説明

連結ラック用の連結棚

【課題】荷物の保管時には上下左右に積み重ねて使用する連結ラックを形成し、不使用時には入れ子に積み重ねできる連結ラックにおいて、連結ラック自体の使用数量の効率化と組立作業効率及び組立強度を改善し、倉庫を有効利用する。
【解決手段】所望の長さを有する前面棚枠部材6aと、前面棚枠部材6aの左右両端内側に直行して連結する左右棚枠辺梁部材7aと、左右棚枠辺梁部材7aの後部端内側に直行して連結する後部接続部材9bと、前面棚枠部材6a、左右棚枠辺梁部材7a、後部接続部材9bの内側に複数の所望の棚枠部材9aからなる上部ラック部材10aで構成され、上部ラック部材10aの左右端に、連結ラックの左右棚枠辺梁部材の上部からコの字上に被せて引掛けるフック部材22と、フック部材22の延長線上に連結ラックの上部に重ねる別の連結ラックの左右棚枠辺梁部材7の下に左右棚枠辺梁部材受部23を延設してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物保管用のラック係り、ラックを上下に積み重ねて荷物を搭載し、ラック自体の不使用状態の保管時には、ラック内部に上下に積み重ねて(ネスティングして)収納できる連結ラックにおいて、荷物の収納時に、この連結ラックを左右横方向に並べる際に、互いの連結ラックを接続して使用する連結ラック用の連結棚に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、荷役に使用するパレットの一種に、荷物を搭載してフォークリフトトラックやハンドリフト等により運搬され、荷物の保管時には上下に積み重ねてラックを形成し、さらに不使用時には入れ子状に積み重ねることのできる連結ラック(ネスティングラック)が知られている。
【0003】
図11に示すのは一般に知られる運搬容器を兼ねたネスティングラックを正面から描画した斜視図である。この運搬容器Rは、前縁110、後縁120、側縁130を有し、平面視して矩形に組まれた底部枠体100と、この底部枠体100の両側縁130、130の外周側の前端部に一対の正面支柱121、121を立設し、かつ、底部枠体100の後縁120の外周側に一対の背面支柱141、141を立設して荷物の収納空間を形成し、同時に、これら各正面支柱121,121および各背面支柱141、141の下端部を底部枠体100の下方に各々突出させ、この底部枠体100を床面から所定高さに離間させて床面との間にリフトトラックのフォークを挿入する間隙を設けている。
【0004】
そして、上記のように底面枠体100を囲んで立設した各支柱121、121、141、141の、各正面支柱121の上端部の相対向する側面側から、各背面支柱141の上端部の相離反する側面側へ向けて奥行き方向に平行に、上面を逆V字状の嵌合面に形成した一対の上部レール50、50を架設し、さらにこの上部レール50、50に整列させて、前記底部枠体10の下方に下面を逆V字状の嵌合面(底面凹状部)に形成した一対の底部レール60、60を設けている。
【0005】
なお、符号131はこの運搬容器Rを剛体構造にするため両背面支柱141、141上端面に架設した補強梁であり、符号80は、正面支柱121の底部枠体100との接合部を補強するガゼットである。また、上部レール50を架設するために、ステー70を正面支柱121の上端部の相対向する側面に取り付け、上記補強梁131を背面支柱141の相離反する側面側へ伸長させている。さらに、底部枠体100には、この枠体の補強および搭載する荷物の支持のために、縦桁140、140と横桁150、150とを架設している。
【0006】
このような運搬容器Rでは、荷物を底部枠体100の上に直接、もしくは荷物の大きさにより天板等を介して搭載し、リフトトラックにより所望の場所まで運搬するが、底面枠体100の外周側に各支柱121、121、141、141を設けているので荷崩れを起こしにくく、また、倉庫内などで荷物を保管する際には、複数の運搬容器R、Rを上部レール50、50と底部レール60、60とを嵌合させることにより、安定して複数段に積み重ねることができ、倉庫等の保管空間を有効に使用できるとともに、保管ラックとしても使用でき、かつ、荷物の上に直接積み重ねないので、荷物を傷めることなく保管できる。さらに、この運搬容器Rを使用しないときには、入れ子状に積み重ねておけば、運搬容器R自体の保管が少ない占有空間で可能となる。
【0007】
しかしながら、一般に知られる運搬容器Rは、高さ方向即ち各支柱121、121、141、141の長さは固定されているため、運搬容器Rに収納する荷物の大きさの高さ方向の寸法が、各支柱121、121、141、141よりも遥かに小さい(低い)場合であったとしても、運搬容器Rを用いて運搬容器Rを積み重ねて倉庫内で荷物を保管することになり、運搬容器R内に無意味な空き空間を形成してしまうことから、倉庫内の高さ方向を有効に利用し、倉庫内の収納容量を更に効率良く運用できる運搬容器や、連結ラックが要求されている。
【0008】
【特許文献1】特許第3907904号公報
【特許文献2】特許第3551874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、特許文献1については、上述した運搬容器Rとは逆に棚を上部に形成した連結ラックを示すもので、その請求項2の記載から、段積み可能になっているボックスパレットで、ボックスパレット1を構成する各支柱[18]には、棚部材[35]又は棚形成部材[2]を任意の高さに係止孔[20]が上下方向に複数設けていることの技術が開示されている。しかし、特許文献1ではボックスパレット1の荷物収納スペース[30]の高さ全体、即ち支柱[18]の長さを可変するのでは無く、収納スペース[30]の棚部材又は棚形成部材[2]を支柱[18]の任意の高さに係止フック[36]により取り付けることで、溶接等により一体物であるボックスパレットの輸送コストや、不使用時の収納コスト(占有床面積に係る使用不可損失)などの抑制を実現するものが知られている([]は、特許文献1における公報番号)。
【0010】
また、倉庫内で連結ラックを上下に重ねて多段のラック連結体を構成し、さらにこのラック連結体を横に並べて立体的な収納スペースを確保するものも知られている。その際、単にラック連結体を横に並べるとお互いの支柱が、2重になり効率が良くない為、特許文献2に示されるように、お互いのラック単体の間に連結ビーム[8]を設けて、中間荷支持台部[10]を形成しているものが開示されている。また、この連結ビームなどの連結固定に際して、複雑で多数の連結具[28]、連結具の前後方向ピン[29]、連結具の左右方向ピン部[30]、抜け止めピン[34][35]などが必要で作業性も悪いものであった([]は、特許文献2における公報番号)。
【0011】
以上に示す特許文献に対して、本発明は、収納効率がよい連結ラックにおいて、組み立て効率及び組み立て体の強度を改善した連結ラック用の連結棚を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、底部(1)に左右辺梁部材(2)と、この左右辺梁部材(2)の後部(3)に載置して、連結される後部辺梁部材(4)とからなる底部ラック枠部材(5)と、
上部(8)に前記左右辺梁部材(2)間の幅を有する前面棚枠部材(6)と、前記左右辺梁部材(2)間の内側位置で前記前面棚枠部材に連結する左右棚枠辺梁部材(7)とが少なくとも所望の棚枠部材(9)からなる上部ラック部材(10)が、上下に伸びる左右の管状の前部支柱(11)と後部支柱(12)が設けられてなる連結ラック(13)において、
前記左右辺梁部材(2)は、前部において前記前面棚枠部材の幅(W)を短く構成するとともに、前記前部支柱(11)は、前記前面棚枠部材(6)の左右端から、この左右辺梁部材(2)の上に載置された支持部材(14)を介して、上下に垂直に連接されてなり、 前記後部支柱(12)は、前記左右辺梁部材(2)の後部に載置された後部辺梁部材(4)と前記左右棚辺梁部材(7)の後部端で上下に垂直に連結されて構成されてなる連結ラック(13)が左右方向に間隔を有して配置された間に位置されてなる連結ラック(13)用の連結棚であって、
この連結棚は、所望の長さを有する前面棚枠部材(6a)と、この前面棚枠部材(6a)の左右両端に内側に直行して連結する左右棚枠辺梁部材(7a)と、この左右棚枠辺梁部材(7a)の後部端にさらに内側に直行して連結する後部接続部材(9b)と、前記前面棚枠部材(6a)、左右棚枠辺梁部材(7a)、後部接続部材(9b)の内側に複数の所望の棚枠部材(9a)からなる上部ラック部材(10a)で構成され、
さらに上部ラック部材(10a)の左右端に、前記連結ラック(13)の前記左右棚枠辺梁部材(7)の上部からコの字上に被せて引掛けるフック部材(22)と、このフック部材(22)の延長線上に、前記連結ラック(13)の上部に重ねる別の連結ラック(13)の左右棚枠辺梁部材(7)の下に延設される左右棚枠辺梁部材受部(23)を設けてなることを特徴とするものである。
【0013】
また請求項2に係る発明は、前記前面棚枠部材(6a)は、前記連結ラック(13)の前記左右辺梁部材(2)間の長さを有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の連結ラック用の連結棚の平面説明図。
【図2】本発明の連結ラック用の連結棚の正面説明図。
【図3】本発明の連結ラック用の連結棚を使用し、連結ラックを連結した状態の平面と正面の説明図。
【図4】連結ラックを説明する、正面図(a)、右側面図(b)、平面図(c)。
【図5】連結ラックにおける二段積みした時の状態を示す正面(a)と側面(b)から見た状態の説明図。
【図6】連結ラックにおける二段積みした時の下段の上部ラック部材(10)と下段の底部ラック部材5の重なり状態における平面説明図。
【図7】連結ラックをネスティング(入れ子状に積み上げ)した時の状態を説明する説明図。
【図8】連結ラックの管状支柱と連結系合部材との結合を説明する説明図。
【図9】連結ラックの連結系合部材による他の結合方法を説明する説明図。
【図10】連結ラック自体の剛性を向上させるために、張力調整部材を配置した実施例を示した図。
【図11】従来から使われている、運搬容器や、連結ラックを示す正面からみた斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図4は、本発明で使用される連結ラックを説明する、正面図(図4(a))、右側面図(図4(b))、上面図(図4(c))で、主には鉄材料で構成された連結ラックであり、本実施例(請求項1)としては、底部1に左右辺梁部材2と、この左右辺梁部材2の後部3に載置して、連結される後部辺梁部材4とからなる底部ラック枠部材5と、
上部8に前記左右辺梁部材2間の幅を有する前面棚枠部材6と、前記左右辺梁部材2間の内側位置で前記前面棚枠部材に連結する左右棚枠辺梁部材7とが少なくとも所望の棚枠部材9からなる上部ラック部材10が、上下に伸びる左右の管状の前部支柱11と後部支柱12が設けられてなる連結ラック13であって、
前記左右辺梁部材2は、前部において前記前面棚枠部材の幅(W)を短く構成するとともに、前記前部支柱11は、前記前面棚枠部材6の左右端から、この左右辺梁部材2の上に載置された支持部材14を介して、上下に垂直に連接されてなり、
前記後部支柱12は、前記左右辺梁部材2の後部に載置された後部辺梁部材4と前記左右棚辺梁部材7の後部端で上下に垂直に連結されて構成され、
さらに、前記管状の前部支柱11と後部支柱12は、当該前部、後部支柱の内管15に、それぞれ前記前面棚枠部材6、前記支持部材14、及び前記左右棚枠辺梁部材7、前記後部辺梁部材4から突出して設けられた連結系合部材16とが嵌合して連結してなる連結ラック13である。
【0016】
要するに連結ラックは、底部1を構成する左右辺梁部材2と後部辺梁部材4とでコの字の形状を成し、左右辺梁部材2は、前部において前面棚枠部材の幅(W)を短くすることで、積層に積み上げた時(図5参照)に各連結ラック13の左右辺梁部材2と前部支柱11とが邪魔にならず積み上げることができる。
【0017】
本発明は、図1の平面図と図2の正面図で示されるように、連結ラック用の連結棚21であって、所望の長さを有する前面棚枠部材6aと、この前面棚枠部材6aの左右両端に内側に直行して連結する左右棚枠辺梁部材7aと、この左右棚枠辺梁部材7aの後部端にさらに内側に直行して連結する後部接続部材9bと、前記前面棚枠部材6a、左右棚枠辺梁部材7a、後部接続部材9bの内側に複数の所望の棚枠部材9aからなる上部ラック部材10aで構成されている。
【0018】
さらに上部ラック部材10aの左右端に、前記連結ラック13の前記左右棚枠辺梁部材7の上部からコの字上に被せて引掛けるフック部材22と、このフック部材22の延長線上に、前記連結ラック13の上部に重ねる別の連結ラック13の左右棚枠辺梁部材7の下に延設された左右棚枠辺梁部材受部23を設けてなる。本実施例において、上記フック部材22は、補強部材24を介して設けられ、この補強部材24によって前記左右棚枠辺梁部材受部23も形成されている。
【0019】
また本発明では、前記前面棚枠部材6aは、前記連結ラック13の前記左右辺梁部材2間の長さで構成すれば、連結ラック13を横に並べたと同一の収納スペースを獲得できるようも構成されている。また、連結棚21にも他の連結ラック13と同様のストッパ20が設けられ、連結ラック13を並べたのと同様に荷物の裁置ラックが不用意に落下しないようになっている。
【0020】
次に、図3に基づいて、本発明の連結ラック13用の連結棚21を使用して、多数の連結ラック13を組み立てる状態を説明する。連結ラック13を横方向に並設して配置した場合、連結ラック13を隣接して配置するのではなく、連結棚21分の幅をあけて連結ラック13を配置し、連結ラック13の間を補間するように連結棚21を上部ラック部材10aの左右端に、連結ラック13の左右棚枠辺梁部材7の上部からコの字上に被せて引掛けるフック部材22により連結する格好で、連結ラック13と連結ラック13を連結(接続)することで、あたかも連結ラック13を隣接して配置したごとくに収納スペースの確保を実現することができる。
【0021】
このようなフック部材22とその形状により、連結ラック13を隣接して配置した場合は勿論、連結ラック13を積層状に積み上げて配置した場合でも、連結ラック13の左右棚枠辺梁部材7の上部からコの字上に被せる形状を持つフック部材22とさらに左右棚枠辺梁部材受部23の形状を有するために、積層状にした時の連結ラック13の左右辺梁部材2は、左右棚枠辺梁部材受部23の隙間に嵌め込める形態で収まることにより、連結棚21が確実、強固に保持連結される構成になっており、連結ラック13を横方向に配置した後でも、連結ラック13を積層に積み上げて配置することができる(図6に連結ラック13の積重ね状態を後述するが、連結ラック13の左隣に連結棚21が連結された状態を破線で示し、この連結棚21のフック部材22、左右棚枠辺梁部材受部23を実線で示した状態を参照)。
【0022】
当然ながら、連結棚21の位置に当たる場所〈上部〉にも、倉庫などの床面上に連結ラック13を横配置した階層を一層目とした場合、一層目と同様の配置で連結ラック13−連結棚21−連結ラック13・・・と連結ラック13を補間するように連結棚21を順番に配置することで、一層目、二層目、三層目と幾重にも積層して連結ラック13を重ねて配置することができる。
【0023】
よって、連結ラック13を横方向に隣接配置しても、積層状に重ねて配置しても同様に連結ラック13を間引いて設置することができるので、連結ラック13自体の使用数量を大幅に削減しながら、有効な収納スペースを確保することを実現できる。
【0024】
また連結ラック13の詳細を説明すると、各連結ラック13を積み上げた時には連結ラック13の左右辺梁部材2の前部、即ち前面棚枠部材の幅(W)を短くした箇所が、積み上げる他の連結ラック13の(X)と嵌合する構成を成し、更にラック13の上部ラック部材10を構成する棚枠部材9の中央後部に、ラック13を積層した時に適正位置で停止させるためのストッパ20を配置するものである。
【0025】
これにより、連結ラック13を積層した上下位置関係で、上部に位置する連結ラック13の後部辺梁部材4を下部に位置する連結ラック13の左右辺梁部材2上で摺動しながら、ストッパ20で前後方向の適正箇所を決定し、前述する連結ラック13の左右辺梁部材2の前部、即ち前面棚枠部材の幅(W)を短くした箇所が、積み上げる他の連結ラック13の(X)と嵌合することで、上下位置で積み上げられた連結ラック13が確りした状態で積み上げることができる。
【0026】
一方収納時においては、前部支柱11は、前面棚枠部材6の左右端から、左右辺梁部材2の上に載置された支持部材14を介して、上下に垂直に連接されてなり、一方、後部支柱12は、左右辺梁部材2の後部に載置された後部辺梁部材4と左右棚辺梁部材7の後部端で上下に垂直に連結されて構成されることにより、連結ラック13をネスティング(入れ子状に積み上げ収納)した時にも、ひとつの連結ラック13の底部ラック部材5を他の連結ラック13の上部ラック部材10の上に重ねることで、未使用時には高さ方向を小さくした形態で収納することができる。(図7参照)
【0027】
図5は積層上に連結ラック13を二段重ねにした状態を描画するもので、図5(a)はその正面図であり、図5(b)は右側面図である。また、図6は同様に連結ラック13を二段重ねにした状態において、下部の連結ラック13(下)における上部ラック部材10(下)と上部の連結ラック13(上)における底部ラック部材5(上)部分の平面説明図(なお、図中、平面で現れた各部は、下側の連結ラック13における部材は(下)、上側の部材は(上)と便宜上記載した)。図7については、収納時の状態を示すもので、四段にネスティングした状態を描画している。図7(a)はその正面図であり、図7(b)は右側面図である。
【0028】
なお図5、図6に基づいて、積層上に連結ラック13を二段重ねにした状態を説明すると、先ず、図6に示したように、上部の連結ラック13(上)の左右辺梁部材2(上)の上面と下部の連結ラック13(下)の左右棚辺梁部材7(下)の上面は、高さが同一になる。従って左右辺梁部材2(上)と、左右棚辺梁部材7(下)の少なくとも一カ所以上を相互に横方向に貫通した穴に連結手段40(例えばピン、ネジ、ワイヤー)で固定することで、外部からの力に対して上下と連結ラックの分離がされない構造となり、ラックの脱落を防止でき安全になる。図中ではネジやピンPを用いた例を示すが、当然ながら同様の機能を果たせれば他の方法であっても良く、例えば、スチールベルトSで前述の左右辺梁部材2(上)と左右棚辺梁部材7(下)結びつけてもよい。またスチールベルトSを利用することで連結ラック13を並べて配置した場合での固定を行うことでズレを抑制することもできる。要するに、ズレを防止する効果を奏するものであれば、連結手段40を任意に選択、あるいは組合せて使用すれば良い。また、左側に、連結棚21が配置された場合、上述の左右辺梁部材2(上)と、左右棚辺梁部材7(下)の少なくとも一カ所以上を相互に横方向に貫通した穴に連結手段40にピン、ネジ、ワイヤーで固定する際、連結棚21の左右棚枠辺梁部材(7a)にも貫通した穴を形成しておき、左右辺梁部材2(上)、左右棚辺梁部材7(下)と左右棚枠辺梁部材(7a)の三本一体に固定しても良い(図示せず)。勿論スチールベルトSについても同様に、三本一体に固定しても良いが、スチールベルトの場合は、少なくとも連結ラック13の左右辺梁部材2(上)、左右棚辺梁部材7(下)とを固定するのが上下方向のズレを強固に防止することができる。
【0029】
図8と図9は、連結ラックの高さ方向の調整を実現するものである。実際には現状の寸法である内寸高さ約1500mm、に対して任意に設定した寸法の管状の前部支柱11と同様に管状の後部支柱12を容易することで、用途に応じた長さの支柱を適宜組み合わせて、所望の高さに応じた収納環境を得ることを実現できる。
【0030】
まず、図8について説明するが、図8(a)は施術前の状態であり、図8(b)は施術後を描画したものであるが、管状の前部支柱11は上部8については、前面棚枠部材6あるいはその下の配置する補強部30から垂直に底部1方向にある支持部材14に二カ所の位置に支柱を配置し、一方、管状の後部支柱12は上部8については、左右辺梁部材2の後部に載置された後部辺梁部材4と前記左右棚辺梁部材7の後部端即ち、上部ラック部材10から、垂直に底部1方向にある後部辺梁部材4に二カ所の位置に支柱を配置し、図8(a)から図8(b)の処理を行うことで、連結ラック13を構成する。
【0031】
具体的には、上部8の場所即ち、前面棚枠部材6あるいはその下の配置する補強部30と、上部ラック部材10の支柱を接続する場所と、底部1の場所即ち、支持部材14と後部辺梁部材4の支柱を接続する場所には、連結結合部材16が中空の筒状の形状をしており、管状の前部支柱11と管状の後部支柱12の先端部にあたるネジ溝17が形成された部位31を嵌合して、図8中のC−C´断面図で描画するように連結結合部材16と管状の前部支柱11並びに後部支柱12を接合し固定することで、高さ方向は支柱(11と12)の長さで決定された連結ラック13を構成することができる。
【0032】
なお、連結結合部材16での結合について、本実施例では4本のボルトとワッシャとで結合しているが、この本数や場所についての制限は無くボルトやワッシャの材質を問うものではない。
【0033】
管状の前部支柱11と後部支柱12はそれぞれ支柱の内管15との二重のパイプ構造とで構成され、共に鉄材料からなる筒状の部材を用いて構成されている。二重構造にすることで、支柱(11と12)を薄く軽量にした時でも強度を向上させることができるので、連結ラック13全体の重量を軽くしながら、高さ方向の強度を確保した構造を実現することかできる。
【0034】
一方、図9に示すのは連結結合部材16と支柱(11と12)を結合する他の四実施例を説明する図である。図9(a)は溶接18により施行したものであり、図9(b)については、図8に示すネジ止めを更に簡略した、ボルトとナットによる結合を示した図である。
【0035】
図9については、図8から考えられる他の実施例として説明するのであるが、図9(a)の溶接による結合手段はその作業も簡易であり、施術時間も短時間で済む半面、組立や解体についての作業性は乏しいという欠点は持つものの、通常連結ラックは組立ててしまえば、半永久的に解体することは無いので、結果的には最も安易な結合方法だと言える。
【0036】
また、図9(b)に示すボルトとナットを使った結合方法は、連結結合部材16と支柱(11と12)共にボルトが挿入できる十分な貫通穴を形成するだけで済むという点で、手間のかかるネジ溝(タップ加工)を不要とながらも、組立に加えて解体も容易にできる結合方法と言える。なお、図9(b)のボルト部分にはナットの描画が無いが、必要に応じて緩み防止処理を施すことは言うまでもない。
【0037】
また、上部ラック部材10上に搭載する荷物は通常上下面がフラットなパレットPを使用するが、下面に高さ数センチ突出して設けられた足F付きのパレットPを介して搭載されるときがある。その際、上部ラック部材10を構成する所望の棚枠部材9の配置でも分かるように、上部ラック部材10に搭載する荷物を載せたパレットPを搭載したとき、パレットPの置き方により例えば前後にパレットPがズレた場合でも、棚枠部材9でパレットPの足Fを確実に保持できるようにしている。上部ラック部材10を上面から見た時、上部ラック部材10の前後で領域Aと領域Bに示すように、領域Aと領域B内に存在する棚枠部材9を連結ラック13の前後方向で視た時に線対称に配置することで、パレットPの足Fを確実に受けて支えることができる構造にしている。
【0038】
また、図10に示すように連結ラック13自体の剛性を向上させるために、上部ラック部材10から後部辺梁部材4にかけて張力調整部材41(例えば建設現場で使われるターンバックル式のブレス)を配置することで、連結ラック13を上下方向の力で補強させることで、連結ラック全体の剛性を高めることができる。なお、この場合、図10(a)に示すように、上部ラック部材10の中心部から後部辺梁部材4の両端にかけて張力調整部材41を形成する形態や、図10(b)に示すように上部ラック部材10の両端から後部辺梁部材4の両端にかけて張力調整部材41を形成する形態で構成する。なお、張力調整部材41の各部位の根本は止めにより固定されている。
【0039】
以上のように、本発明の連結ラック用の連結棚は、従来品単純に左右に並べていたものを、ひとつおきに配置し、連結棚を介在させただけなので、連結ラックを大幅に削減でき、さらに連結棚がフック部材と左右棚枠辺梁部材受部によって接続されているので組み立て効率も格段に引き上げ、さらに確実、強固に固定されるので、部品点数の少ない連結棚が提供でき産業上きわめて有益なものとなる。
【符号の説明】
【0040】
6a・・・・前面棚枠部材
7a・・・・左右棚枠辺梁部材
20・・・・ストッパ
21・・・・連結棚
22・・・・フック部材
23・・・・左右棚枠辺梁部材受部
24・・・・補強部材
1・・・・底部
2・・・・左右辺梁部材
3・・・・(左右辺梁部材の)後部
4・・・・後部辺梁部材
5・・・・底部ラック枠部材
6・・・・前面棚枠部材
7・・・・左右棚枠辺梁部材
8・・・・上部
9・・・・棚枠部材
10・・・上部ラック部材
11・・・管状の前部支柱
12・・・管状の後部支柱
13・・・連結ラック
14・・・支持部材
15・・・支柱の内管
16・・・連結系合部材
17・・・ネジ溝
18・・・溶接
19・・・貫通ボルト
20・・・ストッパ
A・・・・前部
40・・・連結手段
41・・・張力調整部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部(1)に左右辺梁部材(2)と、この左右辺梁部材(2)の後部(3)に載置して、連結される後部辺梁部材(4)とからなる底部ラック枠部材(5)と、
上部(8)に前記左右辺梁部材(2)間の幅を有する前面棚枠部材(6)と、前記左右辺梁部材(2)間の内側位置で前記前面棚枠部材に連結する左右棚枠辺梁部材(7)とが少なくとも所望の棚枠部材(9)からなる上部ラック部材(10)が、上下に伸びる左右の管状の前部支柱(11)と後部支柱(12)が設けられてなる連結ラック(13)において、
前記左右辺梁部材(2)は、前部において前記前面棚枠部材の幅(W)を短く構成するとともに、前記前部支柱(11)は、前記前面棚枠部材(6)の左右端から、この左右辺梁部材(2)の上に載置された支持部材(14)を介して、上下に垂直に連接されてなり、
前記後部支柱(12)は、前記左右辺梁部材(2)の後部に載置された後部辺梁部材(4)と前記左右棚辺梁部材(7)の後部端で上下に垂直に連結されて構成されてなる連結ラック(13)が左右方向に間隔を有して配置された間に位置されてなる連結ラック(13)用の連結棚であって、
この連結棚は、所望の長さを有する前面棚枠部材(6a)と、この前面棚枠部材(6a)の左右両端に内側に直行して連結する左右棚枠辺梁部材(7a)と、この左右棚枠辺梁部材(7a)の後部端にさらに内側に直行して連結する後部接続部材(9b)と、前記前面棚枠部材(6a)、左右棚枠辺梁部材(7a)、後部接続部材(9b)の内側に複数の所望の棚枠部材(9a)からなる上部ラック部材(10a)で構成され、
さらに上部ラック部材(10a)の左右端に、前記連結ラック(13)の前記左右棚枠辺梁部材(7)の上部からコの字上に被せて引掛けるフック部材と、このフック部材の延長線上に、前記連結ラック(13)の上部に重ねる別の連結ラック(13)の左右棚枠辺梁部材(7)の下に延設された左右棚枠辺梁部材受部(23)を設けてなることを特徴とする連結ラック用の連結棚。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記前面棚枠部材(6a)は、前記連結ラック(13)の前記左右辺梁部材(2)間の長さを有することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−56766(P2012−56766A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224326(P2010−224326)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(510249689)エイジィーコーポレーション有限会社 (2)
【Fターム(参考)】