連続サンプリング装置および関連方法
溶液構成物質の数を決定する方法は、第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程、導入された第1の数の溶液構成物質のための第1の結合環境を確立する工程、第1の複数の溶液構成物質に結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程、第1の残余数の溶液構成物質のための第2の結合環境を確立する工程、第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質に結合させることにより第2の残余数の溶液構成要素を作製する工程、結合した第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程、結合した第2の複数の溶液構成要素と関連する第2のシグナルを取得する工程、ならびに取得した第1のシグナルおよび取得した第2のシグナルに基づいて目的の構成物質の第2の数を決定する工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、診断試験、より具体的には、親和性に基づく診断試験に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]特にここ数十年で、生化学および医学の分野における広範囲に及ぶ科学的研究により、様々な疾患および身体状態が、人体における分子的変化により表されるという事実が示されてきた。多くの場合、分子的変化の早期検出は、状態のより早期の診断を可能にし、状態を効率的に治療する可能性を有意に増加させる。
【0003】
[0003]多くの分子的変化は、DNA、RNAまたはタンパク質などの分析物分子を検出および定量するためのアッセイを用いて同定される。これらのアッセイは、分析物分子の捕捉分子への特異的結合に基づくものであり、結合した分析物分子の量は、典型的には、試験溶液中の分析物分子の総数に比例する。この型の検出方法は、「親和性アッセイ」と記述され、通常、検出または定量しようとする分析物を含有する試験溶液を、捕捉分子のセット(プローブスポットとも呼ばれる)と接触させることから始まる。試験溶液を捕捉分子と接触させた時、特定の割合の分析物が捕捉分子に結合するであろう。十分な時間量の後、試験溶液を除去し、捕捉分子に結合した分析物分子の存在(または量)を検出する。
【0004】
[0004]典型的には、親和性アッセイは、捕捉分子のそれぞれのセットが通常は単一のデータ点のみを生じるという事実により限定される。単一のデータ点は、一般的には、特に、システムに未知の要素が存在する場合、正確な結果を計算するには不十分である。そのような未知の要素は、交叉反応分子、すなわち、目的の分析物とは異なるが、それにもかかわらず、捕捉分子に結合し、かくして、定量結果を役に立たないものにし、偽陽性の原因となる分子の存在であってよい。
【0005】
[0005]別の未知の要素は、周囲温度または捕捉分子の密度であってよい。例えば、分子は通常、捕捉分子により表面上に固定される。捕捉分子を含む試験部位を調製する一つの方法は、密着焼付けである。密着焼付けに関して、表面上に沈着した捕捉分子の密度は、あるバッチから次のバッチに2倍変化することが多い。Petersonら、「The effect of surface probe density on DNA hybridization」、Nucleic Acids Research, Vol 29, No 24, pp. 5163〜5168, Oxford University Pressにより報告されたように、捕捉分子の密度は、結合する分析物の量に強く影響する。従って、密着焼付けを行った捕捉分子を用いるアッセイは、有効かつ意味のある結果を得るには、煩わしい外部較正方法(標準曲線など)に依存する。
【0006】
[0006]親和性アッセイを実施する装置および方法が必要である。正確な結果を得る多重アッセイ、タンパク質アレイ、側方流動装置、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、またはビーズに基づくアッセイなどの低費用のアッセイ、およびそのようなアレイの使用方法がさらに必要である。試験溶液内の分析物の数を決定することができる親和性アッセイを実施するための方法およびシステムは有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
[0007]一実施形態に従えば、溶液構成物質の数を決定する方法は、第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程、導入された第1の数の溶液構成物質のための第1の結合環境を確立する工程、第1の複数の溶液構成物質に結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程、第1の残余数の溶液構成物質のための第2の結合環境を確立する工程、第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質に結合させることにより第2の残余数の溶液構成要素を作製する工程、結合した第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程、結合した第2の複数の溶液構成要素と関連する第2のシグナルを取得する工程、ならびに取得した第1のシグナルおよび取得した第2のシグナルに基づいて目的の構成物質の第2の数を決定する工程を含む。
【0008】
[0008]別の実施形態においては、分析物捕捉システムに含まれる分子の数を決定する方法は、第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程、第1の複数の溶液構成物質を第1の割合の複数の捕捉プローブに第1の試験位置で結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程、第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質を第2の割合の複数の捕捉プローブに第2の試験位置で結合させることにより第2の残余数の溶液構成物質を作製する工程、結合した第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程、結合した第2の複数の溶液構成物質と関連する第2のシグナルを取得する工程、ならびに得られた第1のシグナルおよび得られた第2のシグナルに基づいて目的の分子の第2の数を決定する工程を含む。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態においては、連続サンプリングシステムは、複数の第1の捕捉プローブ、複数の第2の捕捉プローブ、溶液中の第1の数の目的の分析物を、複数の第1の捕捉プローブに近い位置から複数の第2の捕捉プローブに近い位置に移動させるための輸送システム、コマンド指示が保存されるメモリ、ならびに第1の複数の結合した第1の捕捉プローブと関連する第1のシグナルを取得し、第2の複数の結合した第2の捕捉プローブと関連する第2のシグナルを取得し、得られた第1のシグナルと得られた第2のシグナルに基づいて目的の構成物質の第1の数を決定するための、コマンド指示を実行するように構成されたプロセッサを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】[0010]検出されたシグナルを増加させる他の分子を含むサンプル中の目的の分子の数の決定を可能にする連続サンプリングに単一のサンプルをさらすように構成された連続サンプリングシステムを示す図である。
【図2】[0011]マイクロアレイの形態でいくつかの異なる試験部位を提供するためのプラットフォームを示す図である。
【図3】[0012]サンプルを複数の捕捉プローブ部位にさらすためにプラットフォーム上の様々な試験部位で試験溶液を連続的にサンプリングするのに用いることができる手順を示す図である。
【図4】[0013]試験溶液内の目的の分析物を、捕捉プローブの第1のセットに隣接する位置に輸送するように課されたアレイ上の試験部位の概略図である。
【図5】[0014]第1の試験部位で結合していない試験溶液内の目的の分析物を、捕捉プローブの第2のセットに隣接する位置に輸送するように課された図4のアレイ上の第2の試験部位の概略図である。
【図6】[0015]試験溶液が異なる捕捉プローブ部位を通過して流動する時に、試験溶液から目的の分析物を捕捉する側方流動技術を含む連続サンプリングシステムの概略図である。
【図7】[0016]試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図8】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図9】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図10】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図11】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017]本発明の原理の理解を促すために、ここで図面に例示され、以下の明細書に記載される実施形態を参照する。それによって本発明の範囲に対する限定が意図されるものではないことが理解される。さらに、本発明は例示される実施形態に対する任意の変更および改変を含み、また、本発明が属する分野の当業者が通常行うであろう本発明の原理のさらなる適用を含むことが理解される。
【0012】
[0018]様々な親和性アッセイが、質量作用の法則に従って機能し、所与の親和性定数およびプローブ密度に関して、プローブに結合する分析物の割合が一定であり、分析物濃度の関数ではないことを予測する。質量作用の法則は、
【数1】
(式中、
banalyteは結合した分析物分子の数であり、
nanalyteは試験溶液中の全分析物分子の数であり、
nprobesは全プローブ分子の数であり、
kaは分析物分子とプローブ分子との結合定数であり、
NAはアボガドロ数であり、
Vは試験溶液の体積であり、および
aanalyteは結合した分析物の割合である)
として表される。
【0013】
[0019]図1を参照して、全体として命名される連続サンプリングシステム100の説明を記載する。サンプリングシステム100は、I/O装置102、処理回路104およびメモリ106を含む。I/O装置102は、ユーザーインターフェース、グラフィカルユーザーインターフェース、キーボード、ポインティングデバイス、遠隔および/またはローカル通信回線、表示装置、ならびに外部で生成された情報をサンプリングシステム100に提供し、サンプリングシステム100の内部情報を外部に通信することができる他の装置を含む。
【0014】
[0020]処理回路104は、好適には、マイクロプロセッサおよびその関連電気回路などの一般的な目的のコンピュータ処理回路であってよい。処理回路104は、それに起因する操作を実行するために操作可能である。
【0015】
[0021]メモリ106内には、様々なプログラム指令108がある。プログラム指令108のいくつかは以下により完全に説明され、処理回路104および/または必要に応じて、任意の他の構成要素によって実行可能である。関連データベース110もメモリ106内に位置する。
【0016】
[0022]サンプリングシステム100はさらに、輸送制御システム112および環境検出器一式114を含む。輸送制御システム112は、この例では、図2に記載のマイクロアレイ120に関して、試験溶液を移動させるように構成される。様々な方法を用いて、マイクロアレイプラットフォーム120を形成させることができる。例えば、米国特許第5,807,522号は、マイクロアレイを形成させる方法を開示する。マイクロアレイプラットフォーム120は、いくつかの異なるサブアレイ122を含む。サブアレイ122は、分析物プローブからなるいくつかの試験部位124を含む。サブアレイ122の数ならびにそれぞれのサブアレイ122内の試験部位124の数は、本発明の範囲内で変化してもよい。試験部位124での試験溶液の正確な温度を、本実施形態では、検出器一式114により検出することができる。
【0017】
[0023]前記システム100はさらに、センサー116を含む。センサー116は、システム100の他の構成要素と共に、単一の装置中に含まれていてもよい。あるいは、システム100の1つまたは複数の構成要素を、システム100の他の構成要素から遠くに離れて位置してもよい別の装置として提供することができる。
【0018】
[0024]試験部位124を、目的の分析物を捕捉するのに有効な捕捉剤または分析物プローブと共に調製する。サンプリングシステム100に関するさらなる詳細は、図3の手順130を参照して提供される。プロセッサ104は、図3の手順130の少なくともいくつかを実行するプログラム指令108を実行する。異なる実施形態においては、手順130を、特定の基準に応じてより多いか、またはより少ない工程を含むように改変することができる。
【0019】
[0025]ブロック132では、目的の分析物を同定し、マイクロアレイ120上の目的の分析物およびプローブ分子のkaを取得し(ブロック134)、関連データベース110に保存する(ブロック136)。次いで、試験サンプル中に存在する可能性がある干渉またはノイズの潜在的な供給源を同定する(ブロック138)。シグナル干渉の同定は、例えば、同定されたプローブ分子に対しても親和性を有するサンプル内の可能性のある分子または潜在的な分子の同定を含んでもよい。次いで、プローブ分子のノイズのそれぞれの供給源に関するkaを同定し(ブロック140)、親和性データベース110の1つに保存する(ブロック142)。
【0020】
[0026]ブロック144では、それぞれの試験部位124中に所望の量の選択されたプローブ分子を沈着させることにより、マイクロアレイプラットフォーム120を調製する。代替的な実施形態においては、試験部位124のサブセットを、第1のプローブ分子を用いて調製することができるが、試験部位124の別のサブセットを第2のプローブ分子を用いて調製して、単一のマイクロアレイプラットフォーム120内で2つの別々の試験を行うことができる。単一のマイクロアレイプラットフォーム120内で追加の構成を用いてもよい。例えば、1つのサブアレイ122の中のそれぞれの試験部位を、同じプローブ分子を用いて調製することができるが、別のサブアレイ122は異なるプローブ分子を含む。この実施形態において特定のプローブ分子を用いて調製された試験部位124の数を、上記で同定された潜在的に干渉する分子型+目的の分析物の数と少なくとも同じとなるように選択する。
【0021】
[0027]一度、マイクロアレイ120を調製したら、試験サンプルを試験部位124の選択されたセットに導入する(ブロック146)。試験サンプルは、いくつかの目的の分析物ならびにいくつかの干渉分析物を含む。未だ確立されていない場合、試験部位124のそれぞれの選択されたセット内の環境を制御して、サンプル内の目的の分析物を所望の試験部位124または試験部位124のセットに局在化させる(ブロック148)。この例では、目的の分析物は帯電しており、輸送制御システム112を用いて試験サンプル内の電気力を確立する。かくして、輸送制御システムは、図4に記載のように、試験サンプル内の目的の分子を所望の試験部位124に輸送する。
【0022】
[0028]図4は、試験サンプル150により被覆された試験部位1241および試験部位1242を記載する。目的の分析物152は負に帯電しており、干渉分析物154も同様である。輸送制御システム112は試験部位1241に正電荷を加え、目的の分析物152および干渉分析物154を負に帯電させて、試験部位1242から離れさせ、試験部位1241の上に集める。
【0023】
[0029]次いで、試験サンプル150を所定の時間インキュベートする(ブロック156)。インキュベーション中に、試験部位124のそれぞれの選択されたセット内の実際の試験環境を、環境検出器一式114によりモニターし、確立された試験環境を示すデータを処理回路104に提供する(ブロック158)。いくつかの実施形態においては、環境をモニターしなくてもよい。環境データは、温度、および試験部位1241と1242との間の電位差を含んでもよい。インキュベーション中に、目的の分析物152のいくらかおよび干渉分析物154のいくらかは、試験部位1241で試験プローブ160により結合する。
【0024】
[0030]サンプル150を十分にインキュベートした時、輸送制御システム112は試験部位1242に正電荷を加え、目的の分析物152および干渉分析物154を負に帯電させ、図5に記載のように、結合していないものは試験部位1241から離れ、試験部位1242の上に集まる(ブロック160)。次いで、試験サンプル150を所定の時間インキュベートする(ブロック162)。インキュベーション中に、試験部位124のそれぞれの選択されたセット内の実際の試験環境を、環境検出器一式114によりモニターし、確立された試験環境を示すデータを処理回路104に提供する(ブロック164)。環境データは、温度、および試験部位1241と1242との間の電位差を含んでもよい。インキュベーション中に、目的の分析物152のいくらかおよび干渉分析物154のいくらかは、試験部位1242で試験プローブ160により結合する。
【0025】
[0031]サンプル150を十分にインキュベートした時、試験部位124を洗浄し(ブロック166)、センサー116を用いて、結合した目的の分析物152および結合した干渉分析物154を検出する(ブロック168)。親和性アッセイにおいて分析物の結合を定量するには、様々な検知方法を用いることができる。そのような検知方法としては、発光、蛍光、比色分析、電気化学、電気抵抗、および磁気的読出しが挙げられる。検知方法は、好ましくは、結合したプローブ数の高精度の指示を提供する。試験部位1241および1242中の結合したプローブ数と関連するシグナルに基づいて、サンプル内の1つまたは複数の目的の分析物の数を、処理回路104により算出する(ブロック170)。
【0026】
[0032]試験部位124の選択されたセットの特定の1つに関してセンサー116により得られるシグナルは、目的の分子を含むシグナル、および干渉分子などのそれぞれのノイズ源に対する寄与因子の合計であるため、1つまたは複数の目的の分析物の数の算出が可能である。それぞれの寄与因子に起因するシグナルの相対的な割合は、特定の寄与因子の量、他の寄与因子の量、およびそれぞれの寄与因子の最初に沈着した捕捉プローブに対する相対的親和性に依存する。その関係は、以下の式:
S1=a1−1n1−1+a1−2n1−2+・・・・a1−xn1−x
(式中、
S1は、試験部位1241中の結合したプローブ160と関連するシグナルであり、
a1−1は、試験部位1241中のプローブ160に結合する分析物(1〜x)の割合であり、および
n1−1は、試験部位1241にある同定された分析物(1〜x)のサンプル中の数である)
で表される。
【0027】
[0033]同様に、試験部位1242でのシグナルの関係は、以下の式:
S2=a2−1n2−1+a2−2n2−2+・・・・a2−xn2−x
(式中、
S2は、試験部位1242中の結合したプローブ160と関連するシグナルであり、
a2−1は、試験部位1242中のプローブ160に結合する分析物(1〜x)の割合であり、および
n2−1は、試験部位1242にある同定された分析物(1〜x)のサンプル中の数である)
で表される。
【0028】
[0034]試験部位1242での分析物の数は試験サンプル中の分析物の元の数−試験部位1241で結合した分析物の数に等しいため、試験部位1242でのシグナルに関する式は、
S2=a2−1(1−a1−1)n1−1+a2−2(1−a1−2)n1−2+・・・・a2−x(1−a1−x)n1−x
と書き換えることができる。
【0029】
[0035]2つの分析物の場合については、前記式を、
【数2】
に分解することができる。
[0036]従って、プローブ分子の数が制御されるため、それぞれの分析物について、結合した分析物の割合を、親和性定数およびプローブ密度の関数として決定することができる。かくして、初期試験溶液150中のそれぞれの分析物の数を決定することができる。
【0030】
[0037]例えば、ある状況における試験サンプル150は、目的の分析物の106個の分子および目的の分析物に非常に類似する別の分析物の106個の分子の数を含み、かくして、交叉反応性を特徴付ける。親和性定数(ka)およびプローブ密度は、目的の分析物の分子の40%および他の分析物の60%が捕捉分子に結合することを予測する。従って、目的の分析物の400,000個の分子および他の分析物の600,000個の分子が試験部位1241で捕捉され、1,000,000個の結合したプローブ(S1)に対応するシグナルを得るであろう。
【0031】
[0038]残余数の目的の分析物および他の分析物を試験部位1241に移動させる際に、目的の分析物の400,000個の分子が存在し、試験溶液150中には目的の分析物の600,000個の分子が残されるであろう。従って、インキュベーション後、目的の分析物の240,000個の分子および他の分析物の240,000個の分子が試験部位1242に結合するであろう。次いで、シグナルS2は、480,000個の結合したプローブに相当するであろう。上記の式において、算出された結合割合と得られたシグナルとを置換すれば、
【数3】
が得られる。
【0032】
[0039]かくして、多部位連続サンプリングシステムを、プリント基板、ガラス、プラスチック基質上で、または金、ガラス、エポキシ、ポリマー、もしくはゲルコーティングを含むCMOSチップ上で、またはさらには、96穴プレートなどのウェルプレート中に組入れることができる。必要に応じて、対照、読出し、およびまた、対照の検知手段をプリント基板またはCMOSチップ中に提供することができる。CMOS技術は、複数の検知部位をごく近くに組上げることができる。これは、試験部位間の非制御環境因子の均一性を維持するのに役立つ。必要に応じて、シグナルの評価およびアッセイデータを、CMOSチップ上にハードコード化することができる。
【0033】
[0040]上記の実施形態における輸送制御システム112は、試験サンプル内の分析物を移動させるための電界を含んでいた。電界は、タンパク質またはDNA鎖などの、溶液中にある場合に正味の電荷を有する分析物を輸送するのに有用である(例えば、Dalibor Hodkoら、「CMOS Electronic Microarrays in Diagnostics and Nanotechnology」、CMOS Biotechnology 2007を参照されたい)。
【0034】
[0041]また、帯電した分析物および電気的に中性の分析物を、ピペットまたは液体処理装置を用いて大量に移動させることもできる。電気的に中性の分析物および帯電した分析物の両方について、他の輸送制御システムを用いて、試験溶液を連続的にサンプリングすることができる。輸送制御システムにおいて特に有用であり得る技術としては、全試験溶液をチップレベルで1つのプローブスポットから別のプローブスポットへ移動させるマイクロ流体工学が挙げられる。マイクロ流体工学手法としては、AJ Tudos、「Trends in miniaturized total analysis systems for point−of−care testing in clinical chemistry」、Lab on a Chip、2001により報告された外部または内部のマイクロポンプおよびバルブにより微小に組上げられたチャンネルを介して液体の流動の制御を可能にする連続流動マイクロ流体工学が挙げられる。連続流動システム200を図6に記載する。
【0035】
[0042]図6を参照すると、連続流動輸送システムは、捕捉プローブ204を通過する試験サンプル202の流動を引き起こす。センサー2061〜3は流動経路に沿って位置し、分析物208を捕捉したプローブ204の数を検出するために構成される。分析物の捕捉は試験溶液内の分析物の数の関数であるため、試験溶液内の分析物の数が減少するにつれて捕捉の速度は減少する。従って、センサー2061によって得られるシグナルは、センサー2062により生成されるシグナルよりも大きい。かくして、図6の実施形態における分析物分子の数の算出は、上記の例における分析物分子の数の算出と同様の様式で算出される。
【0036】
[0043]輸送システムにおいて用いることができる他の技術としては、Vijay Srinivasan、「An integrated digital microfluidic lab−on−a−chip for clinical diagnostics on human physiological fluids」、Lab Chip、2004、4、310〜315により報告された絶縁体上でのエレクトロウェッティング(EWOD)、またはAchim Wixforth、「Flat Fluidics: Acoustically driven planar microfluidic devices for biological and chemical application」、Transducers 05により報告された表面音響波などの別個のマイクロ流体工学が挙げられる。また、液体試験溶液を、リポーターまたは捕捉分子のいくつかの領域を含む、多孔性膜により移動させる側方流動システムを組入れることもできる。電界に加えて、磁界を用いて溶液内の分析物を輸送することができる。分析物分子を磁気ビーズまたは帯電した標識で標識して、分析物の輸送を補助することができる。
【0037】
[0044]図4の実施形態は、残余数の中にある分析物が、結合していない分析物である残余数の溶液構成物質を作製するが、残余数の溶液構成物質を、図7乃至図11のサンプリングシステム220によって達成されるものなどの結合した分析物を用いて生成させることもできる。
【0038】
[0045]図7は、いくつかの分析物224を含む試験溶液222を記載する。いくつかのプローブ228を含む試験片226を、矢印230により示されるように溶液222の中に入れることにより、残余数の溶液構成物質を生成させる。次いで、試験片226を、プローブ228に結合したいくつかの分析物224と共に除去する(図8)。プローブ228に結合した分析物の数を示す第1のシグナルを、試験片226から取得することができる。シグナルを取得する前に、試験片226を洗浄して、試験片226に付着するようになったが、プローブ228に結合していない分析物を除去することができる。
【0039】
[0046]次いで、試験片226を、図9に示される溶液232に浸す。プローブ228から分析物224を除去するように溶液232を選択するか、または溶液232内の環境を制御して、分析物224とプローブ228との結合を破壊することができる。かくして、溶液232内の分析物224は、残余数の溶液構成物質を形成する。
【0040】
[0047]次いで、いくつかのプローブ242と共に第2の試験片240を、図10に矢印244で示されるように溶液232にさらす。次いで、試験片240を、プローブ242に結合したいくつかの分析物224と共に除去する(図11)。プローブ242に結合した分析物の数を示す第2のシグナルを、試験片240から取得することができる。シグナルを取得する前に、試験片240を洗浄して、試験片240に付着するようになったが、プローブ242に結合していない分析物を除去することができる。試験溶液222中の分析物の数の決定を、プローブ密度および得られたシグナルと共に、プローブおよび分析物の親和性定数を用いて算出することができる。
【0041】
[0048]環境を制御して分析物224とプローブ228との結合を破壊するサンプリングシステム220の実施形態においては、結合が破壊された後に試験片226を除去することができる。次いで、溶液232中の環境を制御して結合させ、試験片226を再導入することができる。溶液230中の分析物224のプローブ228への結合は、溶液230中の分析物224の数の関数であろう。かくして、溶液230から結合した分析物224の数は、溶液232から結合した分析物224の数よりも少ないであろう。
【0042】
[0049]図3の手順を改変して、様々な状況に適合させることができる。例えば、前記システムはプローブよりもむしろ液体を輸送してもよい。この状況では、試験溶液をプローブスポットと接触するように移動させ、インキュベートする。次いで、初期溶液を除去し、結合した分析物の測定値を取得する。次いで、分析物または干渉構成物質を含まない流体をプローブスポットと接触させ、インキュベートし、結合した分析物のいくらかを溶液中に行かせることができる。次いで、流体を除去し、減少した数の結合した分析物を用いてプローブスポットを測定する。
【0043】
[0050]別の状況では、干渉分析物の結合効率が未知である場合でも、目的の分析物の数よりも非常に多い干渉分析物の数を含む溶液を決定することができる。具体的には、結合効率が小さい限り、干渉分析物分子の数は、干渉分析物のいくらかが捕捉プローブに結合した場合でも一定であると仮定することができる。かくして、連続サンプル中の第1および第2シグナル間のシグナルの減少は、単に目的の分析物の数の変化に起因する。従って、試験溶液中の分析物の数は、以下の式:
【数4】
に従って決定される。
[0051]図3の手順をさらに改変して、試験プラットフォームの異なるバッチを較正することができる。単一の結合分析物を含む試験溶液を用いることにより、残余数の分析物を、図3の手順などの様式で取得することができる。次いで、初期溶液および残留溶液に由来する結合した分析物と関連するシグナルを用いて、式:
【数5】
に従って、元の溶液中の分析物の数を確認することができる。この式では、結合効率は必要ない。従って、この式を、結合効率が未知である状況で用いることができる。
[0052]さらに、例えば、上記の段落44に記載の式を用いて、試験溶液(S1)および残留溶液(S2)から得られるシグナルを、以下の式:
【数6】
(式中、n1=nanalyteである)
に従って決定する。かくして、捕捉分子に結合する分析物分子の割合が未知である状況については、溶液中の分析物の数を、式:
【数7】
に従って決定することができる。
【0044】
[0053]上記の段落44に記載の式はまた、干渉分析物が溶液中に存在する状況において有用である。この状況では、試験溶液(S1)および残留溶液(S2)から得られるシグナルを、以下の式:
【数8】
に従って決定する。かくして、捕捉分子に結合する分析物分子の割合が未知である状況については、干渉種を含む溶液中の分析物の数を、式:
【数9】
に従って決定することができる。
【0045】
[0054]一度、元の溶液中の分析物の数が確認されたら、捕捉プローブ分子の数を、上記の質量作用の法則を用いて決定することができる。この手法を改変して、温度などの、分析物と捕捉分子の特定の組合せに関して結合効率に影響する他の未知の要素を相殺することができる。
【0046】
[0055]本発明を図面および前記説明において詳細に例示および説明してきたが、同じ事は特性において例示的なものであり、制限的なものではないと考えるべきである。好ましい実施形態が提示されたに過ぎず、本発明の精神の範囲内にある全ての変化、改変およびさらには応用も保護されるのが望ましいことが理解される。
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、診断試験、より具体的には、親和性に基づく診断試験に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]特にここ数十年で、生化学および医学の分野における広範囲に及ぶ科学的研究により、様々な疾患および身体状態が、人体における分子的変化により表されるという事実が示されてきた。多くの場合、分子的変化の早期検出は、状態のより早期の診断を可能にし、状態を効率的に治療する可能性を有意に増加させる。
【0003】
[0003]多くの分子的変化は、DNA、RNAまたはタンパク質などの分析物分子を検出および定量するためのアッセイを用いて同定される。これらのアッセイは、分析物分子の捕捉分子への特異的結合に基づくものであり、結合した分析物分子の量は、典型的には、試験溶液中の分析物分子の総数に比例する。この型の検出方法は、「親和性アッセイ」と記述され、通常、検出または定量しようとする分析物を含有する試験溶液を、捕捉分子のセット(プローブスポットとも呼ばれる)と接触させることから始まる。試験溶液を捕捉分子と接触させた時、特定の割合の分析物が捕捉分子に結合するであろう。十分な時間量の後、試験溶液を除去し、捕捉分子に結合した分析物分子の存在(または量)を検出する。
【0004】
[0004]典型的には、親和性アッセイは、捕捉分子のそれぞれのセットが通常は単一のデータ点のみを生じるという事実により限定される。単一のデータ点は、一般的には、特に、システムに未知の要素が存在する場合、正確な結果を計算するには不十分である。そのような未知の要素は、交叉反応分子、すなわち、目的の分析物とは異なるが、それにもかかわらず、捕捉分子に結合し、かくして、定量結果を役に立たないものにし、偽陽性の原因となる分子の存在であってよい。
【0005】
[0005]別の未知の要素は、周囲温度または捕捉分子の密度であってよい。例えば、分子は通常、捕捉分子により表面上に固定される。捕捉分子を含む試験部位を調製する一つの方法は、密着焼付けである。密着焼付けに関して、表面上に沈着した捕捉分子の密度は、あるバッチから次のバッチに2倍変化することが多い。Petersonら、「The effect of surface probe density on DNA hybridization」、Nucleic Acids Research, Vol 29, No 24, pp. 5163〜5168, Oxford University Pressにより報告されたように、捕捉分子の密度は、結合する分析物の量に強く影響する。従って、密着焼付けを行った捕捉分子を用いるアッセイは、有効かつ意味のある結果を得るには、煩わしい外部較正方法(標準曲線など)に依存する。
【0006】
[0006]親和性アッセイを実施する装置および方法が必要である。正確な結果を得る多重アッセイ、タンパク質アレイ、側方流動装置、サンドイッチアッセイ、競合アッセイ、またはビーズに基づくアッセイなどの低費用のアッセイ、およびそのようなアレイの使用方法がさらに必要である。試験溶液内の分析物の数を決定することができる親和性アッセイを実施するための方法およびシステムは有益であろう。
【発明の概要】
【0007】
[0007]一実施形態に従えば、溶液構成物質の数を決定する方法は、第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程、導入された第1の数の溶液構成物質のための第1の結合環境を確立する工程、第1の複数の溶液構成物質に結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程、第1の残余数の溶液構成物質のための第2の結合環境を確立する工程、第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質に結合させることにより第2の残余数の溶液構成要素を作製する工程、結合した第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程、結合した第2の複数の溶液構成要素と関連する第2のシグナルを取得する工程、ならびに取得した第1のシグナルおよび取得した第2のシグナルに基づいて目的の構成物質の第2の数を決定する工程を含む。
【0008】
[0008]別の実施形態においては、分析物捕捉システムに含まれる分子の数を決定する方法は、第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程、第1の複数の溶液構成物質を第1の割合の複数の捕捉プローブに第1の試験位置で結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程、第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質を第2の割合の複数の捕捉プローブに第2の試験位置で結合させることにより第2の残余数の溶液構成物質を作製する工程、結合した第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程、結合した第2の複数の溶液構成物質と関連する第2のシグナルを取得する工程、ならびに得られた第1のシグナルおよび得られた第2のシグナルに基づいて目的の分子の第2の数を決定する工程を含む。
【0009】
[0009]さらに別の実施形態においては、連続サンプリングシステムは、複数の第1の捕捉プローブ、複数の第2の捕捉プローブ、溶液中の第1の数の目的の分析物を、複数の第1の捕捉プローブに近い位置から複数の第2の捕捉プローブに近い位置に移動させるための輸送システム、コマンド指示が保存されるメモリ、ならびに第1の複数の結合した第1の捕捉プローブと関連する第1のシグナルを取得し、第2の複数の結合した第2の捕捉プローブと関連する第2のシグナルを取得し、得られた第1のシグナルと得られた第2のシグナルに基づいて目的の構成物質の第1の数を決定するための、コマンド指示を実行するように構成されたプロセッサを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】[0010]検出されたシグナルを増加させる他の分子を含むサンプル中の目的の分子の数の決定を可能にする連続サンプリングに単一のサンプルをさらすように構成された連続サンプリングシステムを示す図である。
【図2】[0011]マイクロアレイの形態でいくつかの異なる試験部位を提供するためのプラットフォームを示す図である。
【図3】[0012]サンプルを複数の捕捉プローブ部位にさらすためにプラットフォーム上の様々な試験部位で試験溶液を連続的にサンプリングするのに用いることができる手順を示す図である。
【図4】[0013]試験溶液内の目的の分析物を、捕捉プローブの第1のセットに隣接する位置に輸送するように課されたアレイ上の試験部位の概略図である。
【図5】[0014]第1の試験部位で結合していない試験溶液内の目的の分析物を、捕捉プローブの第2のセットに隣接する位置に輸送するように課された図4のアレイ上の第2の試験部位の概略図である。
【図6】[0015]試験溶液が異なる捕捉プローブ部位を通過して流動する時に、試験溶液から目的の分析物を捕捉する側方流動技術を含む連続サンプリングシステムの概略図である。
【図7】[0016]試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図8】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図9】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図10】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【図11】試験溶液中の捕捉された目的の分析物を用いて、試験溶液中の分析物の初期数を決定するのに用いることができるデータを提供するためにサンプリングされる分析物の残余数を提供する連続サンプリングシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0017]本発明の原理の理解を促すために、ここで図面に例示され、以下の明細書に記載される実施形態を参照する。それによって本発明の範囲に対する限定が意図されるものではないことが理解される。さらに、本発明は例示される実施形態に対する任意の変更および改変を含み、また、本発明が属する分野の当業者が通常行うであろう本発明の原理のさらなる適用を含むことが理解される。
【0012】
[0018]様々な親和性アッセイが、質量作用の法則に従って機能し、所与の親和性定数およびプローブ密度に関して、プローブに結合する分析物の割合が一定であり、分析物濃度の関数ではないことを予測する。質量作用の法則は、
【数1】
(式中、
banalyteは結合した分析物分子の数であり、
nanalyteは試験溶液中の全分析物分子の数であり、
nprobesは全プローブ分子の数であり、
kaは分析物分子とプローブ分子との結合定数であり、
NAはアボガドロ数であり、
Vは試験溶液の体積であり、および
aanalyteは結合した分析物の割合である)
として表される。
【0013】
[0019]図1を参照して、全体として命名される連続サンプリングシステム100の説明を記載する。サンプリングシステム100は、I/O装置102、処理回路104およびメモリ106を含む。I/O装置102は、ユーザーインターフェース、グラフィカルユーザーインターフェース、キーボード、ポインティングデバイス、遠隔および/またはローカル通信回線、表示装置、ならびに外部で生成された情報をサンプリングシステム100に提供し、サンプリングシステム100の内部情報を外部に通信することができる他の装置を含む。
【0014】
[0020]処理回路104は、好適には、マイクロプロセッサおよびその関連電気回路などの一般的な目的のコンピュータ処理回路であってよい。処理回路104は、それに起因する操作を実行するために操作可能である。
【0015】
[0021]メモリ106内には、様々なプログラム指令108がある。プログラム指令108のいくつかは以下により完全に説明され、処理回路104および/または必要に応じて、任意の他の構成要素によって実行可能である。関連データベース110もメモリ106内に位置する。
【0016】
[0022]サンプリングシステム100はさらに、輸送制御システム112および環境検出器一式114を含む。輸送制御システム112は、この例では、図2に記載のマイクロアレイ120に関して、試験溶液を移動させるように構成される。様々な方法を用いて、マイクロアレイプラットフォーム120を形成させることができる。例えば、米国特許第5,807,522号は、マイクロアレイを形成させる方法を開示する。マイクロアレイプラットフォーム120は、いくつかの異なるサブアレイ122を含む。サブアレイ122は、分析物プローブからなるいくつかの試験部位124を含む。サブアレイ122の数ならびにそれぞれのサブアレイ122内の試験部位124の数は、本発明の範囲内で変化してもよい。試験部位124での試験溶液の正確な温度を、本実施形態では、検出器一式114により検出することができる。
【0017】
[0023]前記システム100はさらに、センサー116を含む。センサー116は、システム100の他の構成要素と共に、単一の装置中に含まれていてもよい。あるいは、システム100の1つまたは複数の構成要素を、システム100の他の構成要素から遠くに離れて位置してもよい別の装置として提供することができる。
【0018】
[0024]試験部位124を、目的の分析物を捕捉するのに有効な捕捉剤または分析物プローブと共に調製する。サンプリングシステム100に関するさらなる詳細は、図3の手順130を参照して提供される。プロセッサ104は、図3の手順130の少なくともいくつかを実行するプログラム指令108を実行する。異なる実施形態においては、手順130を、特定の基準に応じてより多いか、またはより少ない工程を含むように改変することができる。
【0019】
[0025]ブロック132では、目的の分析物を同定し、マイクロアレイ120上の目的の分析物およびプローブ分子のkaを取得し(ブロック134)、関連データベース110に保存する(ブロック136)。次いで、試験サンプル中に存在する可能性がある干渉またはノイズの潜在的な供給源を同定する(ブロック138)。シグナル干渉の同定は、例えば、同定されたプローブ分子に対しても親和性を有するサンプル内の可能性のある分子または潜在的な分子の同定を含んでもよい。次いで、プローブ分子のノイズのそれぞれの供給源に関するkaを同定し(ブロック140)、親和性データベース110の1つに保存する(ブロック142)。
【0020】
[0026]ブロック144では、それぞれの試験部位124中に所望の量の選択されたプローブ分子を沈着させることにより、マイクロアレイプラットフォーム120を調製する。代替的な実施形態においては、試験部位124のサブセットを、第1のプローブ分子を用いて調製することができるが、試験部位124の別のサブセットを第2のプローブ分子を用いて調製して、単一のマイクロアレイプラットフォーム120内で2つの別々の試験を行うことができる。単一のマイクロアレイプラットフォーム120内で追加の構成を用いてもよい。例えば、1つのサブアレイ122の中のそれぞれの試験部位を、同じプローブ分子を用いて調製することができるが、別のサブアレイ122は異なるプローブ分子を含む。この実施形態において特定のプローブ分子を用いて調製された試験部位124の数を、上記で同定された潜在的に干渉する分子型+目的の分析物の数と少なくとも同じとなるように選択する。
【0021】
[0027]一度、マイクロアレイ120を調製したら、試験サンプルを試験部位124の選択されたセットに導入する(ブロック146)。試験サンプルは、いくつかの目的の分析物ならびにいくつかの干渉分析物を含む。未だ確立されていない場合、試験部位124のそれぞれの選択されたセット内の環境を制御して、サンプル内の目的の分析物を所望の試験部位124または試験部位124のセットに局在化させる(ブロック148)。この例では、目的の分析物は帯電しており、輸送制御システム112を用いて試験サンプル内の電気力を確立する。かくして、輸送制御システムは、図4に記載のように、試験サンプル内の目的の分子を所望の試験部位124に輸送する。
【0022】
[0028]図4は、試験サンプル150により被覆された試験部位1241および試験部位1242を記載する。目的の分析物152は負に帯電しており、干渉分析物154も同様である。輸送制御システム112は試験部位1241に正電荷を加え、目的の分析物152および干渉分析物154を負に帯電させて、試験部位1242から離れさせ、試験部位1241の上に集める。
【0023】
[0029]次いで、試験サンプル150を所定の時間インキュベートする(ブロック156)。インキュベーション中に、試験部位124のそれぞれの選択されたセット内の実際の試験環境を、環境検出器一式114によりモニターし、確立された試験環境を示すデータを処理回路104に提供する(ブロック158)。いくつかの実施形態においては、環境をモニターしなくてもよい。環境データは、温度、および試験部位1241と1242との間の電位差を含んでもよい。インキュベーション中に、目的の分析物152のいくらかおよび干渉分析物154のいくらかは、試験部位1241で試験プローブ160により結合する。
【0024】
[0030]サンプル150を十分にインキュベートした時、輸送制御システム112は試験部位1242に正電荷を加え、目的の分析物152および干渉分析物154を負に帯電させ、図5に記載のように、結合していないものは試験部位1241から離れ、試験部位1242の上に集まる(ブロック160)。次いで、試験サンプル150を所定の時間インキュベートする(ブロック162)。インキュベーション中に、試験部位124のそれぞれの選択されたセット内の実際の試験環境を、環境検出器一式114によりモニターし、確立された試験環境を示すデータを処理回路104に提供する(ブロック164)。環境データは、温度、および試験部位1241と1242との間の電位差を含んでもよい。インキュベーション中に、目的の分析物152のいくらかおよび干渉分析物154のいくらかは、試験部位1242で試験プローブ160により結合する。
【0025】
[0031]サンプル150を十分にインキュベートした時、試験部位124を洗浄し(ブロック166)、センサー116を用いて、結合した目的の分析物152および結合した干渉分析物154を検出する(ブロック168)。親和性アッセイにおいて分析物の結合を定量するには、様々な検知方法を用いることができる。そのような検知方法としては、発光、蛍光、比色分析、電気化学、電気抵抗、および磁気的読出しが挙げられる。検知方法は、好ましくは、結合したプローブ数の高精度の指示を提供する。試験部位1241および1242中の結合したプローブ数と関連するシグナルに基づいて、サンプル内の1つまたは複数の目的の分析物の数を、処理回路104により算出する(ブロック170)。
【0026】
[0032]試験部位124の選択されたセットの特定の1つに関してセンサー116により得られるシグナルは、目的の分子を含むシグナル、および干渉分子などのそれぞれのノイズ源に対する寄与因子の合計であるため、1つまたは複数の目的の分析物の数の算出が可能である。それぞれの寄与因子に起因するシグナルの相対的な割合は、特定の寄与因子の量、他の寄与因子の量、およびそれぞれの寄与因子の最初に沈着した捕捉プローブに対する相対的親和性に依存する。その関係は、以下の式:
S1=a1−1n1−1+a1−2n1−2+・・・・a1−xn1−x
(式中、
S1は、試験部位1241中の結合したプローブ160と関連するシグナルであり、
a1−1は、試験部位1241中のプローブ160に結合する分析物(1〜x)の割合であり、および
n1−1は、試験部位1241にある同定された分析物(1〜x)のサンプル中の数である)
で表される。
【0027】
[0033]同様に、試験部位1242でのシグナルの関係は、以下の式:
S2=a2−1n2−1+a2−2n2−2+・・・・a2−xn2−x
(式中、
S2は、試験部位1242中の結合したプローブ160と関連するシグナルであり、
a2−1は、試験部位1242中のプローブ160に結合する分析物(1〜x)の割合であり、および
n2−1は、試験部位1242にある同定された分析物(1〜x)のサンプル中の数である)
で表される。
【0028】
[0034]試験部位1242での分析物の数は試験サンプル中の分析物の元の数−試験部位1241で結合した分析物の数に等しいため、試験部位1242でのシグナルに関する式は、
S2=a2−1(1−a1−1)n1−1+a2−2(1−a1−2)n1−2+・・・・a2−x(1−a1−x)n1−x
と書き換えることができる。
【0029】
[0035]2つの分析物の場合については、前記式を、
【数2】
に分解することができる。
[0036]従って、プローブ分子の数が制御されるため、それぞれの分析物について、結合した分析物の割合を、親和性定数およびプローブ密度の関数として決定することができる。かくして、初期試験溶液150中のそれぞれの分析物の数を決定することができる。
【0030】
[0037]例えば、ある状況における試験サンプル150は、目的の分析物の106個の分子および目的の分析物に非常に類似する別の分析物の106個の分子の数を含み、かくして、交叉反応性を特徴付ける。親和性定数(ka)およびプローブ密度は、目的の分析物の分子の40%および他の分析物の60%が捕捉分子に結合することを予測する。従って、目的の分析物の400,000個の分子および他の分析物の600,000個の分子が試験部位1241で捕捉され、1,000,000個の結合したプローブ(S1)に対応するシグナルを得るであろう。
【0031】
[0038]残余数の目的の分析物および他の分析物を試験部位1241に移動させる際に、目的の分析物の400,000個の分子が存在し、試験溶液150中には目的の分析物の600,000個の分子が残されるであろう。従って、インキュベーション後、目的の分析物の240,000個の分子および他の分析物の240,000個の分子が試験部位1242に結合するであろう。次いで、シグナルS2は、480,000個の結合したプローブに相当するであろう。上記の式において、算出された結合割合と得られたシグナルとを置換すれば、
【数3】
が得られる。
【0032】
[0039]かくして、多部位連続サンプリングシステムを、プリント基板、ガラス、プラスチック基質上で、または金、ガラス、エポキシ、ポリマー、もしくはゲルコーティングを含むCMOSチップ上で、またはさらには、96穴プレートなどのウェルプレート中に組入れることができる。必要に応じて、対照、読出し、およびまた、対照の検知手段をプリント基板またはCMOSチップ中に提供することができる。CMOS技術は、複数の検知部位をごく近くに組上げることができる。これは、試験部位間の非制御環境因子の均一性を維持するのに役立つ。必要に応じて、シグナルの評価およびアッセイデータを、CMOSチップ上にハードコード化することができる。
【0033】
[0040]上記の実施形態における輸送制御システム112は、試験サンプル内の分析物を移動させるための電界を含んでいた。電界は、タンパク質またはDNA鎖などの、溶液中にある場合に正味の電荷を有する分析物を輸送するのに有用である(例えば、Dalibor Hodkoら、「CMOS Electronic Microarrays in Diagnostics and Nanotechnology」、CMOS Biotechnology 2007を参照されたい)。
【0034】
[0041]また、帯電した分析物および電気的に中性の分析物を、ピペットまたは液体処理装置を用いて大量に移動させることもできる。電気的に中性の分析物および帯電した分析物の両方について、他の輸送制御システムを用いて、試験溶液を連続的にサンプリングすることができる。輸送制御システムにおいて特に有用であり得る技術としては、全試験溶液をチップレベルで1つのプローブスポットから別のプローブスポットへ移動させるマイクロ流体工学が挙げられる。マイクロ流体工学手法としては、AJ Tudos、「Trends in miniaturized total analysis systems for point−of−care testing in clinical chemistry」、Lab on a Chip、2001により報告された外部または内部のマイクロポンプおよびバルブにより微小に組上げられたチャンネルを介して液体の流動の制御を可能にする連続流動マイクロ流体工学が挙げられる。連続流動システム200を図6に記載する。
【0035】
[0042]図6を参照すると、連続流動輸送システムは、捕捉プローブ204を通過する試験サンプル202の流動を引き起こす。センサー2061〜3は流動経路に沿って位置し、分析物208を捕捉したプローブ204の数を検出するために構成される。分析物の捕捉は試験溶液内の分析物の数の関数であるため、試験溶液内の分析物の数が減少するにつれて捕捉の速度は減少する。従って、センサー2061によって得られるシグナルは、センサー2062により生成されるシグナルよりも大きい。かくして、図6の実施形態における分析物分子の数の算出は、上記の例における分析物分子の数の算出と同様の様式で算出される。
【0036】
[0043]輸送システムにおいて用いることができる他の技術としては、Vijay Srinivasan、「An integrated digital microfluidic lab−on−a−chip for clinical diagnostics on human physiological fluids」、Lab Chip、2004、4、310〜315により報告された絶縁体上でのエレクトロウェッティング(EWOD)、またはAchim Wixforth、「Flat Fluidics: Acoustically driven planar microfluidic devices for biological and chemical application」、Transducers 05により報告された表面音響波などの別個のマイクロ流体工学が挙げられる。また、液体試験溶液を、リポーターまたは捕捉分子のいくつかの領域を含む、多孔性膜により移動させる側方流動システムを組入れることもできる。電界に加えて、磁界を用いて溶液内の分析物を輸送することができる。分析物分子を磁気ビーズまたは帯電した標識で標識して、分析物の輸送を補助することができる。
【0037】
[0044]図4の実施形態は、残余数の中にある分析物が、結合していない分析物である残余数の溶液構成物質を作製するが、残余数の溶液構成物質を、図7乃至図11のサンプリングシステム220によって達成されるものなどの結合した分析物を用いて生成させることもできる。
【0038】
[0045]図7は、いくつかの分析物224を含む試験溶液222を記載する。いくつかのプローブ228を含む試験片226を、矢印230により示されるように溶液222の中に入れることにより、残余数の溶液構成物質を生成させる。次いで、試験片226を、プローブ228に結合したいくつかの分析物224と共に除去する(図8)。プローブ228に結合した分析物の数を示す第1のシグナルを、試験片226から取得することができる。シグナルを取得する前に、試験片226を洗浄して、試験片226に付着するようになったが、プローブ228に結合していない分析物を除去することができる。
【0039】
[0046]次いで、試験片226を、図9に示される溶液232に浸す。プローブ228から分析物224を除去するように溶液232を選択するか、または溶液232内の環境を制御して、分析物224とプローブ228との結合を破壊することができる。かくして、溶液232内の分析物224は、残余数の溶液構成物質を形成する。
【0040】
[0047]次いで、いくつかのプローブ242と共に第2の試験片240を、図10に矢印244で示されるように溶液232にさらす。次いで、試験片240を、プローブ242に結合したいくつかの分析物224と共に除去する(図11)。プローブ242に結合した分析物の数を示す第2のシグナルを、試験片240から取得することができる。シグナルを取得する前に、試験片240を洗浄して、試験片240に付着するようになったが、プローブ242に結合していない分析物を除去することができる。試験溶液222中の分析物の数の決定を、プローブ密度および得られたシグナルと共に、プローブおよび分析物の親和性定数を用いて算出することができる。
【0041】
[0048]環境を制御して分析物224とプローブ228との結合を破壊するサンプリングシステム220の実施形態においては、結合が破壊された後に試験片226を除去することができる。次いで、溶液232中の環境を制御して結合させ、試験片226を再導入することができる。溶液230中の分析物224のプローブ228への結合は、溶液230中の分析物224の数の関数であろう。かくして、溶液230から結合した分析物224の数は、溶液232から結合した分析物224の数よりも少ないであろう。
【0042】
[0049]図3の手順を改変して、様々な状況に適合させることができる。例えば、前記システムはプローブよりもむしろ液体を輸送してもよい。この状況では、試験溶液をプローブスポットと接触するように移動させ、インキュベートする。次いで、初期溶液を除去し、結合した分析物の測定値を取得する。次いで、分析物または干渉構成物質を含まない流体をプローブスポットと接触させ、インキュベートし、結合した分析物のいくらかを溶液中に行かせることができる。次いで、流体を除去し、減少した数の結合した分析物を用いてプローブスポットを測定する。
【0043】
[0050]別の状況では、干渉分析物の結合効率が未知である場合でも、目的の分析物の数よりも非常に多い干渉分析物の数を含む溶液を決定することができる。具体的には、結合効率が小さい限り、干渉分析物分子の数は、干渉分析物のいくらかが捕捉プローブに結合した場合でも一定であると仮定することができる。かくして、連続サンプル中の第1および第2シグナル間のシグナルの減少は、単に目的の分析物の数の変化に起因する。従って、試験溶液中の分析物の数は、以下の式:
【数4】
に従って決定される。
[0051]図3の手順をさらに改変して、試験プラットフォームの異なるバッチを較正することができる。単一の結合分析物を含む試験溶液を用いることにより、残余数の分析物を、図3の手順などの様式で取得することができる。次いで、初期溶液および残留溶液に由来する結合した分析物と関連するシグナルを用いて、式:
【数5】
に従って、元の溶液中の分析物の数を確認することができる。この式では、結合効率は必要ない。従って、この式を、結合効率が未知である状況で用いることができる。
[0052]さらに、例えば、上記の段落44に記載の式を用いて、試験溶液(S1)および残留溶液(S2)から得られるシグナルを、以下の式:
【数6】
(式中、n1=nanalyteである)
に従って決定する。かくして、捕捉分子に結合する分析物分子の割合が未知である状況については、溶液中の分析物の数を、式:
【数7】
に従って決定することができる。
【0044】
[0053]上記の段落44に記載の式はまた、干渉分析物が溶液中に存在する状況において有用である。この状況では、試験溶液(S1)および残留溶液(S2)から得られるシグナルを、以下の式:
【数8】
に従って決定する。かくして、捕捉分子に結合する分析物分子の割合が未知である状況については、干渉種を含む溶液中の分析物の数を、式:
【数9】
に従って決定することができる。
【0045】
[0054]一度、元の溶液中の分析物の数が確認されたら、捕捉プローブ分子の数を、上記の質量作用の法則を用いて決定することができる。この手法を改変して、温度などの、分析物と捕捉分子の特定の組合せに関して結合効率に影響する他の未知の要素を相殺することができる。
【0046】
[0055]本発明を図面および前記説明において詳細に例示および説明してきたが、同じ事は特性において例示的なものであり、制限的なものではないと考えるべきである。好ましい実施形態が提示されたに過ぎず、本発明の精神の範囲内にある全ての変化、改変およびさらには応用も保護されるのが望ましいことが理解される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液構成物質の数を決定する方法において、
第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程と、
前記第1の試験位置で第1の複数の溶液構成物質を結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
前記第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質を結合させることにより第2の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
結合した前記第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程と、
結合した前記第2の複数の溶液構成物質と関連する第2のシグナルを取得する工程と、
得られた前記第1のシグナルおよび得られた前記第2のシグナルに基づいて、第1の目的の溶液構成物質の第2の数を決定する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の試験部位から第2の試験部位に前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
前記第1の試験部位から第2の試験部位に、それぞれ複数の捕捉プローブに結合した複数の分析物を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記輸送された複数の結合した分析物を、それぞれ複数の捕捉プローブから遊離させる工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程は、
前記輸送された複数の結合した分析物の温度を改変することにより、前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程は、
前記輸送された複数の結合した分析物を脱ハイブリダイゼーション溶液にさらすことにより、前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
マイクロ流体工学技術を用いて前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
毛細管流動を用いて前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
磁気ビーズを用いて前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
前記第1の残余数の溶液構成物質に作用する電荷を改変することにより前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の残余数の溶液構成物質に由来する第3の複数の溶液構成物質を結合させることにより第3の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
結合した前記第3の複数の溶液構成物質と関連する第3のシグナルを取得する工程と、
得られた前記第1のシグナル、得られた前記第2のシグナル、および得られた前記第3のシグナルに基づいて、第2の目的の溶液構成物質の第3の数を決定する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
分析物捕捉システムに含まれる分子の数を決定する方法において、
第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程と、
前記第1の試験位置で第1の複数の溶液構成物質を第1の割合の複数の捕捉プローブに結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
第2の試験位置で前記第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質を第2の割合の複数の捕捉プローブに結合させることにより第2の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
結合した前記第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程と、
結合した前記第2の複数の溶液構成物質と関連する第2のシグナルを取得する工程と、
得られた前記第1のシグナルおよび得られた前記第2のシグナルに基づいて、目的の分子の第2の数を決定する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の複数の溶液構成物質は、目的の分子からなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の捕捉プローブは、目的の分子からなる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
複数の第1の捕捉プローブと、
複数の第2の捕捉プローブと、
溶液中の第1の数の分析物を、前記複数の第1の捕捉プローブの近くの位置から前記複数の第2の捕捉プローブの近くの位置に移動させるための輸送システムと、
コマンド指示が保存されたメモリと、
プロセッサであって、
第1の複数の結合した第1の捕捉プローブと関連する第1のシグナルを取得し、
第2の複数の結合した第2の捕捉プローブと関連する第2のシグナルを取得し、
得られた前記第1のシグナルと得られた前記第2のシグナルに基づいて第1の目的の構成物質の第1の数を決定するための、
コマンド指示を実行するように構成されたプロセッサと、を含む、連続サンプリングシステム。
【請求項16】
複数の第3の捕捉プローブであって、
プロセッサが、
第3の複数の結合した第3の捕捉プローブと関連する第3のシグナルを取得し、
得られた前記第1のシグナル、得られた前記第2のシグナル、および得られた前記第3のシグナルに基づいて、第2の目的の構成物質の第2の数を決定するための、
コマンド指示を実行するようにさらに構成された、複数の第3の捕捉プローブ、をさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の目的の構成物質は、捕捉プローブである、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の目的の構成物質は、溶液内の分析物である、請求項15に記載のシステム。
【請求項1】
溶液構成物質の数を決定する方法において、
第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程と、
前記第1の試験位置で第1の複数の溶液構成物質を結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
前記第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質を結合させることにより第2の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
結合した前記第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程と、
結合した前記第2の複数の溶液構成物質と関連する第2のシグナルを取得する工程と、
得られた前記第1のシグナルおよび得られた前記第2のシグナルに基づいて、第1の目的の溶液構成物質の第2の数を決定する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の試験部位から第2の試験部位に前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
前記第1の試験部位から第2の試験部位に、それぞれ複数の捕捉プローブに結合した複数の分析物を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記輸送された複数の結合した分析物を、それぞれ複数の捕捉プローブから遊離させる工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程は、
前記輸送された複数の結合した分析物の温度を改変することにより、前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程は、
前記輸送された複数の結合した分析物を脱ハイブリダイゼーション溶液にさらすことにより、前記輸送された複数の結合した分析物を遊離させる工程、を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
マイクロ流体工学技術を用いて前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
毛細管流動を用いて前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
磁気ビーズを用いて前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程は、
前記第1の残余数の溶液構成物質に作用する電荷を改変することにより前記第1の残余数の溶液構成物質を輸送する工程、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の残余数の溶液構成物質に由来する第3の複数の溶液構成物質を結合させることにより第3の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
結合した前記第3の複数の溶液構成物質と関連する第3のシグナルを取得する工程と、
得られた前記第1のシグナル、得られた前記第2のシグナル、および得られた前記第3のシグナルに基づいて、第2の目的の溶液構成物質の第3の数を決定する工程と、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
分析物捕捉システムに含まれる分子の数を決定する方法において、
第1の数の溶液構成物質を第1の試験位置に導入する工程と、
前記第1の試験位置で第1の複数の溶液構成物質を第1の割合の複数の捕捉プローブに結合させることにより第1の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
第2の試験位置で前記第1の残余数の溶液構成物質に由来する第2の複数の溶液構成物質を第2の割合の複数の捕捉プローブに結合させることにより第2の残余数の溶液構成物質を作製する工程と、
結合した前記第1の複数の溶液構成物質と関連する第1のシグナルを取得する工程と、
結合した前記第2の複数の溶液構成物質と関連する第2のシグナルを取得する工程と、
得られた前記第1のシグナルおよび得られた前記第2のシグナルに基づいて、目的の分子の第2の数を決定する工程と、を含む、方法。
【請求項13】
前記第1の複数の溶液構成物質は、目的の分子からなる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の捕捉プローブは、目的の分子からなる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
複数の第1の捕捉プローブと、
複数の第2の捕捉プローブと、
溶液中の第1の数の分析物を、前記複数の第1の捕捉プローブの近くの位置から前記複数の第2の捕捉プローブの近くの位置に移動させるための輸送システムと、
コマンド指示が保存されたメモリと、
プロセッサであって、
第1の複数の結合した第1の捕捉プローブと関連する第1のシグナルを取得し、
第2の複数の結合した第2の捕捉プローブと関連する第2のシグナルを取得し、
得られた前記第1のシグナルと得られた前記第2のシグナルに基づいて第1の目的の構成物質の第1の数を決定するための、
コマンド指示を実行するように構成されたプロセッサと、を含む、連続サンプリングシステム。
【請求項16】
複数の第3の捕捉プローブであって、
プロセッサが、
第3の複数の結合した第3の捕捉プローブと関連する第3のシグナルを取得し、
得られた前記第1のシグナル、得られた前記第2のシグナル、および得られた前記第3のシグナルに基づいて、第2の目的の構成物質の第2の数を決定するための、
コマンド指示を実行するようにさらに構成された、複数の第3の捕捉プローブ、をさらに含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1の目的の構成物質は、捕捉プローブである、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の目的の構成物質は、溶液内の分析物である、請求項15に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−517478(P2013−517478A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549017(P2012−549017)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2011/020934
【国際公開番号】WO2011/088077
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【出願人】(592116475)スタンフォード ユニバーシティー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【国際出願番号】PCT/US2011/020934
【国際公開番号】WO2011/088077
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【出願人】(592116475)スタンフォード ユニバーシティー (1)
【Fターム(参考)】
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