説明

連結した分析用試験管およびその密封方法

【課題】 被検用試験管の口に試験者が接触せずに取り扱いでき、同時に紫外線照射で容易に滅菌できる試験管を提供する。
【解決手段】複数の試験管を開口部において連結せしめ、当該連結部を保持部に構成し、開口部から保持部にいたる上面に密封用フィルムを貼付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療、薬品、食品などの分析試験に用いられる試験管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在試験・分析を試験管を用いて行う場合、逐次数百本にのぼる試験管を検査対象として用いるのである。この際、これらの本数を取り扱い、管理するには一本ずつ取り扱わなければならないため、試験管立てを用いるにしても、非常に繁雑な作業となっている。
【0003】
また、試験管を樹脂成型で製造する際、主にスチロール樹脂を用いるのであるが、成型後に滅菌処理をするため、紫外線、電子線、X線あるいはガンマ線照射を成型工場で行い、しかる後、納品するのである。電子線、X線、ガンマ線照射には非常に高価な設備を要求される。
【0004】
安価な方法として紫外線照射があるものの、包材フィルムに収納したままでは紫外線が阻害される。同時に試験管が重なり合っていると、同様に紫外線が遮断され、一本ずつ垂直に照射方向を確保してやる必要があり、繁雑な作業となっている。
【0005】
赤痢菌、チフス菌、サルモネラ菌等の病原菌に属するものでは、試験管の取り扱いに細心の注意を要する。特に試験管の唯一の開口部である試験管口に触れる危惧があり、改善の必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の試験管では、単体一本一本がバラバラになっており100本から200本単位で包装されている。検査の準備作業として、試験管を試験管立てに立てる作業があるが、バラバラで包装されているため、試験管口が不規則になっている試験管を試験管立てに規則的に立てなければならない。又、試験管の検査判定では一本一本持ち上げ判定作業を行うため、各々の作業が繁雑で時間が掛かっている。本発明では、かかる作業効率のアップと時間短縮によるコスト削減を解決せんとするものである。
【0007】
スチロール樹脂等で作られた試験管は、滅菌のため紫外線照射、電子照射を必要とし、樹脂成型金型から離型した後、電子照射にあっては、100〜300本単位でビニル袋に収納しまとめて照射滅菌した。しかし、電子照射は設備的に高価であり、これに替えて紫外線照射を行おうとすると、外袋のフィルムや重なり合った試験管同士が紫外線を遮光するなど難点があった。
【0008】
また、紫外線照射に際しては、試験管の口を照射方向に一本ずつ位置を保持してやらねばならず、実用的でなかった。
【0009】
また同時に互いの試験管が成型後確実に平行になる必要があり、成形機取り出し、梱包、運搬に際し変形を防止する必要があった。
【0010】
旧来の試験管は上部に開口部を有した単なる筒状の形状であったため、内容物が開口部に付着した場合、これに触れる可能性があり危険であった。
【0011】
使用後の試験管の保管を行う場合、一本ずつこれにキャップを被せる必要があった。
【0012】
従来の試験管は、試験管立てを用いることを前提とした。従って試験管立てなしでは直立し得なかった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、かかる課題を解決するために試験管本体上部に外縁を設けるのである。
【0014】
更に、当該外縁を樹脂成型により連結して構成するのである。
【0015】
連結して構成された外縁の所要位置には、試験管を保持するための開口部あるいは凹みが設けられている。
【0016】
互いの連結部の下部に1mm厚、15mm長さ目安のリブを支え部として設けるのである。
【0017】
試験管の開口部外縁に設けた連結部の上面を、平面となして構成し、熱溶着フィルム、接着フィルム等の貼付用糊代部を設けるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
試験管の試験管口外縁部周辺に上面を平面となした連結部を構成し、当該連結部同士を所要本数つなぎ合わせて、連結した試験管を得る。
【0019】
この際、当該連結部の下部にリブ部を設け、互いの支えとなすのである。
【0020】
連結された試験管は、三本であれば三角形を構成する形状が望ましく、また四本であれば四角形が望ましい。かかる形状で本発明の連結された試験管は、試験管立てを用いずとも、自立するのである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の連結された試験管を示す実施例である。図中試験管1は互いに横方向に連結部3により一体化されている。
【0022】
図2は、連結部3の各々中央に開口部4が設けられている。当該開口部4は、図5に見られるように保持具5により連結された試験管を一挙につり上げられ、取り扱われるのである。
【0023】
同様に図4では、連結された試験管1の連結部3の下部に位置する試験管同士の間に保持具5が挿入され、全体を持ち上げ得るのである。
【0024】
図5の本発明による連結された試験管1は、縦横方向に連結され試験管立てを用いることなく自立するのである。
【実施例2】
【0025】
図6,7は各々、試験管上部を連結部3でつないで一体化し、その上部を平面に構成している。当該平面に熱溶着フィルムあるいは接着フィルム6を貼付し、試験管の密封を行うのである。
【0027】
当該密封は、樹脂成型後の紫外線照射による滅菌後の汚染防止のために行われる。
また、検査試験後の、検体の保存のために行われることもある。
【実施例3】
【0028】
図8は、一本の試験管の上部外縁部に設けたジグソー用の様の切り込み7及び突起8を表す。当該切り込み7、突起8は互いに任意の組み合わせで他の試験管との連結を意図するのである。この際3本以上の組み合わせにより、試験管立てを用いずとも自立できるのである。
【0029】
図9は、連結された試験管1の連結部3に設けられたジグソー用の様の切り込み7及び突起8を表す。
【産業の利用可能性】
【0030】
本発明の連結された試験管は、リブによる支え部を有するので紫外線照射に対し、試験管口を上面として底面が確実に照射方向を向くのである。
【0031】
単体試験管を連結する事により、準備作業及び作業時間の短縮が可能となるのである。
【0032】
樹脂成型後の本発明による試験管では、上部に樹脂フィルム6による貼付を行い、そのまま、電子照射を行えば上部フィルムの剥離を行わない限り滅菌、無菌状態を保持できるのである。
【0033】
紫外線照射の場合は、照射後樹脂フィルム6による貼付を行うことで、使用直前まで滅菌状態を維持できるのである。
【0034】
本発明では、紫外線照射に際し連結部を固定することで容易に試験管の開口部を照射方向に容易に維持できるのである。
【0035】
本発明では連結部を外周に保持部3を有するため、保持部3を掴むことで、試験管の開口部2に直接触れることなく、取り扱い出来るのである。
【0036】
本発明による連結された試験管は、その連結部にあらかじめ着色を施すことにより検査中の検体の識別が容易に可能となり、検体錯誤を防ぐことが出来るのである。
【0037】
検査後の試験管は、本数が膨大な量であり、洗浄が繁雑であるので総じて破棄されるのであるが、本発明による連結された試験管は、その連結部が保持部となるので、自動洗浄機での洗浄が可能となり再利用が実用的になるのである。
【0038】
本発明の試験管では、図5に見られるように、3本以上の連結をもってすると試験管立てを用いることなく、自立して直立するので、検体の種類別の区分け等、作業工程で逐一試験管立てを多用することなく作業効率、試験の精度を高めることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】は、請求項1の実施例を示す斜視図である。
【図2】は、請求項1の実施例を示す斜視図である。
【図3】は、図2の側面断面図である。
【図4】は、実施例1を示す説明図である。
【図5】は、実施例1を示す説明図である。
【図6】は、請求項4の実施例を示す説明図である。(実施例2)
【図7】は、請求項4の実施例を示す説明図である。(実施例2)
【図8】は、請求項2の実施例を示す平面図である。(実施例3)
【図9】は、請求項2の実施例を示す斜視図である。(実施例3)
【符号の説明】
【0038】
1 試験管
2 試験管口
3 連結部
4 連結部の開口
5 保持具
6 樹脂フィルム
7 ジグソー様の切り込み
8 ジグソー様の突起部
9 樹脂によるリブの支え部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験管の外縁部を延長して互いの連結を一体成型により行い、同時に当該連結部下部に支え部を一体と為して設けた事を特徴とする連結された試験管。
【請求項2】
試験管単体もしくは複数を連結して構成された試験管列の上部外周部にジグソー様の切り込みと突起部を構成し、互いに当該切り込み部と突起部の組み合わせで連結してなることを特徴とした試験管において相互の連結部に互いの支え部を有した請求項1の試験管
【請求項3】
試験管の口部周辺に於いて、縦横方向に少なくとも2列以上が平行して連結され自立して直立出来ることを特徴とする試験管立てが不要な試験管。
【請求項4】
複数の試験管の口周辺に、縁取りを設けこれらの縁取りを連続して一体化をなし、これらの縁取りを糊代として試験管の口をフィルムで密封することを特徴とした複数の連結した試験管の密封方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−261828(P2008−261828A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123954(P2007−123954)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(594134372)
【Fターム(参考)】