説明

連続鋳造用鋳型

【課題】冷却部材と凝固シェルとの接触状態を監視して、ブレークアウトや鋳片割れの発生のない安定した鋳造作業を行うことが可能な連続鋳造用鋳型を提供する。
【解決手段】対向配置された対となる冷却部材12と、各冷却部材12の裏面側にそれぞれ配置され、冷却部材12が複数の締結ボルト14を介して固定された支持部材と、支持部材の裏面側に連結し、支持部材を介して冷却部材12を保持する保持機構16とを有する連続鋳造用鋳型において、鋳造中に冷却部材12に発生する応力を検出する荷重センサを、支持部材又は保持機構16に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳片を製造するために使用する連続鋳造用鋳型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳片の連続鋳造は、冷却部材(水冷銅板)で囲まれて形成され、上下方向に貫通する空間部を備えた連続鋳造用鋳型を使用し、この空間部に供給した溶鋼を冷却部材で冷却しながら凝固させることにより行われている。ここで、鋳片の製造に際しては、空間部内で形成される凝固シェルの成長を確実に行う必要があるが、凝固シェルの成長が不安定な場合、凝固シェルが鋳造中に破れ、未凝固の溶鋼が流出するブレークアウトが発生し、例えば、鋳造作業の中断、又は長時間の休止、更には設備損傷のような事故を招く恐れがある。そこで、冷却部材に複数の熱電対を埋設し、これら熱電対の温度変化等を検出する連続鋳造用鋳型が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−284503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載された連続鋳造用鋳型は、冷却部材の温度変化を検出するものであり、冷却部材の温度が低下した場合、冷却部材と凝固シェルとの接触状態が低下したと判断できるが、冷却部材と凝固シェルとの接触状態を回復させるために、冷却部材の位置を凝固シェル側にどの程度移動させればよいかの判断はできない。このため、冷却部材の位置を変更しても冷却部材と凝固シェルとの接触状態が回復しない場合、溶鋼の冷却不足が生じて凝固シェルの成長が不安定になって、ブレークアウトが発生するという問題が生じる。一方、冷却部材の位置を変更して冷却部材が凝固シェルを強く押圧するようになると、凝固シェルに過大な力が作用して凝固シェルが破れ、ブレークアウトや鋳片割れが発生するという問題が生じる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、冷却部材と凝固シェルとの接触状態を監視して、ブレークアウトや鋳片割れの発生のない安定した鋳造作業を行うことが可能な連続鋳造用鋳型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う本発明に係る連続鋳造用鋳型は、対向配置された対となる冷却部材と、該各冷却部材の裏面側に配置され、該冷却部材が複数の締結ボルトを介して固定された支持部材と、該支持部材の裏面側に連結し、該支持部材を介して前記冷却部材を保持する保持機構とを有する連続鋳造用鋳型において、
鋳造中に前記冷却部材に発生する応力を検出する荷重センサを、前記支持部材又は前記保持機構に取付けている。
【0007】
本発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記冷却部材は、該連続鋳造用鋳型の短辺であって、前記荷重センサは、該短辺を固定する前記支持部材に取付けることができる。
また、前記冷却部材は、該連続鋳造用鋳型の長辺であって、前記荷重センサは、該長辺を固定する前記支持部材に取付けることができる。
【0008】
本発明に係る連続鋳造用鋳型において、前記冷却部材は、該連続鋳造用鋳型の短辺であって、前記保持機構は、前記対となる短辺の間隔を調整する短辺間隔調整用シリンダを有し、前記荷重センサは、該短辺間隔調整用シリンダ又は該短辺間隔調整用シリンダの固定部材に取付けてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る連続鋳造用鋳型においては、鋳造中に冷却部材に発生する応力を検出する荷重センサを設けているので、冷却部材に発生する応力から、鋳造中に冷却部材が鋳片から受ける反力の大きさを知ることができ、冷却部材と凝固シェルとの接触状態を監視することができる。その結果、十分な厚みの凝固シェルを安定して形成することができ、ブレークアウトや鋳片割れの発生のない安定した鋳造作業を行うことが可能になる。
【0010】
本発明に係る連続鋳造用鋳型において、冷却部材が、連続鋳造用鋳型の短辺であって、荷重センサが、短辺を固定する支持部材に取付けられている場合、連続鋳造用鋳型の長期使用に伴い、短辺が摩耗してその厚みが薄くなってくると、短辺が凝固シェルから受ける反力が変化し、変化した反力を荷重センサで検出することができるので、短辺の寿命を監視して、補修時期を決定することができる。
また、冷却部材が、連続鋳造用鋳型の長辺であって、荷重センサが、長辺を固定する支持部材に取付けられている場合、連続鋳造用鋳型の長期使用に伴い、長辺が摩耗してその厚みが薄くなってくると、長辺が凝固シェルから受ける反力が変化し、変化した反力を荷重センサで検出することができるので、長辺の寿命を監視して、補修時期を決定することができる。
【0011】
本発明に係る連続鋳造用鋳型において、冷却部材が、連続鋳造用鋳型の短辺であって、保持機構が、対となる短辺の間隔を調整する短辺間隔調整用シリンダを有し、荷重センサが、短辺間隔調整用シリンダ又は短辺間隔調整用シリンダの固定部材に取付けられている場合、磨耗した短辺を交換する際に、短辺の支持部材に荷重センサを取付ける必要がなくなり、支持部材に対する短辺の着脱を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型の説明図である。
【図2】同連続鋳造用鋳型の短辺及び短辺側支持部材の説明図である。
【図3】同連続鋳造用鋳型の短辺側支持部材に取付けた荷重センサの説明図である。
【図4】変形例に係る荷重センサの取付け方法を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型において短辺側支持部材に取付けた荷重センサの説明図である。
【図6】(A)は本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型の説明図、(B)は短辺間隔調整用シリンダに取付けた荷重センサの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10は、間隔を有して対向配置された対となる冷却部材の一例である対となる長辺(具体的には銅板、長片ともいう)11と、対となる長辺11の間に挟まれて間隔を有して対向配置された対となる冷却部材の一例である対となる短辺(具体的には銅板、短片ともいう)12とを有している。また、連続鋳造用鋳型10は、長辺11の裏面側にそれぞれ配置され、長辺11が複数の締結ボルト(図示せず)を介して固定された長辺側支持部材(支持部材の一例)13と、長辺側支持部材13の裏面側に連結し、長辺側支持部材13を介して長辺11を保持する保持機構(図示せず)とを有している。更に、連続鋳造用鋳型10は、短辺12の裏面側にそれぞれ配置され、短辺12が複数の締結ボルト14を介して固定された短辺側支持部材(支持部材の一例)15と、短辺側支持部材15の裏面側に連結し、短辺側支持部材15を介して短辺12を保持する保持機構16とを有している。以下、詳細に説明する。
【0014】
図2に示すように、短辺12(長辺11も同様)は、その裏面側(溶鋼接触面側とは反対側)の上下方向に設けられた多数の導水溝17、18に冷却水を流すことで、短辺12の冷却を行うと共に、溶鋼の冷却を行って凝固シェル(鋳片)を形成する。この短辺12は、例えば、幅が50mm以上300mm以下程度(一対の長辺11の間隔と等しい)、上下方向の長さが600mm以上1200mm以下程度である。また、長辺11は、対向配置される一対の短辺12の間隔を、600mm以上3000mm以下の範囲で変更可能とすることのできる幅を有し、上下方向の長さは短辺12と同程度である。なお、短辺12と長辺11は、銅又は銅合金で構成されている。また、符号19は、短辺12と短辺側支持部材15との間から冷却水が漏れるのを防止するOリングである。これにより、例えば、幅が600mm以上3000mm以下程度、厚みが50mm以上300mm以下程度のスラブを製造できる。
【0015】
短辺側支持部材15(長辺側支持部材13も同様)は、その下部に設けられた給水部(図示しない)から、短辺12の裏面側に設けられた多数の導水溝17、18を介して、短辺側支持部材15の上部に設けられた排水部(図示しない)へ冷却水を流し、短辺12の冷却を行う。また、図3に示すように、短辺側支持部材15には、鋳造中に短辺12に発生する応力を検出する荷重センサ20(例えば、歪みゲージを用いたもの、ロードセル等からなる)が取付けられている。ここで、荷重センサ20は、細長形状(長さ:例えば、5〜20mm程度、幅:例えば、0.5〜2mm)の検知部21と、検知部21に発生した信号を取出すリード線22とを備えている。そして、荷重センサ20を短辺側支持部材15に取付けるには、先ず、ボルト23の頂部からその軸心に沿って形成した、例えば、径が1〜3mm程度の穴24内に荷重センサ20の検知部21を入れて周囲を接着剤で固定し、荷重センサ20を取付けたボルト23を、短辺側支持部材15に形成した貫通ねじ孔25にボルト23の先端を先側にしてねじ込む。なお、ボルト23の先端と短辺12の裏面との間には隙間δ(例えば、0.1〜1mm)を設けているが、ボルト23の先端が短辺12の裏面に当接してもよい。
【0016】
ボルト23を短辺側支持部材15の貫通ねじ孔25にねじ込むことによりボルト23と短辺側支持部材15は一体化する。このため、短辺側支持部材15が歪むと、短辺側支持部材15にねじ込まれているボルト23も短辺側支持部材15と共に歪む。そして、ボルト23が歪むと穴24も歪み、穴24内を充填している接着剤が歪んで検知部21からボルト23の歪みに応じた信号が出力される。ここで、短辺側支持部材15の歪みは、短辺12が凝固シェルを押す反作用として短辺12が凝固シェルから押し返される際に生じる短辺12の変形に伴って生じるので、検知部21で測定されたボルト23の歪み量から、短辺12を変形させる際に凝固シェルから短辺12に負荷された荷重を求めることができる。なお、使用にあっては、事前に荷重の校正を行う。
【0017】
図4に、変形例に係る荷重センサ20の取付け方法を示す。変形例では、短辺側支持部材26に、短辺側支持部材26の裏面側から径が1〜3mm程度の穴27を形成し、この穴27内に荷重センサ20の検知部21を含む先側を装入し、穴27内を接着剤で充填して荷重センサ20の先側を穴27内に固定している。これによって、短辺12に発生した応力で短辺12が歪むと、短辺12が固定されている短辺側支持部材26も歪む。そして、短辺側支持部材26が歪むと、穴27も歪み、穴27内を充填している接着剤が歪んで検知部21から短辺側支持部材26の歪み量に応じた信号が出力される。ここで、短辺側支持部材26の歪み量は、短辺側支持部材26を歪ませた短辺12の歪み量の影響を受け、短辺12の歪み量は短辺12に発生した応力の影響を受けるので、検知部21で測定された短辺側支持部材26の歪み量から、短辺12に加わる荷重を求めることができる。
【0018】
保持機構16は、短辺側支持部材15の裏面側の上部と下部にそれぞれ取付けられた短辺間隔調整用シリンダ16aを有している。各短辺間隔調整用シリンダ16aは、その基部が連続鋳造用鋳型10の取付け架台(図示せず)に取付けられ、各短辺間隔調整用シリンダ16aのロッド28の先部は、短辺側支持部材15の裏面側の上部及び下部にそれぞれ突出して設けられた対となる連結受部材30、31の間に装入され、ピン32を介して連結受部材30、31と接続されている。これによって、各短辺間隔調整用シリンダ16aのロッド28を同期して移動させることにより、対向配置した長辺11により幅方向両側が挟み込まれた状態の対向配置された短辺12の間隔を調整することができる。
【0019】
続いて、本発明の第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10の作用について説明する。
短辺12の裏面側の上下方向に設けられた多数の導水溝17、18、及び長辺11の裏面側の上下方向に設けられた多数の導水溝にそれぞれ冷却水を流しながら、1対の短辺12と1対の長辺11とで形成された空間部に溶鋼を供給すると、溶鋼は短辺12と長辺11で冷却されて凝固シェルを形成し、この凝固シェルを下方へ引き抜くことにより鋳片が製造される。ここで、長辺11は長辺側支持部材13を介して保持機構により規定の位置に固定されて、対向する長辺11間が所定の間隔に保持され、短辺12は短辺側支持部材15を介して短辺間隔調整用シリンダ16aにより規定の位置に固定されて、対向する短辺12間が所定の間隔に保持されている。このため、短辺12、長辺11は形成された凝固シェルを押すことになり、凝固シェルは短辺12、長辺11を押し返す(短辺12、長辺11には凝固シェルからの反力が加わる)。そして、短辺12、長辺11の表面が形成された凝固シェルと一様に接触している場合、短辺12、長辺11が凝固シェルを押す力(凝固シェルが短辺12、長辺11を押し返す反力)は一定範囲内の値(目標荷重値)となる。
【0020】
鋳造中に、短辺12の熱変形が大きくなって、又は凝固シェルとの接触で短辺12の表面側が磨耗してくると、短辺12の位置を規定の位置に保持した場合、短辺12の表面と凝固シェルとの間に隙間が生じる。これにより、溶鋼の冷却不足が生じて凝固シェルの成長が不安定になる。また、短辺12が凝固シェルを押す力(凝固シェルが短辺12を押し返す反力)も低下する。そして、これらのことは、短辺側支持部材15に取付けた荷重センサ20で測定される荷重値の低下として検知できる。
【0021】
そこで、短辺間隔調整用シリンダ16aを操作して、短辺12を凝固シェル側に押し込み、荷重センサ20で測定される荷重値を目標荷重値に回復させることにより、短辺12の表面が一様に凝固シェルに接触する状態に回復させることができる。このとき、荷重センサ20で測定される荷重値を参照しながら短辺間隔調整用シリンダ16aを操作するため、短辺12で凝固シェルを強く押圧するのを防止することができ、凝固シェルが破れてブレークアウトや鋳片割れが発生するのを回避できる。その結果、十分な厚みの凝固シェルを安定して形成することができ、ブレークアウトや鋳片割れの発生のない安定した鋳造作業を行うことが可能になる。
【0022】
図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型33は、第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10と比較して、荷重センサ20を取付けたボルト34の形状と、ボルト34の短辺側支持部材35に対する取付け構造が異なっていることが特徴となっている。このため、ボルト34の形状と、ボルト34の短辺側支持部材35に対する取付け構造について説明する。
【0023】
ボルト34のボルト長さL(ねじが形成されている軸部(頭部を除く部分)の長さ)は、短辺側支持部材35の厚みより長く(例えば、短辺側支持部材35の厚みより0.5〜5mmの範囲で長く)形成されている。また、ボルト34の先端側は丸められて、例えば、ボルト34(軸部)の外径と同一の直径を有する球面部(半球面)36となっている。なお、ボルトの先端側の球面部の形状を、ボルトの外径より大きな長さの直径を有する球面の一部に一致する形状にしてもよい。そして、ボルト34が取付けられる短辺側支持部材35に形成された貫通ねじ孔37では、ボルト34がねじ込まれる基側(短辺側支持部材35の裏面側)から先側に向けて、例えば、ボルト長さLの1/3〜1/2倍の長さに相当する範囲にボルト34に螺合する雌ねじ部38が形成され、雌ねじ部38より先側の領域は拡径部38aとなっている。
【0024】
このような構成とすることにより、ボルト34を貫通ねじ孔37にねじ込んだ際に、ボルト34の基側を短辺側支持部材35に固定すると共に、ボルト34の先端を短辺12の裏面に当接させることができる。なお、ボルト34の先端が当接する短辺12の当接部は、ボルト34の先端側の球面部36の直径よりも大きな直径を有する球面の一部に一致する曲面を有する凹部としてもよい。なお、使用にあっては、事前に荷重の校正を行う。
【0025】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型33の作用について説明するが、連続鋳造用鋳型33の基本的な作用は、第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10の作用と基本的に同様なので、連続鋳造用鋳型10にはない連続鋳造用鋳型33の特徴的な作用について説明する。
連続鋳造用鋳型33では、ボルト34を短辺側支持部材35の貫通ねじ孔37にねじ込むことにより、ボルト34は、その基側が短辺側支持部材35に固定され、ボルト34の先端が短辺12の裏面に当接する状態にすることができる。このため、短辺12が凝固シェルを押す反作用として、短辺12が凝固シェルから押し返されて短辺12が変形した場合、ボルト34は、ボルト34の先端が当接している短辺12の当接部の変形に追従して変形する。ここで、短辺側支持部材35の各部位における歪みは、短辺12が凝固シェルを押す反作用として、短辺12が凝固シェルから押し返される際に生じる短辺12の各部位の変形に伴って生じるので、検知部21で測定されたボルト34の歪み量から、凝固シェルから短辺12の各部位に負荷された荷重を求めることができる。したがって、短辺間隔調整用シリンダ16aの操作を精緻に行って、荷重センサ20で測定される荷重値を目標荷重値に回復させることができる。
【0026】
図6(A)に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型39は、第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10と比較して、荷重センサ20が短辺側支持部材40ではなくて、短辺間隔調整用シリンダ16aのロッド41に取付けられていることが特徴となっている。このため、荷重センサ20のロッド41への取付けについてのみ説明する。
【0027】
図6(B)に示すように、ロッド41内に、ロッド41の軸に平行で径が1〜3mm程度、長さが10〜30mm程度の収納部42を形成し、収納部42と連通しロッド41の側面に開口する連通路43からこの収納部42内に荷重センサ20の先側の検知部21がその長手方向をロッド41の軸方向となるように装入し、収納部42及び連通路43内を接着剤で充填して荷重センサ20の先側を収納部42及び連通路43内に固定している。これによって、短辺12に発生した応力で短辺12が歪むと、短辺12が固定されている短辺側支持部材40も歪む。そして、短辺側支持部材40が歪むと、短辺側支持部材40からロッド41に加わる力が変化し、ロッド41に生じていた歪も変化する。その結果、ロッド41内に形成した収納部42の形状も変化し、収納部42内を充填している接着剤が歪んで検知部21から短辺側支持部材40の歪みに応じた信号が出力される。ここで、短辺側支持部材40の歪み量は、短辺側支持部材40を歪ませた短辺12の歪み量の影響を受け、短辺12の歪み量は短辺12に発生した応力の影響を受けるので、検知部21で測定されたロッド41の歪み量から、短辺12に加わる荷重を求めることができる。
なお、本発明の第3の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型39の作用は、第1の実施の形態に係る連続鋳造用鋳型10の作用と同様なので、説明は省略する。
【0028】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、第1の実施の形態において、荷重センサを、長辺を固定する長辺側支持部材に取付けることができる。
また、第3の実施の形態において、荷重センサを、短辺間隔調整用シリンダを連続鋳造用鋳型の取付け架台に取付ける際に使用する短辺間隔調整用シリンダの固定部材に取付けてもよい。この場合、荷重センサの検知部の長手方向を短辺間隔調整用シリンダの軸方向に平行にする。
【符号の説明】
【0029】
10:連続鋳造用鋳型、11:長辺、12:短辺、13:長辺側支持部材、14:締結ボルト、15:短辺側支持部材、16:保持機構、16a:短辺間隔調整用シリンダ、17、18:導水溝、19:Oリング、20:荷重センサ、21:検知部、22:リード線、23:ボルト、24:穴、25:貫通ねじ孔、26:短辺側支持部材、27:穴、28:ロッド、30、31:連結受部材、32:ピン、33:連続鋳造用鋳型、34:ボルト、35:短辺側支持部材、36:球面部、37:貫通ねじ孔、38:雌ねじ部、38a:拡径部、39:連続鋳造用鋳型、40:短辺側支持部材、41:ロッド、42:収納部、43:連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された対となる冷却部材と、該各冷却部材の裏面側に配置され、該冷却部材が複数の締結ボルトを介して固定された支持部材と、該支持部材の裏面側に連結し、該支持部材を介して前記冷却部材を保持する保持機構とを有する連続鋳造用鋳型において、
鋳造中に前記冷却部材に発生する応力を検出する荷重センサを、前記支持部材又は前記保持機構に取付けたことを特徴とする連続鋳造用鋳型。
【請求項2】
請求項1記載の連続鋳造用鋳型において、前記冷却部材は、該連続鋳造用鋳型の短辺であって、前記荷重センサは、該短辺を固定する前記支持部材に取付けられていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
【請求項3】
請求項1記載の連続鋳造用鋳型において、前記冷却部材は、該連続鋳造用鋳型の長辺であって、前記荷重センサは、該長辺を固定する前記支持部材に取付けられていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
【請求項4】
請求項1記載の連続鋳造用鋳型において、前記冷却部材は、該連続鋳造用鋳型の短辺であって、前記保持機構は、前記対となる短辺の間隔を調整する短辺間隔調整用シリンダを有し、前記荷重センサは、該短辺間隔調整用シリンダ又は該短辺間隔調整用シリンダの固定部材に取付けたことを特徴とする連続鋳造用鋳型。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−161507(P2011−161507A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30352(P2010−30352)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000176626)三島光産株式会社 (40)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】