説明

遊技媒体管理システム

【課題】遊技客に負荷をかけることなく、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても持玉による遊技を実現すること。
【解決手段】会員が保有する遊技媒体数を示す貯玉数を遊技媒体の貸出レートごとに会員識別子に関連付けて管理装置が記憶し、所定の移行指示を受け付けた場合に、遊技客が獲得した遊技媒体数を示す持玉数を当該持玉数の貸出レートに対応する貯玉数へ管理装置が移行し、記録媒体に関連付けられた会員識別子に基づいて貯玉数を各台装置が取得し、記憶された貯玉数から取得された貯玉数に基づいて遊技媒体の払出を各台装置が行うことができるように遊技媒体管理システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遊技店の会員を識別する会員識別子に基づいて前記会員を管理する管理装置および遊技台ごとに設けられる各台装置を有する遊技媒体管理システムに関し、特に、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても持玉による遊技を実現することができる遊技媒体管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ機やパチスロ機といった遊技台が設置されるパチンコ店等の遊技店では、遊技店の会員を募集して集客力の強化を図っている。そして、各遊技店では、会員登録を行った会員に対して貯玉口座を開設し、貯玉した遊技媒体によって会員が再プレイ(再遊技)することができる会員サービスを提供している。
【0003】
なお、「貯玉」とは遊技客が獲得した遊技媒体を遊技店に預けることができるサービスのことで、遊技店側は、遊技客が預けた遊技媒体数を貯玉口座ごとに管理する。そして、遊技客は、当日または翌日以降に貯玉口座から遊技媒体を払出して遊技台で遊技すること、すなわち、再プレイすることができる。
【0004】
また、遊技客が獲得した遊技媒体(以下、「持玉」と記載する)の数が関連付けられた記録媒体、たとえば、会員に対して発行された会員カードを用いて、遊技客は他の遊技台へ移動して遊技することもできる。なお、会員カードに関連付けられた持玉数の使用期限を設けている遊技店もあり、たとえば持玉数の使用期限を当日限りとしている遊技店もある。
【0005】
このような遊技店で、遊技客はかかる会員カードを遊技店のカウンタへ持参することなく帰ってしまった場合、すなわち、持玉を貯玉に移行する処理をしないで帰ってしまった場合には、翌日以降に持玉を用いて遊技することはできない。このため、遊技客は不利益を被ってしまうことになる。
【0006】
そこで、特許文献1には、遊技客の貯玉移行処理忘れの対応策として、閉店後に会員カードに関連付けられた持玉を、自動的に貯玉に移行する処理を行う遊技媒体管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−17348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の遊技媒体管理システムには、遊技客は会員カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台で会員カードを用いた再プレイができないという問題があった。たとえば、4円レートの持玉数が関連付けられた会員カードを用いて、遊技客は1円レートの遊技台で遊技することができない。
【0009】
ここで、「貸出レート」とは遊技媒体の貸出を行う際の遊技媒体の単位当たりの価格のことで、近年では、店内で複数種類の貸出レートによる遊技媒体の貸出を行っている遊技店も多くみられる。
【0010】
このように、従来の遊技媒体管理システムを用いた場合には、1枚の会員カードでレート間をまたがった再プレイを行うことはできない。このため、遊技客がレート間をまたがって再プレイしたい場合には、遊技客は貸出レートごとに持玉数が関連付けられたカードを持つ必要があり、遊技客にとって煩わしいという問題があった。
【0011】
これらのことから、遊技客に負荷をかけることなく、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても持玉による遊技を実現することができる遊技媒体管理システムをいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0012】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なるレートの遊技台であっても持玉による遊技を実現することができる遊技媒体管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、遊技店の会員を識別する会員識別子に基づいて前記会員を管理する管理装置および遊技台ごとに設けられる各台装置を有する遊技媒体管理システムであって、前記管理装置は、前記会員が保有する遊技媒体数を示す貯玉数を前記遊技媒体の貸出レートごとに前記会員識別子に関連付けて記憶する貯玉記憶手段と、所定の移行指示を受け付けた場合に、遊技客が獲得した前記遊技媒体数を示す持玉数を当該持玉数の貸出レートに対応する前記貯玉数へ移行する移行手段とを備え、前記各台装置は、記録媒体に関連付けられた前記会員識別子に基づいて前記貯玉数を取得する貯玉情報取得手段と、前記貯玉記憶手段によって記憶された前記貯玉数から前記貯玉情報取得手段によって取得された前記貯玉数に基づいて前記遊技媒体の払出を行う払出手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記移行手段に対して前記移行指示を行う移行指示手段をさらに備え、前記移行指示手段は、前記記録媒体に関連付けられた前記持玉数の前記貸出レートと当該各台装置の前記貸出レートとが異なる場合に、前記移行指示を行うことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記各台装置は、前記遊技客が獲得した前記遊技媒体を計数値として計数する計数手段をさらに備え、前記移行指示手段は、前記計数手段による計数が開始された後に、前記移行指示を行うことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記移行指示手段は、前記各台装置が、前記遊技客が獲得した前記遊技媒体を計数値として計数する機能を有しない場合には、ただちに前記移行指示を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記管理装置は、前記遊技媒体の払出に伴う所定の手数料を設定する手数料設定手段をさらに備え、前記払出手段は、前記遊技媒体の払出を行う場合に、前記手数料設定手段によって設定された前記手数料に相当する前記遊技媒体数を前記貯玉数から差し引くことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、上記の発明において、前記移行手段は、前記持玉数の前記貸出レートに対応する前記貯玉数と前記持玉数との合算値が所定の閾値を超えていない場合に、前記持玉数を前記貯玉数へ移行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、遊技店の会員を識別する会員識別子に基づいて会員を管理する管理装置および遊技台ごとに設けられる各台装置を有する遊技媒体管理システムであって、会員が保有する遊技媒体数を示す貯玉数を遊技媒体の貸出レートごとに会員識別子に関連付けて管理装置が記憶し、所定の移行指示を受け付けた場合に、遊技客が獲得した遊技媒体数を示す持玉数を当該持玉数の貸出レートに対応する貯玉数へ管理装置が移行し、記録媒体に関連付けられた会員識別子に基づいて貯玉数を各台装置が取得し、記憶された貯玉数から取得された貯玉数に基づいて遊技媒体の払出を各台装置が行うこととしたので、複数種類の貸出レートによる遊技媒体の貸出を行っている遊技店で、遊技客に負荷をかけることなく、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても持玉による遊技を実現することができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、移行指示を行い、記録媒体に関連付けられた持玉数の貸出レートと当該各台装置の貸出レートとが異なる場合に、各台装置が移行指示を行うこととしたので、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても、遊技客に複雑な操作を強いることなく持玉による遊技を実現することができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、遊技客が獲得した遊技媒体を計数値として各台装置が計数し、
計数が開始された後に、管理装置に対して各台装置が移行指示を行うこととしたので、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても、遊技客に複雑な操作を強いることなく各台装置によって計数された持玉による遊技を実現することができるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、遊技客が獲得した遊技媒体を計数値として計数する機能を有しない場合には、ただちに各台装置が移行指示を行うこととしたので、計数機能なし各台装置であっても、遊技客に複雑な操作を強いることなく、遊技客の所有する持玉による遊技を実現することができるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明によれば、遊技媒体の払出に伴う所定の手数料を管理装置が設定し、遊技媒体の払出を行う場合に、設定された手数料に相当する遊技媒体数を貯玉数から差し引くこととしたので、遊技店は、遊技客に不利益が生じることのないようなサービスを提供することができるという効果を奏する。
【0024】
また、本発明によれば、持玉数の貸出レートに対応する貯玉数と持玉数との合算値が所定の閾値を超えていない場合に、持玉数を貯玉数へ管理装置が移行することとしたので、自動持玉移行処理によって移行される貯玉数が予め設定されている上限値を超えてしまうのを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明に係る遊技媒体管理システムの概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る遊技媒体管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、各台装置の外観図である。
【図4】図4は、本実施例に係る遊技媒体管理システムのシステム構成図である。
【図5】図5は、持玉情報の一例を示す図である。
【図6】図6は、貯玉情報の一例を示す図である。
【図7】図7は、貯玉移行パターンの一例を示す図である。
【図8】図8は、各台装置、持玉管理装置および貯玉管理装置が実行する貯玉移行処理手順その1の概要を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、各台装置、持玉管理装置および貯玉管理装置が実行する貯玉移行処理手順その2の概要を示すシーケンス図である。
【図10】図10は、各台装置が実行する移行判定処理手順の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0026】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る遊技媒体管理システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る遊技媒体管理システムの概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る遊技媒体管理システムについての実施例を図2〜図10を用いて説明することとする。
【0027】
まず、本発明に係る遊技媒体管理システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る遊技媒体管理システムの概要を示す図である。なお、図1の(A)には、従来技術に係る遊技媒体管理システムを、図1の(B)には、本発明に係る遊技媒体管理システムを、それぞれ示している。
【0028】
図1の(A)に示すように、従来技術に係る遊技媒体管理システムでは、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートのパチンコ機では、かかるカードを用いて再プレイすることができない。
【0029】
具体的には、従来技術に係る遊技媒体管理システムでは、遊技客が4円レートの持玉数1000玉が関連付けられた会員カードを持参して1円レートのパチンコ機へ移動して各台装置へ会員カードを挿入した場合、4円レートのカードは受け付けられず、返却されてしまう(図1の(A−1)参照)。
【0030】
したがって、従来技術に係る遊技媒体管理システムでは、遊技客は4円レートの持玉数が関連付けられた会員カードを用いて1円レートのパチンコ機で遊技することができないこととなる。このため、レート間をまたがって遊技する場合に、遊技客は貸出レートごとに持玉数が関連付けられたカードを持って遊技することとなり、遊技客にとっては煩雑であった。
【0031】
そこで、本発明に係る遊技媒体管理システムでは、図1の(B)に示すように、持玉数の貸出レートとパチンコ機のレートとが異なる場合、カードに関連付けられた持玉数を貯玉へと移行することによって、再プレイすることができるようにした。
【0032】
以下では、図1の(A)と同様に、遊技客が4円レートの持玉数1000玉が関連付けられた会員カードを持参して1円レートのパチンコ機へ移動して各台装置へ会員カードを挿入する場合について説明する。
【0033】
この場合、1円レートのパチンコ機に併設される各台装置では、まず挿入された4円レートの会員カードを受け付ける(図1の(B−1)参照)。そして、本発明に係る遊技媒体管理システムでは、持玉数の貸出レートとパチンコ機のレートとが異なるか否かを判定し、異なると判定した場合に、貯玉管理装置が持玉数を貯玉へと移行する(図1の(B−2)参照)。
【0034】
ここで、貯玉管理装置とは、遊技客が預けた遊技媒体の数、すなわち遊技店の会員が所有する貯玉数を貯玉情報として記憶する管理装置のことで、貸出レートごとに会員の貯玉数を管理している。
【0035】
このように、貯玉管理装置によって持玉数から貯玉へと移行された4円の貯玉数を1円レートの玉数に変換したうえで、1円レートのパチンコ機で遊技客は再プレイすることが可能となる(図1の(B−3)参照)。
【0036】
具体的には、貯玉へと移行された4円レートの貯玉数1000玉を、1円レートの玉数の玉数に変換すると、4000玉(1000玉×4円÷1円)となり、1円レートのパチンコ機で遊技客は4000玉分、払出すことができることとなる。
【0037】
このようにすることで、本発明に係る遊技媒体管理システムでは、遊技客に負荷をかけることなく、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートのパチンコ機であっても持玉数を用いて遊技することができる。以下では、図1を用いて説明した本発明に係る遊技媒体管理システムについての実施例を詳細に説明する。
【0038】
図2は、本実施例に係る遊技媒体管理システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、遊技媒体管理システムは、各台装置10と、持玉管理装置20と、貯玉管理装置30とを含んでいる。なお、図2では、各台装置10、持玉管理装置20および貯玉管理装置30の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
【0039】
また、図1では、持玉数が関連付けられた会員カードを使用するよう説明したが、会員カードの替わりに会員の所有する携帯端末へ持玉数を関連付けることもできる。以下では、会員が所有する会員カードを使用する場合について説明する。
【0040】
まず、各台装置10について説明する。図2に示すように、各台装置10は、通信I/F(インターフェース)11と、カードR/W部(リーダ/ライタ)12と、表示操作部13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。また、制御部15は、会員情報取得部15aと、移行判定部15bと、貯玉移行要求部15cと、貯玉払出部15dとをさらに備えており、記憶部14は、貸出レート14aと、貯玉情報14bとを記憶する。
【0041】
通信I/F11は、持玉管理装置20またはパチンコ機40との間で通信データの送受信を行う通信デバイスで構成されている。たとえば、通信I/F11は、各台装置10へ挿入された会員カードに関連付けられた持玉数や貯玉数等の会員情報を取得する際、カードIDを持玉管理装置20へ送信する。
【0042】
カードR/W部12は、遊技客が獲得したパチンコ玉(以下、「持玉」と記載する)の計数値、貯玉およびプリペイド価値が関連付けられた会員カード、および、持玉やプリペイド価値が関連付けられた一般カードの発行または受け付けを行う。
【0043】
具体的には、カードR/W部12は、会員カードを所有するカード会員が再プレイする場合は、持玉および貯玉が関連付けられた会員カードを受け付け、会員カードの識別子(以下、「カードID」と記載する)を読み込み、会員情報取得部15aへ渡す。
【0044】
一方、制御部15では、受け付けたカードIDに関連付けられている持玉数を持玉管理装置20から取得し、各台装置10は、取得した持玉数によってパチンコ玉の払出しを行う、すなわち、持玉遊技することができる。
【0045】
さらに、制御部15では、受け付けたカードIDに関連付けられている貯玉数を持玉管理装置20経由で貯玉管理装置30から取得し、各台装置10は、取得した貯玉数によってパチンコ玉の払出しを行うことによって、カード会員は再プレイすることとなる。
【0046】
また、カードR/W部12には、予め数枚の一般カードが装填されており、非会員の遊技客によってカード返却ボタンが押下された場合に、カードIDに対応付けて持玉数またはプリペイド価値を関連付けた一般カードを排出(発行)する。
【0047】
一方、カードR/W部12へ会員カードを挿入して遊技を行っているカード会員によってカード返却ボタンが押下された場合には、カードR/W部12は、会員カードのカードIDに対応付けて貯玉数、持玉数、または、プリペイド価値を関連付けて会員カードを返却する。
【0048】
なお、本実施例に係る遊技媒体管理システムでは、カードや会員カードのカードIDに関連付けて持玉数や貯玉数を管理することとした。しかし、カードや会員カードの替わりに遊技客の所有する携帯端末を、各台装置10に備える図示しない携帯読取部にタッチされた場合に、携帯端末の識別子であるIDmを読み取ることとしてもよい。
【0049】
この場合、持玉管理装置20や貯玉管理装置30では、IDmに関連付けて持玉数や貯玉数を管理することとなり、制御部15では、IDmに基づいてIDmに関連付けられている持玉数や貯玉数を取得し、パチンコ玉の払出しを行う。
【0050】
また、持玉管理装置20や貯玉管理装置30は、IDmの替わりとして携帯端末を一意に識別することができる情報、たとえば、電話番号やメールアドレスに関連付けて持玉数や貯玉数を管理してもよい。
【0051】
表示操作部13は、遊技客によって挿入されたカードのカードIDに関連付けられた持玉数や貯玉数の表示を行う表示部と、カード返却操作、パチンコ玉の払出指示操作、貯玉操作といった各種操作を受け付ける操作部とを備えている。
【0052】
たとえば、表示操作部13は、貯玉数によるパチンコ玉の払出指示操作を受け付ける貯玉払出ボタン等を備え、払出指示操作によってパチンコ玉の払出とともに貯玉数から払出数が減算され、貯玉数の残数を表示する。
【0053】
ここで、各台装置10の概要構成を説明するために、図3を用いて各台装置10の外観について説明しておく。図3は、遊技客の獲得した遊技媒体を計数する各台計数機能を有する各台装置10の外観図である。なお、同図には、各台装置10が併設されたパチンコ機40を破線で示している。
【0054】
図3に示すように、各台装置10は、各台装置10の装置状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部41と、パチンコ玉の払出のための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部42とを備えている。
【0055】
また、各台装置10は、貯玉払出操作等を受け付ける表示操作部13を備えている。各台装置10は、会員カードを受け付けて、暗証番号の照合後、表示操作部13に設けられる図示しない貯玉払出ボタンが押下された場合には、会員カードのカードIDに関連付けられた貯玉数から払出数を減算して、パチンコ機40からパチンコ玉を投出する。
【0056】
また、各台装置10は、パチンコ玉を払い出すノズルを備えた持玉払出部44と、持玉数や貯玉数が関連付けられたカード(会員カードまたは一般カード)の受け付け、会員カードの返却、一般カードの発行を行うカードR/W部12とを備えている。なお、カードR/W部12の内部には、数枚の一般カードが収納されているものとする。
【0057】
さらに、各台装置10は、携帯端末の識別子であるIDmを読み取る携帯読取部45と、獲得玉を計数する玉計数部46と、獲得玉を貯留する玉貯留部47とを備えている。各台装置10は、同図に示すパチンコ機40の下皿48から獲得玉を玉貯留部47へ誘導し、玉計数部46で獲得玉の数量を計数する各台計数機能を有する。玉貯留部47には、持玉数を表示する図示しない持玉表示部47aと、持玉の払出しを指示する図示しない持玉払出ボタン47bが配置される。
【0058】
そして、各台装置10は、持玉払出ボタン47bが押下された場合には、玉計数部46で計数された計数値から払出数を減算して、ノズルを備えた持玉払出部44経由でパチンコ機40へパチンコ玉を投出する。持玉を払出す際には、暗証番号の照合は必要ない。なお、持玉払出部44はなくてもよく、その場合は、貯玉と同様にパチンコ機40から持玉を投出するようにしてもよい。
【0059】
また、パチンコ機40の上皿49には、各台装置10の制御部15と電気的に接続されている玉貸ボタンとカード返却ボタンが設けられており、玉貸ボタンが押下された場合は、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機40から投出する。この場合、各台装置10は、紙幣挿入部42へ挿入された各種紙幣の残額あるいはカードR/W部12に挿入されたカードに関連付けられたプリペイド価値から所定額を減算する。カード返却ボタンが押下されると、持玉やプリペイド価値が関連付けられたカードが、カードR/W部12から返却(排出)される。
【0060】
なお、本実施例では、各台計数機能と玉貸機能とを兼ね備えた1台の各台装置10に対して本発明を適用した場合について説明したが、各台計数機能を有する第1の各台装置(計数サンド)と、玉貸機能を有する第2の各台装置(CRユニット)とを併設するシステム(ダブルサンド方式)に対して本発明を適用することとしてもよい。
【0061】
図2の説明に戻り、各台装置10についての説明をつづける。制御部15は、各台装置10の全体制御を行う制御部である。会員情報取得部15aは、カードR/W部12へ挿入された会員カードのカードIDに基づいて持玉情報22aおよび貯玉情報32aを取得する処理を行う処理部である。また、会員情報取得部15aは、取得した持玉情報22aおよび貯玉情報32aを移行判定部15bへ渡す処理を併せて行う。
【0062】
移行判定部15bは、会員情報取得部15aから受け付けた持玉情報22aに基づいて持玉数を貯玉へ移行するか否かを判定する処理を行う処理部である。具体的には、持玉情報22aに基づいてカードに関連付けられた持玉数のレートとパチンコ玉の貸出レートとが異なる場合に貯玉へ移行すると判定する。
【0063】
なお、移行判定処理の詳細については後述することとする。また、移行判定部15bは、持玉数を貯玉へ移行すると判定した場合、貯玉移行要求部15cへ貯玉要求指示を渡す処理を併せて行う。
【0064】
貯玉移行要求部15cは、移行判定部15bからの貯玉要求指示を受け付けたならば、持玉管理装置20の移行要求受付部23cへ持玉数の貯玉移行要求を送信する処理を行う処理部である。
【0065】
また、貯玉移行要求部15cは、貯玉管理装置30から持玉管理装置20を経由して貯玉移行処理が正しく行われた旨を受信したならば、貯玉情報14bを更新する処理を併せて行う。
【0066】
貯玉払出部15dは、表示操作部13に備える貯玉払出ボタンが押下されたことにより貯玉数によるパチンコ玉の払出指示操作を受け付けたならば、パチンコ玉の払出処理を行う処理部である。
【0067】
また、貯玉払出部15dは、パチンコ玉の払出とともに貯玉情報14bの貸出レートに対応する貯玉数から払出数が減算し、貯玉数の残数等を表示操作部13へ渡す処理を併せて行う。
【0068】
つぎに、持玉管理装置20の構成について説明する。持玉管理装置20は、通信I/F21と、記憶部22と、制御部23とを備えている。また、制御部23は、会員情報送信部23aと、貯玉情報取得部23bと、移行要求受付部23cとをさらに備えており、記憶部22は、持玉情報22aを記憶する。
【0069】
通信I/F21は、LANカード等の通信デバイスで構成されており、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、各台装置10、貯玉管理装置30および遊技店内に設置された各種機器との間のデータ送受信を行う。たとえば、通信I/F21は、各台装置10からカードIDとともに貯玉移行要求を受信する。
【0070】
記憶部22は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部22は、会員識別子に関連付けて持玉数と貸出レートとを持玉情報22aとして記憶する。なお、持玉情報22aの詳細については後述することとする。
【0071】
会員情報送信部23aは、会員情報取得部15aからカードIDを受け付けたならば、カードIDに基づいて貯玉管理装置30に記憶されている貯玉情報32aを貯玉情報取得部23b経由で取得する処理を行う処理部である。
【0072】
また、会員情報送信部23aは、カードIDに基づいて持玉情報22aを検索し、貯玉管理装置30から取得した貯玉情報32aとともに会員情報として各台装置10へ送信する処理を併せて行う。
【0073】
貯玉情報取得部23bは、会員情報送信部23aから受け付けたカードIDを貯玉情報送信部33aへ送信することによって、カードIDに関連付けられた貯玉情報32aを取得する処理を行う処理部である。また、貯玉情報取得部23bは、貯玉情報送信部33aから取得した貯玉情報32aを会員情報送信部23aへ渡す処理を併せて行う。
【0074】
移行要求受付部23cは、持玉数の貯玉移行要求を貯玉移行要求部15cから受け付けたならば、貯玉管理装置30の貯玉移行処理部33bへ貯玉移行指示を送信する処理を行う処理部である。また、移行要求受付部23cは、貯玉移行処理部33bから処理終了通知を受け付けたならば、その旨を各台装置10へ送信する処理を併せて行う。
【0075】
つづいて、貯玉管理装置30の構成について説明する。貯玉管理装置30は、通信I/F31と、記憶部32と、制御部33とを備えている。また、制御部33は、貯玉情報送信部33aと、貯玉移行処理部33bとをさらに備えており、記憶部32は、貯玉情報32aを記憶する。
【0076】
通信I/F31は、LANカード等の通信デバイスで構成されており、LANカード等の通信デバイスで構成されており、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、各台装置10、持玉管理装置20および遊技店内に設置された各種機器との間のデータ送受信を行う。たとえば、通信I/F31は、持玉管理装置20からカードIDおよび持玉情報22aとともに貯玉移行指示を受信する。
【0077】
記憶部32は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部32は、会員識別子に関連付けて貸出レートごとに貯玉数を貯玉情報32aとして記憶する。なお、貯玉情報32aの詳細については後述することとする。
【0078】
貯玉情報送信部33aは、貯玉情報取得部23bから受け付けたカードIDに基づいて貯玉情報32aを検索し、貯玉情報取得部23bへ送信する処理を行う処理部である。また、かかるカードIDに関連付けられた貯玉情報32aがない場合は、その旨を貯玉情報取得部23bへ通知する処理を併せて行う。
【0079】
なお、持玉管理装置20と貯玉管理装置30とを併設し、持玉管理装置20と貯玉管理装置30とをそれぞれの管理装置で管理するシステムに対して本発明を適用した場合について説明した。しかし、持玉情報22aと貯玉情報32aとを単一の管理装置で管理する遊技媒体管理システムに対して本発明を適用することとしてもよい。
【0080】
つぎに、本実施例に係る遊技媒体管理システムの構成について図4を用いて説明する。図4は、本実施例に係る遊技媒体管理システムのシステム構成図である。
【0081】
ここで、図4では、遊技客の獲得した遊技媒体を計数する各台計数機能を有する計数機能付各台装置と計数機能なし各台装置との2種類の各台装置10が店内に設けられているシステム構成について説明する。さらに、かかる遊技店では、複数種類の貸出レートによるパチンコ玉の貸出が行われているとする。
【0082】
同図に示すように、遊技店に設置された持玉管理装置20および貯玉管理装置30には、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、島コントローラ50と、島端計数機60と、精算機70と、景品管理装置80と、カード・携帯処理機90とが接続されている。
【0083】
島コントローラ50は、遊技島に設けられた一群の各台装置10およびパチンコ機40を束ねる中継装置である。パチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に打ち込んで遊技客がパチンコ遊技を行う装置である。
【0084】
また、遊技島には、複数組の各台装置10およびパチンコ機40が接続されており、各台装置の種類ごとに構成される。たとえば、図4に示すように、島1および島3は、計数機能なし各台装置10で構成されており、島2および島4は、計数機能付き各台装置10で構成されている。
【0085】
さらに、遊技島ごとに所定の貸出レートが設定されており、たとえば、図4に示すように、4円コーナーを構成する島1と島2には1玉4円の貸出レートが、1円コーナーを構成する島3と島4には1玉1円の貸出レートが、それぞれ設定されることとなる。なお、図4には、4台の島コントローラ50を示しているが、本遊技媒体管理システムには所定数の島コントローラ50が接続されるものとする。
【0086】
島端計数機60は、遊技島端等に設けられ、遊技客が獲得したパチンコ玉を計数し、計数値をパチンコ玉の貸出レートとともに会員カードや携帯端末に関連付ける。若しくは、島端計数機60は、計数値および貸出レートをレシートへ印字し、発行する。なお、島端計数機60は、貸出レートごとに設けることとしてもよいし、パチンコ玉を計数する際、関連付ける貸出レートを選択することができることとしてもよい。
【0087】
精算機70は、紙幣挿入部42に挿入された各種紙幣の残額が会員カードまたは一般カードに関連付けられている場合に、残額が関連付けられているカードが挿入されると、残額に相当する現金の払出を行う。
【0088】
また、精算機70は、紙幣挿入部42に挿入された各種紙幣の残額が携帯端末に関連付けられている場合に、携帯端末のタッチを受け付けると、残額に相当する現金の払出を行う。
【0089】
景品管理装置80は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり、図示しない交換玉数管理情報を用いて獲得玉と景品との交換を管理する。なお、交換玉数管理情報は、景品毎にその景品との交換に要する交換玉数を対応付けた情報である。
【0090】
ここで、遊技客は、一般カードや会員カードを持参し、カード・携帯処理機90のカード挿入口へ一般カードや会員カードを挿入したりした場合に、貯玉または計数値に応じた景品を受け取ることができるものとする。また、景品管理装置80では、遊技客がレシートを持参し、持参したレシートに印字された計数値によって景品の交換を行うこともできる。
【0091】
その際、景品交換カウンタ内の従業員が、遊技客により指定された景品に対応する交換ボタンを押下する。交換ボタンの押下を受け付けた景品管理装置80は、指定された景品に相当する交換玉数を計数値から減算する交換制御を実行する。その後、従業員が手作業によって遊技客に指定された景品を渡すこととなる。
【0092】
なお、遊技客の所有する携帯端末を会員カードの替わりとする会員(以下、「携帯会員」と記載する)は、景品交換カウンタへ携帯端末を持参して景品の交換を行うことができる。この場合、携帯会員は、景品管理装置80に併設されたカード・携帯処理機90の携帯読取部に携帯端末をタッチすることで、IDmに関連付けられた貯玉または計数値に応じた景品を受け取ることができる。
【0093】
つぎに、持玉情報22aおよび貯玉情報32aの詳細について図5〜6を用いて説明する。図5は、持玉情報22aの一例を示す図である。
【0094】
図5に示すように、持玉情報22aは、「カードID」項目と、「持玉数」項目と、「レート情報」項目とを含んでいる。
【0095】
「カードID」項目は、会員カードや一般カードの識別子であり、会員カードまたは一般カードを一意に識別することができる情報である。なお、「カードID」項目は、会員を識別する会員識別子であってもよいし、携帯会員の場合は、携帯会員が所有する携帯端末のIDmであってもよい。
【0096】
「持玉数」項目は、計数機能付き各台装置10または島端計数機60で計数された遊技客が獲得したパチンコ玉の計数値である。
【0097】
「レート情報」項目は、持玉数が計数された際のパチンコ玉の貸出レートを示す情報であり、パチンコ玉の貸出レートであってもよいし、また、持玉数が計数された各台装置10の台番号であってもよい。「レート情報」項目を台番号とした場合には、持玉管理装置20や貯玉管理装置30等の管理装置で台番号に関連付けて各台装置10の貸出レートが記憶されることとなる。本実施例では、「レート情報」項目には、貸出レートを使用することとして説明する。
【0098】
つづいて、貯玉情報32aの詳細について図6を用いて説明する。図6は、貯玉情報32aの一例を示す図である。図6に示すように、貯玉情報32aは、「カードID」項目と、貸出レートごとに「貯玉数」項目と、「手数料無料分」項目とを含んでいる。
【0099】
「カードID」項目は、会員カードの識別子であり、会員カードを一意に識別することができる情報である。なお、「カードID」項目は、会員を識別する会員識別子であってもよいし、携帯会員の場合は、携帯会員が所有する携帯端末のIDmであってもよい。
【0100】
「貯玉数」項目は、会員の所有する貯玉数である。会員が貯玉情報32aに貯玉している貯玉数を用いてパチンコ玉を払出す際、「貯玉数」項目から払出数を減算するとともに貯玉払出に伴う手数料に相当するパチンコ玉数が減算される。
【0101】
また、貯玉管理装置30が持玉数の貯玉移行要求を受け付けた際、貯玉移行要求とともに受け付けた貸出レートに対応する「貯玉数」項目に持玉数が加算されることによって、貯玉への移行が行われることとする。
【0102】
なお、本実施例に係る遊技媒体管理システムでは、貯玉数と持玉数との合計が所定の閾値を超える場合は、貯玉への移行を行わず、その旨を表示操作部13へ表示したり、警告音を鳴らすことによって、遊技客へ報知する。この機能は、貯玉数が膨大になることを防止するために設定されるもので、自動貯玉移行処理時だけでなく、計数機で計数した獲得玉を貯玉処理する場合にも作用する。
【0103】
「手数料無料分」項目は、貯玉数のうち貯玉払出の手数料が無料となる玉数である。たとえば、貯玉した当日は貯玉払出の手数料を無料とする遊技店もあれば、イベント等で所定日には貯玉払出の手数料をすべて無料とするという遊技店もある。この場合、「手数料無料分」項目に手数料が無料となる貯玉数が設定されることとなる。
【0104】
なお、貯玉情報32aは、貸出レートごとに「貯玉数」項目と「手数料無料分」項目とを含み、図6では、カードID:001に関連付けて、貸出レートが4円レートおよび1円レートのパチンコ玉が貯玉されている場合について示した。
【0105】
会員が貯玉情報32aに貯玉している貯玉数を用いてパチンコ玉を払出す場合、貸出レートの異なる貯玉数を用いてパチンコ玉を払出すことができる。たとえば、遊技客は4円レートの貯玉数を用いて1円レートのパチンコ機で再プレイすることができる。
【0106】
なお、いずれの貸出レートの貯玉数から優先して払出すかを、予め設定することとしてもよい。具体的には、1円レートのパチンコ機に併設される各台装置10では、まず1円レートすなわち同レートの「手数料無料分」から減算し、1円レートの「貯玉数」、4円レートの「手数料無料分」、4円レートの「貯玉数」の順に貯玉払出の優先順位を設定する。そして、各台装置10では、貯玉払出の際、設定された優先順位の順番に払出数を減算することとなる。
【0107】
ただし、貯玉を他の貸出レートへ換算して再プレイする機能は、遊技店の運用形態に応じて、不可設定とすることもできる。不可設定にした場合、4円レートの持玉が関連付けられた会員カードが1円コーナーに持ち込まれて、4円貯玉へ貯玉移行されたものは、そのコーナーでは再プレイできない。この場合、4円貯玉は、4円コーナーに戻って再プレイするか、景品カウンタで景品に交換する必要がある。
【0108】
つぎに、本実施例に係る遊技媒体管理システムが実行する貯玉移行パターンについて図7を用いて説明する。図7は、貯玉移行パターンの一例を示す図である。
【0109】
前提条件は、図4に示したように、島1および島3は、計数機能なし各台装置10で構成されており、島2および島4は、計数機能付き各台装置10で構成されている。さらに、4円コーナーを構成する島1と島2には1玉4円の貸出レートが、1円コーナーを構成する島3と島4には1玉1円の貸出レートが、それぞれ設定されているものとする。
【0110】
ここで、島1および島3は、計数機能なし各台装置10で構成されているため、持玉数をカードに関連付けすることはできない。したがって、移動元が島1および島3の場合は、貯玉移行の対象外とする。
【0111】
ただし、計数機能なし各台装置10に併設されるパチンコ機40で遊技客が獲得したパチンコ玉を島端計数機60で計数した場合、発行されたカードに関連付けられた持玉数については貯玉移行の対象とする。
【0112】
図7に示すように、移動元が島2、すなわち、4円レートの持玉数が関連付けられたカードを持って、島1または島3へ移動した場合、計数機能なし各台装置10では持玉遊技を行うことができない。この場合、貯玉管理装置30では、貯玉移行して、貯玉による再プレイを行うこととなる。
【0113】
また、移動元が島2、1円コーナーの島4へ移動した場合、持玉数のレートが島4の貸出レートとは異なるので、貯玉管理装置30は、貯玉移行する。一方、移動元および移動先が島2の場合は、同一の貸出レートであるから、各台装置10は、持玉のままで遊技することができる。
【0114】
移動元が島4の場合も、島2が移動元である場合と同様に、同一の貸出レートである島4への移動を除いて、貯玉管理装置30では、貯玉移行する。このように、移動元と移動先との遊技島の組合せによって貯玉移行パターンは変化する。
【0115】
つぎに、本実施例に係る遊技媒体管理システムが実行する処理について図8〜10を用いて説明する。まず、遊技媒体管理システムが実行する貯玉移行処理について図8、図9を用いて説明する。
【0116】
図8は、各台装置10、持玉管理装置20および貯玉管理装置30が実行する貯玉移行処理手順その1の概要を示すシーケンス図であり、図9は、各台装置10、持玉管理装置20および貯玉管理装置30が実行する貯玉移行処理手順その2の概要を示すシーケンス図である。
【0117】
図8に示すように、カードR/W部12は、持玉数が関連付けられた会員カードが挿入されたならば(ステップS101)、会員カードのカードIDの読み込みを行う(ステップS102)。そして、会員情報取得部15aは、読み込んだカードIDとともに会員情報の取得要求を会員情報送信部23aへ送信する(ステップS103)。
【0118】
一方、持玉管理装置20の貯玉情報取得部23bは、会員情報取得部15aから受信したカードIDとともに貯玉情報の取得要求を貯玉情報送信部33aへ送信する(ステップS104)。
【0119】
そして、貯玉情報送信部33aは、貯玉情報取得部23bから受信したカードIDに関連付けられた貯玉情報32aを貯玉情報取得部23bへ送信する(ステップS105)。その後、会員情報送信部23aは、各台装置10から受信したカードIDに関連付けられる持玉情報22aと貯玉情報32aとを会員情報として会員情報取得部15aへ送信する(ステップS106)。
【0120】
一方、会員情報を取得した移行判定部15bでは、取得した会員情報と貸出レート14aとに基づいてカードに関連付けられた持玉数を貯玉へと移行するか否かの判定を行う(ステップS107)。なお、移行判定処理の詳細については、図10を用いて後述することとし、ここでは、移行判定部15bで貯玉移行すると判定された場合について説明する。
【0121】
貯玉移行要求部15cは、ステップS107の移行判定処理で貯玉移行すると判定された場合、カードIDとともに貯玉移行要求を移行要求受付部23cへ送信する(ステップS108)。そして、移行要求受付部23cは、カードIDおよびカードIDに関連付けられた持玉情報22aとともに貯玉移行指示を貯玉移行処理部33bへ送信する(ステップS109)。
【0122】
一方、貯玉移行処理部33bは、移行要求受付部23cから受信した持玉情報22aの持玉数をカードIDおよび持玉情報22aの貸出レートに対応する貯玉情報32aへ移行する(ステップS110)。その後、貯玉移行処理部33bは、正常に貯玉移行が行われたならば、処理終了通知を移行要求受付部23cへ送信する(ステップS111)。
【0123】
移行要求受付部23cは、貯玉移行処理部33bから処理終了通知を受信したならば、貯玉移行した持玉情報22aの持玉数を減算することによって更新し(ステップS112)、処理終了通知を貯玉移行要求部15cへ送信する(ステップS113)。
【0124】
そして、貯玉移行要求部15cは、処理終了通知を受信したならば、各台装置10の貯玉情報14bを更新して、各台装置10、持玉管理装置20および貯玉管理装置30が実行する一連の貯玉移行処理を終了する。
【0125】
つづいて、各台装置10の移行判定部15bが実行する移行判定処理(図8のステップS107)の詳細について図10を用いて説明する。
【0126】
図10は、各台装置10が実行する移行判定処理手順の概要を示すフローチャートである。図10に示すように、移行判定部15bは、カードR/W部12で読み込んだ会員カードに関連付けられた持玉数があるか否かを判定する(ステップS201)。
【0127】
移行判定部15bは、持玉数ありと判定された場合(ステップS201,Yes)、計数機能付き各台装置10であるか否かを判定する(ステップS202)。そして、移行判定部15bは、計数機能付であると判定された場合(ステップS202,Yes)、持玉数のレートと各台装置10の貸出レート14aとが一致するか否かを判定する(ステップS203)。
【0128】
移行判定部15bは、持玉数のレートと各台装置10の貸出レート14aとが一致しないと判定された場合(ステップS203,Yes)、貯玉移行要求を持玉管理装置20の移行要求受付部23cへ送信し(ステップS204)、各台装置10が実行する一連の移行判定処理を終了する。
【0129】
一方、移行判定部15bは、持玉数のレートと各台装置10の貸出レート14aとが一致した場合には(ステップS203,No)、持玉での遊技が開始されることとなり(ステップS205)、一連の移行判定処理を終了する。
【0130】
また、移行判定部15bは、ステップS201で持玉数なしと判定された場合(ステップS201,No)、一連の移行判定処理を終了する。さらに、移行判定部15bは、計数機能付ではないと判定された場合には(ステップS202,No)、ステップS204へ処理を移行する。
【0131】
このように、本実施例に係る遊技媒体管理システムは、会員が保有する遊技媒体数を示す貯玉数を遊技媒体の貸出レートごとに会員識別子に関連付けて管理装置が記憶し、所定の移行指示を受け付けた場合に、遊技客が獲得した遊技媒体数を示す持玉数を当該持玉数の貸出レートに対応する貯玉数へ管理装置が移行し、会員カード等の記録媒体に関連付けられた会員識別子に基づいて貯玉数を各台装置が取得し、記憶された貯玉数から取得された貯玉数を引き落として遊技媒体の払出を各台装置が行うこととした。
【0132】
このようにすることで、本実施例に係る遊技媒体管理システムによれば、複数種類の貸出レートによる遊技媒体の貸出を行っている遊技店で、遊技客に負荷をかけることなく、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても持玉による遊技を実現することができる。
【0133】
なお、上述した実施例では、持玉数が関連付けられた会員カードが各台装置10に挿入された際に、持玉数の貸出レートとパチンコ機のレートとが異なるか否かを判定し、貯玉管理装置30では貯玉移行を行うこととした。
【0134】
しかし、計数機能付き各台装置10で、パチンコ機のレートとは異なる貸出レートの持玉数が関連付けられた会員カードを挿入した際に貯玉移行を行わず、紙幣挿入部42へ挿入された各種紙幣の残額によってパチンコ玉の払出を行うこととしてもよい。
【0135】
その後、特賞に入賞し、遊技客が獲得したパチンコ玉を各台装置10によって計数された際に、貯玉管理装置30は、会員カードに関連付けられた持玉数を貯玉移行することとしてもよい。このようにすれば、移動先で玉を獲得できなかった遊技客は、元の遊技島に戻った際に、前回獲得していた持玉を使用してそのまま遊技を再開することができる。
【0136】
なお、上述した実施例では、移行判定処理や貯玉移行要求処理を各台装置10で行うこととしたが、かかる処理の一部またはすべてを、持玉管理装置20や島コントローラ50等、各台装置10に接続している他の装置で行うこととしてもよい。
【0137】
また、上述した実施例では、パチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合、または、パチスロ遊技のみを対象とした場合にも同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0138】
以上のように、本発明に係る遊技媒体管理システムは、複数種類の貸出レートによる遊技媒体の貸出を行っている遊技店で有用であり、特に、遊技客に負荷をかけることなく、カードに関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台であっても持玉による遊技を実現させたい場合に適している。
【符号の説明】
【0139】
10 各台装置
11 通信I/F
12 カードR/W部
13 表示操作部
14 記憶部
14a 貸出レート
14b 貯玉情報
15 制御部
15a 会員情報取得部
15b 移行判定部
15c 貯玉移行要求部
15d 貯玉払出部
20 持玉管理装置
21 通信I/F
22 記憶部
22a 持玉情報
23 制御部
23a 会員情報送信部
23b 貯玉情報取得部
23c 移行要求受付部
30 貯玉管理装置
31 通信I/F
32 記憶部
32a 貯玉情報
33 制御部
33a 貯玉情報送信部
33b 貯玉移行処理部
40 パチンコ機
41 状態表示部
42 紙幣挿入部
44 持玉払出部
45 携帯読取部
46 玉計数部
47 玉貯留部
48 下皿
49 上皿
50 島コントローラ
60 島端計数機
70 精算機
80 景品管理装置
90 カード・携帯処理機


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技店の会員を識別する会員識別子に基づいて前記会員を管理する管理装置および遊技台ごとに設けられる各台装置を有する遊技媒体管理システムであって、
前記管理装置は、
前記会員が保有する遊技媒体数を示す貯玉数を前記遊技媒体の貸出レートごとに前記会員識別子に関連付けて記憶する貯玉記憶手段と、
所定の移行指示を受け付けた場合に、遊技客が獲得した前記遊技媒体数を示す持玉数を当該持玉数の貸出レートに対応する前記貯玉数へ移行する移行手段と
を備え、
前記各台装置は、
記録媒体に関連付けられた前記会員識別子に基づいて前記貯玉数を取得する貯玉情報取得手段と、
前記貯玉情報取得手段によって取得された前記貯玉数に基づいて前記遊技媒体の払出を行う払出手段と
を備えたことを特徴とする遊技媒体管理システム。
【請求項2】
前記移行手段に対して前記移行指示を行う移行指示手段
をさらに備え、
前記移行指示手段は、
前記記録媒体に関連付けられた前記持玉数の前記貸出レートと当該各台装置の前記貸出レートとが異なる場合に、前記移行指示を行うことを特徴とする請求項1に記載の遊技媒体管理システム。
【請求項3】
前記各台装置は、
前記遊技客が獲得した前記遊技媒体を計数値として計数する計数手段
をさらに備え、
前記移行指示手段は、
前記計数手段による計数が開始された後に、前記移行指示を行うことを特徴とする請求項2に記載の遊技媒体管理システム。
【請求項4】
前記移行指示手段は、
前記各台装置が、前記遊技客が獲得した前記遊技媒体を計数値として計数する機能を有しない場合には、ただちに前記移行指示を行うことを特徴とする請求項2に記載の遊技媒体管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記遊技媒体の払出に伴う所定の手数料を設定する手数料設定手段
をさらに備え、
前記払出手段は、
前記遊技媒体の払出を行う場合に、前記手数料設定手段によって設定された前記手数料に相当する前記遊技媒体数を前記貯玉数から差し引くことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の遊技媒体管理システム。
【請求項6】
前記移行手段は、
前記持玉数の前記貸出レートに対応する前記貯玉数と前記持玉数との合算値が所定の閾値を超えていない場合に、前記持玉数を前記貯玉数へ移行することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の遊技媒体管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−250951(P2011−250951A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126152(P2010−126152)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】