説明

遊技システム

【課題】遊技機における勝ち負けという通常の遊技結果以外に付加的な遊技価値を供給可能とすることで、遊技意欲の高い遊技システムを提供することを課題とする。
【解決手段】所定の遊技媒体を用いた遊技を行うためのスロットマシン1と、このスロットマシン1における遊技状態に基づいて、所定のカード払出条件が満たされたか否かを判定するカード払出条件判定部19fと、カード払出条件が満たされたと払出条件判定部19fが判定した場合に、カードを払い出すカード払出装置40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機やその周辺装置を含んで構成されるシステムに関し、新たな付加価値を与える遊技システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機の付加価値を一層高めるための様々なシステムが提案されている。この一環として、記録媒体に各種の情報を記録し、この情報を必要に応じて読取り等する技術が提案されている。例えば、特開平5−177050には、パチンコ機を台間球貸機に通信可能に接続し、この台間球貸機に挿入された磁気カードに、使用可持球数等の遊技情報を記録させることが開示されている(特許文献1参照)。この技術によれば、遊技者は、パチンコ機を代える場合には磁気カードのみを持ち歩けばよく、重い球を持ち歩く必要がないという効果を奏する。
【0003】
【特許文献1】特開平5−177050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のような従来の遊技システムは、遊技機におけるその時点の遊技状態(例えば、使用可持球数)を情報化してカード状の記録媒体に記憶するものであり、他の同種の遊技機(スロットマシンから他のスロットマシンへ、あるいは、パチンコ機から他のパチンコ機へ)に、遊技状態を単にそのまま引き継ぐことを目的とするものに過ぎなかった。従って、遊技の娯楽性を高めることができず、遊技システムの付加価値を向上させることができなかった。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、遊技機における勝ち負けという通常の遊技結果以外に付加的な遊技価値を供給可能とすることで、遊技意欲の高い遊技システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明に係る遊技システムは、例えば、下記のように構成されている。なお、括弧内には、各実施の形態において例示した構成要件の符号を示す。
【0007】
請求項1に記載の遊技システムは、所定の遊技媒体を用いた遊技を行うための遊技手段(10、50)と、前記遊技手段(10、50)における遊技状態に基づいて、所定のカード払出条件が満たされたか否かを判定する払出条件判定手段(19f、73e)と、前記カード払出条件が満たされたと前記払出条件判定手段(19f、73e)が判定した場合に、カードを払い出すカード払出手段(40)とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の遊技システムは、請求項1に記載の遊技システムにおいて、前記遊技手段(10、50)における遊技回数、前記遊技手段(10、50)における遊技時間、前記遊技手段(10、50)に対する前記遊技媒体の投入数、又は、前記遊技手段からの前記遊技媒体の払出数を取得する遊技情報取得手段(19g、73e〜73e)を備え、前記払出条件判定手段(19f、73e)は、前記遊技情報取得手段(19g、73e〜73e)にて取得された前記遊技回数、前記遊技時間、前記投入数、又は、前記払出数に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の遊技システムは、請求項1又は2に記載の遊技システムにおいて、前記払出条件判定手段(19f、73e)は、前記遊技媒体の投入数と前記遊技媒体の払出数との相対関係に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の遊技システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の遊技システムにおいて、金額の投入又は金銭と等価な価値の消費により前記遊技媒体を貸し出す貸出手段(30)を含み、前記払出条件判定手段(19f、73e)は、前記貸出手段(30)において前記遊技媒体の貸し出しのために投入された金額に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の遊技システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技システムにおいて、前記遊技手段(10)は、前記遊技媒体の投入を受け付ける遊技媒体投入手段(11)と、前記遊技媒体投入手段(11)に前記遊技媒体が投入されたことを条件に、遊技開始操作を受け付ける遊技開始操作手段(SW2)と、前記遊技開始操作手段(SW2)において遊技開始操作が行われた場合に、複数種類の識別情報を変動表示可能な識別情報表示手段(リール12a〜12c)と、前記識別情報表示手段(リール12a〜12c)による前記識別情報の変動の停止操作を受け付ける停止操作手段(SW3a〜SW3c)と、前記遊技媒体投入手段(11)に前記遊技媒体が投入されてから、前記停止操作手段(SW3a〜SW3c)における停止操作に基づいて前記識別情報の変動が停止される迄の間において、前記複数種類の識別情報の変動停止時の組合せ態様として、遊技者に利益のある役を構成する組合せ態様を許容するか否かを抽選する役抽選手段(19a)と、前記役抽選手段(19a)による抽選結果と、前記停止操作手段(SW3a〜SW3c)において停止操作が行われたタイミングとに基づいて、前記識別情報の変動を停止制御する停止制御手段(19b)と、前記停止制御手段(19b)にて停止表示された前記識別情報の組合せ態様を判定する停止識別情報判別手段(19c)と、前記停止識別情報判別手段(19c)にて判定された前記識別情報の組合せ態様が、前記役を構成する組合せ態様に合致するか否かを判定する入賞判定手段(19d)と、前記入賞判定手段(19d)の判定結果に応じて、所定の遊技価値を遊技者に与える遊技価値供与手段(19e)とを含み、前記払出条件判定手段(19f)は、前記役抽選手段(19a)による抽選結果、又は、前記停止識別情報判定手段(19c)にて判定された前記識別情報の組合せ態様に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の遊技システムは、請求項5に記載の遊技システムにおいて、前記役には、前記カードを払い出すためのカード払出役を含み、前記払出条件判定手段(19f)は、前記役抽選手段(19a)により前記カード払出役が成立することが許容されたことに基づいて、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、を特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の遊技システムは、請求項6に記載の遊技システムにおいて、前記役には、前記遊技媒体の払い出しを行う小役と、前記小役が入賞した後の遊技状態を、通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行可能な特別役とを含み、前記カード払出役が、前記小役又は前記特別役の一部あるいは全部と兼用されていること、を特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の遊技システムは、請求項6又は7に記載の遊技システムにおいて、前記払出条件判定手段(19f)は、前記カード払出役が特定の有効ラインで入賞した場合に、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、を特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の遊技システムは、請求項5から8のいずれか一項に記載の遊技システムにおいて、前記払出条件判定手段(19f)は、当該遊技結果として前記役抽選手段(19a)による抽選結果に関わらず停止可能な識別情報の組合せの成立を前記カード払出条件として設定したこと、を特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の遊技システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技システムにおいて、前記遊技手段は、遊技盤面(53)に形成された遊技領域(55)に遊技媒体を発射する打球発射手段(69、70)と、前記遊技領域(55)に形成された特定領域(64)に前記遊技媒体が流入したことを検出する遊技媒体検出手段(64a)とを備え、前記払出条件判定手段(73e)は、前記遊技媒体検出手段(64a)により前記遊技媒体が前記特定領域(64)に流入したことが検出された場合に、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、を特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の遊技システムは、請求項10に記載の遊技システムにおいて、前記特定領域(64)は、入賞口(62)に設定されていること、を特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の遊技システムは、請求項11に記載の遊技システムにおいて、前記入賞口は、前記遊技媒体の流入により、遊技状態を通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行可能とする特別入賞口(62)であること、を特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の遊技システムは、請求項10から12のいずれか一項に記載の遊技システムにおいて、前記払出条件判定手段(73e)は、遊技状態が通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行されている場合において、所定の条件が満たされた場合に、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、を特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の遊技システムは、請求項10から13のいずれか一項に記載の遊技システムにおいて、前記特定領域(64)は、入賞口(61、63)と異なる固有の領域として設定されると共に、当該特定領域(64)と前記入賞口(61、63)とが前記遊技媒体の同一流下経路上にないこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の遊技システムによれば、カード払出条件が満たされた場合にはカードが払い出されるので、従来のように遊技媒体のみを払い出す場合と異なり、カードという新規で異質な利益を遊技者に提供でき、遊技システムにおける遊技の娯楽性を高めて、遊技者に新たな付加価値を提供することができる。
【0022】
また、請求項2に記載の遊技システムによれば、カードの払出しを受けるためには、遊技回数、遊技時間、投入数、又は、払出数を一定以上にする必要がある等、遊技者に対して、特に遊技の継続性に関する新規なインセンティブを付与することができ、遊技意欲の向上を図ることができる。
【0023】
また、請求項3に記載の遊技システムによれば、カードの払出しを受けるためには、投入数と払出数との相対関係を一定の関係にする必要がある等(例えば、投入数に対する払出数の比率を一定数以上にする等)、遊技者に対して、特に遊技の勝敗に関連した新規なインセンティブを付与することができ、遊技意欲の向上を図ることができる。
【0024】
また、請求項4に記載の遊技システムによれば、遊技媒体の借入金額が一定金額以上になった場合には、遊技手段での勝敗結果に関わらず、カードの払出しを受けることが可能になる等、遊技媒体とは異なるカードという手段を用いて遊技者に利益を供与することができ、遊技者への利益を従来とは異なる新規な手段にて供与することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の遊技システムによれば、遊技手段としていわゆるスロットマシンを用いた場合に、役抽選手段による抽選結果や、識別情報の組合せ態様に基づいて、カード払出条件が判定される。従って、遊技者に対して、スロットマシンの遊技結果に関連した新たな付加価値を提供でき、スロットマシンの遊技意欲の向上を図ることができる。
【0026】
また、請求項6に記載の遊技システムによれば、カード払い出し役が入賞した場合に、カードの払い出しを受けることができ、従来の遊技媒体の払出しという利益とは異なり、カードという新たな付加価値を利用者に提供できる。
【0027】
また、請求項7に記載の遊技システムによれば、カード払出役が、前記小役又は前記特別役の一部あるいは全部と兼用されているので、カード払出役が入賞した場合には、小役又は特別役により利益も同時に得ることができ、カードという新しい付加価値と、従来の役の当選時の利益とを、同時に提供できる。
【0028】
また、請求項8に記載の遊技システムによれば、小役や特別役の入賞の有無に関わらず、カード払い出し役が有効ラインで入賞した場合にカードの払い出しを受けることができ、カードの払い出しを受けるための役を狙って遊技を行わせる等、遊技者に新たな遊技性を提供できる。
【0029】
また、請求項9に記載の遊技システムによれば、役の当選の有無に関わらず、識別情報の組合せでカードの払出し可否が決定されるので、識別情報が所定の組合せで停止するように遊技手段を操作する等、遊技者に対してその遊技の技巧を競わせる等、遊技性を高めることができる。
【0030】
また、請求項10に記載の遊技システムによれば、特定領域に遊技媒体が流入した場合にカードが払い出されるので、従来の遊技媒体の払出しという利益とは異なり、カードという新たな付加価値を利用者に提供できる。
【0031】
また、請求項11に記載の遊技システムによれば、入賞口に遊技媒体が流入した場合には、従来と同様に遊技媒体を払い出すと共に、カードを払い出すことで、カードという新しい付加価値と、従来の入賞時の利益とを、同時に提供できる。
【0032】
また、請求項12に記載の遊技システムによれば、特別入賞口に遊技媒体が流入した場合には、従来と同様に特別遊技に移行して多くの遊技媒体を払い出すと共に、カードを払い出すことで、カードという新しい付加価値と、従来の特別入賞時の利益とを、同時に提供できる。
【0033】
また、請求項13に記載の遊技システムによれば、通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行されている場合(例えば、入賞後に特別遊技状態に移行して大入賞口が開いている場合)において、所定の条件が満たされた場合(例えば、所定数以上の球が大入賞口に入賞した場合)に、カードが払い出されるので、特別遊技の遊技性を向上できる。
【0034】
また、請求項14に記載の遊技システムによれば、入賞口と特定領域とを異なる位置に配置したので、カード入賞を狙うためには、通常の入賞を狙う場合とは異なる領域に球を打つ必要があり、通常の入賞を狙うことができない無駄球を打つことを誘引できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の好ましい各実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施例では基本例として代表される2例をそれぞれ第1の実施の形態、第2の実施の形態として説明し、これらに付随する変更例を適宜追加説明するが、これら基本形態や変更例に限定されるものではなく適宜設定変更可能である。
【0036】
〔各実施の形態に共通の基本概念〕
まず、各実施の形態に共通の基本概念について説明する。本実施の形態は、カードを払い出す遊技システムに関するものであり、概略的に、遊技を行うための遊技手段と、カード払出条件が満たされたか否かを判定する払出条件判定手段と、カード払出条件が満たされた場合にカードを払い出すカード払出手段とを備えて構成される。なお、各実施の形態では、遊技システム構成として、遊技手段を遊技機及び遊技媒体貸出機により、払出条件判定手段を遊技機により、カード払出手段をカード払出装置によりそれぞれ構成し、これらを適宜通信可能に接続したものを例示して説明し、特に第1の実施の形態では遊技手段としてストッロマシンを採用したものを、第2の実施の形態ではパチンコ機を採用したものを用いて説明する。
【0037】
この遊技システムの特徴の一つは、遊技手段における遊技状態に基づいて、所定のカード払出条件が満たされたか否かを判定し、この判定結果に応じて、カードを払い出す点にある。すなわち、従来のように遊技状態をそのままカードに記録するのではなく、遊技状態に基づいた条件判定の結果に応じてカードを払い出す。そして、この遊技状態と条件判定との組合せを工夫することで、カードの払い出しの有無等を変化させ、遊技の娯楽性を高めて、遊技者に新たな付加価値を提供する。
【0038】
ここで、カードの払い出しの条件判定の基礎になる遊技状態の具体的内容は任意であるが、例えば、遊技手段における遊技回数、遊技手段における遊技時間、遊技手段に対する遊技媒体の投入数、又は、遊技手段からの遊技媒体の払出数を挙げることができる。あるいは、遊技手段がスロットマシンである場合、このスロットマシンに特有の遊技状態に基づいて条件判定を行っても良く、例えば、各種の役の抽選結果と、停止時のリールによって表示された各種の図柄の組合せとに基づいて判定を行うことができる。また、遊技手段がパチンコ機である場合、このパチンコ機に特有の遊技状態に基づいて条件判定を行っても良く、例えば、球が特定の入賞領域に流入したか否かに基づいて判定を行うことができる。
【0039】
〔実施の形態1〕
まず、本発明の実施の形態1の具体的内容について説明する。本実施の形態1は、遊技手段をスロットマシンとした形態である。図1は実施の形態1に係る遊技システムの全体構成を示す構成図である。図示のように、遊技システムは、例えばパチンコホール等の遊技場に設けられるものであって、複数のスロットマシン1、複数のスロットマシン1の各種情報を管理する管理装置20、遊技媒体であるメダルの貸し出しを行うためのメダル貸出装置30、及び、カードの払出しを行うためのカード払出装置40を備えて構成され、これら各装置が必要に応じて電気的に接続されている。
【0040】
(スロットマシン1の構成)
最初に、スロットマシン1の構成について説明する。ただし、特に説明なき構成については、公知のスロットマシンと同様に構成することができるものとする。このスロットマシン1は、遊技媒体としてのメダルを用いた遊技を行うためのもので、特許請求の範囲における遊技手段に対応する。図2は本実施の形態におけるスロットマシンの正面図、図3は本実施の形態におけるスロットマシンのフロントマスクを便宜上取り外して筐体内部を示した正面図(フロントマスクを省略して示す)、図4はスロットマシン1の主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。図2、3に示すように、スロットマシン1は、縦長方形状の裏箱2の前面に、フロントマスク3を、回動自在かつ着脱自在に軸支させて構成されている。
【0041】
図2に示すように、フロントマスク3には、その上方から下方に至る順に、液晶表示器16、遊技メダル投入部11、1枚投入ボタンSW1a、3枚投入ボタンSW1b、スタートレバーSW2、3つの停止ボタンSW3a〜SW3b、ランプ14、スピーカ15、及び、遊技メダル払出部17が設けられている。また、図3に示すように、裏箱2には、リール(回胴)12a〜12cを有するリールユニット12、外部集中端子板18、及び、主制御基板19が設けられている。また、リール12a〜12cの内部には、図4に示すようにモータ13a〜13cが設けられている。これら各部は図4に示すように相互に電気的に接続されている。
【0042】
遊技メダル投入部11は、遊技者によるメダルの投入を受け付ける投入口であり、特許請求の範囲における遊技媒体投入手段に対応する。この遊技メダル投入部11にメダルが投入されると、メダルが図示しない投入センサにて検出され、検出されたメダルの数が賭け数として設定される。
【0043】
1枚投入ボタンSW1a及び3枚投入ボタンSW1bは、遊技者が、スロットマシン1に貯留したメダルのうち、1回の遊技に使用するメダルを擬似的に投入するためのスイッチであり、1枚投入ボタンSW1aを操作することで1枚のメダル、3枚投入ボタンSW1bを操作することで3枚のメダルを擬似的に投入できる。このように擬似的、又は前述したようにメダル投入口から投入されたメダルの数に応じて、当該遊技における有効ラインが特定される。ここで、有効ラインとは、リール12a〜12cの停止時における図柄の並びライン(図柄組合せライン)のうち、役の入賞を判定する上で有効なラインであり、いずれかの役に対応する組合せの図柄がそのラインに停止したときに、その役の入賞となるラインである。
【0044】
スタートレバーSW2は、メダルが投入されたことを条件に遊技開始操作を受け付けるものであって、特許請求の範囲における遊技開始操作手段に対応する。具体的にスタートレバーSW2は、遊技者が操作可能な操作レバー部と、そのレバー部の操作を検出する光学センサ等の検出部とからなり、遊技者がスタートレバーSW2を押し下げ操作することによって、内部の光学スイッチがオンオフし、この信号に基づいて、リール12a〜12cの回転が開始される。
【0045】
停止ボタンSW3a〜SW3cは、リール12a〜12cによる図柄の変動の停止操作を受け付けるもので、特許請求の範囲における停止操作手段に対応する。具体的には、停止ボタンSW3a〜SW3cは、3つのリール12a〜12cに対応して3つ設けられており、遊技者が停止ボタンSW3a〜SW3cを操作することにより、操作された停止ボタンSW3a〜SW3cに対応するリール12a〜12cを停止させるためのストップ信号が主制御基板19に入力され、リール12a〜12cの停止表示制御が行われる。
【0046】
リールユニット12は、特許請求の範囲における識別情報表示手段に対応するもので、左、中、右の3列のリール12a〜12c、これらを独立して駆動可能なモータ13a〜13c、リール12a〜12cが組み付けられたモータを支持可能な基体等からなり、裏箱2の中板に対して着脱可能に取付けられている。
【0047】
リール12a〜12cは、スタートレバーSW2が操作された場合に、識別情報としての複数種類の図柄を回転表示する。このリール12a〜12cは、それぞれ円環状に形成され、その外周面に、図柄を印刷したリールテープが貼付されている。そして、フロントマスク3に設けられたリール表示窓3aからは、各リール12a〜12cの図柄のうち、上下に連続する3図柄が見えるように配置されている。また、リール12a〜12cは3つ並列されているので、リール表示窓3aからは、上下左右に合計9個の図柄が見えることになる。
【0048】
モータ13a〜13cは、リール12a〜12cを回転させる駆動手段であり、モータ13a〜13cの回転軸とリール12a〜12cとが適宜手段により連結固定されている。本実施の形態では、ステッピングモータを採用しており、主制御基板19からの駆動パルス信号に基づいて所定角度ずつ回転駆動可能となっている。なお、リールユニット12には、リールの所定部位に形成された基準位置部を検出する検出スイッチが取り付けられており(図示省略)、センサ部からの信号入力によりモータ13a〜13cの回転位置を識別可能に構成されている。
【0049】
ランプ14は、演出用の表示手段であり、所定の条件を満たしたときに所定のパターンで点灯又は点滅する。スピーカ15は、遊技中に各種の演出を行う音響出力手段であり、所定の条件を満たしたときに所定の音響を出力する。液晶表示器16は、各種の演出画像や所定の遊技情報等を表示する表示手段である。遊技メダル払出部17は、メダルの払出しを行うもので、例えば、メダルを収容するメダルホッパーと、入賞した役に対応した数のメダルを計数して払い出すメダル払出機構とを備える。
【0050】
外部集中端子板18は、当該スロットマシン1とカード払出装置40及び管理装置20との間の入出力を行うための通信インターフェースであり、例えば、通信ケーブルを接続するための接続端子と、通信制御を行うための図示しない通信制御部とを備えて構成されている。
【0051】
主制御基板19は、スロットマシン1の遊技処理全体を統括制御する制御手段であり、役の抽選、リール12a〜12cの駆動制御、及び入賞時の払出し等の遊技の進行等を制御する。具体的には、この主制御基板19には、演算等を行うCPU(Central Processing Unit)、遊技の進行等に必要なプログラムや演出用のデータ等を記憶しておくROM(Read Only Memory)、CPUが各種の制御を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM(Random Access Memory)等が実装されている。
【0052】
この主制御基板19は、機能概念的に、役抽選部19a、リール制御部19b、停止図柄判別部19c、入賞判定部19d、入賞処理部19e、カード払出条件判定部19f、遊技情報取得部19g、役抽選テーブル19h、役図柄テーブル19i、停止制御テーブル19j、遊技情報格納部19k、及び、払出管理情報格納部19mを備える。
【0053】
このうち、役抽選部19aは、遊技メダル投入部11にメダルが投入されてから、停止ボタンSW3a〜SW3cにおける停止操作に基づいてリール12a〜12cの図柄の変動が停止される迄の間において、変動が停止された状態の複数種類の図柄の組合せ態様として、遊技者に利益のある役を構成する組合せ態様を許容するか否かを抽選するもので、特許請求の範囲における役抽選手段に対応する。この役抽選部19aは、例えば、所定の領域(例えば10進法で0〜65535)の乱数を発生させる乱数発生部と、この乱数発生部が発生させた乱数を所定タイミング(例えば、遊技者によりスタートレバーSW2が操作された時)に抽出する乱数抽出部と、乱数抽出部が抽出した乱数値を役抽選テーブル19hと照合することにより、役の当選の有無及び当選役を判定する判定部とを備える。
【0054】
ここでは、役としては、小役、特別役、及び、カード払い出し役が設定されている。小役とは、予め定められた枚数のメダルが払い出される役である。特別役とは、通常遊技以上にメダルの獲得が期待できる遊技(以下、役物遊技と称する)が行える役であり、レギュラーボーナス(以下、RBと称する)とビックボーナス(以下、BBと称する)とがある。RBは、所定回数(例えば12回)の遊技又は所定回数(例えば8回)の入賞が得られるまで役物遊技が行える役であり、この役物遊技中には、当該役物遊技中にのみ有効な図柄の組合せが高確率で入賞する。BBは、RB入賞確率が向上した役物遊技が行える役である。例えば、BBでは、最大3セットのRBを、最大30回の小役ゲームの間に獲得する権利を発生させる。これら小役又は特別役は、いずれもメダルの払い出しを直接あるいは間接的に許容するための役であり、特許請求の範囲における第1の役に対応する。なお、ここでいう間接的に許容する役とは、当該遊技結果としてはメダルの払い出しがないものの、役の成立により以降の遊技が通常の遊技と比べて格段に有利な状態となることで、結果的に次遊技や次遊技以降の所定遊技区間に多くのメダルを払い出すものをいう。一方、カード払い出し役とは、メダルの払い出しではなく、カードの払い出しを許容するための役であり、特許請求の範囲における第2の役に対応する。これら各種の役は、1つの役のみが当選したり、複数の役が所定の組合せで同時に当選することがあり、本実施の形態では、カード払出役は、単独で設定されると共に、小役やBBと兼用される。
【0055】
また、リール制御部19bは、役抽選部19aによる抽選結果と、停止ボタンSW3a〜SW3cにおいて停止操作が行われたタイミングとに基づいて、リール12a〜12cの図柄の変動を停止制御するもので、特許請求の範囲における停止制御手段に対応する。このリール制御部19bは、機能概念的に、回転制御部19bと停止制御部19bとを備える。回転制御部19bは、遊技者がスタートレバーSW2を操作した場合に、モータ13a〜13cを駆動制御して、リール12a〜12cを所定回転速度で回転させる。停止制御部19bは、役抽選部19aが役の入賞を決定し、遊技者が停止ボタンSW3a〜SW3cを操作した場合に、停止制御テーブル19jを参照し、その時点のリール12a〜12c位置から所定範囲内に入賞絵柄がある場合にのみ、モータ13a〜13cを駆動制御して、リール12a〜12cの引き込み停止制御を行ない、入賞絵柄が有効ライン上に止まるようにリール12a〜12cを停止させる。一方、所定範囲内に入賞絵柄がない場合、停止制御部19bは、他の入賞絵柄が有効ライン上に止まらないようにリール12a〜12cを停止させる。
【0056】
また、停止図柄判別部19cは、停止制御部19bにて停止制御されたリール12a〜12cの図柄の組合せ態様を判定するもので、特許請求の範囲における停止識別情報判別手段に対応する。具体的には、停止図柄判別部19cは、モータ13a〜13cの停止時の角度を検出し、あるいは、モータ13a〜13cがステッピングモータである場合にはその回転ステップ数等を検知することにより、有効ライン上の図柄を判別する。
【0057】
また、入賞判定部19dは、停止図柄判別部19cにて判定された組合せ態様が、入賞役を構成する組合せ態様に合致するか否かを判定するもので、特許請求の範囲における入賞判定手段に対応する。例えば、入賞判定部19dは、役抽選部19aによって抽選された役と、停止図柄判別部19cによって判定された図柄とに基づいて、後述する役図柄テーブル19iを参照することにより、役と図柄の組合せとの一致有無を判定する。
【0058】
また、入賞処理部19eは、入賞判定部19dの判定結果に応じて、所定の遊技価値を遊技者に与えるもので、特許請求の範囲における遊技価値供与手段に対応する。具体的には、入賞処理部19eは、有効ラインに停止した図柄の組合せがいずれかの役に対応する図柄の組合せと一致することが入賞判定部19dにより判別された場合(その役の入賞となった場合)に、その入賞役に応じて、遊技者に利益になる所定の処理(例えば、所定枚数のメダルを遊技者に対して払い出すか、又は、メダルのクレジットの加算等)を行う。
【0059】
また、カード払出条件判定部19fは、スロットマシン1における遊技状態に基づいて、所定のカード払出条件が満たされたか否かを判定するもので、特許請求の範囲における払出条件判定手段に対応する。例えば、カード払出条件判定部19fは、スロットマシン1の遊技が終了する毎(リール12a〜12cが停止する毎)に、カード払出条件が満たされたか否かを判定する。そして、満たされたと判定した場合、カード払出条件判定部19fは、さらにカード払出しが許可されているか否かを、払出管理情報格納部19mに記憶されている払出管理情報を参照することにより判定する。そして、カード払出しが許可されている場合には、カード払出を要求する旨のカード払出要求信号をカード払出装置40に出力する。そして、このカード払出要求信号を受信したカード払出装置40において、遊技者に対するカードの払出しが行われる。
【0060】
また、遊技情報取得部19gは、遊技情報を取得するためのもので、特許請求の範囲における遊技情報取得手段に対応する。ここで、遊技情報取得部19gが取得する遊技情報としては、スロットマシン1における各遊技者の遊技回数、スロットマシン1における各遊技者の遊技時間、スロットマシン1に対するメダルの投入数、スロットマシン1からのメダルの払出数、遊技者がメダル借り入れのためにメダル貸出装置30に投入した借入金額、及び、役入賞の旨を示すフラグ情報がある。遊技情報取得部19gは、これらの遊技情報を取得して、遊技情報格納部19kに、カウンタカウンタやフラグ情報として記憶させる。
【0061】
また、役抽選テーブル19hは、乱数値に対応する役を定めるための情報を格納したテーブルであり、例えば、乱数発生部にて発生され得る範囲の乱数値を各役に対応する領域に区分して構成される乱数値グループと、各乱数値グループに対応する役を特定するための役識別情報とを相互に関連付けて構成される。
【0062】
また、役図柄テーブル19iは、各役に対応する図柄の組合せを定めるための情報を格納したテーブルであり、例えば、役を特定するための役識別情報と、役識別情報によって特定される役に対応する図柄の組合せを特定するための図柄特定情報とを相互に関連付けて構成される。この役図柄テーブル19iの構成例を図5に示す(ここでは説明のために、各役の内容を関連付けて示す)。図示のように、「赤7」の図柄が3つ揃った場合にはBB、「青7」の図柄が3つ揃った場合にはカード払出役(カードの払い出しの他、BBを兼ねる役)、「BAR」の図柄が3つ揃った場合にはRB、「ベル」の図柄が3つ揃った場合には小役(メダルの払い出し数=15枚)、「ベル」「ベル」「BAR」の順で図柄が揃った場合にはカード払出役(カードの払い出しの他、小役(メダルの払い出し数=15枚)を兼ねる役)、「チェリー」の図柄が一つ出た場合には小役(メダルの払い出し数=2枚)、「ベル」「チェリー」「BAR」の順で図柄が揃った場合にはカード払い出し役(カード払い出しのみの役)、がそれぞれ当選になる。
【0063】
また、停止制御テーブル19jは、役抽選部19aによる役の抽選結果と、停止ボタンSW3a〜SW3cが操作された瞬間のリール12a〜12cの位置とから、リール12a〜12cの図柄の停止位置を定めるための情報を格納したテーブルであり、例えば、役を特定するための役識別情報と、停止ボタンSW3a〜SW3cが操作された瞬間のリール12a〜12cの位置を示すリール位置情報と、これら役識別情報及びリール位置情報に対応するリール12a〜12cの図柄の停止位置を示す停止制御情報とを相互に関連付けて構成される。遊技情報格納部19kは、カード払出条件が満たされたか否かを判定するための基準になる各種の遊技情報を記憶するための遊技情報格納手段である。払出管理情報格納部19mは、カード払出しを許可するか否かを示すための払出管理情報を記憶するための払出管理情報格納手段である。
【0064】
(管理装置20の構成)
次に、管理装置20の構成について説明する。ただし、特に説明なき構成については、スロットマシン1管理用の公知の管理装置20と同様に構成することができるものとする。この管理装置20は、カードの払出し可否を制御するカード払出制御手段である。図6は、管理装置20の要部の構成を機能概念的に示すブロック図である。管理装置20は、実質的には公知のコンピュータサーバ装置と略同様に構成することができ、記憶部21、端子板22、及び、制御基板23を備えて構成されている。
【0065】
このうち、記憶部21は、制御基板23が各種の制御を行うためのプログラム等を不揮発的に記憶すると共に、制御基板23が制御を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておく記憶手段であり、例えば、RAM(Random Access Memory)やHD(Hard Disk)等を備える。端子板22は、当該管理装置20とスロットマシン1との間の入出力を行うための通信インターフェースであり、例えば、通信ケーブルを接続するための図示しない接続端子と、通信制御を行うための図示しない通信制御部とを備えて構成されている。
【0066】
また、制御基板23は、各スロットマシン1における遊技回数の累計処理等、各種の管理用の処理を制御する制御手段である。具体的には、この制御基板23には、演算等を行うCPU(Central Processing Unit)、管理用プログラム等を記憶しておくROM(Read Only Memory)、CPUが各種の処理を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM(Random Access Memory)等が実装されている。この制御基板23は、機能概念的に、払出管理情報処理部23aを備えて構成されている。この払出管理情報処理部23aは、カード払出装置40におけるカード払出を統括的に管理するための払出管理情報処理手段である。この払出管理情報処理部23aは、管理者による所定の手動操作に基づいて、あるいは、所定プログラムによる自動処理によって、払出管理情報をスロットマシン1に送信することにより、カード払出装置40におけるカードの払出し可否を制御する。
【0067】
(メダル貸出装置30の構成)
次に、メダル貸出装置30の構成について説明する。ただし、特に説明なき構成については、公知のメダル貸出装置と同様に構成することができるものとする。このメダル貸出装置30は、メダルの貸出を行うもので、特許請求の範囲における貸出手段に対応する。図7は、メダル貸出装置30の要部の構成を機能概念的に示すブロック図である。メダル貸出装置30は、現金投入部31、遊技メダル払出部32、記憶部33、端子板34、及び、制御基板35を備えて構成されている。
【0068】
このうち、現金投入部31は、メダルの貸出しを受けるために遊技者が投入した現金(紙幣等)を受け付けるもので、例えば、紙幣の挿入を検出する紙幣検出部と、紙幣検出部にて紙幣の挿入が検出された場合にこの紙幣をメダル貸出装置30の内部に搬送する紙幣搬送コンベアと、この紙幣搬送コンベアにて搬送された紙幣の種別及び偽造有無を識別する紙幣識別部とを備える。
【0069】
また、遊技メダル払出部32は、メダルの払出しを行うもので、例えば、図示しないメダル供給ラインからのメダルの供給を受け入れる図示しないメダル受入れ部と、現金投入部31の紙幣識別部にて識別された紙幣の種別(金額)に応じた数のメダルを計数して払い出す図示しないメダル払出機構とを備える。
【0070】
また、記憶部33は、制御基板35が各種の制御を行うためのプログラム等を不揮発的に記憶すると共に、制御基板35が制御を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておく記憶手段であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等を備える。端子板34は、当該メダル貸出装置30とスロットマシン1との間の入出力を行うための通信インターフェースであり、例えば、通信ケーブルを接続するための図示しない接続端子と、通信制御を行うための図示しない通信制御部とを備えて構成されている。
【0071】
また、制御基板35は、メダル貸出に関する各種の処理を制御する制御手段である。具体的には、この制御基板35には、演算等を行うCPU(Central Processing Unit)、メダル貸出用プログラム等を記憶しておくROM(Read Only Memory)、CPUが各種の処理を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM(Random Access Memory)等が実装されている。この制御基板35には、機能概念的に、メダル貸出処理部35aと、借入金額情報処理部35bとが設けられている。このうち、メダル貸出処理部35aは、メダル貸出に関する制御を行うメダル貸出処理手段である。また、借入金額情報処理部35bは、メダルの貸し出しが行われる毎に、この貸出しのために当該メダル貸出装置30に投入された金額を特定するための借入金額情報を、スロットマシン1に送信する借入金額情報処理手段である。なお、この借入金額情報は、メダル貸出装置30から管理コンピュータ20を経由してスロットマシン1に送信するようにしてもよい。
【0072】
(カード払出装置40の構成)
次に、カード払出装置40の構成について説明する。このカード払出装置40は、カード払出条件が満たされたとスロットマシン1のカード払出条件判定部19fが判定した場合に、カードを払い出すもので、特許請求の範囲におけるカード払出手段に対応する。図8は、カード払出装置40の要部の構成を機能概念的に示すブロック図である。カード払出装置40は、カード収容部41、カード払出機構42、端子板43、記憶部44、及び、制御基板45を備えて構成されている。
【0073】
図9には、払い出し待機状態におけるカード払出装置40の要部の側面図、図10には、払い出し状態におけるカード払出装置40の要部の側面図を示す。カード収容部41は、予め印刷された複数のカードを払出自在に収容するカード収容手段であり、複数のカードCを重畳状にストックするカードストッカー41aを備える。このカードストッカー41aには、開閉自在の収容口41bが形成されており、この収容口41bを介してカードCを収容できる。カード払出機構42は、カードストッカー41aに収容された複数のカードCから、1枚のカードCを取り出してカード払出装置40の外部に排出するカード排出手段である。このカード払出機構42は、例えば、カードストッカー41aに収容されたカードCを1枚ずつ取り出すための一対のスプロケット42aと、このスプロケット42aによって取り出されたカードCを受け取るトレイ42bと、このトレイ42bを駆動するソレノイド42cと、トレイ42bからカードCを外部に払い出すためのローラー42dとを備える。
【0074】
そして、スプロケット42cが図示矢印方向に回転すると、その周面に形成された歯部によってカードストッカー41aからカードCが1枚だけ取り出され、その下方のトレイ42bに落下する。このトレイ42bは、図9に示すように、払い出し待機状態においては、バネ42eの付勢力によってカードストッカー41aの下部に位置するように配置されており、トレイ42bにカードCが落下すると、ソレノイド42cが駆動してトレイ42bをローラー42dの下方に押し出す。このローラ42dは、図示矢印方向に回転し、トレイ42bの上のカードCをカード払い出し口42fから排出する。これにより、カードCの払い出しが行なわれる。
【0075】
再び図8において、端子板43は、当該カード払出装置40とスロットマシン1との間の入出力を行うための通信インターフェースであり、例えば、通信ケーブルを接続するための接続端子と、通信制御を行うための通信制御部とを備えて構成されている。記憶部44は、制御基板45が各種の制御を行うためのカード払出プログラム等を不揮発的に記憶すると共に、制御基板45が制御を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておく記憶手段であり、例えば、RAM(Random Access Memory)等を備える。
【0076】
制御基板45は、カード払出条件に関する判定や、カードの払出し処理等を行う制御手段である。具体的には、この制御基板45には、演算等を行うCPU(Central Processing Unit)、管理用プログラム等を記憶しておくROM(Read Only Memory)、CPUが各種の処理を行うときに取り込んだデータ等を一時的に記憶しておくRAM(Random Access Memory)等が実装されている。この制御基板45は、機能概念的に、カード払出制御部45aを備える。このカード払出制御部45aは、スロットマシン1からカード払出要求信号が出力された場合に、カード払出機構42を制御して、カードの払出しを実行させるカード払出制御手段である。
【0077】
(カードの内容)
次に、本実施の形態におけるカード払出装置40から払い出されるカードについて説明する。このカードとしては、例えば、昆虫の仮想的な対戦に興じるための遊技(以下、昆虫対戦遊技)に使用可能なカードを払い出す。この昆虫対戦用カードには、昆虫の図柄が印刷されており、さらに、この昆虫の種類を特定するための昆虫種別情報や、この昆虫が他の昆虫と仮想的に戦うために繰り出すことができる技を特定するための技情報が、コンピュータ読取り可能に記憶されている。このようなカードの払出しを受けた後、遊技者自身や遊技者の子供等が、昆虫の仮想的な格闘に興じるための所定の遊技手段(以下、昆虫対戦遊技機)にこの昆虫対戦用カードを挿入する。すると、このカードに記憶された昆虫種別情報や技情報が昆虫対戦遊技機によって読取られ、これらの情報を用いた遊技が可能になる。
【0078】
(処理内容)
次に、このように構成された遊技システムにおいて行われる処理の内容について説明する。スロットマシン1における処理のフローチャートを図11、12に示す。まず、図11に示すように、スロットマシン1の主制御基板19は、遊技メダル投入部11にメダルが投入されたか否かを監視する(ステップSA−1)。ここで、所定時間経過してもメダルが投入されない場合(ステップSA−2、Yes)、遊技情報取得部19gは、それ迄に当該スロットマシン1において遊技していた遊技者が他の遊技者に入れ代わったか、あるいは、遊技者が遊技を終了したものと判定して、遊技情報格納部19kに格納されている遊技情報をクリアする(ステップSA−3)。
【0079】
このように遊技情報をクリアした後、遊技情報取得部19gは、遊技情報の1つである遊技時間の計測を再開する(ステップSA−4)。このことにより、遊技情報が再びクリアされる迄の時間が遊技時間として計測される。また、遊技者がメダル貸出装置30に紙幣を投入してメダルの貸出しを受ける毎に、メダル貸出装置30のメダル貸出処理部35aは、現金投入部31の紙幣識別手段にて識別された借入金額を特定する借入金額情報を、端子板34を介してスロットマシン1に送信する。この借入金額情報がスロットマシン1において外部集中端子板18を介して受信されると、遊技情報取得部19gは、この借入金額情報を遊技情報格納部19kに記憶させる。
【0080】
一方、ステップSA−1においてメダルが投入されたと判別した場合には、主制御基板19は、スタートレバーSW2が操作されたか否かを監視する(ステップSA−5)。そして、操作された場合、スタート信号が主制御基板19に入力される。主制御基板19は、このスタート信号を受信すると、投入されたメダル枚数に応じた数の有効ラインを所定方法で確定すると共に、回転制御部19bに制御信号を出力し、全てのモータ13a〜13cを駆動制御させて、全てのリール12a〜12cを回転させる。このようにしてリール12a〜12cがモータ13a〜13cによって回転されることで、リール12a〜12c上の図柄は、所定の速度でリール表示窓内で上下方向に回転表示される。また、このようにスタートレバーSW2が操作されると、遊技情報取得部19gは、遊技情報格納部19kの遊技情報を更新する。すなわち、遊技情報取得部19gは、遊技回数を1つ加算すると共に(ステップSA−6)、投入されたメダル枚数だけ投入数を加算する(ステップSA−7)。また、役抽選部19aは、役の抽選を行う(ステップSA−8)。
【0081】
その後、停止ボタンSW3a〜SW3cが操作されると、ストップ信号が主制御基板19に入力される。一方、停止制御部19bは、停止ボタンSW3a〜SW3cが操作されたか否かを監視し(ステップSA−9)、このストップ信号を受信すると、その時点のリール位置から所定範囲内に入賞絵柄があるか否かを判定する(ステップSA−10)。そして、入賞絵柄が所定範囲内にある場合(ステップSA−10、Yes)、停止制御部19bは、モータ13a〜13cを駆動制御して、リール12a〜12cの引き込み停止制御を行わせ、入賞絵柄が有効ライン上に止まるようにリール12a〜12cを停止させる(ステップSA−11)。一方、入賞絵柄が所定範囲内にない場合(ステップSA−10、No)、停止制御部19bは、入賞絵柄が有効ライン上に止まらないようにリール12a〜12cを停止させる(ステップSA−12)。そして、停止制御部19bは、3つのリール12a〜12cの全てが停止制御されたか否かを判定し(ステップSA−13)、停止制御されていないリール12a〜12cがある場合には(ステップSA−13、No)、このリール12a〜12cについてステップSA−9〜SA−13までの処理を同様に行う。
【0082】
そして、全てのリール12a〜12cが停止制御された場合(ステップSA−13、Yes)、図12に示すように、入賞判定が行われる(ステップSA−14)。すなわち、停止図柄判別部19cは、有効ラインに停止した図柄を判別し、入賞判定部19dは、停止図柄判別部19cの判別結果に基づいて、役抽選部19aにて抽選された役が入賞したか否か(抽選された役に対応する図柄の組合せが有効ラインに停止したか否か)を判別する。例えば、有効ラインに「青7」の図柄が3つ揃った場合にはカード払い出し役が入賞したものと判定する。そして、役が入賞したと判別した場合、入賞処理部19eは、遊技メダル払出部17を制御して、入賞した役に応じた数のメダルを払い出させる(ステップSA−15)。また、入賞処理部19eは、入賞した役にRB又はBBが含まれる場合には、各々の役に応じた特別遊技に移行する。ただし、このような特別遊技の具体的内容は従来と同様に行なうことができるので、その説明及び図示を省略する。
【0083】
また、このようにメダルを払い出す毎に、遊技情報取得部19gは、遊技情報格納部19kの遊技情報を更新する。すなわち、遊技情報取得部19gは、遊技情報格納部19kの払出数を、ステップSA−17において払い出されたメダルの数だけ加算する(ステップSA−16)。さらに入賞処理部19eは、入賞した役にカード払い出し役が含まれる場合には、その旨を示すフラグ情報を遊技情報格納部19kに格納させる(ステップSA−17)。
【0084】
その後、カード払出条件判定部19fは、その時点において遊技情報格納部19kに記憶されている遊技情報に基づいて、所定のカード払出条件が満たされたか否かを判定する(ステップSA−18)。すなわち、カード払出条件判定部19fは、遊技回数が所定回数(例えば300回)を超えている場合、遊技時間が所定時間(例えば3時間)を超えている場合、投入数が所定枚数(例えば5千枚)を超えている場合、又は、払出数が所定枚数(例えば5千枚)を超えている場合、カード払出条件が満たされたものと判定する。
【0085】
また、カード払出条件判定部19fは、メダルの投入数と払出数との相対関係に基づいて、カード払出条件が満たされたか否かを判定する。具体的には、カード払出条件判定部19fは、遊技情報格納部19kに記憶されている投入数及び払出数に基づいて、投入数に対する払出数の比率を算定し(比率=(払出数/投入数))、この比率が所定比率(例えば2倍)を超えている場合に、カード払出条件が満たされたものと判定する。
【0086】
また、カード払出条件判定部19fは、メダルの借入金額に基づいて、カード払出条件が満たされたか否かを判定する。具体的には、カード払出条件判定部19fは、遊技情報格納部19kに記憶されている借入金額情報に基づいて、その時点における借入金額の累計を算定し、この借入金額の累計が所定金額(例えば3万円)を超えている場合に、カード払出条件が満たされたものと判定する。
【0087】
さらに、カード払出条件判定部19fは、役抽選部19aによる抽選結果及び停止図柄特定部にて特定された停止態様に基づいて、カード払出条件が満たされたか否かを判定する。具体的には、カード払出条件判定部19fは、カード払い出し役が入賞した旨を示すフラグ情報が遊技情報格納部19kに記憶されている場合に、カード払出条件が満たされたものと判定する。
【0088】
カード払出条件判定部19fは、これら複数のカード払出条件を個別的に判定し、1つでもカード払出条件が満たされている場合、管理装置20によるカード払出し許可を確認する(ステップSA−19)。すなわち、管理装置20からスロットマシン1に対して、任意のタイミングで、カード払出し可否を示す払出管理信号が送信され、この払出管理信号を受信したスロットマシン1の主制御基板19は、この払出管理信号に基づいて、カード払出し可否を示すフラグ情報を払出管理情報格納部19mに記憶させる。そして、カード払出条件判定部19fは、この払出管理情報格納部19mのフラグ情報をステップSA−21において参照することで、管理装置20によってカード払出しが許可されているか否かを確認する。そして、カード払出しが許可されていない場合(ステップSA−19、No)、カード払出条件判定部19fは、カード払出しを行うことなく、再び図11のステップSA−1に戻る。一方、カード払出しが許可されている場合(ステップSA−19、Yes)、カード払出条件判定部19fは、カードを払い出すべく、所定のカード払出要求信号を外部集中端子板18を介してカード払出装置40に送信する(ステップSA−20)。これにてスロットマシン1においては、1サイクル分の処理が終了し、再び図11のステップSA−1に戻る。
【0089】
一方、カード払出要求信号を受信したカード払出装置40においては、カードの払出しが行われる。このカード払出装置40における処理のフローチャートを図13に示す。カード払出装置40のカード払出制御部45aは、スロットマシン1からのカード払出要求信号の受信有無を監視しており(ステップSB−1)、このカード払出要求信号を端子板43を介して受信した場合には、図9、10のカード払出機構42を駆動制御して、カードを1枚払い出す(ステップSB−2)。これにてカード払出装置40においては、1サイクル分の処理が終了し、再びステップSB−1に戻る。
【0090】
(実施の形態1の効果)
以上のように、本実施の形態によれば、遊技の結果により遊技上の有利度合いを変化したり遊技媒体を払い出すというスロットマシン本来の遊技の他に、遊技に応じて生じる様々な遊技変化を識別して、本来特典のない遊技結果や特典のある遊技結果と関連させて、カードという遊技媒体と異なる特典を付与することにより、出球率による射幸性の向上を抑止しつつ遊技意欲の向上を図ることができる。
【0091】
特に、払い出しを伴わないカード払出役という新たな役を構成することで、出球率自体になんら影響を与えずに新規の役を現出でき、今までのスロットマシンと別異の遊技性を提供することが可能となる。
【0092】
更に、当該役を遊技者の技量で成立させるように、即ち役当選を伴わずに、あるいは、役当選の結果に加えて、成立したラインを特定して払出条件の一部を構成すれば、現行のスロットマシンで欠落しがちな技量による遊技格差を出球率と無関係に構成することが可能となる。
【0093】
更にまた、払い出すカードとして他のカードを用いた遊技機に利用できる構成となっているため、同一遊技場や同種の遊技という枠を超えて広い範囲において継続的に楽しむことができ、更にカードの種類を増加させることにより、排出されるカードの収集という別個の楽しみを提供することも可能となる。
【0094】
〔実施の形態2〕
次に、本発明の実施の形態2の具体的内容について説明する。本実施の形態2は、遊技手段をパチンコ機とした形態である。ただし、本実施の形態2における構成要素の一部においては、実施の形態1の説明における「スロットマシン」を「パチンコ機」に読み替えると共に「メダル」を「球(又は、入賞球、景品球、若しくは、保留球)」に読み替えたものと略同様であるので、以下では、同様の機能を有する装置や構成要素については実施の形態1で使用したものと同一の名称及び符号を用いるものとし、特記する場合を除いて、その説明及び図示を省略する。この遊技システムは、複数のパチンコ機50、複数のパチンコ機50を統括的に管理する管理装置20、球の貸し出しを行うための球貸出装置30、及び、カードの払出しを行うためのカード払出装置40、を備えて構成されている。
【0095】
(パチンコ機50の構成)
まず、パチンコ機50の構成について説明する。ただし、特に説明なき構成については、公知のパチンコ機と同様に構成することができるものとする。このパチンコ機50は、所定の遊技媒体(以下、球、入賞球、景品球、又は、保留球と称する)を用いた遊技を行うためのもので、特許請求の範囲における遊技手段に対応する。ここでは、パチンコ機50として、いわゆる第1種(デジタル)のパチンコ機を想定しているが、他のパチンコ機においても本発明を同様に適用することができる。
【0096】
図14は本実施の形態に係るパチンコ機50の正面図、図15は本実施の形態に係るパチンコ機50の電気的構成を中心とする要部を機能概念的に示すブロック図である。図示のように、パチンコ機50は、縦長方形状の外枠51の前面に、前枠52が回動可能に軸止されて構成され、該前枠52の所要収容部に弾球遊技を展開可能な遊技盤53が着脱可能に収容保持されている。また遊技盤53の前面にはガラス等の透明板を保持可能なガラス枠54が遊技盤53の遊技領域(詳細は後述)55を透視可能な状態で前枠52に対して開閉可能に保持されており、常には図14に示すように前枠52及びガラス枠54がそれぞれ閉鎖した状態で使用されるようになっている。
【0097】
遊技盤53には、内外レール56により区別された遊技領域55が形成されており、この遊技領域55には、図柄を表示可能な図柄表示装置60、図柄の変動を開始する条件となっているとともに打球の流入毎に所定個数(例えば3個)の賞球を払い出す条件の始動入賞口61、図柄表示装置60に停止表示された図柄が特定の当たり図柄の場合に開放し、打球の流入毎に始動入賞口61より多くの個数(例えば15個)の球を払い出す条件の大入賞口62、打球の流入により所定数(例えば10個)の球を払い出す条件の一般入賞口63、詳細は後述するがカード払出条件として設定されたカード払出領域(カード入賞口)64、打球の流下方向に変化を与える遊技釘(不図示)、いずれの入賞口にも入賞しなかった場合に打球を回収するアウト口65などが設けられている。
【0098】
ここで、カード払出領域64は、始動入賞口61や一般入賞口63とは異なる固有の領域として設定されている。すなわち、カード払出領域64をこれら始動入賞口61や一般入賞口63に兼用化させることもできるが、ここでは、カード払出領域64がカード払い出し専用の領域として形成されている。一方、大入賞口62は、カード払出領域64と兼用化されており、大入賞口62に入賞した球の数に応じてカードの払出しが行なわれる。このように、カード払出領域64は、入賞口と個別的に設定してもよく、あるいは、入賞口に設定することもできる。なお、本実施の形態中の始動入賞口61、大入賞口62、一般入賞口63が特許請求の範囲における入賞口に対応し、カード払出領域64が、特許請求の範囲でいう特定領域にそれぞれ対応する。また、大入賞口62は、特許請求の範囲における特別入賞口に対応する。これら始動入賞口61、大入賞口62、一般入賞口63、又は、カード払出領域64を通過した球は、それぞれ入賞検出装置61a〜64aにて検出される。
【0099】
ここで、図14に示すように、仮想的な区画線を用いて遊技領域55を相互に重複しないエリアA1〜A3に区画する。エリアA1は、遊技領域55内を落下した球が一般入賞口63に入賞し得る流下経路、エリアA2は、遊技領域55内を落下した球がカード払出領域64を通過し得る流下経路、エリアA3は、遊技領域55内を落下した球が始動入賞口61又は大入賞口62を通過し得る流下経路である。このように、特定領域55は、始動入賞口61、大入賞口62、あるいは、一般入賞口63とは異なる流下経路上に配置されており、始動入賞口61、大入賞口62、あるいは、一般入賞口63に向って流下した球が、これら始動入賞口61、大入賞口62、あるいは、一般入賞口63に入賞し損ねた場合においても、特定領域55を通過し難くなっている。特に、カード払出領域64の下方には、カード払出領域64を通過した球を図示右下方向に導くための球ガイド64bが設けられており、カード払出領域64を通過した球が大入賞口62に入賞することが一層確実に防止されている。このため、カード入賞を狙うためには、通常の入賞を狙う場合とは異なる領域に球を打つ必要があり、通常の入賞を狙うことができない無駄球を打つことを誘引できる。なお、この目的を達成するためには、始動入賞口61、大入賞口62、あるいは、一般入賞口63を狙って発射された球が、特定領域55を通過しないか、あるいは、少なくも極めて通過し難い位置に、特定領域55を配置すればよく、例えば、遊技領域55の左側に始動入賞口61、大入賞口62、及び、一般入賞口63を集中的に配置すると共に、遊技領域55の右側に特定領域55を配置してもよい。
【0100】
また、パチンコ機50には、上述した図柄表示装置60に加えて、ランプ65、スピーカ66、景品球払出部68、操作ハンドル69、弾発モータ70、及び、発射数検出装置70が設けられている。図柄表示装置60は、各種の演出画像や所定の情報等を表示する表示手段である。特に、図柄表示装置60は、実施の形態1のスロットマシン1の12a〜12cと略同様の3列の図示しないリールを表示し、各リール上には識別情報である図柄を表示する。ランプ66は、演出用の表示手段であり、所定の条件を満たしたときに所定のパターンで点灯又は点滅する。スピーカ67は、遊技中に各種の演出を行う音響出力手段であり、所定の条件を満たしたときに所定の音響を出力する。景品球払出部68は、景品球の払出しを行うもので、例えば、入賞した役に対応した数の景品球を計数して払い出す景品球払出機構を備える。操作ハンドル69は、遊技者が遊技領域55に対して球を発射する操作を行う操作手段である。弾発モータ70は、操作ハンドル69の操作に応じて駆動し、球を遊技領域55に向けて発射するもので、特許請求の範囲における打球発射手段に対応する。発射数検出装置70は、弾発モータ70にて発射された球の検出する。
【0101】
また図15に示すように、パチンコ機50は、外部集中端子板72及び主制御基板73を備える。外部集中端子板72は、当該パチンコ機50とカード払出装置40及び管理装置20との間の入出力を行うためのインターフェースである。主制御基板73は、パチンコ機50の遊技の進行や演出等を含むパチンコ機50を統括制御する制御手段であり、機能概念的に、入力判定部73a、図柄決定部73b、表示制御部73c、特別遊技判定実行部73d、カード払出条件判定部73e、抽選テーブル73f、図柄テーブル73g、及び、遊技情報格納部73hを備える。
【0102】
入力判定部73aは、球の発射の有無や、一般入賞口63や始動入賞口61における球の通過の有無を判定する。図柄決定部73bは、例えば、乱数発生部、乱数抽出部、判定部、及び、図柄特定部を備えて構成される。そして、乱数発生部が発生させた乱数を乱数抽出部が抽出し、この抽出された乱数値を判定部が抽選テーブル73fと照合することにより、特別遊技が実行されるか否か(大当たりか否か)を判定する。図柄決定部73bは、図柄テーブル73gを参照することにより、図柄表示装置60によって表示される図柄を決定する。表示制御部73cは、図柄決定部73bにて決定された図柄を図柄表示装置60に表示させる。特別遊技判定実行部73dは、特別遊技を行なうか否かの判定とその実行処理とを行なう。
【0103】
カード払出条件判定部73eは、パチンコ機50における遊技状態に基づいて、所定のカード払出条件が満たされたか否かを判定するもので、特許請求の範囲における払出条件判定手段に対応する。このカード払出条件判定部73eは、機能概念的に、発射数計数部73e、賞球計数部73e、カード入賞口入賞数計数部73e、大入賞口入賞数計数部73e、及び、計数値リセット部73eを備える。
【0104】
発射数計数部73eは、弾発モータ70にて発射された球の数を計数する発射数検出手段であり、例えば、弾発モータ70の駆動出力に基づいて計数を行なう。賞球計数部73eは、一般入賞口又は始動入賞口を通過した球の数を検出する一般始動入賞領域通過球数検出手段であり、入賞検出装置53a、55aからの出力に基づいて計数を行なう。カード入賞口入賞数計数部73eは、カード入賞口を通過した球の数を検出するカード払い出し領域通過球数検出手段であり、入賞検出装置54aからの出力に基づいて計数を行なう。大入賞口入賞数計数部73eは、大入賞口を通過した球の数を検出する大入賞領域通過球数検出手段であり、入賞検出装置56aからの出力に基づいて計数を行なう。この大入賞口入賞数計数部73eは、後述する特別遊技実行処理の制御に用いるための大入賞口入賞数監視用のカウンタと、後述するカード払出処理におけるカード払出監視用のカウンタとの2つのカウンタ値を計数する。計数値リセット部73eは、これら発射数計数部73e、賞球計数部73e、カード入賞口入賞数計数部73e、又は、大入賞口入賞数計数部73eにおけるカウンタをリセットする。
【0105】
抽選テーブル73fは、特別遊技の入賞有無を定めるための情報を格納したテーブルであり、例えば、乱数発生部にて発生され得る範囲の乱数値を特別遊技に対応する領域に区分して構成される。図柄テーブル73gは、特別遊技に対応する図柄の組合せを定めるための情報を格納したテーブルである。遊技情報格納部73hは、カード払出条件が満たされたか否かを判定するための基準になる各種の遊技情報を記憶するための遊技情報格納手段であり、具体的には、後述する各種のフラグ情報及びカウンタ値を記憶する。
【0106】
(処理内容)
次に、このように構成された遊技システムにおいて行われる各種の処理内容について説明する。パチンコ機50における処理のメインフローチャートを図16に示す。図示のように、入力判定処理(ステップSC−1)、図柄決定処理(ステップSC−2)、表示制御処理(ステップSC−3)、特別遊技判定実行処理(ステップSC−4)、及び、カード判定条件判定処理(ステップSC−5)が順次実行される。概略的には、入力判定処理において各入賞口への球の通過を判定し、図柄決定処理において特別遊技への移行の有無を抽選し、表示制御処理において図柄表示装置60に表示する図柄を決定し、特別遊技判定実行処理において特別遊技を行うか否かを最終的に決定すると共に必要に応じて特別遊技を実行し、カード判定条件判定処理においてカードの払い出し条件が満たされたか否かを判定すると共に必要に応じてカードの払い出しを行なう。以下、これら各処理について詳述する。
【0107】
まず入力判定処理(ステップSC−1)について説明する。図17は入力判定処理のフローチャートである。入力判定部73aは、弾発モータ70による球の発射の有無を監視しており(ステップSD−1)、球が発射されたことを発射数検出装置70が検出すると(ステップSD−1、Yes)、発射数計数部73eに検出信号を出力してそのカウンタを1つ加算させる(ステップSD−2)。次いで、入力判定部73aは、一般入賞口63における球の通過の有無を、入賞検出装置53aからの検出信号の有無に基づいて監視しており(ステップSD−3)、入賞検出装置53aから検出信号が出力されると(ステップSD−3、Yes)、賞球計数部73eに検出信号を出力し、そのカウンタを、一般入賞時に払い出される球の数に応じた所定数(例えば5つ)だけ加算させる(ステップSD−4)。
【0108】
また入力判定部73aは、始動入賞口61における球の通過の有無を、入賞検出装置55aからの検出信号の有無に基づいて監視しており(ステップSD−5)、入賞検出装置から55a検出信号が出力されると(ステップSD−5、Yes)、賞球計数部73eに検出信号を出力し、そのカウンタを、始動入賞時に払い出される球の数に応じた所定数(例えば3つ)加算させる(ステップSD−6)。またこの時、入力判定部73aは、始動口入賞フラグをオンにする(ステップSD−7)。
【0109】
さらに入力判定部73aは、カード払出領域64における球の通過の有無を、入賞検出装置64aからの検出信号の有無に基づいて監視しており(ステップSD−8)、入賞検出装置64aから検出信号が出力されると(ステップSD−8、Yes)、カード入賞口入賞数計数部73eに検出信号を出力し、そのカウンタを1つ加算させる(ステップSD−9)。またこの時、入力判定部73aは、カード入賞フラグをオンにする(ステップSD−10)。これにて入力判定処理が終了する。
【0110】
次に、図16の図柄決定処理(ステップSC−2)及びの表示制御処理(ステップSC−3)が実行される。ただし、これら図柄決定処理及び表示制御処理については特記する場合を除いて従来と同様に行なうことができるので、ここではその概要のみを説明する。図柄決定処理において、図柄決定部73bは、始動口入賞フラグがオンになっているか否かを判断し、オンになっている場合には、特別遊技へ移行するか否かを抽選する。そして、特別遊技へ移行する場合には、当該特別遊技に対応する図柄を表示図柄として特定し、特別遊技へ移行しない場合には、当該特別遊技に対応しない図柄を表示図柄として特定する。また、図柄決定部73bは、特別遊技へ移行する場合には、特別遊技当選フラグをオンにする。そして、表示制御処理において、表示制御部73cは、図柄決定処理おいて特定された表示図柄が表示されるように、図柄表示装置60を制御する。これにて図柄決定処理及び表示制御処理が終了する。
【0111】
次に、図16の特別遊技判定実行処理(ステップSC−4)について説明する。図18は特別遊技判定実行処理のフローチャートである。特別遊技判定実行部73dは、特別遊技への移行を判定するための所定のタイミングが到来したか否かを監視しており(ステップSE−1)、このタイミングが到来した場合には(ステップSE−1、Yes)、大当たり条件が達成されたか否かを判定する(ステップSE−2)。ここでは、特別遊技当選フラグがオンである場合に、大当たり条件が達成されたものと判定する。
【0112】
そして、大当たり条件が達成されたものと判定した場合(ステップSE−2、Yes)、特別遊技判定実行部73dは、特別遊技実行フラグをオンにする(ステップSE−3)。次いで、特別遊技判定実行部73dは、特別遊技実行フラグがオンであるか否かを判断し(ステップSE−4)、オンである場合には(ステップSE−4、Yes)、特別遊技実行処理に移行する(ステップSE−5)。一方、特別遊技実行フラグがオンでない場合(ステップSE−4、No)、特別遊技判定実行部73dは、特別遊技実行処理において特別遊技終了フラグがオンにされているか否かを判断し(ステップSE−6)、オンでない場合には(ステップSE−6、No)、特別遊技判定実行処理を終了し、オンである場合には(ステップSE−6、Yes)、特別遊技終了フラグをオンにする(ステップSE−7)。
【0113】
次に、図18の特別遊技実行処理(ステップSE−5)について説明する。図19は特別遊技実行処理のフローチャートである。特別遊技判定実行部73dは、特別遊技を実行するための初期設定が必要であるか否かを判定する(ステップSF−1)。そして、初期設定が必要であると判定した場合(ステップSF−1、Yes)、特別遊技判定実行部73dは、大当たりパラメータをクリアし(ステップSF−2)、ラウンド数を大入賞口62の開閉を許容する所定の回数(例えば9回)にセットし(ステップSF−3)、大入賞口ソレノイド62bに駆動信号を出力して大入賞口62を開放させると共に、大入賞口62の開放時間を計時するための図示しないタイマをスタートさせる(ステップSF−4)。一方、ステップSF−1において初期設定が必要ないと判定した場合(ステップSF−1、No)、特別遊技判定実行部73dは、ステップSF−2〜SF−4をスキップして、ステップSF−5に移行する。
【0114】
このステップSF−5において、特別遊技判定実行部73dは、大入賞口62における球の通過の有無を、入賞検出装置56aからの検出信号の有無に基づいて監視する(ステップSF−5)。ここで、所定時間経過しても球が大入賞口62を通過しない場合には(ステップSF−5、No、ステップSF−6、Yes)、ステップSF−10に移行し、大入賞口入賞数計数部73eにおける大入賞口入賞数監視用のカウンタをリセットし(ステップSF−10)、大入賞口ソレノイド62bに駆動信号を出力して大入賞口62を閉鎖する(ステップSF−11)。一方、ステップSF−5において大入賞口62に球が通過したことが所定時間以内に検出された場合には(ステップSF−5、Yes)、大入賞口入賞数計数部73eの大入賞口入賞数監視用のカウンタ及びカード払出監視用のカウンタをそれぞれ1つ加算させ(ステップSF−7)、さらにカード入賞口入賞数計数部73eのカウンタを1つ加算させる(ステップSF−8)。そして、特別遊技判定実行部73dは、大入賞口入賞数計数部73eのカウンタ数が、大入賞口62の開放を許容する所定の回数(ここでは所定回数を「A」として表す。この所定回数は例えば9回である)を上回ったか否かを判定し(ステップSF−9)、上回っていない場合には(ステップSF−9、No)、当該特別遊技実行処理を終了し、上回った場合には(ステップSF−9、Yes)、大入賞口入賞数計数部73eにおける大入賞口入賞数監視用のカウンタをリセットし(ステップSF−10)、大入賞口ソレノイド62bに駆動信号を出力して大入賞口62を閉鎖すると共に、大入賞口62の開放時間を計時するためのタイマをリセットする(ステップSF−11)。
【0115】
次いで、特別遊技判定実行部73dは、ラウンド数の残が有るか否か(ラウンド数が1以上であるか否か)を判定し(ステップSF−12)、ラウンド数の残が有ると判定した場合には(ステップSF−12、Yes)、ラウンド数を1減算した後(ステップSF−13)、次のラウンドを開始すべく、ステップSF−4に戻る。一方、ステップSF−12においてラウンド数の残がないと判定した場合(ステップSF−12、No)、特別遊技判定実行部73dは、特別遊技終了フラグをオンにし(ステップSF−14)、特別遊技判定実行処理を終了する。
【0116】
次に、図16のカード払出条件判定処理(ステップSC−5)について説明する。図20はカード払出条件判定処理のフローチャートである。カード払出条件判定部73eは、発射数計数部73eのその時点のカウンタ数が、発射規定値を超えているか否かを判定し(ステップSG−1)、発射規定値を超えている場合には(ステップSG−1、Yes)、カード払出フラグをオンにすることによってカードの払い出しを許容した後(ステップSG−2)、次回のステップSG−1の判断のための発射規定値をセットする(ステップSG−3)。すなわち、発射数計数部73eのカウンタ数はそのまま維持する一方で、発射規定値を変更する。ここで、発射規定値とは、カードの払出条件を満足させるための球の発射数であり、本実施の形態2では、遊技状態に応じて異なる発射規定値をセットする。例えば、デフォルトの発射規定値としては1万発をセットし、球の発射数がこの発射規定値を超えた場合には、よりレベルの高い発射規定値として3万発をセットする。このように、カードの払出条件における基準数値を遊技状態に応じて変更することで、一層の娯楽性を遊技者に与えることができる。
【0117】
またカード払出条件判定部73eは、カード入賞口入賞数計数部73eのその時点のカウンタ数が所定のカード入賞規定値を超えているか否かを判定し(ステップSG−4)、カード入賞規定値を超えている場合には(ステップSG−4、Yes)、カード払出フラグをオンにすることによってカードの払い出しを許容し(ステップSG−5)、カード入賞口入賞数計数部73eのカウンタ数をリセットする(ステップSG−6)。ここでは、ステップSG−3のようにカード払出条件の基準数値を変更するのではなく、基準数値はそのまま維持する一方で、カウンタ数を同一のデフォルト値(例えば0)にセットして、遊技の一貫性を持たせる。
【0118】
次いで、カード払出条件判定部73eは、大入賞口入賞数計数部73eのその時点のカード払出監視用のカウンタが所定の回数(上述した特別遊技実行処理のステップSF−9における所定回数Aに同じ)を超えているか否かを判定し(ステップSG−7)、この所定回数を超えている場合には(ステップSG−7、Yes)、カード払出フラグをオンにすることによってカードの払い出しを許容した後(ステップSG−8)、大入賞口入賞数計数部73eのカード払出監視用のカウンタをリセットする(ステップSG−9)。
【0119】
そして、カード払出条件判定部73eは、カード払出フラグがオンであるか否かを判定し(ステップSG−10)、オンである場合にのみ(ステップSG−10、Yes)、カードを払い出すべく、所定のカード払出要求信号を外部集中端子板72を介してカード払出装置40に送信する(ステップSG−11)。これにてカード払出条件判定処理を終了する。これにてパチンコ機50においては、1サイクル分の処理が終了し、再び図16のステップSC−1に戻る。その後、実施の形態1と同様に、カード払出要求信号を受信したカード払出装置40においてカードの払出しが行なわれる。
【0120】
(実施の形態2の効果)
このように実施の形態2によれば、遊技の結果により遊技上の有利度合いを変化したり遊技媒体を払い出すというパチンコ機本来の遊技の他に、遊技に応じて生じる様々な遊技変化を識別して、本来特典のない遊技結果や特典のある遊技結果と関連させて、カードという遊技媒体と異なる特典を付与することにより、出球率による射幸性の向上を抑止しつつ遊技意欲の向上を図ることができる。
【0121】
特に、特定領域という新たな遊技領域を設定することで、出球率自体になんら影響を与えずに新規の利益を現出でき、今までのパチンコ機と別異の遊技性を提供することが可能となる。
【0122】
更に、当該役を遊技者の技量で成立させるように、即ち球の払い出しを伴わずに、あるいは、球の払い出しに加えて、遊技領域の球の通過を払出条件の一部とすれば、現行のパチンコ機で欠落しがちな技量による遊技格差を、出球率と無関係に構成することが可能となる。
【0123】
更には、RBやBBが確定した後の特別遊技状態において、大入賞口への球の通過やその通過数を払出条件の一部とすれば、特別遊技状態において従来の球払い出しとは異なるカードという利益を提供することで、特別遊技状態における遊技性を出球率と無関係に高めることができる。
【0124】
更にまた、払い出すカードとして他のカードを用いた遊技機に利用できる構成となっているため、同一遊技場や同種の遊技という枠を超えて広い範囲において継続的に楽しむことができ、更にカードの種類を増加させることにより、排出されるカードの収集という別個の楽しみを提供することも可能となる。
【0125】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る第1、第2の実施の形態並びにそれらに関する変更例を述べてきたが、以下ではその他の変更例について列挙する。
【0126】
(1)本実施の形態では、遊技手段としてスロットマシン、パチンコ機を例示したが、遊技手段はこれらのものに限られず、メダルゲーム機や景品取得ゲーム(いわゆるUFOキャッチー)など遊技が実施可能であり、遊技結果に応じて遊技者に何らかの価値を提供するものであればよい。
【0127】
(2)本実施の形態では、遊技システム構成として、遊技手段を遊技機及び遊技媒体貸出機により、払出条件判定手段を遊技機により、カード払出手段をカード払出装置によりそれぞれ構成し、これらを適宜通信可能に接続したが、これに限らず、遊技機自体に貸出機能を設けることにより遊技手段を一体の構成にしたり、遊技機及び貸出機から遊技情報を管理コンピュータへ送信し、管理コンピュータのみによって払出条件判定手段を構築する等、各手段は各物理的構成物に適宜区分して構成することが可能である。
【0128】
(3)本実施の形態では、カードとして、昆虫の図柄等が印刷されたカードを払い出したが、カードの具体的構成については任意であり、磁気カードの他、メモリチップを内蔵する電子カードや、コンピュータ読み取りを意図していない単なる紙製のカードであってもよい。また、カードに記録する情報も任意であり、上述したように昆虫種別情報や技情報を記憶する他、従来と同様に遊技情報自体をさらに記憶してもよい。また、遊技情報に応じて、同一又は異なるカードを複数同時に払い出すこともできる。
【0129】
(4)本実施の形態では、カード払出条件として、遊技回数、遊技時間、メダルの払出数、メダルの投入数と払出数との相対関係、メダルの借入金額、役抽選部による抽選結果及び停止図柄特定部にて特定された停止態様、球の発射数、入賞口への入賞数、あるいは、大入賞口への入賞数を例示したが、上述した条件に限定されず、任意の条件を設定することができる。例えば、メダルの投入数と払出数との任意の相対関係に基づいて判定することができる。また、役としては、メダルを払い出すための小役及び特別役のみを設け、この役が当選した場合や当選しなかった場合であって所定の図柄が表示された時にカードを払い出すようにしてもよい。すなわち、カードの払出条件を、役の当選時とするか、あるいは、役の非当選時とするのかは任意である。また、一般入賞口63を球が通過したことが入賞検出装置53aで検出された場合や、この検出数が所定数以上になった場合に、カードを払い出すようにしてもよい。またカード入賞口54への球の入賞に基づいてカードを払い出す場合においても、所定の通過回数(例えば、100回以上)を満たした場合にのみカードを払い出したり所定時間以内(例えば、遊技開始時から所定時間以内、最初の特別遊技終了後の所定時間以内、あるいは、図柄表示装置で特定の図柄が表示されてから所定時間以内等)に入賞があった場合にのみカードを払い出したり、所定条件下(例えば、特別遊技が1回も入賞していない場合において、1万発以上の球が発射された場合)でのみカードを払い出してもよい。この他、所定の役に当選した場合や、所定の入賞領域を球が通過した場合にカードを払い出すのではなく、逆に、所定の役に当選しなかった場合や、所定の入賞領域を球が通過しなかった場合に、カードを払い出すようにしてもよい。あるいは、通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行されている場合(例えば、始動入賞口への入賞後に特別遊技状態に移行して大入賞口が開いている場合)において、所定の条件が満たされた場合(例えば、所定数以上の球が大入賞口に所定時間以内に入賞した場合)に、カード払出条件が満たされたものと判断してもよい。
【0130】
(5)本実施の形態では、入賞処理や、特別遊技判定実行処理の後にカード払出条件の判定やカード払出しを行っているが、その他の任意のタイミングでカード払出条件の判定やカード払出しを行ってもよい。例えば、遊技情報が更新される毎にカード払出条件の判定を行い、カード払出条件が満たされたと判定された場合には、直ちにカードを払い出すようにしてもよい。
【0131】
(6)その他、上記実施の形態で自動的に行われるものとして説明した制御の全部または任意の一部を手動で行っても良く、逆に、手動で行われるものとして説明した制御の全部または任意の一部を公知技術または上述した思想に基づいて自動化しても良い。また、各実施の形態において示した各装置の各機能ブロックは、ハードワイヤードロジックにて構成しても良い。また、機能概念的に示した各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、カード払出条件の満足の有無の判定は、管理装置20において統括的に行ってもよい。この他、前記文書中や図面中で示した処理手順、または、制御手順については、特記する場合を除いて任意に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
以上のように、本発明は、パチンコ機やスロットマシンに代表される遊技機やその周辺装置を含んで構成されるシステムにおいて、カードの払出しという新たな付加価値を与えることに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】実施の形態1に係る遊技システムの全体構成を示す構成図である。
【図2】実施の形態1におけるスロットマシンの正面図である。
【図3】実施の形態1におけるスロットマシンのフロントマスクを便宜上取り外して筐体内部を示した正面図である。
【図4】スロットマシンの主要な電気的構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図5】図柄テーブルの構成例を示す図である。
【図6】管理装置の要部の構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図7】メダル貸出装置の要部の構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図8】カード払出装置の要部の構成を機能概念的に示すブロック図である。
【図9】払い出し待機状態におけるカード払出装置の要部の側面図である。
【図10】払い出し状態におけるカード払出装置の要部の側面図である。
【図11】実施の形態1に係るスロットマシンにおける処理のフローチャートである。
【図12】図11に続く、スロットマシンにおける処理のフローチャートである。
【図13】カード払出装置における処理のフローチャートである。
【図14】実施の形態2に係るパチンコ機の正面図である。
【図15】パチンコ機の電気的構成を中心とする要部を機能概念的に示すブロック図である。
【図16】パチンコ機における処理のメインフローチャートである。
【図17】入力判定処理のフローチャートである。
【図18】特別遊技判定実行処理のフローチャートである。
【図19】特別遊技実行処理のフローチャートである。
【図20】カード払出条件判定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0134】
1 スロットマシン
2 裏箱
3、51 フロントマスク
11 遊技メダル投入部
SW1a 1枚投入ボタン
SW1b 3枚投入ボタン
SW2 スタートレバー
SW3a〜SW3c 停止ボタン
12 リールユニット
12a〜12c リール
13a〜13c モータ
14 ランプ
15 スピーカ
16 液晶表示器
17 遊技メダル払出部
18、72 外部集中端子板
19、73 主制御基板
19 役抽選部
19b リール制御部
19b 回転制御部
19b 停止制御部
19c 停止図柄判別部
19d 入賞判定部
19e 入賞処理部
19f カード払出条件判定部
19g 遊技情報取得部
19h 役抽選テーブル
19i 役図柄テーブル
19j 停止制御テーブル
19k 遊技情報格納部
19m 払出管理情報格納部
20 管理装置
21、33、44 記憶部
22、34、43 端子板
23、35、45 制御基板
23a 払出管理情報処理部
30 メダル貸出装置
31 現金投入部
32 メダル払出部
35a メダル貸出処理部
35b 借入金額情報処理部
40 カード払出装置
41 カード収容部
41a カードストッカー
41b 収容口
42 カード払出機構
42a スプロケット
42b トレイ
42c ソレノイド
42d ローラー
42e バネ
45a カード払出制御部
50 パチンコ機
51 外枠
52 前枠
53 遊技盤
54 ガラス枠
55 遊技領域
56 内外レール
60 図柄表示装置
61 始動入賞口
62 大入賞口
63 一般入賞口
64 カード払出領域
65 アウト口
61a〜64a 入賞検出装置
66 ランプ
67 スピーカ
68 景品球払出部
69 操作ハンドル
70 弾発モータ
70 発射数検出装置
73a 入力判定部
73b 図柄決定部
73c 表示制御部
73d 特別遊技判定実行部
73e カード払出条件判定部
73e 発射数計数部
73e 賞球計数部
73e カード入賞口入賞数計数部
73e 大入賞口入賞数計数部
73e 計数値リセット部
73f 抽選テーブル
73g 図柄テーブル
73h 遊技情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の遊技媒体を用いた遊技を行うための遊技手段と、
前記遊技手段における遊技状態に基づいて、所定のカード払出条件が満たされたか否かを判定する払出条件判定手段と、
前記カード払出条件が満たされたと前記払出条件判定手段が判定した場合に、カードを払い出すカード払出手段と、
を備えることを特徴とする遊技システム。
【請求項2】
前記遊技手段における遊技回数、前記遊技手段における遊技時間、前記遊技手段に対する前記遊技媒体の投入数、又は、前記遊技手段からの前記遊技媒体の払出数を取得する遊技情報取得手段を備え、
前記払出条件判定手段は、前記遊技情報取得手段にて取得された前記遊技回数、前記遊技時間、前記投入数、又は、前記払出数に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定すること、
を特徴とする請求項1に記載の遊技システム。
【請求項3】
前記払出条件判定手段は、前記遊技媒体の投入数と前記遊技媒体の払出数との相対関係に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の遊技システム。
【請求項4】
金額の投入又は金銭と等価な価値の消費により前記遊技媒体を貸し出す貸出手段を含み、
前記払出条件判定手段は、前記貸出手段において前記遊技媒体の貸し出しのために投入された金額に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定すること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の遊技システム。
【請求項5】
前記遊技手段は、
前記遊技媒体の投入を受け付ける遊技媒体投入手段と、
前記遊技媒体投入手段に前記遊技媒体が投入されたことを条件に、遊技開始操作を受け付ける遊技開始操作手段と、
前記遊技開始操作手段において遊技開始操作が行われた場合に、複数種類の識別情報を変動表示可能な識別情報表示手段と、
前記識別情報表示手段による前記識別情報の変動の停止操作を受け付ける停止操作手段と、
前記遊技媒体投入手段に前記遊技媒体が投入されてから、前記停止操作手段における停止操作に基づいて前記識別情報の変動が停止される迄の間において、前記複数種類の識別情報の変動停止時の組合せ態様として、遊技者に利益のある役を構成する組合せ態様を許容するか否かを抽選する役抽選手段と、
前記役抽選手段による抽選結果と、前記停止操作手段において停止操作が行われたタイミングとに基づいて、前記識別情報の変動を停止制御する停止制御手段と、
前記停止制御手段にて停止表示された前記識別情報の組合せ態様を判定する停止識別情報判別手段と、
前記停止識別情報判別手段にて判定された前記識別情報の組合せ態様が、前記役を構成する組合せ態様に合致するか否かを判定する入賞判定手段と、
前記入賞判定手段の判定結果に応じて、所定の遊技価値を遊技者に与える遊技価値供与手段とを含み、
前記払出条件判定手段は、前記役抽選手段による抽選結果、又は、前記停止識別情報判定手段にて判定された前記識別情報の組合せ態様に基づいて、前記カード払出条件が満たされたか否かを判定すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技システム。
【請求項6】
前記役には、前記カードを払い出すためのカード払出役を含み、
前記払出条件判定手段は、前記役抽選手段により前記カード払出役が成立することが許容されたことに基づいて、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、
を特徴とする請求項5に記載の遊技システム。
【請求項7】
前記役には、
前記遊技媒体の払い出しを行う小役と、
前記小役が入賞した後の遊技状態を、通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行可能な特別役とを含み、
前記カード払出役が、前記小役又は前記特別役の一部あるいは全部と兼用されていること、
を特徴とする請求項6に記載の遊技システム。
【請求項8】
前記払出条件判定手段は、前記カード払出役が特定の有効ラインで入賞した場合に、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、
を特徴とする請求項6又は7に記載の遊技システム。
【請求項9】
前記払出条件判定手段は、当該遊技結果として前記役抽選手段による抽選結果に関わらず停止可能な識別情報の組合せの成立を前記カード払出条件として設定したこと、
を特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の遊技システム。
【請求項10】
前記遊技手段は、
遊技盤面に形成された遊技領域に遊技媒体を発射する打球発射手段と、
前記遊技領域に形成された特定領域に前記遊技媒体が流入したことを検出する遊技媒体検出手段とを備え、
前記払出条件判定手段は、前記遊技媒体検出手段により前記遊技媒体が前記特定領域に流入したことが検出された場合に、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技システム。
【請求項11】
前記特定領域は、入賞口に設定されていること、
を特徴とする請求項10に記載の遊技システム。
【請求項12】
前記入賞口は、前記遊技媒体の流入により、遊技状態を通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行可能とする特別入賞口であること、
を特徴とする請求項11に記載の遊技システム。
【請求項13】
前記払出条件判定手段は、遊技状態が通常の遊技状態と比して有利な特別遊技状態に移行されている場合において、所定の条件が満たされた場合に、前記カード払出条件が満たされたものと判定すること、
を特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の遊技システム。
【請求項14】
前記特定領域は、入賞口と異なる固有の領域として設定されると共に、当該特定領域と前記入賞口とが前記遊技媒体の同一流下経路上にないこと、
を特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の遊技システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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