説明

連続混合装置

【課題】主流体に対し合流流体を所定の配合比で混合することが出来、更に、主流体と比較して高粘度あるいは微少流量の材料を合流させる場合においても、主流体に合流流体を拡散することを可能とする連続混合装置を提供する。
提供する。
【解決手段】主材料と複数の合流材料を流入する流入機構と、流入された主材料と複数の合流材料を混合して塗液とする混合器と、からなり、塗液を塗工装置に供給する連続混合装置であって、混合器の流入側に、主材料と合流させる合流材料を塗出するノズルを有する流入機構を複数段、直列に備え、ノズルは主材料の流れ方向と平行に合流材料を塗出可能な複数の開口部を有することを特徴とする連続混合装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の材料を所定の配合比で混合して塗液として塗工装置に供給する連続混合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1は従来から用いられている連続混合装置の構成の一例を示す図であって、混合器1の流入側に流入機構2を配し、主流体4の流速が大きい管路の中央部近傍でノズル3の先端に設けられた供給口6から合流材料5を供給している。合流した材料4及び5は、混合器1で連続的に混合され、調液7として後段に供給される。
【0003】
複数の材料を混合させる場合、上述した流入機構を複数段配置することにより、順次合流、混合させている。
【0004】
複数の液体材料を所定の配合比で混合して塗液とし、塗工装置に供給する従来の連続混合装置においては、材料を混合させるために、順次材料を合流させる際に、混合比率の大きな主材料、あるいは、送液系内で、既に2液以上の材料を混合させた中間材料に対して、該材料と比較して高粘度あるいは微少流量の材料を合流させる場合、その粘度差、流量差のため、混合器で十分な混合ができず、所定の混合比での安定した塗液組成が困難であった。
【0005】
そこで、回転する攪拌翼や多段での混合を行うことにより、上記課題を解決する方法や、材料を調液槽に所定の配合比で移し替え、回転する攪拌翼で攪拌するバッチ処理する方法が一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−71395号公報
【特許文献2】特開2001−17848号公報
【特許文献3】特開平5−220365号公報
【特許文献4】特開平10−29213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から用いられている流入機構での合流では、主流体に対して、該材料と比較して高粘度あるいは微少流量の材料を合流させる場合、流速の低い管壁近傍から合流させることになり、混合器内での混合前に、主流体に対し合流流体を安定した量で合流させることは難しく、所定の配合比での混合が困難である。
【0008】
また、流入機構での合流では、主流体に対して、該材料と比較して高粘度あるいは微少流量の材料を合流させる場合、ノズルにより流速の高い管路中央部近傍に合流させることができるが、合流流体が、主流体に比較して高粘度あるいは微少流量の場合、混合器内での混合前に、主流体に合流流体が拡散することは期待できず、混合器での混合が困難である。
【0009】
また、回転する攪拌翼や多段での混合を行うという混合装置では複雑かつ高価になるという問題があった。
【0010】
そこで本発明では、主流体に対し合流流体を所定の配合比で混合することが出来、更に、主流体と比較して高粘度あるいは微少流量の材料を合流させる場合においても、主流体に合流流体を拡散することを可能とし、その結果、混合装置の設備費用を抑えることが出来る連続混合装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、主材料と複数の合流材料を流入する流入機構と、流入された主材料と複数の合流材料を混合して塗液とする混合器と、からなり、塗液を塗工装置に供給する連続混合装置であって、混合器の流入側に、主材料と合流させる合流材料を塗出するノズルを有する流入機構を複数段、直列に備え、ノズルは主材料の流れ方向と平行に合流材料を塗出可能な複数の開口部を有することを特徴とする連続混合装置。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、前記複数の開口部は円形状であって、開口部の大きさを選択できることを特徴とする請求項1記載の連続混合装置である。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、前記複数の開口部はスリット状であって、開口部の大きさと幅を選択できることを特徴とする請求項1記載の連続混合装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、複数の材料を所定の配合比で混合して塗液とし、塗工装置に供給する連続混合装置であって、混合器の流入側にノズルを備えた複数の流入機構を複数段、直列に配置することにより、複数の材料を順次合流、混合させ、混合比率の大きな主材料、あるいは送液系内で、既に2液以上の材料を混合させた中間材料(主流体)に対して、該材料と比較して高粘度あるいは微少流量の材料を合流させるノズルを有し、主流体の流れ方向と並行に、主流体に対して、合流材料を均一に吐出する吐出開口を持たせることにより、後段の混合器の流入前に、均一に主流体内に配合することが可能となり、所定の配合比で、安定して混合することが可能となる。
【0015】
したがって、本発明の連続混合装置によれば、回転する攪拌翼や多段で混合することなく、所定の配合比で安定して混合することが可能となるため、高性能の混合装置を安価供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来から用いられている連続混合装置の構成の一例を示す図。
【図2】本発明の概略構成図。
【図3】本発明の連続混合装置の混合器の方向から見たノズル正面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図2は、本発明の連続混合装置の概略構成図を示したもので、複数の材料を所定の配合比で混合して塗液とし、塗工装置に供給する連続混合装置であって、混合器1の流入側に主材料4と合流させる合流材料5−1を吐出するノズル3−1を備えた流入機構2−1と合流材料5−2を吐出するノズル3−2を備えた流入機構2−2とを有し、前記ノズル3−1及びノズル3−2は主流体の流れ方向と並行に合流材料を吐出可能な複数の開口部(図示せず)を有している。
【0019】
主流体の流れ方向と並行に合流材料を吐出可能な複数の開口部を有することを特徴とする流入機構を有することにより、合流材料は、主流体内に複数のライン状で合流することができ、合流流体が、主流体に比較して高粘度あるいは微少流量の場合であっても、後段
の混合器の流入前に、均一に主流体内に配合することが可能となり、所定の配合比で、安定して混合することが可能となる。
【0020】
図2では流入機構は2段で直列配置された場合を例として示してあるが、これに限定されずに最適な複数段のものを直列に配置すればよい。
【0021】
図3は混合器1の方向から見たノズル3−1またはノズル3−2の正面図を示す。ノズル3−1またはノズル3−2は主流体の流れ方向と並行に合流材料を吐出可能な複数の開口部を有しており、開口部としては、例えば図3(a)に示す円形状の開口部11や図3(b)に示すスリット状の開口部12を用いることが出来る。
【0022】
図3(a)に示す円形状の開口部11を用いることによって、円形の開口部の径を、合流材料の物性値、流量に適合した大きさで選択することにより、後段の混合器の流入前の主流体内での事前混合状態を変更することができ、より安定した混合が可能となる。
【0023】
また、図3(b)に示すスリット状の開口部12を用いることによって、合流材料は、主流体内に帯状すなわち流体流れ方向と垂直方向に拡がって合流することができ、合流流体が、主流体に比較して高粘度あるいは微少流量の場合であっても、後段の混合器の流入前に、均一に主流体内に配合することが可能となり、所定の配合比で、安定して混合することが可能となる。
【0024】
更に、主流体の流れ方向と並行に合流材料を吐出可能なスリット状の開口部の大きさと幅を、合流材料の物性値、流量に適合したものを選択することにより、後段の混合器の流入前の主流体内での事前混合状態を変更することができ、より安定した混合が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の連続混合装置によれば、回転する攪拌翼や多段で混合することなく、所定の配合比で、安定して混合することが可能となるため、高性能の混合装置を安価供給することが可能となり、混合比率の大きな主材料、あるいは送液系内で、既に2液以上の材料を混合させた中間材料(主流体)に対して、合流材料が主材料と比較して高粘度あるいは微少流量であっても、回転する攪拌翼や多段での混合器を有する、高価な混合装置を導入する必要がなくなる。
【0026】
また、材料を調液槽に所定の配合比で移し替え、回転する攪拌翼で攪拌するバッチ処理を行う必要もなくなるため、調液作業を行う者の作業が軽減されるとともに、揮発性の高い材料であっても、調液作業環境に対し閉鎖された配管系内で調液可能であるため、作業環境を良好に保つことが可能となる。
【符号の説明】
【0027】
1・・・混合器
2・・・流入機構
2−1・・・流入機構
2−2・・・流入機構
3・・・ノズル
3−1・・・ノズル
3−2・・・ノズル
4・・・主流体
5・・・合流材料
5−1・・・合流材料
5−2・・・合流材料
6・・・供給口
7・・・調液
11・・・円形状の開口
12・・・スリット状の開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主材料と複数の合流材料を流入する流入機構と、流入された主材料と複数の合流材料を混合して塗液とする混合器と、からなり、塗液を塗工装置に供給する連続混合装置であって、混合器の流入側に、主材料と合流させる合流材料を塗出するノズルを有する流入機構を複数段、直列に備え、ノズルは主材料の流れ方向と平行に合流材料を塗出可能な複数の開口部を有することを特徴とする連続混合装置。
【請求項2】
前記複数の開口部は円形状であって、開口部の大きさを選択できることを特徴とする請求項1記載の連続混合装置。
【請求項3】
前記複数の開口部はスリット状であって、開口部の大きさと幅を選択できることを特徴とする請求項1記載の連続混合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−201331(P2010−201331A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49135(P2009−49135)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】