説明

連続式洗濯機及び連続式洗濯方法

【課題】メンテナンス性を損なうことなく、本洗槽から排出される廃水の廃熱を有効に利用して廃水処理設備の温度上昇を抑えることができる連続式洗濯機及び連続式洗濯方法を提供することを目的とする。
【解決手段】予洗槽1,2と、本洗槽3,4,5,6,7,8,9と、すすぎ槽10,11,12,13を備え、被洗物を予洗槽から本洗槽、次いですすぎ槽に順次移動させて洗濯を行う連続式洗濯機において、本洗槽3から排出される本洗水の廃水路25の途中に自己洗浄機能を持つ熱交換器21を設けて、すすぎ槽13に供給される洗濯用水を冷却水とし、本洗槽3から排出される廃水を被冷却水として熱交換を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続式洗濯機及び連続式洗濯方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、業務用洗濯機として、予洗、本洗及びすすぎ用の浴槽を複数並設してなり、被洗物をこれら各浴槽間を移動させながら連続して洗濯を行う連続式洗濯機が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。連続式洗濯機には、被洗物の移動方向と逆向きに洗濯水を流すカウンターフロー式があり、カウンターフロー式では、複数の本洗槽において、すすぎ槽側に位置する本洗槽から予洗槽側に位置する本洗槽に向けて洗濯水を送りながら、被洗物の洗濯が行われるよう構成されている。また、連続式洗濯機としては、複数の本洗槽において、被洗物と移動方向と同じ向きに洗濯水を送りながら洗濯するバッチフロー式のものもある。
【0003】
かかる連続式洗濯機において、すすぎ水は、本洗槽の洗濯水である本洗水と比較して汚れの程度も軽いので、すすぎ槽から排出された水は連続式洗濯機内でリサイクルされ、予洗槽に供給する予洗水や本洗水として利用されている。
【0004】
これに対し、本洗槽での洗濯は、通常、60〜80℃まで加熱され、洗剤だけでなく、アルカリや漂白剤などを併用して行われる。そのため、本洗水は、様々な有機物や無機物の汚れを含むことから、連続式洗濯機内での再利用は難しく、廃水処理設備に送られているが、本洗水は熱水であるため、廃水処理設備の温度上昇の原因となる。
【0005】
なお、下記特許文献2には、すすぎ槽から排出される水を冷却するために熱交換器を利用する技術が開示されている。この文献では、すすぎ槽から排出された水を予洗水として利用する際に、すすぎ槽に供給される水を冷却水とし、すすぎ槽から排出された水を被冷却水とする熱交換を行い、これにより、すすぎ槽に供給する水を温めるとともに、予洗槽に供給される予洗水を40℃以下に冷却している。予洗水を40℃以下にすることで、被洗物に付着したタンパク汚れや血液が、熱により凝固しシミになりやすいといった問題を解決することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−208175号公報
【特許文献2】特開2006−141786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように本洗槽から排出される廃水をそのまま廃水処理設備に送ったのでは、廃水処理設備の温度上昇につながるため、廃水路に熱交換器を設けて廃水の温度を低下させることが望まれる。しかしながら、本洗水は、上記のように種々の有機物や無機物の汚れを含むものであるため、通常のプレート式熱交換器では、プレート間が汚れにより詰まりやすく、熱交換率が悪くなりやすい。また、特殊器具による解体洗浄が必要であり、メンテナンス性に劣る。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、メンテナンス性を損なうことなく、本洗槽から排出される廃水の廃熱を有効に利用して廃水処理設備の温度上昇を抑えることができる連続式洗濯機及び連続式洗濯方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る連続式洗濯機は、少なくとも1つの予洗槽と、複数の本洗槽と、少なくとも1つのすすぎ槽とを備え、被洗物を前記予洗槽から本洗槽、次いですすぎ槽に順次移動させながら洗濯を行うとともに、前記すすぎ槽に洗濯用水を供給し、かつ、前記本洗槽から本洗水を廃水路に排出する連続式洗濯機において、前記すすぎ槽に供給される洗濯用水を冷却水とし、前記本洗槽から排出される廃水を被冷却水として熱交換を行う、自己洗浄機能を持つ熱交換器を、前記廃水路の途中に設けたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る連続式洗濯方法は、少なくとも1つの予洗槽と、複数の本洗槽と、少なくとも1つのすすぎ槽とを備え、被洗物を前記予洗槽から本洗槽、次いですすぎ槽に順次移動させながら洗濯を行うとともに、前記すすぎ槽に洗濯用水を供給し、かつ、前記本洗槽から本洗水を廃水路に排出する連続式洗濯機を用いて洗濯する方法において、前記廃水路の途中に自己洗浄機能を持つ熱交換器を設けて、前記すすぎ槽に供給される洗濯用水を冷却水とし、前記本洗槽から排出される廃水を被冷却水として熱交換を行うことを特徴とするものである。
【0011】
上記本発明において、前記熱交換器は、前記すすぎ槽に供給される洗濯用水が流れる内側流路部と、前記内側流路部を取り囲んで設けられて当該内側流路部との間に前記廃水が流れる外側流路を構成する外側容器とを備えてなり、前記内側流路部が、前記外側容器内において回転可能に設けられた回転軸部と、前記洗濯用水が流れる中空部を有して前記回転軸部の軸方向に複数並設されたプレートとを備えて、前記プレートを持つ前記内側流路部の回転によって前記プレート表面に前記廃水の汚れが付着するのを防ぐ自己洗浄機能を持つものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本洗槽から排出される廃水路の途中に熱交換器を設けて、すすぎ槽に供給される洗濯用水との間での熱交換により、廃水の温度を下げることができるので、廃水処理設備の温度上昇を抑えることができる。特に、この熱交換器が自己洗浄機能を有するため、種々の有機物や無機物の汚れを含む本洗水(廃水)によって、熱交換器が詰まったり、熱交換率が悪化するのを抑えつつ、熱交換が可能であり、廃水の廃熱の有効利用が図られ、メンテナンス性を向上することができる。すなわち、仮に自己洗浄機能がついてないと、本洗水の廃水はすぐに詰まってしまい、廃熱利用は実用上困難であるが、本発明によれば、この問題を解決できる。
【0013】
本発明によれば、また、廃水の廃熱を利用してすすぎ水に使用される洗濯用水の温度を上昇することができる。そのため、すすぎ槽内の被洗物の温度を上げて、乾燥前の被洗物に熱を持たせることができ、乾燥時間の短縮を図ることができ、その結果、重油などの燃料の使用量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る連続式洗濯機の模式的な系統図である。
【図2】同実施形態における熱交換器の断面図である。
【図3】同熱交換器の要部拡大斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る連続式洗濯機について図面を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、実施形態に係る連続式洗濯機は、2つの予洗槽1,2と、7つの本洗槽3,4,5,6,7,8,9と、4つのすすぎ槽10,11,12,13と、1つの加工槽14と、脱水機15と、を備えたカウンターフロー式の連続式洗濯機である。
【0017】
被洗物は、予洗槽1,2から、本洗槽3〜9、次いですすぎ槽10〜13に順次に移動しながら洗濯される。詳細には、被洗物は、予洗槽1に投入された後、予洗槽2→本洗槽3→本洗槽4→本洗槽5→本洗槽6→本洗槽7→本洗槽8→本洗槽9→すすぎ槽10→すすぎ槽11→すすぎ槽12→すすぎ槽13→加工槽14と、図1中、順次に右方に移動していき、その後、脱水機15に送られて、脱水後にコンベア16によって不図示の乾燥機に送られる。かかる洗濯工程において、本実施形態のものでは、最初の予洗槽1において洗剤19が投入されるとともに、7つの本洗槽3〜9のうちの3番目の本洗槽5において、洗剤20、更に通常は漂白剤やアルカリ剤などが投入されて、被洗物の汚れを落とす洗いが行われる。そして、すすぎ槽10〜13ですすぎが行われた後、加工槽14において、糊剤や柔軟剤などの加工剤21が投入されて、糊付け処理や柔軟処理などの加工処理がなされる。
【0018】
一方、洗濯水は、基本的には、図1中、右から左に向けて流動する。詳細には、洗濯用水(新水)が、新水配管17を経て、4つのすすぎ槽10〜13のうちの最後のすすぎ槽13に給水される。すすぎ槽13から被洗物とともに加工槽14に流れた水は、脱水機15の排水とともに、脱水回収タンク18に排水されるが、すすぎ槽13で使い終わったすすぎ水は、不図示のカウンターフローパイプなどを経て、すすぎ槽12→すすぎ槽11→すすぎ槽10へと被洗物のすすぎを行いながら順次に送られ、最初のすすぎ槽10からすすぎ水回収タンク22に排出される。すすぎ水回収タンク22には、リント(糸くず)を取り除くリントスクリーンが配設されており、リントが取り除かれた水がすすぎ水回収タンク22に溜められる。
【0019】
脱水回収タンク18とすすぎ水回収タンク22に溜められた水は、不図示のポンプによって、配管23を経て、予洗水タンク24に送られる。予洗水タンク24では、水温が40℃以下に制御され、不図示のポンプを介して予洗槽1に給水される。予洗槽1に送られた水は被洗物を予洗した後、被洗物とともにその次の予洗槽2に送られ、更に、最初の本洗槽3に送られる。
【0020】
すすぎ水回収タンク22に溜められた水は、また、不図示のポンプによって、配管29を経て、7つの本洗槽3〜9のうち、最もすすぎ槽10側に位置する最後の本洗槽9に供給される。本洗槽9で被洗物の洗濯に使われた本洗水は、不図示のカウンターフローパイプなどを経て、本洗槽8→本洗槽7→本洗槽6→本洗槽5→本洗槽4→本洗槽3へと順次に送られる。本洗槽3〜9において、本洗水は60〜80℃まで加熱され、このような高温にて被洗物の洗濯がなされる。そして、最も予洗槽2側に位置する最初の本洗槽3において、上記予洗槽2から送られた水とともに、本洗水を廃水路25に排出する。
【0021】
このような構造を持つ連続式洗濯機において、本実施形態のものでは、本洗槽3からの廃水路25の途中に自己洗浄機能を持つ熱交換器26が設けられている。熱交換器26は、すすぎ槽13に供給される洗濯用水(新水)を「冷却水」とし、本洗槽3から排出される廃水を「被冷却水」として熱交換を行うものである。洗濯用水が常温以下であるのに対し、本洗水の廃水が60〜80℃程度であることから、上記熱交換により、廃水の温度が下げられるとともに、洗濯用水の温度が上げられて、例えば洗濯用水を30〜40℃まで上昇させることができる。
【0022】
熱交換器26の自己洗浄機能としては、本洗水の廃水に含まれる種々の有機物や無機物の汚れによって熱交換器26内が詰まらないように、熱交換器内壁面への汚れの付着を防止し、及び/又は、該汚れを自動的に除去し得る機能を持つものであれば、特に限定されない。そのための機構としては、例えば、遠心力の作用によって内壁面への汚れの付着を防止し、また付着した汚れを除去するものや、弾性材料からなるヘラなどの掻き取り手段によって内壁面に付着した汚れを掻き取るものなどが挙げられる。
【0023】
図2は、このような自己洗浄機能付きの熱交換器26の好ましい一例を示す断面図である。この熱交換器26は、すすぎ槽13に供給される洗濯用水(新水)が流れる内側流路部27と、該内側流路部27を取り囲んで設けられて当該内側流路部27との間に本洗水の廃水が流れる外側流路28を構成する外側容器30とを備えてなる。
【0024】
内側流路部27は、外側容器30内において回転可能に設けられた回転軸部31と、該回転軸部31の軸方向Xに複数並設されたプレート32とを備えてなる。
【0025】
回転軸部31は、全体形状として軸方向Xに延びる細長い円筒状をなす鞘部33と、該鞘部33の軸芯部に配された駆動軸としてのシャフト34とからなり、鞘部33の内側にてシャフト34との間に洗濯用水が流れる中空部35が設けられている。この回転軸部31の中空部35は、一端側が新水配管17における上流側(水道側)に接続され、他端側が新水配管17における下流側(すすぎ槽13側)に接続されている。
【0026】
プレート32は、上記鞘部33から軸方向Xに垂直に立設されており、図3に示すように、内部に洗濯用水が流れる中空部36を有する円盤状をなしている。詳細には、円盤状をなす複数のプレート32を所定間隔に複数並べて、その中心を回転軸部31によって垂直に貫通させた形状に、内側流路部27は形成されている。プレート32の中空部36は回転軸部31の中空部35に接続されている。
【0027】
回転軸部31のシャフト34には、各プレート32の中空部36内を軸方向Xに垂直に延びて、当該中空部36を軸方向Xにて2つに仕切る円板状の仕切壁37が所定間隔をおいて複数立設されている。仕切壁37は、その外径がプレート32の外径よりも小さく設定され、該仕切壁37の外周縁37Aの外側に、仕切壁37によって仕切られた前後の空間36A,36Bを接続する流路36Cが設けられている。これにより、図3に示すように、洗濯用水は、回転軸部31の中空部35から各プレート32の上流側の空間36Aを径方向外方側に流れ込み、外周部の流路36Cを通って下流側の空間36Bを中心側に向かって流れ、回転軸部31の中空部35に流れるように構成されている。このように、洗濯用水が各プレート32において径方向の全体に流れるように構成することで、熱交換率を高めることができる。
【0028】
図3に示すように、プレート32を構成する一対の側壁32A,32Bは、周上の複数箇所で互いに近づく方向に陥没形成されることで複数の凹部38が設けられている。一対の側壁32A,32Bは、該凹部38で前記仕切壁37を両側から挟持するように形成されている。
【0029】
図2に示すように、外側容器30は、内側流路部27を内部に収容する細長い直方体状をなし、軸方向Xに対向する一対の側壁30A,30Bにおいて、内側流路部27の軸方向X両端部を回動自在かつシール状態に保持している。外側容器30には、内側流路部27の下流側(図2中の右側)に位置する軸方向端部の上部側に、本洗槽3からの廃液が導入される廃液入口45が設けられ、また、内側流路部27の上流側(図2中の左側)に位置する軸方向端部の下部側に、不図示の廃液処理設備に向かう廃液出口46が設けられており、廃液入口45と廃液出口46との間で外側流路28が構成されている。
【0030】
外側容器30には、内側流路部27の各プレート32間の空隙40を軸方向Xに仕切る仕切壁42が所定間隔をおいて複数立設されている。仕切壁42は、その内側端42Aが内側流路部27の回転軸部31に至る前に終端することで、仕切壁42の内側に回転軸部31との間で廃液の流れる流路44が確保され、これにより、廃液が外側容器30の内壁面に沿ってそのまま流れるのを防止して、プレート32内を流れる洗濯用水との間での熱交換率を高めている。
【0031】
内側流路部27の上記回転軸部31は、不図示のモータに接続されて、該モータの作用により外筒容器28内で回転するように構成されている。このようにして回転軸部31の回転によってプレート32を持つ内側流路部27が回転することにより、上記外側流路28内の廃水が攪拌され、遠心力によってプレート32表面に廃水の汚れが付着するのを防止することができ、熱交換器26の自己洗浄機能が発揮される。また、このように廃液を攪拌するとともに、プレート32の回転によってその内部の洗濯用水も攪拌されるので、熱交換率を高めることができる。特に、各プレート32に複数の上記凸部38を点在させて設けたことにより、熱交換率を更に高めることができる。内側流路部27の回転数は特に限定されないが、例えば30〜90回転/分とすることができ、この実施形態では60回転/分としている。
【0032】
以上よりなる本実施形態であると、本洗槽3から排出される廃水路25の途中に熱交換器26を設けて、すすぎ槽13に供給される洗濯用水との間での熱交換により、廃水の温度を下げることができるので、廃水処理設備の温度上昇を抑えることができる。
【0033】
また、この熱交換器26が自己洗浄機能を有するため、種々の有機物や無機物の汚れを含む本洗水(廃水)によって、熱交換器26内部が詰まったり、熱交換率が悪化するのを抑えつつ、熱交換が可能であり、廃水の廃熱の有効利用が図られ、メンテナンス性を向上することができる。すなわち、仮に上記のような自己洗浄機能がないと、本洗水の廃水はすぐに詰まってしまい、熱交換器の頻繁な解体洗浄が必要となるので、廃熱利用は実用上困難であるが、自己洗浄機能を持つことで、このような問題を解決できる。
【0034】
また、本実施形態であると、廃水の廃熱を利用してすすぎ水に使用される洗濯用水の温度を、例えば30〜40℃に上昇させることができる。そのため、すすぎ槽10〜13内の被洗物の温度を約40℃に保持することができ、乾燥前の被洗物に熱を持たせることができるので、乾燥時間の短縮を図ることができ、その結果、重油などの燃料の使用量を削減することができる。
【0035】
上記実施形態では、カウンターフロー式の連続式洗濯機について説明したが、本発明は、バッチフロー式の連続式洗濯機についても同様に適用することができる。図1に示す14槽タイプの連続式洗濯機について、バッチフロー式を説明すると、洗濯水は次のように流動する。
【0036】
すなわち、バッチフロー式では、最も予洗槽2側に位置する最初の本洗槽3に水が供給され、最もすすぎ槽10側に位置する最後の本洗槽9から廃水路に排水される。詳細には、予洗水タンク24からの水は予洗槽1に供給され、予洗槽2に送られた後、予洗槽2から排出される。そして、最初の本洗槽3において、すすぎ水回収タンク22から水が供給され、また、洗剤も該最初の本洗槽3に投入される。そして、被洗物とともに、本洗槽3→本洗槽4→本洗槽5→本洗槽6→本洗槽7→本洗槽8→本洗槽9に順次に送られた本洗水は、本洗槽9において廃水路に排出される。なお、すすぎについてはカウンターフロー式と同様に行われる。
【0037】
このようなバッチフロー式においても、本洗槽9から排出される廃水路の途中に熱交換器26を設けて、すすぎ槽13に供給される洗濯用水との間での熱交換により、廃水の温度を下げることができるので、廃水処理設備の温度上昇を抑えることができる。また、熱交換器26が自己洗浄機能を持つことでメンテナンス性を向上することができる。更に、廃水の廃熱を利用してすすぎ水に使用される洗濯用水の温度を上昇させることができ、乾燥前の被洗物に熱を持たせることで乾燥時間の短縮を図ることができる。
【0038】
なお、本発明において、洗濯対象となる被洗物としては、各種繊維製品が挙げられ、特に限定されない。商業洗濯を行う全ての洗濯物を対象被洗物とすることができる。素材としても特に限定されず、例えばポリエステルや綿を対象とすることが好ましい。
【0039】
また、使用する洗剤としても特に限定されるものではなく、連続式洗濯機において一般に使用される各種の界面活性剤、アルカリ剤、漂白剤などを用いることができる。その他、一々列挙しないが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、リネンサプライ業やクリーニング業等の業務用洗濯を始めとした様々な洗濯分野に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1,2…予洗槽
3,4,5,6,7,8,9…本洗槽
10,11,12,13…すすぎ槽
25…廃水路
26…熱交換器
27…内側流路部
28…外側流路
30…外側容器
31…回転軸部
32…プレート
36…中空部
X…軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの予洗槽(1,2)と、複数の本洗槽(3,4,5,6,7,8,9)と、少なくとも1つのすすぎ槽(10,11,12,13)とを備え、被洗物を前記予洗槽から本洗槽、次いですすぎ槽に順次移動させながら洗濯を行うとともに、前記すすぎ槽に洗濯用水を供給し、かつ、前記本洗槽から本洗水を廃水路(25)に排出する連続式洗濯機において、
前記すすぎ槽に供給される洗濯用水を冷却水とし、前記本洗槽から排出される廃水を被冷却水として熱交換を行う、自己洗浄機能を持つ熱交換器(26)を、前記廃水路の途中に設けた、
ことを特徴とする連続式洗濯機。
【請求項2】
前記熱交換器(26)は、
前記すすぎ槽に供給される洗濯用水が流れる内側流路部(27)と、前記内側流路部を取り囲んで設けられて当該内側流路部との間に前記廃水が流れる外側流路を構成する外側容器(30)とを備えてなり、
前記内側流路部が、前記外側容器内において回転可能に設けられた回転軸部(31)と、前記洗濯用水が流れる中空部を有して前記回転軸部の軸方向に複数並設されたプレート(32)とを備えて、
前記プレートを持つ前記内側流路部の回転によって、前記プレート表面に前記廃水の汚れが付着するのを防ぐ自己洗浄機能を持つ、
ことを特徴とする請求項1記載の連続式洗濯機。
【請求項3】
前記複数の本洗槽においてすすぎ槽側に位置する本洗槽(9)から予洗槽側に位置する本洗槽(3)に向けて本洗水を流して該本洗水を前記予洗槽側に位置する本洗槽から前記廃水路(25)に排出するカウンターフロー式である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の連続式洗濯機。
【請求項4】
少なくとも1つの予洗槽(1,2)と、複数の本洗槽(3,4,5,6,7,8,9)と、少なくとも1つのすすぎ槽(10,11,12,13)とを備え、被洗物を前記予洗槽から本洗槽、次いですすぎ槽に順次移動させながら洗濯を行うとともに、前記すすぎ槽に洗濯用水を供給し、かつ、前記本洗槽から本洗水を廃水路(25)に排出する連続式洗濯機を用いて洗濯する方法において、
前記廃水路の途中に自己洗浄機能を持つ熱交換器(26)を設けて、前記すすぎ槽に供給される洗濯用水を冷却水とし、前記本洗槽から排出される廃水を被冷却水として熱交換を行う、
ことを特徴とする連続式洗濯方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−214002(P2010−214002A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66695(P2009−66695)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000003506)第一工業製薬株式会社 (491)
【Fターム(参考)】