説明

連結部材及びそれを用いたシステムキッチン

【課題】パーティションをレンジフードに簡単に連結することができる連結部材を提供する。
【解決手段】レンジフードの下端部に固定する上部51と、この上部51より下側に設けられパーティションの上端部に固定する下部52と、を備え、上部は第1開口部51Aを有し、下部52は第2開口部52Aを有し、第1開口部51Aはレンジフードの下端部に形成された取付穴に対応しており、第2開口部52Aはパーティションの上端部に形成された取付穴に対応しており、フード又はパーティションが所望の位置からずれて配設されている場合に、第1開口部51Aはレンジフードに対する連結部材の位置を変えてもレンジフードの取付穴と水平方向に重なることができるように形成されており、第2開口部52Aはパーティションに対する連結部材の位置を変えてもパーティションの取付穴と水平方向に重なることができるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンタの上面に立設したパーティションを、カウンタの上方に設けられたレンジフードに連結する連結部材と、パーティションをカウンタとレンジフードとの間に固定したシステムキッチンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家族とのコミュニケーションや利便性の向上の観点から、所謂ペニンシュラ型と呼ばれる壁面から半島のように突き出たシステムキッチンが利用されている。
【0003】
図7に示すように、従来のペニンシュラタイプのシステムキッチン100は、台所用品を収納する複数個のキャビネット110と、加熱調理器121やシンク122を配設していてキャビネット110に載置されるカウンタ120と、加熱調理器121の上方で壁面200から突出するよう配置されたレンジフード130と、を備えている。このようなペニンシュラタイプのシステムキッチン100は、例えば間仕切り家具のように台所とダイニングとを区画するようにして用いられる。
【0004】
また、システムキッチン100は、加熱調理時に発生する煙、蒸気、霧状の油滴等を含む空気がダイニング側へ流れることを抑止するパーティション140を設けている。具体的には、パーティション140は外形を矩形としたパネル状に構成されており、下端部がカウンタ120に固定され上端部がレンジフード130に固定されている。
【0005】
このようなパーティション140が特許文献1に開示されている。特許文献1のパーティションは、仕切り板と、この仕切り板を囲む枠フレームと、枠フレームの下端部とカウンタとの間に配設して枠フレームの高さを調整する高さ調整部材と、高さ調整部材を隠すためのカバー部材と、を備えている(特許文献1の請求項1,段落[0013])。この特許文献1では、枠フレームをレンジフードに固定した連結具に固定することで、パーティションがレンジフードに連結される(特許文献1の段落[0022]末行)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−275221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術では、パーティションを設置する際、作業者は、枠フレームの下端部とカウンタとの間に配置された高さ調整部材を操作することに加えて、この高さ調整部材より上方の位置でレンジフードに取り付けられている連結具に枠フレームの上端部を嵌合させるように、枠フレームの上端部の位置を確認しなければならない。このように、離れた箇所をそれぞれ確認しつつ、パーティションを取り付ける作業は煩わしい。例えば傾いた壁面に取り付けられたレンジフードの下端や傾斜した床に設置したキャビネット上のカウンタが設計通りの位置からずれている場合には尚更である。
【0008】
そこで、作業者がパーティションの上端部とそれに近接するレンジフードの下端部の周辺だけを作業領域としてパーティションとレンジフードとを連結することができれば、作業性の向上を期待できる。また、パーティションとレンジフードとが予定した設置位置から若干ずれた場合にも、パーティションとレンジフードとを簡単に連結できることが望ましい。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、パーティションをレンジフードに簡単に連結することができる連結部材及びそれを備えたシステムキッチンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、カウンタの上面に立設したパーティションを、カウンタの上方に設けたレンジフードに連結する連結部材であって、レンジフードの下端部に固定される上部と、この上部より下側に設けられパーティションの上端部に固定される下部と、を備え、上部は第1開口部或いは第1切欠部を有し、下部は第2開口部或いは第2切欠部を有し、第1開口部或いは第1切欠部はレンジフードの下端部に形成された取付穴に対応し、第2開口部或いは第2切欠部はパーティションの上端部に形成された取付穴に対応していて、レンジフード又はパーティションが所望の位置からずれて配設されている場合に、第1開口部或いは第1切欠部はレンジフードに対する当該連結部材の位置を変えてもレンジフードの取付穴と水平方向に重なることができるように形成され、さらに、第2開口部或いは第2切欠部はパーティションに対する当該連結部材の位置を変えてもパーティションの取付穴と水平方向に重なることができるように形成されている。
【0011】
本発明の連結部材において、例えば、第1開口部或いは第1切欠部は横方向に長く、第2開口部或いは第2切欠部は縦方向に長く形成されている。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のシステムキッチンは、キャビネットと、キャビネットに載置したカウンタと、カウンタに配設した加熱調理器と、加熱調理器の上方に配置したレンジフードと、パーティションと、前述の連結部材と、を備え、連結部材によってパーティションがレンジフードに連結されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特許文献1記載のパーティションを設置する際の作業と比較して、作業者によるパーティションとレンジフードとの連結作業を一箇所の領域、つまりパーティションの上端部とそれに近接するレンジフードの下端部との周辺領域だけに集中させることができるため、離れた二箇所の領域を別々に確認しながら作業を行う特許文献1の技術に比して作業性の向上を期待できる。
【0014】
また、例えば傾いた壁面に取り付けられたレンジフードの下端部や傾斜した床に設置したキャビネット上のカウンタが設計通りの位置から若干ずれている場合であっても、この傾きを吸収してレンジフードとパーティションとを連結部材によって連結することができる。さらに、本発明では特許文献1で用いる高さ調整部材が不要であるため、部品コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は本発明の実施形態に係るシステムキッチンの正面図、(B)はシステムキッチンの右側面図である。
【図2】(A)は本発明の実施形態に係る連結部材の正面図、(B)は(A)の破線の楕円C1で囲った連結部材の右端部領域の拡大図、(C)は連結部材の拡大右側面図である。
【図3】(A)はレンジフードの下端部にパーティションを配置した状態の正面図、(B)はレンジフードの下端部とパーティションの上端部とに連結部材を当接させた状態の正面図である。
【図4】図3(B)のA−A線に沿ったパーティションとレンジフードとの連結構造の断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る連結部材の使用方法を説明するための図である。
【図6】(A)〜(E)はそれぞれ本発明の実施形態に係る連結部材の変形例を示す図である。
【図7】従来のシステムキッチンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1(A)は本発明の実施形態に係るシステムキッチン1の正面図であり、図1(B)はシステムキッチン1の右側面図である。
システムキッチン1は、壁面200から半島のように突き出るように設置されるペニンシュラタイプであり、例えば間仕切り家具のように台所とダイニングとを区画する。
【0017】
システムキッチン1は、図1に示すように、台所用品を収納する複数個のキャビネット10と、加熱調理器21やシンク(図1では表れていない)を配設していてキャビネット10に載置されるカウンタ20と、壁面200に取り付けられて加熱調理器21の上方に配置されたレンジフード30と、加熱調理時に発生する煙、蒸気、霧状の油滴等を含む空気のダイニング側への流出を抑止するパーティション40と、を備えている。システムキッチン1は、図1(A)に示すシステムキッチン1の正面が図1(B)に示すように台所側を臨むように、向きが選定されている。パーティション40は、図1(B)に示すようにキッチン正面よりダイニング側へ向かったキッチン後側のカウンタ20上の位置でパネル面がダイニング側を臨むように立設している。
【0018】
このような構成は従来のシステムキッチン100と同様の構成であるが、本実施形態に係るシステムキッチン1では、カウンタ20上で起立したパーティション40が連結部材50によってレンジフード30に連結されていることを特徴としている。本実施形態のシステムキッチン1ではパーティションの上端部より高い位置にレンジフードの下端部が配置されるので、それらの間の高さ位置に連結部材を配置してパーティションの上端部をレンジフードの下端部に連結する。
【0019】
図2(A)は本実施形態に係る連結部材50の正面図、図2(B)は図2(A)の破線の楕円C1で囲った連結部材50の右端部領域の拡大図で、図2(C)は連結部材50の拡大右側面図であり、図2では連結部材50をレンジフード30やパーティション40に取り付ける姿勢、つまり起立した状態で表している。ここで、図2(A)の矢印で示すように紙面の上側がシステムキッチン1の上側方向、紙面の下側がシステムキッチンの下側方向、紙面の左右側がシステムキッチンの左右方向に対応している。細長い板片状に形成された連結部材50は、長手方向をシステムキッチンの左右方向に沿わせつつ板を立てた姿勢で、レンジフード30とパーティション40とを連結する。
【0020】
このため、連結部材50は、レンジフード30の下端部に固定される上部51と、この上部51より下側に設けられパーティション40の上端部に固定される下部52と、を備えている。
【0021】
上部51と下部52とが一体に構成されて、一枚の板片を成すが、本実施形態では図2(C)に示すように上部51が下部52よりも厚みを薄くして形成されている。
【0022】
また、図2(B)に示すように、上部51の右側の端部はそこより中央寄りの部分に比べて高さが低くなるように形成されている。連結部材50の左端部も図2(B)に示す右端部と同様に形成されている。なお、後述の図3及び図5に示すように、連結部材50は、左右の端部に上側の角部51C(図3(B)参照)を残して構成されてもよい。
【0023】
連結部材50は図2(A)に示すように上部51に一対の第1開口部51Aを有する。一対の第1開口部51Aはレンジフード30の一対の取付穴に対応している。
【0024】
ここで、図3(A)はレンジフード30の下端部にパーティション40を配置した状態を示しており、図3(B)はレンジフード30の下端部とパーティション40の上端部とに連結部材50を当接させた状態を示している。図示例では、パーティション40とレンジフード30との間に高さが均一のクリアランスCLが設定される状態を示している。この図3の上下左右方向は図1(A)の上下左右方向と一致している。なお、パーティション40は、図1(B)に示すようにシステムキッチン1の正面側より後側に位置するレンジフード30の下端部分、つまり図1(B)で破線の円C2で示すレンジフード30の下端部30Bに連結される。図3では、レンジフード30の下端部30Bを構成する一部のパネル(以下、第1パネル31と呼ぶ。)だけを表し、レンジフード30の他の部材を省略している。
【0025】
レンジフード30の一対の取付穴31Aが図3(A)に示すように第1パネル31に横方向に距離を置いて形成されているため、図3(B)に示すように、これらの取付穴31A同士の間隔に相当する間隔をもって一対の第1開口部51Aは連結部材50の上部51に横方向に設けられている。
【0026】
図4は図3(B)のA−A線に沿ったパーティション40とレンジフード30との連結構造の断面図であり、この図に示すように本実施形態では、レンジフード30の下端部30Bは、第1パネル31に加えて、第1パネル31の前側に所定の距離置いて設けられレンジフード30の内壁面を構成する第2パネル32と、第1パネル31より外側に設けられレンジフード30の外装、つまり意匠面を構成する第3パネル33と、で構成されている。図中の32Dは油返しである。
【0027】
第3パネル33の下端は、第1パネル31の下側から第1パネル31の前側に回り込んで第1パネル31に当接しているが、第2パネル32には接触せずに、第3パネル33と第2パネル32との間に隙間(以下、差込部と呼ぶ。)が画成されている。
【0028】
この差込部35は、システムキッチン1の左右方向に沿って形成されている。この差込部35に連結部材50の上部51をその長手方向の全長に亘って部分的に挿入した後に連結部材50を下端部30Bに固定させるため、第3パネル33と第2パネル32には、第1パネル31の取付穴31Aに対応した取付穴33A,32Aが形成されている。
【0029】
連結部材50をレンジフード30の下端部30Bに固定する際にねじ61(図4)を用いるが、このねじ61が第1パネル31だけに螺着するよう、第1パネル31の取付穴31Aだけがねじ穴として構成されている。第2パネル32及び第3パネル33の取付穴32A,33Aは、第1パネル31の取付穴31Aよりも大径に形成されているが、ねじ61の頭部61Aよりも小さく形成されている。これらの取付穴31A,32A,33Aと同様に、第1開口部51Aは、ねじ61の軸部61Bを通すことができるが、ねじ61の頭部61Aを通すことができないように、穴の寸法が選定されている。
【0030】
なお、第1パネル31、第2パネル32及び第3パネル33において取付穴31A,32A,33Aが形成される部分は、連結部材50の上部51が当接するように、凹凸の無い面に形成されている。
【0031】
さらに、連結部材50は、図2(A)に示すように下部52に一対の第2開口部52Aを有する。一対の第2開口部52Aはパーティション40の一対の取付穴に対応している。
【0032】
図3(A)に示すように、パーティション40は、外周形状を矩形としたパネル41と、このパネル41の外周に取り付けた枠42と、から構成されている。パネル41は、例えば透明或いは半透明のガラス材料等で構成されている。枠42は、水平バー状の下枠部42Aと、下枠部42Aの左右の端部に下端部を連結される垂直バー状の左枠部42B及び右枠部42Cと、左枠部42B及び右枠部42Cの各上端部に左右の端部を連結される水平バー状の上枠部42Dと、から成る。パーティション40は、下枠部42Aの底面に塗布された接着剤或いは両面接着テープ等によってカウンタ20の上面に固定される。レンジフード30と連結するためにパーティション40の上枠部42Dに、一対の取付穴42Eが形成されている。取付穴42Eはねじ穴として構成されている。
【0033】
パーティション40の一対の取付穴42Eが、図3(A)に示すようにパーティション40の上枠部42Dに横方向に距離を置いて形成されているため、図3(B)に示すように、これらの取付穴42E同士の間隔に相当する間隔をもって、一対の第2開口部52Aは連結部材50の下部52に横方向に設けられている。これらの第2開口部52Aは、ねじ62(図4)の軸部62Bを通すが、ねじ62の頭部62Aを通すことができないように、穴の寸法が選定されている。
【0034】
なお、図3(A)ではパーティションの高さ方向の中間程度の部分の表示を省略し左枠部42B及び右枠部42Cを部分的に二点鎖線で表し、また図3(B)はパーティション40の上側の領域だけを表している。
【0035】
さらに、本実施形態では、図2(A)及び図3(B)に示すように、第1開口部51Aと第2開口部52Aとが上下方向に位置が重ならないよう、両者それぞれ横方向に位置がずれて設けられている。
【0036】
次に、以上のように構成された連結部材50を用いた、カウンタ20上に立設したパーティション40と壁面200に固定されたレンジフード30との連結構造について説明する。
【0037】
図4に示すように、レンジフード30の差込部35に連結部材50の上部51を挿入し、さらに連結部材50の第1開口部51Aをレンジフード30の下端部30Bの取付穴31Aと位置合わせした状態で、これらの第1開口部51Aと取付穴31Aとにねじ61を差し込み、ねじ61を第1パネル31の取付穴31Aに螺着させる。これにより、連結部材50がレンジフード30の下端部30Bに固定される。
【0038】
また、図4に示すように、連結部材50の第2開口部52Aをパーティション40の上枠部42Dの取付穴42Eと位置合わせした状態で、これらの第2開口部52Aと取付穴42Eとにねじ62を差し込んで取付穴42Eに螺着させることで、連結部材50がパーティション40の上枠部42Dに固定される。このように、連結部材50によってパーティション40をレンジフード30に連結することができる。
【0039】
さらに、本実施形態に係る連結部材50では、図2(A)に示すように、第1開口部51Aが横方向に長い穴(以下、長穴と呼ぶ。)に形成され、第2開口部52Aが縦方向に延びた長穴に形成されている。第1開口部51Aは、例えばねじ61の軸部61Bを通し、且つ軸部61Bを固定した状態で連結部材50を左右方向に3mm程度移動させ得るように横長に形成されている。第2開口部52Aは、例えばねじ62の軸部62Bを通し、且つ、軸部62Bを固定した状態で連結部材50を上下方向に3mm程度移動させ得るように上下方向に長く形成されている。
【0040】
このように第1開口部51Aと第2開口部52Aとが長穴に形成されていることで、例えばレンジフード30が予め決めた取付位置よりも、上側或いは下側(図1(A)の上下方向ご参照)に若干ずれていて、このレンジフード30の取付穴31Aに第1開口部51Aを位置合わせした場合でも、当該パーティション40の取付穴42Eの位置と第2開口部52Aの位置とが水平方向で一致する。これにより、取付穴42Eと第2開口部52Aとが連続したねじ用の穴を構成する。よって、第2開口部52Aを通したねじ62を取付穴42Eに螺着させることができるので、連結部材50によってパーティション40とレンジフード30とを連結できる。
【0041】
例えば、図5(A)に示すように、レンジフード30の位置が規定の位置より低く、レンジフード30とパーティション40との間にクリアランスが無い場合には、レンジフード30の取付穴31Aに第1開口部51Aの位置を合わせた場合、図3(B)に比べて連結部材50の位置が低くなるが、連結部材50の第2開口部52Aが上下方向に沿った縦の長穴に形成されているため、連結部材50の第2開口部52Aがパーティション40の取付穴42Eと水平方向で重なることができる。よって、この場合にも、連結部材50によってパーティション40とこれに接したレンジフード30とを連結することができる。
【0042】
また、図5(B)に示すように、レンジフード30を取り付ける壁面200が傾いていて、レンジフード30の右側が左側よりも若干持ち上がっている場合、連結部材50の第1開口部51Aが横方向の長穴に、第2開口部52Aが縦方向の長穴に形成されているため、僅かな傾きを持ったレンジフード30の一対の取付穴31Aの位置に連結部材50の上部51の一対の第1開口部51Aを位置合わせしつつ、第2開口部52Aをパーティション40の取付穴42Eに水平方向に位置を重ねることができる。レンジフード30の左側が右側よりも持ち上がっている場合も、図5(C)に示すように、連結部材50の左側部分を右側部分より若干高くなるように傾けて、第1開口部51Aをレンジフード30の取付穴31Aに水平方向に重ね、第2開口部52Aをパーティション40の取付穴42Eに水平方向に重ねることができる。よって、このように若干傾いたレンジフード30に対しても、連結部材50によってパーティション40を連結することできる。
【0043】
また、レンジフード30の傾きに代えて、パーティション40の上枠部42Dが若干傾いている場合にも、当該パーティション40を連結部材50によってレンジフード30に連結させることができる。このような、パーティション40の傾きは、例えばキャビネット10を設置するフロアが傾いていること等によって生じる。
【0044】
なお、図5は、図3と同様にレンジフード30の第1パネル31だけを表し他のレンジフード30の構成部材の表示を省略しており、またパーティション40の上側部分だけを表し、ねじ61,62の表示も省略している。この図5の上下左右方向は、図3と同様に、図1(A)の上下左右方向と一致している。
【0045】
このように本実施形態の連結部材50はレンジフード30の下端部30Bへ固定するための第1開口部51Aとパーティション40の上枠部42Dへ固定するための第2開口部52Aとを一枚の板片内に設けているので、特許文献1のパーティションを設置する際の作業と比較して、作業者によるパーティション40とレンジフード30との作業を一箇所の領域、つまりパーティション40の上枠部42Dとそれに近接するレンジフード30の下端部30Bとの間及びその周辺領域だけに集中させることができるため、離れた二箇所の領域を別々に確認しながら作業を行う特許文献1に比べて、作業性の向上を期待できる。
【0046】
また、連結部材50の第1開口部51Aが横方向の長穴に、第2開口部52Aが縦方向の長穴に形成されているため、例えば傾いた壁面200に取り付けられたレンジフード30の下端部30Bや傾斜した床に設置したキャビネット10上のカウンタ20が設計通りの位置から若干ずれている場合にも、レンジフード30とパーティション40とを連結部材50によって連結することができる。
【0047】
さらに、特許文献1で用いる高さ調整部材が不要であるため、本実施形態に係る連結部材50は部品コストを低減できる。
【0048】
次に、本実施形態に係る連結部材50の変形例について説明する。
図6(A)は第1変形例の連結部材50Aの正面図である。この連結部材50Aは上部51に3つの第1開口部51Aを備えている。
【0049】
図6(B)は第2変形例の連結部材50Bの正面図である。この連結部材50Bは、前述の連結部材50におけるねじ通し用の穴としての第1開口部51Aに代えて横方向に長く切り欠いた第1切欠部51Bを上部51に備えている。
【0050】
図6(C)は第3変形例の連結部材50Cの正面図である。この連結部材50Cは、前述の連結部材50におけるねじ通し用の穴としての第2開口部52Aに代えて上下方向に長く切り欠いた第2切欠部52Bを下部52に備えている。
【0051】
図6(D)は第4変形例の連結部材50Dの正面図である。この連結部材50Dは、上部51の左右の端寄りの位置にねじ61を通すための第1切欠部51Bを備えることに加えて、長さ方向の中間部にねじ61を通すための第1開口部51Aを上部51に備えている。
【0052】
図6(E)は第5変形例の連結部材50Eの正面図である。この連結部材50Eは、図6(D)の連結部材50Dにおけるねじ通し用の穴としての第2開口部52Aに代えて第2切欠部52Bを備えている。
【0053】
以上説明したが、本発明は、その主旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施することができる。
【0054】
例えば、上記連結部材の上部に設ける第1開口部及び/又は第1切欠部を横長の形状に代えて、上下方向に延びた長穴或いは切欠きで形成してもよい。この場合、下部に設ける第2開口部及び/又は第2切欠部を縦長の形状に代えて、左右方向に延びた長穴或いは切欠きで形成する。また、第1開口部及び第2開口部は、長穴に代えて、大径の穴として構成されてもよい。
連結部材の上部と下部とに設ける第1開口部、第2開口部、切欠部の数や組み合わせは図示例に限定されるものではない。
上記説明では、連結部材は、上部と下部とが異なる厚みに設定されているが、厚みが一定であってもよいことは勿論である。また、凹凸部を有するパネル部材として構成されてもよい。
【0055】
連結部材の寸法比率は、図示例に限定されるものではない。上記説明では、連結部材を板片状に構成した場合を前提に説明を進めたが、例えばブロック状に構成してもよい。
上記説明では、壁面にレンジフードが固定されているシステムキッチンを前提に説明を進めたが、レンジフードは天井に固定されていてもよい。
また、本実施形態に係る連結部材は、ペニンシュラ型のシステムキッチンに限らず、周囲のいずれの側面箇所を壁面などに当てずに例えば台所の中央に島のように設置されるアイランドタイプのシステムキッチンで利用することも可能である。
第1開口部或いは第1切欠部と第2開口部或いは第2切欠部とは上下に並ぶように配置してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 システムキッチン
10 キャビネット
20 カウンタ
21 加熱調理器
30 レンジフード
30B レンジフードの下端部
31 第1パネル
31A 第1パネルの取付穴
32 第2パネル
32A 第2パネルの取付穴
33 第3パネル
33A 第3パネルの取付穴
35 差込部
40 パーティション
41 パネル
42 枠
42A 下枠部
42B 左枠部
42C 右枠部
42D 上枠部
42E パーティションに形成された取付穴
50 連結部材
51 連結部材の上部
51A 連結部材の第1開口部
51B 連結部材の第2切欠部
52 連結部材の下部
52A 連結部材の第2開口部
52B 連結部材の第2切欠部
61,62 ねじ
61A,62A ねじの頭部
61B,62B ねじの軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタの上面に立設したパーティションを、上記カウンタの上方に設けられたレンジフードに連結する連結部材であって、
上記レンジフードの下端部に固定される上部と、この上部より下側に設けられ上記パーティションの上端部に固定される下部と、を備え、
上記上部は第1開口部或いは第1切欠部を有し、
上記下部は第2開口部或いは第2切欠部を有し、
上記第1開口部或いは第1切欠部は上記レンジフードの下端部に形成された取付穴に対応しており、
上記第2開口部或いは第2切欠部は上記パーティションの上端部に形成された取付穴に対応しており、
上記レンジフード又は上記パーティションが所望の位置からずれて配設されている場合に、上記第1開口部或いは第1切欠部は上記レンジフードに対する当該連結部材の位置を変えても上記レンジフードの取付穴と水平方向に重なることができるように形成されており、上記第2開口部或いは第2切欠部は上記パーティションに対する当該連結部材の位置を変えても上記パーティションの取付穴と水平方向に重なることができるように形成されていることを特徴とする、連結部材。
【請求項2】
前記第1開口部或いは第1切欠部は横方向に長く、前記第2開口部或いは第2切欠部は縦方向に長く形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の連結部材。
【請求項3】
キャビネットと、このキャビネットに載置した前記カウンタと、このカウンタに配設した加熱調理器と、この加熱調理器の上方に配置した前記レンジフードと、前記パーティションと、請求項1又は2に記載の連結部材と、を備え、
上記連結部材によって前記パーティションが前記レンジフードに連結されていることを特徴とする、システムキッチン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104634(P2013−104634A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250028(P2011−250028)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】