説明

遊技場用システム

【課題】付与された遊技価値の大きさを複数の遊技者間にて共有する状況において、一の遊技者が大きく負け込むことを抑制できる遊技場用システムを提供する。
【解決手段】管理装置において、所定値以上のプラスの収支データである勝越遊技者であれば(D9:YES)、貸出装置の情報表示部に遊技抑止状態設定画面を表示し(D10)、所定値以上のマイナスの収支データである負越遊技者に対して、遊技抑止状態の設定操作を行うことで(D11:YES)、遊技の実行が抑止される遊技抑止状態に設定できるようにした(D12)。これにより、複数の遊技者からなるグループ内にて付与データ(付与された遊技価値)を共有又は分配する場合に、大負けする遊技者が発生することを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機が付与する遊技価値を複数の遊技者の間で共有できる遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技価値として付与された玉やメダルを遊技場に預け入れ、その預け入れた数の情報を遊技場にて管理する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。遊技者は、次に来場した際に遊技場に預けてある玉を引出して遊技を行うことができる。このシステムを利用する場合、遊技者は、貯蓄会員の登録をして会員カードを遊技場にて予め発行してもらう。そして、玉を計数機で計数する場合は、自己の会員カードを計数機に読取らせた状態で玉を計数することにより個人口座に預け入れた玉数を記憶することができると共に、貸出機に会員カードを読取らせた状態で預け入れた玉数を対価とした玉の払出を行うことが可能となる。
また、特許文献1では、上記個人口座に加え、複数の遊技者にて共有口座を予め開設し、その複数の遊技者にて共有口座に預け入れている玉を共有する技術も提案されている。これにより、複数の遊技者にて預け入れた玉数を共有することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−166782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、預け入れた玉を共有している複数の遊技者のうち、一の遊技者が大きく負け込んだ場合、その負け分が複数の遊技者に与える影響が大きいという問題がある。したがって、付与された遊技価値の大きさを複数の遊技者で共有する上で未だ改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、付与された遊技価値の大きさを複数の遊技者間にて共有する状況において、一の遊技者が大きく負け込むことを抑制できる遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明は、複数の遊技者をグループ化して記憶するグループ情報記憶手段と、同じグループ内に属する遊技者であることを特定可能な情報を記憶した記憶媒体と、遊技機に1対1で対応して設けられ、前記記憶媒体に記憶された情報を読取る遊技機用読取手段と、前記遊技機用読取手段の情報の読取結果から前記グループ内の遊技者が遊技を行っていることを特定する遊技特定手段と、遊技者が遊技に投資した遊技価値の大きさを特定可能な投資データを前記グループ内の遊技者について個別に集計する投資データ集計手段と、遊技者に遊技価値を付与する付与手段と、遊技機に1対1で対応して設けられ、遊技が進行する上で遊技者に付与した遊技価値の大きさを特定可能な付与データを前記グループ内の遊技者について集計する付与データ集計手段と、を備え、前記グループ内の遊技者にて前記付与データを共有又は分配可能とする遊技場用システムであって、前記グループ内の遊技者のうち、前記投資データが所定値以上となっている、又は、前記投資データとその遊技者個人の前記付与データとで前記投資データの方が所定値以上大きくなっている負越遊技者が遊技を行っている遊技機に関する遊技データと、その遊技者の前記投資データ及び前記付与データの集計結果と、を対応付けて前記グループ内のその他の遊技者に対して報知する報知手段と、前記グループ内の前記負越遊技者とは異なる遊技者の遊技抑止操作に基づいて、前記負越遊技者に対して遊技の実行を抑止する遊技抑止状態を設定する遊技抑止状態設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の遊技場用システムにおいて、前記遊技抑止状態設定手段は、前記グループ内の遊技者のうち、前記投資データと前記付与データとで前記付与データの方が所定値以上大きくなっている勝越遊技者による前記遊技抑止操作に基づき、前記負越遊技者に対して前記遊技抑止状態を設定するようにしてもよい(請求項2)。
【0007】
請求項3に記載した発明は、複数の遊技者をグループ化して記憶するグループ情報記憶手段と、同じグループ内に属する遊技者であることを特定可能な情報を記憶した記憶媒体と、遊技機に1対1で対応して設けられ、前記記憶媒体に記憶された情報を読取る遊技機用読取手段と、前記遊技機用読取手段の情報の読取結果から前記グループ内の遊技者が遊技を行っていることを特定する遊技特定手段と、遊技者が遊技に使用した遊技価値の大きさを特定可能なアウトデータを前記グループ内の遊技者について個別に集計するアウトデータ集計手段と、遊技者に遊技価値を付与する付与手段と、遊技が進行する上で前記付与手段が遊技者に付与した遊技価値の大きさの合計を特定可能なセーフデータを前記グループ内の遊技者について集計するセーフデータ集計手段と、を備え、前記グループ内の遊技者にて前記アウトデータと前記セーフデータとの差を示す収支データを共有又は分配可能とする遊技場用システムであって、前記グループ内の遊技者のうち、遊技者個人の前記アウトデータと前記セーフデータとで前記アウトデータの方が所定値以上大きくなっている負越遊技者が遊技を行っている遊技機に関する遊技データと、その遊技者個人の前記収支データと、を対応付けて前記グループ内のその他の遊技者に対して報知する報知手段と、前記グループ内の前記負越遊技者とは異なる遊技者の遊技抑止操作に基づいて、前記負越遊技者に対して遊技の実行を抑止する遊技抑止状態を設定する遊技抑止状態設定手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、グループ登録を行うことで複数の遊技者の間で付与データ(獲得データ)の共有ができるとともに、負越遊技者に対して遊技抑止状態を設定可能とすることで、グループ内にて付与データを共有又は分配する場合に、大負けする遊技者が発生することを抑制できる。
また、負越遊技者とは異なる遊技者が負越遊技者の遊技抑止状態を設定する際、負越遊技者が遊技を行っている遊技機に関する遊技データ、及び、収支データ(付与データと投資データとの差)が報知されるので、これらのデータを考慮して遊技抑止状態を設定するか否かの判断をすることができる。これにより、負越遊技者が遊技者に有利な遊技機にて遊技を行っているにも関わらず、たまたま負け越している場合に、遊技抑止状態が設定されてしまうことを抑制でき、単に投資データの上限を設けて遊技抑止状態の設定を行う場合に比べて、より好適に遊技抑止状態の設定を行うことができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、収支データが所定値以上大きくなっている勝越遊技者によって負越遊技者の遊技抑止状態の設定が行われるので、勝越遊技者が自らの判断で負越遊技者を遊技抑止状態に設定でき、勝越遊技者の付与データ(獲得玉)が負越遊技者に多く分配されてしまうのを防ぐことができる。これにより、勝越遊技者が負越遊技者に不満を抱くことを抑制でき、遊技者にグループによる遊技を促すことができる。
【0010】
請求項3の発明によれば、グループ登録を行うことで複数の遊技者の間で収支データ(セーフデータとアウトデータとの差)の共有ができるとともに、負越遊技者に対して遊技抑止状態を設定可能とすることで、グループ内にて収支データを共有又は分配する場合に、大負けする遊技者が発生することを抑制できる。
また、負越遊技者とは異なる遊技者が負越遊技者の遊技抑止状態を設定する際、負越遊技者が遊技を行っている遊技機に関する遊技データ、及び、収支データが報知されるので、これらのデータを考慮して遊技抑止状態を設定するか否かの判断をすることができる。これにより、負越遊技者が遊技者に有利な遊技機にて遊技を行っているにも関わらず、たまたま負け越している場合に、遊技抑止状態が設定されてしまうことを抑制でき、単にアウトデータの上限を設けて遊技抑止状態の設定を行う場合に比べて、より好適に遊技抑止状態の設定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
【図2】貸出装置の機能ブロック図
【図3】(a)情報端末機の初期画面を示す図、(b)情報端末機のカード読取画面を示す図
【図4】貸出装置の情報表示部におけるデータの表示画面を示す図
【図5】貸出装置の情報表示部における台データ表示画面を示す図
【図6】貸出装置の情報表示部における遊技抑止状態のメンバー表示例を示す図
【図7】管理装置によるグループ登録処理を示すフローチャート
【図8】管理装置による投資データ管理処理を示すフローチャート
【図9】管理装置による獲得データ管理処理を示すフローチャート
【図10】管理装置による遊技抑止状態設定処理を示すフローチャート
【図11】管理装置による遊技抑止状態解除処理を示すフローチャート
【図12】管理装置による精算実行処理を示すフローチャート
【図13】管理装置による獲得データ分配処理を示すフローチャート
【図14】管理装置による強制精算処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、遊技場用システムの全体構成を概略的に示している。遊技場用システム1は、遊技機2に対応して貸出装置3が設置されている。遊技場内の管理室には管理装置4(グループ情報記憶手段、遊技特定手段、投資データ集計手段、付与データ集計手段、報知手段、遊技抑止状態設定手段、アウトデータ集計手段、セーフデータ集計手段に相当)が設置されている。2台の遊技機2及び2台の貸出装置3に対応して1台の中継装置5が設置されている。
【0013】
管理装置4は、モニタ6及びキーボード7を備えており、中継装置5を介して遊技機2及び貸出装置3とLAN8により接続され、遊技機2側(遊技機2、貸出装置3等)から出力される遊技信号を中継装置5を介して受信する。また、LAN8には、遊技者向けの種々のデータが表示される情報端末機9が接続されると共に、景品交換に使用するためのPOS端末(図示しない)などが接続される。なお、図1では省略したが、実際には数百台の遊技機2が管理装置4の管理対象となっている。また、本実施形態では遊技機2としてパチンコ遊技機を想定しており、遊技価値としてパチンコ玉を想定している。
情報端末機9は、カード挿入口9a、タッチパネル式の表示画面9bを備えており、機種別の台データ(当日の大当たり回数、確変回数など)の確認、貯玉数の照会などができると共に、管理装置4と通信することにより後述するグループ登録、グループ登録の解除、及び精算を実行することができるようになっている。
【0014】
遊技機2には、図柄変動用の表示部(役物)10、図柄変動開始用の始動口11、大当たり時に開放する大入賞口12、パチンコ玉を盤面に発射するためのハンドル13、払出(付与)されたパチンコ玉を受けて貯留する上玉受皿14、上玉受皿14から溢れたパチンコ玉を受けて貯留する下玉受皿15、下玉受皿15に貯留されたパチンコ玉を落下させるためのレバー15a、パチンコ玉を払い出す払出装置16(付与手段に相当)等が設けられている。パチンコ玉が始動口11や大入賞口12に入賞すると、表示部10に各種の演出が表示されるとともに、払出装置16から遊技者にパチンコ玉が払い出される(遊技価値が付与される)。
【0015】
遊技機2側からは次に示す遊技信号が出力され、管理装置4では以下のようにして遊技情報を特定する。
「アウト信号」=使用玉を回収するアウトBOXから出力される信号である。使用玉(回収玉)10個に対して1パルスが出力されるので、アウト信号数×10をアウト(使用玉数)として特定する。なお、遊技機2から出力されてもよい。
「セーフ信号」=遊技機2から出力される信号である。払出玉10個に対して1パルスが出力されるので、セーフ信号数×10をセーフ(払出玉数)として特定する。なお、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としてもよい。
【0016】
「スタート信号」=遊技機2から出力される信号である。始動口11への入賞に応じて変動(動作)する表示部10における図柄変動(役物作動)1回につき1パルスが出力される。なお、始動口11への入賞に応じて出力される始動入賞信号をスタート信号としてもよい。なお、役物作動又は始動入賞数をスタートとして特定する。
「大当たり信号」=遊技機2から出力される信号である。所定条件が成立(表示部10において特定図柄を表示する等)した場合に発生し、大入賞口12等への入賞率が高まる大当たり中にレベル信号が出力される。
【0017】
「貸出信号」=貸出装置3から出力される信号である。遊技者から貨幣を受付けた場合に遊技者に貸出される貸出玉125個(500円)に対して1パルスが出力されるので、貸出信号数×125を貸出玉数として特定する。
「再プレイ信号」=貸出装置3から出力される信号である。遊技者が遊技により獲得した玉のうち貸出装置3にて計数した計数玉(獲得玉)や、貯玉を対価として払出されるパチンコ玉1個に対して1パルスが出力されるので、再プレイ信号数を再プレイ玉数として特定する。なお、本構成では、計数玉及び貯玉のいずれを対価とした払出であるかを特定可能に再プレイ信号が出力される。
【0018】
貸出装置3は、各種情報を表示する表示機能、及び遊技者からの操作入力を受付ける入力機能を有するタッチパネル式の情報表示部17、遊技者が貨幣を投入する貨幣投入口18、発行釦19、貸出釦20、再プレイ釦21、パチンコ玉を遊技機2の上玉受皿14へと払出す玉払出口22、カード挿入口23等を備えている。貸出装置3の下部には計数部24が設けられており、その計数部24に案内腕25に支持された可動玉受皿26が旋回可能に設けられている。
【0019】
図2は、貸出装置3の機能ブロック図を概略的に示している。貸出装置3は、CPUを主体とする制御部27、HDD、RAM、ROM等からなる記憶部28、信号を送受信するためのインターフェイスからなる送受信部29、貨幣投入口18に投入された貨幣を受付ける貨幣受付部30、玉払出口22から玉を払出す玉払出部31、カード挿入口23に挿入された会員カード32(記憶媒体に相当)に記録されたカード情報を読取るカードリーダ33(遊技機用読取手段に相当)、上記した情報表示部17、発行釦19、貸出釦20、再プレイ釦21、計数部24等を備えている。
会員カード32は、例えば磁気カード、ICカードなどのデータ書き換え可能な記憶媒体により構成され、遊技者を特定可能な情報(会員ID等)が記憶されている。管理装置4には、各遊技者の個人口座が設けられ、この個人口座に、遊技者が預け入れた遊技価値の大きさに応じた預入情報が会員カード32と対応付けて累積的に記憶されるようになっている。
【0020】
貸出装置3は、遊技者が貨幣を投入したことに応じて遊技価値を貸出す機能(CRユニット機能)、遊技者が遊技により獲得した遊技価値を計数する機能(計数機の機能)、遊技者が遊技により獲得した遊技価値を使用しての再プレイを可能とする機能(再プレイ機の機能)を有しており、以下の動作を行う。すなわち、本実施形態では、遊技機2毎に設けられている貸出装置3が計数機能を有することで、遊技機2毎に計数機が設けられている構成と等価となる。
【0021】
(a)遊技者が貨幣を貨幣投入口18に投入すると、その投入された貨幣を貨幣受付部30にて受付け、その受付けた金額を示す金額情報を記憶部28に記憶する。
(b)遊技者が貸出釦20を押下し、貸出操作を行うと、記憶部28に記憶している金額情報を対価として単位数分の遊技価値(500円で125個)を玉払出口22から遊技機2の上玉受皿14に払い出す。また、単位数分の遊技価値を払い出したことに応じて、記憶部28に記憶している金額情報を減算更新する。
【0022】
(c)遊技者が遊技機2のレバー15aを操作し、遊技者が遊技にて獲得した遊技価値を可動玉受皿26へと導くと、その可動玉受皿26へと導かれた玉を計数部24にて計数し、その計数した獲得玉数を示す獲得玉情報を記憶部28に記憶する。遊技者が遊技にて遊技価値を獲得することに応じて、記憶部28に記憶している獲得玉情報を加算更新する。
(d)遊技者が再プレイ釦21を押下し、再プレイ操作を行うと、記憶部28に記憶している獲得玉情報のうち所定数の遊技価値(再プレイ玉)を玉払出口22から遊技機2の上玉受皿14に払い出す。また、遊技価値を払出したことに応じて、記憶部28に記憶している獲得玉情報を減算更新する。
【0023】
本実施形態では、獲得玉をグループ登録した複数の遊技者の間で分配可能な構成となっている。遊技者がカード挿入口23に会員カード32を挿入すると、遊技機2に1対1で対応して設けられたカードリーダ33がカード情報を読取る。管理装置4は、カードリーダ33の情報の読取結果からグループ内の遊技者が遊技を行っていることを特定するとともに、遊技者が遊技に投資した遊技価値の大きさを特定可能な投資データをグループ内の各遊技者について個別に集計する。ここで、投資データとは、口座操作により個人口座から引き出された玉数(遊技価値の大きさ)、又は、現金に基づく貸出操作により付与された玉数をいう。
【0024】
次に、上記した構成の作用について、図3から図14を参照して説明する。管理装置4は、本発明に関連して、グループ登録処理、投資データ管理処理、獲得データ管理処理、遊技抑止状態設定処理、遊技抑止状態解除処理、精算実行処理、獲得データ分配処理、及び、強制精算処理を行う。以下、これらの処理について順次説明する。
遊技者は、複数の遊技者による獲得玉の分配を望む場合、複数の遊技者からなるグループをつくるためのグループ登録を行う。このグループ登録は、情報端末機9にて行う。
図7は、管理装置4におけるグループ登録処理を示すフローチャートである。管理装置4は、図7において、情報端末機9にてグループ登録操作が有ったか否かを判定している(A1)。情報端末機9の表示画面9bにおける初期画面には、図3(a)に示すように、上から順に、「グループ登録」、「グループ登録を解除」、「精算」と表示されている。管理装置4は、遊技者が「グループ登録」の表示をタッチ操作すると、グループ登録操作が有ったと判定し(A1:YES)、図3(b)に示すように、表示画面9bに会員カード32の読込画面を表示する(A2)。このとき、表示画面9bには、「グループ登録する会員カードを挿入してください。」と表示される。複数の遊技者がグループ登録を行う場合、各遊技者は一人ずつ連続して情報端末機9のカード挿入口9aに会員カード32を挿入していく。
【0025】
続いて、管理装置4は、会員カード32の挿入が有ったか(A3)、グループ登録の終了操作が有ったかを判定する(A7)。情報端末機9には、カードリーダ33と同様のカードリーダ(図示せず)が内蔵されており、このカードリーダが各遊技者の会員カード32の情報を読取り、その情報を管理装置4へ送る。管理装置4は、遊技者がカード挿入口9aに会員カード32を挿入したと判定すると(A3:YES)、挿入されたカードがグループ未登録の会員カード32かを判定する(A4)。挿入されたカードがグループ未登録の会員カード32である場合は(A4:YES)、当該会員カード32を一つのグループとして登録、すなわち、会員カード32を連続して挿入した複数の遊技者をグループ化して記憶し(A5)、図3(b)に示すように、所属するメンバー画面を表示画面9bに表示する(A6)。図3(b)に示す例では、グループ登録されたメンバーとして、「Aさん」、「Bさん」、「Cさん」が表示されている。このとき、会員カード32には、同じグループ内に属する遊技者であることを特定可能な情報が記憶される。
また、管理装置4は、挿入されたカードがグループ未登録の会員カード32でない場合は(A4:NO)、挿入されたカードがグループ登録済みの会員カード32であるかを判定する(A8)。挿入されたカードがグループ登録済みの会員カード32である場合は(A8:YES)、所属するメンバーの読込を行い(A9)、図3(b)に示すように、表示画面9bに所属するメンバー画面を表示する(A6)。
【0026】
管理装置4は、カード挿入口9aに挿入されたカードがグループ登録済みの会員カード32でない場合は(A8:NO)、エラーであるとして該当するエラー内容に応じた画面を表示画面9bに表示する(A10)。例えば、挿入されたカードが会員カード32でない旨を表示する。そして、グループ登録の終了操作があれば(A7:YES)、リターンする。ここで、グループ登録の終了操作として、遊技者は、図3(b)に示す表示画面9bの「登録完了」の表示をタッチ操作する。なお、グループ登録を望まない遊技者が誤って会員カード32を挿入したときなどの場合は、「戻る」の表示をタッチ操作して、表示画面9bを初期画面に戻す。
【0027】
遊技者は、情報端末機9においてグループ登録を完了すると、複数の遊技機2の中から一台の遊技機2を選んで、当該遊技機2のカード挿入口23に会員カード32を挿入し、口座引出操作、又は、現金に基づく貸出操作を行うことで遊技価値(玉)を得て、得た玉を使用して遊技を開始する。
管理装置4は、図8に示す投資データ管理処理において、グループ所属の遊技者かを判定し(B1)、グループ所属の遊技者であれば(B1:YES)、口座引出操作、又は、現金に基づく貸出操作が有ったかを判定するようになる(B2)。遊技者により、口座引出操作、又は、現金に基づく貸出操作が有った場合は(B2:YES)、当該遊技者に関する投資データに対応する数(玉数)を加算し(B3)、リターンする。すなわち、現金に基づく投資額を貸出玉数に変更し、口座から引き出した玉数と合わせて投資データとして扱う。グループ所属の遊技者でない場合(B1:NO)、あるいは、口座引出操作、又は、現金に基づく貸出操作がない場合は(B2:NO)、リターンする。
このようにして、管理装置4は、グループ登録された各遊技者の投資データ、すなわち、口座操作により個人口座から引き出された玉数、又は、現金に基づく貸出操作により付与された玉数を個別に管理している。
【0028】
さて、遊技者は、遊技を進行させることにより、入賞や大当たり当選などにより遊技機2から遊技価値である玉を獲得する。管理装置4は、図9に示す獲得データ管理処理において、グループ所属の遊技者かを判定し(C1)、グループ所属の遊技者であれば(C1:YES)、計数部24において当該遊技者が獲得した玉の計数が有ったか(C2)、獲得データ(付与データに相当)に基づく貸出操作が有ったかを判定する(C4)。
管理装置4は、獲得した玉の計数が有った場合は(C2:YES)、遊技者に関する獲得データに獲得数(獲得玉数)を加算し(C3)、リターンする。ここで、獲得データとは、払出玉数、いわゆる当日玉をいう。獲得データに基づく貸出操作が有ったときは(C4:YES)、遊技者に関する獲得データから獲得数を減算し(C5)、リターンする。
このように、管理装置4は、遊技が進行する上で遊技機2が遊技者に付与した遊技価値の大きさを特定可能な付与データ(獲得データ)をグループ内の遊技者について集計している。
【0029】
本実施形態では、遊技者の収支データが所定値以上マイナスになると、遊技の実行が抑止される遊技抑止状態が設定され得るようになっている。以下、この遊技抑止状態の設定について説明する。
管理装置4は、図10に示す遊技抑止状態設定処理において、グループに所属する遊技者かを判定し(D1)、グループ所属の遊技者であれば(D1:YES)、貸出装置3の情報表示部17に、所属するグループ内のメンバーの投資データ(D2)、所属するグループ内のメンバーの獲得データ(D3)、及び、所属するグループ内のメンバーの収支データを表示する(D4)。ここで、収支データとは、獲得データから投資データを差し引いたものである。これら投資データ、獲得データ、及び、収支データは、常に表示されていて、遊技の進行に伴ってデータが変わる度に更新される。
【0030】
遊技者は、図4に示すように、情報表示部17において、所属するグループのメンバーの投資データ、獲得データ、及び収支データを確認することができる。また、情報表示部17には、グループのメンバー全員の合計投資データ、合計獲得データが表示されるとともに、会員カード32を挿入した遊技者が精算を行った場合の獲得数が表示される。図4は、カード挿入口23に会員カード32を挿入した遊技者が「Cさん」である場合を例示するものであり、「Cさん」を「あなた」として表示し、他のメンバーとして「Aさん」と「Bさん」が表示されている。そして、「あなた」の投資データが5000個で、獲得データが28000個であるので、収支データが、28000−5000=23000(プラス23000)個と表示されている。
【0031】
ここで、管理装置4は、グループ内に所定値(例えば7500個)以上のマイナスの収支データである遊技者(負越遊技者に相当)がいるかを判定する(D5)。グループ内に所定値以上のマイナスの収支データである遊技者がいる場合は(D5:YES)、図4に示すように、該当する遊技者(図4ではBさん)を太枠線で囲い表示して報知する(D6)。次に、台データ表示操作が有ったかを判定し(D7)、台データ表示操作が有った場合、すなわち、遊技者が情報表示部17の太枠線内をタッチ操作した場合は(D7:YES)、情報表示部17に負越遊技者の台データ(遊技機2に関する遊技データに相当)を表示するとともに(D8)、負越遊技者の個人収支データ(投資データ及び獲得データの集計結果)を表示する。ここで、台データとは、図5に示すように、前回の大当たりからのスタート回数、大当たり回数などを示す。なお、管理装置4は、カード挿入口23に挿入されている会員カード32の情報に基づいて遊技者が遊技を行っている遊技機2を特定している。
【0032】
続いて、管理装置4は、閲覧している遊技者が、所定値(例えば10000個)以上のプラスの収支データである遊技者(勝越遊技者に相当)かを判定し(D9)、所定値以上のプラスの遊技者(図5ではCさん)であれば(D9:YES)、遊技抑止状態の設定画面を、情報表示部17における負越遊技者(図5ではBさん)の台データ表示の下側に表示する(D10)。具体的には、図5に示すように、遊技抑止状態設定画面として、太枠線内に、「Cさんは大幅プラスのため、Bさんを遊技不能にできます。Bさんを遊技不能とするなら枠内をタッチしてください。」と表示される。なお、図5に示す遊技抑止状態設定画面の表示になってから所定時間(例えば10秒)経過すると、図4に示す表示に自動的に戻るようになっている。
【0033】
次に、ステップD6で報知した負越遊技者(マイナス遊技者)に対し、遊技抑止状態の設定操作が有ったかを判定し(D11)、遊技抑止状態の設定操作が有った場合、具体的には、図5に示す情報表示部17における太枠線内を勝越遊技者がタッチ操作した場合は(D11:YES)、当該マイナス遊技者に対して遊技抑止状態を設定し(D12)、他の所属メンバーに対して遊技抑止状態の設定を報知する(D13)。図6に示す例では、Bさんが所定値以上のマイナスの収支データであり、Bさんに対して遊技抑止状態の設定がされていて、Bさんのデータが太枠線で囲い表示されていると共に、矢印で指示されて「遊技不能」である旨が表示されている。
【0034】
ここで、遊技抑止状態とは、本実施形態では、獲得データ、個人口座の口座残高に基づく玉の貸出、及び、現金に基づく玉の払出が実行できない状態をいう。なお、口座残高に基づく玉の貸出、現金に基づく玉の払出は実行可能とするが、これらを投資データとして扱わない状態を遊技抑止状態としてもよい。
遊技抑止状態の設定の報知は、グループ内のメンバーに対して、例えば、各遊技者が遊技を行っている遊技機2の情報表示部17に、「AさんによりBさんが遊技不能に設定されました」というメッセージを表示して行う。
このように、管理装置4は、所定値以上収支データがプラスである勝越遊技者の操作に基づいて、所定値以上収支データがマイナスである負越遊技者を、遊技抑止状態に設定する。この遊技抑止状態の設定は、以下の遊技抑止状態解除処理により解除可能となっている。
【0035】
管理装置4は、図11に示す遊技抑止状態解除処理において、グループに所属する遊技者かを判定し(E1)、グループに所属する遊技者であれば(E1:YES)、グループ内に遊技抑止状態のメンバーがいるかを判定する(E2)。グループ内に遊技抑止状態のメンバーがいる場合は(E2:YES)、図6に示すように、遊技抑止状態のメンバーを情報表示部17に太枠線で囲い表示する(E3)。
続いて、管理装置4は、情報表示部17を閲覧している遊技者が所定値(例えば10000個)以上のプラスの収支データである遊技者(勝越遊技者)かを判定する(E4)。当該遊技者が所定値以上プラスの収支データである遊技者であれば(E4:YES)、遊技抑止状態解除画面を表示する(E5)。図6に示す例では、遊技抑止状態になっているメンバー(Bさん)を矢印で指示し、「遊技不能」に続けて「解除可能」と表示している。
【0036】
勝越遊技者が、遊技抑止状態の解除操作を実行、すなわち、図6に示す情報表示部17の太枠線内をタッチ操作すると、遊技抑止状態の解除操作が有ったと判定し(E6:YES)、遊技抑止状態の解除操作が実行されたメンバーの遊技抑止状態を解除し(E7)、所属メンバーに対して遊技抑止状態の解除を報知する(E8)。具体的には、例えば、「AさんによりBさんの遊技抑止状態が解除されました」というメッセージをグループの各遊技者の情報表示部17に表示する。
このように、管理装置4は、所定値以上のプラスの収支の勝越遊技者が、所定値以上のマイナスの収支の負越遊技者における遊技抑止状態を解除できるようにしている。
【0037】
さて、グループ登録した各遊技者は、遊技を終了して遊技場から退場する際や、途中でグループから抜けて遊技を続ける場合に、情報端末機9にて精算を行う。具体的には、図3(a)に示す表示画面9bにおいて、「グループ登録の解除」の表示をタッチ操作するとグループ登録を解除でき、「精算」の表示をタッチ操作すると精算ができる。
管理装置4は、図12に示す精算実行処理において、精算操作が有ったかを判定し(F1)、精算操作が有った場合、すなわち、遊技者が表示画面9bにおける「精算」の表示の太枠線内をタッチ操作した場合は(F1:YES)、後述する獲得データ配分処理を実行し(F2)、当該遊技者のグループ登録の解除を実行する(F3)。また、精算操作がない場合は(F1:NO)、グループ登録の解除操作が有ったかを判定し(F4)、グループ登録の解除操作が有った場合、すなわち、遊技者が表示画面9bにおける「グループ登録の解除」の表示の太枠線内をタッチ操作した場合は(F4:YES)、後述する獲得データ分配処理を行い(F5)、登録解除が選択された遊技者をグループ登録から解除する(F6)。
【0038】
このように、管理装置4は、遊技者が情報端末機9にて、予め定められた精算操作を実行した場合、後述する分配処理を行って遊技者の獲得玉(付与データの値)の精算を行った後、当該遊技者のグループ登録を解除する。また、管理装置4は、遊技者がグループ登録解除操作を実行した場合、グループ内の遊技者のうちいずれかの遊技者がグループから脱退したことを特定すると共に、グループから遊技者が抜けたと特定すると、遊技者の獲得玉の分配を実行する。
【0039】
図13は、上記した獲得データ分配処理を示すフローチャートである。管理装置4は、図13において、グループ内の合計投資データを算出し(G1)、グループ内の合計獲得データを算出し(G2)、後述のように分配した場合に変更する獲得データを遊技者ごとにそれぞれ算出し(G3)、各遊技者の獲得データをそれぞれ変更する(G4)。
ここで、獲得データの分配方法について説明する。本実施形態においては、ステップG2において算出した合計獲得データを、ステップG1において算出した合計投資データと各遊技者の投資データとの割合に応じて分配する。すなわち、各遊技者の獲得玉を、(グループ内の合計獲得データ)×(遊技者の投資データ)÷(グループ内の合計投資データ)により算出する。図4に示す例では、「あなた」が精算を行うと、11546個のパチンコ玉を獲得することができる旨が表示されている。この例では、合計投資玉数が13750個、合計獲得玉数が31750個、「あなた」の投資玉数が5000個である。したがって、精算を行った場合の「あなた」の獲得玉数は、31750×5000÷13750=11546個と算出されるものである。なお、小数点以下は繰り上げて玉数を算出する。
【0040】
このように、管理装置4は、グループ内の獲得データの合計、投資データの合計を算出し、各遊技者の投資データの値を加味して、合計獲得データを各遊技者に分配する。すなわち、投資データの値が大きい遊技者に対して、投資データの値が小さい遊技者よりも振り分ける値が大きくなるように付与データの値の分配を実行する。
【0041】
さて、管理装置4は、遊技機2を設置している遊技場の閉場(閉店)時間になると、遊技者の個人口座の預入情報を調整することで、グループ内の合計獲得データ(付与データ)の値を分配する。
図14は、強制精算処理を示すフローチャートであり、管理装置4は、図14において、閉店時間かどうかを判定しており(H1)、閉店時間になると(H1:YES)、登録されている各グループの合計投資データをそれぞれ算出するとともに(H2)、登録されている各グループの合計獲得データをそれぞれ算出する(H3)。
【0042】
続いて、管理装置4は、各登録グループについて、所属メンバーである各遊技者に対応する変更獲得データをそれぞれ算出する(H4)。各遊技者の変更獲得データは、ステップH2で算出した合計投資データ、ステップH3で算出した合計獲得データに基づいて、上記した分配処理を行うことで求められる。そして、変更する獲得データに基づいて各遊技者の口座残高を変更し(H5)、グループ登録の解除を行う(H6)。
【0043】
このように、管理装置4は、閉店時間になっても、精算が実行されていない場合は、強制的に分配処理を実行してグループ登録を解除する。複数のグループの登録が未完了になっている場合も、各グループ登録の解除を実行する。なお、本実施形態では、グループ登録していない遊技者の獲得データを、各遊技者の個人口座における貯玉にこのタイミングで変換している。
【0044】
このような本実施形態の遊技場用システム1によれば、次のような効果を奏することができる。
グループ登録をした複数の遊技者の間で獲得玉(付与データ)の共有ができるとともに、負越遊技者に対して遊技抑止状態を設定可能とすることで、グループ内に大負けする遊技者が発生することを抑制できる。これにより、負越遊技者の負け分(収支データのマイナス分)が他の遊技者の獲得玉に与える影響を少なくすることができ、負越遊技者に対して他の遊技者が不満を抱くことを抑制できる。その結果、遊技者にグループによる遊技を促すことができる。
【0045】
また、勝越遊技者が負越遊技者の遊技抑止状態を設定する際、貸出装置3の情報表示部17に、負越遊技者が遊技を行っている遊技機2に関する台データ、及び、負越遊技者の収支データが表示されるので、勝越遊技者は、これらのデータを考慮して遊技抑止状態を設定するか否かの判断をすることができる。これにより、負越遊技者が遊技者に有利な遊技機2にて遊技を行っているにも関わらず、たまたま負け越している場合に、遊技抑止状態が設定されてしまうことを抑制でき、単に投資データの上限を設けて遊技抑止状態の設定を行う場合に比べて、より好適に遊技抑止状態の設定を行うことができる。
さらに、勝越遊技者が自らの判断で、負越遊技者を遊技抑止状態に設定して、勝越遊技者の獲得玉が負越遊技者に多く分配されてしまうのを抑制できるので、勝越遊技者が負越遊技者に対して不満を抱くことを抑えることができる。
【0046】
また、一度遊技抑止状態に設定された負越遊技者であっても、勝越遊技者により遊技抑止状態が解除される可能性がある。このため、遊技抑止状態の負越遊技者が、他の遊技者によりグループ内の合計獲得データが大きく増加した場合などに、遊技抑止状態が解除されてグループによる遊技を再開できるという期待を持つことができる。これにより、グループによる遊技の興趣を高めることができる。
【0047】
本実施形態では、各遊技者の投資データの値(各遊技者の個人口座から引き出された玉数、又は、貸出玉数)を加味して付与データの値(グループ内の合計獲得玉数)を分配することで、付与された遊技価値(獲得玉数)の分配を好適且つ円滑に行うことができる。これにより、グループ登録を行った状況における遊技を遊技者に促すことができ、グループによる遊技場への来場頻度を増加させる効果を期待できる。
また、遊技者の投資データの大きさに比例して合計獲得データを各遊技者に分配するので、実際には遊技を行っていないにも関わらず、遊技価値の分配だけを受けようとする遊技者が発生することを抑制できる。
管理装置4は、グループ登録した各遊技者の預入情報を個人口座に累積的に記憶するとともに、個人口座から遊技者が引き出した遊技価値のデータを集計して管理しているので、遊技者が投資した遊技価値の大きさを正確に把握することができる。
【0048】
閉場(閉店)時間になっても、遊技者により精算が実行されていなかった場合は、強制的にグループ内の合計獲得データを各遊技者に分配するので、遊技者が精算を実行し忘れて、遊技価値の分配を行えないままになってしまうことを防ぐことができる。
また、閉店となった後に、遊技価値の分配を実現するためのデータを記憶し続ける必要がなくなる。これにより、遊技価値の分配を実現するために必要となる記憶領域を最小限にすることができる。
【0049】
本実施形態では、各遊技者が精算操作を実行した場合、グループ登録解除操作を実行した場合、及び閉店時間になった場合に、管理装置4が各遊技者の個人口座を管理することにより分配処理を実行するので、分配を行うタイミングにおいてグループ内の遊技者全員が遊技場内に滞在している必要がなくなる。この結果、遊技を終了させた遊技者が、グループによる遊技価値の分配を行うために、他のメンバーの遊技終了を待つ必要がなくなる。
また、複数の遊技者のうち、いずれかの遊技者がグループから脱退する度にグループ内の合計獲得データの分配を実行するので、途中で遊技価値の共有を望まなくなった遊技者が発生した場合や、途中で遊技の終了を望む遊技者が発生した場合にも、良好に対応することができる。
貸出装置3の情報表示部17により所属するグループ登録した各遊技者の投資データ、獲得データ、及び、収支データを確認しながら遊技を行うことができるので、グループによる遊技を行っていることがよく分かり、遊技者の興趣を高めることができる。
【0050】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張できる。
所定値以上のプラスの収支データである勝越遊技者がいない場合でも、負越遊技者とは異なるいずれかの遊技者の遊技抑止操作に基づいて、負越遊技者に対して遊技抑止状態の設定や解除を行うことができるようにしてもよい。また、遊技抑止状態の設定対象となる遊技者を収支データ、すなわち獲得データと投資データとの差で決定しなくてもよく、例えば、獲得データを参照することなく、投資データの値のみによって遊技抑止状態の設定対象となり得る遊技者を決定するようにしてもよい。さらに、遊技抑止状態の設定対象となり得る遊技者を、遊技を開始してからのセーフとアウトとの差から決定するようにしてもよい。セーフとアウトとの差にて決定する場合、各遊技者の投資データを管理しなくてもよい。この場合、アウト信号にてグループ内の遊技者の投資データを管理するようにすれば、遊技機2毎に計数部24が設けられていなくてもよい。本構成においては管理装置4が、アウトデータ集計手段及びセーフデータ集計手段として機能する。
【0051】
遊技抑止状態は、玉の貸出を停止するものに限らず、遊技の進行を抑止できるものであればよく、遊技抑止状態の内容は適宜変更してもよい。例えば、遊技機にて玉の発射を不可とすることや遊技機からの玉の払出を不可とすることで遊技抑止状態としてもよい。または、遊技抑止状態では、精算ができないものとしてもよい。
また、口座残高に基づく玉の貸出、現金に基づく玉の払出は実行可能とするが、これらを投資データとして扱わない状態を遊技抑止状態とした場合、遊技抑止状態に設定された負越遊技者であっても、所定値以上獲得データの値を大きくさせたときには、遊技抑止状態が解除されるようにしてもよい。
【0052】
遊技抑止状態を設定する場合に情報表示部17に表示する台データの内容は適宜変更してもよい。例えば、遊技抑止状態の設定対象である遊技者が何番台で遊技を行っているかという情報のみを表示するようにしてもよい。また、何番台で遊技を行っているかを表示することに加えて、その当日の差玉数(払出玉数から使用玉数を差し引いた玉数)を表示するようにしてもよい。また、遊技抑止状態の設定対象でない遊技者の台データを表示できるようにしてもよい。
【0053】
本実施形態では、管理装置4にて各遊技者の個人口座の各種データを集計管理するものとしたが、グループ口座(共有口座)を設けて管理する構成にしてもよい。具体的には、グループ登録を行う際に、グループ内の遊技者間で遊技価値の共有が可能なグループ口座を開設して、グループによる遊技中には、このグループ口座内において各遊技者の投資データ、獲得データ、収支データを集計して管理するようにしてもよい。この場合、管理装置4は、獲得データを遊技者個別に集計する必要はなく、精算時にグループ口座内の合計獲得データを各遊技者の個人口座へ分配すればよい。また、遊技抑止状態設定の判定は、各遊技者の収支データの値ではなく、投資データの値に基づいて判定すればよい。なお、本構成においては、口座を共有しているグループ内で遊技抑止状態を設定できれば、共有口座の遊技価値を各遊技者の個人口座に分配しなくてもよい。この場合、遊技抑止状態となっていない遊技者が共有口座の遊技価値をその都度使用して遊技を行うようにすればよい。
【0054】
また、本実施形態では、グループ内の合計投資データに対する各遊技者の投資データの割合に基づいて、グループ内の合計獲得データを分配するようにしたが、分配方法はこれに限らず、例えば、各遊技者の使用玉数(アウト玉数)に応じて分配するようにしてもよい。この場合、グループ内の合計アウト玉数に対する各遊技者のアウト玉数の割合に基づいて、グループ内の合計獲得データを分配する。
【0055】
獲得データ(付与データ)の値と投資データの値との差、すなわち、収支データの値がグループ内の各遊技者において等しくなるように、グループ内の合計獲得データを分配するようにしてもよい。これにより、グループ内の各遊技者の収支データが均等となるようにグループによる遊技を行うことができる。遊技者によっては、グループ内の各遊技者間において大きく収支に差が生じる場合、グループによる遊技に対して不満を持つことが考えられる。本構成によれば、グループ内における収支を等しくできるため、グループ内の各遊技者にて収支を等しくしたいと考える遊技者に対してグループによる遊技を促すことができる。
上記構成においては、精算時に獲得データ及び口座残高の両方が不足する遊技者が発生し得る。この場合、不足が発生した遊技者に対して、他の遊技者に現金を渡すことを促すメッセージを表示画面9bに表示するようにしてもよい。このとき、各遊技機2の獲得データを計数する必要はなく、遊技者が遊技を終了して遊技価値を計数した際に、会員カード32と計数した遊技価値を対応付けることで獲得データを管理できる。また、獲得データの不足を補充するように現金投入を促す旨を表示画面9bに表示し、現金投入後に獲得データを精算するようにしてもよい。
さらに、グループ内の各遊技者の収支データがすべてプラスである場合、または、すべてマイナスである場合、グループによる遊技価値の共有がなかったものとして、精算時に分配処理を実行しないようにしてもよい。
【0056】
また、獲得データから投資データを差し引いた収支データが正(プラス)となる遊技者は、収支データが負(マイナス)となる遊技者よりも分配が有利になるように分配してもよい。例えば、収支データがプラスの遊技者が、収支データがマイナスにならないように分配するようにしてもよい。または、収支データがプラスの遊技者は、収支データがマイナスの遊技者のマイナスの収支分までしか補填しないように分配してもよい。この場合、収支データがマイナスの遊技者がプラスの収支データになることがない。これにより、収支データがプラスの遊技者がマイナスの収支データの遊技者に対して不満を抱くことを抑制することができる。
【0057】
本実施形態では、グループのメンバーのいずれか一人でも途中でグループから抜ける場合には、その都度精算を行うようにしたが、これに限らず、例えば、途中でグループ登録を解除した遊技者が、登録解除時に精算を実行するか否かを選択できるようにしてもよい。そして、遊技者が精算を行わないでグループ登録の解除を実行する場合は、当該遊技者の投資データ及び獲得データを登録解除時の値に確定するとともに、グループ登録解除後は、所属していたグループの収支データとは関係なく遊技を続行できるようにしてもよい。
【0058】
再プレイ手数料が発生する場合の当該手数料や、獲得玉と景品交換時の遊技価値の交換率が等価でない場合の当該換金ギャップを加味して、獲得データや投資データを管理するようにしてもよい。ここで、再プレイ手数料とは、遊技場側が利益を損なわないために、遊技者が再プレイサービスにより玉を払い出す際に、換金率や時間帯に応じて徴収する手数料(貯玉)のことである。また、換金率とは、貸出時の貸出玉1個あたりの金額と、換金する際のパチンコ玉1個あたりの金額との割合である。例えば、1個4円で貸し出された玉が、換金時に1個あたり3.2円で換金されれば、換金率は80パーセントとなる。
本実施形態では、会員カード32を記憶媒体としたが、これに限らず、例えば、記憶媒体としてビジター用の収支共有カードを予め店舗にて設定しておき、それを非会員の遊技者に貸与するようにしてもよい。
【0059】
本発明は、パチンコ遊技機を備えた遊技場用システムに適用したが、スロットマシンを備えた遊技場用システムに適用してもよい。
また、上記した実施形態では、玉を払い出すことで直接遊技者に遊技価値を付与するものとしたが、クレジットや得点を遊技者に付与し、そのクレジットや得点を使用することで、玉を発射するなどの遊技が進行する遊技機に本発明を適用してもよい。つまり、遊技価値の付与には、遊技価値を直接遊技者に払い出すものが含まれるだけでなく、クレジットなどのようにデータとして間接的に遊技者に付与するものが含まれる。具体例として、封入式のパチンコ遊技機や、完全クレジット式のスロットマシンに本発明を適用することが可能である。
上記した実施形態における数値は一例であり、適宜の数値を採用すればよい。
【符号の説明】
【0060】
図面中、1は遊技場用システム、2は遊技機、3は貸出装置、4は管理装置(グループ情報記憶手段、遊技特定手段、投資データ集計手段、付与データ集計手段、報知手段、遊技抑止状態設定手段、アウトデータ集計手段、セーフデータ集計手段)、16は払出装置(付与手段)、32は会員カード(記憶媒体)、33はカードリーダ(遊技機用読取手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技者をグループ化して記憶するグループ情報記憶手段と、
同じグループ内に属する遊技者であることを特定可能な情報を記憶した記憶媒体と、
遊技機に1対1で対応して設けられ、前記記憶媒体に記憶された情報を読取る遊技機用読取手段と、
前記遊技機用読取手段の情報の読取結果から前記グループ内の遊技者が遊技を行っていることを特定する遊技特定手段と、
遊技者が遊技に投資した遊技価値の大きさを特定可能な投資データを前記グループ内の遊技者について個別に集計する投資データ集計手段と、
遊技者に遊技価値を付与する付与手段と、
遊技機に1対1で対応して設けられ、遊技が進行する上で遊技者に付与した遊技価値の大きさを特定可能な付与データを前記グループ内の遊技者について集計する付与データ集計手段と、を備え、前記グループ内の遊技者にて前記付与データを共有又は分配可能とする遊技場用システムであって、
前記グループ内の遊技者のうち、前記投資データが所定値以上となっている、又は、前記投資データとその遊技者個人の前記付与データとで前記投資データの方が所定値以上大きくなっている負越遊技者が遊技を行っている遊技機に関する遊技データと、その遊技者の前記投資データ及び前記付与データの集計結果と、を対応付けて前記グループ内のその他の遊技者に対して報知する報知手段と、
前記グループ内の前記負越遊技者とは異なる遊技者の遊技抑止操作に基づいて、前記負越遊技者に対して遊技の実行を抑止する遊技抑止状態を設定する遊技抑止状態設定手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用システム。
【請求項2】
前記遊技抑止状態設定手段は、前記グループ内の遊技者のうち、前記投資データと前記付与データとで前記付与データの方が所定値以上大きくなっている勝越遊技者による前記遊技抑止操作に基づき、前記負越遊技者に対して前記遊技抑止状態を設定することを特徴とする請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
複数の遊技者をグループ化して記憶するグループ情報記憶手段と、
同じグループ内に属する遊技者であることを特定可能な情報を記憶した記憶媒体と、
遊技機に1対1で対応して設けられ、前記記憶媒体に記憶された情報を読取る遊技機用読取手段と、
前記遊技機用読取手段の情報の読取結果から前記グループ内の遊技者が遊技を行っていることを特定する遊技特定手段と、
遊技者が遊技に使用した遊技価値の大きさを特定可能なアウトデータを前記グループ内の遊技者について個別に集計するアウトデータ集計手段と、
遊技者に遊技価値を付与する付与手段と、
遊技が進行する上で前記付与手段が遊技者に付与した遊技価値の大きさの合計を特定可能なセーフデータを前記グループ内の遊技者について集計するセーフデータ集計手段と、を備え、前記グループ内の遊技者にて前記アウトデータと前記セーフデータとの差を示す収支データを共有又は分配可能とする遊技場用システムであって、
前記グループ内の遊技者のうち、遊技者個人の前記アウトデータと前記セーフデータとで前記アウトデータの方が所定値以上大きくなっている負越遊技者が遊技を行っている遊技機に関する遊技データと、その遊技者個人の前記収支データと、を対応付けて前記グループ内のその他の遊技者に対して報知する報知手段と、
前記グループ内の前記負越遊技者とは異なる遊技者の遊技抑止操作に基づいて、前記負越遊技者に対して遊技の実行を抑止する遊技抑止状態を設定する遊技抑止状態設定手段と、を備えたことを特徴とする遊技場用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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