1.0ml/分;保持時間:9.0分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。
【0094】
実施例5
Ac−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−PEG4(PEG4−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−Ac)−k(Ac−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−PEG4−D−Lys(PEG4−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−D−Pro−D−Arg−Ac))−D−Lys−NHの合成
【0095】
【化11】

NovaPEG Rink Amide樹脂(Novabiochem社、0.62mmole/g、スケール=0.025mmole=0.040g)を使用しながら、全自動合成機(Liberty CEMマイクロ波ペプチド合成機)を用いてアミノ酸配列(D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−PEG4(PEG4−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf))−D−Lys(D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−PEG4−D−Lys(PEG4−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)−D−Pro−D−Arg(Pbf)))−D−Lys(Boc))のアセンブリを行った。カップリングに先立ち、HBTU(Applied Biosystems社)を用いてアミノ酸(Iris Biotech社及びNovabiochem社)を予備活性化した。ジメチルホルムアミド(Rathburn社)中で無水酢酸(Merck社、10eq)及び4−メチルモルホリン(Fluka社、20eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で一晩実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で00〜30%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物の半分を精製することで6.8mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜25%B;流量:1.0ml/分;保持時間:10.5分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。
【0096】
実施例6
Ac−D−Arg−D−Lys−D−Lys−D−Arg−D−Arg−D−Orn−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−D−Glu−D−Glu−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Glu−D−Glu−D−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−D−Orn−D−Arg−D−Arg−D−Lys−D−Lys−D−Arg−Ac)−D−Cys−NHの合成
【0097】
【化12】

0.05mmolのNovaPEG Rink Amide樹脂(Novabiochem社)から出発するFmoc化学を用いて、CEM Libertyマイクロ波ペプチド合成機上でアミノ酸配列D−Arg(Pbf)−D−Lys(Boc)−D−Lys(Boc)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Orn(Boc)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−D−Glu(OtBu)−D−Glu(OtBu)−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Glu(OtBu)−D−Glu(OtBu)−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Orn(Boc)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Lys(Boc)−D−Lys(Boc)−D−Arg(Pbf))−D−Cys(Trt)をアセンブルした。各カップリング段階では、インサイチュ活性化のためにHATU(GenScript Corp.)、HOAt(GenScript Corp.)及びDIEA(Fluka社)を使用しながら、0.4mmolのアミノ酸(Iris Biotech社、Fluka社及びNovabiochem社)を適用した。ジメチルホルムアミド(Rathburn社)中で無水酢酸(Merck社、10eq)及びDIEA(Fluka社、11eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で一晩実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜50%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物の半分を精製することで純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna 3μ C18(2)20×2mm;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:5分で10〜50%B;流量:0.6ml/分;保持時間:1.77分;検出:214nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1593.3[M3H3+]のm/z値を得た。
【0098】
実施例7
Ac−D−Arg−D−Lys−D−Lys−D−Arg−D−Arg−D−Orn−D−Arg−D−Arg−D−Arg−PEG12−D−Lys(PEG12−D−D−Arg−D−Arg−D−Arg−D−Orn−D−Arg−D−Arg−D−Lys−D−Lys−D−Arg−Ac)−D−Cys−NHの合成
【0099】
【化13】

0.05mmolのNovaPEG Rink Amide樹脂(Novabiochem社)から出発するFmoc化学を用いて、CEM Libertyマイクロ波ペプチド合成機上でアミノ酸配列D−Arg(Pbf)−D−Lys(Boc)−D−Lys(Boc)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Orn(Boc)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−PEG12−D−Lys(PEG12−D−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Orn(Boc)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Lys(Boc)−D−Lys(Boc)−D−Arg(Pbf))−D−Cys(Trt)をアセンブルした。各カップリング段階では、インサイチュ活性化のためにHATU(GenScript Corp.)、HOAt(GenScript Corp.)及びDIEA(Fluka社)を使用しながら、0.4mmolのアミノ酸(Iris Biotech社、Fluka社及びNovabiochem社)を適用した。ジメチルホルムアミド(Rathburn社)中で無水酢酸(Merck社、10eq)及びDIEA(Fluka社、11eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で一晩実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜35%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物の半分を精製することで純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna 3μ C18(2)20×2mm;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:5分で10〜30%B;流量:0.6ml/分;保持時間:2.80分;検出:214nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1265.3[(M4H+8TFA)4+]のm/z値を得た。
【0100】
実施例8
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys−NHの合成
【0101】
【化14】

0.05mmolのNovaPEG Rink Amide樹脂(Novabiochem社)から出発するFmoc化学を用いて、CEM Libertyマイクロ波ペプチド合成機上でアミノ酸配列D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−PEG12−D−Lys(PEG12−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−Gly−Gly−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf)−D−Arg(Pbf))−D−Lys(Boc)をアセンブルした。各カップリング段階では、インサイチュ活性化のためにHATU(GenScript Corp.)、HOAt(GenScript Corp.)及びDIEA(Fluka社)を使用しながら、0.4mmolのアミノ酸(Iris Biotech社、Fluka社及びNovabiochem社)を適用した。ジメチルホルムアミド(Rathburn社)中で無水酢酸(Merck社、10eq)及びDIEA(Fluka社、11eq)を用いて樹脂をアセチル化した。樹脂からの側鎖保護基及びペプチドの同時除去は、2.5%の水及び2.5%のトリイソプロピルシラン(Aldrich社)を含むトリフルオロ酢酸(Fluka社)中で一晩実施した。樹脂を濾過によって取り除き、濾液を真空中で蒸発させた。残留物にジエチルエーテル(Eternell社)を添加した。得られた沈殿をエーテルで洗浄し、空気乾燥した。逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜35%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物の半分を精製することで純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna 3μ C18(2)20×2mm;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:5分で10〜30%B;流量:0.6ml/分;保持時間:2.19分;検出:214nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、808.5[(M6H+3TFA)6+]のm/z値を得た。
【0102】
実施例9
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(−PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys(COCHNH−His−OH)−NH及びその99mTc錯体の合成
【0103】
【化15】

ジメチルホルムアミド(Rathburn社、0.6mL)中の(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル−カルボキシメチル−アミノ)−3−(1−トリチル−1H−イミダゾール−4−イル)プロピオン酸tert−ブチルエステル(1.0mg、1.6μmole)、PyAOP(Applied Biosystems社、0.86mg、1.6μmole)及びジイソプロピルエチルアミン(Fluka社、0.55μL、3.2μmole)に、実施例1からのペプチド(3.4mg、1.1μmole)を添加した。溶液を一晩放置した後、(ジメチルホルムアミドを含む)粗生成物を逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜40%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)によって精製した。質量分析法を用いて特性決定を実施したところ、1438.0[M−3H+5TFA]のm/z値が得られた。キレート上の保護基は、トリフルオロ酢酸(Fluka社)(95%)、水(2.5%)及びトリイソプロピルシラン(Aldrich社)(2.5%)を用いて除去した。1時間後に減圧下でTFAを蒸発させ、逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%HCOOH及びB=CHCN/0.1%HCOOH;勾配:30分で00〜20%B;流量:5ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物を精製することで1.5mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜40%B;流量:1.0ml/分;保持時間:8.7分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1672.3[M−2H]のm/z値を得た。
【0104】
こうして得られた式Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(−PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys(COCHNH−His−OH)−NHの生成物を、カルボン酸基及びイミダゾールを介して99mTcと配位させる。
【0105】
実施例10
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(−PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys(COCHCH(CHNHCHCHNH)−NH及びその99mTc錯体の合成
【0106】
【化16】

ジメチルホルムアミド(Rathburn社、0.6mL)中のN−スクシンイミジル−4−(2−アミノ−エチルアミノ)−3−[(2−アミノ−エチルアミノ)−メチル]ブチレート(1.2mg、1.6μmole)、HOAt(GenScript Corp.,0.20mg、1.6μmole)及びジイソプロピルエチルアミン(Fluka社、0.55μL、3.2μmole)に、実施例1からのペプチド(3.4mg、1.1μmole)を添加した。溶液を一晩放置した後、(ジメチルホルムアミドを含む)粗生成物を逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜50%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)によって精製した。質量分析法を用いて特性決定を実施したところ、1440.2[M−3H+5TFA]のm/z値が得られた。キレート上の保護基は、トリフルオロ酢酸(Fluka社)(97.5%)及び水(2.5%)を用いて除去した。1時間後に減圧下でTFAを蒸発させ、逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜40%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて粗生成物を精製することで1.9mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜40%B;流量:1.0ml/分;保持時間:8.5分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1674.8[M−2H]のm/z値を得た。
【0107】
例えば国際公開第03/006070号からの公知方法を用いて、放射性イメージング成分(好ましくは99mTc)を付加することができる。
【0108】
実施例11
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(−PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys((3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)−NH及びそのヨウ素化誘導体の合成
【0109】
【化17】

ジメチルホルムアミド(Rathburn社、0.6mL)中の3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Sigma社、0.40mg、1.6μmole)及びジイソプロピルエチルアミン(Fluka社、0.55μL、3.2μmole)に、実施例1からのペプチド(3.4mg、1.1μmole)を添加した。溶液を一晩放置した後、逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜50%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて(ジメチルホルムアミドを含む)粗生成物を精製することで2.0mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜40%B;流量:1.0ml/分;保持時間:9.7分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1289.4[M−3H+5TFA]のm/z値を得た。
【0110】
ヨウ素化誘導体:
【0111】
【化18】

ヨウ素誘導体を製造するためには、Bolton[J.Lab.Comp.Radiopharm.,45,485−528(2002)]によって記載された方法を用いてフェノール基のオルト位にヨウ素原子を導入すればよい。
【0112】
実施例12
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(−PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys(Cy5.5)−NHの合成
【0113】
【化19】

N−メチルピロリドン(Applied Biosystems社、0.25mL)に溶解したCy5.5 NHSエステル(GE Healthcare社、1.5mg、1.3μmole)及びsym−コリジン(Fluka社、1.2μL、9.1μmole)の溶液に、ジメチルホルムアミド(Rathburn社、0.25mL)に溶解した実施例1からのペプチド(2.8mg、0.89μmole)を添加し、透明な青色の反応混合物を遮光して一晩撹拌した。次いで、反応混合物を水/0.1%TFA(6mL)で希釈し、逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で00〜40%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて生成物を精製することで1.1mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜25%B;流量:1.0ml/分;保持時間:16.5分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1350.4[M−3H]のm/z値を得た。
【0114】
実施例13
Ac−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−PEG12−D−Lys(−PEG12−D−Arg−Gly−Gly−Gly−D−Arg−D−Arg−D−Arg−Ac)−D−Lys(Cy5**)−NHの合成
【0115】
【化20】

N−メチルピロリドン(Applied Biosystems社、0.25mL)に溶解したCy5** NHSエステル(GE Healthcare社、1.8mg、1.3μmole)及びsym−コリジン(Fluka社、1.2μL、9.1μmole)の溶液に、ジメチルホルムアミド(Rathburn社、0.25mL)に溶解した実施例1からのペプチド(2.8mg、0.89μmole)を添加し、透明な青色の反応混合物を遮光して一晩撹拌した。次いで、反応混合物を水/0.1%TFA(6mL)で希釈し、逆相分取クロマトグラフィー(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−P0;溶媒:A=水/0.1%TFA及びB=CHCN/0.1%TFA;勾配:40分で10〜40%B;流量:10ml/分;検出:214nm及び254nm)を用いて生成物を精製することで1.2mgの純化合物を得た。分析HPLC(Phenomenex Luna C18カラム,00G−4252−E0;溶媒:A=水+0.1%TFA/B=CHCN+0.1%TFA;勾配:20分で10〜25%B;流量:1.0ml/分;保持時間:14.5分;検出:214nm及び254nm)を用いて特性決定を行った。質量分析法を用いて追加の特性決定を実施することで、1340.6[M−3H]のm/z値を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテオグリカンに対して親和性を有する次の式Iの化合物及びその薬学的に許容される塩。
R−S−C−(L−P) (I)
式中、
Cは、L単位に結合しているとともに、Sが存在する場合にはS単位に結合し、Sが存在しない場合にはR部分に結合したコア単位であって、アミノ酸残基を含むコア単位を表し、
Lは同一又は異なるもので、二官能性リンカー単位を表し、
Pは同一又は異なるもので、正に帯電したペプチド単位を表し、
Sはスペーサー単位を表し、
Rはイメージング部分を表し、
pは0又は1の整数を表し、
nは1〜16の整数を表す。
【請求項2】
コア単位Cが、アミノ酸であるリシン、オルニチン及びジアミノプロピオン酸並びにアミンを含み、
リンカーLが同一のものであって、PEG結合単位からなり、
単位Pが同一のものであって、2〜8の正電荷及び20以下のアミノ酸を含み、
Sが存在するか又は存在せず、存在する場合にはアルキル鎖又はPEG単位からなり、
Rが以下のイメージング成分(i)〜(vii)の1つを含み、
(i)放射性金属イオン、
(ii)常磁性金属イオン、
(iii)γ放出型放射性ハロゲン、
(iv)陽電子放出型放射性非金属、
(v)過分極NMR活性核、
(vi)インビボ光学イメージングに適したレポーター、
(vii)血管内検出に適したβ放射体、
pが0又は1の整数を表し、
nが1〜4の整数を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Cが2〜16のアミノ酸残基を含む、請求項1又は請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Cが2〜4のリシン残基を含み、遊離末端カルボキシル残基はアミド残基の形成によって官能化されている、請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
Lが末端基の位置においてカルボキシル化及び/又はアミド化により官能化されたPEGリンカーからなる、請求項1又は請求項2記載の化合物。
【請求項6】
Lが次の式(II)のPEGリンカーからなり、式(II)中のqは1〜10の整数に等しく、リンカーはアミノ酸のカルボキシ基及びアミノ基に結合している、請求項5記載の化合物。
【化1】

【請求項7】
Lが次の式のPEGリンカーからなる、請求項5記載の化合物。
【化2】

【請求項8】
Pが2〜16のアミノ酸を含み、2以上のアミノ酸が生理的pHで正電荷を有する、請求項1又は請求項2記載の化合物。
【請求項9】
Rが(i)放射性金属イオン、(ii)常磁性金属イオン及び(iii)γ放出型放射性ハロゲンから選択され、金属イオンはキレート化剤によって結合される、請求項1又は請求項2記載の化合物。
【請求項10】
Rが次の式(III)のキレーターでキレート化された放射性金属イオンから選択される、請求項9記載の化合物。
【化3】

式中、E〜Eは各々独立にR′基であり、各R′はH或いはC1−10アルキル、C3−10アルキルアリール、C2−10アルコキシアルキル、C1−10ヒドロキシアルキル、C1−10フルオロアルキル、C2−10カルボキシアルキル又はC1−10アミノアルキルであり、或いは2以上のR′基がそれらに結合した原子と共に炭素環式又は複素環式の飽和又は不飽和環を形成し、R′基の1以上は枝分れ単位にコンジュゲートされており、Qは式−(J)−(式中、fは3、4又は5であり、各Jは−(J)−が−O−又は−NR′−である最大1つのJ基を含むことを条件にして独立に−O−、−NR′−又は−C(R′)−である。)の橋かけ基である。
【請求項11】
Pが0の整数を表し、nが2又は4の整数を表す、請求項2記載の化合物。
【請求項12】
放射性金属成分(好ましくは99mTc)とキレート化した、次の構造を有する式(I)の化合物。
【化4】

【請求項13】
光学イメージングに適した次の構造を有する式(I)の化合物。
【化5】

【請求項14】
次の式(Ia)の中間体であって、
C−(L−P) (Ia)
次の構造を有する中間体。
【化6】




【請求項15】
ヘパラン硫酸プロテオグリカンに対して親和性を有する、請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の化合物及び1種以上の薬学的に許容されるキャリヤー又は賦形剤を含んでなる医薬品組成物。
【請求項17】
ヒト又は動物の身体の画像を生成する方法であって、請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の化合物をヒト又はヒト以外の動物の身体に投与する段階、及び前記化合物が分布した前記身体の少なくとも一部の画像を生成する段階を含んでなる方法。
【請求項18】
請求項1乃至請求項13のいずれか1項記載の化合物を含む医薬品組成物を予め投与したヒト又は動物の身体の画像を生成する方法であって、前記造影剤組成物が分布した前記身体の少なくとも一部の画像を生成する段階を含んでなる方法。
【請求項19】
請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の化合物の製造方法であって、
f)L及びS又はRの結合を可能にする反応基で置換されたコア単位Cを第1の構成単位として使用する段階、
g)L又はその前駆体を前記第1の構成単位と反応させて、コアC及びLからなる第2の構成単位を形成する段階、
h)P又はその前駆体を前記第2の構成単位と反応させて、コアC、L及びPからなる第3の構成単位を形成する段階、
i)任意にはS又はその前駆体を前記第3の構成単位と反応させて、S、コアC、L及びPからなる第4の構成単位を形成する段階、並びに
j)R又はその前駆体を前記第3又は第4の構成単位と反応させる段階
を含んでなる方法。

【公表番号】特表2010−513476(P2010−513476A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542685(P2009−542685)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/NO2007/000451
【国際公開番号】WO2008/075968
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】