説明

遊具

【課題】 親子で一緒に遊べる遊具であって、かつ、子供の成長に合わせて用途を変更可能とすることにより、継続して使用可能な遊具を提供する。
【解決手段】 遊具1は、基本構成として、砂を収容する直方体の容器2と、容器2の上に置かれる多機能板3,4とを備え、砂場の形態と花壇の形態とに切替可能である。容器2は、その内壁の四隅に砂飛散防止壁として機能する多機能板3を鉛直方向に保持する保持片2aと、その底壁に排水口2bとを有し、容器2内部に砂を入れて砂遊びをする。花壇として使用する場合、水きり板として機能する樹脂製多機能板3を容器2の底壁上に敷いて、その上に土を入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、砂場の形態と花壇の形態とに切替可能な遊具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
幼児期の代表的な遊具として砂遊びをする砂場が挙げられる。従来の一般的な砂場としては、公園等に設置されているものや、特開平10−99551号公報(特許文献1)に記載されているような砂場ユニット等がある。
【特許文献1】特開平10−99551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に示したような砂場は、いずれも屋外に設置することを前提としている。したがって、降雨時等には利用することができない。また、近年では、両親が共働きの家庭が増加していることに伴い、日中に親子一緒に砂遊びをする機会が減少している。
【0004】
また、砂場は幼児期の子供によく利用されるが、学童期以上の子供の利用頻度は低く、この傾向は女の子に顕著である。そこで、砂場以外の他の用途としても使用できる遊具であることが望まれる。
【0005】
そこで、この発明は、親子で一緒に遊べる遊具であって、かつ、子供の成長に合わせて用途を変更可能とすることにより、継続して使用可能な遊具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る遊具は、砂場の形態と花壇の形態とに切替可能な遊具であって、砂を収容する容器と、容器上に置かれる多機能板とを備える。そして、砂場の形態においては、容器の側面に多機能板を砂飛散防止壁として配置し、花壇の形態においては、容器の底壁上に多機能板を水きり板として配置する。
【0007】
上記構成のように、砂飛散防止壁を備えた砂場とすることにより、屋内で使用可能な砂場となる。その結果、例えば、降雨時や夜間であっても親子で一緒に砂遊びをすることができる。また、砂場の形態と花壇の形態とに切替可能な遊具とすることにより、子供が成長して砂場として使用しなくなった場合でも、花壇として継続して長期間使用可能な遊具となる。
【0008】
好ましくは、多機能板は透明であるとよい。これにより、子供が一人で砂遊びをしている場合において、親が他の用事をしながら子供の様子を見守ることが可能となり、遊具としての安全性が向上する。
【0009】
好ましくは、遊具は、筒体をさらに備え、砂場の形態においては、筒体は砂遊び用道具として機能し、花壇の形態においては、筒体は花壇用脚として容器の底壁の裏面に配置される。さらに、容器の底壁は排水口を有し、花壇の形態においては、花壇用脚によって容器の底壁の裏面に形成された空間に排水口に連結する排水用タンクを配置する。
【0010】
上記構成とすることにより、花壇として使用する場合においても屋内での使用が可能となる。また、砂場として使用する場合には、筒体を砂遊び用道具として使用可能であるので、構成部品を無駄なく使用することができる。
【0011】
好ましくは、多機能板は、遊具の未使用時に容器の上面を覆う蓋として機能する。これにより、屋内で使用される遊具として収納性および可搬性が向上する。
【0012】
好ましくは、多機能板は通水性を有する。例えば、多機能板は、その表面に複数の微細孔を有するとよい。
【0013】
上記のように、仕切り版は、砂場の形態として使用する場合には砂の飛散を防止し、花壇として使用する場合には通水性を有していることが要求される。そこで、例えば、多機能板表面に砂粒子より小さな微細孔を形成することにより、これらの用途に適した多機能板を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明は、屋内で使用可能とすることにより親子が一緒に遊ぶことができ、かつ、砂場および花壇として使用することができるので、子供の成長に合わせて継続して使用可能な遊具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1〜図4を参照して、この発明の一実施形態に係る遊具1を説明する。
【0016】
遊具1は、基本構成として、砂を収容する直方体の容器2と、容器2の上に置かれる多機能板3,4とを備え、図1および図2に示すように、砂場の形態と花壇の形態とに切替可能である。図1は遊具1の砂場の形態であって、容器2は、その内壁の四隅に砂飛散防止壁として機能する多機能板3を鉛直方向に保持する保持片2aと、その底壁に排水口2bとを有し、容器2内部に砂を入れて砂遊びをする。なお、砂場として使用する場合においては、排水口2bに図3に示すようなキャップ7で蓋をする。
【0017】
また、多機能板3,4は、例えば、容器2の側面に保持片2aによって保持される樹脂製多機能板3と、対向する一対の樹脂製多機能板3と容器2の内壁面にホック4aで固定された透明のビニール製多機能板4である。
【0018】
上記構成のように、砂飛散防止壁を有する砂場とすることによって屋内で使用可能となるので、降雨時や夜間でも親子で一緒に砂遊びをすることができる。さらに、子供を一人で遊ばせる場合でも、ビニール製多機能板4を透明な素材とすることによって、子供の様子を見守ることが可能となり、遊具としての安全性が向上する。なお、上記実施形態では、ビニール製多機能板4のみを透明とする例を示したが、樹脂製多機能板3を透明にしてもよい。
【0019】
次に、図2は、遊具1の花壇の形態であって、水きり板として機能する樹脂製多機能板3を容器2の底壁上に敷いて、その上に土を入れる。なお、樹脂製多機能板3には、土を載せる面を平行に保つための高さ調節用凸部3bが形成されている。
【0020】
また、容器2の底壁の裏面には、花壇用脚として機能する筒体5を受け入れる花壇用脚受け入れ用凹部2cが設けられており、花壇用脚によって容器2の底壁の裏面に形成された空間に水量確認用のフロート6aを備えた排水用タンク6を配置する。排水用タンク6はキャップ7を外した排水口2bに連結される。
【0021】
上記構成のように、排水用タンク6を備えることによって、屋内に載置可能な花壇とすることができる。また、砂場の形態と花壇の形態とに切替可能であるので、子供が成長して砂場として使用しなくなった場合でも、花壇として継続して長期間使用可能な遊具1を得ることができる。
【0022】
なお、排水口2bおよび排水用タンク6は、1箇所に限ることなく複数個所に設けてもよい。また、筒体5は、遊具1を砂場として使用する場合には、砂遊び用道具として使用可能である。
【0023】
次に、図3を参照して、遊具1の未使用時の状態を示す。樹脂製多機能板3は、その一端から保持片2aより低い位置で屈曲可能となっており、屈曲部3aから他端までが容器の幅wの半分の長さとなっている。
【0024】
そして、遊具1の未使用時には、樹脂製多機能板3を保持片2aから屈曲部3aのところまで引き出して容器2の内側に屈曲させることにより、容器2の上面を覆う蓋として機能する。これにより、遊具1の収納性および可搬性が向上するので、さらに屋内で使用する遊具に適した構造となる。
【0025】
また、樹脂製多機能板3は、遊具1を砂場として使用する場合には砂飛散防止壁として砂が容器2の外に飛び出すのを防止する必要がある。一方、花壇として使用する場合には水切り板として通水性が要求される。
【0026】
そこで、多機能板3の通水性を確保するために、図4(a)に示すように、樹脂製多機能板3の表面に砂粒子より小さい微細孔8を形成する。または、樹脂製多機能板3の他の形態として、図4(b)に示すように、枠9の中に複数の斜板10を配置し、隣接する斜板10の間の隙間を小さくする。これにより、砂の飛散を防止して水だけを通すので、上記用途に適した樹脂製多機能板3を得ることができる。
【0027】
なお、上記の実施形態において、多機能板として樹脂製多機能板3とビニール製多機能板4とを用いた例を示したが、これに限ることなく、全てを樹脂製としてもよいし、または、他の材料を使用してもよい。
【0028】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明は、親子が一緒に遊ぶことができ、かつ、継続して使用可能な遊具に有利に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態に係る遊具であって、砂場の形態を示す図である。
【図2】この発明の一実施形態に係る遊具であって、花壇の形態を示す図である。
【図3】この発明の一実施形態に係る遊具であって、未使用状態を示す図である。
【図4】この発明に利用される多機能板の拡大図であって、(a)は表面に微細孔を有する例を、(b)は複数の斜板で構成される例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 遊具、2 容器、2a 保持片、2b 排水口、2c 花壇用脚受け入れ用凹部、3 樹脂製多機能板、3a 屈曲部、3b 高さ調整用凸部、4 ビニール製多機能板、4a ホック、5 筒体、6 排水用タンク、7 フロート、8 微細孔、9 枠、10 斜板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
砂場の形態と花壇の形態とに切替可能な遊具であって、
砂を収容する容器と、前記容器上に置かれる多機能板とを備え、
前記砂場の形態においては、前記容器の側面に前記多機能板を砂飛散防止壁として配置し、
前記花壇の形態においては、前記容器の底壁上に前記多機能板を水きり板として配置する、遊具。
【請求項2】
前記多機能板は、透明である、請求項1に記載の遊具。
【請求項3】
前記遊具は、筒体をさらに備え、
前記砂場の形態においては、前記筒体は砂遊び用道具として機能し、
前記花壇の形態においては、前記筒体は花壇用脚として前記容器の底壁の裏面に配置される、請求項1または2に記載の遊具。
【請求項4】
前記容器の底壁は、排水口を有し、
前記花壇の形態においては、前記花壇用脚によって前記容器の底壁の裏面に形成された空間に前記排水口に連結する排水用タンクを配置する、請求項3に記載の遊具。
【請求項5】
前記多機能板は、前記遊具の未使用時に前記容器の上面を覆う蓋として機能する、請求項1〜4のいずれかに記載の遊具。
【請求項6】
前記多機能板は、通水性を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の遊具。
【請求項7】
前記多機能板は、その表面に複数の微細孔を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の遊具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−325915(P2006−325915A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153517(P2005−153517)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(390006231)アップリカ育児研究会アップリカ▲葛▼西株式会社 (97)
【Fターム(参考)】