説明

造血器新生物および白血病の治療のためのベンゾジアゼピン誘導体

混合系統白血病、転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患、または非MLLに基づいた急性リンパ性白血病を治療するための方法および医薬が提供され、使用される活性剤は、GSK−3阻害剤7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造血器新生物の化学療法に関する。
【背景技術】
【0002】
白血病の骨髄、リンパおよび混合系統は、少なくとも1つの染色体異常の結果として生じるクローン新生物である。それらの異常は遺伝子構造および機能の変化を生じる。治療計画は、一般に、併用して、または連続して投与されるいくつかの化学療法剤を含む。メシル酸イマチニブ、ニロチニブおよびダサチニブなどの近年の進歩により、慢性骨髄性白血病患者における進行する時間および全生存が改善されてきている。これらの進歩にも関わらず、特定の薬剤、または薬剤の組み合わせの治療有効性は、しばしば、さらなる遺伝的異常および/または後成的異常が獲得されるので、維持されない。慢性骨髄性白血病および他の造血器悪性腫瘍を治療するためのより有効な化学療法剤が望まれる。
【0003】
グリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)は、正常な静止細胞におけるセリン/トレオニンキナーゼ構成的活性であり、その活性の阻害により調節される。GSK3は、種々の細胞機能を調節することが知られている種々のシグナル変換ネットワークに関与する。調節因子としてGSK3を使用する経路の異常は疾患の病因に関与し、これにより、インスリン非依存性糖尿病、アルツハイマー病および他の神経変性疾患、および発達障害などの種々の治療用途のためにGSK3特異的阻害剤を開発する試みが促進されている。複数の経路におけるその関与に起因して、GSK3阻害の適切な有効性は、治療用途のための阻害剤の開発において重要な要因である。
【0004】
最近、特定のGSK3阻害剤が、特定の固形腫瘍種類において特定の化学療法剤の効果を増強することが報告されているが、それ自体で有用な抗腫瘍活性を欠いている(特許文献1)。
【0005】
GSK3は、遺伝的に規定された転座した混合系統白血病(MLL白血病)を維持する役割を果たすこともまた開示されている(非特許文献1)。この同じ報告はまた、特定のGSK3阻害剤化合物によって遺伝的に規定された転座したMLL白血病におけるGSK3阻害を開示している。GSK−3阻害剤[(3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン(SB216763)、およびGSK−3阻害剤IX、(2’Z,3’E)−6−ブロモインジルビン−3’−オキシム(「GSK3−IX」)は、証明されている陽性結果と述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2009/006043号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Wangら,Nature,455,1205−1210(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それ自体、治療活性を示し、特定の種類の白血病を罹患している白血病患者の治療における効果を改善する、白血病に選択的な化学療法剤についての必要性が存在している。GSK3β阻害剤7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]−ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンは、選択的であり、それ自体が治療活性を有し、いくつかの種類の白血病に対して、SB216763およびGSK3−IXより効果を向上させることが証明されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、混合系統白血病;転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患;または非MLLに基づいた急性リンパ性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明の第2の態様は、混合系統白血病;転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;または転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0011】
本発明の第3の態様は、混合系統白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0012】
本発明の第4の態様は、転座した混合系統白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要する白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0013】
本発明の第5の態様は、転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0014】
本発明の第6の態様は、転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0015】
本発明の第7の態様は、非MLLに基づいた慢性骨髄性増殖性疾患を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0016】
本発明の第8の態様は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病;赤白血病;または慢性骨髄性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0017】
本発明の第9の態様は、非MLLに基づいた赤白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0018】
本発明の第10の態様は、非MLLに基づいた慢性骨髄性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0019】
本発明の第11の態様は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0020】
本発明の第12の態様は、非MLLに基づいた急性リンパ性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0021】
本発明の第13の態様は、非MLLに基づいたJAK2(+)慢性骨髄増殖性疾患を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0022】
本発明の第14の態様は、非MLLに基づいたフィラデルフィア陽性慢性骨髄性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、そのような治療を必要とする患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法を提供する。
【0023】
本発明の第15の態様は、混合系統白血病、転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患;または非MLLに基づいた急性リンパ性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0024】
本発明の第16の態様は、混合系統白血病、転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;または転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0025】
本発明の第17の態様は、混合系統白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0026】
本発明の第18の態様は、転座した混合系統白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0027】
本発明の第19の態様は、転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0028】
本発明の第20の態様は、転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0029】
本発明の第21の態様は、非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0030】
本発明の第22の態様は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病;赤白血病;または慢性骨髄性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0031】
本発明の第23の態様は、非MLLに基づいた赤白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0032】
本発明の第24の態様は、非MLLに基づいた慢性骨髄性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0033】
本発明の第25の態様は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0034】
本発明の第26の態様は、非MLLに基づいたJAK2(+)慢性骨髄増殖性疾患の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0035】
本発明の第27の態様は、非MLLに基づいたフィラデルフィア陽性慢性骨髄性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0036】
本発明の第28の態様は、非MLLに基づいた急性リンパ性白血病の治療のための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。
【0037】
本発明の第29の態様は、混合系統白血病;転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患;または非MLLに基づいた急性リンパ性白血病の治療に使用するための化合物7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を提供する。特定の実施形態において、白血病は、転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた急性骨髄性白血病、赤白血病、または慢性骨髄性白血病から選択される非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患;非MLLに基づいた急性骨髄性白血病;あるいは非MLLに基づいた慢性骨髄性白血病である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
化合物7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンは、国際公開第03/076442号パンフレットにおいてGSK−3βの阻害剤であることが教示されており、その文献において、3−(9−フルオロ−6−(ピペリジン−1−イル)カルボニル)−6,7−ジヒドロ−6H−[1,4]ジアゼピノ−[6,7,1−hi]インドール−1−イル)−4−(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)−2,5−ジオキソピロール(実施例365、113ページ)と称されている。上記の2つの命名法は同義語であるとみなされ、各々は以下の構造:
【化1】

と同一であるとみなされている。
【0039】
化合物1は塩基であり、従って、複数の無機酸および有機酸のいずれかと反応して、薬学的に受容可能な酸付加塩を形成し得る。本発明の化合物の薬学的に受容可能な酸付加塩およびそれらを調製するための一般的な方法論は当該技術分野において周知である。例えば、P.Stahlら,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,(VCHA/Wiley−VCH,2002);S.M.Bergeら,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,1977年1月を参照のこと。好ましい薬学的に受容可能な酸としては、HCl、HBr、硫酸およびメタンスルホン酸が挙げられる。
【0040】
化合物1は、例えば、水(水和物および二水和物)、メタノール、およびエタノールとともに溶媒和物を形成する。好ましい溶媒和物はエタノールとともに形成されるものである。
【0041】
本明細書に使用される場合、用語「患者」とは哺乳動物を意味し;「哺乳動物」とは、高等脊椎動物の哺乳類の分類を意味し;用語「哺乳動物」には、限定されないが、ヒトが含まれる。好ましい患者はヒトである。
【0042】
本明細書に使用される場合、用語「骨髄」および「骨髄性」は、交換可能に使用される。同様に、「リンパ」および「リンパ性」は、交換可能に使用される。
【0043】
また本明細書に使用される場合、用語「それ自体」とは、独立した治療有効性を意味する。白血病治療の効果を得るか、または促進するために第2の活性な腫瘍化学療法剤を同時投与する必要はないが、そのような同時投与が所望されてもよい。
【0044】
癌ゲノムが染色体レベルにおいて異常である程度にかなりのばらつきがある。一部の癌は、単一の特徴的な染色体異常により特徴付けられるが、他の癌は、多数の異常および非常に複雑な核型を有する。上皮派生などの固形腫瘍において、細胞遺伝学的解析により、多くの構造的染色体異常が確認されている。これは、比較的少数が原因として関連し、再発する、造血器悪性腫瘍と対照的である。大部分の再発性染色体異常は、固形腫瘍と対照的である造血器悪性腫瘍に見出される。欠失および増幅は、造血器悪性腫瘍と対照的に、進行性の遺伝的不安定性および複合的な一揃いのゲノム異常の獲得と共に、固形腫瘍により特徴的である。
【0045】
「非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患」は、造血幹細胞の獲得されたクローン異常であり、真性赤血球増加症、骨髄線維症、本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病を含み、ならびに赤白血病を含む。幹細胞が、骨髄性細胞、赤血球細胞、および血小板細胞を生じさせるので、定性的および定量的変化が、多能性幹細胞から専用の細胞型の前駆幹細胞までの成熟課程において異常が生じる場所に応じて1つ、2つまたは全てのそれらの細胞株に見られ得る。一部の疾患(例えば、慢性骨髄性白血病)において、特定の特徴的な染色体変化が見られる。慢性骨髄増殖性疾患は、定義された臨床および検査上の特徴を有する特徴的な症候群を生み出す。
【0046】
非MLLに基づいた真性赤血球増加症は、全ての3つの造血細胞株、最も顕著には赤血球系細胞の過剰産生を引き起こす。赤血球産生はエリスロポエチンと無関係である。Janusキナーゼ2、染色体バンド9p24、(JAK2(+))、細胞シグナル伝達分子における変異は、発症に関与すると考えられ、診断の基準である。
【0047】
非MLLに基づいた骨髄線維症は、骨髄の線維症、脾腫、および涙滴状異型赤血球増加を有する白血赤芽球末梢血像によって特徴付けられる。骨髄線維症に応答して、髄外造血が、肝臓、脾臓およびリンパ節において生じる。JAK2(JAK2(+))およびそのシグナル伝達経路の異常は、発症に関与すると考えられる。
【0048】
非MLLに基づいた本態性血小板血症は、高い血小板数を生じる骨髄における巨核球の著しい増殖により特徴付けられる。高い頻度のJAK2変異(JAK2(+))は患者において見られ、発症に関与すると考えられる。
【0049】
非MLLに基づいた慢性骨髄性白血病(CML)は、骨髄性細胞の過剰産生により特徴付けられる。これらの骨髄性細胞は分化についての能力を保持し、正常な骨髄機能は初期段階の間保持される。CMLは、高い頻度で、特定の染色体異常および特定の分子異常により特徴付けられる。フィラデルフィア染色体は、第9番染色体長腕と第22番染色体長腕との間の相互転座である。22qの大きい部分は9qに転座され、9qの小さい部分は22qに移動される。転座される9qの部分は、abl、アベルソンマウス白血病ウイルスの細胞ホモログである癌原遺伝子を含む。abl遺伝子は、22q、切断点クラスター(bcr)上の特定の部位で受容される。融合遺伝子bcr/ablは、チロシンキナーゼ活性を有するという点で、abl遺伝子の正常な転写産物とは異なる新規タンパク質を産生する。bcr/abl融合遺伝子が病原の原因となる証拠は、ほとんど常に白血病を生じる遺伝子を導入したトランスジェニックマウスモデルにより与えられる。この転座の存在は、フィラデルフィア陽性と称される。初期のCML(慢性期)において、正常な骨髄機能が保持され、白血球が分化し、一部の質的異常にも関わらず、好中球が感染に正常に抵抗する。しかしながら、CMLは、本質的に不安定であり、治療しないと、加速期、次いで従来の急性骨髄性白血病から形態学的に区別できない急性期または急性転化期まで進行する。この進行は、付加的な遺伝的異常および/または後成的異常の獲得に関連付けられる。
【0050】
非MLLに基づいた骨髄異形成症候群は、造血幹細胞の後天性クローン性疾患の群である。それらは、血球減少、過形成骨髄、ならびに多くの形態学的異常および細胞学的異常により特徴付けられる。典型的に、形態学的異常は2つ以上の造血幹細胞に存在する。それらの疾患は、典型的に、特発性であるが、細胞毒性を有する化学療法の後に見られ得る。単一の特定の染色体異常は骨髄異形成に見られないが、第5番染色体長腕ならびに第5番染色体と第7番染色体の欠失に関する頻繁な異常が存在する。増殖性症候群を有する非MLLに基づいた骨髄異形成は、慢性骨髄単球性白血病(CMML)と呼ばれる。
【0051】
非MLLに基づいた急性骨髄性白血病(AML)は、MLL白血病誘発に基づかない1つ以上の骨髄性造血前駆細胞の悪性腫瘍である。これらの細胞は、制御されていない形式で増殖し、正常な骨髄要素と置き換わる。ほとんどの場合、はっきりした原因がないが、放射線および一部の毒素が白血病誘発性である。加えて、多くの化学療法剤が白血病を引き起こす場合がある。多くの場合、毒素または化学療法曝露が、第5染色体と第7染色体または染色体11q23における異常と関連付けられた後、白血病が見られる。最も一般的な細胞遺伝学的異常は、原因として、非MLLに基づいたAMLが、AML1/ETO融合遺伝子を産出するt(8;21)(q22;q22);CBFβ/MYH11融合遺伝子を産出するInv(16)(p13q22);種々のRARα含有融合遺伝子を産出するt(16;16)(p13;q22)、t(15;17)(q21;q11)、t(11;17)(q23;q11)、t(5;17)(q35;q12−21)、t(11;17)(q13;q21)、およびt(17;17)(q11;q21);5/5q−;−7/7q−;17p abnまたはi(17q);del(20q);dmins hsrs;+13;Ribophorin/EVI1融合遺伝子を産出するInv(3)(q21q26)、およびt(3;3)(q21;q26)であることが関係している。アウエル小体、細胞質に含まれる好酸球針状は、特徴的な非MLLに基づいた急性骨髄性白血病(AML)である。白血病細胞は、それらが由来するか、または基づいている系統の性質を保持する。AML細胞は、通常、CD13またはCD33などの骨髄抗原を発現する。
【0052】
非MLLに基づいた急性リンパ性白血病(ALL)は、MLL白血病誘発に基づかないリンパ性造血前駆細胞の悪性腫瘍である。上記のように、白血病細胞は、それらが由来するか、または基づいている系統の性質を保持する。B系統の非MLLに基づいたALL細胞は、全てのB細胞に共通のCD19などのリンパ性抗原を発現し、ほとんどの場合、共通のALL抗原としても知られているCD10も発現する。T系統の非MLLに基づいたALL細胞は、通常、CD3、4、または8などの成熟T細胞マーカーを発現しないが、CD2、5、および7の一部の組み合わせを発現し、表面免疫グロブリンを発現しない。非MLLに基づいたALL細胞は、頻繁に、末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)を発現する。最も頻度の高い再発性遺伝子サブタイプとしては、TEL−AML1;BCR−ABL;E2A/PBX1;IgH/MYC;TCR ab(7q35)またはTCR gd(14q11)lociに関する多数の転座;lq欠失;SIL−SCLおよびNOTCH変異が挙げられる。
【0053】
非MLLに基づいたAMLは、いくつかの方法で特徴付けられている。FAB(French,American,British)分類は、骨髄形態および以下のような組織化学に基づく:急性未分化白血病(M0)、急性骨髄芽球性白血病(M1)、分化状態の急性骨髄芽球性白血病(M2)、急性前骨髄球性白血病(APL)(M3)、急性骨髄単球性白血病(M4)、急性単芽球性白血病(M5)、赤白血病(M6)、および巨核芽球性白血病(M7)。世界保健機構は、細胞遺伝学、分子、および免疫表現型の情報を組み込んでいる白血病および他の血液悪性腫瘍の分類を提供している(International Classification of Diseases for Oncology,第3版,Percyら,2000)。
【0054】
非MLLに基づいたALLは、以下:一般的なB細胞、およびT細胞のような免疫学的表現型によって分類され得る。非MLLに基づいたAMLと同様に、特定の毒素、放射線および化学療法剤が、非MLLに基づいたALLを引き起こし得る。
【0055】
混合系統白血病(骨髄性リンパ性白血病;MLL)は、非MLLに基づいたAMLおよび非MLLに基づいたALLの両方の特徴を有する。MLLは、非MLLに基づいたALLおよび非MLLに基づいたAMLとは異なった遺伝子発現プロファイルを特定する(Armstrongら,Nature Genetics,30,41−47(2002))。MLLは、バンドq23(MLL遺伝子)にて第11番染色体における再発性染色体異常、転座され得るか、または11q23が内部複製され得る、異なる染色体領域由来の遺伝子を有するバンドq23にて第11番染色体長腕(q)に関する染色体融合から生じ得る。MLL融合を発現する白血病は、高い頻度で悪性であり、化学療法に対して抵抗性がある。これらの融合は、再配列されるMLL遺伝子を生じるように転座させ得る。MLLの転座した遺伝子融合は、転座したMLLに基づいたAMLまたは転座したMLLに基づいたALLのいずれかを引き起こし得る。例えば、MLL−AF9の転座した遺伝子融合は、限定されないが、頻繁に、AML(転座したMLLに基づいたAML)を引き起こす。他の転座したMLLに基づいたAMLに関連するMLLの転座した遺伝子融合は、MLL−AF10およびMLL−ELLを含む。転座したMLLに基づいたALLに関連する転座したMLL遺伝子融合はMLL−AF4である。
【0056】
ヒトの癌における細胞遺伝学的異常の広範な目録が蓄積され、維持され、定期的にオンラインで更新されている(米国国立癌研究所(NCI)癌ゲノム解析プロジェクト(CGAP)の癌における染色体異常のミッテルマンデータベースのウェブサイト:http://cgap.nci.nih.govを参照のこと)。そのデータベースは、本発明の造血器悪性腫瘍についての染色体異常を含む。ウェルカムトラストサンガーインスティチュート癌ゲノムプロジェクト(The Wellcome Trust Snager Institute Cancer Genome Project)は、原因として腫瘍形成が関係している、全てのヒト遺伝子の詳細なオンラインの「癌遺伝子調査」(http://www.sanger.ac.uk/genetics/CGP/Censusを参照のこと)、およびヒトの癌における体細胞変異のCOSMIC(癌における体細胞変異の目録)データベース(http://www.sanger.ac.uk/genetics/CGP/cosmicを参照のこと)を維持している。原因として白血病が関係している細胞遺伝学的変化に関する豊富な情報を含むさらなるソースは、腫瘍学および血液学における遺伝学および細胞遺伝学のアトラス(http://atlasgeneticsoncology.org//Anomalies/Anomliste.html#MDS)である。それらのデータベースはまた、本発明の造血器悪性腫瘍についての染色体異常を含む。癌遺伝子調査データベースの代替のソースは、Holland−Frei Cancer Medicine,第7版,(2006),表8−1(骨髄疾患における最も高い頻度の再発性染色体異常について表8−4、ならびにBおよびT細胞全ての最も高い頻度の再発性遺伝子サブタイプについて表8−5も参照のこと)であり、COSMICデータベースは、Forbesら,Br.J.Cancer,2006,94(2),318−22である。
【0057】
完全な血球数、骨髄穿刺および生検、免疫表現型検査ならびに他の検査による造血器悪性腫瘍の診断は公知であり、慣例的に使用されている。高分割染色体バンドおよび進歩した染色体画像化技術に加えて、造血器悪性腫瘍の擬似患者における染色体異常は、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、染色体分析、分光による染色体分析(SKY)、多重FISH(M−FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(CGH)、単一ヌクレオチド多型アレイ(SNP Chips)ならびに当業者によって知られており、使用されている他の診断および分析検査などの細胞遺伝学的解析により決定され得る。
【0058】
上述の遺伝的染色体異常以外に、白血病の各々はまた、DNAメチル化、ゲノムインプリンティングを含むゲノムの後成的修飾、およびアセチル化、メチル化、またはリン酸化によるヒストン修飾を含み得る。後成的修飾は、悪性腫瘍において重要な役割を果たし得る。
【0059】
用語「有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物」は、標的白血病細胞を破壊するか、または患者における白血病の進行を遅延もしくは停止するかのいずれかに必要な化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の投与量を意味するものである。化合物1またはその薬学的に受容可能なもしくは溶媒和物の予測される投与量は、5〜600mg/患者/日の範囲である。好ましい投与量は、50〜400mg/患者/日の範囲であると予測される。最も好ましい投与量は、100〜400mg/患者/日の範囲であると予測される。患者を治療するのに必要な正確な投与量は、疾患の段階および重症度ならびに個々の患者の特定の必要性および反応を考慮して医師により決定される。
【0060】
以下のインビトロおよびインビボでの研究は、種々の特定の白血病細胞株に対する化合物1のそれ自体の治療活性および改善された効果を実証する。
【実施例】
【0061】
インビトロでの有効性の実施例
アポトーシスまたはプログラム細胞死は、生化学反応のセットにより特徴付けられ、そのうちの1つはカスパーゼの誘導である。活性化カスパーゼは、細胞恒常性および修復を担う重要な酵素を無効にする切断事象のカスケードに関与するプロテアーゼである。カスパーゼ3および7は、アポトーシスにおいて重要なエフェクターの役割を果たし、蛍光生化学アッセイによって検出および測定され得る。細胞におけるカスパーゼ−3/7活性の増加は、アポトーシス活性に直接相関する(D.W.Nicholsonら,Nature,376,37−43(1995))。Promega Apo−ONEホモジニアスカスパーゼ−3/7アッセイキットを使用する(カタログ番号G7791)。30mMのHEPES(N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)pH7.4、150mMのNaCl、50mMのKCl、10mMのMgCl、0.4mMのEGTA(エチレングリコール四酢酸)、0.5%のNonidet P40(オクチルフェノールポリ(エチレングリコールエーテル))、0.1%のCHAPS(3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート水和物および10%のスクロースからなるアッセイバッファーは、培養細胞およびプロフルオレセントローダミン110に結合された、カスパーゼ3/7基質、Z−DEVD(Z−Asp(OMe)−Glu(OMe)−Val−Asp(OMe))を溶解/透過する。バッファー−基質混合物が試験サンプルに加えられると、カスパーゼ3/7活性によるDEVDペプチドの切断およびその後の除去により、490nmにおける励起により検出される、ローダミン110離脱基の強い蛍光が得られる。蛍光産物の量は、サンプル中のカスパーゼ3/7切断活性の量に比例する。
【0062】
試験化合物のアポトーシス効果を測定するために、腫瘍細胞を、96ウェルプレートにおいて1×10個の細胞/ウェルにて播種し、5%COを用いて37℃にて一晩インキュベートする。腫瘍細胞を、未処理/陰性対照ウェルを含む、三連で所望の濃度にて試験化合物で処理する。アッセイプレートを48時間、再びインキュベートする。インキュベーション時間の終わりに、アッセイバッファーと基質の混合物を各サンプルウェルに加える。各ウェルにおける蛍光を、480+/−20nmの励起波長および530+/−25nmの発光波長にて測定する。処理した細胞におけるカスパーゼ活性の増加%を、未処理の対照に対して算出する。
【0063】
細胞生存率を、代謝的に活性な細胞におけるATPの定量に基づいて生存細胞数を算出する方法である、CellTiter−Glo(登録商標)発光細胞生存アッセイ(Promega,カタログ番号G7570)により決定する。細胞を溶解した後、基質ルシフェリンの一原子酸素添加が、Mg2+、ATPおよび分子酸素の存在下で酵素ルシフェラーゼにより触媒され、アッセイウェルにおける生存細胞の数に比例する発光信号の生成を生じる。
【0064】
化合物での処理後の細胞の生存率を測定するために、腫瘍細胞を、96ウェルプレートにおいて2×10/ウェルにて播種し、5%CO2を用いて37℃にて一晩インキュベートする。腫瘍細胞を、未処理/陰性対照細胞を含む、三連で所望の濃度にて試験化合物で処理する。アッセイプレートを48時間、再びインキュベートする。インキュベーション時間の終わりに、溶解アッセイバッファーと基質の混合物を各サンプルウェルに加える。各ウェルにおける発光を、マイクロタイタープレート照度計を用いて測定する。
【0065】
MV4;11は、MLLおよびAF4遺伝子からなる融合転写産物の存在によって、ならびにFLT−3遺伝子の膜近傍領域における遺伝子内縦列重複の存在によって特徴付けられるヒト急性骨髄性白血病株である。RS4;11は、MLLおよびAF4遺伝子からなる融合転写産物の存在によって特徴付けられるヒト急性リンパ性白血病細胞株である。REHは、TELおよびAML1遺伝子からなる融合転写産物の存在により特徴付けられるヒト急性リンパ性白血病(非T;非B)細胞株である。Kasumi 1は、AML1およびETO遺伝子からなる融合転写産物の存在により特徴付けられるヒト急性骨髄性白血病株である。K562は、BcrおよびAbl遺伝子からなる融合転写産物の存在により特徴付けられるヒト慢性骨髄性白血病細胞株である。HEL 92.1.7は、JAK2遺伝子におけるV617F変異の存在により特徴付けられるヒト赤白血病細胞株である。Jurkattは、ヒト急性T細胞白血病細胞株である。細胞株の各々は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から得られる。以下の表において、用語「化合物1」または「Cmpd1」は、7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンを意味する。GSK−3阻害剤[(3−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(1−メチル−1H−インドール−3−イル)−1H−ピロール−2,5−ジオン(SB216763)、Sigma−Aldrichは、一部の実験において陽性比較対照として使用される。化合物GSK−3阻害剤IX、(2’Z,3’E)−6−ブロモインジルビン−3’−オキシム(「GSK3−IX」)カルビオケムは、一部の実験において陽性対照として使用される。SB216763およびGSK3−IXの両方は、証拠となる陽性の結果として、Wangら,Nature,455,1205−1210(2008)論文に記載されている。表1のデータは、他に記載されない限り、未処理の対照に対するカスパーゼ3活性の増加%として示す。
【0066】
【表1】

【0067】
表1のデータは、試験された全ての細胞株に対する、および特に非MLLに基づいたAML、CML、赤白血病およびALLに対する化合物1によるそれ自体の活性を証明する。そのデータはまた、試験された全ての細胞株に対するSB216763より化合物1の改善された効果を証明する。
【0068】
表2のデータは、化合物1またはSB216763での処理後の50%(EC50)の細胞生存率の減少に必要とされる算出濃度として表す。
【0069】
【表2】

【0070】
表2のデータは、試験された全ての細胞株に対する、および特に非MLLに基づいたAML、CML、赤白血病およびALLに対する化合物1によるそれ自体の活性のさらなる証明を与える。そのデータはまた、試験された全ての細胞株に対するSB216763およびGSK3−IXより化合物1の改善された効果を証明する。
【0071】
インビボでの有効性の実験
培養した細胞(ATCC)を、ベンダーから受け取った後、動物施設において1週間順応された雌のCD−1 nu/nu株マウスのひ腹に皮下移植する。マウスを、1群当たり10匹のマウスの群に無作為化し、平均腫瘍体積が約100mmに到達した場合に処置を開始する。化合物1をIV投与する。腫瘍を、増殖曲線をプロットするために電気カリパスにより1週間につき2回測定する。動物をまた、体重および生存の変動についてモニターする。
【0072】
3サイクルの5mg/kgの化合物1(IV注射)を動物に与え、各サイクルを7日空ける。また、動物に、0.1mg/kgおよび1mg/kgにて6サイクルの化合物1(IV注射)を与え、各サイクルを3.5日空ける。30mg/kgの代謝拮抗物質アラビノシルシトシン(IP注射)を、比較対照として14日間連続して毎日動物に与える。各処置群についてのp値を、Captisolビヒクル対照群との比較により決定する。
【0073】
【表3】

【0074】
表3のデータは、インビトロでのデータにおいて化合物1が、代謝拮抗物質アラビノシルシトシン(IP注射)と比較してこの試験において、それ自体活性であり、改善された効果を実証することを証明し、インビボにおいても同様に見られる。
【0075】
7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンならびにその薬学的に受容可能な塩および溶媒和物の合成は、国際公開第2009/006043号に実質的に記載されている。以下に記載するように、合成は、当業者に公知の一般的な有機化学技術による。
【0076】
調製例1
2−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−アセトアミド
4,4−ジメトキシ−ブト−2−エン酸エチルエステル
炭酸カリウム(16.5g,120mmol)を、210mLのテトラヒドロフランおよび30mLの水中のジメトキシアセトアルデヒド(水中に60%wt)(15mL,100mmol)およびホスホノ酢酸トリエチル(20mL,100mmol)の溶液に加える。混合物を室温で4時間攪拌する。反応混合物をジエチルエーテル(200mL)に注ぎ、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、黄色の油状物として所望の化合物(15.8g,90%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ6.77(dd,J=15.9,4.0Hz,1H),6.13(dd,J=15.9,1.4Hz,1H),4.95(dd,J=4.0,1.4Hz,1H),4.22(q,J=7.1Hz,2H),3.34(s,6H),1.30(t,J=7.1Hz,3H)。
【0077】
イミダゾ[1,2−α]ピリジン−3−イル−酢酸エチルエステル
アセトニトリル(240mL)および水(15mL)中の4,4−ジメトキシ−ブト−2−エン酸エチルエステル(43.5g,250mmol)およびp−トルエンスルホン酸(4.76g,25mmol)の混合物を、還流にて2時間加熱する。反応混合物を室温まで冷し、2−アミノピリジン(18.8g,200mmol)を加える。混合物を還流にて16時間加熱し、次いで室温まで冷やす。反応混合物を酢酸エチル(1200mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(600mL×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(600mL×2)で連続して洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、茶色の油状物として所望の化合物(30g,73%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.06(d,J=6.6Hz,1H),7.63(d,J=9.1Hz,1H),7.56(s,1H),7.20(dd,J=8.9,6.8Hz,1H),6.84(t,J=6.7Hz,1H),4.17(q,J=7.3Hz,2H),3.93(s,2H),1.25(t,J=7.3Hz,3H)。
【0078】
アミド生成
NH/MeOH(7Nの溶液、250mL)中のイミダゾ[1,2−α]ピリジン−3−イル酢酸エチルエステル(30g,147mmol)の溶液を、85℃にて15時間、密閉チューブ中で加熱する。反応混合物を室温まで冷し、減圧下で濃縮する。残留物をジクロロメタンで処理し、超音波処理し、得られた沈殿物を濾過して、黄色の固体として所望の化合物(8.9g,35%)を得る。
H−NMR(300MHz,DMSO):δ8.30(d,J=6.9Hz,1H),7.62(br s,1H),7.54(d,J=9.0Hz,1H),7.42(s,1H),7.21(dd,J=7.7,6.7Hz,1H),7.18(br s,1H),6.91(t,J=6.8Hz,1H),3.81(s,2H)。
【0079】
調製例2
9−フルオロ−7−メトキシオキサリル−3,4−ジヒドロ−1H−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
2−ジブトキシメチル−4−フルオロ−1−ニトロ−ベンゼン
トルエン(200mL)中の5−フルオロ−2−ニトロ−ベンズアルデヒド(10g,59.17mmol)、ブタノール(20mL,219mmol)およびp−トルエンスルホン酸(600mg,3.15mmol)の溶液を、ディーンスタークトラップを備えたフラスコ中で、還流にて2時間加熱する。反応混合物を室温まで冷し、酢酸エチル(400mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(300mL×2)で連続して洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、淡黄色の油状物として所望の化合物(17g,96%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.91(dd,J=8.9,4.9Hz,1H),7.53(dd,J=9.3,2.9Hz,1H),7.15−7.09(m,1H),6.04(s,1H),3.67−3.50(m,4H),1.63−1.54(m,4H),1.44−1.32(m,4H),0.92(t,J=7.3Hz,6H)。
【0080】
5−フルオロ−1H−インドール−7−カルバルデヒド
ビニルマグネシウムブロミド(テトラヒドロフラン中に1M,85.2mL,85.2mmol)を、−78℃にて、テトラヒドロフラン(250mL)中の2−ジブトキシメチル−4−フルオロ−1−ニトロ−ベンゼン(8.5g,28.4mmol)の溶液に滴下して加える。反応混合物を、30分間、−45℃〜−50℃まで加温し、−78℃に冷却し、ビニルマグネシウムブロミド(テトラヒドロフラン中に1M,85.2mL,85.2mmol)を滴下して加える。反応混合物を、20分間、−45℃〜−50℃まで加温し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液(300mL)を加える。混合物を室温まで加温し、ジエチルエーテル(200mL×2)で抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(400mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、0.5NのHCl(10mL)を加え、20分間攪拌する。混合物をジエチルエーテル(200mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL×2)で連続して洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物を、ヘキサン中の5%〜10%の酢酸エチルで溶出する、シリカゲルクラマトグラフィーに供して、淡黄色の固体として所望の化合物(2.6g,56%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ10.07(s,1H),10.05(br s,1H),7.62(d,J=7.6Hz,1H),7.42−7.39(m,2H),6.60(d,J=5.4Hz,1H)。
【0081】
2−[(5−フルオロ−1H−インドール−7−イルメチル)−アミノ]−エタノール
2−アミノエタノール(1.93mL,32.0mmol)、続いて酢酸(2.01mL,48.0mmol)を、1,2−ジクロロエタン(40mL)中の5−フルオロ−1H−インドール−7−カルバルデヒド(2.6g,16.0mmol)の溶液に加える。室温にて15分間攪拌する。トリアセトキシボロヒドリド(4.07g,19.2mmol)を少しずつ加える。反応混合物を、室温にて3時間攪拌する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)、続いて1NのNaOHを加えて、pHを約9にする。酢酸エチル(100mL×3)で抽出する。有機相を、飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、淡黄色の固体として所望の化合物(3.2g,96%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ9.71(br s,1H),7.24(d,J=2.7Hz,1H),7.19(dd,J=9.5,2.3Hz,1H),6.79(dd,J=9.8,2.2Hz,1H),6.49(dd,J=3.1,2.2Hz,1H),4.15(s,2H),3.77(t,J=5.2Hz,2H),2.84(t,J=5.2Hz,2H)。
【0082】
(5−フルオロ−1H−インドール−7−イルメチル)−(2−ヒドロキシ−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
テトラヒドロフラン(40mL)中のジ−tert−ブチルジカルボネート(3.63g,16.65mmol)の溶液を、0℃にて、テトラヒドロフラン(60mL)中の2−[(5−フルオロ−1H−インドール−7−イルメチル)−アミノ]−エタノール(3.15g,15.14mmol)の溶液に滴下して加える。反応混合物を、室温にて2時間攪拌する。酢酸エチル(200mL)を加え、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、淡黄色の油状物として所望の化合物(4.9g,>100%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ10.17(br s,1H),7.27−7.23(m,2H),6.81(dd,J=9.4,2.4Hz,1H),6.50(dd,J=2.9,2.2Hz,1H),4.67(s,2H),3.72(br s,2H),3.33(t,J=5.3Hz,2H),1.50(s,9H)。
【0083】
メタンスルホン酸2−[tert−ブトキシカルボニル−(5−フルオロ−1H−インドール−7−イルメチル)−アミノ]−エチルエステル
トリエチルアミン(4.64mL,33.3mmol)、続いてメタンスルホニルクロリド(1.29mL,16.65mmol)を、0℃にて、ジクロロメタン(70mL)中の(5−フルオロ−1H−インドール−7−イルメチル)−(2−ヒドロキシエチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.9g,推定15.14mmol)の溶液に加える。反応混合物を0℃にて30分間攪拌する。酢酸エチル(200mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(200mL×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL×2)で連続して洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、黄褐色の油状物として所望の化合物(5.9g,>100%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ10.07(br s, 1H),7.28−7.2(m,2H),6.83(dd,J=9.3,2.3Hz,1H),6.50(dd,J=2.9,2.2Hz,1H),4.67(s,2H),4.17(t,J=5.5Hz,2H),3.51(t,J=5.6Hz,2H),2.79(s,3H),1.51(s,9H)。
【0084】
9−フルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
水素化ナトリウム(60%)(666mg,16.65mmol)を、0℃にて、ジメチルホルムアミド(40mL)中のメタンスルホン酸2−[tert−ブトキシカルボニル−(5−フルオロ−1H−インドール−7−イルメチル)−アミノ]−エチルエステル(5.9g,推定15.14mmol)の溶液に一度に加える。反応混合物を0℃にて10分間、次いで室温にて30分間、攪拌する。水(200mL)をゆっくりと加える。濾過し、得られた黄色の沈殿物を乾燥させて、所望の化合物(4.14g,94%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ7.15(d,J=9.1Hz,1H),7.07(s,1H),6.78(dd,J=14.7,8.8Hz,1H),6.49(d,J=3.1Hz,1H),4.81(s,1H),4.76(s,1H),4.25−4.23(m,2H),3.94−3.83(m,2H),1.49(s,9H)。
【0085】
9−フルオロ−7−メトキシオキサリル−3,4−ジヒドロ−1H−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル
塩化オキサリル(1.62mL,18.56mmol)を、−5℃にて、メチルtert−ブチルエステル(100mL)中の9−フルオロ−3,4−ジヒドロ−1H−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(4.14g,14.28mmol)の溶液に加える。反応混合物を1.5時間にわたって室温まで加温し、次いで−5℃まで冷却する。メタノール(11.6mL,286mmol)を加え、−5℃にて30分間攪拌する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(100mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出する。合わせた有機相を、飽和炭酸水素ナトリウム(200mL×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL×2)で連続して洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮して、黄色の固体として標題の化合物(5.13g,93%)を得る。
H−NMR(300MHz,CDCl):δ8.38(s,1H),8.04(d,J=6.8Hz,1H),6.89(dd,J=19.7,8.6Hz,1H),4.90(s,1H),4.81(s,1H),4.45−4.43(m,2H),4.05−3.93(m,2H),3.95(s,3H),1.42(s,9H)。
【0086】
調製例3
3−(9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−7−イル)−4−イミダゾール[1,2−a]−ピリジン−3−イル−ピロール−2,5−ジオン二塩酸塩
カリウムtert−ブトキシド(4.58g,40.92mmol)を、ジメチルホルムアミド(80mL)中の9−フルオロ−7−メトキシオキサリル−3,4−ジヒドロ−1H−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−2−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.13g,13.64mmol)および2−イミダゾール[1,2−a]ピリジン−3−イル−アセトアミド(2.39g,13.64mol)の溶液に一度に加える。反応混合物を室温にて3時間攪拌する。飽和塩化アンモニウム水溶液(200mL)を加え、酢酸エチル(200mL×3)で抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をジクロロメタン(20mL)に溶解し、ジオキサン(40mL)中の4NのHClを滴下して加え、次いで室温にて4時間攪拌する。得られた沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄して、赤色の固体として標題の化合物(4.4g,68%)を得る。
MS(APCI):m/z=402[C2216FN+H]
【0087】
実施例1
7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン
ピペラジン−1−カルボニルクロリド(0.5mL,4.0mmol)を、メタノール(80mL)中の3−(9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−[1,4]ジアゼピノ[6,7,1−hi]インドール−7−イル)−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−ピロール−2,5−ジオン(1.42g,3.0mmol)およびトリエチルアミン(2.09mL,15.0mmol)の溶液に加える。室温で一晩攪拌する。トリエチルアミン(1.04mL,7.5mmol)およびピペリジン−1−カルボニルクロリド(0.5mL,4.0mmol)を加える。室温にて5時間攪拌する。酢酸エチル(500mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(300mL×3)および飽和塩化ナトリウム水溶液(200mL)で連続して洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物を、酢酸エチル中の0%〜3%のメタノールで溶出する、シリカゲルクロマトグラフィーに供して、赤色の固体として標題の化合物(700mg,45%)を得る。
m.p.=188−190°C。
MS(APCI):m/z=513[C2825FN+H]
【0088】
実施例2
7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンメタンスルホネート
メタノール(2.5mL)中の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン(500mg,0.976mmol)のスラリーを、64℃まで加熱する。メタノール(1.0mL)中のメタンスルホン酸(64μL,0.976mmol)の溶液を、5分にわたって加える。混合物を64℃にて15分間攪拌し、次いで30分にわたってイソプロパノール(5.0mL)を加える。得られたスラリーを1時間にわたって室温まで冷やし、次いで室温にて4時間攪拌する。スラリーを濾過し、イソプロパノールで洗浄し、42℃にて減圧下で乾燥させて、橙色の油状物として標題の化合物を得る(478mg,88.5%(出発物質において9.9%の揮発性物質および生成物において1.0%の揮発性物質に調整した)。
m.p.=282.3℃(DSC)
【0089】
実施例3
7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンエタノレート
エタノール(30mL)中の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン(2.0g,3.9mmol)のスラリーを、70℃まで加熱する。5MのHCl(0.73mL)を一度に全て加える。混合物を70℃にて10分間攪拌し、次いで1NのNaOH(3.63mL)を3分にわたって加える。混合物を70℃にて2時間攪拌する。得られたスラリーを、1時間にわたって室温まで冷やし、次いで室温にて3.5時間攪拌する。スラリーを濾過し、エタノールで洗浄し、42℃にて減圧下で乾燥させて、橙色の油状物として標題の化合物を得る(1.84g,92%(出発物質において7.5%の揮発性物質および生成物において7.7%の揮発性物質に調整した))。
m.p.=179.4℃(DSC)
粉末X線主要ピーク(°2θ、強度):8.989°,100%;9.787°,48.7%;12.846°,20.0%;および7.444°,17.5%。
【0090】
実施例4
7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン水和物I
水(10mL)中の7−(2,5−ジヒロド−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンエタノレート(198.5mg)のスラリーを、2.75時間、80℃まで加熱する。3.11mLの1NのHClを加える。温度が80℃に戻ると、迅速に3.11mLの1NのNaOHを加える。温度を約15分間80℃に維持し、次いで懸濁液を室温まで冷やす。ワットマン#1紙を通す真空濾過を用いて固体を回収し、一晩、軽く蓋をして乾燥させる。
粉末X線主要ピーク(°2θ、強度):12.089°,100%;10.485°,83.6%;13.227°,56.0%;および7.660°,8.0%。
【0091】
実施例5
7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン水和物II
水(25mL)中の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンエタノレート(200.6mg)のスラリーを、0.5時間、75℃まで加熱する。0.72mLの1NのHClを加え、0.75時間加熱し続ける。迅速に0.72mLの1NのNaOHを加える。懸濁液を室温まで冷やす。ワットマン#1紙を通す真空濾過を用いて固体を回収し、20mLの純粋でリンスし、2日間、軽く蓋をして乾燥させる。
粉末X線主要ピーク(°2θ、強度):6.878°,100%;5.732°,58.7%;11.550°,82.8%;18.426°,20.7%;および10.856°,44.2%。
【0092】
実施例6
7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピン二水和物
水(25mL)中の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニル−カルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンエタノレート(200.8mg)のスラリーを、0.67時間、75℃まで加熱する。0.72mLの1NのHClを加え、1.75時間加熱し続ける。0.1NのNaOHを1mLずつ、7.2mL加えるまで、5分ごとに加える。最後の添加後、懸濁液を0.67時間、75℃に維持し、次いで懸濁液を室温まで冷やす。ワットマン#1紙を通す真空濾過を用いて固体を回収し、20mLの純粋でリンスし、2日間、軽く蓋をして乾燥させる。
粉末X線主要ピーク(°2θ、強度):5.498°,100%;22.149°,100%;14.921°,32.9%;11.399°,36.7%;および11.019°,20.5%。
【0093】
化合物1は、好ましくは、患者に投与する前に薬学的組成物として製剤化される。有用な製剤は、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物およびSBE7−β−CDを含む。化合物SBE7−β−CDは、米国特許第5,134,127号に記載されているβ−シクロデキストリンのスルホブチルエーテルである。それは、商標名CAPTISOL(登録商標)で販売されている。特定の製剤は以下の製剤実施例に記載されている。
【0094】
有用な薬学的組成物は、2−ピロリドン(SOLUPHOR(登録商標)−P)に化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物(50mg/mL)を溶解することによって調製され得る。次いで、この溶液を、SBE7−β−CD(30容量%)およびポロキサマー188(Lutrol(登録商標)−F68)(10容量%)の水溶液で希釈する。
【0095】
製剤実施例1
30.0gのSBE7−β−CDを71.25mLの水に加えることによって第1の溶液を調製し、完全に溶解するまで攪拌またはかき混ぜる。10.0gのポロキサマー188を加え、完全に溶解するまで攪拌し続ける。化合物1エタノレートを、以下の式に従って2−ピロリドンに加えることによって第2の溶液を調製する:2−ピロリドンのmL=(実際の化合物1エタノレートwt(mg)/50mg/mL)×0.5。第1の溶液を第2の溶液に加える。得られた溶液を、0.2μMのSUPOR(登録商標)(親水性ポリエーテルスルホン)フィルター(Pall Corporation)を通して、ほこりのない容器に濾過する。
【0096】
さらなる薬学的組成物の実施形態は、等モル量の水中の薬学的に受容可能な酸中で化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を混合することによって調製する。次いで、この混合物を、水溶液として少なくとも1モル当量のSBE7−β−CDと混合する。好ましい薬学的に受容可能な酸としては、HCl、HBr、硫酸およびメタンスルホン酸が挙げられる。HClの使用が特に好ましい。
【0097】
製剤実施例2
20.0gのSBE7−β−CDを80.0mLの水に加えることによって第1の溶液を調製し、完全に溶解するまで攪拌またはかき混ぜる。この溶液を、以下の式に従って化合物1エタノレートに加える:第1の溶液のmL=(実際の化合物Iエタノレートwt(mg)/20mg/mL)−(実際の化合物1エタノレートwt(mg)/1200mg/mL)−(実際の化合物1エタノレートwt(mg)×0.00195107mLの1NのHCl/mgの化合物1エタノレート)。以下の計算に従って1NのHClを加える:加える1NのHClのmL=(実際の化合物1エタノレートwt(mg)×0.00195107mLの1NのHCl/mg化合物1エタノレート)。全ての化合物が溶解するまで、攪拌または溶液槽で超音波処理する。
【0098】
好ましい薬学的組成物の実施形態は、1モル当量の化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を、必要に応じて薬学的に受容可能なバッファーの存在下で、5.5(開始溶液のpH)以下のpHで、少なくとも1モル当量のSBE7−β−CDの水溶液に加え、化合物1またはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物が溶解するまで混合することによって調製される。次いで、pHを、薬学的に受容可能な塩基を用いて2.5から3.5の間(最終溶液のpH)に調整する。この得られた溶液製剤は、患者に直接投与されてもよいか、またはその溶液は好ましくは、水で再構成できる固形製剤を与えるように凍結乾燥されてもよい。
【0099】
SBE7−β−CDは、1日に患者に13.4gm以下のSBE7−β−CDを投与するのに必要とされる量まで1モル当量の範囲で存在してもよい。好ましい量のSBE7−β−CDは、化合物Iに対して、1.0〜4.0モル当量であり、より好ましくは2.0〜3.0モル当量であり、2.5〜2.7モル当量であることが特に好ましい。
【0100】
pH5.5以下の任意の開始溶液が受容可能であるが、pH3.0以下の開始溶液が好ましく、1.0〜2.0の範囲のpHの開始溶液がより好ましく、1.2から1.4の間のpHの開始溶液が最も好ましい。標的の開始溶液のpHは、5.5未満のpHに溶液のpHを調整できる任意の薬学的な酸を加えることによって達成される。塩酸の使用が好ましい。
【0101】
製剤は、必要に応じて、薬学的に受容可能なバッファーを含んでもよい。薬学的に受容可能なバッファーは、最終溶液のpHを特定のpH範囲に安定化させるために、薬学的製剤の分野において当業者に利用されるそれらの化合物である。薬学的に受容可能なバッファーとしては、リン酸バッファーならびにクエン酸、グリシン、および酒石酸またはその薬学的に受容可能な塩が挙げられる。それらの酸の薬学的に受容可能な塩としては、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。薬学的に受容可能なバッファーは製剤中に存在することが好ましい。酒石酸が好ましい薬学的に受容可能なバッファーである。
【0102】
化合物1は、pHが最終溶液のpHに調整される前に完全に溶解することが重要である。溶解は、任意の機械的混合手段によって、または必要もしくは所望の場合、溶液の温度を調節することによって補助されてもよい。室温で溶液を攪拌することが好ましい。
【0103】
最終溶液のpHは、溶液のpHを2.5〜3.5の範囲のpHに調節できる任意の薬学的に受容可能な塩基を添加することによって達成される。水酸化ナトリウムの使用が好ましい。最終溶液のpHは2.5〜3.5の範囲であってもよいが、好ましくは、2.5〜3.1の範囲である。2.7〜3.1の範囲の最終溶液のpHが最も好ましい。最終溶液のpHが達成されると、必要または所望の場合、水での再構成に適切な固形の薬学的組成物を与えるために、標準的な凍結乾燥条件下で溶液は凍結乾燥されてもよい。
【0104】
製剤実施例3
70mLの水中に0.15gの酒石酸および12g(5.55mmol)のSBE7−β−CDの溶液を調製する。5mLの1.0NのHClを加え、室温で混合する。1.1g(2.15mmol)の化合物1エタノレートを加え、溶解するまで室温で攪拌する。1Nの水酸化ナトリウムを加えて約2.9のpHにする。十分な水を加えて、100mLの最終体積にする。この溶液を凍結乾燥して、無定形の橙赤色の固体を得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合系統白血病、転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患;または非MLLに基づいた急性リンパ性白血病を罹患している患者を治療する方法であって、治療を必要とする白血病患者に、有効量の7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物を投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記白血病は、混合系統白血病;転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;または転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記白血病は、混合系統白血病である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記白血病は、転座した混合系統白血病である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記白血病は、転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記白血病は、転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記白血病は、非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病;赤白血病;または慢性骨髄性白血病である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、JAK2(+)である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、赤白血病である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、非MLLに基づいた慢性骨髄性白血病である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、非MLLに基づいたフィラデルフィア陽性慢性骨髄性白血病である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記白血病は、非MLLに基づいた急性リンパ性白血病である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
混合系統白血病、転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患;または非MLLに基づいた急性リンパ性白血病を治療するための医薬を調製するための7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項16】
前記白血病は、混合系統白血病;転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;または転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病である、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記白血病は、混合系統白血病である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記白血病は、転座した混合系統白血病である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記白血病は、転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病である、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
前記白血病は、転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病である、請求項16に記載の使用。
【請求項21】
前記白血病は、非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患である、請求項15に記載の使用。
【請求項22】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病;赤白血病;または慢性骨髄性白血病である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、非MLLに基づいた慢性骨髄性白血病である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病である、請求項22に記載の使用。
【請求項25】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、赤白血病である、請求項22に記載の使用。
【請求項26】
前記白血病は、非MLLに基づいた急性リンパ性白血病である、請求項15に記載の使用。
【請求項27】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、JAK2(+)である、請求項21に記載の使用。
【請求項28】
前記非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患は、フィラデルフィア陽性慢性骨髄性白血病である、請求項21に記載の使用。
【請求項29】
混合系統白血病、転座した混合系統白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病;転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病;非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患;または非MLLに基づいた急性リンパ性白血病の治療に使用するための、化合物7−(2,5−ジヒドロ−4−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル−2,5−ジオキソ−1H−ピロール−3−イル)−9−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−2−(1−ピペリジニルカルボニル)−ピロロ[3,2,1−jk][1,4]ベンゾジアゼピンまたはその薬学的に受容可能な塩もしくは溶媒和物。
【請求項30】
前記白血病は、転座した混合系統白血病に基づいた急性骨髄性白血病である、請求項29に記載の使用するための化合物。
【請求項31】
前記白血病は、転座した混合系統白血病に基づいた急性リンパ性白血病である、請求項29に記載の使用するための化合物。
【請求項32】
前記白血病は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病;赤白血病;または慢性骨髄性白血病から選択される非MLLに基づいた慢性骨髄増殖性疾患である、請求項29に記載の使用するための化合物。
【請求項33】
前記白血病は、非MLLに基づいた急性骨髄性白血病である、請求項32に記載の使用するための化合物。
【請求項34】
前記白血病は、非MLLに基づいた慢性骨髄性白血病である、請求項32に記載の使用するための化合物。

【公表番号】特表2012−524089(P2012−524089A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506078(P2012−506078)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/030315
【国際公開番号】WO2010/120614
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】