説明

連続紙印刷装置

【課題】連続紙印刷装置において、印刷ジョブ内で複数の仕分け単位を持つ固定フォーマット帳票を大量に印刷する場合に、印刷後の仕分け作業の効率を高めること。
【解決手段】連続紙印刷装置は、固定フォーマットを使用する帳票などを用いて印刷を行う場合に、予め、固定フォーマット内のいずれかの領域で仕分け単位の目印となる領域を指定領域として指定を受け付ける。
そして、ジョブ印刷中に、印刷中のページ上の指定領域内の印刷データと直前のページ上の指定領域内の印刷データとを比較し、当該比較結果に基づいて仕分け用目印の印刷を行う。つまり、両印刷データを比較し、変化があった場合は、例えばマークフォームなどといった仕分け用目印の印刷を自動的に挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関し、詳しくは、連続紙を使用する連続紙印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連続紙を使用して印刷を行う印刷装置として、固定フォーマットの帳票を大量に印刷する連続紙印刷装置がある。ここで、連続紙とは、例えば、一定の用紙長ごとにミシン目部分が設けてあり、そのミシン目部分が交互に折りたたまれている用紙などである。
こうした連続紙印刷装置では、最終的に使用する大量の帳票(連続紙)を、必要とされる単位(例えば、配送先など)で仕分ける仕分け作業が必要になる。
大量印刷の場合は、その印刷処理過程において、折りたたまれた連続紙が数千枚になることがあり、こうした数千枚におよぶ連続紙を必要な単位ごとに認識し、当該連続紙に付されたミシン目部分で切り離す作業(仕分け作業)は、非常に煩しく、多大な労力と時間とを費やす作業である。
【0003】
従来、こうした仕分け作業の作業効率を向上させる目的で、印刷ジョブの先頭または最後に対応する印刷物のミシン目部分に、当該仕分けの単位の目印になる模様などを印刷することで、用紙が折りたたまれた状態でも仕分け単位を見分けることができる技術が既に知られている。
また、同様の目的で、ある印刷ジョブに対応する全ての連続紙のミシン目部分に、印刷ジョブごとに異なる目印を印刷することで、用紙が折りたたまれた状態でも仕分け単位を見分けることができる技術が既に知られている。
【0004】
しかし、上述したような、所謂「目印」を用いて行う印刷(以後、目印印刷とする)では、目印印刷のタイミング(すなわち、当該「目印」となる模様などを印刷するタイミング)が、ある印刷ジョブと別の印刷ジョブとの切れ目であったり、また、そうした「目印」となる模様などを印刷ジョブ単位ごとに変更することしかできなかった。
具体的には、こうした従来技術では、印刷ジョブの先頭または最後にジョブセパレータページを印刷する際に、マークフォームと呼ばれる目印模様をミシン目部分に印刷する技術を用いることで、印刷ジョブの切れ目を判別できるように構成されている。
また、こうした従来技術において、印刷ジョブ内の全ページのミシン目部分に同一の「目印」となる模様などを印刷する場合は、当該模様を印刷ジョブ単位で変更することで、どこからどこまでが1つの仕分け単位なのかを示すことができるように構成されている。
しかしながら、こうした技術はいずれも、仕分ける単位は印刷ジョブが1単位であり、仮に、同一の印刷ジョブ内に複数の仕分け単位が含まれる場合は、依然として仕分け単位の認識に多大な労力を要するという問題があった。
【0005】
一方、複数の給紙トレイを有するカット紙プリンタにおいては、同様の目的で、合紙を挿入することで仕分け単位を見分けることができる技術が既に知られている。
しかし、この合紙を挿入して行う仕分け方法は、印刷ジョブ内において用紙の変更が可能な複数の給紙トレイを有するカット紙プリンタを前提とした技術であり、給紙トレイが1つである連続紙プリンタには適用できないという問題があった。
【0006】
特許文献1(国際公開WO97/011422公報)には、仕分け作業の効率向上を目的として、ジョブデータの印刷指示を出力する上位装置が、ジョブデータの印刷処理に先立ってプリンタの仕分け処理(すなわち、プリンタが行うジョブセパレーションマークの印刷処理)の動作内容を指示し、かつ、印刷を実行するプリンタは、当該指示内容を解析し、その解析結果に従って仕分け処理を実行する印刷システムに関する技術が開示されている。
本発明と比較すると、確かに、仕分け作業の効率向上を目的とする点は似ている。
しかし、この特許文献1記載の発明では、同一の印刷ジョブ内に複数の仕分け単位が含まれる場合に、仕分け単位の認識に多大な労力を要するという問題は依然として解消できていない。
【0007】
特許文献2(特開2009−53777号公報)には、複数給紙トレイを持つカット紙プリンタにおける仕分け作業の効率向上を目的として、事前に登録した比較用ページデータのページイメージに対して特定の領域を固定キーワードおよび可変キーワードとして設定し、当該固定キーワード領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を印刷データページごとに行って得られる結果のうち、不一致が発生した場合にそのページ直前に合紙を挿入し、さらに、登録されている比較用ページデータを、不一致が発生したページデータと置き換えて後続ページとの比較を行いながら印刷処理を進めるプリンタ装置に関する技術が開示されている。
本発明と比較すると、確かに、指定領域に印刷するデータと直前のページに印刷する印刷データとを比較し、その比較結果に基づいて仕分け用目印(合紙)を挿入する点は似ている。
しかし、特許文献2記載の発明は、複数の給紙トレイの存在を前提とした技術であり、連続紙プリンタのように給紙トレイが1つであるプリンタでは合紙挿入ができない。従って、特許文献2に記載の技術を、連続紙プリンタに適用することはできないという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、連続紙を使用する連続紙印刷装置において、印刷ジョブ内で複数の仕分け単位を持つ固定フォーマット帳票を大量に印刷する場合に、印刷後の仕分け作業の効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明では、端末装置から印刷指示を受信して印刷データを生成するホストシステムとネットワークを介して接続可能に配設され、連続紙を使用して印刷を行う連続紙印刷装置であって、前記ホストシステムから印刷データを受信する通信手段と、前記通信手段が受信した印刷データを印刷イメージとして表示する表示手段と、前記表示手段が表示する印刷イメージ上の一部または全体に対して比較領域を設定する比較領域設定手段と、前記比較領域設定手段が設定した比較領域内の印刷データを、比較用データとして記憶する記憶手段と、前記記憶手段が記憶した比較用データと前記通信手段が受信した印刷データとを用いて、当該受信した印刷データの1ページ毎に、前記比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行う比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて連続紙に目印印刷を挿入する目印印刷処理手段と、を備えることを特徴とする連続紙印刷装置を提供する。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記比較手段による比較の結果が不一致である場合に、前記目印印刷処理手段は、前記不一致が発生した印刷データが印刷されるページの直前に前記目印印刷を挿入し、且つ、前記記憶手段は、当該比較中に不一致が発生した前記通信手段が受信した印刷データにおける前記比較領域に対応する領域内の印刷データを取得して新たな比較用データとして上書き記憶し、且つ、前記比較手段は、前記記憶手段が上書き記憶した比較用データを用いて後続の印刷データとの比較を行うことを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記比較手段による比較の結果が一致である場合に、前記目印印刷処理手段は、連続紙に目印印刷を挿入することを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項1から請求項3のうちの少なくともいずれか1項に記載の発明において、所定の処理を行うための登録モードを設定および解除するモード設定手段と、前記通信手段が受信した印刷データを解析する解析手段と、
を更に備え、前記モード設定手段が登録モードを設定している場合に、前記比較領域設定手段は、前記表示手段が表示する印刷イメージ上の一部または全体に対して比較領域を設定し、且つ、前記記憶手段は、前記比較領域設定手段が設定した比較領域のデータを記憶し、また、前記モード設定手段が登録モードを解除している場合であり、さらに、前記解析手段が、前記通信手段が受信した印刷データは、前記記憶手段が比較用データとして記憶したデータに対応する印刷データであると解析した場合に、前記比較手段は、前記記憶手段が記憶した比較用データと前記通信手段が受信した印刷データとを用いて、当該受信した印刷データの1ページ毎に、前記比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、且つ、前記目印印刷処理手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、連続紙に前記目印印刷を挿入することを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1から請求項4のうちの少なくともいずれか1項に記載の発明において、前記連続紙は仕分け用のミシン目部分を有し、前記目印印刷処理手段は、前記連続紙の所定のページにおける一定位置のミシン目部分に、目印を印刷することを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1から請求項5のうちの少なくともいずれか1項に記載の発明において、前記記憶手段は、複数の異なる比較用データを各々識別子を付与して記憶し、前記識別子が指定されることで所望の比較用データを選択可能にする比較用データ選択手段を更に備えることを特徴とする。
さらに、請求項7に記載の発明では、請求項1から請求項6のうちの少なくともいずれか1項に記載の発明において、前記端末装置とネットワークを介して接続可能に配設され、前記比較領域設定手段は、前記端末装置から当該端末装置上のWebページまたは専用の管理ツールを介して比較領域設定指示を受け付け、前記比較領域設定指示に基づいて、前記表示手段が表示する印刷イメージ上の一部または全体に対して比較領域を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、連続紙を使用する連続紙印刷装置において、印刷ジョブ内で複数の仕分け単位を持つ固定フォーマット帳票を大量に印刷する場合の、印刷後の仕分け作業の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムのネットワーク構成例を示した図である。
【図2】本発明の実施形態に係る印刷制御部の機能的な構成例を示した図である。
【図3】本発明の実施形態に係る比較用ページデータの登録処理の操作概略を示したフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係る印刷制御部における比較用ページデータの登録処理制御の概略を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係る比較領域の指定例を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る仕分け目印印刷挿入処理の概略を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態の概要
本発明の実施形態に係る連続紙印刷装置は、連続紙を使用して行う連続印刷処理における仕分け用目印印刷処理に際して、以下の特徴を有する。
本発明の実施形態に係る連続紙印刷装置は、固定フォーマットを使用する帳票を用いて印刷を行う場合に、固定フォーマット内のいずれかの領域で仕分け単位の目印となる領域を指定領域として予め指定する。
そして、本発明の実施形態に係る連続紙印刷装置は、ジョブ印刷中に、印刷中のページ上の当該指定領域内の印刷データと、直前のページ上の当該指定領域内の印刷データとを比較し、当該比較結果に基づいて仕分け用目印の印刷を行う。
より詳しくは、両印刷データを比較してその変化を認識し、変化があった場合は、例えばマークフォームなどといった仕分け用目印の印刷を自動的に挿入する。
【0013】
(2)実施形態の詳細
以下、本発明の好適な実施形態について、図1から図6を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る印刷システム1のネットワーク構成例を示した図である。
本発明の実施形態に係る印刷システム1は、ホストシステム100、クライアントPC105、および連続紙印刷装置106を有し、それらがネットワーク107を介して接続されている。
本発明の実施形態に係るホストシステム100は、印刷データを生成するデータベースアプリケーション101と、データベースアプリケーション101が管理するデータベースデータ102およびフォームデータ103と、連続紙印刷装置106を動作させるためのソフトウェアであるプリンタドライバ104とを有する、一般的なデータベースシステムである。
クライアントPC105は、ホストシステム100や連続紙印刷装置106とネットワーク107を介して接続され、図示しない表示部、入力部、制御部、および通信部などを備えたオペレータ(操作者、ユーザ)ごとに所有する汎用のコンピュータであり、オペレータからの印刷に関する指示などを入力部を介して受け付ける。
【0014】
本発明の実施形態に係る連続紙印刷装置106は、連続紙を使用して印刷を行う複写機やプリンタなどであり、後述する印刷制御部200、図示しない操作パネルなどの表示装置、図示しないマウスなどの入力装置、および帳票や連続紙への印刷ジョブデータの印刷や仕分け処理用の印刷などの印刷処理を行う図示しない印刷実行部などを備え、さらに、少なくとも、本番業務印刷、すなわち印刷ジョブデータの印刷処理(以後、本番印刷とする)を行う通常印刷モードか、それとも、比較用ページデータを登録する比較用ページデータ登録モードか、を選択設定することができるモード選択機能を有する。
なお、操作パネルなどの表示装置は、一般的なパソコン用の画像アプリケーションと同様に指定領域の拡大および縮小表示が可能な構成にすることが望ましい。
ネットワーク107は、通信回路やケーブルなどを通してコンピュータどうしを接続することで、データのやりとりやリソースを共有できるようにしたコンピュータ間の通信網のことであり、ネットワークの規模や種類によって、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などがある。
【0015】
データベースアプリケーション101は、クライアントPC105から受信する印刷指示に基づいて電子原稿を作成するソフトウェアである。
データベースデータ102は、印刷処理の際に必要となる各種データであり、ホストシステム100内に蓄積(記憶)されている。
フォームデータ103は、様々なデータや資料を目的や用途に合わせてまとめ易くする目的で、当該データや資料に関する情報を書きこむための書式や形式が定められたフォームに関するデータであり、こうした一定のフォーマットがフォームデータとしてホストシステム100内に登録(記憶)されている。フォームデータの種類としては、例えば、請求書のフォームデータや、見積書のフォームデータなどがある。
【0016】
クライアントPC105は、印刷を行おうとするオペレータから当該印刷に係る印刷指示を受け付け、受け付けた印刷指示をネットワーク107を介してホストシステム100に送信する。
データベースアプリケーション101は、クライアントPC105が送信した印刷指示を受信すると、当該印刷指示に基づくフォームデータ103を取り出し、かつ、データベースデータ102として蓄積されていたデータをレコード単位で取り出して、当該レコード内のデータを、取り出したフォームデータ103上の所定の位置に展開して一時的に電子原稿を作成する。
プリンタドライバ104は、データベースアプリケーション101が電子原稿を作成すると、当該電子原稿に基づいて、連続紙印刷装置106が認識し得るコード群で構成される印刷データを生成し、連続紙印刷装置106へ送信する。
連続紙印刷装置106は、プリンタドライバ104から印刷データを受信すると、当該印刷データに基づいて、印刷を実行する。つまり、当該連続紙印刷装置106は、受信した印刷データに記載されている印刷指示に従って、画像を描画し印刷出力を行う。
【0017】
以上のような流れで、データベースデータ102を使用して帳票印刷などの連続紙印刷の処理を行う場合、フォームデータ103は、帳票用に予め決められたフォームデータであり、そして、印刷されるべきレコード単位で取り出されるデータは、当該帳票用に予め決められたフォームデータ103上の固定の位置に印刷される。例えば、取り出されたレコード単位が宛先である場合は、当該帳票用のフォームデータ103上の「宛先」に該当する部分(欄)に、1レコード(すなわち、1宛先)ずつ配置される。
一般的に、印刷されるデータには、顧客番号や顧客郵便番号など、固定長のデータが含まれる。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る連続紙印刷装置106が備える印刷制御部200の機能的な構成例を示した図である。
本発明の実施形態に係る、連続紙を使用する連続紙印刷装置106の印刷制御部200は、データ通信部201、解析制御部202、データ展開部203、表示入力制御部204、印刷データ処理部205、仕分け目印印刷処理制御部206、およびページデータ展開領域210などにより構成される。
また、印刷制御部200は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を備えている。CPUは中央処理装置であり、印刷制御部200が行う種々の処理を管理および実行している。ROMは読み取り専用メモリであり、印刷制御部200が動作する際の基本的なプログラムやパラメータを記憶している。また、RAMは読み書き可能なメモリであり、CPUが情報処理する際のワーキングメモリを提供する。
データ通信部201は、ホストシステム100と通信を行い、例えば、ホストシステム100から送信されるデータを受信する。
解析制御部202は、ホストシステム100から受信したデータを解析する。
データ展開部203は、解析制御部202が解析した結果に基づいて、ページデータをページデータ展開領域210に展開する。
表示入力制御部204は、オペレータとのインターフェースを制御する。具体的には、表示入力制御部204は、連続紙印刷装置106が有する図示しない操作パネルなどの表示装置や、図示しないマウスなどの入力装置を制御し、当該操作パネルを介して、連続紙印刷装置106を操作するオペレータからの指示を受け付けたり、指示内容や指示内容に基づく処理結果を表示したりする処理を行う。
印刷データ処理部205は、印刷処理を実行する。
仕分け目印印刷処理制御部206は、仕分け用の印刷処理を制御する。仕分け用の印刷処理については後述する。
通常の印刷を実行する場合は、上述した構成により印刷処理が行われる。
【0019】
本発明の実施形態に係る、連続紙を使用する連続紙印刷装置106は、更に、オペレータなどによって予め指定された、印刷領域内の展開後のイメージを比較するデータ比較処理部207、比較用ページイメージを登録(記憶)する比較データ保管領域208、および現在使用中の比較用データを展開する比較データ展開領域209を備えた構成になっており、それらの構成により、印刷後の仕分け作業の効率を高めることができる印刷処理を行う。
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る、本番印刷を行う前に行う処理である比較用ページデータの登録処理の動作について、図3および図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る比較用ページデータの登録処理の操作概略を示したフローチャートである。
本発明の実施形態に係る連続紙印刷装置106は、ホストシステム100のデータベースアプリケーション101からの指示による本番印刷の前に、比較用ページデータを比較データ保管領域208に予め登録する。
この登録処理は、アプリケーション101が、当該比較用ページデータとして1ページ分の印刷データを連続紙印刷装置106に送信し、そして連続紙印刷装置106が当該データを登録することにより行う。
また、この比較用ページデータとして連続紙印刷装置106が比較データ保管領域208に登録するデータは、データベースアプリケーション101がその機能として一般的に有する「テスト印刷機能」を使用して作成ならびに送信される構成にすることができる。
あるいは、データベースアプリケーション101が、印刷データの1ページ分に相当するダミーデータを作成して、当該ダミーデータを比較用ページデータとして送信する構成にしても良い。
あるいは、データベースデータ102が記憶しているデータベース内の先頭のレコードを用いたページを比較用ページデータとして送信する構成にしても良い。
【0021】
まず、連続紙印刷装置106は、オペレータなどからの指示に基づき、モードを比較用ページデータ登録モードに設定する(S301)。
このモード設定は、これから連続紙印刷装置106が受信するデータが、通常の(すなわち、本番印刷用の)印刷データではなく、比較用ページデータであることを設定するための機能であり、オペレータは、連続紙印刷装置106が有する操作パネルなどの表示装置(図示しない)などを用いて設定することができる。
次に、連続紙印刷装置106側の設定完了後、ホストシステム100は比較用ページデータを送信し、連続紙印刷装置106のデータ通信部201が、ホストシステム100が送信した比較用ページデータを受信する(S302)。
解析制御部202は、受信した比較用ページデータを解析して展開し、操作パネルなどの表示装置に展開したイメージ画像である比較用ページイメージ画像を表示する(S303)。
この際、表示方法に制限はないが、本実施形態では、連続紙印刷装置106は画像認識可能な画面サイズを有する操作パネルを備えており、オペレータにより指定される指定領域を、拡大または縮小というように倍率を変更させて表示することが可能な構成になっている。
【0022】
そして、連続紙印刷装置106は、オペレータによって設定される当該比較用ページイメージ画像上の任意の領域を、比較領域として設定する(S304)。
ここで、図5は、本発明の実施形態に係る比較領域の指定例を示した図であり、上述のようにして指定された比較領域が示されている。
この設定方法は、望ましくは、連続紙印刷装置106に付属するマウス(図示しない)などの入力装置によって行われる、一般的なパソコン用画像アプリケーションでの領域指定方法と同等のものとすると良い。具体的には、例えば、オペレータはマウス操作でポインタを移動させながら、左クリックした点を頂点とする多角形を当該比較用ページイメージ画像上で描く。この多角形は、例えば、図5に示したように実線で表示され、この多角形で囲まれた設定領域が、オペレータが比較領域として指定する領域となる(比較領域指定操作)。
連続紙印刷装置106は、比較領域が設定されると、オペレータなどからの指示に基づいて比較用ページデータ登録モードを解除する(S305)。
【0023】
図4は、図3に示した操作フローに対応した、連続紙印刷装置106が有する印刷制御部200における比較用ページデータの登録処理制御の概略を示したフローチャートである。
以下は、図3で示されたフローチャートの流れと同様に、本番印刷前に行われる処理である。
連続紙印刷装置106が、ホストシステム100からページデータを受信すると、まず、印刷制御部200は、オペレータによって比較用ページデータ登録モードが設定されているか否かを判断する(S401)。
比較用ページデータ登録モードが設定されていなければ(S401;N)、通常印刷モードであると判断し、印刷データ処理部205が、通常印刷モードにより処理を行う(S406)。
一方、比較用ページデータ登録モードが設定されていた場合(S401;Y)、印刷制御部200の解析制御部202が、データ通信部201がホストシステム100から受信したページデータを解析し、そして、データ展開部203が、比較用ページイメージとしてページデータ展開領域210に比較用ページイメージ画像を展開する(S402)。
印刷制御部200の表示入力制御部204は、データ展開部203が展開した比較用ページイメージ画像を表示装置に表示し(S403)、当該比較用ページイメージ画像上に、上述したようにオペレータにより実施される「比較領域指定操作」である領域指定を受け付ける(S404)。
印刷制御部200の表示入力制御部204がオペレータによる比較領域指定を受け付けると、印刷制御部200は、比較領域が指定(設定)された比較用ページデータを、専用領域である比較データ保管領域208に登録(保存)するが、その際、印刷制御部200は当該登録する比較用ページデータに識別子を付与し(S405)、一連の処理を終了する。
【0024】
このように、登録する比較用ページデータごとに識別子を付与し、複数の比較用ページデータを登録可能にすることで、複数種類の帳票印刷業務を周期的(例えば、毎月末ごと)に実施する印刷業務形態において、連続紙印刷装置106は、一度登録した比較用ページデータを呼び出すことが可能となり、同じ作業を何度も行う手間を省くことができるので、業務効率が向上する。
【0025】
ここで再び図5を参照する。
本実施形態では、請求書の印刷を例にとって比較領域の指定(比較領域指定操作)について説明する。
連続紙印刷装置106が請求書を印刷する場合、宛先印刷の位置は固定位置に展開される。宛先印刷の位置とは、例えば、郵便番号や住所情報が印刷される位置のことである。
例えば、印刷をするに際して、郵便番号の上位3桁が同じである請求書の単位で仕分けしたい場合、図5に示したように該当する領域(すなわち、郵便番号の上位3桁が含まれる領域)を指定する。指定方法は上述したようなマウスを用いた方法で行う。
ここで、比較用ページイメージ画像を表示して行う比較領域指定は、連続紙印刷装置106付属の操作パネルを必ずしも用いる必要はなく、例えば、ネットワーク107を介して連続紙印刷装置106と接続しているクライアントPC105上で、連続紙印刷装置106のWebページや、連続紙印刷装置106の管理ツールなどを介して表示および指定できるように構成しても良い。
【0026】
以上で、1つの印刷ジョブ内で、複数の仕分け単位を持つ固定フォーマット帳票の大量印刷業務における、印刷後の仕分け作業効率向上のための仕分け目印印刷挿入に係る、事前準備が完了したことになる。
続いて、本番印刷で実行される処理について説明する。
【0027】
図6は、本発明の実施形態に係る仕分け目印印刷挿入処理の概略を示したフローチャートである。
オペレータが、クライアントPC105を用いて、連続紙を使用し、且つ、同一ジョブ内での複数仕分け目印印刷挿入を意図した印刷を実行した場合、まず、本発明の実施形態に係る連続紙印刷装置106のデータ通信部201は、オペレータによってホストシステム100に入力された印刷指示を、データベースアプリケーション101およびプリンタドライバ104などによる処理を介して、印刷データとして受信する。
印刷データを受信すると、次に、連続紙印刷装置106の解析制御部202は、当該受信した印刷データに対応する比較用ページデータが、比較データ保管領域208に存在するか否か(すなわち、オペレータによって、事前に、上述した「比較領域指定操作」が連続紙印刷装置106になされている印刷データか否か)を解析する(S601)。
比較用ページデータが存在する場合は(S601;Y)、連続紙印刷装置106は、まず、オペレータの操作によって比較データ保管領域208に登録(記録)された比較用ページデータを、専用メモリである比較データ展開領域209に展開済みか否かを確認する(S602)。
一方、該当する比較用ページデータが存在しない場合は(S601;N)、連続紙印刷装置106の印刷制御部200の印刷データ処理部205は、ページ印刷処理を実行する(S609)。
【0028】
そして、比較用ページデータが比較データ展開領域209に展開されていない場合(S602;N)、連続紙印刷装置106は、比較用ページデータを、専用メモリである比較データ展開領域209に展開する(S603)。
先述のように比較用ページデータが、既に比較データ展開領域209に展開されている場合(S602;Y)、あるいは、上述のように比較用ページデータを比較データ展開領域209に展開した場合(S603)は、連続紙印刷装置106が有する印刷制御部200のデータ展開部203は、ホストシステム100から受信した印刷データのうち、印刷の1ページ分に該当するページデータを、ページデータ展開領域210に展開する(S604)。
【0029】
ここで、本実施形態では、比較データ保管領域208に事前に登録されている比較用ページデータは1つとしたが、これに限られることはない。例えば、上述したように、ページデータ上の異なる領域が比較領域指定された複数の比較用ページデータが、各々を識別できるように各々のデータごとに識別子を付して登録されている場合は、オペレータは、本番印刷において仕分けたい(すなわち、目印印刷を挿入したい)仕分け方法が実現できる比較用ページデータの識別子を選択し、操作パネルなどを介して連続紙印刷装置106に指定することで、連続紙印刷装置106が、当該選択された識別子に対応する比較用ページデータを比較データ保管領域208から取得し、比較データ展開領域209に展開する構成にすることもできる。
【0030】
次に、連続紙印刷装置106のデータ比較処理部207は、比較用ページデータ(すなわち、比較データ展開領域209に展開された比較用ページデータ)と、入力ジョブのページデータ(すなわち、ページデータ展開領域210に展開された「印刷の1ページ分に該当するページデータ」)との、展開後のビットマップにおいて比較領域として指定されている領域(指定領域)の比較を行う(S605)。
そして、データ比較処理部207は、当該指定領域に対応するデータが一致するか否かを判断する(S606)。
データ比較処理部207が、比較結果が不一致と判断した場合(S606;不一致)、印刷制御部200の仕分け目印印刷処理制御部206は、仕分け目印印刷処理を実行する(S607)。
【0031】
この仕分け目印印刷処理は、以下のような方法が考えられる。
例えば、上述のように指定領域に対応する部分を比較ポイントにして「比較データ展開領域209に展開された比較用ページデータ」と比較された「ページデータ展開領域210に展開された「印刷の1ページ分に該当するページデータ」」が印刷されるページ(連なっている連続紙のうちの1ページ)の直前に、仕分け目印用の印刷物を挿入する方法がある。この印刷物とは、具体的には、例えばマークフォームなどの目印となる印刷を含むページなどがある。
【0032】
連続紙印刷装置106は、この仕分け目印印刷処理を実行すると、比較ページデータの入れ替え処理を行う(S608)。つまり、領域指定の属性情報はそのままにし、それで比較データ展開領域209に展開されていた比較用ページデータのビットマップを削除し、且つ、それまでページデータ展開領域210に展開されていた入力ジョブのページデータ(印刷の1ページ分に該当するページデータ)のビットマップのコピーを、比較データ展開領域209に新たに格納するのである。
こうした入れ替えが完了した後は、印刷制御部200の印刷データ処理部205は、ページデータ印刷処理を実行する(S609)。
そして、当該ページデータ印刷処理後は、印刷制御部200は、プリンタドライバ104から入力された(受信した)印刷ジョブの印刷データのうち、展開処理待ちの印刷データ(すなわち、連続紙印刷装置106によって、まだ印刷処理がなされていない印刷データ)が存在するか否かの確認を行うために、入力ジョブの展開処理待ちデータの有無を確認する(S610)。
当該展開処理待ちデータが存在しない場合は(S610;N)、連続紙印刷装置106は、印刷待ちのジョブはないものとして、当該印刷を終了する。
一方、展開処理待ちデータが存在する場合は(S610;Y)、連続紙印刷装置106は、S601に戻り一連の作業を繰り返す。
【0033】
一方、データ比較処理部207が、比較結果が一致すると判断した場合(S606;一致)、印刷制御部200は、上述した(S607およびS608)仕分け目印印刷処理や比較ページデータの入れ替え処理を実行することなく、ページデータ印刷処理を実行する(S609)。
【0034】
上記では、仕分け目印印刷の挿入、具体的にはマークフォームなどの目印となる印刷を含むページの挿入に関して説明したが、これに限られることはない。
例えば、ミシン目部分を有する連続紙を用いて、仕分け単位でミシン目部分の同じ位置(つまり、連なる連続紙において一貫して同じ場所に対応する各々のミシン目部分)に、目印となるマークを印刷する構成にすることができる。この場合は、本実施形態の仕分け目印印刷挿入のタイミングを、当該マークを印刷するための切り替えタイミングとすることで、実現可能である。
【0035】
また、データ比較処理部207が比較結果が不一致であると判断した際に仕分け目印印刷を挿入する場合について説明したが、これに限ることはない。
例えば、逆に、データ比較処理部207が当該比較結果が一致と判断した場合(すなわち、比較指定領域内のデータが一致した場合)に仕分け目印印刷を挿入、あるいは、仕分け用の目印マークを印刷することで、比較ページデータを入れ替える処理(すなわち、本実施形態のS608に相当する処理)を実行しない構成にすることもできる。
このような構成にすることで、本番印刷中の印刷ジョブにおいて、特定領域にある特定のキーワードが出現した場合に仕分け目印印刷を挿入、あるいは、仕分け用の目印マークを印刷することも可能である。
【0036】
更には、比較領域指定を廃し、比較用ページデータのみを登録し、ページ全体を比較することで、特定のページが出現した場合に仕分け目印印刷を挿入する構成にすることも可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 印刷システム
100 ホストシステム
101 データベースアプリケーション
102 データベースデータ
103 フォームデータ
104 プリンタドライバ
105 クライアントPC
106 連続紙印刷装置
107 ネットワーク
200 印刷制御部
201 データ通信部
202 解析制御部
203 データ展開部
204 表示入力制御部
205 印刷データ処理部
206 仕分け目印印刷処理制御部
207 データ比較処理部
208 比較データ保管領域
209 比較データ展開領域
210 ページデータ展開領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】国際公開WO97/011422公報
【特許文献2】特開2009−53777号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置から印刷指示を受信して印刷データを生成するホストシステムとネットワークを介して接続可能に配設され、連続紙を使用して印刷を行う連続紙印刷装置であって、
前記ホストシステムから印刷データを受信する通信手段と、
前記通信手段が受信した印刷データを印刷イメージとして表示する表示手段と、
前記表示手段が表示する印刷イメージ上の一部または全体に対して比較領域を設定する比較領域設定手段と、
前記比較領域設定手段が設定した比較領域内の印刷データを、比較用データとして記憶する記憶手段と、
前記記憶手段が記憶した比較用データと前記通信手段が受信した印刷データとを用いて、当該受信した印刷データの1ページ毎に、前記比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行う比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて連続紙に目印印刷を挿入する目印印刷処理手段と、
を備えることを特徴とする連続紙印刷装置。
【請求項2】
前記比較手段による比較の結果が不一致である場合に、
前記目印印刷処理手段は、前記不一致が発生した印刷データが印刷されるページの直前に前記目印印刷を挿入し、且つ、
前記記憶手段は、当該比較中に不一致が発生した前記通信手段が受信した印刷データにおける前記比較領域に対応する領域内の印刷データを取得して新たな比較用データとして上書き記憶し、且つ、
前記比較手段は、前記記憶手段が上書き記憶した比較用データを用いて後続の印刷データとの比較を行うことを特徴とする請求項1記載の連続紙印刷装置。
【請求項3】
前記比較手段による比較の結果が一致である場合に、
前記目印印刷処理手段は、連続紙に目印印刷を挿入することを特徴とする請求項1記載の連続紙印刷装置。
【請求項4】
所定の処理を行うための登録モードを設定および解除するモード設定手段と、
前記通信手段が受信した印刷データを解析する解析手段と、
を更に備え、
前記モード設定手段が登録モードを設定している場合に、
前記比較領域設定手段は、前記表示手段が表示する印刷イメージ上の一部または全体に対して比較領域を設定し、且つ、
前記記憶手段は、前記比較領域設定手段が設定した比較領域のデータを記憶し、
また、
前記モード設定手段が登録モードを解除している場合であり、さらに、前記解析手段が、前記通信手段が受信した印刷データは、前記記憶手段が比較用データとして記憶したデータに対応する印刷データであると解析した場合に、
前記比較手段は、前記記憶手段が記憶した比較用データと前記通信手段が受信した印刷データとを用いて、当該受信した印刷データの1ページ毎に、前記比較領域と同一位置に展開されるビットマップの比較を行い、且つ、
前記目印印刷処理手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて、連続紙に前記目印印刷を挿入することを特徴とする請求項1から請求項3のうちの少なくともいずれか1項に記載の連続紙印刷装置。
【請求項5】
前記連続紙は仕分け用のミシン目部分を有し、
前記目印印刷処理手段は、前記連続紙の所定のページにおける一定位置のミシン目部分に、目印を印刷することを特徴とする請求項1から請求項4のうちの少なくともいずれか1項に記載の連続紙印刷装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、複数の異なる比較用データを各々識別子を付与して記憶し、
前記識別子が指定されることで所望の比較用データを選択可能にする比較用データ選択手段を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項5のうちの少なくともいずれか1項に記載の連続紙印刷装置。
【請求項7】
前記端末装置とネットワークを介して接続可能に配設され、
前記比較領域設定手段は、前記端末装置から当該端末装置上のWebページまたは専用の管理ツールを介して比較領域設定指示を受け付け、前記比較領域設定指示に基づいて、前記表示手段が表示する印刷イメージ上の一部または全体に対して比較領域を設定することを特徴とする請求項1から請求項6のうちの少なくともいずれか1項に記載の連続紙印刷装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−183629(P2011−183629A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50148(P2010−50148)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】